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わたしのおはし 黒檀と青黒檀

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使うたびに好きになる

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今日はどんな器にしようかな。

料理を作りながら、
そんなことを考えます。
いったい今まで、何回繰り返してきたんだろう?
何千、いやもしかしたら何万回? 

同じ料理でも、
その時の気分や季節、
食べる時間帯なんかでも、
盛る器は変わるもの。

じっくり考えた時よりも、
案外、さっと手に取った器にラフに盛る方が、
いい時もあったりして。

器と料理って、
なかなか奥が深いなぁって思います。
だから繰り返しても飽きないのかな。

黒檀のお箸が我が家のテーブルに加わってから、
その奥深さが深まった気がしています。

置くだけで、その場がきりりと引き締まるのに、
持つと、やさしい。

飽きがこないどころか、
使うたびに好きになる。
もっと使いたくなる。
これって、なんだかすごいんじゃないかな、
そう思っています。

今回、新しく加わったのは青黒檀のお箸。
これがね、またいいんですよ。
どうぞおたのしみに。

タイパンツ、あのひとに着てもらいました 2・山室瑠衣さん

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山室瑠衣さんのプロフィール

やまむろ・るい
ウエディングドレス&ハンドニットウェアデザイナー。
1981年北海道生まれ。
東京にて服飾パターンを、
パリにてオートクチュール刺繍を学ぶ。
2006年よりウエディングドレスデザイナーとして、
23年よりハンドニットデザイナーとしての活動を始める。
毎日の静かでささやかな生活そのものが趣味。
豊かな気持ちで日々を生きれるような品々や作品
(音楽や本や絵)に囲まれることを大切にしている。
「たまに海外旅行をして次の生活拠点の場所や
物件を探すのもひとつの楽しみです」
「ほぼ日」では連載「編む人。」にも登場。

●Instagram


「20代は毎日のようにタイパンツを穿いていたんです」
というのは、ウエディングドレス&
ハンドニットウェアデザイナーの山室瑠衣さん。

最初に買ったのは、
タイの「ど派手」な柄のものだったとか! 
今の山室さんからは想像がつかないけれど‥‥

「Tシャツやタンクトップと合わせて、
ユニフォームのように着ていました。
それこそ、穿いていないと落ち着かないくらい」

その後、好きが高じてそのタイパンツからパターンを取り、
素材を変えて(中にはシルクのものもあったとか)、
ご自分で何枚も縫われたとか。

擦り切れるくらい穿き倒したタイパンツでしたが、
30代を迎え、
突如、山室さんの中でミニスカートがブームに。

「ミニスカートを穿くのは今しかない、って思ったんです。
タイツに、ぴたっとしたニットを合わせて」

だからタイパンツを穿くのは久しぶり。

「久しぶりに穿いたら、
やっぱりいいなと思いました」

最初に穿いてもらったのはホワイトのタイパンツ。
「厚手のものと違いリネン素材は落ち感があって、
シルエットがエレガント。
ジャケットとも合いそうです」

合わせたのは、ご自身作のニット。

足元はローファー。
タイパンツからちょこっとのぞく靴下や、
首元に巻いたスカーフが効いています。

トップスを黒に変えると、
またイメージが変わります。
赤いスカーフとサンダルが、これまたすてき。

スカーフはヴィンテージのものや、
ブランドものをえらぶことが多いとか。
「空港の免税店でもチェックするんですよ」と山室さん。

古着屋からブランドの免税店まで。
山室さんのお眼鏡にかなったスカーフは、
どれも彼女らしいものばかり。
すごくよくお似合いです。

「秋冬のコーディネートも考えてみました」
といって着てくださったのは、
友人のブランド「BYT (ブイト)」の赤いニット。
「ゆとりのあるタイパンツには
ぴたっとしたシルエットが合うと思って‥‥」

ウェスト部分でくるっと巻いたリボンと、
タイパンツのリボンがかぶっても、
けして野暮ったくならないそのセンス。
華奢だからこその着こなしも憧れます。

立ち姿も美しい。
エスニックなイメージのタイパンツですが、
リネンの素材と、着こなしで洗練された大人のパンツに。

続きまして、
初秋の着こなし。
合わせたのはもちろんご自身のニット。

リネンだからといって、
夏だけのものにしておくのはもったいない。
一年中穿けると思うと、
ホワイトとブラック、両方欲しくなっちゃうなぁ‥‥。

「集中するのが好き」という山室さん。

編み物は、
仕事でもあり、気分転換でもあり、
また瞑想に近い感覚でもあるのだとか。

通りがかるたびに中はどんな感じなんだろう? 
と気になっていた、
都心のヴィンテージマンション。

好きな空間に好きな家具。
すっきりさせるところはさせて、
気に入りは上手に見せる。

着こなしも、住み方も、
そして山室さんが作り出すニットも、
どこか一本、筋が通っていたのでした。

タイパンツ、あのひとに着てもらいました 1・料理家 冷水希三子さん

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冷水希三子さんのプロフィール

ひやみず・きみこ
料理家/フードコーディネーター。
レストランやカフェ、料理旅館などへの勤務を経て独立。
季節素材を生かした料理が評判で、料理教室は常に満席。
著書に『ONE PLATE OF SEASONSー四季の皿』
(アノニマスタジオ)
『ハーブのサラダ』(アノニマスタジオ)
『さっと煮サラダ』(グラフィック社)
『スープとパン』(グラフィック社)など多数。


「タイパンツ」と聞くと、
ついエスニックなものを想像してしまいますが、
今回作ったのは、
ふだんの私たちのワードローブにぴたっとくる、
大人っぽいタイパンツ。

素材も、以前販売したインディゴのコットンから、
白と黒のリネンに変わり、
より洗練されたイメージになりました。

ふだん、パンツをえらぶことが多いという、
料理家の冷水希三子さん。
彼女だったら、
どんな風に穿きこなしてくれるだろう?
ご自宅にうかがうと‥‥

あれ? もうすっかりご自分のものになっている! 
やっぱり似合うと思ったんです。

「家着でもなく、フェミニンに寄りすぎてもいない。
すごくバランスいいですね」
と冷水さん。

少し厚手のリネンは、
リラックス感がありながらも、
合わせるものによって、
きちんとした印象にもなる。

ゆったりしていながらも、
穿くとスッとして見える。

その言葉通り「バランスいい」んです。

華奢なイメージの冷水さんですが、
「いえいえ、ふつうにウェストはしっかりあるんですよ」
(そうは見えないけれど‥‥)。
でも「しっかりある」人でも、調整が効くので大丈夫。

冷水さん、今日はTシャツをインにして
ベストを重ねました。

ベストからちらりと見えるTシャツの白。
きゅっとまとめた髪にキャスケット。
サンダルから覗く素肌の分量。
シルバーのブレスレットとゴールドのリング。

一見、シンプルなんだけれど、
じつはいろんな仕掛けがある。
一口、食べると「お!」と思う、
冷水さんの料理とおしゃれ、
なんだか共通点があるんです。

白のパンツに白いシャツを。
黒とはまた一味違って、
すっきりきれいな着こなしです。

「じつは、Tシャツだけにしようと思っていたのですが、
鏡を見て、何か足した方がよさそうだなと思って、
シャツを重ねました」

今の家のオーナーは、
ファッション関係の方。
家にはなんと4枚もの全身鏡があるのだとか。

「前の家には小さな鏡しかなかったので、
ここに住むようになって、客観視できるようになったかも」

ここ数年で着る服が変化してきたという冷水さん。

「前は、ふわっとしたシルエットのものを
えらぶことも多かったけれど、
なんだか似合わなくなってきて‥‥
襟ぐりの開いたものだと心許なくて、
襟つきのシャツをえらんだり」

ほとんど履かなかったというスニーカーも、
最近、出番が多くなってきたんですって。

さて穿き心地はどうでしょう?

