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本とトートをつくりました。 『まさこ百景』、weeksdaysトートバッグ

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武井
ちょっと言いたい。
「weeksdays」では
『まさこ百景』という書籍もつくっていることを。
山川
この本、山川もおすすめします。
伊藤さんの書き下ろし、
有賀さんの撮り下ろしで
ゼロからつくりました。
太田
正方形でかわいい。
山川
「weeksdays」って、
商品ページの写真が正方形になっているのが
すごく印象的だと思うんですけど、
この本でも写真を全部正方形で撮っているんです。
「weeksdays」の世界観を、
肌で体感できるような本になっているかなと。
伊藤
撮影、執筆、
思い出深いですね。
山川
背景をどうしようかと悩んで、
伊藤さんがお家で使われてるペンキを買ってきて、
数色、ベニヤ板に塗って。
武井
「Farrow&Ball」のペンキですね。
僕はあのペンキを「weeksdays」で
売りたいくらいなんですけど、
なかなかペンキを売るっていうのは冒険で、
実現しておりませんので、
ここでオススメしておきます。
「Farrow&Ball」のペンキは、本当にいいです。
うちの寝室の壁も塗ってます。
そもそもは伊藤さんが使っているのがいいなと思って、
教えていただいたんですけれど。
伊藤
思いついた! このペンキでね、
(ごにょごにょごにょ‥‥)
をつくるっていうのは、どうかなあ。
全員
いい!
伊藤
それと壁の色を一緒にしたら‥‥。
太田
ええーっ? カッコいい。
なんですか、その発想。
武井
この会話、まだ公開できないので、
お読みになっているかたはモヤモヤしていると思いますが、
ざっくり言うと「家具」で、
これまでにないものをつくろうという話です。
太田
たいへん、キャー。
でも、それ、いいですね。
伊藤
「Farrow&Ball」は、
『まさこ百景』でも紹介していて、
先日、お客さまも興味津々でした。
うちに来ると、結構、みんな反応してくれる。
で、本の撮影にも使って、楽しかったですよね。
山川
正方形の板を6色用意して、
組み合わせて、上から撮ったり、
横から撮ったり。
山川
伊藤さんの本で、
こんなカラフルなの珍しいですよね。
伊藤
最初、家のものを紹介するから家の中で、
普通に風景を撮ろうって思っていたんですけど、
わりとそういう本ってあるし、
私もずいぶんしてきたから、
なんかもうガラッと変えたいなと思って。
武井
この本は、コーディネートというか、
家での色の見本調になるんですよ。
伊藤
この本は、私が家でずっと使っているものを、
ひとつひとつ紹介した(100アイテム!)もので、
ひとつひとつのアイテムに思い出がこもっています。
今、見返してみると、
こんな風にものと向き合ってきたから、
weeksdaysというお店を作りたくなったのかも。
いうならばweeksdaysの原点? 
ぜひ読んで欲しいな。
武井
そして『まさこ百景』は、
渋谷パルコで開いた展覧会にあわせて
オリジナルのトートバッグもつくったんですよね。

伊藤
2020年8月に展覧会をした時、
おみやげ的なものをつくろうと、
イラストレーターの
勝山八千代さんに絵を描いていただいて。
こういうものって、何枚持っていても便利なんですよね。
武井
このくらいの気軽さだと、
お土産を持っていく時、
そのまま渡しちゃったりしますよ。
伊藤
おお! そのために、買っておいてください(笑)。
武井
わざわざ包むのもなあ、ってものがあるじゃないですか。
家にあるものを差し上げたいけど、
包装紙は持ってないし、というような。
山川
たとえば‥‥。
武井
ちょっといいサバ缶とか、
まとめ買いしたワインビネガーとか、
そういう食材系が多いかな。
「海大臣」にもいいですよ。
伊藤
なるほど。
山川
持ち手がちょっと長いのがポイントですよね。
伊藤さんが海外で買ってきたトートバッグを
持ってきてくださって、その形がよくって、
似たサイズ感のものを探したんです。
太田
社内で使ってるのを見ましたよ。
伊藤
本当に? うれしい。
太田
社内移動用に、パソコンを入れてました。

最初はみんなが疑問視? ちいさな革のトートバッグ

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太田
バッグと言えば、
今日が持ってる
シルバーバッグ
やっぱりかわいい。
岡本
「weeksdays」初期からの名作ですよね。
「ほぼ日」ではも持ってます。
わたしは、母にも買いましたよ。
一同
ええーっ。
伊藤
すごーい。どこが魅かれたポイントだったの?
岡本
光沢があるのに、
妙にギラギラしていないところに一目惚れでした。
形も、食パンみたいな感じで(笑)、
他にないから、珍しいなと。
しかも、どんな服装にも合うなと思っていて。
伊藤
うんうん。ふだん岡本さんは、
どんなファッションを?
岡本
シンプルな服装が多いんですけど、
そういったときのアクセントになるし、
カジュアルな服だったら、ちょっとチャームにもなるし、
冬は冬で、どうしても黒い服が増えて、
野暮ったくなっちゃうっていうときにも、
この子があると、
ちょっとスパイスが効くみたいな感じになるんです。
伊藤
なるほど。
篠田
これ、思い出しますね、
最初、こういうものをつくりたいですと
「ほぼ日」で会議にかけたときのことを。
太田
そうだね!
篠田
みんな、ポカーンってしてしまった。
山川
「なんでこんなにタテが短いの?
何も入らないんじゃない?」って。
武井
「お財布があぶないからチャック付けましょうよ」とか。
山川
「中が見えちゃう」とも。
伊藤
そうだ、そんなこともありました。
山川
伊藤さんも「weeksdays」チームのみんなも
「かわいい!」って盛り上がったので、
その反応が意外なくらいで。
篠田
企画そのものは、
weeksdaysのサイトもオープンしてないときで、
ますますイメージがわかない、みたいな。
太田
「白いお店。」時代につくっていた
「白い革のおおきなバッグ」が原型で、
その天地をぎゅっと小さくしましょうよ、
というのがアイデアでしたよね。
伊藤
そういう反応でした、と言われても、わたしは、
「なんで? かわいいじゃん」って言い張って。
でも、その後、何度も追加生産を行なう
人気ものになりましたよね。
武井
はい、たくさんつくっています。
伊藤
たくさん、とは言っても、
ちいさなお店ですから、
町で誰かとかぶる、ということもなく、
それは「weeksdays」のいいところかも。
太田
全国に散らばっていますから。
そういえば、TOBICHIのアルバイトの女の子が、
お母さんにプレゼントで買いましたって。
伊藤
ええーっ。嬉しい!
ありがたいです。
太田
「お母さんがずっと欲しいって言ってたんです」って。
岡本
私の母が、60代なんですけど。
伊藤
若っ!(笑) でもそうよね。
岡本
「こんな派手なの大丈夫かしら」
って言ってたんですけど、しっくりきているのを見て、
年代、ファッションを問わないんだなって思いました。
伊藤
うんうん。
岡本
車に乗るときにも便利だと言っています。
「安定感があって自立するし、
出しやすいから、ぱっと財布を探すときも便利」って。
太田
素晴らしいご意見です。
アクティブなお母さま。

フリーアドレスとリモートの時代に。 AMIACALVA その2

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太田
この、ホワイトの四角いタイプは、
も使っているので、
お呼びしました。
やえ
こんにちはー。
わー、伊藤さん!
いつもありがとうございますー。
伊藤
こちらこそ! 
やえさんがこのバッグを
使ってくださってるって。
やえ
そうなんですー。
会社がフリーアドレスになったので、
いままで机の引き出しに出し入れていたようなものを、
つねに持ち歩く必要が出てきたんですよ。
たとえば財布、カードキー、スマホですね。
常に使うものだから肌身離さずに。
伊藤
サイズ感がいいですよね。
やえ
そうなんです。
女性の服はポケットが無いものも多いので、
ポケット代わりになるくらいの
コンパクトなものを探していて、
このバッグがまさにぴったりでした。
伊藤
しかも、じょうぶでしょう?
やえ
そうなんです! 
そこが特に気に入っている点で、
肩かけ部分が太くてしっかりしているじゃないですか。
携帯と財布など、軽そうに見えるものでも、
細い肩ひものバッグで長時間持っていると、
あんがい疲れてしまうんですよ。
だからこのくらいしっかりしていると
肩も凝らなくって嬉しいんです。
それに、こんなにしっかりした肩ひもなのに、
全体的には華奢にみえるのがいいですよね。
わたしは背が高いので、
あんまりごっつく見えるのは避けたいので。
伊藤
そう、それがこのバッグの魅力のひとつ。
やえ
シンプルだけれど、金具が斜めについていたり、
細部のデザインも気が利いているんですよね。
伊藤
毎日使うということは
毎日違う服に合わせるわけだけれど、
これ、なんでも合いますよね。
やえ
そう! 汚れが怖いところではあるけれど、
この白い色がとってもかわいいですよね。
抜け感があって、とってもおしゃれ。
どんなお洋服を着ていても
合うところがうれしいですね。
常に身に着けるものなので
ちゃんとした感があるのものがよくって、
かといって派手すぎるものは困るし‥‥。
そのあたりがよい塩梅のバッグです。
そうだ! あと、
ポリエステルなので、
アルコール消毒液を吹きかけることもできます。
まめに消毒して、衛生的にも安心して使えます。
伊藤
ありがとうございます。
太田
「AMIACALVA」のリュック
私、買いました。
あまりに使い勝手が良くって、
「これを使っちゃうと、他が使えなくなる!」
って思ったほどです。
バッグって、複数持っていると、
「今日はこれで」と替えたい気持ちがあるんですが、
これを使うと、他のリュックが
ほんとうに使えなくなるくらいなんです。
武井
それはやっぱり「軽さ」がポイント?
太田
パソコンはもちろん、
物がいっぱい入るけどスッキリしているんですよね。
「AMIACALVA」は、
パーツがちゃんとしているので、
カッコいいんですよ。
伊藤
『まさこ百景』で紹介をしたのを読んで、
知人の著名なライターのかたが
買ってくださったんですよ。
仕事の道具を入れるのにいいのかも? 
これね、持ってると嬉しいんです。
真っ白のリュックって、なかなかないから。
太田
そう、真っ白、
あんがい、ないんですよね。
白は汚れが気になりますが、
デニムと擦れそうなときは気をつけるとして、
ふだんはそんなに気を遣わなくても大丈夫です。
本当マジ最高ですよ。
伊藤
「マジ最高」! すごい。

アウトドアにもスポーツにも。 AMIACALVA その1

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伊藤
持ってる人、多い気がする、社内で。
太田
が使ってますね。
「AMIACALVA」のバッグ
諏訪
はい、仕事で撮影の日など、
すこし荷物が多いときによく使ってます。
太田
よく見かける!
諏訪
1泊2日くらいの旅行や、
キャンプにも持って行きますよ。
伊藤
キャンプ? アウトドア派?
諏訪
じつは、好きなんです、以前から。
伊藤
そっか。荷物、いっぱい入るものね。
諏訪
そうなんです。
上からすぐに見通せるポケットが6つもあると、
トートというより
引き出しを持ち歩いているような感覚です。
すぽっと、すばやく
物の出し入れできてとても気分が良いです。
伊藤
うんうん。
それなのに、かろやかさがあって。
諏訪
間口やポケットの部分、
カットオフのように見えますけど、
これ、帆布のもともとの生地の端っこが
くるようにつくられているんですよね。
だから折り返して縫う必要がなく、
それがキャンバスのバッグによくある
ガッチリ感や固い印象になっていない。
スタイリッシュな印象ですよね。
使っていると「それいいね」と
言われることが多いです。
伊藤
「AMIACALVA」を知ったのは、
MOJITOの展示会でしたね。
武井
それでMOJITOの山下さんに
どうしてこれが好きなのか
インタビューもしましたね。
そちらもあわせてどうぞ!
伊藤
これ、ジムに行く時、ちょうどいいバッグがない!
という友人にプレゼントしました。
篠田
なるほど、便利そうですね。
伊藤
肩掛けの所が大きいから、
わりとモコモコしたコートでも大丈夫。
武井
このバッグ、
横のテープのところが開くんですよね。
太田
そうなんですよ。
上着とか、掛けられるんですよ。
武井
「AMIACALVA」って、
そういう細かな作りがすごいよね。
太田
そうなんですよ。
武井
しかも、丈夫。
このテープ、底までぐるっと回っているから、
強度、すごいと思いますよ。
太田
しかも、形状記憶素材を使っているので、
形が崩れにくいんです。

