未分類カテゴリー記事の一覧です

木にもうるおいを。

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乾燥が気になる冬。
顔の保湿はもちろん、
朝晩、全身にボディクリームを塗って、
せっせとケアをしています。

すると目につくのが、
椅子やテーブルなどの木製品の乾き。

ちょっと放っておいたら、
あら大変。
自分にばっかりかまけてごめんね、
と思わずにはいられないほど、
カサカサになっているではありませんか! 

古びたシーツをジョキジョキ切って作ったウェスと、
オイルを出して、いざオイル塗り開始。


▲私が使っているのは、
ドイツ製のケンドリンガーの、
木製品用ポリッシュとワックス。
ラベルのデザインとナチュラルな香りが気に入り。

まずはダイニングから。
テーブル、椅子、木の箱‥‥。
見回してみると意外にあるんです。
木のものがいろいろと。


▲缶の中は、こんなかんじのクラシックなワックス。
フローリングの艶出しにもいいそう。

うれしいことに、
肌の手入れと一緒で、
手をかけた分だけ、きれいになる。
きれいになると、張り合いが出る。

ダイニングのあとは、
リビング、ベッドルーム‥‥と進んで、
気がつけば家中の家具がピカピカ。
一心不乱で作業に集中するから、
気分転換にもなって一石二鳥です。

窓を開けて、半日ほど風通しのよい場所に置いたら、
定位置へ。
今日からまたどうぞよろしくね。

(伊藤まさこ)

テーブルの上には。

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数日、忙しくしていたら、
ふだん何も置かないぞと
心に決めているテーブルの上が、
読みかけの本や、
レシート、郵便物などでいっぱい。
あっという間に雑然としてしまいました。

レシートは箱にしまう。
郵便物はいるものといらないものに仕分けして、
いらないものはゴミ箱へ。
パソコンは1日の終わりに閉じて棚にしまう。

時間に余裕のある時だったら、
すんなりとできるそれらのことが、
なかなかできない。
その雑然とした光景を横目に見ながら、
数日間過ごした時の、
居心地の悪さといったら!

時間に余裕を持つことは、
心のゆとりにも関係してくるものなのだということを
痛感したできごとでした。

ふだん何かと忙しい12月。
今年は、
「予定を詰め込み過ぎない」と心に決めて、
家にいる時間を増やしました。

時間に余裕のある今、
テーブルの上はすっきり、さっぱり。
この光景を見ては、
同じことは繰り返さないぞ、と肝に銘じています。

レシートや領収証、
ポストカードや切手、
麻ヒモやリボンなどは、
それぞれ仕分けして、
このグレーの箱に入れています。

「コシャー箱」と呼ばれるこの箱は、
フランスの公的機関や公立の図書館で、
公文書を保管するために使われているものとか。

シックで美しく、
さらには用途もすぐれた箱を見るたび、
「さすがフランス」と思わずにはいられません。

箱が重なった姿も、きれいでしょう?

(伊藤まさこ)

寝室の改装、その2。

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ペンキがすっかり乾いたら、
ベッドや椅子を置いて部屋作り。
待ちに待った瞬間です。

壁ができた分、
眠る場所はせまくなったけれど、
気になる箇所がなくなったからか、
かえって広くなった感じ。

「あの棚がなくなるだけで、
ずいぶん部屋の印象って変わるんだね」
とは娘の感想。

棚の中に、
ものがたくさん入っていたからというのもあるけれど、
白と木の色だけになった今は、
すっきりしていて気分がいい。
目覚めもいいし、
寝つきもいい。
もっと早く改装すればよかった! 

壁の奥には、
ラックをふたつ置いて服をかけています。

ふだん、部屋の入り口からは、
その様子はほとんど見えないのですが、
ちょっとのぞき込むと、
奥のラックにかけた服がちらりと見える。

いろんな色の服が見えると、
煩雑な印象になるから、
見える側には、
白いシャツをかけることにしました。

そういえば、と思い出したのが、
積み重ねた雑誌や本の一番上に、
気に入った装丁の本を置く、
という人生の大先輩のお話。
「そうするだけで、すっきりきれいに見えるでしょ」
と涼しい顔でおっしゃっていましたが、
なるほど! 

ほんの少しの工夫で家はもっと過ごしやすくなる。
ほかの誰のためでもなく、
自分のためにする、
「小さな工夫」、
まだまだありそうだなぁ。

(伊藤まさこ)

寝室の改装、その1。

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我が家はリビングとダイニングのほかに、
ふたつのベッドルームがあります。

私のベッドルームは東向きで、
朝は燦々と日が差し込む、
光の具合でいうとなかなか感じのいい部屋。

‥‥なのですが、
3方の壁(部屋は不思議な形をしています)に、
以前住んでいた人が作った棚があって、
それがどうにも気持ちにしっくりこない。
棚のせいで圧迫感があるし、
A4サイズがぎりぎり入らないという
微妙なサイズ感が
ずっと気になっていたのでした。

「改装しよう」

そう思い立ったのは、
秋の晴れた日のこと。

思い立ったが吉日です。
すぐにいつも改装をお願いしている友人に相談し、
棚を取り、
壁を白いペンキで塗ることにしました。


▲このさい思い切って片づけ。
中に入っていた本は、友人知人の元へ。

そこでぜひともしたかったのが、
部屋に目隠しになる仕切りの壁を作ること。
クローゼットにぎゅうぎゅうに入っていた服を、
その壁の奥に持っていき、
見通しよくしたかったのでした。


▲本棚が取り払われ、壁ができた状態。
右側はこの奥に1.5畳ほどのスペースがあります。
パテ埋めして、乾いたらペンキ塗りの工程へ。

壁に使ったペンキは、
ほかのどこにもない、微妙なニュアンスをもつ
イギリスF&B社(FARROW&BALL)のもの。

色は白。
そう、決めていましたが、
このF&Bのペンキ、
白にもグレーがかったものや、
きなり色に近いものなど、
たくさんある。
うーむ、どうしようかなぁとしばし迷って、
No.59のNEW WHITEという、
あたたかみのある白にしました。

このNEW WHITE、
いざ塗ってみると、とってもいい!
朝は、光をやさしく取り込み、
夜はライトの明かりをおだやかに包み込む。

1日のはじまりと終わりを過ごす部屋に、
ぴったりなのでした。

さて、できあがった部屋の様子はまた明日。

(伊藤まさこ)

トイレットペーパー問題。

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欲しいものってなかなかないよね? 
そういう時は、どうしたらいいんだろ。