「すごく穿きやすいですね。
それから動きやすくもある。
今の季節はもちろんだけれど、
冬はニットを着てもよさそう」

Tシャツやストローハットと合わせたら夏仕様。
ニットと合わせたら冬仕様。
合わせるものによって、一年中着られる。
冬のパンツ姿もきっとすてきに違いありません。

えらぶ服が変わってきたように、
料理も、えらぶ器も
少しずつ変化をしているという冷水さん。

いつか、料理や器の話も、
聞かせてもらいたいなぁ。

タイパンツ、こんなコーディネートで 伊藤まさこ

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ベーシックで、
合わせるものをえらびません

quitan LINEN NAVAL THAI PANTS(BLACK)/quitan
HALF SLEEVE BOXY TEE(White)/ALWEL
サンダル 伊藤まさこ私物

着ていて楽なのに、きれいに見える。
これ、私が思う服の理想。

無理はしたくないけれど、
だらしなく見えるのはイヤなんです。

以前、コットンのデニム素材でご紹介したタイパンツ、
今年はリネン素材に変えて作りました。
何人かの方に穿いていただきましたが
(もちろん自分でも)、
リネン素材はシルエットがやわらかく、
着た人をやさしい雰囲気に見せてくれる。

ここではTシャツと合わせていますが、
じつはジャケットにも合うんです。
コーディネートによって
「きちんと」した感じになるところもうれしい。

サイズはひとつ。
このウェスト部分のひもを調整して、
ジャストで穿いても、または少しゆるめても。
トップスをインにするか、
またはアウトにするかによって調整も可能。

このタイパンツの形、
本当によくできていて、
みんなの体型にしっくり馴染む。
じっさい、quitanのお客様も
試着した方のほとんどが購入を決めるそう。

quitan LINEN NAVAL THAI PANTS(WHITE)/quitan
HALF SLEEVE BOXY TEE(Black)/ALWEL

透けが気になる、という方も多いホワイトですが、
ベージュ系の下着をつければその心配はなし。
今回も、試着したみんなが「大丈夫」。
そう太鼓判を押してくれました。
もしもそれでも、という方は
下にベージュ系のペチパンツを穿いて。
もしくは、あえて透けを楽しむよう、
トップスと合わせて黒い下着をつけても。

スニーカー 伊藤まさこ私物

ここではブラックとホワイトで統一しましたが、
デニムくらい合わせるものをえらばない、
ベーシックさ。
ワントーンで、または差し色を入れて。
夏ならではの着こなしを楽しんでください。

quitan リネンのタイパンツ

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コットンからリネンへ

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いつだったか、
パリでシンプルな鶏のスープが飲みたくなり、
骨つきもも肉を買って、
ことこと煮込むことにしました。

味つけは塩のみのそのスープ、
旅の疲れた胃袋にとてもやさしかったのですが、
いつもと一味違う。
なんだか洋風なのです。

隠し味に使ったネギがポロネギだったからというのが、
理由の一つ。
あとは鶏本来の味とか、
水とか、空気とか? 
そんなものが、
いつものスープを「パリ味」に仕立て上げたに違いない。

ちょっとの違いのはずだけれど、
そのちょっとで、
まったく違う方向に向かう。
思わずできたスープの味に、
うーんとうなった夜なのでした。

食い意地が張っているものだから、
ついたとえが食べものになってしまうけれど、
断言します。
「素材違いは違う服」なのだということを。

同じ形でも、
素材が変わるだけで、
こうもイメージが違うのか。
そう感じたのは、
今回ご紹介する、quitanのタイパンツ。

インディゴのコットンから白と黒のリネンへ。
できあがっていくにつれて感じた、
おおっと驚くばかりの変身ぶり。
服っておもしろいなぁと思うのは、
こんな瞬間です。

鉄のお皿、わたしの使い方 伊藤まさこ

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洋でもなく、和でもなく

ふだん、我が家ではこんな風にキャンドルを置いています。
立ち上がりがあるので、
木のテーブルに置いても、
熱が伝わりにくいんです。

大きい方にはキャンドルを、
小さな方にはマッチを置いて。

今回、作っているところを見せていただきましたが、
素材としての「鉄」と、
おふたりの作業によってできあがる「鉄の作品」とでは、
まるで違う雰囲気。
無骨な素材ながらも、
私たちの家の中にすんなり溶け込む作品に
しあげているのはさすがです。
この表面の美しさ! 

キャンドルを置かずとも、
こんな風に2枚を並べて、
鉄の風合いを楽しむことも。

リネンのカーテンや木のテーブル、竹のかご‥‥
ふだん見慣れた暮らしのなかの様々なものを、
鉄の黒が引き締めてくれる。
これはうれしい発見でした。

ピアスや時計、サングラス‥‥
帰ってきたら、まずはここに置いて。

身の回りのこまごましたものの置き場所を、
作ってあげると、
「あれ? どこにいったっけ?」なんてことになりません。

鉄のお皿の小さい方に、
クッキーとコーヒーを。

鉄と焼き菓子、
鉄と木。
黒と茶色は好相性です。

洋でもなく、和でもない、
シンプルな鉄の皿は、
和菓子を置いてもいい。
ここではハランを一枚、間に挟みました。

お皿の底に立ち上がりをつけたのは、
「持ちあげやすい」という理由もあったけれど、
テーブルとの間に少しだけ影が生まれるところもいいなと思ってのこと。
横から見た様子も、
スッとしていてきれいでしょう?

もっと暮らしに鉄を

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伊藤
お皿について、
もうすこし聞かせていただけますか。
どうして鉄でお皿をつくろうと? 
神宮寺
鉄のお皿は絶対に割れないからなんです。
けっこう、わたしたち、陶磁器を割っちゃうので
「お皿で鉄があったらいいね」って。
あと鉄ならではの模様がカッコいいので
「これを見てもらいたい」っていう気持ちもありました。
伊藤
模様をそろえるのが大変だとか。
片岡
難しいんです。
焼き具合で全然違っちゃうんで。
伊藤
そうか、この焼き具合で。
片岡
そうなんです。
焼きがあまいと、
ツルツルが残っちゃったり。
伊藤
元になった原料を拝見してから、
できあがったお皿をながめると、
作品性の高さが理解できました。

▲完成品(左)と加工前の原料(右)

片岡
模様は、真っ赤になって、表面が酸化して
はがれるんですが、その具合です。
全然、模様が変わってくるんです。
火のあたり具合で変わるんですよ。
神宮寺
それも石炭だからこそ、出る模様なんです。
片岡
あったまり方が違うと、
はがれ方が全然また違うので。
伊藤
バーナーだと? 
片岡
バーナーだと出ないです。あの感じは。
伊藤
そっか。
どれくらいの時間で、
あの1枚ができるんですか?
神宮寺
うまくいけば、
小っちゃいのだったら、最初の形をつくるのは
5分くらいでしょうか。
脚をつけない状態で、ですけれど。
片岡
でもそこから平らな加減を直したりで、
時間をとっちゃうんですけど。
伊藤
へぇ。大きさですが、
大小がありますね。
神宮寺
いろんな大きさがあったほうが、
使い勝手がいいと思って、ですね。
伊藤
ふたりはどんなふうに使っていますか。
神宮寺
そのまま食材をのせたり。
片岡
クッキーを出したりするときにも。
伊藤
キャンドルとか? 
神宮寺
そう、小っちゃいのは
キャンドルを想像してつくりました。
あと、ピアスを置いたりするのにも。
片岡
玄関でカギを置いたりとか。
「ちょっと置く」ぐらいが、
すごくいいんですよ。
伊藤
テーブルに直接置くのではなく、
何かほしい、っていうときってありますよね。
片岡
そう、そうなんです。
伊藤
置き場があるとうれしい。
そっか、そうですよね。
片岡
それぐらい気軽に、
鉄を生活に取り入れてもらえたらいいな。
伊藤
鉄、使うと良さがわかりますよ。
ところで今回のお皿は
「蜜蝋仕上げ」にしていただきました。
神宮寺
はい。日常生活で
雑貨としてお使いいただくことを想定して、
錆の防止に塗っています。
伊藤
蜜蝋を塗るのはたいへんなんでしょうか。
片岡
いえ、蝋が溶けるのが60度ぐらいなので、
鉄がそれぐらいまで冷めてきたら蜜蝋を塗って、
ちょっと余分な分を拭きとるだけです。
伊藤
蜜蝋なので自然と薄くなったりしますよね。
もし部分的に、蜜蝋が取れて、
錆(さび)が出てきたら‥‥?
片岡
もし、部分的に錆びてきたら、
錆をこすって取ってください。
直火でちょっとあっためてから、
植物系のオイルを塗り込んでもらえればいいですよ。
あたためるときはガスコンロで。
直に持つと熱くなりますから、
トングで持って炙ってもらえば。
伊藤
蜜蝋仕上げだと、60度で溶けるから、
お皿といっても熱いものを置いたらだめですよね。
片岡
はい。
伊藤
水っぽいものは避けるとか?
神宮寺
水というより、酸系に弱いですね。
レモンとかは、けっこう酸が強いので
錆が進行しちゃうんです。
それでも、使ったら、すぐ拭きとれば大丈夫。
できればレモンを置きっ放しにしないでくださいね、
というくらいです。
伊藤
なるほど。
お手入れもさほど難しくないですね。
片岡さん、神宮寺さん、
今日はありがとうございました。
来てよかったです。
片岡
こちらこそ、ありがとうございます。
神宮寺
ありがとうございました!