あたたまるプレゼント。 ROROS TWEED

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武井
このアイテムはノルウェイの
「ROROS TWEED」といっしょに作ったんですよ。
太田
色がかわいいですよね。
中山
わたし、ハーフブランケットを、
母がほしいって言うので、購入しました。
ソファに座ったり、1人掛けの椅子に座って、
ちょっと寒いときにいいものを、
って、すごく探していたみたいで。
赤を買ったんですけど、
部屋に置いて、ちょっと掛けておくだけでも、
すごくかわいいんです
伊藤
先日、友人が小さなこどもをふたり連れてきたの。
床で遊んでいるから、敷いてあげたら、
ふたりが取り合いになって喧嘩になったから、
「もう1枚あるよ」って渡したのね。
そうしたら、自分のスペースみたいな感じで、
それぞれ、急に仲良く遊び始めて。
太田
かわいい!
伊藤
大きいほうも‥‥あるある。
これ、うちの娘が、
ソファの上でゴロゴロしながらサッカーを見るときに、
くるまってる。
大きさ、2種類あるけれど、
甲乙つけがたいんですよねえ。
どっちがどっちって決められないっていうか、
どっちもあるといいんだけれど‥‥。
ベッドカバーみたいな使い方もできるし。
武井
これ、敷布にしても気持ちいいだろうなぁ。
伊藤
湯たんぽもまだあるの?
太田
湯たんぽ、ありますよ。
伊藤
寒がりの人は、これがあるといいだろうな。
武井
ちょっと古いお家は、
冬、部屋が寒いから。
最近の家はずいぶん気密性が高くなってきたけれど。
太田
かわいいな。
プレゼントにおすすめしたいですね。
プレゼントで貰ったり、
あげたりするのにいい。
武井
うれしいかも!
太田
湯たんぽは、わたし、冬、
めちゃくちゃ使います。
それは、に教わったやり方で、
寝る前にお布団の中に入れて、
さらにパジャマとかを乗っけておくと、
お風呂の後に温かいパジャマを着る事ができる。
伊藤
うちの娘も、やってる。
ほの温かくなるのよね。
太田
パジャマが温かいって、しあわせですよ~。

イタリアでバッグをつくりました。 CI-VA

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伊藤
「weeksdays」のページを開くと、
毎日更新しているから、
一番最近販売したものや、
次に販売するものの情報がまず出るんですよね。
でも、本当は、奥のほうに、
隠れた良いものがあるってことを、
あらためてお伝えしたいと思って。
「実は、まだこんなにいいものがあるんですよ」
っていうのを知ってもらいたいっていう企画です。
一同

よろしくおねがいします!
武井
慣れている人は、時間のあるときに、
デパートの各フロアを回るように、
「weeksdays」をチェックするみたいですよね。
ありがたいです。
伊藤
わたしの友達の、パティシエの鶴見昴さんが、
この前、weeksdaysの中を探検したんですって。
欲しいものがたくさんあったと言ってました。
武井
そうなんですよね、ユニセックスで
楽しめるものが、意外とあるんですよ。
伊藤
はじめた当初は、
品揃えがすくなかったけれど、
こうしていろんな商品が並んでいるのは
見るだけでも楽しいですよね。
最近、わたしも「nooy」のスカート
色違いで買いました。
武井
そして、だったら、私もある! という、
チームのみんなに集まってもらいました。
伊藤
たとえば、「CI-VA」のバッグ
チームのなかでも持っている率が高いですよね、
じつはわたしは母にプレゼントしました。
わたしが持っているのを見て
「あら、いいわね」というので。
武井
ポシェットぽくて便利ですよね。
伊藤
そうそう、老若男女、いけます。
武井
シンプルだから、年代を問わないんですよね。
伊藤
も持っていますよね。
篠田
持ってます。
すごく使い勝手がいいですね。
山川
わたしも持ってます。
お財布、定期、
小っちゃいリップとか入るので、便利です。
伊藤
もともと、斉藤いずみさんという、
「trippen」の方がさげていて、
「すごく便利です!」と。
それで、weeksdays用に、
「CI-VA」のロゴなしで作ってもらったんですよね。
え、何色?
篠田
私、ネイビーです。
山川
わたしはブラック。
太田
ペタンコのタイプの「NUVOLA」
わたしも使ってますよ。
伊藤
「NUVOLA」って肩かけの紐が長いでしょう。
わたしはいつも、上で縛って、
ウエストに寄り添うようにさせてるの。
みんなは?
山川
ハトメのところで結んで短めにしてます。
太田
わたしもハトメ派です。
伊藤
なるほど、なるほどね。
山川
ちょっと短くした方が、
ブラブラしすぎなくて、楽ですよね。
長いままで歩くと、
ポンポンってちょっと跳ねちゃうから。
伊藤
なるほどね。
わたしは、ちょっと厚手のニットや
コートの上から斜めがけしたい時は、
紐を結ばないで使います。
あとね、撮影のときは新品だけれど、
使っているうちに、
どんどん馴染んでいくんですよね、体に。
山川
やわらかくて気持ちいいですよね。
革がいいんですよね。
伊藤
水筒くらい入っちゃうし。
武井
えっ? そんなに?
太田
そう、それがいいんですよ。
山川
パンパンに入れてもかわいいです。
武井
さすがに、通勤には持ってない?
篠田
いや、通勤で使ってます。
パソコンは入らないので、
別に手提げに入れたりしますけれど。
伊藤
なるほど。
太田
最近、バッグの2個持ちが、
わりと一般的だものね。
伊藤
じゃあ、貴重品や、
すぐ出したいものはCI-VAに入れて、
パソコンは別に。
篠田
そうですね。
伊藤
これもかわいいですよね。
篠田
武井さん、持ってますよね。
武井
あ、「LISCIO」、持ってます。
これ、男子もいけます。
伊藤
武井さん、仕事のときは大きなリュックだけれど。
武井
そうですね、カメラやパソコンを入れてるから。
伊藤
「LISCIO」はどういうときに持ってるの?
武井
ちょっと出掛けるときですね。散歩とか。
かわいいですよ、これ。
「CI-VA」には男子心をくすぐるものがあるんです。
でもこのごろ散歩でもカメラを持つことが多いので、
この間、「CI-VA」のかたに、
「カメラバッグとストラップがあったらなあ」
ってアピールしちゃいました。
向こうも男子チームだから、
「いいっすね」と。実現するといいなあ。
伊藤
(笑)

アクセサリーは心につける。

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伊藤
今回のイヤーカフも、丸がいっぱい、ですね。
わたしからは、なんら具体的な
リクエストではなかったのに、
このデザインが出来てきて。
下川
たしかに、ノーリクエストでしたね。
「イヤーカフをぜひ」とだけ。
伊藤
下川さんなら、絶対かわいいものができると思いました。
アクセサリーっていろいろなデザインがあるけれど、
新しいアイテムってもうないなって思っていたんです。
でもイヤーカフというものがあるんだっていうのが、
すごく新鮮で、
それをゼロから作ってもらいたいって思って。
下川
でも、じつは、すごく悩んだんですよ。
どこが正解なんだろうと。
結局、まさこさんのリクエストに合うものは
これしかないと思って出しました。
細かな粒のつらなりで、サイズは2つ、
素材も2つ、18金と、パールです。
伊藤
ありがとうございます。
お客さまによっては、
具体的なリクエストがあるんでしょうか。
下川
そうですね、そういうこともありますね。
でも、いっぽうで、
お客さんの悩みを聞くようなところもあるんですよ。
伊藤
それはアクセサリーに関する悩みを? 
下川
もちろんそうです。
そのお悩みに対して、ちょっと、
処方箋みたいな感じで提案をします。
あるいは、心の悩みを話してくださるかたもいます。
伊藤
心。
下川
「もっときれいになりたい」とか、
「彼氏がほしい」とか。
それについて、アクセサリーがどんなふうに
役に立てるんだろうと考えるのがぼくの仕事ですね。
その人にあったものを見繕うときもありますし、
アレンジをすることもありますし、
じゃあゼロから作りましょうっていうときもあります。
洋服との組み合わせも大事ですから、
今日の服にはもしかしたらこっちがいいかも、
みたいな、そういう感じもありますね。
伊藤
いいアクセサリーは、つけると、
バーッと気持ちが上がる人も多いでしょう。
下川
そう「上がる」んですよ。
これだ、というものと出会うと、
目がぱっと輝いたり。
伊藤
「顔が開く」って言いますよね。
下川
体温が上がったかのように、上気したりも。
伊藤
自分にしっくりくるものを見つけた時に、
そうなるんですよね。わかります。
彼氏がほしい、という依頼には、
どうアドバイスを?
下川
その悩みって、その人にとっては重大事ですよね。
だから僕も本気で挑まなければ駄目じゃないですか。
だから、彼氏ができるには、そうだな、たとえば、
やっぱり揺らしたほうがいいんじゃないか、とか。
伊藤
揺らす! 
面白いです。
ひらめくんですね、男性の目線で。
下川
そうです、そうです。
「揺れてるとかわいいんじゃないかな」みたいな。
しかも、この方には、
動きがゆったりしてるほうがいいとか。
そういうときは、長めのものをおすすめします。
ミニだと小刻みに動くでしょう。
もっとゆったり動いた方がその方には合っているし、
男性もきっと落ち着くんじゃないかな、とか。
伊藤
それは人にもよるんでしょうね。
その方がどんな人かで。
下川
そうです。髪の長さとか、総合して。
そうそう、嬉しかったんですよ、
その方が、あとで、彼氏を連れてきたんです。
伊藤
すごい!
下川
本当にびっくりして。
こんなことあるんだと思って。
本気で考えてよかったなって思いました。
伊藤
そうなんだ。
下川(里)
「これからこういう昇進試験を受けます」とか、
資格の勉強をしていて、
指輪を見ながら頑張りたい、とか。
見るたびに「よし!」って
思えるようなものがほしい、って。
あるいは「これから病気の治療に入るから、
一つ、つくりたいんです」とか。
そういう人生の節目節目で
ご相談を受けることが多いです。
伊藤
なるほど。
じゃあわたしみたいに前のめりで
「ひらめいた! これ!」っていう人は‥‥。
下川
もちろんそういう方もいらっしゃいます。
ぼくらも、いろんな方がいて、楽しいですよ。
伊藤
アクセサリーって、すごく小さなものなのに、
人の気持ちを左右‥‥じゃないですね、
上げさせるものですよね。
下川
本当に動かします。
伊藤
そんなふうに思ってもらえるなんて、
うれしいことですね。
今回、発売時期をクリスマス前に持ってきたのは、
自分のためにと思ってくださるかたに、
きっかけになればいいなと思ったんです。
下川
はい、本当にいい時期ですよね。1年で。
伊藤
指環などと違い、サイズがないじゃないですか。
しかもプレーンなデザインだから、
男性がプレゼントとして購入しやすいかなとも。
下川
そう! この時期、男性のお客様がすごく増えますよ。
伊藤
一人で来る人が多いんですか。
下川
そうですね。
伊藤
いいですね!
下川
はい。一人でいらして、
ぼくが一緒に相談しながら考えます。
伊藤
百貨店の宝飾売り場は敷居が高いという人も、
こういうショップは入りやすいでしょうね。
ところで、もうちょっとだけ詳しく
アイテムの説明をお聞きしたいんですが。
下川
はい。ふたつとも、材料はとてもシンプルなんですね。
18金のほうは、これが土台で、
こちらのパーツを、周りに1粒ずつ溶接していくんです。
それを三連、くりかえし、
最後に両サイドにちっちゃい粒をつけると、
イヤーカフになります。
伊藤
1粒ずつ!
下川
そうなんです。手作業です。
伊藤
パールはどうなっているんですか。
下川
パールは、全部穴をあけて。
伊藤
自分であける?
下川
そうです、そうです。
伊藤
どうやってあけるんだろう。
割れないんですか。
下川
割れないですね。
歯を削るのと同じで、
リューターっていうのがあるんですけど、
ひとつずつ手で持って作業をするんですよ。
そして18金の土台に通します。
溶接をするか穴をあけるかのちがいですね。
伊藤
ああ、こういうところに、
歯科技工士の技術がいきているんですね。
下川
そうですね(笑)。
ファッションのわかる歯科技工士ですね。
伊藤
パールの産地は‥‥。
下川
ベトナムで養殖されたアコヤパールですね。
パールって世界中の海や川で育てられていて、
そのおかげで僕らは美しいものに触れられて
感謝しています。
伊藤
基本、おおぜいのかたがつけられるサイズに
なっているとは思うんですが、
それでも耳たぶが薄くて外れてしまう、
という人は、調整をお願いできますか。
下川
もちろんです。
直接、やりとりをさせていただき、
微調整をします。
メールでご連絡くださいね。
調整は無料ですので。
伊藤
ありがとうございます。
下川さんにつくっていただいて、ほんとうによかった! 
大勢の方にところに届くといいですね。
下川
そう思います。
こちらこそありがとうございました。

