伊藤まさこさんが「会いたい!」とラブコール、
大久保佳代子さんにお越しいただきました。
対談のテーマは「女子」。
部屋着のこと、文章を書くこと、
心のありようのこと、トレーニングのこと、
男子のこと、好感度のこと、
テレビと容姿のこと、新しい家族の形のこと‥‥、
かなーり濃い内容で、おとどけします。
収録が夏の夕方でしたから、
せっかくなのでビールを用意。
伊藤さんのつくったおつまみも、
ちょこっと紹介します。
大久保佳代子さんのプロフィール
大久保佳代子
1971年5月12日、愛知県生まれ。
お笑いタレント、プロダクション人力舎所属。
小・中・高の同級生だった光浦靖子さんと
お笑いサークルでコンビ「オアシズ」を結成。
OLとお笑いの二足のわらじ時代に
『めちゃ2イケてるッ!』で注目をあび、
2010年からはお笑い専業に。
いま、テレビでは
「見かけない日がない」ほどの人気に。
著書に『不細工な友情』(光浦靖子さんと共著)、
『美女のたしなみ』などがある。
その6わたしの顔が変わってく。
- 大久保
- 私、好感度めちゃめちゃ欲しいんです。
世の中って好感度の高い人が好きじゃないですか。
ハツラツ、元気、明るい、
みんな大好き、幸せ、みたいな人。
身近で言うと私の大親友、いとうあさこちゃんって
すごく好感度が高いんですよ。
番組で悪口とかあんまり言わないし、
言うように見えていても、実は自分を落として、
下に入って、ちょっとひがみのように言う。
人のことを悪く言わないんですよね。
- 伊藤
- 確かにそうですね。
- 大久保
- 疑ったくらいですよ。
そんなわけないと思って。
- 伊藤
- いとうあさこさんってテレビの画面で
外れた後ろにいるときでも、
すごく幸せそうに笑ってるんですよね。
- 大久保
- そう、笑ってるんです。
- 伊藤
- そうだ、それだ。
- 大久保
- 私もまあまあ笑ってますよ、頑張って。
- 伊藤
- 違うん‥‥じゃ‥‥。
- 大久保
- ウソ笑いですけどね(笑)!
好感度、べつに100点満点でなくていいんですよ。
最近、世の中の流れでしょうけど、
セクハラっぽいことをすると、
男の人のセクハラは叩かれるのに、
なぜ大久保さんはセクハラって
叩かれないんでしょうかとか、
あのおばさんのやるセクハラは
見ててすごい不愉快になりますって、
そんな声もあるんですよ。
好感度とまるで反対で、
すっごい落ち込むんですけど、
こういうのがないと、なんていうんですかね、
私が出てる意味はないなと、
またポジティブに考えて、
止められるまでどぎついセクハラをしてやろうかと
思ったこともあります(笑)。
でも、ほんとうに嫌われるって、
よっぽどのエネルギー持った人じゃないですか。
テレビ見てて、こいつ嫌いだなって
思わせるぐらいに、なんか出してる人って、
なかなか凄いですけどね。
伊藤さん、テレビに出ている人で、
嫌いな人、いますか?
- 伊藤
- 芸能人ではないけれど、
「この人はテレビに出ていいの?」
ってびっくりすることはあります。
- 大久保
- わかります。私も最初「笑えないブス」って
言われたんですよ。
なんか生々しいブス?
- 伊藤
- なんですか、それ!
- 大久保
- 触れちゃいけない、みたいな、危うい感じですよね。
それはね、当時、私がまだ定まってないというか、
本人もあんまりブスって思ってないから、
いじる方も、「あれっ、この子にブスって言ったら、
ちゃんと返してもくれないし、ちょっと‥‥」
みたいな不安定さがあったんですよ。
でも、これがテレビに出続けていくうちに
キャラクター化され、
ほんとにちょっとずつ目が離れていきましたし(笑)、
大陸移動で、少しずつ顔の下半身が前に出てきて、
笑えるブスとして完成していくんですよ。
- 伊藤
- すごいですね、キリンが上の草を食べるために
首がのびていったみたいな。
- 大久保
- ちゃんとみんながツッコミやすいように
だんだんできあがっていくもんなんですよ、テレビって。
自分の役割を把握したときにね。
でも、ほんとに私、朝、寝起きの顔を
みなさんに見せたいです。
すーごい、もう、ほんっと妖怪ですよ。
私、戒めのために、朝起きて、
髪ボサボサで化粧もしない状態で、
あえて手鏡を上向きに置いて、
のぞき込むんですよ。
そうするとね、顔が重力に負けて、落ちるの。
- 伊藤
- なんでそんな!
- 大久保
- ほんと妖怪の、油すましみたい。
「うわっ、怖い」と思って。
- 伊藤
- なんですか、その行為は。ええっ?
