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朝の習慣。

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起き抜け、
ブランケットに包まりながら
花子さんのマグカップで白湯を飲みます。

カップに注いだお湯が冷める頃、
身支度はすっかり終わって、
気持ちがしゃんとしている。

このカップとつき合うようになって、
今まで慌ただしかった朝の時間が、
ちょっと変わったような気がしています。

のんびり、でもなく、
きっちりでもない、
「しゃん」。

20分とか30分の
わずかな時間だけれど、
この数十分は、わたしにとても重要なのです。

今日は何色にしようか?
カップは3色あるから、
その日の気分に合った色をえらぶ。

両手で持つとじんわり温かさが伝わってきて、
ああ、やっぱりこのカップいいなぁ、
好きだなぁと思うのでした。

今週のweeksdaysは、
去年、好評をいただいた中里花子さんのマグカップ。
新色もあるんですよ。

どうぞおたのしみに。

おはしの手入れ。 伊藤まさこ

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すっとした佇まいが魅力の、黒檀のお箸。
weeksdaysチームの一人は、
「持つだけで、なんだか所作がきれいに見えるような‥‥」
なーんて言っておりました。

まさに! 
このお箸を持つと背筋が伸びる。
お箸にふさわしい自分でいたいという気持ちになるのです。
器とか、料理道具とか、それからこのお箸も。
よいものがもたらす力ってすごいなぁと思う。

さて、
ここでは私のいつものお手入れ法をご紹介していきますね。

まず、洗う時はスポンジを使わず、
指先でやさしく汚れを取ります。
油がついている時はぬるま湯で。
(それでも取れない場合は、薄めの洗剤をつけて。)

なぜ? って思うかもしれませんが、
スポンジだと、
例えばちょっとご飯粒がついていたとしても、
気づかない場合があるでしょう? 
乾いてから、あれ? カピカピのごはんが
箸先に残っていた! 
なーんて残念な思いをすることもある。

ですから私は、「指先」という、
感じやすい場所を使って、
きれいさっぱり洗うのです。

すっかり乾いたらしまいます。
でも、その前に布で磨くといつもピカピカ。

使っていると、少々かさっとしてくるのですが、
でも大丈夫。
ちゃーんと蘇ります。

布はふだん使っているキッチンクロスなどでじゅうぶん。
キュッキュと磨けば、
「かさっ」から「しっとり」に。
このひと手間で、黒檀の持つつややかさが保てるのならば、がんばれるというものです。

毎日とは言わないけれど、
たとえば、お湯が沸くのを待つ時間とか、
ちょっとした台所仕事の隙間時間にすれば、
手間とも感じないのではないかしら?

さあ、手入れしたお箸でごはんの時間。
姿勢正して、いただきまーす。

舞鶴へ、お箸づくりを見学に。 ──吉岡民男さんの仕事場へ。 その2 ぴたっと寄りそう。

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木材はその性質上、
反ったり曲がったり割れたりする。
それらの狂いが箸に現れないよう、
吉岡さんは、箸の原型に切り出した木材を、
2~3年は寝かせるのだという。
適度な乾燥と湿度。
ふたつの環境下に置いて保管するのだそうだ。
その詳しい方法は、企業秘密。
吉岡さんがこれまで研究に研究を重ね、
編み出したものだという。

「だから、この木材でお箸を作ってくださいと
突然言われても、できないんです」

つまり、weeksdaysで販売する黒檀の四角箸は、
ようやくその材料である黒檀が2~3年の時を経て、
準備万端整ったということ。
満を持しての登場。
なんだかもう、ありがたみを感じずにはいられない。

黒檀の八角箸、それから四角箸‥‥、
形や長さの違う箸を、
吉岡さんがいくつか目の前に並べて見せてくれる。
四角や八角のお箸は、やはり物がつかみやすいのですか? 
という私の問いに、
「普通のお箸はね、こうやって2本並べて置いた場合に、
箸先が少し開いとるんですね。
私のは、初めから閉じとるんです」
と吉岡さん。

そう言われて、箸先に目線を移し、はっとした。
吉岡さんの箸は、どれも箸先がぴたっと寄り添い、
わずかな隙間もないのだ。

「だから箸でなにか物を持とうとしたときには、
もうつかめているというね。
お箸を買われた方には、
よくつかみやすいって言われますよ」

箸先に込められた技と心配り。
そんな吉岡さんの箸に、愛用者の武井さんが太鼓判を押す。

「細い塩昆布、1個からつかめちゃう。
じゃこだってつかめますからね」

コロナの影響で、
箸を毎月百単位で卸していた専門店が休業し、
仕事がぴたりと止まってしまったという吉岡さん。
それでも粛々と箸づくりを進め、
箸の直販も手探りのなかスタートした。
厳しい状況にあっても、
箸を購入されたお客さまから直に寄せられる感想が、
大きな励みになっているという。

「食事のレベルがあがる、って感想がありましてね」
と頬をゆるめる吉岡さんに、武井さんがうなずく。

「すごくわかります。吉岡さんのお箸は、
食卓に置いたときの佇まいがきれいなんです。
ちょっと器をいいものにしよう、とか、
盛り付けをきれいにしよう、とか、
そういう気持ちと、
このお箸がすごく合う気がするんです」

きりっとした黒の直線美、繊細に寄り添う箸先。
黒檀の四角箸は、なんとも景色のいい箸だ。
でも「それだけではない」と、言葉を続ける武井さん。

「吉岡さんのお箸を使うことで、
所作がきれいになるんですよ。
きれいに食べようって、
そういう気分になるお箸なんです」

なるほど、ほんとうに。
その場で黒檀の四角箸を右手で持ってみたら、
その言葉が、すとんと腑に落ちた。
箸という道具に、あらためて尊さを感じるような、
背筋が自然と伸びる感覚。
吉岡さんのお箸には、不思議な力がある。

さて、この四角箸で、なにを食べよう。
炊き立ての新米ごはんと、なめこたっぷりのお味噌汁、
鯛のかぶら蒸し、春菊とりんごの白和え‥‥。
食事の献立が、次々に浮かぶ。
いつもよりもちょっと手をかけて、ていねいに。
そんな食卓へと、心がはやるのだった。

(おわります)

舞鶴へ、お箸づくりを見学に。 ──吉岡民男さんの仕事場へ。 その1 八角箸の技術をいかして。

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「吉岡さんのお箸は、手に持つと、
惚れ惚れするような美しさがあるんですよ。
すごくいいものを使っているなって。
そして、丁寧な気持ちにもなるんです」

京都・舞鶴市の吉岡木工で制作されている黒檀の箸を
そう絶賛するのは、weeksdaysの編集担当の武井さん。
5年以上、吉岡さんが作ったお箸を毎日使い、
「ファン」だと熱っぽく語る武井さんと共に、
吉岡木工のある舞鶴市へと向かった。

すぐ北には日本海の舞鶴湾が控える海辺の町。
側道を車で登った先に、
こんもりした木々を背負うようにして、
吉岡民男さんの木工所がある。

背の高い鉄塔(集塵機だそう)が目印の木工所には、
重厚な機械たちが居並ぶ工房と、
その横には在庫などを保管する事務所がある。
吉岡さんが、いまはひとりで箸づくりに勤しむそこは、
元はお父さんが運営していた製材所だったそうだ。

木工所から、ちょうど東へ50kmほどのところに、
塗り箸の産地で知られる福井県小浜市がある。
吉岡さんいわく、
小浜市には規模の大きな箸の問屋がいくつもあって、
そのうちのひとつからの依頼で
大量生産の箸の下地を手がけるようになったのが、
箸づくりのはじまり。
吉岡さんの代になってからは、
箸専門の木工所へと舵を切った。

安価な木材で箸の下地を作るだけではなく、
もっとなにかできないか。
あるとき吉岡さんは、黒檀を用いて箸を作り、
問屋へ持ち込んだ。
堅牢でいて、しなやかさもある黒檀。
銘木といわれ、その箸は高級品に分類される。

「そうしたら、なかなかいいって言われて。
黒檀だったら、もっとこういうものができるんちゃうかと、
そうやって少しずつですね‥‥」

漆黒で艶のある黒檀そのものの美しさをいかすため、
装飾は施さない。
箸先まで八角形を保った端正な八角箸は、
いまでは吉岡さんの代表作だ。

黒檀の箸は、一般的に「作るのが難しい」
「技術がいる」と言われている。
なぜならば、「石のように固い材だから」と吉岡さん。
実際に材を触らせてもらったら、まるで砥石のような、
木とはとても思えない硬度。
密度も高い。
だから木材から箸の原型を切り出すときに、
「のこぎりがなかなか入っていかない。
機械がね、ガッと途中で止まってしまう時もあって。
機械でスースーっとは、いかないんです」。

吉岡さんのような熟練した技と経験がなければ、
その作業は困難を極めるという。

さらに難易度をあげているのが、
独特の「細さ」と「やわらかな手ざわり」。
weeksdaysで販売する四角箸は、
7mmという細さで(しかも先端は2mmの極細!)、
吉岡さんが通常制作している9mmの箸よりも、
さらに細い。
材が割れないよう細心の注意を払いながら、
ミリ単位の加減で細く、でも強く、仕上げてゆく。

箸の形ができあがったら、今度は角を取り、
丸さのある、やわらかな触感を目指す。
四角い箸は、そのままだと角の部分が手に当たるためだ。

「角を取りすぎてしまったものは、もう戻らない。
だから手作業で少しずつ。
難しいですよ。時間もかかります」

一本一本、紙やすりで角を均等に削ってゆくなんて、
気が遠くなりそうな作業だ。
しかも吉岡さんは、箸先まできっちり角を取るのが信条。
箸先の角が立っているのと、立っていないのとでは、
口先や舌先に触れたときの感触がまるで違うのだという。

はぁぁ、なんと。ひえぇぇ。
箸づくりの手間と労力に、
いちいちため息が出てしまう私たち。
さらに驚かされたのは、木材が一対の箸になるまで、
想像以上にずいぶん長い時間がかかっている、
という事実だった。

(つづきます)

行為に寄り添って溶けていく。

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伊藤
自分に「終の住み処」のイメージがない、
とお話ししたんですけれど、
自分でデザインするわけでもないのに、
ひとつだけ一軒家のイメージはあって、
それは「子どもが描く家」なんです。
三角屋根の四角いおうち。
「子どもが描くような」というのは、
わたしがどなたかにデザインの依頼をするとき、
大事にしていることなんですよ。
コップにしても「子どもが描くようなコップ」とか。
深澤
僕も同じ気持ちで、ここを建てました。
周りの子どもに影響されたこともあるし、
もうひとつはユングの言っている「集合的無意識」、
例えば、おうちだったらこういうもの、
机だったらこういうものっていう、
その原型‥‥アーキタイプっていうんですけど、
そういうものは時代を超えたり、世代を超えたりして、
遺伝するんですって。
伊藤
遺伝。
深澤
つまり、伝えなくても時間を超えて同じ概念を持つ、
っていうことをユングは言っている。
だから子どもにはちゃんと伝わってるんです。
日本人が、ある程度、日本的文化の中で
育ってるっていうのは、
日本の哲学を教えたわけでなくても、
一応は「整っている」じゃないですか。
絵のことに関しても、
子どもの持ってる概念に関しても、
正しいというか、大切なことだと思います。
伊藤
NHKで、母校を訪れる番組、
「課外授業 ようこそ先輩」に出演なさいましたよね。
子どもたちにどんなことを教えたんですか。
深澤
「考えずにやってしまうことを探そう」と、
観察して写真を撮ってきてもらい、
その観察したことをヒントにしながら、
最終的にはプロダクトの模型をつくろう、
というものでした。
伊藤
えっ、すごい。
深澤
スーパーとか学校の下駄箱とか、
場所はグループワークで決めておいて、
みんなで写真を撮りまくるんですよ。
そうすると、無意識にやっちゃっていること、
っていうのが見つかるんです。
例えば傘はこう立てるとか、
靴はこういうふうに脱いでるとか、
むき出しになったパイプに雑巾をかけているとか。
その写真を撮るときには気づかなかったことがあって、
でも「いい写真が撮れたね」と言うと、
子どもは「ハッ!」とするわけです。
その時初めてわかる。
伊藤
子どもたちは余すことなく撮れてるんですか、写真を。
深澤
もちろん全部がそうじゃないですよ。
でもたまたま撮った子がいたら、
全員にそれが分かるから。
「そう、みんな、これ、やっちゃうよね!」
みたいなことを言うと、
「おお、そうだね~!」みたいな。
そして、じゃあ、それを使って
デザインしようっていうのが2日目。
伊藤
わあ!
深澤
たとえば、傘が自立できるように、
傘の先をうんと太くしたいという子がいました。
普通は傘は倒れるもんでしょってとこから始まっちゃうし、
傘立てを作るんだったら筒形のもの作りましょう、
みたいなところから入っちゃうのがデザインだけど、
その子は、自分で自立する傘を作ろうって、
考えたこと自体が、フレッシュなんですよ。
だから「すごい!」と思いました。
僕ら大人からすると。
伊藤
その授業、すばらしいですね。
その子どもたち。いいな。
深澤
ある子は自分の家で、鍵を置く場所が玄関なんです。
そこに何があったらいいかな? 
みたいなことを聞いていくと、
その子は鍵が誰かに見つかって盗まれても困るから、
それを隠す場所のデザインをしたいって言って。
そこから若干誘導はするんです。
「鍵を、何の中に隠すかな? 
キーホルダーがどんな形だったら盗まれにくいかな?」
みたいなことを。
そうすると、「あ、植木鉢!」と言うんですよ。
そして、葉っぱのような形をしたキーホルダーを作る。
完璧じゃないからまだ目立ってはいるんだけれど、
「結構いいじゃん!」と。
もう、二人とも、超うれしかったですよ。フフフ。
伊藤
子どものそういう感覚って!
深澤
子どもも大人も、今言ったことは同じで、
そういうことをたどっていくと、
そのたどった先に必ず正解がある。
そういうことを探し当てることが
デザインをすることだと思います。
だからその、行為に相即(そうそく)するっていう、
相即って非常に難しい言葉ですけど、
行為に寄り添って溶けていくっていうものを作るっていう。
伊藤
ええ。
深澤
例えば、エレベータのボタン、
何階がどの位置にあるか、覚えてる人なんていやしない。
無意識の中で使ってるから。
でも、探さずに、自然に押せるってことが
いいデザインであって、
格好いいねとかそういうことじゃないんですよ。
実はそういうことって無意識の中にあって、
エレベータに乗る人は視線が真ん中から上、とか、
二人だった場合は必ず壁側に寄るとか、
そういう力が働いているんです。
伊藤
こういうふうにお話をしている時にも、
それぞれの「心地いい形」がありますよね。
深澤
そういうことです。
いま、すこし離れて座っているけれど、
「そうじゃありませんか?」って、
ソファに手をついて、伊藤さんのほうに
ぐいっと身を乗りだしたら、
急に親しくなった印象が生まれますよね。
伊藤
ほんと、そうですね。
深澤
そういうことで世界は出来上がっている。
そんなふうに全部がインテグレート
(複数のものが一体となって機能するように組み込む)
された世界を、どうやって作るか。
そういうことが好きで、いつも考えているんです。
伊藤
子どもにデザインをさせる、
ということとも、きっと、違うんですよね。
深澤
子どもにはデザインはできないんですよ。
あまりにも素直すぎるから。
だから子どもの頃からデザインの教育をしましょう、
っていうんではなくて、
子どもにはとにかく「いいこと」を体験させるべきです。
伊藤
知り合いに著名な建築家がお父さまという女性がいて、
彼女がちっちゃいとき、
「このアニメのキャラクターの靴が欲しい」と言うと、
「それはデザインがちょっと」と、
何かにつけてご両親からダメだと言われたんだそうです。
大人になってからは、親が言っていた
「いいデザイン」とはこういうことか、
と理解はできたのだけれど、
子供心にはすごく嫌で、ある日爆発して、
「デザイン、大っ嫌い!」と言ったんですって。
深澤
うちの娘も、小学校に上がるのにランドセルを買うとき、
彼女は赤や青を欲しがったのだけれど、
僕はえんじの、ちょっと大人が格好いいと思う
ブランドものを買ったんです。
そしたらすっごい泣かれて。
「絶対、それは嫌だったのに、それにしろって言った!」
と、ずっと後まで言われました。
今では笑い話になっていますけれどね。
彼女も、途中からスタンダードが変わって、
デザイナーになるって言い始めたのが16歳くらいかな。
そこから周りの生活を見渡すようになったら、
自分の住んでいる家がいかにきれいか、
やっとわかったって。ハハハ。
伊藤
いろんなお友達のうちに行って、
理解が生まれるんですよね。
深澤
今は、僕よりうるさいですよ。細かいところ。
伊藤
そっか、いかに「いいもの」を体験させるか。
深澤
無意識に「いい」と感じているものを
感じさせてあげるか、ってことですね。
伊藤
これいいでしょって押し付けるんじゃなくて、
結果的に、あ、これ感じがよかったっていうこと。
深澤
何でも高級なものがいいとか、
なんでもデザインのいいものを教え、
体験させよ、ってことではなくて、
それはその場にあった適正な調和を生み出しているか、
それがいいものだ、と考えることが重要です。
そういう場を作ってあげるのがいいと思います。
伊藤
なるほど。
深澤
ちょっと生意気な話になっちゃった。
伊藤
いえいえ、とんでもないです。
深澤さん、いろいろ、まだまだ、
大忙しじゃないですか!
深澤
大忙し‥‥ですね。
伊藤
わたしにとって深澤さんはちょっと先を
行ってくださっている先輩です。
深澤さんが杖をデザインなさったら、
私、買いますね。
ほんとうに、ありがとうございました。
楽しかったです。
深澤
今日は静かにして、
ペラペラしゃべらないようにって思ってたのになぁ。
伊藤
いえいえ、しゃべっていただいた方がいいです。
ありがとうございました。
深澤
コロナ禍が落ち着いたら、
ぜひ、あらためて遊びに来てください。
伊藤
あら! わたし、料理をつくりますよ!
深澤
いいですね。飲みましょう、その時は。