丸いダイヤモンド。

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伊藤
でも独立していきなりお店をつくった‥‥
わけでは、ありませんよね、きっと。
だんだんオーダーが増えていって、
ということでしょうか。
下川
最初は東京タワーで開かれていた
ルームス(rooms)っていう
ファッションの展示会に出たんです。
出展にあたって、ブランド名が要るというので、
ぼくの名前から「himie」とつけました。
そこに出展したら、百貨店、
松屋銀座のバイヤーの方にお声掛けをいただきました。
イベントに出ませんか、と。
そこから、年に5、6回かな、
いろんな催事に呼ばれましたが、
ショップとしても、
その松屋銀座が1号店になりました。
伊藤
お誘いがあって、すぐにお店を?
下川
いえ、最初は「無理です!」って。
でも、何度かお誘いをいただくなかで、
「やってみようか」と。
下川(里)
その時は彼が個人事業主で
人を雇っていなかったんです。
私は会社勤めでした。
だから百貨店に出店するっていう話は、
考えられないことだったんですよ。
人も雇ったことがないし、
運営をするっていうイメージがなかった。
それでアルバイトを募集して3人雇って。
伊藤
3人も? でも、そっか。百貨店はシフトがあるから。
下川(里)
そう、3人居ないと回らないんです。
定休日もありませんし。
下川
でも3人でもキツキツなんですよ。
結局、回せなくて、ぼくも接客に入って。
それを1年くらいやったかな。
伊藤
1年近くやって、何が起きたんですか?
下川(里)
制作も、店頭での指導も回らなくなりました。
それで私が会社を辞めて
本格的に手伝うようになったんです。
私はアパレル会社にいて、
そんなにかけ離れた職業ではなかったので、
お手伝いをすることに。
伊藤
じゃあ下川さんは制作に集中して、
接客、販売周りは里美さんに任せようというような。
下川
そうですね。
でも僕も接客が好きなので
時々店舗にも立ったりして。
伊藤
最初の頃はどんなものを作っていたんですか。
下川
公園の時代はシルバーとか
真鍮(しんちゅう)が多かったんですけど、
百貨店になってからほとんどゴールド、
18金に切り替えました。
下川(里)
お客様がそれを求めるんですね。
このデザインで18金はないかしら、
っていう感じで。
下川
それにこたえる形でしたね。
伊藤
松屋だったら、フラッと来た人が
あらっ? て気づいて
買ってくださるようなことも
多かったんじゃないですか。
下川
そうでしたね。
伊藤
松屋さんの側も、
顧客を持っているブランドを呼んだのではなく、
いいものをつくっているのだから、
この商流の中に置けば、
絶対に見つけてくれる目利きのお客さまがいる、
って考えたんでしょうね。
下川
あはは、チャレンジャーですよね、松屋さんも!
伊藤
そして大阪にもお店を?
下川(里)
そうですね、
2011年、大阪に伊勢丹がオープンするときに
呼んでいただいて、のちに淀屋橋の
「芝川ビル」というところに越しました。
下川
今は店舗いっぱい入ってますけれど、
最初は事務所ばっかりのビルでした。
でも、たたずまいに惚れてしまって。
最初は屋上で開く
フリーマーケットに出たんですね。
その時に芝川ビルの管理の方にたまたまお会いして、
「ここ素敵ですね」みたいな話をしたら、
「今、空いてるんですよ」って言われて。
伊藤
空間ごと、素敵なんですよね。
それはここ(南青山・フロムファースト)もそうですね。
じゃあ、松屋銀座が1号店、
2号店は大阪伊勢丹、のちに芝川ビル。
下川
はい。そのあとが、青山です。
住んでたところの下の部屋を借りて、
そこをお店にしました。
そして2年前くらい前に、ここに移転しました。
伊藤
(ショップカードを見て)
京都にも?
下川
はい、京都は4年くらい前かな。
大阪店に行った帰りに京都に寄って、
もともと不動産ウォッチが好きなものですから、
なんとなく物件を探してみたんです。
そうしたら、見つけちゃったんです、いい場所を。
伊藤
フフフ。不動産ウォッチ、わかります。
下川
すごく静かなエリアで、
当時はそんなに家賃が高くなかったので、
「ここならできるかも!」と。
伊藤
じゃあ、それにともなって、店員のかたも増えて。
下川(里)
はい。わたしたち、
すごくスタッフに恵まれているんです。
わたしたちは見守るぐらいの感じで、
仕事がちゃんと回ってゆくんです。
スタッフがスタッフ同士を支え合うんですね。
京都店は、大阪のスタッフが店長として行ってくれて。
伊藤
フワッと始めたとおっしゃっていたのに!
下川
冷静になると、自分たちも不思議ですね、今の状況が。
本当に、公園で、趣味でつくってたものが、
ジュエリーで食べていけるようになるなんて。
伊藤
根強いファンが多いのではないかと想像しますが、
どんなお客様が多いんでしょう。
下川
年齢は、幅が広いですよ。
特にターゲットとか、
そういうものもないんですけれど。
伊藤
つくりたいものをつくってる?
下川
そうそう。つくりたいものをつくっています。
伊藤
新作発表もまめになさっていますよね。
いいものができた時が発表のタイミングですか?
下川
はい。何かしらのイベントがあれば、
そこに向けてつくることもありますよ。
でも年に2回とか、決めているわけじゃないんです。
「春夏の展示会」みたいなこともしていません。
伊藤
新作は、お客さまの声を受けて、
ということもあるんでしょうか。
下川
どういうのが欲しいという声を、
受け入れるタイプかもしれません。
そのまま、ではなく、アイデアをデザインとして
落とし込むわけですけれど。
ぼくが作ったものに対して
いろいろコメントをいただいた中から
新作が生まれることもありますよ。
伊藤
これでルビーがあったらいいな、とか?
下川
そうそう、そんな感じです。
伊藤
「himie」と言えばこれ、みたいな、
特徴的なデザインはあるんでしょうか。
下川
「丸いもの」はすごく多いです。
丸いダイヤモンドもつくりましたよ。
伊藤
丸い‥‥ダイヤモンド?!
下川
これが丸いシリーズです。
伊藤
たしかに丸いですね! 
‥‥どうなっているんですか、これ。
下川
中に、丸いダイヤモンドが入っていて。
ゆらゆらしているんです。
ピカピカに磨いたうんと小さなお椀のなかに、
丸いダイヤを入れて、
水晶で蓋をしているんですよ。
伊藤
光が当たってすごくきれいですね。
そして、すっごく不思議。
下川
ダイヤって、面でしかカットできなかったんです。
それを手でカーブで削れるっていうところが出てきて。
伊藤
なるほど、「丸い」。

スタートは歯科技工士から。

未分類

伊藤
イヤーカフ、とっても素敵なものができました。
撮影のときも、すごく盛り上がったんですよ、
どの組み合わせで着けたいか、って。
大きい方、小さい方、
ひょっとして両方をあわせて
着けるのもいいのかも? って。
下川
いろんなスタイリングがあっていいと思います。
イヤリングよりもちょっとライトな感じですし、
ピアスがつけられない人や、
ピアスホールが開いてない人でも楽しめます。
伊藤
ピアスと合わせて使ってもいいですしね。
下川さん、ほんとうにありがとうございます。
下川
いえいえ、こちらこそありがとうございます。
ぼくら(himie)のところでは
これまでつくっていなかったアイテムでしたが、
依頼をいただいて、
「まさこさんをはじめ、
みなさんの女っぷりを上げるジュエリー」を、
と考えたんですよ。
伊藤
すごい。そうなんですか。
じつはわたしも持っていなくて、
落ちないものなのかなと、ずっと思っていたんです。
でもふと「いいんじゃないかな」と、
去年の冬ですよね、ここ(青山店)で
イヤーカフがあったらと相談をしたら‥‥。
下川
それはチャレンジしてみたい、と。
伊藤
いままで、つくらなかった理由はあるんですか。
下川
いや、別に意味はないんです。
でも、まさこさんだけじゃなく、
ほかのお客さまからも
リクエストがあったんですよ。
いいタイミングでした。
伊藤
下川さんは、来歴がユニークなんですよね。
最初のお仕事は歯科技工士だったと聞きました。
下川
はい、父親が歯科技工士で、
そこを継ぐ予定でぼくもその勉強をしたんです。
じっさい、父の工房に入り、
月曜から金曜までは歯をつくっていたんですよ。
で、休みの日はアクセサリーを。
伊藤
ちょっと待って、その流れで
いきなりアクセサリーを?
下川
銀歯も、銀の指輪も、
つくる工程は一緒なんですよ。
伊藤
そうなんですか。
下川
最後のかたちが違うだけで、
溶かして流し込むという技法は同じです。
歯科技工士になるための学校では、
授業で指輪づくりも習うんですよ。
伊藤
えーっ!
下川
最初のほうだったと思います、
そういう授業がありました。
伊藤
なるほど‥‥でも、
月~金、ずっと歯をつくる仕事をしていたら、
土日は別のことがしたくなるんじゃないかなって
思ったんですけれど。
下川
ファッションが好きだったから、
楽しかったんです。
伊藤
それは自分でたのしむファッションとして?
下川
いやいや、僕は、アクセサリーを身に着けることには
興味がなくて。
伊藤
そういえば、全く、つけていないですよね。
下川
「つけてもらう」のが楽しいんですね。
伊藤
デザイナーの方のなかには、
自分が着たい服がないから立ち上げました、
みたいなこともあるのだと思うんですけれど。
下川
それはないんです。
伊藤
つくったものは、どうしていたんですか。
下川
日曜日に、当時住んでいた近くにあった
井の頭公園で路面の販売をしたんです。
そもそも、を言いますと、友人であり、
今も一緒にhimieをやっている職人がおりまして、
横浜でモノづくりのイベントに出るというんです。
「それなら僕もつくるよ」と、
指輪をつくって、2、3個かな、出したんですよ。
ところが全然売れなかった。
伊藤
どんな指輪だったんですか。
下川
シルバーに、入れ歯の材料を絵の具で染めて、
ペースト状にして垂らした、青いリングでした。
伊藤
なるほど‥‥売れなかったんですね。
下川
はい。でも、
その時のお客さんとのコミュニケーションが
すごく記憶に残ったんです。
物を通して話ができるっていうのが面白いと。
伊藤
そっか、歯科技工士のかたとお客さまが、
直接会う機会ってないですものね。
下川
そうなんです。作って納めたら終りなので、
まったくコミュニケーションがとれません。
本当に影武者なんです。
伊藤
だから、自分のつくったものを
身に着けようとする人の反応を見るのは、
すごく新鮮だったということなんですね。
下川
そうですね。ぼくがつくったものがもとになって
会話ができるっていうのが面白かった。
それで、井の頭公園で売ってみようと思いました。
当時は、許可もいらなくって、
いろんな人がいろんなものを売っていたんですよ。
いまは「井の頭公園アートマーケッツ」という
東京都が主催する年次のイベントとして
アートの販売が許可されるようになっていますが、
当時はかなり自由でした。
伊藤
何年くらい前の話なんですか?
下川
20年くらい前の話ですね。
最初はペプシの箱を持ってって、
裏返しにして台にして並べてました。
伊藤
それも、きっと素敵だったんだろうな。
お店に来ると、いっつも、
ジュエリーの飾り方がかわいいのにおどろくんです。
井の頭公園時代、楽しかったですか。
下川
楽しかったですね。
女性たちが公園に見に来てくれるわけですよ、
ワーワーと話をしながら、
それでこう、着けてくれたり、買ってくれたりして。
それが単純に楽しかった。
伊藤
歯科技工士は何年くらい続けていらしたんですか。
下川
技工所、いわゆるラボがあって、
そこに5年くらい勤め、
そのあと父のもとで1、2年です。
その時からですね、本格的に
アクセサリーをつくりはじめたのは。
30歳で結婚をして、それを機に歯科技工士を辞め、
アクセサリーづくりに専念をすることにしましたが、
最初の頃は相談を受けてから作る、
のんびしたペースでした。
気負いもそんなになくって、
なんというか‥‥フワッと始めたんです。
伊藤
フワッと。
現在、奥様の里美さんが
ショップの運営をいっしょになさっていますが、
当時、不安はなかったですか。
下川(里)
私は実家が和菓子屋で、
商売をしているので、職人さんというか、
モノづくりしてる人にとても寛容なところがあり、
そんなに不安を持たなかったんですよ。
「なんとかなる!」って。
伊藤
たのもしい! 
お父さまも理解を?
下川(里)
もうほんとうにやさしくて、
ご両親とも、賛成、応援してくれました。
下川
一時期は、父が歯をつくってる隣で
ぼくが指輪をつくって、一緒に仕事をしてました。
同じ機械、同じ材料なので。
下川(里)
環境に恵まれてたと思います。
全て設備が整っているし、
材料は常にあるし。
下川
普通は独立にあたって機材を買うんですが、
当初は資金がなかったものですから、
使わせてもらって。すごく恵まれていました。
伊藤
なるほど!