そんなことを、
かつてweeksdaysのコンテンツで
鼎談したことがありました

私がずっと抱えていたのは、
「トイレットペーパーの包装、
もっとすてきにならない?」
という問題。

買って帰る時、
どこかしらかっこ悪さがつきまとう、
この問題は、
ずっと悩みのタネだったのでした。

ある日、
「この手があったのか!」
と膝を打ったのが、
友人のインスタのポスト

「プラフリー目指して、
トイレットペーパーを見直しました。
箱入り、芯なし、プラフリー、
再生紙のトイレットペーパー」

そうか、これなら持ち歩かないでもいいではないか。
大量なので、
置き場所の問題はあるけれど、
まあそれはどうにかなるさ、と
販売元である春日製紙工業のウェブサイト
さっそく買ってみたのでした。


▲段ボールから出して、9個ずつに小分け。

使い始めて1ヶ月あまり。
芯が出ないので取り替えもらくちんだし、
48ロールあるから
「ああ、もうなくなっちゃうから買いに行かないと!」
と焦ることもない。
何より、あの持ち歩く時の
居心地の悪さがなくなったのが、
うれしいではありませんか。


▲紙袋に分けたら、上部はテープで留めます。

さらにうれしいのは、
1ロール、170メートルあるので、
取り替える回数が減ったこと。

トイレットペーパーに関する、
あらゆるストレスが一気に解消されて、
めでたしめでたし、となりました。

(伊藤まさこ)

台所には何も置かない。

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「うちでごはんでもどう?」
なんて、友だちに誘われても、
席に座って、じーっと出てくる料理を待つ、
ということはあまりなくて、
お手伝いをすることがほとんど。

一緒になって料理をすると、
だんだんと、
その人の台所の流儀というか、
作法がわかるとでもいったらいいのかな。
果ては、食べものとの向き合い方まで
垣間見ることができて、
なかなかに興味深いのです。

料理上手な友人は、
掃除や整理整頓もさすがに上手。
感心することも多くって、
いうならば我が家の台所は、
そんな友人たちのお手本の結集という感じ。

先日、いつもお世話になっている、
年上の友人夫婦の台所で
洗いものの手伝いをした時のこと。
食器の水切りかごがないことに気づきました。

食洗機も使わないというし、
どうしているのか尋ねたところ、
水切りマットを使っているとのこと。

「場所をとらないから広々使えていいわよ」
と聞き、なるほど!

洗った器は、洗い上げたままにせず、すぐに拭き、
マットもすぐに乾すのだとか。
わー、これだったらじめっとせずに済む。
気持ちいいではありませんか! 

思い立ったが吉日とばかりに、
帰ってすぐに買ったのが、
このグレーのマット。


▲水切りかごにする前は、
玉ねぎやじゃがいもなどの
根菜入れとして使っていました。

それと同時に、水切りかごを廃止して、
食洗機に入る小さなかごを
流しの中に置くことにしました。
水切りかごの間にたまる水垢が
気になってしょうがなかったのですが、
これでそのモヤモヤも解消です。


▲置いているのは、リネンのキッチンクロスだけ。

このさいだからと、
壁面のタイルに取り付けていた、
ステンレスのナイフラックもやめて、
流しの下の扉にナイフホルダーを取りつけ、
ガス台まわりに出していた塩や木ベラ、
菜箸、やかんも引き出しにしまいました。

我が家を初めて訪ねてきた人から、
「ほんとにここで料理をしているんですか?」
と不思議がられるほど、
なーんにもない台所になりましたが、
これが本当に気持ちいい。

食事の後片づけが終わったら、
作業台と壁、シンクの中など、
拭けるところはすべて拭き、
これで台所仕事は終了。

どこをさわっても、
さらっとした清々しい台所になりました。

(伊藤まさこ)

冷蔵庫の中は?

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娘が小さかった頃や、
お弁当作りをしていた時は、
時間のある時に、ひじきの煮物やおひたし、
和えものなどを作りおきしていたものでした。

毎回、いちから作るほど、
時間にも、
心にも余裕がなかったのです。

ああ、冷蔵庫の中の景色が変わったな。
そう感じたのは娘が20歳を過ぎた頃。

おたがい、それぞれのペースができてきて、
毎度のごはんを家で食べることが
ずいぶん減ったことがきっかけです。

食材の買いおきも作りおきをすることも
すっかり減って、
今では、ほらごらんの通り、
すっきりさっぱり。


▲一目で何がどこにあるか分かるのが理想。

下段には、
ゆで鶏を作った時にあまったスープを入れた鍋と、
ラーパーツァイ(多めに作った方がおいしいものは
作りおきしています)を入れた保存容器と卵。

野菜室にはレタス半分、
かぶ3個、長ネギ1本、玉ネギが2個、
じゃがいもひとつ、しょうがひとかけら。

扉のポケットに入れるものもごくわずか。
上段は五穀米や押し麦。
2段目は味噌と梅干しと漬けもの。
下段は豆乳と料理に使う日本酒など。

買いおきがないと、
不便なこともありますが、
そこは冷凍庫に入っている食材や
乾物を駆使して乗り切る。
おかげで食材をむだにすることは
すっかりなくなりました。

今日は、鶏のスープを使ったレタスのスープ煮と、
冷凍庫の五穀米とじゃこを使った
チャーハン(卵も入れます)に、
ラーパーツァイを添えて、晩ごはんに。
おかげで、野菜室以外の食材が
すっかり無くなってさらにすっきり。

ところで、よく聞かれるのが、
「冷蔵庫のポケットは
どうしてごちゃごちゃしていないの?」という質問。
これらはすべてワインセラーに入れています。
豆板醤、カレー粉、グリーンカレーペースト、
粒マスタード、スパイス‥‥と、
いろいろなものが入っていますが、
こちらも冷蔵庫同様、時々目を光らせて、
むだを出さないようにしています。

冷蔵庫の中を拭いたら、
外側も拭いて、さっぱり。

さぁ、明日は買いものに行かないとね。

(伊藤まさこ)

朝の習慣。

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窓を開け、やかんに火をかける。

もう何年も続いている朝の習慣に、
この夏から床の拭き掃除と
ストレッチがくわわりました。

きっかけは、ステイホーム。
旅に出ることもなく、
出かけることもほとんどなくなった毎日。
パソコンを通じて打ち合わせをしたり、
原稿書きなどの仕事はしているものの、
とりとめもなく時間が過ぎていき、
あっという間に1日が終わってしまう。
これではまずいぞ、
意識的にメリハリをつけないと。
‥‥そう思い立ってのことでした。

どうせはじめるのならよい道具があった方がいい。
まずは、スウェーデン製のモップを買いました。
形から入るのはいつものことです。

じつはモップにはどうもよい印象がなかった私。
だって、あのもさもさした部分がしだいに薄汚れて
見た目に美しくないし、
しぼるのにも一苦労でしょう? 