わたしのおはし

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「終の住み処」って何だろう。

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伊藤
わたしは、ずっと、家にわいわい人を招いて
ご飯を食べていたんですけど、
コロナ禍の2年間、それが全然なくなり、
それに馴れてきたら「あれ、結構いいかも?」と思って。
もちろん大勢のお客さまも楽しいんですけど、
集まるのはぜんぶで4人くらいでいいかな、と思って。
深澤
そうそう、仕事の仲間の人数も
だんだん決まってきます。
最初はたくさんだったのが、
この空間にいい人数っていうのが決まってきますね。
伊藤
将来、もし家を作れるとしたら、
ダイニングテーブルはいらないんじゃないかとすら。
深澤
それはありますね。
逆にダイニングテーブルにいる可能性が高いから、
ソファーはいらないっていう人もいます。
最近は、キッチン食べがいいというのが
コロナ禍で勉強したことで、
わざわざ食卓まで運ばずに、
キッチンで作りながら飲んじゃうみたいな。
伊藤
調理台の延長線で、
立てるところがあればいいんじゃないかなとか。
深澤
自分一人でも、誰かがいても、
そのくらいで始まったほうがいいですよね。
伊藤
だから、きちんとした形じゃなくて、
みんなもっとわがままに暮らせばいいのになと。
コロナ禍って、自分にはこれが必要、これは不要、
と分けて考えるきっかけになったのかなって思いました。
深澤
そう思いますよ、すごく気づきがあったと思う。
伊藤
友人が中古マンションを買おうと探したら、
不動産屋さんがリフォームしたものばかりなんですって。
しかもそれがどこも同じ印象だったと。
スケルトンで販売してくれれば自分でつくるのに、
と言ったら、あなたのような人はいません、
皆さん何を選んでいいか分からないから、
これがいいでしょう、というものを
用意しているんですよと。
それが、どうにも、つまらないんですって。
深澤
どんな高級マンションでも、安いマンションでも、
内装の建材は同じですよ。
場所がいいとか、高そうに見せるフェイクなだけで。
伊藤
深澤さんが以前住まわれていたマンションは
一回すべて壊してつくられたんですか。
深澤
全部壊しました。
すごい顰蹙(ひんしゅく)を買いますね。
それに、入れたい家具を入れる動線がないので、
窓から入れるのにクレーンが必要になるし、
そのために交通整理の人も必要になるから、
リフォームの費用がどんどん上がります。
とくに昔のマンションは窓が低いので、
さらに梁が出ていたりしますし。
それを逆手にとってスケルトンにして直接ペンキを塗って、
雑っぽく暮らしている格好いい人もいますね。
でも、ちゃんとやりたいなって思うと、
かなり難しいです。限界がある。
僕はリフォーム前提だったら
壁構造のマンションを探します。
ラーメン構造(長方形に組んだ床・柱・梁の骨組で
建物を支える構造)だと梁が出るので、
置きたい家具が置けないし。
壁と天井の角が見えないと部屋がカッコ悪い。
伊藤
わたしは、これだけ住むことについて興味があるのに、
「家」となると、「終の住み処」(ついのすみか)
っていう考えがなくて。
いつが「終い」なのかがまだよくわかっていない。
もちろん欲しいんですけど、
深澤
そうですか。
伊藤
子どもがちっちゃいときと、
22歳になった今では環境が違いますよね。
いずれ彼女も家を出る。
すると子ども部屋はいらなくなる。
結局、一人で快適な場所、
それが終の住み処なのかな‥‥と。
深澤
僕はこのアトリエを
終の住み処として思い入れがあって作りました。
でも、使い始めたら「まだ終の住み処じゃないな」って
思ったりもしますが‥‥。でもやっぱりそうかな。
伊藤
もっとやりたいことがあるんですか。
深澤
これは‥‥多分「ほぼ日」でしか
言わないことかもしれないんですけど。
伊藤
話してくださるんですか。
深澤
ちょこっとだけ話すと、
例えば自分の父や母が亡くなるじゃないですか。
そうすると今のマンションではお葬式ができません。
僕は昔から田舎に住んでいたから、
葬式は家であげるものでした。
でも、最近、みんな、
そういうことができなくなっちゃってる。
お通夜でもその人の家に行くことが出来ない。
でも、その人を偲ぶっていうことは、
そこまで近寄れるっていうことだから、
家っていうのはそういうものかなって
思ったんですよ。
伊藤
はい。
深澤
こんなこと本当に、ここだけで言いますね。
全体をL字にしているのは、
僕の最期にみんな会いに来てくれるかななんて。
訪ねて来てくれやすいかたち。
そんなことまで考えて、っていうのは
ちょっと変かな、
そうするかどうかも分からないけど、今は。
でも、例えば寝室に寝ている自分が、
リビングにいる人からちらっと見えるっていうのも、
最期までみんなといたいななんて思ったんですよ。
伊藤
家に、最期までいたいと。
すごいです。
そのときの姿を具体的に想像するんですか。
深澤
いや、まぁ‥‥、
ただ、みんなが、故人の家に集まって、
「あの人、こうだったよね」とか言っている、
そんな風景って、なくなっちゃってるじゃないですか。
斎場とか、セレモニーホールですからね。
伊藤
はい。
うちの父が亡くなったときは、家に連れて帰ってきて、
本当に仲のいい人だけでみんなでシャンパンを飲んで
思い出話をして見送りました。
深澤
いいですよね、そういう感じです。
それが欲しいです。
それが僕にとっては終の住み処かな。
一番、時間を一緒に過ごしてるのは、
下にいるみんなとか娘で、
うちのみんなはすごく優秀に育ってくれて、
もう長いんですよ、途中でやめないんです。
考えてみると、彼らと、
生活の長い時間をシェアしてるでしょ。
彼らと生活を共にする場として、
そして大切な人が集まりやすい場として。
そういうことも考えます。
伊藤
わたしは死んだらすぐに、
病院から火葬場に送ってもらい
灰にして撒いてもらえばいいやって思っていました。
深澤
そう思いますか。
僕も今の考えが変わるかもしれない。
ここを作るときにはそう思ったけど、
将来どう変わるかは分からないですから。
でも、そういうことよりも、
斎場という仮設の場所があることに対しての
違和感ですね。
伊藤
あんなところで、って思う気持ちは同じです。
深澤
きっとみんなその感覚を持っていると思うんですよ。
伊藤
あんなところに行きたくない。
その違和感で言うと、
父が亡くなりましたっていうとき、
葬儀屋さんがすぐにやって来て、
ここのお寺で、とか言うんですね。
みんなは父の死に呆然としているんですよ。
それでそのまま「はい、はい」と言ったら、
三姉妹の長女が、ハッ、て。
「パパ、全然信心深くないのに、
そんな知らないお寺でお葬式? いいの?」
それでみんなもハッとなったんです。
それは姉が感じた違和感ですよね。
深澤
メニューが決まってるんですよね。
伊藤
そうなんです。
深澤
家を作るとき、終の住み処っていうんだったら、
少なくともそのくらいのことは考えて
建てなきゃな、って思うんですよ。
伊藤
本当に「終の、終」ですね。
そんなことまで考えたこともなかった!
深澤
そもそもの発想は、家をそうしたい、というよりも、
最近出来た斎場やセレモニーホールに
僕は行きたくないって思ったことですけれど。
あの違和感の塊の中で、
なんで最後に型にハマっちゃうかな、と思って、
それがちょっと嫌だった。
伊藤
その「終」に行くまでに「老い」っていうものがある。
例えば手すりとか、杖とか、
そういうもののデザインの必要が、
新たに増えるかもしれないですね。
深澤
そうですね、増えますね。
デザインをしていきたいなと思いますよ。
年を重ねると、デザインの感覚も変わってくるし。
地下のスタジオにあったサンプルの椅子は
背中があたるところがちょっと飛び出していましたよね。
年取ってくればくるほど、
そういうファンクションが重要だったりするんです。
伊藤
椅子から立ち上がるとき
「よっこいしょ」なんて手をつきたくなったり。
深澤
そんなの若いときは分からないじゃないですか。
でも段々分かるようになってくる。
自分も年を取って、やだな、
とか思ったりもするんですけど、
意外と、その視点は重要だと。
伊藤
最近、機能的で、1台何役もできるフライパンを、
料理家の方からいただいたんです。
わたしはずっと重い鉄製のものを使っていたんですが、
その機能的なフライパンの軽さに驚いて、
自分が老いていくと、これが必要になるって感じました。
きっと、大好きな琺瑯鍋も、重く感じる日が来るんだって。
それを考えると、欲しいものは買った、という満足も、
次に必要な新しいものに置き換えられていくんだなって。
深澤
そういうこと、いっぱいありますよね。
杖はいつもデザインしてみたいなと思うんですが、
まだそこの身に自分がなってないから、
必要としている人に質問して作らなきゃいけない。
そうじゃなくて自分が「こうあったら」を理解してから
デザインすればいいかなと。
伊藤
年を取るとガスの青い炎が見えづらくなると聞いて、
ショック。
だからIHがいいんだな、とか。
深澤
そんなふうに経験で分かるっていうことがあるので、
これからデザインするものはなくならないと思うんですよ。
働き盛りで健康でピークな時が
一番いいものをデザインするっていうふうに
思っちゃうんですけど、そうじゃないんですよね。
その年齢に対して、まだまだやれることって
いっぱいあると思うから。
葬式の話で何ですけれど、
セレモニーホールのデザインの依頼が来たら
どうするかみたいなことを考えたりも(笑)。
伊藤
スウェーデンに、「スコーグスシュルコゴーデン」
(Skogskyrkogården=森の墓地)という
有名な共同墓地がありますよね。
深澤
僕、行きました、雪の日に。
伊藤
眠るんならここがいいって思ったんですが、
あそこの墓地に入るには、
ストックホルム市民にならないといけないんですって。
深澤
来た人が暖をとる
すごく小さな小屋があるのを御存じですか?
素敵ですよ。石でできてるんです。
伊藤
えっ、知らなかったです!
あそこ、建築家のアスプルンドが
設計に参加しているんですよね。
深澤
アスプルンドはいいですよね。
伊藤
深澤さんのデザインする
セレモニーホールや
老人ホームも見てみたいな。
深澤
ハハハ。
自分がそうなってきたとき、
見渡したら「え、こんな?」っていうのが多すぎるから、
結構、怖いですよね。
ピンク色の偽物の革の長椅子に座ってご飯食べるのかぁ、
みたいな。
伊藤
プラスチックの食器は味気ないだろうな、とか。
もっと普通の食器使えばいいのにっていったら、
重いんですって、
プラスチックがいいのは扱いやすいだけじゃなくて、
軽さもある。
深澤
ところがね、やればできるんです、それも。
伊藤
そっか、飛行機の機内食のトレイなんて、
ちゃんと、かわいいものがありますよね。
深澤
メラミン樹脂でできているものですね。
そういう施設とかって「定番」になっちゃうんですよ。
施設に入るにしても、
それまでにいいなと思っていた暮らしができなくなるのは、
人間の生き方としてちょっと違うんじゃないかなって。
伊藤
深澤さん、行かれたら、
「僕はこの手すりが嫌だから掴まない!」
なんておっしゃるんじゃないかしら。
深澤
雰囲気が、どうにも。
伊藤
ああ、なるほど、雰囲気が。
深澤
文化レベルとして、
共用施設とか共用部分を、
デザイナーも、国も、地域も、
なぜ真剣に手がけないのだろうかと、
それが今の僕の一番の違和感です。
だから最近はエレベータのデザインとか
エスカレータのデザインとか、
そういうもの積極的にやりたいと思ってるんです。
そういうもののデザインを良くしていくと、
みんなは通り過ぎていくかもしれないけれど、
「なんとなくいい感じ」は得る。
その「いいんじゃない?」で十分なんですよ。
伊藤
デザインが解決できることって、
きっといっぱいあるんですね。
深澤
あるんですけど、
自分も65歳で下降線もひかれてるから、
だんだん生活レベルが落ちてくるんですよ。
そんななかで、デザインがされないのは、
ちょっとないんじゃないの、みたいな。
伊藤
みんなそうなっていくんですもんね。
深澤
みんなそうなっちゃうんだけど、
病院に入って、自分では何も決められない状態で、
イチゴ柄のパジャマを着るんですよ。
伊藤
なるほど、貸し出すパジャマにだって
デザインが必要ですね。
深澤
必要ですよ。いいホテルは、
パジャマもいいし、バスローブもある。
快適ですよね。
‥‥って、こんな話になるとは思わなかった、
すみません。
伊藤
いや、とても面白いです。
深澤
大丈夫でした?
伊藤
はい!