himieのイヤーカフ

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はじめてのイヤーカフ。

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「歳を重ねると、
時が経つのが年々速く感じる」

年長の友人たちが、
そんな風に言っても、
ふーん‥‥なんて思っていた私ですが、
今年は、あっという間だったなぁ。

それでも、
と思い出すのは、
あの人やこの人の顔。

今年もお世話になりました。

そして自分よ、
一年、おつかれ様でした。

今年のクリスマス、
私は私にイヤーカフを贈ります。
ピアスでもなく、ネックレスでもない、
はじめてのイヤーカフは、
himie(ヒーミー)のもの。

デザイナーの下川宏道さんが、
ひとつひとつ手作業で作った、
weeksdaysのイヤーカフは、
ゴールドとパールの2種類。
耳元をさりげなく飾る、
大人のイヤーカフ。
クリスマスプレゼントに、
ぴったりではありませんか。

点と点が、一本の線に。

未分類

伊藤
「北の住まい設計社」のみなさんが、
今回、わたしたちに
声をかけてくださったといういきさつは、
どんなことだったんでしょうか?
渡邊
もともと「ほぼ日」に関心は持っていました。
私たちと、やってることは違っても、
社会に対するメッセージ性など、
向かってるところは共通してるよねっていうのは
ずっと思っていたんです。
秦野
それで、唐突にメールでコンタクトを。
伊藤
お話をいただいて、いろいろ拝見していたら、
「あれ、ここって?!」と思って。
共通の知人がたくさんいるんです。
奈良「くるみの木」の石村由紀子さんとか、
「Landscape Products」の中原慎一郎さんとか。
点と点が線になったような気持ちでした。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秦野さんが最初にくださったメール(抜粋)

私たちの会社は北海道の家具のメーカーです。
商材に家具をという訳にはいかないですが、
小さな商品でスツールがあります。
とても可愛らしく、愛着を持って
使っていただけるとお勧めができるものです。

詳細をお伝えしますと
北海道産の木材を使い、職人が手組で作っています。
使うほどに良くなり、修理が可能で
お手入れも自分でできること、
それは永く使っていただきたい、
環境に負荷を掛けたくない思いからです。
着色にも中世で使われていた、エッグテンペラを使用し、
有機溶剤や揮発系のものを使用していません。
ただし乾燥には4~6週かかってしまうのがネックですが、
仕上がり感、経年変化とも素晴らしいものです。

ぜひカタログを送らせていただき
サンプル等でご確認をしていただきたいと思います。
少々思いが先走って稚拙な説明となっておりますが
どうぞよろしくお願いします。

北の住まい設計社 秦野
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

伊藤
感動したんです、いただいたメール。
秦野
いや、その、お恥ずかしい。
伊藤
スツールって、きっと
「weeksdays」にいいんじゃないかと、
私も感じました。
スツールというものが、わたしもほんとうに好きで、
何個も持っているんですね。
家具としてちゃんと成り立つものなのに、
存在感がそんなにないし、
幾つあっても邪魔にならないものだし、
座らなくてもサイドテーブルみたいにできたり、
何か飾ったりもできる。
それから秦野さんが東京に来てくださって。
秦野
はい、行きました。
伊藤
お目にかかって、ぜひお願いしたいと思い、
すでにあるサンプルを送っていただき、
そこからどうしようか、と、
ああでもない、こうでもないと、
わたしたちが投げかけたボールを、
毎回、きちんと投げ返してくださって。
秦野
そうでしたね。
伊藤
幾度かのやりとりのあと「これでいきましょう」となり。
意思の疎通がちゃんとできたと思って
とっても嬉しかったです。
秦野
やりとりのなかで、実現したのは、
丸い脚の先をちょっとエッジを効かせてみてはどうだろう、
ということでしたね。
伊藤
家に持ち帰り、うちにあるスツールと並べてみたときに、
ちょっとだけ足が丸っこいかなって思って。
他と同じようにしたいわけじゃなく、
うんと角張りにはしたくもなく、
「もうちょっとだけ丸を少なくしたら」と、
そういう提案をさせてもらいました。
秦野さんはどう思われましたか。
秦野
「あ、これ意外といいんじゃない?」と。
伊藤
よかった。
秦野
また、黒脚の提案も、楢材と似合いますね。
脚の色を変えるというのは、僕たちもやっていたので、
違和感なく、素敵なものになったと感じました。
伊藤
うちもそうなんですけど、
今、楢の家具がとても多くて。
北欧の家具が好きな方は、
楢で揃えていることも多いでしょうから、
買い足しやすいだろうと思いました。
また黒い方は、
楢の家具がいいんじゃないかなと思う人でも、
黒は新鮮に感じてくれる気がしたんですね。
実際、わたしもどちらを買おうか迷っています。
また、羊のシートをポンって置くと違う印象になるので。
原型となったスツールは、
今まで何脚ぐらい作られたんでしょう。
渡邊
どうだろう。1,000脚くらいでしょうか。
伊藤
え、そんなに。
秦野
1,200ぐらいになるのかな。
伊藤
すごい。どんなお家で
どんなふうに使われてるんでしょうね。
作るときは職人さん、何人ぐらい関わるんですか。
秦野
1人ですよ。
伊藤
え? 全工程をたった1人で?
秦野
そうなんです。でも、同じ人がずっと、
というわけじゃなく、
1人の職人が、1脚のスツールの
全工程に責任をもって担当します。
伊藤
最初から最後まで1人の方が1脚の椅子を。
秦野
うちの家具は流れ作業がないんです。
最初の削り出しから完成品まで1人で行くんですよ。
なので、検印の名前も入っていますよ。
伊藤
なぜ、流れ作業ではないんですか。
秦野
職人さんも自分で最後まで作るっていうところで、
責任を持てますよね。
誰かが作った部品を合わせて仕上げるのではなく、
また、その部品を担当するのでもなく、
最初から最後まで木目を見ながら作っていく。
だからこれはこの職人さんの目で作ったもの。
やっぱり個性が出ますけれど、そこを大事にしています。
渡邊
オートメーション化していないですからね。
基本的な木工機械しか置いていないんです。
伊藤
私たちも、あ、これは1人の職人さんが
大切に作り上げてくれたんだという
特別な嬉しさがありますね。
どういう使い方の提案をされますか。
渡邊
やっぱり基本的には補助椅子としてが
メインだと思うんですね。
後は、しっかり座って食事とかじゃなく、
何かちょっと作業をするときに
テーブルに持っていって使う、というような。
あるいはソファの横で本を置いたりとか、
お花を置いたりとか。
ちょっと玄関に置いて
靴を履くときにっていう方も多いですよ。
伊藤
あと、送られてきたときに意外と小さな箱で来たので、
それにびっくりしました。
重くないのもいいですね。わたしでも運びやすい。
秦野
そうですね。
伊藤
お手入れとかはどうしたらいいですか。
何か注意点とかありますか。
渡邊
木部は別に天然オリーブオイルの石鹸など、
要は純石鹸、固形石鹸でいいんですけど、
水とそれをつけて絞った布で拭いて、
汚れ落としをして頂く。
オイルも販売してますけど、
よほどかさつかないない限りは
そこまでのケアは必要ないんじゃないかな。
黒く塗っているものも同じです。
伊藤
エアコンの風が当たるところは避けるとか、
直射日光が当たるところは避けるとかは?
渡邊
そこまでデリケートじゃないですよ。
テーブルだと、クーラーの風が直接あたると乾燥し過ぎて、
木が持ってる水分を取っちゃいますけれど、
スツールは大丈夫ですよ。
もともとの木材の乾燥がしっかりしているので、
あのぐらいの大きさのものであれば、大丈夫。
伊藤
お手入れが簡単なのはうれしいですね。
あと、お客様に何かお伝えしたいことがあればぜひ。
渡邊
買われた方に、どんなふうに使って頂けるのか、
ちょっと覗いてみたい気持ちがありますね。
伊藤
わたしたちも見たい。どんな家に置かれるんだろうとか。
インスタグラムに投稿していただきましょうか。
「#weeksdays」とつけて。
渡邊
自分たちの家具の販売のチャンネルは、
問屋さんを通さない、全国の小さな家具屋さんです。
そんなふうに家具の流通の仕方も変わってきてますから、
私たちも直にお客様と結びついていきたいなと思います。
だから「ほぼ日」「weeksdays」のように、
考え方、メッセージ性が共通した、違うチャンネルで
発信して頂けるのはとっても有難いなって思います。
自分たちだけでは限りがありますから。
伊藤
楽しい広がりがあるといいですね。
わたしたちも頑張らなくちゃ。
渡邊
これからも、木のもので、
小さなものであれば、ご提案くださいね。
伊藤
あ、はい! ひとつあるんです。
それは、こういうものなんですけれど‥‥
(まだ内緒です)。
渡邊
なるほど! 
それは提案ができそうですよ。
伊藤
ほんとですか。
渡邊
はい。
以前、業務用でつくったことがあります。
かわいいくて、使い勝手がわりとよくて、
しかも、世の中にあんまりないですよね。
きっと、できると思いますよ。
伊藤
じゃあ、それが出来たときは、
ぜひ取材に行きたいです。
そのときはよろしくおねがいします!
渡邊
ありがとうございます! 
たのしみにしています。


家具づくり、家づくり。

未分類

伊藤
40何年前の当時は、衣食住を提案するという店は
すごく少なかったと思います。
今でこそ、雑貨屋さんにカフェが併設されているとか、
お洋服屋さんにレストランがありますが、
当時はすごく珍しかった。
渡邊
ほかに、なかったような気がします。
でもそういうお店をやること自体が目的なのではなく、
ここに移ってくるときは、
自分たちがここで自給自足的な暮らしをしながら、
ものづくりを通じた表現ができたらいいと思っていました。
むしろ、お店をする予定はまったくなかったんです。