石炭がやわらかさを出す

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伊藤
今は、どんなふうにお仕事を? 
片岡
基本は受注生産です。
知り合いづてで、っていう感じです。
伊藤
軽井沢の須長さんたちとは、
どんなご縁だったんですか。
神宮寺
軽井沢で工務店をなさっている大工さんに
紹介してもらったんです。
「ここで展示会をやりなよ」みたいな感じで、
須長さんのお店を教えていただきました。
片岡
その大工さんは、
表札とか、金物が必要になると、
私たちに依頼をしてくださるんですよ。
伊藤
そうなんですね。
ふたりが考える以外で、
「こんなものをほしい」っていう依頼で、
驚くことはありますか。
神宮寺
うーん? なんだろう?
片岡
基本が受注生産なので、
お客さんと何回かやりとりをして、
デザインを最終決定するので、
すごく驚くことはあまりないかもしれません。
伊藤
じゃあ、なんでも、つくれるということ? 
鍛冶場の中も全部つくったとおっしゃっていたので、
とても驚いたんです。


神宮寺
排気・排熱の三角形の部分は自作です。
といっても溶鉄で板をくっつけるだけなんですよ。
伊藤
「くっつけるだけ」って!(笑)
片岡
中二階はこれからつくる予定です。
伊藤
すごいです。
ここに越してきてからは、何年に?
神宮寺
今、ちょうど1年ちょっとです。
片岡
前の工房に3、4年いまして、
ここに越してきて1年と少しですね。
伊藤
やっぱり、ふたりで。
ふたりじゃないと、
できないこともあるんですよね、きっと。
神宮寺
ありますね。
片岡
ひとりでできることでも、
ふたりのほうが早くできるんです。
伊藤
鍛冶作業の「相打ち」でしたっけ、
熱いうちにふたりで交互に打つ作業は、
ふたりのほうが早いですよね。
その迫力に驚きました。
もちろん表情も真剣で。
片岡
ははは。怖いですよね。
伊藤
ちょっと間違うと大けがしちゃうでしょう? 
大変な仕事だなと思いました。しかも素手だし。
神宮寺
でも、ケガって、そんなにしないんですよ。
伊藤
そうなんですか! 
片岡
もし目に入ったりしたら怖いですけど、
ふだんは‥‥ちょっと、やけどとか、
そのぐらいですから。
神宮寺
手を切り落としちゃうとかはないので!
片岡
木工のように、回転のこぎりのような
大きな機械を使う仕事のような怖さはないんですよ。
伊藤
ええぇぇ‥‥! 
神宮寺
使う道具も、手で持てるものがほとんどですし。
伊藤
そうなんですね。意外だったのは、
石炭に水を使うこと。びっくりしました。
神宮寺
水を使ったほうが、
燃え方がいい感じになるんですよ。
伊藤
水を入れてから混ぜていましたよね? 
あの加減で火の燃え方が? 
神宮寺
はい。新しい石炭を、一回、蒸すんです。
伊藤
あ、蒸すんだ?!
片岡
そのままだとどんどん燃えていっちゃうんですが‥‥。
神宮寺
周りで燃えている石炭に水をかけて、
中心に置いた新しい石炭を蒸していくと、
だんだん余分なものがなくなって、
煙があまり出ずに、高熱になるんです。
伊藤
そこは経験しないとわからないことなんでしょうね。
水の混ぜ方やら、燃えているどの場所にくべる、
みたいなことは。
神宮寺
なんとなく感覚で共有していますね。
お互い、やり方も違うと思うんですけど。
伊藤
違うんですか、やり方。
片岡
感覚的なことですね。
自分がやりやすいやり方を
それぞれ、持っているということですね。
伊藤
火をつけて、バーナーを使うのかと思ったら、
空気を送るだけっていうことにも驚いて。
すごくシンプルなつくり方なんだなと思いました。
片岡
たしかに石炭を使っている人って、
今、なかなか、いないかもしれません。
神宮寺
あまり聞かないよね。
伊藤
普通はどういうものを?
神宮寺
普通、ガス炉とか、
コークスですね。
片岡
コークスは骸炭(がいたん)とも言って、
石炭を一回乾留(蒸し焼き)して
炭素だけを燃料として残したものなんです。
純度の高いものなので、
コークスを使うとゴミがあんまり出ないんですよ。
伊藤
うんうんうん。
でもおふたりは、石炭を使う? 
神宮寺
石炭が鉄をいちばんあっためられる感じがして、
芯まであっためられる感じというのかな。
伊藤
じゃあ、鍛冶屋さんによっていろいろなんですね。
片岡
やり方がそれぞれですね。
わたしたちが習ってたのが石炭だったんです。
伊藤
慣れていた素材。
片岡
慣れていたし、
やっぱりいろいろやってみたけど‥‥。
神宮寺
石炭でやるのが一番楽しいね、と。
片岡
鉄が柔らかくなるんですよ。いちばん。
伊藤
不思議! 熱源でそんなに違うんですね。
片岡
石炭であたためた鉄は、粘土みたいになりますよ。
伊藤
さっき見て驚きました。
こんなに柔らかくなるものなんだって。
神宮寺
ガス炉であっためると、
けっこう硬い感じになっちゃうんです。
片岡
表面はよくあったまるんですけど、
芯まで行くのに時間がかかるんですよ。
周りが先に溶けちゃって、芯が残る。
石炭は、あっためるのに時間がかかるんですけど、
ゆっくり、じっくり、
芯までちゃんと全部があったまるんです。
伊藤
ちょっと違うかもしれないけど、
薪ストーブの部屋にいると、
体が芯まであったまる、
そういう感じなのかな?
片岡
鉄にとっても、そんな感じなんだと思います(笑)。
伊藤
ちょっとわかった気がします。
おふたりには、これから、
つくってみたいものはありますか?
神宮寺
いっぱいあります!
伊藤
いっぱいある? ふふふ。
片岡
なんでもつくりたいです!
専門家の人のアドバイスをいただければ’
薪ストーブにも挑戦してみたいですし。
熱の循環や排気の構造について
勉強不足なものですから、
すぐにつくることはできないんですけれど。
神宮寺
おっきいものも、つくってみたいです。
それこそ、門扉とか。
片岡
今扱っているより、もっと太いもののとか。
伊藤
わたしの知り合いに、
リノベーションで猫のための柵を
つくったかたがいるんですが、
「そうか、つくれるんだ!」と思って。
そうですよね、なんでもできますよね。
神宮寺
はい、なんでもできるんです。
ふたりとも猫を飼っているので、
ネコグッズはとっても興味があります。
片岡
まさにそういう柵とか、
キャットタワーみたいなものとか。
神宮寺
そう、カッコいいキャットタワーを
つくってみたいな。
なんでも、という意味では、
家具とかもけっこうつくっていますよ。
テーブルとか、椅子とか。
片岡
テーブルは脚を鉄でつくり、
天板を木で別注するとか、
椅子も革を張ったらかわいいだろうなとか、
妄想はふくらみます。
伊藤
そっか、鉄と異素材の組み合わせもできますよね。
片岡
今度、9月に「lagom(ラーゴム)」で
また展示会をやらせてもらうんですけど、
今度はワークショップを開きたいなと思っているんです。
伊藤
ワークショップ、たのしそうですね。
片岡
小っちゃい炉を持って行き、火を炊いて、
小っちゃいお皿かS字フックのようなものを
お客さんといっしょにつくれたらって思ってます。