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
1月13日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

cohan ブラ
(チャコール、ネイビー)

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体にほどよく馴染み、
動いている時も、またそうでない時も、
ストレスを感じることのない、
とてもよくできたブラです。
肩紐は、
チラリとTシャツからのぞいても、
「下着が見えちゃった」という感じにならない太めのゴム。
フィットネスTシャツと合わせると、
体を動かす、ふとした瞬間にチラリと見えるのですが、
それが逆に着こなしのポイントになります。
肩紐も落ちづらいデザインなため、
フィットネスにはもってこいです。
中に入ったパッドは一体型。
よれたり、ずれたりすることなく、
洗濯のストレスからも解放されますよ。
(洗濯の時、パッドがずれるのが何よりイヤなのです。)
私は、体を動かすときだけでなく、
ふだんにも身につけようと思っています。
(伊藤まさこさん)

cohan フィットネスTシャツ
(ブラック、ネイビー)

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体につかず、離れず。
お腹や腰まわりの気になる部分を、
うまく隠しつつ、
首まわりは絶妙な開き具合。
このバランスがなんともいいのです。
素材は滑らかな質感の
「テンセル™リヨセル繊維」を使用。
着心地がいいというだけでなく、
洗濯しても乾きやすいところも魅力的。
袋つきなので、持ち運びもラク。
驚くほど小さくなり、シワにもなりづらいんですよ。
(伊藤まさこさん)

cohan フィットネスパンツ
(9分丈チャコール、
フルレングスネイビー)

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「いつもの服と同じような感じの、
フィットネスウェアがあったら」
そんな思いで作ったのが今回のウェアたち。
動きやすさなどの機能性は考えつつも、
「ふつうに着られる」というところが魅力のひとつです。
部屋で着るのはもちろん、
「ちょっとそこまで」の
ワンマイルウェア(買い物や、犬のお散歩も!)や、
コンパクトになるので旅にもぴったり。
9分丈はチャコール、
フルレングスはネイビー。
好みや、フィットネスの内容、靴とのバランスで
えらんでくださいね。
(伊藤まさこさん)

めがねチェーン

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つけたり、外したりしている間に
あれ? どこに置いたんだっけ?
なんてことになってしまう老眼鏡。
ああ、感じのよい眼鏡チェーンがあったらなぁと
今まで何度、思ったことか! 
そこでBonBonStoreの井部さんに、
「メガネのチェーンを作ってもらえませんか?」と
無理を承知でお願い。
以前、お会いした時に、
傘だけでなく、
小物のデザインもされているというのを
小耳に挟んだのでした。
できあがったチェーンはシックで上品。
チェーン部分のゴールドが肌に馴染むので、
いかにも「つけてる」という感じがありません。
さすが井部さん。
また、
weeksdaysオリジナルの
JINSの老眼鏡との相性はもちろん、
サングラスにつけてもいい感じなんですよ。
(伊藤まさこさん)

きりり、と。

未分類

「包丁を大事にする人は台所がきれい。
立居振る舞いもきれい」

そう言ったのは、
京都の道具屋のご主人。

なるほど。
その方が包丁を研ぐ様子、
とても清々しく美しかった。

その姿が見たいばかりに、
京都を訪れると、
お店に寄らせてもらっていたものでした。

このお箸を使うと、
その言葉を思い出します。

持つと、
思わず姿勢を正したくなるきりりとした佇まい。
お箸って、
ただ器から口へ料理を運ぶためだけではない。
私にとって、
とても大切な役割を担っている道具だということを、
改めて感じさせてくれるのです。

weeksdays、今年最初の販売は、
「大事に使えば一生もの」と言われている黒檀のお箸。
かたいのに、しなやか。
そして美しい。
一年の最初にふさわしい一品です。

無頓着になったらおしまい。

未分類

伊藤
ここ最近、長く使えるものをデザインしていきたくなった、
と、おっしゃっていましたよね。
深澤
はい。長く使えるものが一番サスティナブルだって。
世の中は今、環境問題が共通の話題で、
リサイクルとかエコとか言うけど、
そうじゃなくて、長く使っていけば
ゴミにはならないわけだから、
それが一番エコロジカルであると。
循環型経済って、要はそういうことですよね。
でもデザインっていう概念が
間違いを生んだんだと思うんですよね。
ねじれちゃった。
最初からデザインを考えたものづくりをしていた人は、
長く使えることを考えて作っていたと思うんです。
だから大切に作ってた。
でも段々、経済航路に乗っかって、
いわゆる広告のプレゼンみたいに、
人を高揚させて買ってもらうこととか、
そういうことに段々デザインっていうのが
使われるようになってしまった。
すると本質から違うところに行っちゃうんで、
人が飽きてくれないと、次のものも作れない。
だから適当にエキサイトさせて、
火だけつけといて、適当に引き上げちゃって、
また次のものを作るっていうサイクルに入っちゃった。
それがこんなにゴミの多い世界を生み出しちゃった。
それはデザイナーの責任でもあるんです。
伊藤
いいものがちゃんと長く売られないと、
同じものが欲しいときに買い足せなかったりするし。
深澤
そういうこともありますね。
本当は少量でも要る人がいるのになって
みんな思ってるはずなんだけど、
100人の内10人しか欲しいと言わないのなら、
やめますっていうことになっちゃう。
量り売りで買いましょう、
味はいつでも同じですよ、
みたいなほうが結局は幸せなのに。
伊藤
そうですよね。
深澤
社会は少しずつそういうことに
気が付いてきているとは思います。
伊藤
フィンランドのアルテック(Artek)から
棚の依頼
があったとき、
なるべく雰囲気を変えないように
デザインしようって思ったと。
深澤
はい、デザインで自分が出ないように、
いかにもアルテックらしいな、
これは最初からあったんじゃないの? 
って思えるようなものになったらいいなと。
伊藤
「デザイン」っていう言葉があると、
作った人の跡が見えるようなことをしますよね。
たとえば独特な装飾を施したりとか。
そういうのってでもいらないなって思うんです。
深澤
いらないと思いますね。
でもその「いらないな」が
デザインだと思ってる人もいっぱいいる。
でもみんなは知ってるんじゃないかな、
これ、なんか変じゃない? って。
そのなかには「いいな」もあるけど、
「なんか変じゃない?」もいっぱいあるんですよ。
伊藤
ありますよね。
わたしが常々嫌だなって思ってる巾木も、
これがなかったら、掃除機をかけるときに、
いちいち細いノズルに替えなくてもいいのにとか、
そういうことなんですけれど。
深澤
壁の床に接する部分の断面をきれいに整えられないんで、
いい加減に貼っといて、
最後に目隠しで巾木を当てるっていう工事が
すごくやりやすいっていうところから、
日本の巾木ってあるんです。
海外の場合は土足で歩くので、
当たってしまうと駄目だからというのが理由。
伊藤
照明も、ここのお店、すべてがいいのに、
光の加減だけ嫌だなとか、あります。
深澤
ありますよ、すごくあります。
伊藤
そういうのに鈍感になったら嫌だなと、
常々思っているんです。
深澤
よく人に言うのだけれど、
鈍感になるというよりは、
無頓着になったら人生がおしまいですよね。
例えば人気のあるカフェに行ったら、
どこの席に座りたいか、
その中でも「いい場所」を感じると思うんですよね。
2、3回行って、馴染んだ気持ちになって、
でもその席に先に誰かに座られちゃってると、
「あ!」みたいな感じになる。
それが一番いい場所だってこと、
みんな嗅ぎ分けてるわけなんです。
どこにでもあるんですよ、
そういう場所っていうのは。
ここが一番落ち着くとか、
この場所が一番いいという。
伊藤
図書館の中でも、オフィスでも。
深澤
どこでもある。
それを「ないからこっちでいいや」みたいに思わずに、
「しまった! ないぞ!」みたいな感じを、
大切にしておいた方がいいな、
っていうくらいの仕事を、
僕は、しているのかなあと思います。
そのお仕事って結構難しいんです。
厳密にやらなきゃいけないので。
伊藤
なるほど。本当ですね。
よく一緒に食事に行く友達が、
全くそういうのに無頓着なんですよ。
すると「それはそれで、なんかいいな」と、
気が楽というか‥‥。
深澤
いや、その人は無頓着じゃないですよ、きっと。
無頓着なふりをしてるだけ。
伊藤
してくれてるんでしょうか。
深澤
はい。
無頓着にしてるだけだと思います。
意識はしてないけど、
その人、もともと持ってるセンサーは、鋭いはず。
伊藤
ああ!
深澤
雑多にセンス良く暮らすっていうのが一番難しい。
超、難しいですよ。
そういう飯屋とかレストランがあるじゃないですか。
雑多だけどうまそうだっていうお店。
それを探すのって難しいでしょう。
伊藤
自分の家だったら許せないほこりとかも、
そのお店だったら味、みたいな。
そこに置いてある表紙のよれた漫画でさえ、
いとおしくなるとき、ありますものね。
深澤
逆に、ラーメン屋にこんな格好いい椅子あわねーだろ! 
みたいなことだって、やっぱりありますから。
伊藤
ありますね。
深澤
でも「雑多」がファッションになっちゃう場合もあって、
痛んでる、サビている、汚れているっていうものを
無理やりそういうふうにしようとしているような
ナニナニ調、ナニナニ的っていうようなことが
まん延してるのも、
デザインの「悪い方」に影響されているところです。
じゃあナニナニ調でいきましょうよ、
みたいになってくると
「あれ?」みたいな感じに。
伊藤
レトロ風に、昔のほうろう看板をつけたり。
深澤
ずっとそこにあって古くなった
本物だったらいいのだけれど、
「それっぽく」やろうとすると、
バレちゃうんですよね。
伊藤
そこまで行く時間が、全然違いますもんね。
いくら古い看板を買ってきてもだめなんですよね。
深澤
違います。
そんなふうに世界が調和を失っちゃってるっていうのは、
デザイナーのせいでもあるし、
人の無頓着というか、無関心ゆえですよね。
それはちょっと残念なことですよね。
自分のセンサーに関心がないわけだから。
伊藤
それ、恐ろしいことですね。
わたしの場合「おいしいと思うセンサー」が
なくなると思ったら!
深澤
恐ろしいことですよ。
それがなかったら、何に対して生きてるかが、ない。
「今、いい感じじゃない?」
みたいなことすらないとすると、
結構寂しいですよ。
伊藤
デザイナーのマーガレット・ハウエルさんが、
日本にいらしたときに、
毎日、アトリエとホテルの行き来を、
30分くらいだったかな、遠回りなのに、わざわざ、
いちばん気持ちのいいと思う道を歩くんですって。
近道はもちろんあるんですけど、
あくまでも自分の好きな道を選ぶんだそうです。
深澤
全ての道を近くしようとしてるのが、
今の世界だから。
伊藤
センサーを働かせる仕事をしてる人は、
ちょっと時間をかけて遠回りをしたりとか、
なんとなく、周りを見たりとか、
そういうことをしているような気がします。
深澤
僕にしても、この空間を生み出すために
こんな鉄の階段を作っちゃおうと思って、
そのためにはお金がいるから、
頑張ってお金作らなきゃとか、
そういうふうに思ってるその先って、
本当にわずかなことだと思うんです。
でも、そのこだわり‥‥って言うと
言葉があんまりよくないけれど、
どういうところがどうなればいいなと思えるか、
みたいなことを考えているんです。
そして、そこまではこんなふうに共有して話せるけれど、
それを何ミリにしようかとかいう話になったときには、
専門的な領域に入ってくるわけです。
伊藤
例えば、ここの空間に対して、この棚の幅は‥‥。
深澤
もう決まってます。
伊藤
それはその頭のコレクションの中から。
深澤
コレクションの中からです。
伊藤
ここには黒、とか。
深澤
1階にテレビがあったのはわかりますか。
あのテレビは、構造としては、棚の上に置けない。
でも、壁にかかっているだけだと、
超ITっぽい会議室になっちゃうんですよ。
だから意図的に棚をつけているんです。
伊藤
本当ですね! なんかITっぽい部屋になりますね。
深澤
額縁もそうで、アートを飾るためのものだと
思ってるかもしれないけど、
「ちょい置き」のためということもあるんですよ。
世の中にはいっぱい「ちょい置き」が必要なんです。
棚に、ぎっしりとしっかりとした本を置くだけじゃなく、
ちょっとしたものが欲しい。
そのとき額縁っていいんですよ。
伊藤
確かにあるとないとで
印象が大違いですよね。
「ちょい置き」、ありますね。
深澤
「ちょい置き」、いっぱいあります。ハハハ。
重要ですよ。あんまり考えない、
ちょっとしたものが必要なんです、空間には。
伊藤
でもその空間にちょっと置くものに、
その人の人生が現れてる、んですよね? 
深澤さんによると。
深澤
まあ、「みたいな」ことでしょうかね。
人生までかどうかまでは分からないけど。
伊藤
その人が、暮らしをどうしたいか、みたいなこと。
深澤
そう、そういうことを考えてます。
そこにあるものが本物かフェイクか‥‥というか、
決まりきった定番みたいなものなっちゃってるのか、
そこには小さそうで大きなギャップがあるんです。
それを本物にしていくっていうのは大事ですよ。
伊藤
一般的には、マンションだったら3LDK、
子ども部屋がふたつあって、
お父さんとお母さんの寝室があって、
みんなが集まるLDKがあって、っていう
定番があって、そこに合わせて人は住む。
でも、もっと、それぞれのスタイルが
あってもいいわけですよね。
深澤
そうですよね。