でも、このモップは一味違う。
マイクロファイバーという繊維が
よごれをすっきり拭き取ってくれて、
しぼるのも簡単。
おまけにすぐに乾くのです。

まずとりかかるのはリビング。
はしっこから始めていき、
椅子やソファを少しずつずらしながら、
全体を拭き掃除。



▲扉の奥もキュッキュと水拭き。

その後、
ダイニング、台所、洗面所、
ベッドルーム、廊下という順に、
進めていくのですが、
拭き掃除が終わったところから、
気がよくなっている‥‥ような気がする。


▲拭き掃除は「廊下に朝日が差し込んでいる間に
終わらせる」が自分の中の決まり。

水拭きをしたところが、
ただ「きれいになる」のではなく、
そのまわり、
やがては部屋全体が気持ちのいい空気になって、
その日1日、気分がいいのです。

さて、そのすがすがしくなった部屋に、
マットとポールを持ち出して、
いざストレッチ。

ハードな運動は性に合わないし、
続かないだろうから、
肩甲骨を伸ばし股関節をまわす、
というらくちんなものが中心だけれど、
するとしないのとでは大違い。
家のメンテナンスだけでなく、
自分のメンテナンスもしてあげないとね、
なんて思う今日この頃なのです。

拭き掃除とストレッチをしはじめて、
掃除機をかける回数が減り、
肩が凝るから‥‥と
整体に駆け込むこともなくなりました。
「まさこ百景」に、
「Clean up⤴︎ではなくKeep→です」
という項目を作りましたが、
掃除もストレッチもまさにそれ。
何か起こってからではなく、
つねに「いい状態」をキープしていたいものだなぁ、
と思っているのです。

(伊藤まさこ)

あたらしいこと。

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12月もあっという間に半ばをすぎて、
今年も残りわずかになりました。

旅に出ることも、
友だちと会うことも、
ほとんどなかったと言っていいくらい、
ひっそりと過ごした1年でしたが、
だからといって、
物足りなさや寂しさを感じることは
不思議なくらいありませんでした。

ベランダに、
鳥がよく遊びに来ること。

家の中に差し込む光が、
1日のうちで、いろいろな表情を見せること。

歩ける範囲に、
気になる小径や、
おいしい店、
見晴らしのいい公園があること。

家にいる時間が長かった分、
今まで気がつかなかったいろいろなことに、
気づけたのが一番の収穫。

外に向かずとも、
身近なところに、
たのしいことや、新鮮な発見はあるものだなぁ。

そうそう、
夏には「まさこ百景」の展示もありました。
これは私にとって、
今年一番の大仕事。

今までしてきた仕事や暮らしを、
見返すことができて、
とてもよかった。
会場に足を運んでくださったお客様と
お話しできたことも、
励みになりました。
ありがとうございました。

今日から大晦日までの2週間は、
「まさこ百景」で紹介しきれなかった、
つづきの「まさこ百景」。

ふだんしていることにくわえ、
新しくできた習慣や、
部屋の模様替えなどを、
文と写真で綴ります。

「まさこ百景」の展示の時に作った、
weeksdaysオリジナルの、
かわいいエコバッグの販売もありますよ。
どうぞおたのしみに。

100点のドローイング。

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伊藤
創形で版画を学んで、パリに行くまでの間は、
どんなふうに過ごされていたんですか。
まさか会社勤めをしていたということは‥‥。
松林
ないです。
卒業後は、高知に帰らず、
東京でしばらくアルバイトをしながら
絵を描いていました。
高知に帰ったのは30歳になる直前ぐらい。
伊藤
アルバイトは、どういうことを?
松林
一番稼いでいたのが、
モザイクで壁画をつくる会社の仕事です。
壁画の仕事と、パチンコ屋さんの
内装のカッティングシートを貼る仕事。
どちらにせよ現場が多かったです。
そんな美術に関係するアルバイトを
情報誌で探しては、行ってました。
なぜそういうことをしていたかというと、
ぼくはアルバイトでお金を貯めて、
外国に行くつもりでいたんです。
スペインに行って絵を描こうかなと思っていた。
でも、東京でアルバイトをしているうちに、
そういう生活に疲れてきたりして、
高知に帰ってみよう、って。
ネガティブな時期だったと思いますが、
それでも、やっぱり絵で食べていきたかった。
それで『イラストレーション』っていう雑誌の
公募にずっと出していたんです。
そこで最終的に大賞をもらって、
イラストの仕事が来るようになりました。
伊藤
じゃあ、30代はイラストの仕事を、
フリーランスで。
松林
そうですね。
伊藤
そこから、アートへと進まれたわけですけれど、
「よしっ!」という手応えがあったのは、
いつ頃のことでしたか。
松林
やっぱり一番大きいのは
セブンデイズホテルの川上絹子さんとの出会いです。
たまたま展覧会を見に来てくださって、
ぼくの絵を気に入ってくれた。
川上さんがいまの本館をつくられた頃かな。
ぼくは、高知からパリに行く直前で、
1年間滞在するのに経済的な不安があったんです。
留学が決まったけど、貯金もあんまりなくて、
ふたりで行くことを決めたものの、
どうしようかなって思っていた。
そうしたら川上さんとたまたま知り合って、
うちに来て、絵をドーンと買ってくださったんです。
伊藤
川上さん、絵を買うときはインスピレーションだと
おっしゃってました。まさしく!
松林
それが、のちに、セブンデイズホテルプラスの
客室の版画や、ロビーの絵につながっていくんです。
パリ滞在中は、日本の料理の月刊専門誌の
表紙の仕事も来て、
贅沢をしなければじゅうぶん過ごすことができました。
1年して、高知に帰ってきたら、
川上さんから、もうひとつホテルをつくるからと、
部屋に飾る版画を依頼してくださった。
伊藤
すごーい!
松林
そして、その絵をもとに
『Room』っていう本をつくってくださって、
その本がいろいろな人のところに渡ったんです。
たとえば皆川明さんから電話かかってきて、
白金のミナ・ペルホネンで個展を開く機会をいただいたり。
伊藤
やっぱり、人とのつながりが、
人をいかしていくんですね。
松林
そうかもしれませんね。
ところで、伊藤さん、
100枚を描いているなかで気がついたんですけど、
最初に出していただいた絵のための言葉のなかに、
かぶっているのがありました。
それゆえ、同じ言葉で2つの絵があるんです。
そういうものは、逆に、
ぼくの絵を見て別の言葉をつけてほしいと思って。
伊藤
えっ、えっ。
何回も見ても間違うんです。
なんでだろ。なぜ? 
松林
ひらがなとカタカナで同じ言葉があったり。
伊藤
そういう気分だったのかなぁ。
松林
あの言葉はタイトルとして
最後まで残るんですか?
伊藤
どうしよう? どうかな。
──
絵を選ぶときに、
ことばがあると、わかりやすいですよ。
その過程もふくめて、この絵だと思うので、
残していただけたら嬉しいです。
松林
そうですよね。
「1」「2」みたいな数字より、
いいかもしれません。
伊藤
わかりました。じゃあ、
かぶっている言葉は、その絵を見て、
あたらしい言葉をつけますね。
今回、額を、松林さんが用意してくださって、
絵をひとつひとつセットしてくださることになって。
これがサンプル? いいですね、
ちょっと絵が浮いてる!
松林
下に、スチロールみたいな素材をかませて、
ちょこんとまるめたテープで
絵を台紙にとめています。
だからちょっと浮いたようになるんです。
伊藤
絵を描かれた紙の縁が、機械的に切った
鋭利な線ではないのがいいですね。
松林
ぼくが手でカットしました。
定規をあてて、シャッて裂くみたいにして。
伊藤
なるほど! 
並べてみましょうか。
どの絵も、とってもかわいいです‥‥。
そっか、わたしの思いつきの言葉が、
こんなふうに絵になるんですね。
しみじみ。
あれ? 紙はどれも同じじゃ‥‥ない?
松林
はい、いろんな紙があります。
洋紙に描いたものもあるし、
和紙に描いたりもしていますよ。
とくに説明はしませんけれど。
伊藤
そうなんですね。
ああ、やっぱり、
1点ずつ描いていただいて、よかった! 
こういうものを買うのって、
なんていうのかな、
“人に自慢できるものにお金をかける”
こととは違うでしょう。
アクセサリーやファッションには、
そういう部分があるような気がするんですけれど、
今年、コロナ禍で、
消費に対するみんなの考え方が、
ちょっと変化したように思うんです。
そのひとつが、家の中に目を向けようということ。
そして、好きな絵を1枚買ったら、
周りのことを考えると思うんですよ。
ここを片付けようとか、
この光をどうコントロールしよう、とか。
そういうきっかけになってくれたらいいな。
松林
ほんと、そうなってくれたら、いいですね。
そして、ぼくの絵でみなさんが
元気になってもらえたら嬉しいです。
伊藤
松林さん、ありがとうございました。
松林
こちらこそありがとうございました。
楽しい時間でした。