鉄に魅かれて

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伊藤
わたしがおふたりのことを知ったのは、
軽井沢の須長檀さんのところで、でした。
昨年の秋、軽井沢の「lagom(ラーゴム)」という
お店でおふたりの作品を初めて見て、
鉄の平たいお皿を買ったんです。
家で使っているうちに、
「裏面に、ちょっと立ち上がりがあった方が良いかも?」
と思い、連絡をさせていただいたんですよね。
「今から、脚をつけていただくことは出来ますか?」って。
神宮寺
はい、そうでしたね。
ありがとうございました。
最初はぴたっとテーブルにつく仕様だったんですが、
ほんのちょっと、浮かせたいと。
伊藤
そうなんです。
ちょっと立ち上がりがあると、
なんて言ったらいいんだろう‥‥、
テーブルとこのお皿との間に
ほんの少しだけ光が入るでしょう?
その姿が、いかにも鉄の道具、というよりも、
より、うつわに見えるんじゃないかなって思ったんです。

神宮寺
脚がちょっとつくだけで雰囲気が変わって、
私たちも、「たしかに!」ってなりました(笑)。
伊藤
それが今回「weeksdays」で販売をさせていただく
鉄のお皿の原型になりました。
片岡
鉄のお皿がお部屋にある感じは、
いかがでしたか?
伊藤
部屋に黒くて硬いものがあると、
引き締まる気がするんです。
部屋には木のものが多いですし、
金属のものは部分的にしかありませんが、
そんな中に、ちょっとだけ異質な
「硬いもの」が入るといいなと思っているんです。

神宮寺
そうなんですよ。
金属の中でも、鉄って、素材の力が強いんですよ。
空間にちょっとあるだけで、
存在感がありますよね。
伊藤
だから「少し」でいいんですよね。


伊藤
ところでこの建物は、
ほかの作家のみなさんとの
共同スペースなんですよね。
片岡
そうなんです。
よく使っているのは私たちですけれど。
伊藤
ほかには、どんな方がいらっしゃるんですか。
片岡
彫刻、絵画、陶芸のかたも。といっても、
ふだんここで制作をしているのは陶芸のかただけで、
彫刻と絵の人は、倉庫としてお使いですね。

▲工房で見せていただいた作業の様子。

伊藤
今日、おふたりの作業の様子、
見せていただいてよかったです。
神宮寺
ありがとうございます。
片岡
遠いところまで、来ていただいて。
伊藤
広い場所がないとできないですものね。
片岡
音、そして煙がけっこう出るので、
作業場所を探しても、条件が厳しくて。

伊藤
そうですよね。おふたりは、
そもそもなぜ鉄を扱おうと思ったんですか。
片岡
私は高校で金属加工の勉強をしたんです。
でもその学校には鉄がなくて、
基本は銅板の鍛金をずっと。
高校卒業を前に就活をするなかで、
銅と鉄を扱っている会社があって、
そこにインターンで行かせてもらった時、
初めて鉄を触らせてもらいました。そうしたら
「わたし、銅じゃなくて、鉄だ!」って。
伊藤
鉄だ! ‥‥と。
片岡
そこから、鉄が扱える就職先を探しつつ、
教えてもらえるところがあったらと考えていたら、
専門の先生を紹介していただきました。
ちょうどその先生が教室をなさっていたので、
勝手に押しかけて(笑)。
それが私たちの鉄の師匠にあたる人です。
伊藤
教室というのはどんなことを?
片岡
鍛造の教科書があって、勉強するんです。
実技では先をとがらせるところからはじめ、
鍛接といって、鉄と鉄同士を
あっためてくっつけることですとか、
そういう勉強をさせてもらいました。
先生は、その教室を、個人でなさっているんですよ。
もともとはスペインで
ずっと活動をなさっていたかたなんです。
神宮寺
私も同じ先生のところに行っていました。
そこで片岡さんと出合ったんです。

伊藤
そうだったんですね。
神宮寺さんは、その先生のところに、なぜ行こうと? 
どうして鉄だったんですか。
神宮寺
わたしは、美大ではないんですけれど、
大学で美術を勉強していて、
教授がその先生と知り合いでした。
大学にその先生をイベントで招いたとき、
鉄に触れ、ハマってしまいました。
魅せられたんですね。
片岡
先生が「魅せる」人なんですよ。なんだか。
形に厳しい人ですが、
すごくたのしそうで、世界観もあって。
ワークショップ用のテントも
全部自分でつくってしまうような方なんです。
伊藤
テントまで?! 
片岡
それが、またすごく雰囲気があるんですよ。
伊藤
でも、普通に考えると、
鉄を扱うというのはかなりの力仕事で、
しかも危険を伴いますよね。
ものづくりにもいろいろある中で、
「なぜ鉄だったんだろう?」と不思議で。
女性の多い現場だとも思えないですし‥‥。
片岡
ところが、その先生のところには、
私たちの先輩にあたる女性の鍛冶屋さんが、
いっぱい出入りしていたんです。
伊藤
え?! 女性の先輩の鍛冶屋さんがいっぱい?
片岡
はい。その工房はけっこう女性が多く、
というか、先生以外はほとんど女性でした。
だから「ああ、女の人もいるし、楽しそう」って。

伊藤
その先輩たちは、みんなお仕事として? 
片岡
はい、仕事にしてる方がほとんどでしたね。
伊藤
みなさんは、どんなものをつくっているんですか。
片岡
基本は建築金物が多いですね。
柵とか門扉とか。
片岡
ドアの取っ手とか。
小物では釘とかフック。
自分で作ったものをイベントに出したり、
受注生産でつくっていたり。
伊藤
なるほど。
先輩のみなさんも、それぞれ、
こんなふうに鍛冶場をつくって
作業なさってるんですよね。
神宮寺
はい、でも、先輩たちに比べ、
私たちの鍛冶場、けた違いに大きいんです(笑)。
ほんとはここまでの広さは要らないんですよ。
伊藤
でもここはとても使いやすそうですよ。
作業を拝見して
「鉄は熱いうちに打て」
ということわざの由来がわかりました。
片岡
そうなんです。
そこに魅せられちゃったんです。私たちも。
伊藤
それぞれ鉄に魅せられたおふたりは、
どういうきっかけで一緒に活動することに? 
神宮寺
その教室に、わたしが後輩で入ったんです。
そして生徒として、最後に残ったのが
私たちふたりだったんですよ。
片岡
さらに先生が工房を引っ越すっていうタイミングで、
ふたりとも「卒業」を言い渡され。
伊藤
(笑)
片岡
「どうする? 叩くところ、どうする?」
っていう話になって。
伊藤
たまたま残ったふたり、
ということもあるでしょうけれど、
ふたりとも仕事にしようと、
教室に通いながら、思っていたんですよね。
ふたりで一緒に、ということとは別に。
片岡
それぞれ、思ってました。ずっと。
自分の工房を探さなきゃなっていうタイミングが
たまたま一緒になったんです。
伊藤
「じゃあ、一緒にやる?」みたいな。
神宮寺
はい。
片岡
道具から、揃えるのが大変なんです。
それで一緒に探そうと。
伊藤
すごいですよね、お金もかかるし。
もともと、このあたりにはご縁が? 
片岡
いいえ、いろんなところに探しに行って、
たまたま、ここが見つかりました。
伊藤
おふたりの物件探しは、すんなりと?
片岡
ここの前に、同じエリアの、
もう少し駅寄りの場所で始めたんです。
長屋みたいになっている工房を、
イベントで知り合った人に紹介いただいて、
「1部屋、空いているからどうですか?」と、
そんなご縁で、始めました。
伊藤
ご近所の人とか、
「何やってるの?」って見に来たりしそう。
片岡
来ます! 
神宮寺
いまもそうですよ、フラッと。
片岡
鉄を叩いていると、気がつかないんですよ。
びっくりしますよ、
急におじさんが立ってるんです。
「え?!」みたいな。
伊藤
普段の生活で聞きなれない音だから、
「何してるのかな」っていうお気持ちで
覗かれたんでしょうね。
片岡
中には、私たちの仕事を理解して、
「これ、溶接してくれない?」とか、
「ちょっとここ、直してくれない?」
みたいな依頼も来ますよ。
「ゲートボールのゴールが取れちゃって、
溶接してくれないかな」って。
伊藤
そっか! 
片岡
隣の畑の人が、
「鍬のここが壊れちゃったから」ということも。
伊藤
壊れたらもうおしまいって考えがちだけど、
考えたら、鉄なら、直せるんですものね。
そんなとき、鍛冶屋さんがあったら。
神宮寺
溶接ができますからね。

鉄のプレートとリネンのエプロン

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家のなかに好きなものを

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今年の春、
「家のなかのこと」と題して、
展覧会をしました。

「パルコの展示会場で何かしてくれませんか?」と
持ちかけられた時に、
まっさきに思いついたのが、
その名の通り「家のなかのこと」だったのです。

もともと家にいること、
そしてその中のあれやこれや。

つまり、
料理をしたり、
ベッドリネンを整えたり、
家具をえらんだり‥‥
は好きだったけれど、
この3年もの間に、
その「好き」という気持ちがさらに
強まったような気がしています。

「家の中には好きなものしか置かない」

なににも振り回されない、
そんな強さが。

時に、頑固ともとらえられることもありますが、
まあいいではないか、自分の家なんだし! 