▲家具を売り始めた頃。

伊藤
それで、家具をまず最初に。
渡邊
北欧で夏に外での暮らしを楽しむようすを見てきました。
皆さんみんなお庭に、木でできたテーブルやベンチ、
ブランコをつくっていた。
だから木の家具を提案するのに、外の家具からいこうと、
当時北海道の松を使ってノックダウン(組み立て式)で、
アウトドアグッズとして販売を始めました。
その頃、テーブルが3万ぐらいだったと思うんですね、
部品が箱に入れてあって、組み立てるだけ。
でも販売したら「高い!」って言われました。
むしろ、安いと思うんですが‥‥。
伊藤
ええーー! 
安いですよね。
渡邊
今、やればいいのかもしれない(笑)。
そして、そのうちにいろんな出会いがあって、
DIYの大手ショップで販売をしたり、
雑貨・インテリアのブランドが
国内で家具を作りたいという時に、
受け皿がうちになり、一緒に家具をつくったりしました。
そのブランドとは材料も含めて
長くおつきあいをしましたが、
無垢材の家具って管理が大変なんですよね、
突然、先方の意向で終了になってしまったんです。
伊藤
なかなかうまくいかないものなんですね。
渡邊
そうなんです。
その後、家具の見本市にたまたま出ることになり、
どうせなら、家具を見せるというよりは、
自分たちの世界を演出して見せようと、
そんなブースをつくったら、
良い評価をしていただきました。
そこからですね、
家具の道が本格的にスタートしたのは。
伊藤
東川の小学校の建物との出会いは、
紹介があったとか、元々の故郷だったとか、
何かつながりがあったんですか。
渡邊
いえ。私たち、そのときは2人だったので、
どこでもよかったんですよ。
それでこういうことをやれる場所を探して
ずっと車で探して回ってたんですが、なかなかなくて。
そのときに友人がこの東川で
焼物の窯をやっていたんですね。
すると「ここにこんな建物が空いているよ。
町に企画書を出してごらんよ」って。
それでプランを出したら、
「いいですよ」ということになったんです。
伊藤
そこから、職人さんを探して?
渡邊
その前に代表が責任者として、
店舗什器を作る工場を立ち上げていたんですね。
彼は手は動かさないんですけど、
作るっていうこと自体には関心が高かったので、
いい職人がいて、打ち合わせさえすれば、
いい家具は幾らでも作れると言うんです。
それで、その工場にいたベテランの人が1人、
そのまま、来てくれました。
そのほかに塗りをしてくれる女性が1人いたので、
わたしたち2人、職人2人のスタートでした。
もちろん私たちも梱包をしたり、
いろんなことを手伝いながらでしたよ。
今は、職人が20人ぐらいになりましたけれど。
伊藤
家具をつくり、店舗も開き、家の設計もされるという、
今のような形態になったのはいつ頃からなんでしょう。
渡邊
うちの家具のユーザーの方から、
いろんな相談を受けているうちに、
家も設計して欲しいなということになり、
1軒、2軒やらせて頂き‥‥、というのが、
だんだん増えてきたんです。
代表は全部天然素材、とくに木でやりたい人だから。
使い捨てが嫌だ、土に還るものをというのが、
家具づくり、家づくりに通じていることですね。
伊藤
社長の渡邊さんの頭の中にずっとあったのは、
自然に還る素材でものを作るということと、
北欧の暮らしからヒントをもらい、
いいなと思ったことを北海道で形にすること。
渡邊
そうなんですよ。
何かを目指して、ゴールがあって、
ということではまったくないんです。
ほんとに出会いとなりゆきで今がある。
伊藤
吉川さんから、御社のイベント「夏至祭」について、
最初はこじんまりだったのが、評判が評判を呼んで、
どんどん大きくなっていったとききました。
1回行くと、みんな好きになっちゃうと。
そんな感じで仲間も増えていった、
ということなんでしょうね。
渡邊
共感、でしょうか。うれしいことです。
伊藤
このプロジェクトのきっかけとなった秦野さんにも
お訊ねしたいんですけれど、
もともと秦野さんは建築家だったということですよね。
秦野
そうです。北海道の設計事務所にいました。
そのときは公共施設ばかり担当していて、
正直、「もういいかな」という気持ちになって。
それでこの「北の住まい設計社」に来たんです。
伊藤
転職して、いかがでしたか。
きっと、全然違いますよね。
秦野
全然違いますね。
ここの会社に来てから初めて木造を担当したんです。
それまで鉄骨や鉄筋コンクリートしか
やったことがなかった。
伊藤
へえー!
秦野
家具の図面も描いたことがなかったんです。
家具をつくるときは、家具メーカーに図面を依頼し、
自分で描くことはなかった。
それで渡邊(社長)に
「家具の図面、描いたことないです」って言ったら、
「俺が教えてやるから」と。
「じゃあ、お願いします」ってここに来たんですね。
渡邊
代表は、家具図面も建築図面も全部手描きでやれますから。
秦野
実務としては、スケッチをもらうんですよ。
それをCADで図面化するという。
伊藤
渡邊さんのスケッチには
アイデアがいっぱい詰まってるんでしょうね。
秦野
それはもうほんとにたくさん詰まっています。
昔はちゃんとディテールも描いていたんですが、
この頃はサッサッサ、としか描いていないから、
僕たち、そのアイデアを拾わなきゃいけない。
伊藤
家具って、ずっと使うものだし、
椅子なら座ったり立ったりに
耐えられるものである必要もあるし、
かつ、デザインの美しさが要る。
それをサッサと描けるって、すごいですよ。
しかも今は「こういうの」ってニュアンスを
伝えてもらえれば、みなさんで形にできる。
渡邊
レベルの高いスタッフが揃っているんです。
職人と代表が直接話をしながら、
ちょっとしたディテールを調整しつつ、
全体のプロポーションを作り上げていくんですね。
やりながら直して、また直して、
っていう作り方ですね。
秦野
そうですね。現場で直接、
打ち合わせをしながら作り上げていくという感じです。

北欧旅行がきっかけで。

未分類

伊藤
(オンラインで)こんにちは、伊藤です。
今回は、直接お目にかかることがないまま、
このスツールをつくっていただくことになって、
東川(北海道「北の住まい設計社」の拠点)に
伺わないまま、ずっとリモートで‥‥。
渡邊
そうですよね、あらためて、渡邊雅美です。
伊藤
この度はありがとうございました。
渡邊
こちらこそ!
秦野
伊藤さん、こんにちは。
以前「ほぼ日」に伺った秦野誠治です。
牧野
広報の担当をしております
牧野やよいといいます。
伊藤
秦野さん、牧野さん、よろしくお願いします。
ちょうど先ほどSTAMPSの吉川さんと
お話しをしていたんですよ。
渡邊
あら!
伊藤
みなさんに、ほんとうに
お世話になっているとおっしゃっていました。
くれぐれもよろしくお伝えくださいって。
渡邊
そうでしたか。ありがとうございます。
こちらのほうですよ、お世話になっているのは。
今、「STAMPS」さんの秋冬ものがたっぷり入って、
店頭が賑わっていますよ。
伊藤
東川に行かれた吉川さんが、
ほんとに素敵なところだなぁっておっしゃっていました。
今回も、コロナがなければ、行きたかったです。
もうちょっとの我慢ですよね。
渡邊
そうですよ、もうちょっと、我慢です。
伊藤
ウェブサイトを拝見して、
1985年に廃校だった小学校を
買い取ったところから始まった、
というふうに書かれていました。
渡邊さんたちがこのお仕事を
85年に始めるまでっていうのは、
どんなことをなさっていたんでしょう。
渡邊
会社を創って43年になります。
東川に来る5年ほど前から仕事をはじめました。
最初は旭川の町で、
インテリアの内装デザインの会社としてスタートしました。
その後、店舗だけじゃなく、
自分たちで飲んだり食べたりお喋りしたり、
そんな場所が欲しいよね、となって、
設計事務所をやりながら、パブを経営し始めたんです。
伊藤
パブ?! 
渡邊
パブです(笑)。
飲んで食べて安くて美味しく、って。
皆さんお若いからご存知ないでしょうけど、
「オレンジバーン」っていう、
有名な建築家の方(島弘子さん)が1988年に
建築設計事務所「オレンジポイント」とともに開いた
ショールームなんですが。
伊藤
はい、知ってますよ。
渡邊
あら! あの頃にしては衝撃的な大テーブルがあって、
隣の方は誰? という感じで若者が集まって、
飲んで食べてお喋りしてっていう場所だったんです。
それを見て、「私たちも、こんなことしたいね」って。
伊藤
そうだったんですね。
渡邊
その頃は、ファミリーレストランの出始めで、
そこに代表、わたしの夫ですね、が
仕事で関わっているうちに、
もうすっかり洗脳されまして、
自分たちでもつくろう! 早くつくろう! と。
仕組みはファミリーレストランの
セントラルキッチン(*)のマネをして、
仕込みが8割で、お客様には完成品を
すぐ出せるようにということが課題でした。
小さいお店だったんですけど、
大テーブルにみんなで座って、
だいたい客単価は1,200円。
ボトルをキープしても
1回1,000円ぐらいで収まるようにって。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
(*)セントラルキッチンとは、あらかじめ調理をまとめてしておいて、
お店ではあたためたり、皿に盛って出す飲食店のしくみ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

伊藤
ええーっ!
渡邊
お陰様で大繁盛で、
入るのに並ぶようになっちゃった。
私も事務所へ行って、お店へも出て、っていう生活で。
それが、3年ぐらいやったのかな、
突然「もう嫌だ!」って思ったんです。
伊藤
忙し過ぎたんですか。
渡邊
それもありますね。
しかも夜中まで毎日ですから、
「こんなの、一生は、したくない」って。
伊藤
理想の店はできたけれども、働くとなると、
ご自身が大変。
渡邊
極端に言えば、自分たちが生きていくにあたって、
自分自身が何のために存在するのかということに
ぶつかってしまったんですよ。
それで、そこは、一緒に働いててくれたスタッフに譲り、
設計事務所を休眠させ、
夫婦2人で1カ月、
フィンランドの田舎のにんじん農家に
ファームステイをしました。
ものすごい田舎なんですけど、
納屋のペンキ塗りをしたりして。
そこでの食卓は、女性のご主人がパンを焼き、
ウェディングパーティーをやったり、
ベリー摘みにも行きましたし、
釣りにも行ったし、とにかくとってもいい時間、
プレゼントな数週間を過ごし、
その後はスウェーデンとかノルウェーを回りました。
「あ、これだな」って、
それが現在のスタイルの出発点になったんです。
北海道の四季というのは、
北欧ととってもよく似ているんですよ。
伊藤
北欧での経験が、
北海道での暮らし方のヒントに。
渡邊
はい。自分たちがこれから仕事としていくのは、
こういうことを
何かを通じて伝えていくことだと思いました。
つまり、衣食住、
ライフスタイルぜんぶを提案したいんだって。
それで、北海道に戻ってきてから、
何でそれを表現しようっていうことになったときに、
「家具」だと、何故か、思ったんです。
主人はデザイナーではあるんですが、
職人ではないんですね。でも木がとにかく好き。
それで木の家具でスタートしようということになり、
今に至っているんです。
伊藤
そういうことだったんですね。