- 大久保
- 戒めですよ。
自分の一番ひどい状況をこうやって見て。
だけど、それをメイクして、
テレビに出るために照準を合わせていくわけです。
だから、朝の妖怪からの、テレビに出るまでは、
だいぶ伸びしろというか(笑)、
すごい成長率なんです。
ほんとにすごいから。
- 伊藤
- 意識で、いかようにも変えられる。
- 大久保
- そう、意識だと思う。脳がスイッチを入れる。
- 伊藤
- すごいですね、その工夫。
- 大久保
- やってみてください、怖いから。
すっぴんよ。眉毛も描いちゃダメですよ。
- 伊藤
- ちょっと見れないです。
- 大久保
- 一回見てください。
でね、伊藤さんが苦手というその方は、
まだちょっと自分がどういう感じかまだわからない
不安定さがあるんですよ。
そのうち落ち着きます。顔が。
- 伊藤
- でも、その人、メインでしゃべっていると
ウーンと思うんだけど、
端で映ったとき、楽しそうに笑ってるんです。
それを見てから、結構好きかもとか思い始めて。
- 大久保
- どういう心理? 笑うんだ、この人? ってこと?
- 伊藤
- ちょっとかわいいっていうか。
- 大久保
- すごいとこ見ますね。
やっぱりそうやって人が自然に
笑ってる姿を見れる方がいいんですかね。
- 伊藤
- 画面の隅にちっちゃな枠で‥‥。
- 大久保
- ワイプね。
- 伊藤
- そうそうそう。そのときに、
女優さんとかってスキがないでしょう。
- 大久保
- はいはいはい。
わかってますからね、
小さく抜かれてるって。
- 伊藤
- そう。うっかりした顔で映らない。
でも、その時にこそスキを見せて欲しい。
- 大久保
- なるほどね。人間臭いというか、
完璧じゃない人の方に、魅力を感じるんですね。
- 伊藤
- その人はわざと嫌われるようなことを
言ったりするんですが、
顔、そのうち、だんだん整ってくるのかしら。
- 大久保
- 整うというよりも、
もっとデフォルメされてくるんですよ。
そのキャラクターに合わせて。
- 伊藤
- そうなんだ。なんでですかねえ。
テレビってすごいですねえ。
- 大久保
- 私、テレビのバラエティ番組が多いから、
ウソでも笑うじゃないですか。
もちろんほんとに面白いから笑ってるときも
いっぱいあるんですけど、
そうすると笑い顔になるというか。
それがなかったらもっと顔の肉が
下に落ちてるんじゃないかって思うんですよ。
ウソでも笑う時間が1日2時間とかあるから、
それが意外といい感じに。
- 伊藤
- その緊張感ってすごいですね
- 大久保
- 緊張すると、いろんなものが出て
きれいになるらしいですよ。
人は緊張した方がいいって。
- 伊藤
- よくデビューしたばっかりの女優さんとかアイドルが
1年ぐらい経つと
なんでそんなきれいになったの? って。
- 大久保
- 確かに。
- 伊藤
- それって見られてるから?
- 大久保
- あと、自信じゃないですか?
私はもうきれいになったっていう。
- 伊藤
- じゃ、女優さんとかは
きれいな方向に顔が大陸移動(笑)。
- 大久保
- うん、そうですね、
配置がちょっとずつ、
ベスポジに行くんじゃないですか。
意識ですよね、見られてるっていう意識って
やっぱり大きい気しますけどね。
- 伊藤
- 普通の人に活かす場合はどうしたらいいんですか。
- 大久保
- 「笑っとけ」っていうのはありますよ。
って、精神論を言いましたけど、
笑ってるうちになんか楽しくなるって本当です。
磯野貴理子さんがため息をつきそうになったとき、
はぁ‥‥↓、っていうのを上げるんですって。
ハアーッ↑、て(笑)。
下に落ちちゃダメだ、アアーッ↑、って上げると、
それでもう気持ちが切り替わると。
それを聞いて、なるほどと思って。
でも若干変な人って思われる、あれは。
リスキー、リスキー。
でも、そうか、人ってそういうものなのかなと。
- 伊藤
- (笑)
- 大久保
- 急に不安になることはありません?
私は、この先結婚もせずに、
仕事もたぶんなくなっていき、
趣味もなく、パコ美はもしかしたら先に死んで、とか、
みんな、たぶん今私の悪口を言ってるはずだとか、
私が昨日あんな言い方したから、
たぶんあの人は私のことバカだなと
思ってるんだろうなとか、ずーっと根に持って、
家で誰とも口をきかず、
「落ちる」ときがあるんですけど、
ないですか? そういうこと。
- 伊藤
- どうかな、うち娘がいるから、大丈夫かも。
夫はいないんですけど。
- 大久保
- いえーい(笑)。やいやいやーい!
いいじゃないですか、娘さん。
老後の面倒をみてくれるというか。
- 伊藤
- そうですね。面倒みてくれなくてもいいけど、
ちょっと心強いかも。
そういう人がいるっていうだけでもね。
(つづきます)
2019-07-31-WED