年を重ねたからこその、
この心持ち、なかなかいいです。
気が楽で。

今週のweeksdaysは、
「家のなかのこと」の展示にならべた鉄のお皿と、
リネンのエプロンをご紹介。
展覧会に足を運べなかった方も、
また、あの時、見たけれど買わずにいたという方も。
どうぞこの機会に。

つくりつづける

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伊藤
今回のピアスとブレスレット、
とっても軽いんですよね。
木村
ブレスレットの長さは、
「weeksdays」のみなさんで
試していただいて、決めましたね。
伊藤
どの部分を手前にするかで
つけたときの表情が変わるんです。
木村
はい、ベルトの部分の方向を変えることで
全体のサイズが変わります。
伊藤
長いほうを折り曲げるか、
短いほうを折り曲げるかで、
一周の長さが変わるので、
タイトな感じにも、
ゆったりした感じにもなる。
──
ちなみにこれ、
ビーズの輪っかに通すときのコツってありますか?
木村
丸カン(輪っか)が硬いんですよね。
ギュッとつぶして通していただいて大丈夫です。
通して、手を離すと、また開くので、
それで外れにくくなりますよ。
これはFUAが特許をとっている
丸カンのデザインなんです。
伊藤
ボタンホールステッチみたいな感じですね。
木村
そうですね。
金属をできるだけ使わないものにしようと
考えたものです。
あとこちらがピアスになっています。
──
これが最初に伊藤さんが発想した
「グルグル」ってした感じが生かされていますね。
伊藤
嬉しいです。
淡水パールが中にチラッと見えるんです。
でもほんとにチラッとだけ。
木村
編んだビーズの隙間から見えるんです。
伊藤
FUAのみなさんの評判はどうでしたか?
木村
みんな「ほしい!」と。
ちょうど今パーツをつくって組み立てるところの作業を
みんなで進めているんですけれど、
糸をつかむのにちょうどいい角度になるよう、
みんなそれぞれに斜めに爪を伸ばしてるんです。
木村
糸を把持するっていうか、
ギュッて止めないと、
糸がこぼれていって編めないんですね。
なのでビーズもこの爪でたぐり寄せて、
爪を織り機のシャトルのような感じで
編んでいくんです。
ちょっと変な爪なんですけど、
これが大事な仕事の道具になっています。
伊藤
スタッフのみなさん、
もともとそういう細かな手作業を
お仕事としてやってらっしゃった方が? 
それともそういう資質のある方が来て勉強していった?
木村
全く何も知らない方が半分いますが、
習得に3年かかりました。
もうその間は、10個つくったら
やっと1個、採用できるという感じで‥‥。
お互いそれも切ないんですけれど。
その中に素養のある方が数人いらっしゃって、
その方々が先に進んでまだできない人に
教えてくださったり。
初めての編み物がこれ、という人もいて、
そういう人は、これしか編めないんです。
伊藤
高度な技術を最初から! 
でも興味があったってことですよね。
木村
いえ、興味はなかったんです。
というのも、仕事として割り切ってくださる方に
来ていただきたくて。
FUAというブランドに興味のある方はお断りしました。
とにかく仕事として同じことを
ずっと続けていただける方の中から、
人柄とかフィーリングが合うっていうことで
選ばせていただいたんです。
伊藤
同じことをずっと。なるほど。
木村
はい、苦しいことを淡々とやれる方が。
伊藤
ブランドの運営には、
最初からの方が1人いらっしゃるとか。
木村
はい。その方はグラフィックデザイナーで、
その方がされていたお店に、
私がふらっと立ち寄ったところから
出会いが始まるんですけど。
「アクセサリーは金属しか買わないよ」
って言ったのが、その方なんです、実は。
伊藤
そうなんですね! 
ひょっとして、今も、厳しく? 
木村
そうなんです。今も
「こんなの買いません」って言います。
厳しいです。
ずいぶん気を遣いながら
言ってくださるようになりましたけど(笑)。
社内には「これじゃぁちょっと誰も買わないかな」とか
「私はつけたくないな」とかいう方が
2人ほどいるんですけれよ。
伊藤
大事ですね、でもね。
木村
「仕事がうまく行きすぎていた」というときが、
実は私にあったんですけれど、
そのときは、つくり手としては、
何も生まれなかったんです。
伊藤
うまくいってるときって、
つくったものすべて売れるし、
ブランドの成長をみんな褒めてくれるしみたいな、
そういうことですよね。
木村
そうです、何をつくってもきちんと売れて。
伊藤
そのときにそのまま「よし、もっと同じものつくろう」
じゃなくて、「あれ? 新しいものを、つくっていない!」
って思うんですか。
木村
そうなんです。絶対に、こんな時期はもうすぐに終わるって
常に思っていました。
伊藤
ますます、FUAには
厳しいことを言ってくださる方の存在が大事ですね。
そういう助言というか、ダメ出しは、
木村さんは素直に受け止めるんですか。
木村
はい、もう間違いないと信じているので。
伊藤
木村さんは、きっと「つくること」が好きなんですよね。
木村
そうですね。
伊藤
「売る」っていう作業ももちろん大事だけれど‥‥。
木村
幸い私がこれしかできないんです。
元々看護師なんですけれど。
伊藤
うん、‥‥えっ?!
看護師さんだったんですか。
木村
そうです(笑)。看護師を20年続けていて、
産休をとったとき、編み物を趣味でやっていた。
産休があけて保育園を続けるためには
看護師に戻らないといけないのが嫌だったんです。
それで事業主となろうと。
伊藤
おもしろいです。
木村
けれど編み物以外ほんとに何もできない。
それはちょっと自分でも生きづらいというか(笑)、
けれどもそれをみなさんがカバーしてくれている感じです。
もうこれ以外はできないので、
大きく取り上げられるとちょっと困るという感じで、
今は生きております(笑)。
伊藤
たしかに大量生産ができないですものね。
職人さんを育てるのに1人3年かかって、
機械化は当然できないわけですし。
根気のいる作業ですね。
木村
けれど、朗らかな方ばかりなんですよ。
笑いながら編んでくれ、笑いながら納品してくれる。
すごくほんとにこの子たちが生きるっていうか、
FUAのアクセサリーにはその「機嫌のよさ」が
宿っている感じが、なんとなく、しているんです。
伊藤
料理もそうですものね。
つくり手の機嫌が、味にそのまま出ます。
みんなから、聞いておきたいことはありますか?
──
ハイ! FUAのアクセサリーは、
使っている人に寄り添って
育っていくというか、
変化していく印象がありますね。
ちょっとやわらかくなっていくというか。
木村
はい、衣類と同じように認識していただけたら。
やっぱり編み物ですから。
伊藤
どんなふうに変わるんですか?
木村
まずは柔らか~くなります。
伊藤
へぇ~。
木村
編みたてはもうシャキーン! ピッチー! 
ってなってるんです。それが使っていくうちに。
伊藤
肌に馴染んでいくみたいな。
木村
馴染んできます。
いわば、クタッとなってきますし、
逆に言うと柔らかな風合いが出てきます。
最初に購入いただいたちょっと硬めの状態が
ずっと続くわけではない、っていうことは、
直接販売をするときに、
認識をしていただくようにしています。
あとはどうしても皮脂がついたりとかいうことはあるので、
軽く拭いていただくとか、ケアをしていただくことと、
ほつれてきましたら弊社にお送りいただければ
リペアもしていますので、
そういう意味では、
長くお使いいただけるんじゃないかと思います。
伊藤
分かりました。
木村さん、今日はお話しできて
とっても嬉しかったです。
ありがとうござました。
木村
こちらこそありがとうございます。
またぜひ福岡にもいらしてくださいね。
伊藤
はい、ぜひ!