スケッチブックとパリ。

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伊藤
自粛中の、高知での暮らしはいかがでしたか? 
ものづくりをされている方って、
ふだんとあんまり変わらなかったよ、
とおっしゃるんです。
松林
そう、ほんとに変わらなかったです。
絵を描いて、ごはんを食べて、って、
いつもどおりの生活をしていました。
ただ、展覧会の機会が減りましたし、
あっても、自分が行くわけにいかなかったのが残念です。
8月に台湾で個展があって、
行く気満々で楽しみにしていたのだけれど‥‥。
伊藤
台湾の「小器(しょうき)」ですね。
松林
はい。でも、100号‥‥つまり、
160センチ×130センチくらいの
大きい絵が売れました! 
外国の人にもわかってもらえてうれしかったな。
伊藤
日々、絵を描いている松林さんは、
そういった個展を開くとき、
やっぱり特別なモードになるんでしょうか。
どうやって気持ちを持っていくんだろう。
気持ちと準備。
松林
やっぱり展覧会の日程が決まると、
それに向けて作品を描いたり、
テーマに沿っていままで描いた絵を集めたりしますよ。
伊藤
おうちにお伺いしたとき、
日々描かれているという
スケッチブックを拝見しました。
すごい! って思いました。
アイデアが、あふれ出すのを、
どうにか記しておこうというような。
あれは「作品」というよりも‥‥。
松林
そう、日記みたいなものですね。
あとで、そのスケッチブックを見ながら
絵の構成を決めたりもします。
だから、あのスケッチブックは、
とくに個展などで
お見せするようなものではないんですよ。
伊藤
松林さんの頭の中みたいなことですね。
松林
そうですね。
伊藤
奥さまが、教職で美術を教えていると
おききしましたが、
創作について、相談はなさるんでしょうか。
松林
展覧会に関しては、すごく相談をします。
会場構成をどうしようか、というようなことですね。
でも、絵を描くときは、ひとりです。
ずっと描いてる。
伊藤
ほんとうの意味で「ずっと」?
松林
はい、ずっとです。
妻にもそう思われているんじゃないかな。
伊藤
ずっと! ちなみに、どういう子ども時代でしたか。
やっぱり、ずっと描いていたんでしょうか。
松林
そうですね。漫画がすごく好きで、
絵というより落書きみたいなものですが、
それで教科書が鉛筆で描いた絵で
ほんとに真っ黒になっていました。
伊藤
子どものことからずっと、なんですね。
『考える人』や『芸術新潮』の編集長を歴任なさって、
いまは「ほぼ日の學校」の校長の
河野通和さんという方がいらっしゃるんですが、
本を読むのは、
朝、深呼吸をするのと同じだとおっしゃっていて。
でも読書については、
自分がしていることの延長として想像できるんですが、
そんなふうにずっと描くのって、
いったいどういう感じなんだろう? 
人に見せるためじゃない絵もあるわけですよね。
松林さんには「あのとき、こうだったから、
いま、こうなったんだな」みたいなことってありますか。
いまにいたる流れというか‥‥。
松林
うーん?
伊藤
松林さん、パリに行かれた時期もありましたよね。
松林
はい、2000年、1年間まるまるパリに行きました。
シテ・デザール(Cité internationale des arts)
っていう、アーティスト・イン・レジデンスが、
マレの近くとモンマルトルにあるんです。
そこでは写真をやったりダンスや音楽をやったり、
いろんなアーティストが暮らしながら
制作しているんですよ。
そういうところにぼくが版画を学んだ
創形美術学校という専門学校が
部屋を持っていたんです。
そこの卒業生が面接を受けて、
合格すると1年間滞在できる。
その時、ぼくは40歳を前にしていて、
「そろそろ行かなくちゃ」って決意したんですが、
でも、まわりからは、なぜパリ? って言われたかな。
当時はアートならニューヨーク、ロンドンだったから、
ファッションならともかく、絵を描くのにパリって? 
って言われました。
伊藤
そうだったんですね。でも憧れます! 
その時代にパリで1年過ごしたのは、
きっと楽しかったでしょう? 
松林
4区で、シテ島のすぐ北側で、
最寄り駅は7号線の
ポン・マリー(Pont Marie)でした。
マレの繁華街が近かったから、よく飲みに行き、
‥‥そうそう、夜のルーブル美術館が開いている日は、
夕食後の散歩をかねて館内をぶらぶらする
“ルーブラ”、最高でした。
伊藤
1年まるごと、っていいですね。
四季をひと通り経験できて、
季節のあいだもあるし。
しかも、その場所だったら、
ちょっと歩けば美術館がいくらでもある!
写真美術館(Maison Européenne de la Photographie)も、
ピカソ美術館(Musée Picasso Paris)も。
松林
そう! ちょうどポンピドーセンター
(Centre Pompidou)が休館から開け、
久しぶりにリニューアルオープンした年で、
すごくよかった。
伊藤
人形博物館(Musée de la Poupée)もありますね。
それこそポンピドーの裏のあたりに。
松林
うんうん、ジュモーのハガキを買ったとこだ。
伊藤
うわー。そのシテ・デザールでは
なにか課題があるんですか?
松林
なにもないんです。
ただ、シテ・デザールの建物と別に
版画の工房があって、
そこに毎日通って版画をつくったりしていました。
一応向こうで最後に個展をしてきました。

