伊藤まさこさんが「会いたい!」とラブコール、
大久保佳代子さんにお越しいただきました。
対談のテーマは「女子」。
部屋着のこと、文章を書くこと、
心のありようのこと、トレーニングのこと、
男子のこと、好感度のこと、
テレビと容姿のこと、新しい家族の形のこと‥‥、
かなーり濃い内容で、おとどけします。
収録が夏の夕方でしたから、
せっかくなのでビールを用意。
伊藤さんのつくったおつまみも、
ちょこっと紹介します。
大久保佳代子さんのプロフィール
大久保佳代子
1971年5月12日、愛知県生まれ。
お笑いタレント、プロダクション人力舎所属。
小・中・高の同級生だった光浦靖子さんと
お笑いサークルでコンビ「オアシズ」を結成。
OLとお笑いの二足のわらじ時代に
『めちゃ2イケてるッ!』で注目をあび、
2010年からはお笑い専業に。
いま、テレビでは
「見かけない日がない」ほどの人気に。
著書に『不細工な友情』(光浦靖子さんと共著)、
『美女のたしなみ』などがある。
その3トレーニングと下心。
- 伊藤
- 大久保さんは、お洋服を選ぶとき、
他人に嫌な思いさせないファッションということを
一番大事にしていると、
『POPEYE』の連載で書かれていましたね。
- 大久保
- ほんとに『POPEYE』、
読んでくださっていたんですね。
- 伊藤
- あれを本にしてほしいぐらい。
- 大久保
- うれしいー。結構やってたのに、
あんまり言われなかったから(笑)。
- 伊藤
- テレビやラジオで聞く流れてしまう言葉と違って、
文章で一つのことを語るのを読んで、
大久保さんの印象が変わったっていうか。
そんなに長文ではなかったけれど、
あっ、こういうことを思ってるんだというのが伝わってきました。
- 大久保
- 600~700文字だったかな、
文字数が限られているので、
ひとつのことを表すのにどの単語がいいか、
改めて国語辞典で調べて、
これにとって代わる単語はあるか、
そんなことをやっていました。
- 伊藤
- 辞典! 検索じゃないんですね。
- 大久保
- ごめんなさい、検索です(笑)。
さすがにもう今は検索。
でも結構神経質にやってました。
こんなふうにした方が、リズムがいいかな、とか。
- 伊藤
- 1文字も無駄がないような気がしました。
- 大久保
- そうなんですよ!
よかった、うれしい、褒めてくれて。
バーッと書いたあとに、
添削っていうんですか、削ったりなんかして、
翌日起きて、もう1回見て、
ここ、こうしたらいいんじゃないかと。
それを時間をおいて、何回かやって。
『POPEYE』って絶対センスがいい人が
読んでるって私の中では思っているので。
- 伊藤
- オシャレボーイが苦手っておっしゃってた。
- 大久保
- オシャレすぎる人はね。
なんかもう理解不能な格好されると(笑)、
見下されてるんじゃないかと思うんですよ。
- 伊藤
- そんなことあるわけないじゃないですか。
山口智子さん系なんだから。
- 大久保
- すごいいじり方する(笑)。やだ。意地悪!
- 伊藤
- 違う。違う。ほんとに。
- 大久保
- 伊藤さんってば、
無意識のうちにそうやってちょっと人をいじって、
そうやって笑って、もう(笑)。
50年近く生きてるんで、
自分がどのぐらいのもんかわかってますから
大丈夫です。
- 伊藤
- 大久保さんの文章、もっと読みたいです。
- 大久保
- それこそ誰も読んでないんですけど、
とある有料サイトに
週1で日記みたいなのを書いてるんですよ。
これこそもう7、8年やってるのに
誰からも言われたことがない。
だけど、それがいいんですよ。
誰にも読まれてないっていう安心感から、
短い時間で書くんですけど、
書いたことで多少まとまるじゃないですか、出来事が。
エピソードをフリートークで使うときに、
文章として1回頭の中でまとめてると、
しゃべりやすくなるんですよ。
誰も読んでない1週間に1回の日記が、
トークの役に立つんです。
- 伊藤
- 文を寝かせるってさっきおっしゃってたけど、
私も原稿を書いたら、やっぱり一晩寝かせるんです。
翌朝見る夜中のラブレターが
恥ずかしいみたいなことがあって。
「なに盛り上がっちゃって!」って。
- 大久保
- 私はこういう出来事がありましたっていうのが多いから、
そんな感情をぶつけるようなことは書いていないかな。
- 伊藤
- 最近は何書かれたんですか?
- 大久保
- 最近は、記憶がね、
えーっと、‥‥ちょっと待ってくださいよ。
- 伊藤
- 最近、あれがあれで、それで、とか、
全部代名詞になっちゃうってあります?
- 大久保
- そう、‥‥ちょっと静かにして(笑)。
そうだ、先週は、私、
パーソナルトレーニング始めたんですよ。
すごくないですか、この年でパーソナル。
- 伊藤
- 私も実は!
- 大久保
- えっ?!
- 伊藤
- 先月ぐらいから始めたんです。
みんなに、ざわつかれますね、
この年でやり始めたから。
- 大久保
- どういうことをやっているんですか。聞きたい!