はじまりのとき

未分類

伊藤
今回、「weeksdays」で扱わせていただくもののほかに、
FUAにはいろいろなタイプのアクセサリーがありますね。
とてもかわいい三角のものもありました。
木村
「折り紙」という名前がついています。
折ってかたちを変えているんですよ。
金属との闘い、と言っていますが、
よりジュエリーとして付加価値をつけたくて。
18金やプラチナも使っています。
肌に触れるので、より安心に
お使いいただけるようにという理由もありますが、
私、「himie(ヒーミー)」の下川さん
よくしていただいてるんですけども、
「編み物がベースだけれど、よりいいものにしていきたい」
っていうことを伝えたところ、
「絶対18金を使いなさい」と助言をいただいて。
そうしたら、今は、
ちょっと金属にも少し片想いし始めちゃって。
伊藤
最初は負けないぞと思ってたのに(笑)。
木村
はい、ちょっと好きになっちゃったんです。
伊藤
でも組み合わせたら、よりステキなものが。
かわいいですよ! 
ビーズはどこのものなんでしょう。
木村
ビーズは日本のものです。
広島でつくられています。
伊藤
古いものとかではなく。
木村
そうなんです。
以前はヴィンテージのビーズですとか、
フランスのビーズも使っていたんですけれど、
肌につけるものなので、
できるだけ新しいものを
使いたかったということもあります。
ヴィンテージのビーズも美しいんですが、
「受け継いでいただきたい」
というコンセプトもありまして。
伊藤
「ここから始まる」みたいな感じですか。
木村
そうです! FUAのアクセサリーの中には
「はじまりのとき」という名前をつけたものもあり、
そういう気持ちとリンクさせたくて、
新しいビーズ、現行のものを使っています。
日本のビーズはすごくいいものなんだよ、
という気持ちもありますし。
日本のガラスビーズ、海外での評価も高いんですよ。
伊藤
とても繊細ですものね。
それにしても、近くで見ても、
何がどうなってるのかが分からないです。
すごく緻密。
こういうものって、職人のみなさんが
手作業で数をつくっていくと思うんですが、
木村さんは、その最初の指示を
いったいどんなふうにしているんですか。
洋服なら「パターン」がありますけれど。
木村
私はまず手を動かしていくんです。
伊藤
まず、手。
木村
先ほど子供のとき母に編み物を教えてもらえなかったので、
自分で想像しながらかたちをつくっていった、
と申しましたけれど、それが今にもつながっていまして。
初めはデッサンも何もせずに、ただただ手を動かして
でき上っていくんです。
その時は、わりと無でつくっていくので、
もう意識が飛んでしまうぐらいな感じです。
「ゾーンに入る」という表現がありますけれど、
そういうものに近いかも知れません。
伊藤
それが長いものになるのか、
ちっちゃいものになるのか、
ネックレスになるのかピアスになるのか、
分からないままに手を動かすんですか。
木村
そうなんです。分からないです。
伊藤
何かヒントになるものとかあるんですか? 
たとえば自然のものとか、街歩いてて、とか、
そこでひらめいたりするデザインはあるんですか。
木村
はい。たとえば時計をこうやって見たときに、
「あ、丸だ」と思う。
そこから、丸いブローチがあったらいいなぁと思う。
そういうことはありますね。
私はそんなに海外にも行きませんし、
福岡が大好きなので、いわば福岡にこもっているんですね。
福岡は景色も豊かで、森も山もあるんですけれど、
そこを見たところでそんなイメージは湧かなくて、
それよりもたとえばこの机のこの枠の、
ここがかっこいいなって思ったら、
その枠を見ながらつくってみたりとか、
そういうふうなつくり方をしています。
もう身の回りすべてがイメージの原点です。
伊藤
特別なインプットの努力をしなくても、
すぐそこにヒントがたくさんあるってことですよね。
木村
そうですね、はい。
そういう部分は、母の影響がかなり大きいと思います。
伊藤
お母様は、なぜ教えてくださらなかったんでしょうね。
「教えて」って言っても駄目だったんですか。
木村
言ったんですけど、もう「めんどくさい!」と。
あと「今はお母さんの趣味の時間だから」って。
伊藤
なるほど、その集中ぶりは、受けついでいますね。
木村
そうですね。母は趣味でやっているので、
人様に販売するなんて! っていう
ベースがあるんです。
だから「私は販売をしたい」と言ったときに、
すごく反対を受けました。
伊藤
へぇ~!
木村
「人様に購入していただくのは大変なことだよ」と。
それでも勝手にやり始めてたので、
見せて説得をして、納得をしてくれてから
母は亡くなりました。
伊藤
そうだったんですね。
お母様に販売することを反対されたとき、
お友達に「編み物のアクセサリーなんて売れないよ」
と言われた時のように、
火がついたということも、やっぱりあるんですか?
木村
ありました。反対されればされるほど! 
でも行商に行っても、
福岡であまり取り扱いをしてもらえない時期もあって。
やっぱり「編み物のアクセサリー」っていうのが
手づくりの延長というふうに見られていたんですね。
ところがそういったときに、
ついてきてくれてたんです、母が。
伊藤
なんと!
木村
お腹も大きかったですし、
ちっちゃい子供もいたので。
そんな状態で行商に行って、ぜ~んぶダメで。
それでも母と父が車で送ってくれたりして、
そういうかたちで、
認めてはくれてはいないけれど、
「やっぱり心配だから、ついてってあげるよ」
だったんでしょうね。
伊藤
いえ、それは認めてくれたということですよ。
そんなふうに、どこのお店にも置いてもらえない、
という時代から、
今、とても人気が高くなった、
その間には、何かきっかけがあったんでしょうか。
木村
母が亡くなったとき、最愛の母だったので、
「運命は、私からこんなに
大事なものを奪っていく。
だったら、必ずめちゃめちゃいいことがあるはずだ」と、
スパイラルが主催の
「New Jewelry TOKYO」に応募したんです。
末広町で、開催していた頃の話です。
その主催者が福岡に来られるのを知って会いに行き、
「これ私がつくったんです」と、
そんな感じでグイグイいって、
「じゃぁ応募してみたら」みたいな感じで。
FUAが知られるようになったのは、そこからですね。
伊藤
へぇ!
木村
その後は、伊勢丹新宿店での
イベントに呼んでいただいたり。
2012年から始めたインスタグラムに
だんだん「いいね」がつき始めて、
そんなイベントの出店にも
インスタグラムで知ったという
お客様がいらしてくださったり。
伊藤
インスタってすごいですよね。
木村
周りもびっくりしてました。
集客がそこにつながるっていう意識が誰もなかったので。
最初は、おもしろそう、
犬のこととかを発信しようかなと始めたんですが、
アクセサリーをアップするようになったら、
いろんな方が見てくだるようになりました。
でもその頃は1人でやっていたので、
生産が間に合わなくなってしまって。
それが逆に、希少価値につながったようなんですが。
伊藤
なるほど。
じゃぁスタッフが1人増え、2人増えみたいな感じで、
今はおおぜい、いらっしゃるんですよね。
木村
はい、増えていってます。
最初に私がつくった原型をもとに、
そこから編み図を引いていくんです。
伊藤
なるほど、洋服でいうと、
立体裁断して、そのあと広げて製図する、
みたいなことですね。
その編み図を職人さんに渡して、
つくっていくわけですよね。
木村
そうなんです。
伊藤
木村さんみずから、
職人の1人としても働いてるわけですよね。
今何人ぐらいでつくっていらっしゃるのでしたっけ?
木村
10名ほどで編んでいます。
もう、ほんとに凄腕の方々が来てくださって。
伊藤
そんなみなさんを、
どうやって探したんですか?
木村
求人は出したことがありません。友達の紹介で、
自然と集まってきてくださって、
みんないい方ばっかりでですね。
勉強熱心ですし。
──
拝見していて思うのですが、
意地悪なことを考えていたら、
これはつくれないと思います。
こんなきれいなものって。
伊藤
ほんと。
木村
実際、つくるときにはみなさんに、
「嫌な気持ちのときにはつくらないでください」
「落ち込んだときとかイライラしてるときもつくらないで」
と伝えています。
空気を編んでいくので、
ほんとうに、艶がなくなってしまうんですよ。
そうも言ってられない多忙なときもあるんですけれど、
できるだけフラットな感じでいてくださいと。
編み物はほんと不思議で、生き物だなぁと思います。
私も。ほんとは模様編みにもチャレンジしてみたいし、
三國万里子さんのような大作もつくってみたいという
憧れはあるんですけど、私には不向きで。
それでも自分が気に入ったものをつくれたらいいかなと。
伊藤
さきほど、さらりと、
編み図があるという話をしましたが、
かなり複雑に見えるアクセサリーにも
ちゃんと編み図があるということですよね。
それもすごいと思うんです。
木村
おっきいネックレスですとかは、
6畳のお部屋が全部ビーズの糸で
もうヘビの家みたいな感じに
糸がもうとぐろを巻いている場所で編んでるんです。
職人のみなさんには
ご自宅で編んでいただくんですけど、
部屋を1つつぶして編んでくださって。
まずビーズを糸に通すところから。
なので量産ができないんですよ。
伊藤
そんななか、「weeksdays」のために
かたちにしてくださって
ありがとうございました。
木村
こちらこそありがとうございます。