▲代表の渡邊恭延さん。

英国のオーエンバリーのこと。

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伊藤
木と羊を組み合わせたいっていう
私の思い付きが、こんなふうに形になって、
ほんとうにうれしいです。
吉川さんは、できあがって、どう思われました?
吉川
僕は、できあがったときは、ただただうれしくて。
人間関係と一緒で、モノづくりにも、
こういう幸福な組み合わせがあるんだ、
「思いが重なる」ってあるんだなあ、って、
チームのみんなとも、喜びました。
うまく言えないんですけれど。
伊藤
わかりますよ。あのブランドの人が、
じつはこのブランドのファンで、
またその逆でもあったりして、
「つながった!」という瞬間があるんです。
会ったことがない人たちでも、
なんとなく通じることがあるんだなというのは、
このweeksdaysをやっていて感じることです。
わたしは思いつきで「これとこれを合わせたい」と
言うだけなんですけれど、なんとなく通じ合っている。
吉川
偶然なのか必然なのかわからないですよね。
そして、ぼくがデザインしたら、こうはならない。
やっぱりこのバランスとか、
伊藤さんじゃないとできないことだと思うんです。
伊藤
この「かわいい」「かっこいい」は。
年齢や性別と関係なく、
もちろん吉川さんのおうちにも
合いそうだなと思いますよ。
吉川
それも感じます。どんなお家でも。
伊藤
オーエンバリーのこと、
すこしくわしく教えていただけますか。
吉川
はい。はじめて彼らのファクトリーを訪ねたのは、
2019年のことでした。
ロンドンから西へ、列車で2時間くらい、
サマセット州の、キャッスル・キャリーという駅です。
伊藤
きれいなところだとうかがいました!
吉川
はい、これぞ英国の田園風景! という感じですよ。
そこに工場があるんです。
2階が事務所で、1階が工場なんです。
オーエンバリーは
初代のオーエンバリーさんからずっと
家族経営なんですよ。
現在のオーナーは
シンディ・バーンスタブルさんという女性で、
娘のチャスさんとともに切り盛りしています。
伊藤
ブランド創設のきっかけは
どんなことだったんでしょう。
吉川
オーエンバリーさんが始める前も、
じつは、3世代にわたって
革のなめし工場を運営してきたんだそうです。
ところが、戦争や紛争が続いた英国では、
革もまた軍需産業に使われていったんですね。
そのことに強い疑問といきどおりを感じて、
個人向け、家庭向けの仕事がしたいと、
1948年から、
こうした製品作りをするようになったんです。
それがブランドのはじまりです。
伊藤
最初につくったのは‥‥。
吉川
レザーグローブだったそうです。
だんだんとアイテム数がふえ、
今回のシートのようなインテリア洋品、
バッグ、服へとひろがって行き、
いまや「革のライフスタイルブランド」として
知られています。
自社ブランド製品だけじゃなく、OEMも多くて、
ちょうど、僕らが工場に行った時には、
アメリカの有名なデパートの革製品を
つくっているところでしたよ。
伊藤
デザイナーは社内に?
吉川
はい、社内デザイナーがふたり。
伊藤
いまも、革をなめす工程からやっているんでしょうか。
吉川
いえ、オーエンバリーとなってからは、
革を買い付けているとききました。
革は、食肉産業の副産物としてうまれたもので、
主にヨーロッパの信頼できる工房から仕入れるそうですが、
今シーズンの革は、風合いや毛の密度などが最適な
オーストラリア原産の羊を使いました。
加工の工程、環境への配慮なども大事にした、
質の高い革です。
ヨーロッパは、世界的にも、
環境への意識が高い地域ですよね。
本来、捨てられてしまうものを使うということも含め、
オーエンバリーのモノづくりは、
とてもポジティブに受け入れられているそうです。
伊藤
しかも、家族経営だったら、
最初から最後まで自分たちの責任ですから、
ていねいな仕事をなさるでしょうね。
吉川
本当にみんなが「ファミリー」な印象なんですよ。
たのしそうで、しかも、手を抜かない。
長く勤めている職人さんも多くって、
いい環境だなあって思いました。
伊藤
今回は、羊のシートをつくるだけじゃなく、
その余り革も無駄にしたくないですよね、
という話になって。
吉川
羊のシートを丸く切り取ると、
どうしても端切が出てしまうんですよね。
イングランドの工場に相談したら、最初は
「ペンケースがいいんじゃないか」と、
すぐにサンプルをつくってくれました。
伊藤
面白かったですよね、フワッフワのペンケース! 
でも、だったら、ペンに限らず、
スマートフォンくらい入るといいんじゃないかなと、
このポーチになりました。
余ったものを利用して
こんなにかわいいものができたっていうことが、
すごくうれしくって。
吉川
はい、そうですね。
伊藤
そして、さらに小さな余り革を使って、キーホルダーも。
これはバッグにつけて
チャームにしてもいいですし、
ほんとうにキーホルダーとして使ったら、
なくすことがなさそう。
うちは、玄関に鍵の置き場所があるんですが、
そこにこれが置いてあったら、
それだけでもかわいいです。
そういえば、色や毛のカールの具合も迷いましたね。
スツールにぽん、と置いたとき、
どれがいちばん馴染むだろうかと。
毛足が短いタイプもかわいかったんですけれど。
吉川
もこもこしたタイプもありましたね。
伊藤
でもそれだと端っこのところが心もとなくて、
この、長めの毛がしっくりくるなあと。
何回も何回も話しましたね。
それって製品づくりには必要なことでした。
ほんとうに、ありがとうございました。
きょうは、このあと、
北海道とオンラインでつないで、
「北の住まい設計社」のみなさんとお話をするんですよ。
吉川
そうですか! ぜひよろしくお伝えください。
ほんとうにお世話になってます。
伊藤
わかりました!

偶然のつながり。

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伊藤
今回、「北の住まい設計社」のみなさんと
木のスツールをつくるプロジェクトで、
STAMPSの吉川さんにもご協力をいただきました。
ありがとうございます。
吉川
いえいえ、こんなふうにご一緒できて
とても嬉しいです。
ぼくらが担当したのは、英国の「オーエンバリー」に
羊のシートをつくってもらうことでした。
スツールは「北の住まい設計社」の
定番のデザインを、「weeksdays」用に
アレンジしたのだとお聞きしました。
伊藤
そうなんです。もともとのデザインの
「かわいらしさ」をいかしながら、
ほんのちょっとシャープな印象を足したくて、
素材を楢材(北海道産ミズナラ)にし、
すこしだけデザインもアレンジを。
スツールの脚の接地面が、
もともとはドラムスティックの先みたいに
丸い、きれいなラウンド形状だったのを、
あえて、すこし、エッジをつけてもらったんです。
でもシャープすぎないように、という、
そんな按配を、みごとに体現してくださったんですよ。
吉川
脚が黒いものもつくられたんですね。
伊藤
はい、ナチュラルな座面に
イタヤカエデ材を黒く塗った脚を組み合わせてみたら、
ちょっと見慣れない、新鮮な印象になったんです。
わたしはスツールが好きで、
家に何脚かあるんですけれど、
「この組み合わせはなかった!」って。
吉川
スツールって便利ですよね。
いまはお客さまを呼ぶことが減りましたが、
「もう一脚あったら」ということは、よくあって。
でも椅子を買うのはちょっと、と思っているなか、
スツールを買っておくっていうアイデアは、
すごくいいと思うんですよ。
伊藤
椅子じゃなくてスツールだったら、
座るだけじゃなくて、花を飾ってもいいし、
ちょっとサイドテーブル代わりにしてもいいんです。
吉川
いいですね!
伊藤
それで、吉川さんに手伝っていただこうと思ったのは、
わたしが持っているスツールに、
座面が羊の毛で覆われているものがあるんです。
それをつくれたら、というのが最初の考えでした。
吉川
座面をくるんじゃうスタイルですね。
伊藤
はい。そうしようとしたんですけれど、
座面を加工すると、全体の印象が重たくなって、
価格もはねあがってしまうことがわかって、
あきらめることにしたんです。
それに、はじめから固定してしまうと、
台やサイドテーブルとして使うことができない。
じゃあ別添えで、
羊のシートができたらいいんじゃないかなって。
そうしたら、すでに「ほぼ日」で
吉川さんが「オーエンバリー」の
シートパッド
を紹介なさっていて。
それで相談に伺ったんです。
吉川
びっくりしたんですよ、
なぜなら僕らは「北の住まい設計社」のみなさんと
お付き合いがあったからなんです。
2017年に「インテリアライフスタイル展」
という催しに出展したとき、
「北の住まい設計社」の渡邊雅美さんが、
僕らの「STAMP AND DIARY」のブラウスを
気にいってくださって、取引がはじまったんです。
伊藤
社長の奥さまですね。
それまでは御存じなかった?
吉川
なんとなく、ですけれど、知っていました。
旭川の南東に位置する東川というまちの郊外で、
きちんとしたモノづくりをされてらっしゃる方たちだと。
北欧とのつながりが太い会社で、
スウェーデンのゴットランド島の
アーティストと仲がよいとか、
そういうことをおぼろげに知っていたので、
北欧好きの僕としても、
ぜひ取引したいと思っていたんです。
伊藤
お互いが「いいな」って思っていた。
いい出会いですね。
吉川
はい、ほんとうに! 
彼らは自分たちのオリジナルの家具を、
かなりおっきなスペースで展開しているんですが、
オリジナルプラス仕入れのものも置いて、
東川のショールームでは、
家具にかぎらない、生活全般の、
彼らのセンスにあう「いいもの」を紹介しているんです。
そこでSTAMP AND DIARYの服を
展開させてもらったら、
とてもいい手応えがあったんですよ。
東川って人口は8千人ほどで、
「北の住まい設計社」はさらにその郊外。
どうしてそんなに売れるんだろう? と不思議で、
1回行ってみたいなと思っていたら、
雅美さんから「夏至祭っていうイベントがあるので、
いらっしゃいませんか」と。
夏至祭は、日の出から日の入りまでの時間が
一年でいちばん長い夏至の日に、
ガーデンマーケット、ワークショップ、コンサート、
キャンドルナイト、それから持ち寄りパーティを開く、
かなり楽しいイベントらしいと知っていたんです。
毎年、うわさがうわさを呼んで人気が出ているんです。
それで、せっかく行くなら、と、
販売のお手伝いに行ったんですよ。
そしたら、ほんとうに素敵で! 
もともとは夏至祭っていうのは
北欧のライフスタイルで、
クラシックの音楽を聞いたり、
みんなで持ちよりパーティーをして、
火を焚いて、明るい夜を過ごすんです。
そんなに壮大なものじゃないらしいんですけど、
東川の夏至祭は、それの拡大版みたいな感じでした。
伊藤さんもよく御存じの、奈良の「くるみの木」の‥‥。
伊藤
石村由起子(いしむらゆきこ)さんですよね。
吉川
はい。石村さんも参加なさっていたし、
ランドスケープ(Landscape Products)の
中原慎一郎さんも関わっていて。
伊藤
そうなんですってね! 
中原さん、店舗をデザインしたとき、
「北の住まい設計社」に
椅子やスツールを頼んだとおっしゃっていました。
それで、私と合うんじゃないかとも。
吉川
そうなんですね! 
夏至祭があまりに楽しかったことと、
常設のショップの素敵さにおどろいて、
「こういうところにうちのコーナーがあったら素敵だな」
って思ったんです。
あの手づくりの家具の中で、囲まれるように
うちの洋服が並んだらいいな、と。
そうしたら、そのコーナーを
作らせていただくことになりました。
伊藤
そういう経緯だったんですね。
市街地からは遠い場所でも、
人が集まる場所なんですね、きっと。
吉川
想像ですが、大都会である札幌の人にとって、
東川に遊びに行くのは、
東京の人が箱根や軽井沢に行くような感覚なのかなと。
「あのお店に行こうよ!」みたいな、
小さな旅の、素敵な目的地なんだと思うんです。
カフェレストランもあるので、
そういう行先になってるのかな。
と、話が長くなっちゃいましたが、
そんな経緯があったものだから、
伊藤さんから「北の住まい設計社とつくるスツールに
オーエンバリーの羊のシートをあわせたいんです」と
相談をいただいたときは、びっくりして!
伊藤
よかった、ご縁がありました。

木のスツールと羊のシート

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再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
12月9日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

ちびちびセット

▶︎商品詳細ページへ

福光屋のお酒を知って20年ほどになります。
金沢を訪ねた時はもちろん、
東京にもお店があるので、
近くに行くと立ち寄っては、
気分に合うお酒を見繕い、抱えて帰ります。
お酒はもちろん、気の利いたおつまみなどもあって、
それがうれしいんです。

weeksdaysを始めた頃、
何かご一緒できませんか? と相談し、
ああでもない、こうでもないを繰り返して、
できあがったのが、このちびちびセットです
(構想から4年!)。

箱の中はこんな風。

1・福光屋のおすすめする6本のお酒

2・6つのちびおつまみ

3・ひれ酒用のふぐのひれ

4・お酒に合ったおつまみ20品の
  小さなレシピ本『ちび本』

お酒はひと瓶、180mlの飲みきりサイズ。
今日は、このお酒とこのおつまみにしようかな、
なんて迷う時間もいいですし、
家族と2、3本を飲み比べ! なんて楽しみ方も。
これまでお酒にあまり縁がなかったという方でも、
馴染みやすいサイズ感ではないかなと思います。

箱の絵を描いてくださったのは、
松林誠さん。
きりりとした中にも、
お茶目でかわいらしさに溢れるセットになりました。

私は自分用にはもちろん、
今年お世話になった友人知人にプレゼントしたいな、
と思っています。
(伊藤まさこさん)

今回の追加販売は、50セットとなります。
今回の追加ぶんが完売した場合、
その後の再入荷はいまのところ予定していませんので、
お早めにご検討くださいね。

チョコプレッツェル

▶商品詳細ページへ

一口食べるとチョコのあまさが。
そのあと、プレッツェルの塩気がふわり。
最初のひとつが喉を通り過ぎる頃には、
次のひとつに手が伸びる。
これにコーヒー(それもたっぷり入れた)があれば、
この上なく幸せなおやつタイムとなります。
私がニューヨークで食べた記憶をもとに作ったのが、
このweeksdaysオリジナルのチョコプレッツェル。
自分のために、
友人に。
ちょっとしたお土産にも。
今回から、パッケージのデザインが変わリましたよ。
(伊藤まさこさん)

今回の追加販売より、
パッケージはクラフト紙のものに変更となります。

木とモフモフ。 

未分類

ダイニングのすみっこ、
ベッドの脇、
台所、
それから玄関。

家のあちこちにスツールが置いてあります。

どっしりと腰を据えて座るというのではなくて、
ちょっと腰掛ける、とか
ちょっと何かを置く、とか。

この「ちょっと」が、
私の暮らしにちょうどいい。

椅子でもなく、
サイドテーブルでもない、
とても小さな家具だけれど、
あると、なんだかうれしい。
スツールって家具界の名脇役だわ、
なんて思うのでした。

今週のweeksdaysは、
木のスツールと、
それから、
冬にうれしいモフモフしたものをいろいろと。

明日のルックブックをどうぞおたのしみに。

美味しい組み合わせは無限。

未分類

伊藤
APOCのパンケーキミックスが4種類あると、
今日撮影させていただいたように、
すごく食卓に広がりが出ますね。
いろんな食べ方を教わりました。

甘いものとしょっぱいものをいっしょのお皿に並べたり、

パイナップルをソテーして、
スパイスを加えたメープルシロップをかけたり、

缶詰のチリビーンズをあたためてのせたり、

うすく焼いてクリームとシナモンで
バナナを巻いて胡桃をのせたり、

ちいさく焼いてクリームをはさんで
重ねてケーキみたいにして、

こんどはそれをミルフィーユみたいに切ったり。
(串をさしてカットすると、
こんなに厚くても崩れにくい!)