言葉をヒントに。

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松林
最初、話をいただいたとき、
100枚という数をつくるには版画がいいのかなって
ぼくは思っていたんですよ。
それで「版画にしましょう」って提案して。
セブンデイズホテルプラスの部屋の作品は、
80点を全部版画でつくっているんですけれど、
あれも正方形なんですね。
版画の方が自分らしさや、作品のクオリティ、
ほかとは違う質感なんかが表現できるという思いが
すごくあって、できたら版画で
やってみたいなって思っていたんです。
エディションと言うんですが、
同じ絵柄で、複数枚をつくるやりかたですね。
10枚ずつ10の版画がある、というような。
伊藤
でもわたしが
「いや、1枚ずつ描いてください!」
と言い張った。
松林さんの版画はとても素敵で、
わたしも大好きなんですけれど、
今回は「自分だけのもの」がいいなって。
わたしはわたしで、
松林さんから個展の案内のDMをいただくと、
松林さんがちょっと言葉を添えてくださるのが
とっても好きで。
だから、そんな気持ちで、
100枚、つくってくださったらなあって、
なかなか、譲らなかった(笑)。
いっそ「言葉」を描くとか、
「言葉を絵にする」というようなことも、
いいのかも? って。
松林
そんなふうに、ぼくの文字を
伊藤さんが好きでいてくださっているのは
とっても嬉しかったんですけれど、
ぼくは詩人じゃないから、
言葉を生むことができないなあと。
伊藤さんが言葉をくださったら、
それを絵にしましょうか、って。
言葉からヒントをもらった絵を描こう、
ということになりましたね。
あるいは僕が自由に描いた絵を見て、
伊藤さんがなにか言葉をつけるとか。
伊藤
そのやりとりがあって、
結局言葉が先がいいっていうことになりましたね。
松林
そんなやりとりを、何度も、メールでして、
伊藤さんに「言葉をください」って言ったんです。
伊藤
わたしが?! と、びっくり。
でも、わたしも詩人ではないのだから、
考えすぎないようにして、
オノマトペ的な言葉にしました。
「フルフル」とか、
そういう言葉ですね。
意味があるような、ないような、そんな言葉です。
歩いていて、思いつくと、
iPhoneのメモに書いて、それを送って。
これは「weeksdays」のチームのみんなにも
ナイショにして、松林さんとだけ、直接、
やりとりをしていたんです。
松林
そうだったですか? 
じゃあ、みんな、今日が初見?
伊藤
そうなんですよ。
そのほうが、面白いかなって。
そうして言葉が決まって、
描くのにどのくらい時間が
かかるんだろうと思っていたら。
松林さん、描き始めたら、
一気に集中なさって。
松林
描き始めたら結構描けました。
大きさも正方形って決めていたから、
すごく描きやすかったですよ。
伊藤
最初は、松林さんの提案は、
色をピンク系で統一して、
強い印象の絵にしたいということでした。
それはとても素敵な絵だったんですけれど、
全部をそうするのはどうなんだろう、って。
結局、ピンクを筆頭に、
いろいろなものを混ぜていただきましたが、
なぜピンクを使いたいという気持ちになったんでしょう?
松林
やっぱりコロナでちょっと暗い気持ちというか、
家に閉じ込められることが続きましたから、
明るいピンクで、
ワーッ! ていう気持ちになれたら楽しいかなって。
伊藤
たしかに、その考え、いいですね。
松林
それで、最初は、
ピンクの絵をたくさん描いたんです。
それで一度見ていただいて、
ピンクだけじゃなく、
例えばベージュだとか白、
グレーや黒などを入れたらどうですか、
っておっしゃって。
結果的に、とてもバランスのいい感じに、
色味がふえました。
伊藤
はじめてアートを買うとしたら、
ピンクだけが並んでいるなかから選ぶのは、
ハードルが高いかな? 
っていう気持ちもちょっとあったんです。
ちっちゃいから大丈夫かなぁ? とも思いつつ。
松林
横で見ていた妻が言うには、
ぼくがピンクの絵を元気そうに描いてるのを見て、
なんだか力が湧くって。
販売は冬になるから、
こういう元気なピンクもいいねと、
そんなふうに話していたんです。
伊藤
松林さんのピンクの小さな絵だったら、
壁に複数、ずらりと並べてもかわいいでしょうね。
ただ、今回は、抽選での販売なので、
なかなかそういうそろえ方が
できないと思うんです。
そのお気持ちはとってもよくわかりますが、
やっぱり今回は「はじめてのアート」で、
いろいろなタイプがあっていいなと。
わがままを言ってすみません。
それに、そもそも松林さんは
気持ちが沈む絵を描く人じゃないから、
絶対大丈夫だと思っていました。