編み物をジュエリーに

未分類

伊藤
こんにちは、木村さん。
今日は福岡からお越しくださって、
ほんとうにありがとうございます。
木村
とんでもない、
こちらこそありがとうございます。
伊藤
福岡のどのあたりに?
木村
糸島寄りの市内になります。
伊藤さんも福岡には
よくいらしてますよね。
伊藤
福岡にはおいしいものもたくさんありますし、
とても好きなところなんですが、
コロナ禍のあいだ、3年ほど、
そんなに行くことができなかったので、
そろそろちゃんと伺いたいなと思っています。
木村さんには、最初、じつはわたしから、
ダイレクトメッセージでご連絡をさしあげたんですよね。
「何か一緒にできませんか」と。
木村
はい。突然のご連絡に驚きました。
もう天にも昇るような気持ちで、
みんなで万歳したんですよ。
それで「何が一緒にできるだろう」と思いながら、
時間が経ってしまいました。
ちょっと引っ込み思案なものでして‥‥。
時間が経ってしまったら、
時代は移り変わるから、
伊藤さんはどうお考えになるのかなと思いつつ。
伊藤
そうだったんですね。
それで青山のスパイラルで
催しをなさるというので、伺って。
それがたしか2019年のことでした。
片耳のちょっとおっきめなピアスを買いました。
2色だったかな。
木村
はい。そのあとでコロナ禍になり、
しばらく時間があいてしまったんです。
今回のプロジェクトを進めようと
あらためてお話をさせていただいたのは、
2022年の暮れのことでした。
最初、私が考えていたのは、
結構フサフサしたタイプだったのですけれど。
伊藤
そうでしたね。とても素敵でしたよ。
でも段々、私も年を重ねて、
もうちょっと耳にピタッとした
小ぶりのものでもいいんじゃないかなぁと
思うようになっていたんです。
木村
はい。「コロッとして、ピタッとしているもの」
とおっしゃっていました。
伊藤
それでFUAのラリエット
(留め具のない、ひも状のアクセサリー)を、
私がくるくるっとして、
「こんな印象のものがほしいんです」と。
木村
私たちのところのラリエットを結んでくださって、
「こういう感じのものを」と。
その結んだ頭のところを
昔ながらのボタンのような雰囲気で、
という話にもなりましたね。
──
伊藤さんはどのくらい
具体的なことをおっしゃったんですか。
絵を描いたりとか‥‥。
伊藤
いえ、全然具体的じゃなかったんですよ。
「ビーズ、ぐるぐる、ボタン、ピアス、
ころっと、ピタッと」というような言葉で。
あとはお任せしました。
木村さんにきっと伝わったと感じたので、
きっといいものをつくってくださるだろうと。
木村
フワッとしたイメージの中でも
昔ながらのボタンっていうのがキーワードでした。
それに「コロッとして、ピタッとしている」
というのは、私にしてみると
すごく的確な指示だったんです。
「亀の甲ボタン」という、
亀の甲羅のようなかたちのボタンをイメージしました。
そこから着想を得て、こちらを制作しました。
古着のコートのカフス(袖口)のボタンなど、
勝手にいろいろなイメージから、ふくらませて。
伊藤
素敵なピアスをつくってくださって、
とても嬉しいです。
木村さん、あらためてお尋ねしますが、もともと、
ブランド「FUA」の始まりはどんなふうだったんですか?
木村
12年ほど前に長女を出産したとき、
産休中、近所にちっちゃなお店ができまして、
そこの店主と友人になり、
私がもともとしていた編み物を、
取り扱いをしてみましょうということがスタートでした。
それは私の趣味でやっているものだったんです。
そのあとに「FUA」の名前をつけて、
だんだんと、今のようなかたちになったんですよ。
伊藤
趣味の編み物からスタート。
手を動かして何かをつくるのはお好きだったんですね。
木村
母がずっと家で機械編みをしていまして、
アーガイルのセーターとか、
すごくかっこいいのをたくさんつくってくれていたんです。
私は母に編み物を教えてもらいたかったんですけど、
絶対に教えてくれなくて!
一同
(笑)
木村
なので横から見ながら、
あぁ、こうするんだっていう感じで覚えました。
でもきちんと習っていないので、
かたちにならないんですけど、
そのかたちにならなかったことが、
多分よかったのかなぁと思います。
自分で、想像の中でつくっていったので。
伊藤
そのときは作品としては
着るものをつくってたんですか。
それともアクセサリーを?
木村
巾着袋ですとか。
レース編みでちょっと品のいい、
大事なものを入れるための袋、というイメージでした。
でも「これ、私だったら買わないな」と思ったんです。
趣味の延長のような気がしていたんですね。
それでお金をいただくのであれば、
「もっと自分が欲しいものじゃないと!」
というところで、名前もちゃんとつけて、
アクセサリーに特化したんです。
伊藤
「これなら自分でお金を出して買いたい」
と思うものが、そのときからでき始めた。
木村
そうですね。1個ずつ、でき始めて。
けれどもそのお店の友人は言いました、
「編み物のアクセサリーなんて誰も買わない」。
伊藤
厳しいお友達ですね。
木村
厳しいんですけど、一理あるなあって。
「金属のものはずっと残るからほしいと思うけど、
編み物のように儚(はかな)いものを
アクセサリーにするというのは、
そんなにイメージが湧かない」と、
消費者目線でしっかりと言ってくれたんです。
そこで火がついて。
伊藤
火が?!
木村
はい。
「いや! 編み物はきれいなものだ!」と。
だからジュエリーに寄る編み物をつくりたい、
というふうに思いました。
とにかく金属と闘わなきゃと思って。
伊藤
それでビーズを使うことに?
木村
はい。編み物として編んだとき、
金属よりもステキなものを、と。
ビーズを使い始めたんです。
最初は、手芸屋さんで手に入る糸で編んでいたんですが、
それですとやはりちょっとほっこりしたものに
なってしまうので、
もっともっと洗練されたものをつくりたいと
糸を探し始めて、京都の糸にたどり着きました。
これ、絢爛豪華な帯のための糸なんです。
伊藤
たしかに金属にはない柔らかさがありますよね。
今も、ほとんどが京都の糸なんですか。
木村
そうなんです。
銀糸、金糸といわれているものですね。
コーティングがされていて、
私が使っているものはシルバーを原料とした糸ですが、
酸化で黒くならないようにとか、
肌当たりがいいようにとか、
帯なので100年たっても色褪せないようにと、
そんな基準でつくられている糸なんです。
それですと、ほんとにアクセサリーとか
ジュエリーにはピッタリなんですね。
ただし、肌に直接つけるということを
想定してつくっていらっしゃらないので、
そこは実験しながらやっていってるんですけれど。
伊藤
たしかに肌に馴染む感じがするし、
「金属と闘える美しさ」がありますね。
やっぱり柔らかい感じがするところが
いいのではと感じます。
木村
ありがとうございます。
光が入ったときの透け感ですとか、
そういったものはやはり編み物特有です。
この透け感に魅せられたんですよ。

