ベトナム手刺繍の
ハンカチができるまで
ホーチミンを拠点に、ベトナムの手仕事を紹介している
田中博子さん。
「ほぼ日」では「ベトナム手刺繍の服」
そして「weeksdays」では「ベトナムのかご」で、
いっしょに、ものづくりをお願いしました。
今回の「ベトナム手刺繍のハンカチ」もまた、
田中さんの尽力で実現したアイテム。
できるまでの経緯と、そのつくりかたを、
田中さんにおききしました。
工程の写真も、田中さんが撮ってくださいましたよ。
きっかけは、伊藤まさこさんが、「ほぼ日」と、
田中博子さん、saquiの岸山沙代子さん、
CHECK&STRIPEといっしょにつくった
「ベトナム手刺繍の服」でした。
「打ち合わせで伊藤さんのお宅にお邪魔した時、
以前ベトナム旅行で購入したという
ナプキンを見せてもらいました。
お土産屋さんで買ったという話でしたが、
今現在はこんなに丁寧な仕事のものは
お土産屋さんでは売っていないんですよ、
ということを話しました。
だからこそ、伊藤さんのナプキンに近いものを
いまのベトナムで、
再現できたらいいなと思ったんです」
(田中さん)
「ベトナム手刺繍の服」が
女性向けで高価なものだっただけに、
「もっと多くの方に手頃に
ベトナム刺繍の製品を手にとって
いただきい」という気持ちが一致、
ぜひハンカチをつくりましょう、
ということになりました。
そこで決めたのは、
機械刺繍ではなく、手作業で、ということでした。
「近年こういった刺繍を施してあるハンカチは
ほとんどが機械刺繍で、
通称ピコミシンと呼ばれる
生地の端の処理をするミシンを使います。
けれども、手で作業することによって、
機械とは確実に違う風合いが出るんです。
世界中にいろいろなタイプの刺繍がありますが、
ドロンワークをここまできれいに手作業で刺せるのは、
もしかしたらベトナムだけなのでは? と思います。
有名な中国の汕頭(スワトウ)刺繍も、
今の代で終わってしまうところが
一軒残っているだけ、だと聞きましたから‥‥」
(田中さん)
そんななか、「まだ」ベトナムの手仕事はだいじょうぶ。
この先、どうなるかわからない、と言いつつ、
田中さんが、優秀な工房を探してきてくださいました。
「手のいい」職人が集まっている、
ホーチミンの小さな工房です。
さて、つくりかたですが、
日本とまずちがうのは、「生地」。
いちからつくるのではなく、
あるものを買ってきて使うのです。
生地から一貫してものをつくる体制というのが、
ベトナムにはない(!)そうなのです。
そのため、田中さんは、市場へ足をはこび、
今回のハンカチにぴったりの生地をさがすことから
はじめました。
「フォーマルにもカジュアルにもより過ぎず、
どんな場面でも活躍できそうな生地、
ということをテーマにしました」
結果、選ばれたのは、
さらっとした感触が心地よい、
麻100%の生地でした。
さて、ここからは、
田中さんからの「つくりかたフォトレポート」を
お届けしましょう。
ベトナム刺繍、こんな工程で
つくられているんです。
まず、地の目に沿って生地を裁断し、
はしご刺繍をするために糸を抜きます。
生地のちぢみ具合によって、何本抜くかを決めます。
今回の生地は縦糸4本、横糸3本を抜きました。
角を額縁のようにするために、
裏側を畳んで、角をカットします。
裏返すときれいな「額縁縫い」になっています。
はしご刺繍部分に合わせて、
縁をしつけ縫いします。
まず、糸を4本すくい、束ねます。
次に、すくった4本と縁取り部分を縫い付けます。
表側から更に4本を束ねて行きます。
こうしてできあがる「ベトナム手刺繍のハンカチ」、
うんとこまかな作業だということが
おわかりいただけると思います。
今回、つくったサイズは2つ。
45センチ角のものと、35センチ角のもので、
基本的なデザインは同じです。
「アクセサリーなどが
はしご刺繍の部分に引っかからないよう、
じゅうぶんご注意くださいね。
また、アイロンをかける際は、
軽く引っ張るときれいに仕上がりますが、
決して強くは引っ張らないでください。
糸切れの原因となりますので‥‥」
(田中さん)
アイロンがけの仕方については、
次回のコンテンツでご紹介します。
どうぞ、おたのしみに!