松林誠さんの100枚の絵

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ちっちゃな絵がほしい。

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伊藤
松林さん、こんにちは。
ちょうど東京にいらっしゃるお仕事がある、
というタイミングで、
こうしてお目にかかれてとても嬉しいです。
松林さんの高知のおうちにも、
以前お伺いさせていただきましたね。
あのおうち、
光の入り方がちょうどいい感じでした。
松林
そうですね。古い日本家屋なので、
あんまり日が入ってこないんです。
高知の夏の暑さでも耐えられる、
冷房のない時代の工夫ですよね。
でもね、生活するぶんにはいいのだけれど、
じつは、昼間、絵を描くときは、
灯をつけないと、色が見えにくいんです。
絵描きとして、それもどうかな? って
思うんですけれど。
伊藤
あら(笑)。
2015年に「やさしいタオル」のロケで
松林さんのところに遊びに行かせていただいて、
いつかなにかご一緒できたらいいですねという
お話をしました。
「weeksdays」をスタートさせてからは、
2019年に、セブンデイズホテルのオーナーの
川上絹子さんのお話をうかがいに行ったとき、
松林さんのお話にもなって、
あらためて「一緒になにか」をスタートさせました。
松林
そうでしたね。
「weeksdays」でぼくの作品を
販売したいとおっしゃってくださって。
伊藤
そこから1年半、いろいろありましたけれど、
こうして実現したことが、とてもうれしいです。
松林さんとは、はじめてのお仕事になりますね。
松林
そうですよ、知り合ってからは長いけれど。
伊藤
以前から思っていたことなんですけれど、
ことしのステイホーム中、あらためて、
やっぱりおうちに絵が必要だ! と思いましたよ。
わたしもそうですし、みんなが、
家のことにさらに関心を寄せているいまは、
そのことが、伝わりやすいかもしれません。
松林
伊藤さんはもともと、
アートを飾っていますね。
伊藤
はい。いいな、と思うと、
チョコチョコと買って。
絵を飾ると気分が変わるから、
よく、移動させたり、
つけかえたりしています。
松林
壁面に、シンプルに、余白をたっぷりとって、
一枚の絵を飾る。
伊藤さんの絵のかけかたには、
そんな印象があります。
伊藤
そうですね。
外国のかたのインテリアで、
壁面にたくさんの絵や
写真を飾っているのを見ますが、
あれもいいな、と思いつつ、
わたしは、やっぱり、ひとつかな。
もし、壁を絵で埋めよう! と思ったら、
それ全体がひとつの展示になるように
コーディネートをするでしょうけれど‥‥。
わたしがひとつだけ飾るのは、
「かけかえたいから」という理由もありますね。
わたしは、家具の配置もしょっちゅう替えるし、
壁の色もそろそろ変えようかなとか、
いつも考えているんです。
引っ越しも大好きだし。
でも、いちばん簡単で気分転換になる
部屋の模様替えは、絵を替えることなんです。
松林
今回、ドローイングだけじゃなく、
額までまるごと、お任せくださって。
伊藤
絵だけ届いても、
どうしたらいいのかわからない、
という方がいらっしゃると思ったんです。
絵を手にして「額装を考える」というのは、
ハードルが高い。
松林さんは、額込みで
作品として販売なさることも多いので、
これはお任せしよう! と。
松林
もともとはエッチング(銅版画)で
作品を発表していたのが関係すると思います。
版画ってマット(台紙)とフレーム(枠)が
合わさって完成する世界なんですね。
だから、ギャラリーでの展示にしろ、
家の壁面に飾るにしろ、
作品は額込みで考えることが多いんです。
伊藤
わたしも、松林さんの絵を買うときは
額まで相談できるので、楽なんです。
マットの幅ひとつ考えるのも、たいへんで。
松林
今回は、絵のサイズを正方形にしましょう、
ということを伊藤さんと決めてから、
それに合うマットと額のサイズを考えました。
フレームを数種類試作したんですが、
これじゃ絵を邪魔するなとか、なかなか微妙で、
そうしたら、いろいろ探すなかに、
駆け出しの頃からつきあいのある
高知の額縁屋さんで、
絵によくあうフレームを見つけたんです。
伊藤
よかった!
松林
フレームは受注生産です。
絵をセットして、
みなさんのところにお届けするのは
年が明けて少ししてからになります。
伊藤
たしか、最初にわたしが言ったのが、
「ちっちゃな絵がほしい」ということでしたね。
松林
ええ。それで、ポストカードサイズかな? 
という話も出たんですが、
ポストカードサイズだと、
ほんとうにポストカードを
飾っているようにも見えるから、
絵を飾るのがはじめて、というかたのためにも、
ちょっと馴染みのない形がいいなと。
それで、正方形はどうですかって。
伊藤
最初の1枚として絵を買うとしたら、
ちっちゃい方がいいし、
正方形、賛成! と思って。
ぜひ100枚おねがいします、って、
リクエストをしましたね。

ことばが絵になる。

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るるる

ひょこひょこ

ららら

きょときょと

ジュージュー

ふりふり‥‥

頭に浮かんだ音を伝えると、
松林さんが絵にしてくれる。

クスクス

ゆらゆら

ふるふる

そよそよ‥‥

わぁ、この音は、
こんな絵になったんだ! 
わぁ、かわいい! 

送られてくる
絵を見るのが、
毎回楽しみで仕方がなかった、
100枚の絵。

どれひとつとして、
同じものはなく、
どれもこれも、
あるとうれしくなっちゃう。

絵の持つ力って、
すごいんです。

今週のweeksdaysは、
松林誠さんの描く100枚の絵。
それとともに、
松林さんのイラストをモチーフにした、
冬のあったか小物もご紹介します。
どうぞおたのしみに。

4人、それぞれの老眼鏡。 [2]

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さんにんめ
料理家 なかしましほさん

料理家のなかしましほさんは、
ふだんから、遠近両用のメガネをかけています。
もともと近視がとても強かったなか、
老眼がちょっと入ってきて、
遠近両用のメガネにしたそう。
それまでは近視用のコンタクトレンズだったのを、
メガネ生活に変更しました。
それまでメガネをかけなかったのは、
おもに仕事上の理由から。
料理の仕事は、うつむくとメガネが落ちたり、
蒸気でメガネが曇ることがストレスに。
だから、コンタクトの方が良かったんだそう。
でも、老眼の進行とともに
メガネにすることを決めるとき、
ちょっとよぎったのが、おしゃれのことでした。

「私のまわりでは、
それまでコンタクトをしていた方が、
年齢とともにめがねに変えることが多くて。
おしゃれへのきもちの変化もあるのかなって思ってました。
そして私は、その年頃になったらどうするか、
すごく興味がありました。
実際、自分がそうなった時わかったのは、
老眼が入り始めると、
目がものすごく疲れるんです。
それも、今までとは違う疲れ方。
あまりにも疲れるので、
コンタクトからメガネにかえるんだなって」

小学校のころは近視でメガネ、
年ごろになってからずっとコンタクト。
最近かけるようになったメガネですが、
いまやすっかりなかしまさんのイメージになっています。

近視や乱視をコンタクトで矯正し、
老眼は、必要なときにメガネで調整する、
というひともいますが、
なかしまさんは、まだ老眼が本格的ではなく、
視力が安定していないのだそう。
だから今は様子見の期間としての「遠近両用」。
もうちょっと落ち着いてから、
老眼鏡を作りたいなと思っているんですって。
車の運転用には、遠近+サングラス、
というメガネも持っているそうです。

なかしまさんの、メガネ選びのポイントはなんでしょう? 

「かけて、自分がしっくりくるかというところです。
私も形をひと通り試すんですけれど、
結局、丸い形になるのは、
しっくりきているからだと思います。
あとは、洋服との兼ね合い。
おしゃれな人は何本も持っているとは思うんですが、
私は洋服にあわせて付け替えるということを
そんなにしないので、
どっちにも合うものをと考えて、
金色系か黒を選んでいます。
自分がいつもよく着る服の色を基準にします。
でも、わたしは1日中かける遠近両用だから、
という選び方。
老眼鏡だけの場合、一日中はかけないので、
ぱっとかけたときに、
疲れないものを選ぶといいと思いますよ」

大丈夫! 今回の「weeksdays」の老眼鏡は、
そのあたり、ちゃんと疲れにくさを考えていますから。
なかしまさん、今回のなかでは
どれか好みのものはありますか? 