大川
そう。チョコもしょっぱく食べたりね。
伊藤
え、チョコをしょっぱくって?
大川
たとえばチョコにマスカルポーネでもいいし、
リコッタとかでもいいし、
塩とペッパー振って食べてもいいと思う。
伊藤
そっか、あとは、オリーブを切ったりと
おっしゃっていましたね。
大川
そうですね。
「バターミルク」の生地をフライパンに流したら、
スライスしたオリーブをのっけて焼くんです。
「コーンミール」には
トウモロコシの粒を振りまいてもいいし、
「チョコレート」だったら、
ブルーベリーをパラパラっとしてもいいし。
伊藤
そうか。焼いたものと組み合わせるんじゃなくて、
生地にパラパラと振る。
でも、混ぜ込まない?
大川
中に混ぜ込んでしまうと、どうしても、
生地のバランスにムラが出ちゃうでしょ? 
だから生地を流したところに好きなだけ、
お好み焼き形式でのっける。
うち(自宅)ではそうしてるんです。
あるいはミックス1袋ぶん、
1枚にしてど~んって焼いちゃったり。
伊藤
で、皆で食べる?
大川
そう、切り分けて食べます(笑)。
ジャムとか、目玉焼きとか、
テーブルの上に適当に出しちゃうんですよ、
各自好きにして、って。
伊藤
ジャムは温めますよね、雅子さん。
大川
そうそう。瓶から直接でもいいんだけれど、
ちょっとあっためてクリームにかけたりすると、
香りもフッと立つし、
クリームもサッと溶けておいしくない?
伊藤
メープルシロップを温めるっていうのも、
雅子さんに教わったことです。
すごく新鮮でした。ちょっと煮詰まって。
大川
メープルシロップ専用の保温ポットで
ず~っと電気で温めているんです。
だから煮詰めるのが目的というわけじゃなく、
自然に詰まっちゃうんですけどね。
メープルシロップは、以前はデニス・バンクスっていう
アメリカ先住民の方がつくったものを使っていたんですが、
そのデニスさんが亡くなってしまったんです。
跡を継いだ人たちで頑張ったんだけれど、
コロナでアメリカ国内も移動ができなくなって、
破綻しちゃったんですね。
それで今はカナダのオーガニックの通称「クマさん」を。
カナダでも、オーガニックの木って本当に少ないんです。
だから、業務用サイズをつくるのは無理で、
このサイズが精一杯。しかも割り当ても決まっているので、
欲しければ無限に送ってもらえるものでもない。
伊藤
いつまであるか分からない?
大川
そうかもしれない。
伊藤
大事なメープルシロップなんですね。
そして撮影では、メープルシロップにスパイスを入れて、
温めて香りをだして。
大川
シナモン、カルダモン、クローブ、生姜。
ホットワインのようにね。
伊藤
美味しかった~! 
使い切れないぶんは瓶に入れて
とっておくといろいろ使えそうですね。
伊藤
生クリームにマスカルポーネを足したりもしたし、
そうそう、APOCはベーコンもおいしいですよね。
大川
あれは、ホエイを食べている豚に、
塩をすりこんでつくったベーコンなんですよ。
元は、イタリアのパルマハムの原料となる豚を
使っているんです。
それを日本に持ってきて燻製にしています。
この作り方は日本でめずらしく、希少なベーコンなんです。
無添加、無着色、臭みもない。
伊藤
そんな手間をかけたベーコン! 
それを片面だけ焼くんですよね。
大川
両面を焼くと締まってしょっぱく感じすぎるから。
伊藤
目玉焼きの黄身が白身のまんなかで
ポコンと盛り上がっているのも、
じつは焼き方に技術があると知って驚きました。
大川
卵をフライパンに落としたら、
新鮮なものほど白身がホワンって盛り上がるでしょう。
あそこね、均一に火が通らないの。
だからフォークで白身を潰して、
ちょっと均一にしてあげるのね。
穴をあけるっていったら大袈裟だけど、
フォークで広げて、フライパンを傾けて、
黄身を真ん中にしています。
伊藤
そして欠かせないのがクレオールスパイス。
これは今回のセットでも買えるように。
大川
あのクレオールスパイスは、あるご縁があるんですよ。
ある本の翻訳で、私がレシピを
分かりやすく書き直すっていうお仕事をいただいて、
そこにヒントがあったんです。
伊藤
どういう内容だったんですか?
大川
アメリカの本なんですけど、
BROWN SUGER KITCHENっていうお店があって、
そのお店のレシピブックなんです。
伊藤
かわいい名前!
大川
そこにスパイスを使うお料理がいくつかあって、
それをもうちょっと日本人向け‥‥
というわけでもないんだけれど、
作りやすくなるように、ちょっと変えさせていただいて。
そこに載っているレシピがもとになって
できたスパイスミックスなんですよ。
向こうの方に許可を得て販売をしています。
伊藤
カイエンペッパー、ブラックペッパー、
パプリカ、クミン、セイジ、タイム、
フェンネル、ローズマリー、そしてゲランドの塩。
なるほど。
パンケーキミックスだけでは
使いきれない量だったりもしますけれど、
これはお料理にも活用できますね。
大川
そういうときは、多めに使って欲しいの。
遠慮なくお肉に揉み込んだりね。
一瞬ね、味見したとき、「あっ辛い!」ってなるんだけど、
馴染むと本当にいい味になるんですよ。
鶏肉にたっぷり揉み込んでから揚げにするとか。
伊藤
フライドポテトとか!
大川
私、ポップコーンマシーンも持っているくらい、
ポップコーンが好きなのね。
それでつくりたてのポップコーンに、
熱いうちにクレオールスパイスをかけて、
少しオリーブオイルもかけて、くっつけて。
大好きなんです。いい味になりますよ。
伊藤
わたし、カレーの中に
ちょっと入れたりとかしますよ。
大川
いいですね。
買ってきたお惣菜にちょびっとかけてもいいのよ、
サラダとかスープとか。
マヨネーズにも合うし。
私、てんぷらにもかけちゃう。
伊藤
なるほど!
大川
そうだ、最後に、パンケーキの保存のお話も
ちょっとしていいですか?
伊藤
ぜひ。
大川
1袋で6枚とか7枚焼けるけれど、
食べるのは2枚だった場合、
生地を半分にして使うのではなく、
全部いちどに使い切って、
残ったパンケーキは冷凍されるのをお勧めします。
アルミホイルに包んで。
伊藤
アルミホイルなんですね。
大川
そう。解凍はアルミホイルを外して
お皿に乗せて、かるくラップをかけて
電子レンジで1分~2分。
常温で解凍してもいいし、
冷凍のままオーブントースターでもいいですよ。
伊藤
なるほど~。
大川
そうだ、電子レンジで、メープルシロップを温めるのは
お勧めしません。沸いて泡が出てあふれるから。
メープルシロップを温めるときは、
鍋でゆっくり、目で見ながらお願いします。
伊藤
わかりました。
焼いたパンケーキを冷凍しておくの、いいですよね。
パンケーキが冷凍庫にあるなって思うと
嬉しい日ってあるんですよ。
何にもしたくないけど、でも食べたいというとき。
大川
大体私は2枚ずつ冷凍します。
と、今回のセットには、
そんなことを書いたお手紙もつけましたので、
読んでいただきたいな。
あと、作り方は、YouTubeにものせています。
恥ずかしいけど。
それでね、フライパンで焼く場合は、最初の1枚は、
もしかしたらうまくいかないかもしれない。
でも失敗してもいいんです。
すこしくらい焦げてもいいんですよ。
英語のことわざに
The fisrt pancake is always spoiled.
(一枚目のパンケーキは必ず失敗する)
というのがあるんです。
それくらい気楽に焼いてほしいな。
伊藤
だんだんうまく焼けるようになるんですよね。
そして今回は、特別な紅茶の入ったセットも。
大川
アッサムの、CTCっていう、
茶葉を丸めた加工をしたものです。
これは煮出すのも早いのね。
で、ミルクと相性がいいので、
ミルクティーとか、
チャイみたいにしてもいい。
ミルクティーのときは、
最初に少量のお湯で濃く煮出してから、
冷たいミルクを注ぐ方法が、私は好きです。
コアントローやグラン・マルニエ
(いずれもオレンジリキュール)とかあったら、
ちょっと垂らしても美味しいですよ。
伊藤
美味しそう!
大川
あとお砂糖も、かき回して全部混ぜず、
最後に甘さを感じるのもいい。
エスプレッソみたいな感じで。
伊藤
このセット、どれを選んでも、
きっと楽しんでもらえると思います。
大川
ね、楽しんでいただけますように!
伊藤
ありがとうございました、雅子さん。
大川
こちらこそ、まさこさん。
またお店にいらしてね。
伊藤
はい、ぜひ!