- 伊藤
- マンションの一室で。
- 大久保
- おんなじ!
あれ、ちょっと、ドキドキしません?
- 伊藤
- え? どういうこと?
トレーナーが男の人だからですか?
- 大久保
- そう、男の人だから。
- 伊藤
- 全然ドキドキしたことなかった‥‥。
- 大久保
- ええっ? だって、マンションの一室で、
密室で、まあまあ薄着な筋肉質な男と、
結構な距離ですよ!
- 伊藤
- 言われてみたら、ほんとですね。
- 大久保
- 結構な近さですよ。
- 伊藤
- ほんとですねえ。でも、先生ですよ。
- 大久保
- いや! 伊藤さん、
それちょっと気取ってません?
だって、私、まず入っていって、
「じゃあ、着替えますか」
ってときに、マンションの一室だから
べつに更衣室があるわけじゃなくて、
「そこの洗面所使ってください」って
言われるんだけれど。
- 伊藤
- えっ、まさに同じような
シチュエーションのところです。
- 大久保
- まさか一緒のとこ行ってるのかな(笑)。
で、洗面所に入るじゃないですか。
そこでカギをかけるかどうか、まず迷うんですよ。
- 伊藤
- どうして?!
- 大久保
- カギをかける瞬間に
カシャッて音が聞こえるわけじゃないですか。
そうすると、「意識してんの、あのババア」
って思われたら最悪だと思って(笑)。
- 伊藤
- (笑)先生はカッコいいんですか?
- 大久保
- いい感じです。ちょうどいいです。
34、5歳で、さわやかで、
ハワイと日本を行き来してるっていう。
- 伊藤
- ちょうどいい。
- 大久保
- ちょうどいいですよ。
- 伊藤
- もちろん身体がしっかりしてるし。
- 大久保
- 筋肉いっぱいあって。
でね、あえてカギはかけず。
- 伊藤
- そんなにドキドキするんですね。
- 大久保
- ドキドキしますよ!
私の場合、座骨神経痛が最近ひどくて、
その先生は理学療法士の資格を持ってるから、
「ああ、ちょっと痛いです」って言うと、
「じゃ、マッサージしましょう」って。
横にちっちゃいマッサージ部屋があるんです。
- 伊藤
- 同じです。
- 大久保
- ええっ(笑)?
でね、そのマッサージ室に通されるんです。
マッサージって、よりスキンシップじゃないですか。
だから、あんまり痛いって言うと、
私、なんかマッサージを
すごくやりたい人だと思われてもアレだから、
多少痛くても我慢しているんです。
もう悪循環で、トレーニングに行っているのに、
体、悪くするんじゃないかっていうくらい。
- 伊藤
- その先生があんまりカッコよくない人だったら
いいのかもしれない。
でもそうするとモチベーションが落ちちゃいますね。
微妙ですね。
- 大久保
- 微妙ですよ。
考えすぎちゃって。
- 伊藤
- ちょっと前、ピラティスに通ってたんですけど、
まるで斎藤工さんみたいな先生で。
- 大久保
- ええ、そんな人が、いるんだ!
- 伊藤
- 私の前にパーソナルトレーニングを受けていた方が、
60ぐらいの女性だったんですけれど、
すごくはしゃいでたんですよ。
もしかしたら私もああいう顔してるのかな? と思って。
だから「全然関係ありません。私はピラティスの生徒、
たまたまあなたが先生だっただけ」っていう顔をして。
- 大久保
- なるほど。
- 伊藤
- でも、全然集中できなかった。
- 大久保
- どういう顔をしたらいいか、
正解かがわからなくなりますよね。
変に愛想よくするのもアレですし。
だからといって仏頂面でやるのもおかしいでしょ。
- 伊藤
- そうなの。気が気じゃないんですよね。
- 大久保
- 60分のレッスンなんですけど、
終わって、水出してくれて、飲むじゃないですか。
帰り際がわかんなくて。
あんまりすぐに「じゃあ、失礼します」って言ったら、
こいつやることやったらすぐ帰る女なんだなって(笑)
思われたら嫌じゃないですか。
だからといって、おしゃべりに夢中になっちゃって、
この人いつ帰るんだろうと思われても嫌だから、
ますます帰り際がわからなくて。
- 伊藤
- そういうことに対する立ち位置が、
あやふやになる年代ですよね、私たち。
年甲斐もなくはしゃぎすぎるのもね。
- 大久保
- そう。難しいですよね。
「もうおばさんだから」
みたいなスタンスをとろうと思いながらも、
根っこにちょっと変な下心があるから。
- 伊藤
- まだちょっとかわいいだろうとかって思ったりする。
- 大久保
- ほんとに。仕事で、20歳とか、25歳とか、
もう当たり前のようにそういう男の子と接するんです。
「もうお母さんみたいな年齢だから」
って言いながらも、スキあらば
全然付き合いますけど?(笑)
って思ってる自分の怖さ。
- 伊藤
- そして、それをすごく押し隠してる。
- 大久保
- そうなんですよ!
ああ、もうちょっと年を取ったら、
ラクになるのかな。
- 伊藤
- ラクになりたい! 早く。
(つづきます)
2019-07-28-SUN