「自分の持っていないものを、と思うので、
ひと目見たときから決めていました。
ゴールドのこちら!」

おお、チタンフレームの「ゴールド」。


▲こちらはサンプルです。フィッティングを行うと、つるの部分は調整されます。

「かたちがきれいで軽い。
かけてみて、私は耳が痛くならないです。
レンズも、丸じゃなくて楕円。
私は、遠近のレンズを入れて、使いたいな。
セリート(眼鏡ふき)もかわいいです」

ありがとうございます!
いいところ、ぜんぶ言ってくださいました。

ところで、なかしまさんが
教えてくださったことがもうひとつ。
眼鏡をかけるときのメイクです。

「ヘアメイクの草場妙子さんから、
メイクレッスンを受けたことがあるんです。
そのときに教わったのが、
メガネの人がフルメイクをすると、
作りすぎている感じが出ちゃう。
少しキャラっぽくなるというか。
だからメガネをしている日のメイクは、
眉かマスカラ、どちらかでもいいですよと言われました。
私の顔の場合、というのもあるかもしれませんが。
だから、私も今日は眉だけにしています」

なるほど! メガネ女子のみなさん、
ぜひ参考になさってみてください。
なかしまさん、ありがとうございました!


よにんめ
BonBonStore 井部祐子さん

傘ブランドBonBonStoreを主宰する井部さん。
パソコン仕事で数字を扱う時のため、
老眼鏡を使っています。
かけないと、「6」と「8」の区別がつかない!
これ、老眼の人は経験があると思います。

「もともと、視力があんまり良くなくて、
0.7と0.4、ちっちゃいときからそのままなんです。
乱視も激しくて、でも、レンズで矯正すると、
自分の見慣れた視界と違うから
気持ち悪くなっちゃうんですよね。
だから、普段は裸眼です」

今は、自分が老眼だと認めたという井部さん、
40代後半ぐらいまでは、
それが飲み込めなかったんですって。
まだ「全然見える!」と強がったり。

「それが、青山のメガネ屋さんと知り合いになり、
そのお店にきちんと上手に測れる男性がいて、
彼が老眼ということばを使わない人だったんです。
それは当たり前に起こる現象だからって。
それを聞いて、なるほどねって思いました。
そっか、生きていれば普通に起こりうることで、
特別なことではない。
その人の成長にあわせた目の使い方なんだって。
そのメガネ屋さんが教えてくれたのが、
メガネを選ぶときは
いつ必要なのかを考えることだと。
それでわたしは、
パソコンを見るときだけでいい、と答えました。
間違えてはいけないテキストや数字を確認できればいいと。
そこで、その距離感にちょうどいいものを
作ってもらったのが、最初の老眼鏡でした」

それが、いまから3年ほど前のこと。
いま、老眼鏡として使っているのはひとつだけで、
伊達メガネもあわせると
いくつかのメガネを使っているそうです。

「長い時間使うことを考えると、
軽いタイプのものを選びますね。
太いフレームは、夏になると汗をかいて滑る。
だから重くないほうがいいなと思っています」

井部さん、「weeksdays」のものから選ぶとしたら、
どれがお好きですか?

「チタンフレーム系の方が好みですね。
形が丸いのがいいし、軽いし、
老眼チックでもないし。
ちょうど、近視用の持っている眼鏡が、
チタンフレームの丸なので、違和感もありません。
眉毛とアーチが似てる感じのフレームを選んでいるんです」

色は「なんとなく」カーキ。
顔の印象を色で締めようと、
シルバーとかゴールドより濃い色がいいそうです。

「わっ、やっぱり、軽いですねー!」

そうなんです、軽くて丈夫。チタンのいいところですよね。
ところで、眼鏡にあわせる
アクセサリーはどうしましょうか。

「ピアスが好きなんですが、
眼鏡のフレームとピアスの組み合わせは、
本当に悩みますね。
丸いかたちが好きだからといっても、
丸い眼鏡のときに、
丸いフープピアスはつけません。
だから半円のピアスでしょうか」

わあ、ピアスと眼鏡がいい感じです。
いまつけているチェーンも素敵ですね。

「このチェーンはヴィンテージのものです。
ソフィア・コッポラの映画に出てくる
ある女性のゴールドのチェーンの使いこなし方が
新鮮だねって、友達と盛り上がって、
それを真似してみたんです。
老眼鏡にもこんなチェーンがあったらいいですよね。
そうだ、わたし、考えてみようかな?」

わあ、ぜひ、井部さん、おねがいします!
そのときは、ぜひ「weeksdays」で
紹介させてくださいねー。
井部さん、ありがとうございました!

▲セルフレームの「カーキ・ササ」もかけてもらいました。お似合いです。

4人、それぞれの老眼鏡。 [1]

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ひとりめ
COWBOOKS 吉田茂さん

「実は、いつもメガネはかけていないんです」
という吉田さん。
なぜならいまは基本、コンタクトレンズだから。
「子供の頃から高校生ぐらいまで、ずっとメガネ」
だったのが、社会人になってから、
コンタクト生活になったんですって。

それでも「たまに欲しいな」と思うのがメガネ。
メガネ歴が長い人がコンタクトになっても、
メガネがきらいになるわけではなさそうです。
でも、メガネ屋さんに行かなくなるから、
ためしにかけてみたりする機会もなくなる。
また、コンタクトを外したら家ではメガネ、
というひともいるなか、
吉田さんはお家では裸眼で過ごしているのだそうです。

そんな吉田さんに、
今回、久しぶりにメガネを選んでいただきました。
いかがですか?

「そう、久しぶりにメガネを選びました!(笑)
なるほど、幅広く、いろんな方に似合いそうですね」

吉田さんが選んだのは、
チタンフレームの「フォレスト・ブラック」と、
セルフレームの「カーキ・ササ」。

▲チタンフレームの「フォレスト・ブラック」

▲セルフレームの「カーキ・ササ」

「壊れにくそうで、いいですね!」

メガネ歴が長いからか、
割と適当にしてしまったりもして、
金属のフレームはうっかり曲げちゃったり
したこともあったそうです。

「緑色が入っているのがいいですね。
じつは緑色は、COWBOOKSの
テーマカラーでもあるんですよ。
本棚なども緑なんです。
落ち着いていて、かつ、暗すぎない。
本が並んでいるときに背景として映える色なんです」

COWBOOKSは、東京・中目黒にある
セレクトブックストア。
和洋古書を中心に、松浦弥太郎さんがセレクト、
蔵書数は約2000冊という人気の本屋さんです。

吉田さん、メガネをかけたり外したりしながら、
ちょっと思い出話も。

「子供の時って、メガネを選ぶ、なんてできなくて、
持っているものをかけるしかなかった。
ほんとうは“服に合わせて”なんてできたら
素敵だったんでしょうけれど、
そんなわけにはいきませんでした。
だから、こうして大人になってから選ぶなら、
何個か持って、服に合わせたいなあと思います。
老眼鏡も、こんなかたちで、
違うタイプのものを持っているといいのかな」

お店に行くと、色や形もたくさんあるから、
迷うのはたのしいけれど、選ぶのはたいへん。
おまかせください、そんなときのための
「weeksdays」ですから。
吉田さん、ありがとうございました!