僕の頭の中のコレクション。

未分類

深澤
(スタッフの方がコーヒーを運んでくる)
ありがとう。
伊藤さんも、どうぞ飲んでください。
伊藤
いただきます。この器は‥‥?
深澤
最近見つけて買った、
沖縄の大嶺實清(おおみねじっせい)さんの焼きものです。
伊藤
あ、實清さん! 大家(たいか)ですよね。
深澤
ご存じですか。いいですよね。
彼の“大嶺ブルー”、すごいと思いません? 
あの色のよさは、沖縄に行ってみないと
分からないですよね。
サンゴ礁の海の色をしてる。
伊藤
すごいですよね。洗練されてますよね。
沖縄の器は沖縄で使うのがいちばんいい、
と思っていたんですけれど、
大嶺さんのこの器は大丈夫ですね。
深澤
僕はこれに「砂」を感じたんですよ。
大嶺さんと知らずに、ああ、すごいな、と思ったら、
大嶺さんというすごい人の作品だと。
伊藤
器を買うときは、どんなふうに決めるんですか。
深澤
「これに入れるなら焼酎のロックかな、
それともカフェラテかな?」
みたいなことを考えながら買うのが好きです。
料理でも、この器には何を盛ろうかな、
そういう発想です。
伊藤
深澤さんはご自身で器のデザインをされるけど、
よいものだったら‥‥。
深澤
買いますね。
伊藤
「よいもの」ってあふれてますか。
それとも、めったにないものでしょうか。
深澤
めぐり合い、でしょうね。
タイミングだと思います。
僕はスマホで探して知識から入るタイプではなくて、
偶然巡り合ったみたいな時にしか買わない。
いいと思ったら買うけれど、
調べて、比較しながらってことはあんまりしないです。
自動車なんかでもそうですね。
伊藤
それは勘? インスピレーションですか。
深澤
感じること、
いわば「センス」でしょうか。
センス‥‥っていうとなんだか生意気に聞こえちゃうけど、
そういう意味じゃない、
いわゆる「感覚」をすごく大切にしています。
迷うときもあるじゃないですか、人間って。
考えちゃうと迷うんですよ。
でも「センサー」には、割と、迷いがないんです。
センサーに触るときは、
それを自覚すればいいだけの話で。
そうして感じ取った
「あっ!」っていうものは、全部覚えてますね。
伊藤
え、どういうことですか? 全部覚えている?
深澤
はい。車もそうだし、家の形もそうだし、
環境もふくめて全部、
「あっ」て思ったものは、必ず覚えてます。
それを全部コレクションしてあるんです。
伊藤
そのコレクションっていうのは
頭の中のコレクションのことですか。
深澤
そうです。膨大なコレクションだと思います。
例えば屋根の色をどうしようかなって思うことは、
人間、あんまりないかもしれないけど、
僕は「あっ」て思ったら、覚えます。
で、また歩いていて、
この屋根の色もいいなって思ったときに、
はじめて比較になるわけです。
前に見たあの屋根の色と、
どっちのほうがよかったかなって。
伊藤
1個覚えたら、1個忘れるということじゃないんですね。
わたしは、どんどん忘れてしまいそう。
どうしてだろう! 
深澤
僕の頭の中にはそのコレクションがたくさんあるので、
クライアントから仕事を依頼された時も、
最初のミーティングの場で
スイッチがオンになるだけなんですよ。
なんていうか、経路のセンサーが立ち上がるんです。
だから、仕事の依頼を聞いて、
ハイ、じっくり考えます、っていうんじゃなくて、
話しているときにそのセンサーが動き始め、
「だったら、こういうものがいいですね」と、
すぐに答えが出えるんです。
伊藤
その答えは、ざっくりなんですか。
それとも、かなり細かいものなんですか。
深澤
結構細かいところまで決まります。
アバウトじゃなくて。
伊藤
なにかを例に‥‥さきほど拝見した水洗金具。
深澤
水洗金具がどういう形なのか、
機能的なところでは決まりがありますよね。
水が上がってくるものなので、
シリンダー(円筒)の形をしてるっていうことが、
当たり前なんですよ。
それをいろんなデザイナーが
違う形にしているだけであって。
僕が依頼を受けたボッフィ社は、
その、いちばん「まんまん中」をやる、
というか、それしかやらしてくれない会社なんです。
経営者がそういう人なんですね。
だから「誰もやらないけれど、
一番当たり前の形にしてください」が依頼なんです。
そうすると僕は最初のミーティングで、
ふつうならダレてしまうエッジ(切削加工で出す角部)を
ピン角(丸みのない、エッジのとがった角部)に
してください、みたいな話をいきなり始めちゃう。
すると、経営者も、そういう話がしたかったんだ! と。
その人はお金持ちの経営者なんだけれど、
デザインというものにすごく思い入れがあるんです。
伊藤
深澤さんっていう人にお願いしよう、
じゃあまずは現場のひとと打ち合わせをして、
3か月後にプレゼンをして、会議を通し、
最後に経営者が判断して‥‥とかじゃなくて、
最初に、その場で、いきなり?
深澤
もうその場で決まります。
伊藤
その経営者の方も打てば響いて、
だったらこうしましょう、
いや、もっと、こうしましょう、
みたいに、どんどんできていって、
「よし、それだ!」と?
深澤
そういうことです。
伊藤
すごい‥‥。
深澤
会議にブリーフィングってあるでしょう。
直前の打ち合わせ。
正式に会ったときに何を決めましょうか、
みたいなことで、会いに行くこともあったりするんですが、
もうその場で決まってしまいます。
伊藤
それはもうサラサラって
深澤さんが絵を描くわけですか。
深澤
描いちゃう場合もあるし、
会話の中からそれだったらこれがいいねと、
この素材を使ったらどうかと、決め込んで行く。
これは特別なことじゃなく、
それがヨーロッパのやり方なんです。
日本は違いますよ。
伊藤
ヨーロッパ全部?
深澤
ヨーロッパは、ほぼ、そうですね。
伊藤
日本は違うんですか。
深澤
日本は大きな企業に「決める人」がいないから
そういう決め方ができないんです。
だからA・B・C・Dってチョイスを出す。
だから、超つまらないですよ、それは。
伊藤
でも、その仕事の仕方も変わるかもしれないですよね。
‥‥どうなんだろう。日本って。
変わらないのかなぁ。
深澤
伊藤さんや「ほぼ日」は、
日常の生活のスタンダードを上げていると思うんです。
でも、日本っていう国自体は、
経済の指標を平均的な人間の幸せ度と比べちゃってるから、
水栓金具の角がどのくらいか、で、
人がどれくらい幸せになるかっていうような
数値(を考える文化)はないんですよ。
伊藤
なんで比べるようになったんだろう。
深澤
例えばイタリア人は
タクシードライバーが革ジャンを着てるし、
植木職人が格好いいわけですよ。
ズボンの丈は全員ピシッとしてるし、
毎日糊のかかったシャツを着ていることは当たり前だし、
3ミリくらいのひげをちゃんと整えて生やしてる。
それが当たり前なんです。
毎日おいしいものを食べてね、
でもそれはお金持ちだからそうだということじゃなく、
収入がそんなに高くない人でも同じようにしてる。
世界に対して自分たちに
どのくらい経済力があるかなんてこと、
彼らにとっては全然どうでもいいことで、
興味なんか全然なくって、
むしろ誰が一番いい感覚を身につけてるか、
みたいなことが、プライドとして、ある。
イタリアに限らず、ヨーロッパの人たちは
全般的にそうですが、
特にラテン系、イタリアとスペインとフランスは
圧倒的にその意識が強い。
「ブランド物を買わない」というのもそうですね。
日本だったらブランドが立っていますよね。
でも、ヨーロッパに行くとブランドで買ってるのは、
主に海外からのお客さんです。
自分たちは、ブランドに関係なく、
自分で選んだ、質のいいものを身に付ける。
伊藤
そうなりたいですね。いいものが、いい。
深澤
「ほぼ日」も、毎日が豊かであるっていうところに
指標を置いてるから、
この器はこうだよね、みたいな話が、
いかに僕らを豊かにしてるかっていうことに対しての
貢献をすごくしていると思うんです。
でもそれが国全体としてはシェアされていないので、
そこをやっぱり上げたいなっていう気持ちはあります。
伊藤
深澤さんは『ふつう』という本を書かれましたよね。
あれ、すっごく面白くて。
わたし、「ふつうにおいしい」っていう言葉を
若い子が言ってるのを初めて聞いたときに、
すっごい失礼じゃんって思ったんですよ。
深澤
「ふつうにおいしい」。
伊藤
テレビの中での出来事だったんですけど、
「おいしい」にもいろんな表現の仕方があるはずなのに、
ふつうにおいしいって何? って思ったんですけど、
1回冷静になって考えてみると、
例えば母が作ってくれたバーモントカレー中辛、
あれがわたしにとっての
「ふつうにおいしい」だなぁと。
深澤
うん、「ふつうにおいしい」。そうそう。
伊藤
それで「ふつう、って何だろう?」と考えていたときに、
この本が出て、ああ、そっかそっか、と。
でも全然ふつうじゃないことが書いてあるんです(笑)。
深澤
フフフ。そうなんですよ、
結構みんなに言われるんですよ。
僕にとってはふつうのことを言ってるんですけど、
特に外れたことを言ったのは最後の章のあたりで、
車なんかはアストンマーチンとかベントレーとか
超高級外車を、ふつうにいい車じゃん、
みたいな感じで書いてるんですよね。
伊藤
あとトヨタのクラウンがいいって。
深澤
クラウンも、あ、ふつうにいいじゃんって感じで、
気負いがないんですよ。
伊藤
そっか、気負いがないってことなんですね。
深澤
ない。そのカレーもバーモントカレーなんだけど、
じゃがいもが適度にちゃんと切れてるとか‥‥。
伊藤
はい。よくよく母に話を聞いたら、
すっごい大量のバターで炒めた
玉ねぎが入ってました。
これはコツですね、
「ふつうにおいしい」のための。
深澤
そうそう、そういうことですよ。
そういうところで合格点が与えられていながら、
味付けはバーモントカレーだから、
「ふつうにおいしい」じゃん、っていうところにいく。
伊藤
スパイスを駆使するんじゃなくて。
深澤
トマトを入れたりとか、そういうことをして。
伊藤
できることで工夫をしたんだなと思って、
すごく感動したんです。
深澤
「ふつうにおいしい」はすごい誉め言葉です。
相当おいしいけどふつうに見える、
ってことですから。
伊藤
飽きが来ないで、てらってなくて、気負いがなくて。
ひょっとして深澤さんは、
そういうことをデザインでも
目指されたりしてるんですか。
深澤
‥‥っていうことですよね。