はじまりは「ワンボウル」。

未分類

伊藤
コロナで働き方は変わりましたか。
大川
変わりました。元々そんなに夜遅くまで
働くことは好きではないけれど、
より、キュッと働いてキュッと帰るようになりました。
伊藤
こういうお仕事は、
仕込みの時間がけっこう大変なんじゃないかなと。
大川
お店を閉める日(定休日)に
仕込みを集中してやってるの。
だから私の休みはないんです。
伊藤
キャリアのスタートは‥‥。
大川
本当のスタートはキッチンの洗い物から。
カフェの店員から、
メニューの開発、製菓を担当するようになって。
田園調布の「デポー39」、
広尾の「F.O.B COOP」、
青山の「ディーズ」にもいましたよ。
伊藤
いずれも名店に。すごいです。
大川
そういう場所で働けたこと、とても感謝しています。
オーナーのみなさんには、
いまだに足を向けて寝られません。
伊藤
へぇ~!
大川
私は、料理の仕事がしたくて、
でも何をしていいか分からなかったんです。
それでお店に入って仕事をしたり、
手先が器用だったから、なにかをつくることで
背中を押されたりもして。
友達が声を掛けてくれたんです、
「お菓子をやりなよ」って。
そうしたら『non-no』という雑誌で、
16ページを任されることになって。
伊藤
え~~!
大川
「ワンボウルケーキ」っていう名前でした。
伊藤
それ、のちに、本になりましたよね?
大川
はい、『ボール1つでシンプルケーキ』という名前で。
伊藤
画期的だったんですよ、ボウル1つでって。
大川
最初、「雑誌じゃなくて本がやりたい」って言ったら、
「まずは雑誌からやりなさい」って。
それがスタートで、雑誌、書籍の仕事をしながら、
教室もやるようになりました。
伊藤
わたしが雅子さんと仕事をご一緒したのも、
もう25年ぐらい前の話ですよね。
もうお菓子がとにかく美味しくて、
ハートを鷲掴み、みたいな。
大川
そんな(笑)。
伊藤
容赦ないんですよ。
甘さとか、バターの使い方とか、
そういうことに、ギュッと鷲掴みにされるんです、
雅子さんのお菓子って。
大川
習ったわけじゃないから。自由なのよ(笑)。
伊藤
「バターが冷たいまま、溶かさずに、
あったかいパンケーキといっしょに口に入れてね。
ほら、溶ける前に!」
というのも、納得。
大川
もちろん染みたパンケーキのバターも美味しいけど、
カットしながら冷たいバターを口の中で溶かす、
バターの味を味わっていただきたいんですね。お店ではね。
バターいいもの使ってますし。有塩で国産の。
伊藤
そうですよね。わかります。
──
蒸かしたアツアツのジャガイモに
有塩バターをのっけて、
溶け切る前に口に入れたときのあの感動に
近かったです、今日、いただいて。
大川
上あごに冷たいものが、舌にジャガイモの熱いのが来る、
あの感覚ですよね。パンケーキもそうで、
ちょっとホワンっていうパンケーキに、
冷たいバターが一緒に入るっていうのがね。
伊藤
ここに来るといろいろなことが
「OK」となるのが嬉しいですよね。
冷たいものとあったかいものを一緒に食べる、
甘いものとしょっぱいものを一緒に食べる。
さらに、酸っぱい、辛い、
その味も食感もすごく楽しいし。
大川
まーちゃん(伊藤さんの愛称)が
初めてここに来たときに、
目玉焼きのお塩をすごく褒めてくれたんですよ。
「見て、この粒の光り具合!」みたいな(笑)。
うちの塩は、粒が大きくて、振ってあるというより、
容赦なく黄身の上に置いてある、ぐらいな感じなんですよ。
伊藤
その量が的確なんですよ。
食べるとわかる、「ん!」みたいな(笑)。
「あぁ、この人ほんとすごいなぁ」と思いました。
大川
すごいのはまーちゃんよ、
親子ふたりで2皿ずつぐらい食べるんだもの。
伊藤
そうでした(笑)。
これにしようかな、こっちにしようかなって
わが家は、迷ってるときに
「我慢しない、どっちも」
っていうのが決まりなんですよ。
大川
私もそう。迷ったら両方。
「いいなぁ」って思うとね。
伊藤
あと私は雅子さんで感動したのが、
「ア・ピース・オブ・ケーク」で
ドライフルーツがいっぱい入ったケーキを、
「なんでこんな美味しいんですか?」って訊いたら、
ちょっと間をおいて「‥‥時間ね‥‥」って。
かっこいい~! って。
それは、フルーツをお酒に漬ける時間が、
「何年」とかだったんですよ。
大川
そうですね。うん。
伊藤
「ありがとうございます」っていう感じ。
それから、自分でつくろうという気が起こらない。
雅子さんのとこで買えばいいんだよってなるもの。
それで、はじめて雅子さんのミックスで
パンケーキを作ってみてびっくりしたんですよ。
それまでのミックスは、
たとえばバニラの香りが強すぎたり、
成分表に気になるところがあったりしました。
でも雅子さんのミックスは、安心なんです。
しかも、牛乳と卵をまぜて焼くだけで
こんなに美味しいものができるなんて。
大川
自分でも食べるものだから、
変なもの入れたくないじゃない。
伊藤
バターミルクのかわりに使っている
ホエイパウダーもそうですよね。
選んで、選んで、やっと見つけた、って。
大川
最初はバターミルクを使っていたんです。
それは日本に入って来たばっかりのもので、
ところがその製品が輸入中止になってしまった。
どうしよう? と。
今でこそ国産のバターミルクがありますが、
当時、ほんっとになかったんです。
伊藤
今でも手に入りづらいものですよね。
大川
そうですよね。で、代わりに、
ホエイ‥‥乳清ですね、そのパウダーを使っています。
北海道でチーズをつくる副産物。
もちろん小麦粉も吟味して、
自分が食べるものとして探していますし、
パームオイルはトランスフリーで
オーガニックのものを使うとか、
混ぜるメープルシュガーもオーガニックを選ぶとか、
アルミニウム不使用で、遺伝子組み換えでない
コーンスターチのベーキングパウダーにするとか。
探せば、そういういいものがあるんですよ。
私、原価の低さ優先じゃないんですよね。
伊藤
しかも手作業ですよね。ミックス。
大川
うん。ここで、手で作ってます。
今回皆さんにお届けするパンケーキミックスは、
私と夫と息子の3人で作りました。
伊藤
せっせ、せっせと。
「どこかに頼んでるんですか?」って昔聞いたら、
「違うよ、これ全部ボウルで作っているのよ」と。
大川
計量して、調合。
それを何回も何回もやるの。
伊藤
でも、その最初の基本ができるまでには、
試行錯誤があったでしょうね。
大川
しましたねぇ。
伊藤
「よし、これ!」ってなってからは、
もう配合は変わっていない?
大川
配合は変わっていません。
でも材料は、より良いものにどんどん変えていく。
伊藤
で、味がどんどん増えていく。
最初は1種類だったのが、いまや4種類。

v

大川
増やしていきたくなっちゃうの、もう(笑)。
それで二番目に作ったのが「グレイン」。
これは、私が雑穀が好きだから。
そうしたら「次はトウモロコシもあったらいいね」と
「コーンミール」を作って、
「そりゃチョコレートでしょ!」っていうことで、
最後の「チョコ」が生まれました。
「チョコ」はね、とくに気合いが入ってます。
伊藤
どんなところが?
大川
メープルシュガーの配合がすごいんです。
たくさん入ってる。
伊藤
しっとり焼き上がりますよね。
しかも、チョコがチップで入ってる。
大川
そう。
伊藤
大人味。
チョコ味のパンケーキと言われて想像する感じとは違って。
大川
うん、そう。
伊藤
これからまた種類が増えたりするんでしょうか。
大川
たまに、ケールを粉末にして入れてみたり、
抹茶入れてみたり、いろいろしましたけど、
あんまりそういう変化球は商品化に至らないかな。
なにか折があればやりたいなぁと思うんですが。

パンケーキミックスをつくった頃。

未分類

伊藤
(撮影が終わり、ほっとして)
ああ、たのしくて、美味しかったです。
ほんとうによくできていますよね、
雅子さんのパンケーキミックス。
これは、いつごろから、あるんでしょう。
大川
20年ちょっと前くらいからかな。
伊藤
その時、このお店(APOC)はまだ‥‥。
大川
なかったです。
1998年から、岡本太郎美術館に
「ア・ピース・オブ・ケーク」という
カフェをオープンしましたが、
そこはパンケーキのお店ではありませんでした。
伊藤
私が雅子さんを知ったのは、
「ア・ピース・オブ・ケーク」を始める前、
南青山のビルの一室で教室をやっていらした頃ですね。
ずっと青山が本拠地。
大川
そうなの(笑)。お菓子の教室では、
「こういうミックスを作っておいたら
便利ですよ」と、配合を紹介していたんです。
ミックスを作っておけば、
卵と牛乳入れたらパンケーキができる、
とっても便利ですよということで。
でもね、きっと、なさらない方もいるし、
わたしが作ったミックスを売れば、
もっと早いかも? と思って、
つくって、売ってみたんです。
インターネットもまだそんなに普及していない頃。
ブログ‥‥というかホームページね、
そこでちょっと書いては、WEBと
「ア・ピース・オブ・ケーク」の店頭で売ったりして。
伊藤
そうですよね。
もしかしたら「ほぼ日」創刊と
同じくらいの時期じゃなかったかな。
大川
そう! 「ほぼ日」は1998年の6月ですよね。
カフェは、4月なんです。
──
先輩ですね!
大川
(笑)。
伊藤
すご~い。
大川
それで2年くらい経ってから、
パンケーキをお店で焼いて出してみようかなと、
「ア・ピース・オブ・ケーク」の
メニューに入れてみたんです。
当時はパンケーキというものが
あんまり一般的ではなくて、
「ホットケーキとパンケーキはどう違うの?」
「いや、一緒なんです」
「じゃ、何が違うの?」
「ですから、一緒なんですけれど」みたいな(笑)。
そうしたら、そのうち、なんとな~く、
パンケーキという言葉が浸透してきました。
そんななか、信号待ちしていた不動産さんで見た張り紙に、
このお店の賃貸情報が出ていたんです。
それが2011年、年明け間もなく。
伊藤
パンケーキ屋さんをやりたいから探したのではなく?
大川
信号待ちしてたら、「お?」って。
「軽飲食“相談可”」と書いてあって。
伊藤
うん、うん。
大川
51だったかな、
パンケーキミックスを開発して10年たって、
10年頑張れば一人前、
と思っていたので、
姉妹店を出すことを考えたんです。
伊藤
へぇ~。
大川
それにパンケーキも、単純に、
受け入れてもらえるのかな、と思って。
教室で借りていたスタジオを閉じて、ここに来ました。
伊藤
前からお店はやりたかったことだったんですか?
大川
わりと衝動的かな。
伊藤
お子さん、まだ小さかった頃ですよね。
大川
だって、「ア・ピース・オブ・ケーク」も
お腹が大きいときにつくったんですよ。
伊藤
え?!
大川
ははは。息子は99年の2月生まれなんだけれど、
お店は98年の4月につくったの。
だからどんどんお腹が大きくなって、
まだお店が開店して1年も経ってないのに産休、
みたいな。
伊藤
すごいですね~。
大川
今、やりたいことをやろうと(笑)。
あんまり考えてないんですよね。
伊藤
なんとかなった?
大川
なんとかなった。うん。
そしてこの2店舗目は、
もう、やりたくなっちゃった。
そうそう、その頃、親の介護とかもしていたのよ。
伊藤
え?!
大川
親戚のおばのヘルプもしてました。
子供もまだちっちゃかったし、
すごく人のお世話が大変で。
でもなんだか、不動産屋さんでピンと来て。
伊藤
どういう感じだったんですか? 最初は。
大川
陶器屋さんだったんですって。
だからキッチンもなんにもなくって。
それで「軽飲食“相談可”」って書いてあったのね。
キッチンはないけれど、やりたい人は
ご自分でつくってどうぞ、みたいな。
伊藤
仕切りとかももう全っ然なく、いちから全部?
大川
そうなんです。
でもお金もないし、デザイナーさんもいないから、
全部自分でこまかくレイアウトを考えて。
伊藤
お金はどうしたんですか。
大川
銀行に借りに行ったの。そしたら貸してくれなくって。
「何で?」って。
だって、「ア・ピース・オブ・ケーク」をつくるとき、
借りて、す~ごくきれいに返したのよ。
なのにね、何でだと思う? 
そのあと、借りてないからですって。
お金って借り続けてないと貸してくれないの。
きれいに返してすごい気持ちいいなと思って、
数年経っていたんですよね。
でも銀行にとっては信用がゼロになっちゃった。
伊藤
そんなぁ!
大川
借り続けながら事業をちゃんとやっている、
っていうことが、
「貸すに値する」っていう信用なんでしょうね。
だからもう大変でした、走り回ったり、面接に行ったり。
最終的には金融公庫に書類が通って。
伊藤
そういうものなんですねぇ。
それを原資に。
大川
そう、オール借金です(笑)。
飲食はたいへんですよ、うちのような個人商店は。
伊藤
でもそのうちお酒もやろうかなとか、
なるかもしれないですよ、大川さん。
大川
そのうち、「スナックマコちゃん」をね(笑)。
伊藤
「スナックマコちゃん」! すごく、いいですね。
わたしも手伝おうかな(笑)。

APOCのパンケーキセット

未分類

その日はごきげん。

未分類

休日の朝、
とくに天気のいい日は、
パンケーキを焼きたくなります。

合わせるのは、
目玉焼きにベーコン、
メープルシロップに発酵バター。
それから、
たっぷり入れたミルクティーがあれば
その日はごきげん。

ふだん寝坊気味の娘も
「わー、いいにおい!」なんて言いながら、
台所を覗きにやってくる。
その日ばかりは早起きなのです。

使うのは、いつもストックしている
APOCのパンケーキミックス。
牛乳と卵があればおいしいパンケーキが焼けるんだもの、
毎回、使うたびに「すごいなぁ」と感心しちゃう、
私の定番中の定番です。

コンテンツはAPOCの大川雅子さんに、
パンケーキミックスを使った
おいしいアレンジをうかがいました。

知り合って四半世紀。
雅子さんのまわりには、いつもおいしい匂いが漂っている。
weeksdaysでは、そんな雅子さんと相談しながら、
4つのセットを作りましたよ。
どうぞお楽しみに。

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