「weeksdays」のロングセラーである
SAQUIのフォーマルウェアに、
夏物のワンピースが仲間入りします。
イタリア生れのあの上質な
Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)の生地を使った、
ケープで肘がかくれるノースリーブ。
この美しいデザインが生まれたきっかけは? 
シンプルさの中に、うんと上等な印象があるひみつは?
伊藤まさこさんが、SAQUIデザイナーの
岸山沙代子さんに聞きました。

岸山沙代子さんのプロフィール

岸山沙代子 きしやま・さよこ

大学の家政学部で被服を学んだのち、
手芸・服飾系の出版社へ。
働きながら「東京立体裁断研究所」に通い、
立体裁断を学ぶ。
別の出版社に転職後、伊藤まさこさんの担当に。
編集者歴10年を経た頃、
デザイナーになる夢をかなえるべく、渡仏、
パターンの学校へ通う。
パリでの3年を経て帰国、自宅をアトリエにして
「SAYOKO KISHIYAMA (サヨコキシヤマ)」名義で
自身のデザインによる服づくりをはじめる。
2016年「saqui」をスタート。
そこから年に2回のコレクションを発表しつづけ、
2024年秋冬シーズンにはパリコレクションに参加、
ブランド名を大文字の「SAQUI」に変更した。

■saqui website
■Instagram
■[interview]saqui 岸山沙代子さんのこと。
■weeksdays これまでのSAQUIのコンテンツ

02
丁寧に縫うことのたいせつさ

伊藤
SAQUIのフォーマルウェアは、
いろいろなシチュエーションで着ることができますね。
岸山
はい。知り合いの方が
人間国宝の作家さんに会いに行くのに
すごくいいって言っていました。
何を着て行くべきか迷って、
SAQUIのケープワンピースにしました、って。
伊藤
目上のかたにお目にかかるのに、
ちゃんとしてるに越したことはないですものね。
岸山
そうなんです。
ちゃんとしてるけど、ちょっとオシャレな感じで、
とてもよかったって言ってくれました。
伊藤
今回の夏物もそうですよね。
このケープのデザイン、見たことがなかったので、
さすが岸山さん! と思いました。
なぜこういう形につくろうと思ったんでしょう。
岸山
この形がすごい好きなんです。
「どうしようかな」って思いながら
デザイン画を描いていると、
自然と身頃と袖をつなげることが多いんです。
ちょっと丸みがあるデザインが好きだから。
「この感じ、すごくきれいだな。
あっ、じゃ、ここをケープにしよう」みたいな。
伊藤
しかも、セットインスリーブじゃないから、
いろんな肩幅の人に合いますよね。
岸山
そう、体型になじむつくりなんです。
伊藤
受注会でごらんになったお客さまの反応は
どんな感じでした?
岸山
昨年の秋にお披露目したんですが、
そのときは、卒業式や入学式など
学校行事に着て行くのにいいですね、
という声をいただきました。
先日、百貨店で出したときは、
結婚式に着ますっていうお客さまもいらっしゃいました。
「ほかの人とかぶらないのがいいですね」って。
伊藤
わかる! 絶対、かぶらないですし。
岸山
かぶらない。それに、お年を召しても、
おばあちゃんになってもかわいいですよ。
意外とみなさん、季節を問わず、
いろんなシチュエーションで着たい、
とおっしゃってくださって。
伊藤
下にレースを重ねても
雰囲気ががらりと変わって素敵でしたよ。
どんなシーズンでも大丈夫って思いました。
上からコート着れば冬でも。
岸山
はい、着られますよ。
伊藤
後ろのスリットもきれいですよね。
あと、ポケットがついているのもSAQUIらしい。
岸山
はい、SAQUIは基本ポケットをつけています。
伊藤
じつは、最初、ポケットがついてるのに
気がつかなかったんです。
岸山
それは、縫製にものすごく力を入れているから。
前のフレアスカートもそうだったんですが、
この縫製工場はとにかく腕がいいんですよ。
このジョーゼット生地は縫うのがとても難しいんですが、
信頼している縫製工場さんだからこそ、
ポケットがついているかついていないか
わからないような仕上がりになりました。
伊藤
そうなんですね。
ポケットのほかにも、そこに依頼したからこその美しさ、
みたいなポイントってあるんですか。
岸山
ケープ部分の端の始末ですね。
生地に張りがあるので、
ややもすると、波打ってしまうんですよ。
でもここだと、こんなに美しく。
伊藤
これは、手作業で?
岸山
手作業です。
最初、機械で縫ってもらっていたんですが、
そうすると、その工場ですら、ちょっと波が出るんです。
それで、手作業で仕上げてもらいました。
その縫製工場でも苦労なさったって言ってました。
伊藤
脇のポケットの美しさの秘密も、
具体的に説明できることがあるんですか。
岸山
これは、ステッチが出ないよう、
縫い目をじょうずに利用しているんですよ。
それで、ポケットだとわかりにくい仕様なんです。
伊藤
なるほど! シンプルなぶん、
そういう一つひとつのきれいさが
ものを言うんですね。
岸山
そう。この服は、ケープとその下のワンピースだけ、
というシンプルな構造ですから、
素材や縫製が大事なんです。
伊藤
すごいことですね。
岸山さん、今日はありがとうございました。
SAQUIのこれからの服づくり、
楽しみにしています。
岸山
励みになります。
ありがとうございました。
(おわります)
2025-04-15-TUE