空間とものを一緒にデザイン。

未分類

伊藤
(1階にもどってキッチンへ)
これが深澤さんがデザインされたという
ガラスのうつわですよね。
深澤
はい。これは台湾です。100種類、作りました。
伊藤
100種類!
深澤
これが一番自慢の、元の形なんです。
水を飲むグラス。
かわいいでしょ。
伊藤
いかにも「コップ」のかたちですよね。
深澤
はい。そしてこれは赤ワインで、こっちが白ワイン。
伊藤
なるほど。
深澤さん、お酒も飲まれるんですか。
深澤
お酒? いっぱい飲みます。
ここでみんなで飲みます。
お客さまがお酒を持ってきてくれるのが、
いっぱい貯まって。
伊藤
冷蔵庫は‥‥。
深澤
冷蔵庫、ここです。
リープヘル(LIEBHERR)のもので、
扉と一体型になっています。
伊藤
このグラスもいいですね。スタッキングができる。
でもカクカクしていない。
深澤
このスタッキングのすがたが、かわいいですよね。
5、6年やって100種類で、
これからさらに100種類をつくります。
これはアレッシィ(ALESSI)の社長が
自分で作ったワイナリーのワインです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの
フラスコの形なんだそうですよ。
イタリア人とかスペイン人って「こだわり」が強い。
いや「こだわって」いるんじゃなくて、
それが当たり前なのかな。
そういう人と一緒に仕事をしていると、
自分もそんな感じになってくるんです。
この空間を見ると、
スペシャルに作った感じがしますけど、
自分からすると、
むしろこっちが普通なんじゃないの、って思うんです。
伊藤
なるほど。
面白かったです、ハウスツアー。
ありがとうございました。
深澤
それじゃ2階でお話ししましょうか。
伊藤
はい! 
あらためて、お忙しいなか、
ありがとうございます。
深澤
ご指名いただいて恐縮です。
この場所がちょうどできたタイミングで
お話をいただいたので、
ちょうどいいなと思って。
伊藤
よかったです。
深澤
伊藤さんに、全体を見て欲しかった。
僕はものづくりのデザイナーだって思われてますけど、
本当はこういう空間全部をつくっています。
伊藤
ご自宅はどんな感じなんですか。
深澤
きれいですよ。
いまの家に行き着くまで、
3回くらいマンションを移り住んで、
どれも一度スケルトン(からっぽ)にして、
直して住んでいたんですが、
趣味‥‥というか、仕事が高じて、
だんだん面白くなってきて、ここに至ったわけです。
でもこれが終わっちゃった(完成した)から、
ちょっとつまらなくなっちゃって、
またなにか作りたいなと思ってます。
伊藤
お仕事の場所って東京ですか、今は。
深澤
東京ですね。
コロナが始まる前はいろいろでした。
アジアは毎月行ってましたし、
ヨーロッパは年に4回か5回くらい。
アメリカの仕事もしてるので、年3回行ってました。
伊藤
じゃあこの2年は本当に。
深澤
本当に日本にいます。
これはこれでちょっと落ち着いていいな、と。
やっぱりちょっと興奮気味で行くんですよね、
ヨーロッパって。
自分の仕事を見せに行くわけだから、緊張もあるし、
それはそれなりに楽しいことなんですけど、
でもこうやって足止めを食らってしまうと、
仕方ないなと思って。
その時にちょうどこの家を建て始めたので、
コロナ期は、この家のデザインを集中してやりました。
伊藤
深澤さんは建築図面まで描かれるんですか、
それともデザイン画を?
深澤
かなりこまかいデザイン画を描きます。
でも建築はやっぱり構造が大切ですから、
その先はプロに任せます。
この物件を頼むとき、デザインと建築が
どちらもわかる人にお願いしたほうが
いいんじゃないかなと思って、
ある大手の工務店を頼りました。
伊藤
わたしたちは「こうしたい」ということが
うまく設計の方に伝えられずに困るんですが、
深澤さんだったら、それができますね。
深澤
でも、設計者とは、70回打ち合わせをしましたよ。
住宅って、施主にすごく強い思いがあるんです。
でもそれはいいデザイン的なものではないこともあるのが、
建築会社からすると大変らしい。
伊藤
なんでこんないらないものをつけるんだろう、みたいな?
深澤
たとえば「アルルの橋を作ってくれ」とか。
そういう施主と、現実にそれはどうなのかという
微妙なチューニングをするのが、難しいそうです。
伊藤
チューニング。
深澤
やっぱり家っていうものには憧れがあるんです。
伊藤
お金も時間もかかるわけですしね。
深澤
でもみんな専門家ではないから、
その思いを設計する人に伝えるんだけれど、
うまく伝わらないというか、
自分で描き切れてないままなので、
うまく伝わらない。
伊藤
日常に使う小さなものひとつでさえ、
自分が欲しいなと思っていても、
実際には自分では作れないわけですよね。
なのに家なんて、もう、そんなこと、
考えられないんじゃないかなって思うんです。
深澤
自分のスタッフとか知人のデザイナーで家を建てた人に
「ふだんはうんと細かい仕事ができるのに、
自分の家はハウスメーカーにお任せなの?」
と聞いたりもしたんです。
すると、ハッとして
「そういえばそうですね」みたいな感じになって。
僕は、工務店は細かいことができるはずだと思って、
さきほど伊藤さんがいいとおっしゃってくださった
入り巾木の話もそうだし、ドアの話もそうだし、
徹底的にやってもらったんです。
伊藤
打ち合わせを重ねて。
深澤
そういうことを積み重ねて行けば、
理想的な空間はできるんじゃないかなと思います。
僕は、今、空間と、ものを
一緒にデザインするっていうことに、
すごく思いが強いし。
伊藤
わたしの今住んでいるマンションが
築50年くらいなんですけど‥‥。
深澤
おお、きっと、きれいでしょう。
伊藤
外国の方が住んでいたそうです。
深澤
写真で見ると、きれいじゃない?
伊藤
写真はきれいに撮りました、お見せするので(笑)。
でも天井と壁のあいだの、ちょっと過剰な飾りが、
ゴロンとすると目に入るんですね。
それが嫌なんです。
深澤
オーナメントですね。
伊藤
よかれと思って施工したと思うんですけれど。
深澤
そのくらいだったら、いいんじゃないですか。
もっとひどいところ、ありますよ。
伊藤
そうかも。
それにひきかえ、深澤さんのところは、
そういうものがなくて!
深澤
まだ物がない状態ですけれど、
これから好きなものが増えていくと思います。
今、住んでいる家の方には、
無名だけど、すごくいい仕事をしてる人の器とか、
いっぱいあるんですよ。
日本民藝館の館長をしている関係で、
「僕にもちょっと作ってくれる?」
みたいな感じで増えていったんです(笑)。
伊藤
日本民藝館の館長になられた時はびっくりしました。
深澤
そうですか? そうですよね。
推薦されて、そのお話が来たんですけど、
僕は民藝に興味があったというよりも、
民藝館の館長をしていた柳宗理(やなぎそうり)さんが
日本の工業デザインの草分け的な存在だったから、
その方がお亡くなりになったときに次の人はって
お声がかかったから、
これは光栄なお話だとお受けしたんです。
僕も工業デザイナーだったから。
伊藤
そっか、柳宗理さん。
深澤
僕は民藝の専門家ではないけれど、
物に対しては同じマインドで見ることができる。
今は、柳宗悦(やなぎむねよし)っていう人が考え出した
その美学が、非常に勉強になってますね。
いつも驚きばかり。
こんなによく集めたなって‥‥集めたっていうより、
その感じをシェアしたかったんだろうなって思います。
そのシェアしたい人たち、
同じ気持ちを同じにした人たちと打ち解けて、
いろんなものを探し出してた時が、
「民藝運動」になったんじゃないかなと。
運動をしよう、という感じでやったんじゃなくって
「これいいよね、いいよね」
みたいな感じだったと思うんですよ。
そういう自然な成り行きが
ものづくりにはすごく重要で。
何かを集団でやりましょうみたいな、
いわゆるユニット系のクリエイティブが
多いじゃないですか、
そのことを否定するわけじゃないんだけれど、
なんで自分一人でやらないのかなと思う。
伊藤
逆にちょっと、そういうユニットって
進まなそうですけどね。
深澤
ね、難しいですよね、二人や、三人って、
意見が合わなくなることがいっぱいだと思う。
逆に言ったら、自分は一人でやることを選んでますけど、
自然に人が集まってくるっていうことは
あると思っています。
この辺も、僕が来たからっていうわけじゃなくて、
結構いろんなクリエイターの方が住まわれている。
伊藤
そうなんですか!
深澤
うちのスタッフも、これ建てたことで、
ああ、こういうところでデザインの仕事をしながら
暮らすのもいいなと思ったらしく、
近くで今、家を建てていたりします。
伊藤
世田谷のこのあたりって、
のんびりしていていいなと思います。

子どもの頃から。

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伊藤
このおうちをデザインするときに、
どんなことを最初に考えられたんですか。
深澤
最初の概念はやっぱり、僕が常に考えていること、
さっきも言ったように子どもの頃のイメージで、
どんなふうな生活がいいかなと思っていたことです。
伊藤
子どもの頃からそういうことを考えてらしたんですか。
深澤
そうですね。ちょっと変人だったかも? 
みんなが言ってることって、
いろんな人から影響を受けている情報で、
自分が素直に正直に思ってることじゃないんじゃないか、
っていうことにいつも疑いを持っていた、
ちょっとませたガキでした。
そういう心理っていうか道理っていうか、
そういったものを考えるのが好きだったかな。
だから「住む」って言ったら
みんなどういうところに住みたいんだろうか、
どういうところで平和を感じているんだろうとか。
この家も、そういうイメージから全体を考えて、
段々、ディテールに入っていきました。
でもそのディテールは、情報としては
ほぼ頭の中に入っているんですよ。
ここはどうすればそうなるな、
みたいなところを、つなげていった。
伊藤
「ここに住むのはちょっと‥‥」
と思うような住宅建築もありますよね。
「感じ」ではなく「カッコいい」が優先というか。
深澤
「感じ」って、大事ですよね。
センスというのは、
「センサー」で感じることができること。
感じられる人はそれができる人、
感じられない人はできない人です。
そして僕は「カッコいい」からは入らない。
ものづくりは。むしろ正直ベースで、
「こんな感じですかね」って提案をすると、
みんなが「そうなんです、そう思ってたんです」
っていうような返事が返ってくるようなことをやる。
その人たちも、そこまで考えてはいなかったけれど、
それを実現させる。それが僕の仕事です。
伊藤
「こういうのが欲しかったんだ!」
っていう考えはなんとなくあるけれど、
自分たちでは形にできない。
それを形にするのが深澤さんの仕事なんですね。
深澤
そう。それを気づかせてあげる、
‥‥って言うとちょっと生意気だけれど、
「こんな感じですか」とか言うと
「そうなんだよ」みたいな感じで返ってきたら、
もうその仕事は成立したって思います。フフフ。
伊藤
地下のスタジオも、ぜひ拝見させてください。
(階段を下りて地下へ)
わぁ、わあ! 
ここで試作品をつくるんですか。
深澤
ここで、発泡ウレタンを削るんです。
たとえばこの椅子。
発泡ウレタンだから座れないんですけど、
形を見るには十分ですよね。
これで良かったら、メーカーに送って、
本番の素材で作っていただくんです。
こういう形をまず手で作ってから、
それをデータに置き換えて、
実際の機械で作業をするわけです。
機能性だけじゃなく、彫刻的なものも、
基本的にはデータ化されていますし。
伊藤
なるほど、素材を変えて、
実際のものづくりの方法で。
深澤
そうです。それがこれからのものづくりの
新しいやり方かなと、ちょっと思ってるんです。
全部自分の手で作らなきゃいけない、
っていうんじゃなくって、
いわゆるデジタル化されたものだけれども、
必要に応じてそれを作りますって。
伊藤
実際、予定していた素材でつくってみたら、
「おやっ?」て思うこともあるでしょうね。
深澤
もちろんあります。
椅子だったら実際に座ってみて、
ちょっと硬いね、とか、
ちょっと浅いね、とか。
でも、最初に「いいね」っていうところまでは
できているわけなので、
基本的にはデザインが崩れないんですよ。
「ぶれを修正する」っていうレベルです。
伊藤
構造的な大きな修正はないんですね。
深澤
はい、それは知識として
ある程度分かっているので大丈夫。
伊藤
深澤さんのデザインって、
器とかにも及んでいますが、
こういう家具とは、また違うでしょうか。
深澤
違いますね。
最終的に手を使って作られるものをデザインするのは、
すごく難しいです。
でもやっぱりここで同じように原型を作って、
その造形を見て、ガラスで吹いてもらうとか、
そういうふうにしています。
クラフトマンはいきなり作るので、
失敗もあると思うんですけれど、
僕ら、デザイナーというものは、
ここで確信を持つってことが担保されていないと、
先で破綻する場合が多いですよ。
だから自分はこの「モデル作業」を考えて、
アメリカにも、持っていきましたね。
伊藤
そうしていまはこの地下のスタジオで、
プロダクトの原型が生まれるんですね。
このお部屋、さきほど階段を下りてきて
見えた景色の中で、
ガラスの壁ごしにとてもすっきりしていて、
道具はどこにあるのかしらって思ったんですが、
この、作業スペースに立つと、
机の下の収納に、道具がいっぱい!
深澤
ガラス張りの部屋にしているのは、
作業中のスタッフの姿が見えるからです。
「見える」っていうのがすごく重要。
どの時点で「うまくいくな」と分かるんですよ。
だからできるだけ閉じてしまわないで、
開いた状態でものを作ったほうがいい。
それがいろいろな経験になります。
伊藤
なるほど、ガラスであることは大事ですね。
作業をする人も、きれいに保ちたくなります。
ちょっと見た時にゴミが落ちてたら「あっ」て思うし。
深澤
実際ものを作ってるときは散らかるんですけどね(笑)。
‥‥これも試作品です。
イタリアにデータを送って、
向こうでテーラーメイドでつくったものを、
送ってもらいました。
本来は僕が出張に行って確認していたんだけれど、
コロナで行けないから。
座ってみてください。靴は履いたままで。
ちょっと秘密があるんです。
ここをこうすると‥‥ほら。
伊藤
リクライニングするんですね! 
ちょっと! もう! すごいですね。
深澤
ハハハ。
伊藤
これで視線の先にTVがあって
Netflixが繋がってればもうあとは何も要りません! 
って、すっごく偉そうなわたし。
これは「B&B Italia」ですか?
深澤
「B&B Italia」です。
Harbor Laidback、っていうんですけど、
ハーバー(=港)という名前にしたのは、
「ここに戻ってくる」ということなんですよ。
伊藤
コンパクトに見えますが、
この幅で、男性も大丈夫ですか、
深澤
もちろんです。
伊藤
とても曲がるとは思えないのに。不思議。
カバーの着脱は、マジックテープじゃなくって、
きれいなファスナーがついていますね。
深澤
女性の服のように、後ろのジッパーで
カバーを着せ替えることができます。
そのステッチの幅や太さも、
イタリア人は徹底して考え、
候補を何種類もつくって持ってきてくれます。
新しいステッチがいいってなると
そのためのミシンを買ったりするんです。
伊藤
なぜこんなに気持ちがいいんだろ‥‥。
深澤
背もたれの部分の生地が
本体からすこし浮いたように
もりあがっているでしょう。
これは、背中ってちょっと押されたほうが
気持ちがいいからなんです。
伊藤
そんな工夫があるんですね。
さて、もうちょっと探検を‥‥
このお部屋は?
深澤
ここは洗濯をする部屋です。
奥には乾燥室も。
伊藤
(棚の上で発見)
あ、これ、「PLUS MINUS ZERO」の
エッグカートン
の仲間ですよね。
あのエッグカートン、もう作られないんでしょうか。
すごくきれいで、愛用しているんですが、
ともだちに勧めたくても、
廃盤になってしまったみたいで。
深澤
再度、作りたいと思ってます。
伊藤
ぜひ作ってください! 
‥‥あ、すごい、
このドアの仕組み、見たことがないです。
つり下がっている‥‥のかな?
深澤
伊藤さんって、
面白いところに興味をお持ちですね。
建築家っぽい。
伊藤
金具とか、住宅設備が気になるたちなんです。
なんでこんなごついのかな、とか。
電灯のスイッチも、なかなか気に入ったものがないんです。
深澤
これ、オススメですよ。パナソニックなんです。
ちょうどこの家を建ててるときに発売されたものです。
伊藤
わあ! 家全体が素敵でも、
パーツで一気に駄目になることがありますから。
‥‥このスタジオにも、エアコンが見当たりませんね。
深澤
エアコンは、風が、ここから出てくる。
伊藤
このスリットから? 
きれい。
深澤
上の隙間から出て、下で吸気しています。
伊藤
こんなに完璧で‥‥深澤さんって、
だらしなくなる瞬間はあるんですか。
深澤
一人だったら結構いい加減なものですよ。
だらしないものでしょ? 生活って。
みんなで一緒に生活をしてるからルールを決める。
でも散らかっていても、
元に戻すところを決めておけば、
絶対きれいになるので、
「なんとなく」ということはしていないですよ。
伊藤
散らかってるものがきれいだから、
散らかってる姿もきれいなんでしょうね。
深澤
そういうふうになると思いますよ。
1階のキッチンでも、
いつも使ってるグラスは決まった場所に並べておけば、
使っても同じ場所に戻ります。