FUAのビーズアクセサリー

未分類

積み重ねる

未分類

昨日より今日、
今日より明日。
明日が来たら、またその先へ。

少しずつでいいから、
いい方向に進みたいと思う。

ほんのちょっとの心がけでいいんです。

たとえば、
元気よく挨拶するとか、
人のいないところでも口角を上げるとか。

毎日の小さな積み重ねで、
自分って、変われるものだと思っているから。

思えば、
仕事だって、人づきあいだって、
心がけ次第で、
いい関係が成り立つものだと思う。

目立たなくていいから、
ほんの少し努力する。
これって、ここ最近の私の心がけ。

今週のweeksdaysは、
FUAのビーズのアクセサリー。

ひとつひとつ、
小さなビーズに糸を通し、
やがてかわいらしいアクセサリーになる。
そう思うと、なんだか愛おしい。
積み重ねって大事だなぁ。

Tシャツとアクセサリー 伊藤まさこ [3]シルバーを合わせて

未分類

HALF SLEEVE BOXY TEE(White)/ALWEL
ビーズと淡水パールのピアス(シルバー)/FUA accessory
ビーズのブレスレット(シルバー)/FUA accessory

白いTシャツにシルバーのビーズのピアスとブレスレット。
Tシャツもアクセサリーも
コンテンツ2の色違いですが、
色合いが変わると、イメージはがらりと変わるもの。
白いTシャツは、清潔感があって
やわらかいイメージを出してくれるところが、
好きなんです。

Tシャツといえば、
年齢を重ねるにつれ、
もしくはある日突然、
似合わなくなったりするものですが、
不思議なことにこのALWELのTシャツは、
私にしっくり馴染む。
素材感とか、シルエットとか、
襟ぐりの開き加減とか。
そんなディテールが効いているからなのかもしれません。

ロゴの服を持っていない私ですが、
この「背中にちょこん」は大丈夫。
グレーのロゴに、シルバーのピアスとブレスレット。
ちょっと色を寄せて、
自分にしかわからないおしゃれを楽しみます。

HALF SLEEVE BOXY TEE(White)/ALWEL
シルク混タフタカーゴパンツ/t.yamai paris
ビーズと淡水パールのピアス(シルバー)/FUA accessory
ビーズのブレスレット(シルバー)/FUA accessory

原稿を書いていたら、
だんだん夏が待ち遠しくなってきた。
今年はTシャツの出番が、増えそうな予感です。

Tシャツとアクセサリー 伊藤まさこ [2]ゴールドとTシャツ

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HALF SLEEVE BOXY TEE(Black)/ALWEL
シルク混タフタカーゴパンツ/t.yamai paris
ピアス 伊藤まさこ私物

では、大振りのパールのピアスを合わせましたが、
ここではゴールドのピアスを。

リングやブレスレット、ネックレスはなし。
これくらい引き算をして、
Tシャツの素材感を引き立てます。

引き算の理由はもうひとつあって、
それが背中についたロゴ。
肌や髪の質感、ゴールドのピアス、
それからロゴがあれば、
もう他に何もいらない。

HALF SLEEVE BOXY TEE(Black)/ALWEL
シルク混タフタカーゴパンツ/t.yamai paris
ビーズと淡水パールのピアス(ゴールド)/FUA accessory
ビーズのブレスレット(ゴールド)/FUA accessory
サングラス 伊藤まさこ私物

髪をすっきりまとめて、
小ぶりのビーズのピアスにブレスレット。
仕上げにサングラスを。

このサングラス、
ニューヨークのヴィンテージショップで見つけたもの。
大げさすぎるくらいの、この大きさ、
シンプルなコーディネートに
インパクトを与えてくれるから、
好きなんです。

コーディネートは、
一番最初の写真と同じ。
‥‥なのですが、髪型、それからアクセサリーで
印象はがらりと変わる。

それを考えると、
Tシャツの着こなしって、
なんだか無限のように思えてくる。
すごいなぁ、ALWELのTシャツ!

Tシャツとアクセサリー 伊藤まさこ [1]白いTシャツとパール

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HALF SLEEVE BOXY TEE(White)/ALWEL
ピアス 伊藤まさこ私物

カジュアルなイメージのTシャツを着る時に、
私が気をつけているのが、
「素っ気なくなりすぎないように」ってこと。

気を抜くと、
部屋からそのまま出てきた‥‥ようになりかねないので、
きちんと(でも薄く)メイクをするようにしています。
それから髪のツヤも大切。
ブローしたり、オイルで補ったり。
Tシャツ一枚着るだけでも、
かなり気を配らないといけないのですが、
大人がTシャツを着るためには、
それくらいの覚悟が必要です。

それからTシャツを着る時、
私は必ずピアスやネックレスなどの、
きらっとした質感を足します。

小さなパールやダイヤのピアスを、
数個つけたり、イヤカフと合わせたり。
時には、こんな大振りのパールと合わせることも。

また、パールのネックレスも意外なほど馴染みます。

HALF SLEEVE BOXY TEE(White)/ALWEL
ネックレス 伊藤まさこ私物

これじつは、成人式に両親から贈られたもの。
長らくそのままにしていましたが、
留め金をシルバーのフォーマルなものから、
カジュアルなものへと変えたおかげで、
ふだんのコーディネートにも合うようになりました。

Tシャツから出したり、
または中に入れて、ちらりと見せたり。
白いシャツだと、ちょっと決まりすぎてしまうかな?
という時、Tシャツにするとほどよいかんじ。
パールのネックレス、持っているけれど
あまりつけない、なんていう方、ぜひ。

ALWELのTシャツ

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「今年」のTシャツ

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娘が、
5、6年前に着ていたTシャツとデニムを、
クローゼットから引っ張り出して着てみたら、
あれ? 
ちょっと‥‥変?

上下とも、
やや体にぴたっと寄り添うシルエットに、
「平成っぽいかなぁ」と娘。

そう、なんだか「古い」のでした。

その後、
オーバーシルエットのTシャツとデニムに着替え、
Tシャツをインしたら、
たちまち今のスタイルになって、
ふたりでホッ。

素材や色ももちろんだけれど、
シルエットが一番、時代を感じさせるものだなぁ。
Tシャツとデニムという定番のアイテムはとくに。

夏が近づくと、
私の中で立ち上がるのがTシャツ問題。
シンプルなものだけに、
じっくり吟味しないといけません。

今週のweeksdaysはALWELのTシャツ。
色違いで何枚も欲しくなっちゃう、
「今年」のTシャツですよ。

Le pivot のノースリーブロングシャツ たとえばこんなコーディネート 伊藤まさこ [2]重ね着も、この黒なら

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当初、コーディネートが難しい? と思った少し長めの丈。
でもね、これが着てみるととにかく新鮮なんです。

ノースリーブロングシャツ(ブラック)/Le pivot
その他 伊藤まさこ私物

ふだん前身頃をインすることの多い、
太めのパンツを合わせたら、この通り。

袖がない分、
ボリュームのあるシルエットでもすっきり。

襟ぐりから、そして袖口から、
風が通り抜けるから涼しい。
見た目にも涼しげです。

ボタンをすべて開けて、
中のノースリーブTを見せます。
ジレをちょっと羽織る感じで。

ノースリーブロングシャツ(ブラック)/Le pivot
ワンピース ¥25,300/Le pivot
サンダル 伊藤まさこ私物

ワンピースを合わせて、
こちらも「羽織る」風。
甘めの色合いを黒が引き締めます。

夏の重ね着も、このシャツなら大丈夫。

ノースリーブロングシャツ(ブラック)/Le pivot
トップス ¥17,600/Le pivot
タンクトップ ¥9,350/Le pivot
サマーテーパードリボンパンツ(ブラック・36)/saqui

中にレースのシャツをコーディネート。
ボトムスはシャツと同じ黒で引き締めます。

「メンズのシャツの袖を切ったイメージ」
という、
デザイナーの小林さんの言葉にすごく納得。

着るとどこかきりりとした表情になる理由が、
分かったのでした。

[お問い合わせ先]
Le pivot http://lepivot.jp/
株式会社saqui TEL:03-6427-0861

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