「気にさわる要素がない」ということ。

未分類

伊藤
お話を聞きながら思ったんですが、
このお部屋、天井に照明がないですよね。
というか照明が、そもそも、少ない。
深澤
照明、少ないですよね。
ダウンライト(天井に光源を埋めこんだ照明)って
ヨーロッパには基本的にないし、
建築的にあんまりきれいじゃないと思われています。
上からくる光ってのは日本的な概念で、
「明るくなきゃいけない」っていうことですが、
こういうふうに下から上を照らしたほうが
きれいになりますよね。
それに、今のLEDって、目に痛い。
伊藤
日本の「明るいことがいいことだ」っていう、
あれは、なぜなんでしょうね。
深澤
文化度じゃないですか。
伊藤
文化度。
夜だったら暗闇になじませていったほうが
いいかなとか思うんですけど。
深澤
ヨーロッパはろうそくの光で食事をする人が
今でもいっぱいいますが、
いまの日本はそういうことはなくて。
「明るい」が電機メーカーの
キャッチフレーズであったように、
高度成長期からあんまり変わってないんでしょう。
伊藤
明るさが豊かさの象徴だと。
わたしたち、それに慣れてしまった。
深澤
日本は、直接当てるものが光だ、という概念があって。
ヨーロッパは「包まれる光」っていうような
感覚があるんですよね。
英語にはアンビエントっていう言葉があり、
「周囲」(光がぐるりと取り巻く)っていう
意味ですけれど、その感覚ですね。
伊藤
日本にも昔はあったでしょうに。
繊細な光が。
深澤
昔はあったと思いますよ。
それを嘆いたのが谷崎潤一郎の
「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」。
黒塗りの器にお吸い物を入れて
行燈の光でいただくと、
中は見えないけれども香りだけがまず先に来る、
みたいな、センシティブなセンサーが
日本にもあったと思うんです。
伊藤
深澤さんのお部屋を見て、
そんなことを思いました。
ずっとここにいたくなりますが、
ぜひ他のお部屋も見せてください。
あ、もうひとつ、バスルームが!
深澤
娘が来たとき、ここを使うんです。
今は、それぞれ別に住んでいるんですけれど。
伊藤
素敵。
それでベッドルームがもうひとつあるんですね。
深澤
そうなんです。
伊藤
(しげしげと窓の上部を見て)
カーテンレール、こうやって埋め込めばいいんだ!
深澤
よく気が付いてくださいました。
伊藤
わたし、カーテンは大好きなんですが、
カーテンレールが苦手なんです。
深澤
サイレントグリス(Silent Gliss)という、
世界で一番細いカーテンレールを埋め込みました。
その向こうに遮光のブラインドがあります。
それは電動で降りてきます。
伊藤
あこがれ、あこがれです! 
カーテンレールが見えるのがいやで、
どうしたらいいんだろうって、
ずっと思っていたんです。
深澤
そうですよね。
カーテンって、結構、使い方が難しいですよね。
伊藤
でもカーテンっていいですよね。そこが悩み。
深澤
いいです。カーテンは、すごくいいです。
自動の遮光ブラインドは、入れるかどうか迷いました。
でも1枚1枚毎朝毎晩開け閉めするのは大変だぞと。
色もニュートラルなグレーで、きれいでしょう。
伊藤
ここも天井の照明がない。
空調も‥‥ない?
深澤
設備機器は全部隠してあります。
空調は、空気が出るところだけ
壁にスリットを作り、その奥に設置しています。
床も暖房が入っています。
伊藤
すごく楽しいです。ああ、今日来てよかった。
深澤さん、とうとう家をまるごとデザインなさいましたが、
これから機会があったら
もっとデザインをしてみたいものってありますか。
深澤
今はまさしく、家ですね。
こういうふうに全部やりたい。
全部を、ちゃんと調和させたい。
やっぱり生活の雰囲気をよくしていきたいじゃないですか。
そのために手を抜かずに考えてみたいですね。
伊藤
おうち全体ができたら、外側も気になりますよね。
お庭とかその周りの環境っていうか。
深澤
そうですね、もちろん。
ここには10メートルの欅(けやき)を植えました。
背の高い木が1本あって、
白い建物があるっていうのが、
子どものころから思っていた
自分の幸せの原風景なんです。
でも「家に1本の木」って、やってみたら、
意外と難しかったですよ。
シンプルにするっていうこと自体が。
伊藤
きっと、そうですよね。
‥‥この、ソファの背になる壁は、
天井が低くなっていますね。
深澤
隣のお宅に光が入らなきゃいけないので、
この傾斜を確保しているんです。
壁のところは天井が触れるくらい低いんですけど、
背にして座ると、自分の目線が
窓に向かって上がっていくので、違和感がないでしょう?
伊藤
しかも、座ったとき、
守られてる感じがします。
深澤
そう感じますよね。
屋根裏部屋みたいな感じ。
伊藤
それから、気づきました、
壁に巾木(はばき=床と壁の境目の部材)がないですね。
深澤
これは入巾木(いりはばき)って言います。
そのために壁を二層にはらなきゃいけないんですが、
やるとやらないとでは印象が全然違います。
伊藤
ぱっと目に入るよさ、というより、
「気にさわる要素がない」
ということなんですね。
深澤
そうなんです。
この間仕切りも、ほら。
伊藤
わぁ、天井の傾斜にそって!
深澤
これで向こう側の部屋のプライバシーも守られます。
そういうところ、大事なんですよ。
伊藤さんがおっしゃってくださった
カーテンやカーテンレールもそうですし、
「抱き」(だき)っていうんですけど、
厚い壁をくりぬくように、
いちばん外側に窓がありますよね。
海外は構造を石で積んでいるので
これくらいの深さが必要なんですが、
日本の建築だと本当ギリギリに壁をつくるので、
こういうことがありません。
つまり、これ(壁の厚み)は
無駄なスペースなんですけれど、
この「抱き」があるからすごくリッチに見えるし、
窓もきれいなんです。
伊藤
壁と壁の境目が切れているのは‥‥。
深澤
そこはエアコンダクトです。
そこから空気が出てきて、
カウンターの下に開いている穴から吸い込みます。
伊藤
え! 
空気が循環するんですか。
深澤
はい。
こういうところにエアコンがガツンとあったら、
美しくないでしょう。
そういうことを感じている方、
「ほぼ日」のまわりにはいらっしゃると思うんだけれど、
こうして誰かが具体的にやっていかないとと思います。
建築家って、意外と、こういうこと、やらないんですよ。
伊藤
なぜでしょう。
深澤
デザイナーとエンジニアで言うと、
建築家はエンジニアの側にいて、
デザインのエキスパートではないからですね。
ヨーロッパではアーキテクト
(Architect=英語では建築家だけでなく、
企画者、創造者の意味も)がデザイナーでもあって、
家具類も全部デザインするのが当たり前でした。
ところが日本で家具までデザインする建築家は
あんまりいないんですよ。
伊藤
だからこういう「抱き」のような
構造的には無駄な空間をつくるのは難しいですよね。
デザインすることが難しくて、
だからこそリッチなんですね。
窓からさす光で、陰影がすごいです。
深澤
連続した窓っていうのも、
あんまり見かけないですよね。
伊藤
そうですよね。
この気持ちのいい床材はオークですか?
深澤
はい、トルオーク(楢)、
250ミリ幅です。
伊藤
そしてこのらせん階段は、スチール(鉄)。
‥‥一体型ですよね、地下から2階まで。
手すりも一体化していますね。
深澤
これ、入れるのが大変でした! 
これを曲げられる鉄工所が日本ではあまりないんです。
工場のローラーもすごいですよ、造船所みたいなところで。
リチャード・セラ(スチールを使う彫刻家、
巨大建造物クラスの彫刻をつくる)のような感じのものが、
普通の家の中にありたいな、っていうのが単純な想いです。

家をまるごとデザインしました。

未分類

伊藤
深澤さん、どうぞよろしくお願いします。
こちらは、素敵な3階建てですね。
引っ越されたのは最近ですか?
深澤
はい、最近です。
2021年の7月です。
伊藤
お仕事場として作られたんですよね。
深澤
はい、仕事場です。
自宅は別にあるんですが、
ここの2階は寝られるようになっています。
地下はスタジオになっています‥‥って、
説明をしているよりも、
せっかくなので、ざっくばらんに、
ぜんぶ見ていただこうかな。
伊藤
ありがとうございます! ぜひ。
深澤
(らせん階段を上りながら)
これまで、自分の作品を
一覧して置いておける場所がなかったので、
家を建てようと思いました。
生活しながらデザインが見られる
ライブリーなショールームみたいな場所です。
たとえばイタリアの仕事では、
ベッド、バスタブ、トイレなどをつくっていて。
伊藤
(階段を上り切って)
わぁ、すごーい!
深澤
そういうものは、こちらに。
(バスルームへ)
伊藤
わぁ、わぁ。
こういうのって、
日本のどこかで商品を見られるんですか。
深澤
それが、見られないんですよ。
伊藤
そうですよね。
それにしても、このバスタブのすばらしい品質。
見た目も、触った印象も。
深澤
このくらいの質感でなければ許せない、
というような人たちが、
向こうにはいっぱいいるんです。
伊藤
きりっとした感じですね。
深澤
これを作ることが、すごく大変なんです。
ジュエリーを作るような繊細さが要求されます。
そういう最高級ブランドのものなんですよ。
僕、ブランドの名前も付けていて、
このバスタブをつくっているボッフィ(Boffi)社
ファンティーニ(FANTINI)っていう
別の会社と一緒につくっている水栓金具の名前を、
アバウトウォーター(ABOUTWATER)と付けました。
伊藤
へぇ! アバウト‥‥。
水にまつわる、というような‥‥。
深澤
日本語化できないかもしれないですね。
伊藤
じゃあバスタブと水栓金具をセットで買われる方が、
あちらには。
深澤
います。
ファンティーニでも、
ボッフィでも売られているんです。
伊藤
深澤さんがこういった外国のお仕事をなさっていること、
わたしたち、あまり知らずにいます。
深澤
日本ではなかなかこういうものを生活の中に入れようとか、
それを売ろうっていうことを考える人がいないので、
結果的に海外だけの仕事になってしまいますね。
日本のメーカーとつくるものは、
日本で紹介されているけれど、
僕、こういう仕事もしているんですよ。
伊藤
どんなふうに依頼が来るんでしょう?
深澤
定番的なものを作って欲しいっていう依頼が多いです。
そういうことができるデザイナーを探したら、
僕にたどり着いたというような感じでしょう。
もともと僕は、電子機器や精密機器のデザイナーでした。
あとからこういう環境学をやり始めたので、
「彼だったらできるんじゃない?」みたいな。
伊藤
なるほど。
そして、この建物自体は、やはり深澤さんが?
深澤
自分でデザインしました。
伊藤さん、御存じなかったですよね。
内緒にしてましたから。
伊藤
伺う住所が新しかったので、
「ん?」とは思っていたんですけれど、
ひょっとしてご自宅なのかな、とも。
深澤
(ベッドルームへ案内をして)
こういうベッドもデザインしてるんです。
ヨーロッパでは使われているんですが、
日本ではなかなか‥‥。
だから自分がユーザーとなるしか、
見せる場所がないんです。
この椅子も、その大理石のテーブルも、
違うメーカーですけれど、僕のデザインです。
花瓶は「バンチ(bunch)」っていう名前で、
一輪挿しが、花束のように、束になっています。
伊藤
以前の事務所のお写真を拝見したことがあるんですけど、
壁に取り付けられた家具が床から浮いていました。
こちらの棚のように。
深澤
そうですね。足がない。
伊藤
いいな! と思ったんですけれど、
わたしたち、狭いところに住んでるから、
ぜんぶマネするわけにもいかないんです。
深澤
日本の建築の常識からすると
壁から出すとかっていうことがなく、
置き家具になってしまう。
伊藤
たしかに、いちから建てればできますよね。
深澤
できます。
これはもともと床置きの
「シェルフエックス(Shelf X)」っていうシリーズで、
床置きも、壁掛けもあるんですよ。
伊藤
深澤さんが「棚にはその人の人生が見える」
っていうことをおっしゃってたのを読んだんですけど、
えーっ! と思って。
ごちゃごちゃしたところ、深澤さんに見せられないです。
深澤
ハハハ。
伊藤
それにしても、いいですね、
こうして、深澤さんのデザインが
生活の空間のなかで見られるのって。
深澤
以前は南青山に部屋を借りていたんですが、
そこもきれいにしてはいたんですけれど、
いっぱい仕事をしてきた、その製品を見せることができる、
こういうアトリエが欲しくなったんです。
ヨーロッパに仕事で行くと、
アーティストが自分のアトリエを
持っているじゃないですか。
今も昔も。
伊藤
はい、そういうかたのところで、
案内をしていただいたことがあります。
深澤
僕も何人かのアトリエに行ったことがあって、
なかには故人のアトリエがそのまま美術館に
なってるところもありますね。
でも賃貸で借りている場所しかなければ、
僕の仕事が終わってしまったら、
その場所ごと無くなってしまいます。
こういうものも全部分からなくなってしまうし、
もちろんデータとしてのアーカイブはありますけども、
生きたアーカイブはなくなる。
みんなも仕事をする場所がなくなる。
じゃあアトリエを作りましょうと。
伊藤
構想は何年くらいだったんですか。
深澤
ずっと思っていたことは思っていたんですけれど、
実行に移したらすごく早かったです。
ここは、散歩をしていて、
桜の並木があっていい場所だなと思っていたら、
売りますよっていう不動産屋の看板が立っていたんです。
広い敷地を分割した場所だったんですが、
先に後ろの旗竿地(はたざおち)が売れて、
この場所が残っていました。
そうすると、密集してるけど引きが取れ、
三方から見える家を建てられると思ったんですね。
じゃあ、道路に面したところは石垣を積みたいなとか、
そんなふうに考えはじめました。
伊藤
そうだったんですね。
あっ‥‥すごい! 
あこがれの「ベッドルームにミニバー」が!
深澤
壁に隠してあるんです。
伊藤
この中もじゃあ全部?
深澤
はい、デザインしてます。
伊藤
先ほど、もともとは電子機器や
精密機器をデザインしていたとおっしゃっていましたが、
クライアントのかたは、その製品を持っていて、
いいなって思ってくださっていたんでしょうか。
それで「この人にこういうものを頼んだらどうだろう」
みたいな‥‥。たとえばこのベッドも。
深澤
イタリアとかドイツのクライアントは、そうですね。
伊藤
もうすこし詳しくお聞きしていいですか。
いまにいたるまでのこと。
深澤
僕は1989年からアメリカにいて、
今のシリコンバレーで
いわゆる電子機器系のデザインをしていました。
伊藤
たしか、7年くらい、いらしたんですよね。
深澤
そう、7年くらいいたんですけど、
いろんな賞を取ったりして、
やりつくしたな、っていうこともあり、
ちょっと日本が恋しくなったのもありで、
そろそろ帰るかなと思っていたんです。
そして、そこまでいったら集団で仕事をするより、
ヨーロッパの、いわゆる巨匠と言われている
人たちの姿が見えてきて、
ああ、目指すのはこっちかな、と思いました。
そして日本に帰ってきていろんな仕事し始めたら、
それがヨーロッパの人に伝わったんですよ。
ドイツとフランスとイタリアとスペイン、
同時に30社ぐらいのオファーがあったんです。
伊藤
30! すごいですね。
深澤
ヨーロッパって面白いんです、
一人のデザイナーを
独り占めにしたいっていうところがある。
メディチ家とミケランジェロの関係と、
全く変わってないんですよ。
そしてメインデザイナーになると、
向こうからの依頼を待ってデザインをするのではなく、
こちらからの提案ができるようになるんですね。
デザイナーが「こういうのどうですか」って言うと、
「おお、やってみようか」となる。
そういうふうになれたのは、とてもラッキーなことでした。
この20年間、ずっと、例えばこのベッドなどの
B&Bイタリア(B&B Italia)とか、
先ほどのボッフィとか、
そういったところと、ずっと付き合ってきました。
伊藤
すごい! そういうことだったんですね。

一年のおわりに。

未分類

新年のキングオブバンブー、
樋口可南子さんのご登場にはじまり、
帽子アクセサリーなどの、
身につけるとちょっとうれしくなるものから、
エッセンシャルオイル、タオルなど、
家の時間をたのしくするもの。
そしてパンケーキミックスや、
日本酒などのお腹を満たすおいしいもの。

この一年、
私たちがいいなと思う、
いろーんなアイテム全233点を
ご紹介してきました。

また、
weeksdaysを通して、
たくさんの方と対談もしました。

初めましての坂井真紀さんとは
同世代ならではのあんな話やこんな話
編集者の岡戸絹枝さんとは、
タオルについてのあれこれを。
世界に住む友人たちとは、
1年経ったコロナ渦での暮らしについて

‥‥そのほか、
一緒にものづくりをしたたくさんの方々とも。

思えば、地方出張もできずにいたけれど、
それでもなんとかおもしろいコンテンツをと、
チームの皆と知恵を絞って考えたことも、
いい思い出になりました。

いろいろあったようで、
でもあっという間だった一年。
今年もweeksdaysが変わらず毎日更新できたのも、
見てくださっている方がいるからこそ。
ありがとうございました。

また来年も、
おもしろいことや、
すてきなもの、
おいしいものをたくさん取り揃えて、
weeksdaysでお待ちしています。

肌着はこれでなくっちゃ。 cohan

未分類

伊藤
「cohan」(コハン)も、すばらしいですよね。
武井
デザイナーの惠谷太香子さんがつくっている、
女性の肌着のブランド
ですね。
太田
私は今日も「cohan」。
篠田
私もよ(笑)。
山川
みんな「cohan」です(笑)。
武井
そんなに人気あるとは!
男子から訊くのも野暮ですが、
そんなにいいんですか。
太田
はい。
伊藤
娘が、背中の開いたシームレスバックシャンブラキャミ
とても気に入っていて、
洗濯中だと「あれないの?」って言う。
白いシャツを着るときもいいんですよ。
篠田
最高ですよ。
太田
ほんと、最高ですね。
武井
すごく褒めるなあ。
もうちょっと具体的に、
どう最高かを教えてください。
太田
着心地が、もうまず。
武井
着心地なんだ。
太田
見た目も、だらしない雰囲気には全然ならない。
山川
ブラキャミって、最初、
ちょっと「だらしなくってもOKなアイテム」として
世に現れた気がするんですけど、
太田
そうそう(笑)。
伊藤
そうなんだ?
武井
「ラクしてなんぼ」みたいな?
太田
手抜きアイテムみたいな。
伊藤
へえーっ。
山川
それがですよ、cohanは、すごく洗練された、
ちゃんとしたものを着てます、って感じになるんです。
銭湯とかジムで着替えを見られても、
だらしない人だとはまったく思われないはず。
伊藤
そうそうそう!
太田
わかるわかる!
武井
わかるんだー。
山川
着るとシャンとした気持ちにもなるし。
すごいことですよ。
伊藤
型崩れもしないしね。
山川
しないです。
伊藤
パットはずれないし。
篠田
洗濯のときに取れないのが最高。
伊藤
あれ大嫌い!
武井
へえーっ。
山川
大嫌いです!
武井
大声の「へえーっ」だ。
山川
普通、取れちゃうんですよ。
伊藤
私は、ブラキャミといえば、
10何年前から、
スイスの肌着ブランドのものを買っていたんだけど、
輸入品でいいものって2万円くらいするの。
それが、この値段でこのクオリティのものが買えるって!
太田
洗濯耐性も、素晴らしいですしね。
武井
よくできてるんだなあ。
伊藤
太香子さんとはいろんなアイテムをつくったけれど、
武井
是非ね、これでまた太香子ファンになってください。
伊藤
ねえ。
フィットネスTシャツとかもよかったよね。
坂口
私、これ買って着てますけど、めっちゃいいです。
ピラティス行くときに着てるんですけど、
すごく着やすいです。
武井
それも、やっぱりいいんだ。
伊藤
ストレスが全然ないのよね。
坂口
Tシャツは、触り心地、着心地がよすぎて。
伊藤
着てないみたいだよね。
坂口
夏は普段に着たいなって思うくらい。
武井
weeksdaysで「ボーイズ」ができたときには、
僕は是非、太香子さんに肌着を作ってほしいです。
一時、「ほぼ日」で「白いシャツをめぐる旅。」という
コンテンツをやっていたとき、
太香子さんに白いシャツでも透けず、
機能性も高い、メンズのシルクの
肌着をつくっていただいたんですが、
それがほんとうによかったんですよ。
もうボロボロになってるけど着てます。
太田
武井さんのそのリクエストは
「weeksdays」ではすぐに実現しないかもですが、
「cohan」の完売アイテムはいくつか
再販売を検討していますから、
みなさん、ぜひ待っていてくださいね。
伊藤
太香子さんとは何度も対談をしているので、
それもぜひ読んでいただきたいな。

そうだ、水着もつくった!
でも、いまはコロナで、
冬休みに避寒でビーチリゾートに、
なんていうかたもいらっしゃらないだろうから、
いま、おすすめしても仕方ないかな。
これも名作だと思うんですよ。

太田
みんながバカンスに行けるようになったら、
またお知らせしましょうよ。
伊藤
こんどのゴールデンウィークあたりには、
そんな話ができているといいね。

「weeksdays」のロングセラー。 saqui

未分類

伊藤
「saqui」(サキ)の話をしましょう。
太田
そうですね。大人気の「saqui」。
武井
皆さん、「saqui」は、岸山沙代子さんという人が
作っておりまして、
彼女の登場するコンテンツもいっぱいあるので、
読むとファンになると思いますよ。
「weeksdays」のベスト・アンド・
ロングセラーですよね、「saqui」は。
伊藤
「テーパードリボンパンツ」持ってる人!
中山
持ってます。
山川
わたしも。
篠田
わたしもです。
太田
チーム以外に、社内でも、
めっちゃ履いてますよね。
篠田
も穿いてますよ。
太田
お母様にあげたっていう人もいました。
伊藤
わたしも、母にあげて、
すでに持っているという草場妙子さんにも
「2本持っておいた方がいいよ」って、
もう1本買わせたりしました。
一同
(笑)。
武井
「2本持ってた方がいいよ」の意味は?
伊藤
なくなると、本当に困るんです。
ヘビーローテーションだから、
わたしも2本掛けて、交互に履いてる(笑)。
へたらないように。
武井
服が好きな人ならではですね。
伊藤
あっ、ページをみたら、
サイズ36しか残っていない。
太田
追加発注します! 
だから、今、ごらんになって、
ご希望のサイズがなくても、
悲しまないでください。
これは継続的に展開して行きたいので。
伊藤
しわにならないのもいいんです。
この素材、「Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)」
いいんですよね。
太田
そのタイトスカートもありますよ。
伊藤
これも、私は色違いで持ってます。
すごくいっぱい服を持っていることに
話しながら気がつきました。
山川
(笑)伊藤さん、それが仕事ですから。
これもカッコいいですよね。
篠田
スリットがきれいなんです。
伊藤
何気に、スニーカーとかも似合うの。
で、これのいいところは、
やっぱり、しわになりづらい。
太田
素晴らしい。
伊藤
サルティを着ると、
やっぱりいいものなんだなあってわかります。
「saqui」は、
プルオーバーとか、
フォーマルバッグもいいですよね。
これもいいですよ、シルクシャツジャケット



武井
アイテムがたくさんあるので、
ぜひ「saqui」の商品一覧のページで
いろいろ探してみてください。
「weeksdays」、地味に改訂をしていて、
商品をブランド別で表示したり、
アイテムのカテゴリーで並べたり、できますから。
太田
むっちゃん、シルクイージーパンツ買ってたよね。
篠田
買いました。着てますよ。
ストレスがなくっていいんです。
伊藤
そう、すごいよね、ストレスが全然ないって。
武井
「saqui」がすごいのは、
立体パターンだっていうところもありますよね。
伊藤
うんうん。
あと、ウエストがゴムなのに、
変にズドーンとした感じにならないの。
そういうところ、さすがだと思う。
シルクイージーパンツは本当に年中穿ける感じ。
夏だったらTシャツでもいいし、
冬だったらタートルとか。
太田
ジャケットを羽織ったら、
結構ちゃんとした格好になりますし。
ちゃんとした、といえば、
「saqui」ではフォーマルもつくっていますよ。
伊藤
フォーマルは「待ってました!」でしたね。
「ぜひ作って」とお願いしたんです。
山川
わたし、買いました。
伊藤
どれにしたの? ワンピース?
山川
ワンピース(完売)と、
短い方のジャケットを買って、
今年の七五三のときに着ました。
太田
いいなあ。それ、すごく見たい。
武井
そういうときにはアクセサリーで
ちょっと派手にするの?
山川
そうです、そうです。
伊藤
お葬式のときにも着られるけれど、
スタイリングを変えることで
いろいろな着方ができる。
武井
派手なバッグを持つとか、
ブローチ的なものを付けるとか、
ネックレスで彩るとか?
伊藤
そうそう、そうそう。
山川
これを買ったとき、生地がいいということを
あらためて認識して、
追加でパンツを買っちゃったりしてるんです。
山川
すごくカッコいいんですよ。
サルティの生地で揃えて
横断して買うのも、おすすめです。
伊藤
芋づる形式で、増えちゃうの。

デニムのマニアと組みました。 SEVEN BY SEVEN

未分類

武井
デニムも作っておりますよ!
伊藤
この前、バッグのスタイリングにも使いましたね。
篠田
かわいかった。
武井
「SEVEN BY SEVEN」は、
比較的あたらしいブランドで、
デニムはとくにいいんですよ。
デザイナーの川上淳也さんという方が、
かなりのデニムマニアなんです。
太田
このGジャン(デニムジャケット)、
「ほぼ日」の手帳チームの
さんが愛用しているので、
お呼びしました。
久美子
おじゃまします。
山川
着てる!
篠田
着てますね!
武井
馴染みすぎるほどに!
太田
Gジャンが好きなんですよね。
久美子
はい、Gジャンが好きで数着持っています。
でも、古着屋さんで買ったものだったり、
カジュアルなお店で買ったものだったので、
年齢があがるにつれ、
何年も長く着られるような、
もう少し大人っぽい
Gジャンがほしいと思っていたんです。
伊藤
まさしく、そんなGジャンですよね。
久美子
はい。ページで発見して、さっそく。
伊藤
どういうところがいいなって?
久美子
Gジャンはデザイン自体にボタンや
ステッチの表情があるので、
着るだけでアクセントになるんですけれど、
このGジャンはそのボタンやステッチが
目立ちすぎず「ほどよい」感じが気に入っています。
伊藤
袖をまくって着ているんですね。
かっこいい!
久美子
上着でもセーターでも、袖をまくってしまうんですよ。
袖をまくるのがくせというか、好きなんでしょうね。
このGジャンははじめから生地が柔らかいので
袖がまくりやすくって、馴染みやすかったです。
伊藤
そう、ほどよい柔らかさがあるんですよね。
久美子
硬いGジャンは、ボタンを全部締めると、
なんていうのかな、ロボット感?
伊藤
わかる! カクカクとね。
久美子
そう、ロボット感がでてしまうのですが、
SEVEN BY SEVENはそんなことはないんです。
合わせる服によってボタンを止めたり、
前を開けて着たりできるので、楽しいです。
あと、すごく気に入っているところがあって。
伊藤
どこだろう?
久美子
首の後ろのところにある革のパッチです。
無地の薄い黄色ですよね。
すごく気にいっていまして、
着るたびに「おしゃれだな~」と思っています。
武井
これ、つくるときに「無地にするんだ!」と
驚いたんですけど、それがよかったですよね。
伊藤
久美子さん、ありがとうございます。
長く着ていくうちに、きっと、
もっと表情が出ますよね。
久美子
はい、それも楽しみです!

ユニークで、ほかにはない服を。 COGTHEBIGSMOKE、P.H.DESIGNS、HARRISS GRACE

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伊藤
COG(COGTHBIGSMOKE=コグザビッグスモーク)の
コート
、私も持っているけれど、いいですよ~。
武井
「COG」を知らない方もいらっしゃるかも。
まずコンテンツを読んで、
ロンドンに住むデザイナーの
Noriko.I さん
に魅了されてください!
太田
素敵な方ですよねー。
伊藤
ほんとうに。そしてNoriko.I さんのデザインの、
シルエットのうつくしいこと。
すごく「いま」なんですよね。
しかも、ワンサイズで、
いろんな体型のひとに合う。
太田
そうです、ワンサイズ。
伊藤
大きめなので、
ちょっとモコモコしたニットとかを着てもいい。
襟なしだからタートルが合わせやすいし、
本当にグルグルと、カシミヤのストールを巻いたりとか。
太田
かわいいですよね。
伊藤
そうそう、ダウンのキルト
これ、すごくいいですよね。
これからの季節、とくに。
諏訪
わたし、昨冬、すごく便利に使いました!
そんなに旅行には行かなくなりましたけれど、
ちょっと遠出をする機会があって。
事前に旅先の気候は調べていくものの、
夜はどれくらい気温が下がるんだろう? とか、
車内や機内はどれくらいの温度かな? と、
心配になるじゃないですか。
このキルトは、その不安をカバーしてくれる
お守りみたいな存在でした。
武井
いいこと言う~。
コンパクトになるしね。
諏訪
袋に入れるとちいさくなって、とても軽いので、
そんなに寒くないかもしれなくても、
少しでも不安なときは必ず持っていきます。
伊藤
首にまくだけじゃなく、
ひざ掛けにもなるよね。
諏訪
そうなんですよ。
腰に巻いてスカートみたいにしてもいいですし。
伊藤
そういうふうにして家で使ってる! 
レギンスとか履いて、スカートみたいに巻いて。
諏訪
袋に入れた状態でまくらみたいにも使えますよ。
汚れたかな? と思ったときに、
ウールやカシミヤのストールよりも
気軽なきもちでさっと水拭きできるのもうれしいです。
武井
ページでは巻き方をいろいろ工夫していて、
ハイファッションみたいにもなるし、
うんと実用的な感じにもなるし、
楽しいアイテムですよね。
スポーツ観戦とかもよさそう。
男性にもおすすめですよ。
伊藤
わたしは、母にグレーをあげました。
篠田
これ、すごくおしゃれな人のインスタに
出てましたよ。
太田
浜島直子さんや、岡本敬子さんですね!
うれしいです。
伊藤
わたし、暑がりでしょう?
でもこれが重宝するのは、
ダウンジャケットを着るまでもないけれど、
ちょっと寒いなというときなんです。
武井
うんと寒いときに、
ダウンジャケットにさらに重ねたら、
完璧でしょうね~。
伊藤
冬のニューヨークとか。
武井
行かなくなっちゃったけれど、
いつか行くときのために取っておきます。
伊藤
小っちゃくなるからね。
伊藤
わたし、このカシミヤのコート、
ノーカラーケープ、両方持ってるんです。
本当に軽くて、すごーく、いいですよ。
とくにケープは、本当に、
いろんな人に褒められました。
武井
ケープってかっこいいですよね。
この間テレビで、パリの様子が映って、
ケープを着てレポートしている女性を見て、
なんて美しいのかと。
伊藤
本当に、褒められます。
しかも軽い。両面で着られます。
ちゃんとしたお値段ですけれど、
ほんとう、おすすめしますよ。
太田
伊藤さん、コンテンツで、
着物の上に羽織られていたじゃないですか。
あれ、とっても素敵でした。
伊藤
そうなんです。
つくったときは、そんなこと、
考えていなかったんですが、
もしかして合うんじゃ? と、着てみたら、
すごくいいの。
軽いからリラックスできるし、
ちょっと心もとない帯の結びも、
きれいにかくれるし(笑)。
太田
リバーシブルをじょうずに使って、
折り返して襟のようになさっていましたよね。
伊藤
襟の部分を少し折り返して、
反対の色をちらりと見せてみたんです。
フックで閉じるか、開けるか、
さらに折り返すか、いろいろ楽しめますよ。

素材のよさがひかります。 カシミアワンピース、MOJITO

未分類

山川
これ、いいですよね、めっちゃいいです。
太田
すごーくシンプルで。
伊藤
これ、さんも着てくれてますよね。
太田
これ、社内にファンが多いですよ。
篠田
みんな着てる。
伊藤
そうなの、これ、すごーく、いいのよ。
写真家の馬場わかなちゃんも買ってくれました。
武井
これ、想像するに、膝まで覆うから、
温かいでしょうね。
太田
そう、温かいんです。
腿で寒さを感じるので、
伊藤
着心地は?
山川
最高。
この分厚さがちょうどいいんです。
武井
これは、アウター‥‥つまり、
セーター的なものではなく、
冬のワンピースとして着るんですよね。
山川
そうですね。
伊藤
私は暑がりだから、素肌に着てます。
太田
でも、素肌に着ても気持ちがいいんですよ。
伊藤
さんが、
「ほんとうは伊藤さんみたいに
タイツでって思うんですが、
ひよって、パンツと合わせてます」
って言ってました。
私は、タイツにスニーカーとか、合わせるので。
意外とコーディネートが楽しいですよ。
この前、チームのさんが
中にシャツを合わせて着ていましたが、
なるほど、そういう重ね着もいいなぁと思いました。
一枚で着るのなら、
Vネックで開いた部分は、ネックレスをしたり。
シンプルな分、いろんな着こなしが楽しめるんです。
伊藤
MOJITOの「AL’S COAT」
着たことのない人はぜひ着て、
いろいろこう、思ってほしいんだ。
太田
「思ってほしい」。
そのすすめかた、素敵ですね~。
伊藤
思ってほしいんですよ。すばらしいから。
太田
社内だとが愛用してますね。
伊藤
似合いそう!
わたし、車で移動することが多いから、
あんまりモコモコしたくないんですよね。
だからちょっと寒いなというくらいの日で、
そんなに外に長くはいないという日は、
これを着ているとすごく便利。
武井
風を通しにくいので、
ウィンドブレーカー的な使い方ができますよね。
伊藤
このコートについては、
デザイナーの山下裕文さんが書いてくださった文章
読んでもらうのがいちばんだと思う。
太田
山下さんは、愛情がたっぷりですよね。
伊藤
そう、リモンタ社の生地、本当にいいんです。
高級感もあるし。
グシュグシュってしても、全然大丈夫。
武井
「AL’S COAT」って、パッカブルなんですよね。
太田
内側のポケットに全部入りますね。
武井
しかも、ちゃんとたたまずに、
ぎゅうぎゅう押し込んじゃって大丈夫。
拡げたときのしわもまた、イキなんです。
伊藤
そう、しわさえ美しいくらい。

猿山修さんとのプロジェクト。 東屋

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伊藤
「weeksdays」の食器は、
「鋼正堂」のほかに、もうひとつラインがあるんですよ。
それは猿山修さんと、東屋さんとつくったもの。
毎日使ってるんだけど、飽きないし、便利だし。
武井
がこの器づかい、すごいんですよ。
ということでお呼びしました。
斉藤
こんにちはー。いいんですかわたしが話しても。
伊藤
ぜひ!
わぁ、いい写真。
東屋の磁器のお皿、オーバル皿の「大」の、
土灰釉
ですね。
斉藤
そうなんです。
数年前に小さな部屋から一軒家に引っ越しをして、
これからはときどき
友人たちを招いてわいわいご飯を食べようと、
夫婦二人暮らしにしては大きめのテーブルを買いました。
そのテーブルの上でとても役に立っているのが、
このお皿です。
伊藤
これはベトナム料理ですね。
すごーく、合いますよね。
斉藤
ほんとに! 
もともとは、尾頭付きの魚を
アクアパッツアにしたときにいいかな、と、
購入したんですが、
それ以外にもとっても使えます。
シュウマイや餃子や生春巻きだったら、
タレの小皿をいっしょに乗せて出したり、
手巻き寿司の具材を並べたり、
ポトフなら肉も野菜もたっぷり乗せて。
チャーハンもパスタも数人分をいっしょに。とか。
伊藤
大活躍! 
オーバルって、いいですよね。
斉藤
なんとなく、丸い大皿よりオーバルのほうが
盛り付けが決まりやすい気がします。
それに、テーブルにのせたときの
圧迫感が少ないようにも感じます。
太田
わたしも使っているんですが、
仕舞うとき、重ねてもかさばらないのがよくないですか。
斉藤
そう、そう!
伊藤
そうなの。軽いし、それに、和の器にも合う。
土ものの鉢とかと合わせたときに、
これを取り皿にすると、
テーブルの上が軽やかになるんですよ。
磁器で、全体が締まるっていうか。
斉藤
なるほど! 
こんどそうしてみます。
武井
これ、真っ白な石灰釉と、
ちょっと青みがかった土灰釉がありますよね。
買うのに迷ったらどうしたら?
伊藤
もう両方買ってください!
一同
(笑)。
伊藤
わたし、全部持ってる。
オーバルも丸も、
どっちの色も6枚ずつ。
太田
ろ、6枚ずつ?
武井
さすが、客人が多いゆえの枚数! 
でもたとえば大皿は1枚にして、
小皿を家族の人数分揃えるというのも
ありですよね。
伊藤
そう、大きいのはね、1枚でOK。
大きいのは本当に大きいから、
ちょっとためらったら、
まず、小っちゃい方を買ってみるといいかも。
武井
ぼくは逆に大きいオーバルをすすめたいなあ。
野菜炒め、ドンと乗せたりするのでもカッコいいですよ。
伊藤
そう、野菜も映える。
ただ焼いて乗せるだけもいいですよ~。
チャーハンとかもね、真ん中に、
お茶わんに詰めたのをカポっとしても。
太田
ああ、かわいい。想像するだけでかわいい。
伊藤
このオーバルの、中心より、ちょっとだけずらして、
あいたスペースに白菜のラーパーツァイみたいなものを
のせたりとか。
武井
うんうんうん。
山川
わあーっ。
おなかがすいてきました!
太田
はあーっ、素敵。
武井
家中華、っていうのかな、
かなり適当につくる料理に合うお皿に、
すごく悩んでたんだけれど、
これは正解のひとつだと思います。
伊藤
そうなの。
武井
特に青い方。土灰釉。
伊藤
そうそうそう。
料理家の小堀紀代美さんは、
白い丸い方を買ってくださったんですよ。
お敷とかに合わせて、キリッとさせるのもいい。
武井
白い方だと、フレンチもいいですよね。
伊藤
お椀にも合うんですよ。
太田
この薄さと、美しさが。
武井
猿山さんのセンスが生きてますよね。
ものすごく手間かかったんですよ。
一同
(笑)
伊藤
本当、途中で嫌になっちゃったくらい!
武井
それだけにいいものができたんですよ。
伊藤
使いやすいから、娘に「お皿並べて」と言うと、
取り皿は、これを選ぶことが多いな。
鉢とかは、わりと土ものを選んで。
武井
その、おうちでの食器セレクト、
伊藤さんはダメ出しもするんですか?
伊藤
うん。そりゃもう。
一同
(笑)
伊藤
「その土ものを使いたいなら、
水に浸してからにしてね」とか。
太田
英才教育‥‥(笑)。
でもうらやましい!

内田鋼一さんとのプロジェクト。 鋼正堂

未分類

伊藤
「weeksdays」オリジナルの器といえば、
「鋼正堂」(こうせいどう)
太田
そうですよ、鋼正堂ですよ。
武井
鋼正堂は推しですね。
ぼくも全種類使ってます。
内田鋼一さんが原型をつくり、
伊藤さんがプロデュースして、
四日市の窯元がつくってくださっているんです。
伊藤
わたし、オーバル耐熱皿で、
こういうの作ったんだ。
武井
クラフティですね!
太田
かわいいです!
伊藤
これ、本当にいろんな使い道があるんです。
耐熱皿としてだけじゃなくても、
ふつうのお皿として使えますよ。
「わたしはオーブン料理をしないから」
という人も、活用できるはず。
武井
逆に、ぼくはこれを買ってから
グラタンをつくるようになって。
ずっと、むずかしいと思い込んでたんですが、
ホワイトソースって、ぜんぜんむずかしくないと気づいて。
伊藤
そうなの、適当でも、できちゃう。
武井
バターと小麦粉‥‥米粉でもいいんだけど、
炒めて、牛乳で溶いていくと、
どんどんとろんとろんになっていく。
伊藤
私は、まとめてつくって、冷凍してる。
そうすると、鶏肉とキノコとかあるときに、
すぐにクリームシチューができちゃう。
武井
ぼくは鶏肉とキノコをバターで炒めて、
そこに米粉を入れてさらに炒めて、
そこに冷たい牛乳を入れちゃいます。
あんがいダマにならないんですね。
伊藤
プロダクトの器とはいえ、1個1個手作りしてるから、
ピッチリ揃ってないところがいいんですよ。
武井
すごくアンティークなつくりかたをしているので、
個体差があって、それがまたいいんですよね。
伊藤
うちは、娘と2人でカジュアルなときは、
丸プレート1皿で済ますの。それとワイン。
山川
最高!
伊藤
ひとり各1で持ってると、本当に便利。
食洗器もガンガン入れられるし。
内田さんとは、先日お目にかかって、
鋼正堂のアイテムをもっと増やそうという話を
してきましたから、おたのしみに!
全員
わぁー!(拍手)

いいうつわ、ここにあります。 松徳硝子、輪島キリモト

未分類

太田
みなさん、忘れているかもしれませんが、
こういうアイテムもつくっているんですよ。
松徳硝子のコップ
愛用してます。
伊藤
わたしも、今日も使いました。
太田
かわいいですよね。
武井
これは「白いお店。」の時代からやっている、
2013年からのロングセラーなんですよ。
山川
ほんとう、かわいい。
武井
「手作りの薄いコップが欲しいんだけれど、
どこに売ってるんだろう?」って、
たまに、聞かれるんですよ。
「ここで売ってます」って言いたい。
すごくいいですよ。
坂口
サイズ感がいいですよね。
伊藤
そうなんですよ。邪魔にならないの、
他のものとしまっても。
篠田
わたし、すごく使ってますよ、
「ガラスのうつわ 小」
太田
いいよね。
ちょっとしたものを入れて出すと、
友達に絶対褒められる。
武井
これ、原型が、
バスク地方で使っている、
チャコリを飲む「ボテガ」がヒントなんですよね。
伊藤
チャコリって、微発泡の白ワインで、
上のほうから注いで、発泡させて飲むので、
こういう安定感が必要なんですって。
太田
それを、薄づくりにして? 
洗練されていますよね。
伊藤
そうそう。
武井
デキャンタもいいですよ。
伊藤
「これを使っているカフェがありましたよ!」って、
誰かに言われたことが。
武井
なんとうれしい!
伊藤
ね。
松徳硝子のシリーズは、
「ちょっといいグラスが欲しいな」
っていうときに、いいと思います。
篠田
お手頃ですしね。これで手づくり。
太田
松徳硝子さんとは、
サンプルを作りかけて、
まだ販売にいたっていないアイテムもありますね。
伊藤
そうそう! 日本酒用の小さなコップ。
実現するといいですね。
武井
これはどうですか、花器にするのに。
伊藤
花器とはちがうけれど、
わたし、ミントを鉢植えから切って、
ボンって入れておくの。
キッチンに置いて、チョキチョキ使ったり。
武井
そんなふうに使うのカッコいいですね!
篠田
「weeksdays」でカテゴリー表示をしたとき、
ホーム系の一覧
、かわいいですね~。
伊藤
ほんとう、かわいい!
伊藤
あ、すぎ椀もあるんだ。
あ、でも、ちょっとか。
太田
この商品はオリジナルではなく、
輪島キリモトさんでもお求めいただけるので、
「weeksdays」では売り切れじまいになります。
武井
そっか。「輪島キリモト」さんを知るきっかけになったり、
漆の器に興味をもっていただく
きっかけになったらいいですね。

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