ふたりめ
MOJITO 山下裕文さん

「weeksdays」でもおなじみの
メンズウェアのブランドMOJITO(モヒート)を主宰する
山下裕文さん。
文豪ヘミングウェイをイメージした、
かっこいい大人の男のための服をつくっています。

「老眼鏡、すごく使っていますよ。
もともと目がすごく良くて、
両目2.0、駅で向かいのホームの時刻表が読めるくらい。
でも34、5歳ぐらいかな、
わりと早くに老眼がはじまりました。
今は0.7と1.5で、老眼と乱視です」

老眼鏡を初めてかけたときは、
世界ががらっと変わったのだそう。
それまで本や新聞を読むとき視力がおいつかなくて、
億劫になっていたといいます。
仕事をする上でも、細かいチェックをするときに
すごく見えにくく、困っていたのが、
老眼鏡をかけたら、
こんなにクリアに見えるんだ! と感動したのだそうです。
それから、メガネは、いいものと出会ったら買う! 
という感じになっているとか。

「いろいろ持っていますよ。
いま老眼鏡で主に使っているのは、
黒、そしてグリーン系のセルフレーム。
家とオフィス、それぞれに置いています」

そんな山下さん、
「weeksdays」の老眼鏡を選ぶとしたら、
どれがいいですか?

「まず、これ。
チタンフレームのフォレスト・ブラックかな。
金や銀じゃなく、素敵な落ち着いた感じで、
すごくきれいだなと思いました」

そしてセルフレームからは、茶色。

「茶色って、僕自身、すごく好きな色です。
今回の中だったら、これがいちばん好みです」

MOJITOのシャツで、それぞれの老眼鏡に合わせて
コーディネートしてくださった山下さん。
さすがだなあ、大人の男だ!
ところで、アドバイスをしていただきたいんですが、
老眼鏡選びって、やっぱり持っている服を考えたほうが
いいんでしょうか?

「それもいいと思いますが、
普段、メガネをしておらず、必要な時だけかけるなら、
服に合わせるというよりも、
メガネ本体のデザインがきれいだとか、
これが好きだなあ、ということを
選ぶポイントにして、いいかもしれないですね。
ちなみに、重さが気になる方もいるでしょうが、
チタンもセルも、
両方とも軽くて疲れにくそうですよ」

山下さん、ありがとうございました!

「weeksdays」が 老眼鏡をつくりました。 その2 はじめての老眼鏡の選び方。

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伊藤まさこさんのプロデュースで、
JINSがつくる「weeksdays」の老眼鏡。
販売は「weeksdays」つまりネットで行ないます。

みなさんが(とくに「はじめての老眼鏡」をと
考えてくださっているかたが)疑問に思うだろうことは、
以下の点かと思います。

【1】度数は合うのかな?
遠近両用や、近視用のメガネはないの?

【2】かたちや色の似合う・似合わない、が知りたい。
【3】かけ心地が不安、痛くなったらどうしよう。

では順番に解説をしていきますね。

【1】度数は合うのかな?
遠近両用や、近視用のメガネはないの?

「weeksdays」のメガネは、
最初からレンズが組み込みになっていて、
あとから変更ができない老眼鏡
(JINSではリーディンググラスと呼んでいます)を、
2種類の度数で用意しています。
その度数は「+1.00」と「+1.50」。
一般的に、レンズ組み込み型の老眼鏡には
さらに度のつよい「+2.00」と「+2.50」がありますが、
「weeksdays」では初心者用として
弱いほうの2度数を用意しました。

老眼の症状には、
●薄暗いところで、新聞や本などの文字が読みにくくなった
●スマホの画面が見えづらくて、遠ざけてしまう
●以前にくらべて、ピントが合いにくくなった
●パソコンを使ったあと、目が疲れる
●目が疲れて、肩こりや頭痛がする
などがあります。
とくに薄暗いところでの小さな文字が読みづらくなります。

そんなときのための老眼鏡ですけれど、
度数のめやすはというと。

+1.00‥‥近くが見にくくなってきた
+1.50‥‥文字を読むとき、40~50cm程度遠ざける
+2.00‥‥文字を読むとき、50~60cm程度遠ざける
+2.50‥‥文字を読むとき、60cm以上遠ざける

となっています。
すでに老眼鏡をお使いのかたなら、
いまお使いの度数でどうぞ。

(JINSの「初めての老眼鏡の選び方」というコンテンツも
どうぞ参考になさってください。)

でも、「度数が決められない」ということもありますよね。
「もしかしたら+1.50かもしれない」と感じたり、
「いま+1.50だけれど、それでいいのかわからない」、
あるいは「まったく判断がつかない」と。
そんなかたのために、「weeksdays」の老眼鏡は、
もうひとつ選択肢を用意しました。

それは「レンズ交換券つき」のフレーム。
最寄りのJINS店舗に、
商品に同梱する「レンズ交換券」とフレーム本体、
「ほぼ日ストア」からお送りする出荷のおしらせメールを
お持ちいただければ、度数を測定し、最適なレンズを入れ、
快適につけられるよう、フィッティングを行ないます。
ちなみに、このレンズ交換券をご利用いただく場合には、
度数に制限はなく、
老眼用にかぎらず、近眼用のレンズも含め、
レンズをお選びいただけます。
ただし、遠近両用や、ブルーライトカット効果レンズなど、
オプションレンズの場合は別途料金がかかります。

●最寄りのJINSの店舗をしらべる

【2】かたちや色の似合う・似合わない、が知りたい。

「weeksdays」の老眼鏡は、
楕円型のチタンフレームが3色
(シルバー、ゴールド、フォレスト・ブラック)、
スクエア型のセルフレームが3色
(ブラウン、ライトブラウン、カーキ・ササ)です。
伊藤まさこさんが、「みんなに似合うように」と
えらんだかたちと色ですから、
服の色の傾向や髪の色、
好みで選んでいただければと思いますが、
メガネそのものがはじめて、という方も
いらっしゃるかもしれません。
ことばで説明するのはとても難しいのですが、
まずはこちらのJINSのサイト
「メガネの選び方」を参考にしてみてください。
あるいは、お近くのJINSの店舗で、
フレームや色の近いものをためしてみてくださいね。

ちなみに、老眼鏡は「ずっとかけっぱなし」にすることは
あまりないタイプのメガネ。
近視や遠近両用のメガネにくらべて、
「ちょっと派手なもの」や
「ユニークなかたち」を選ぶ人もいます。

【3】かけ心地が不安、痛くなったらどうしよう。

こちらも、最寄りのJINSの店舗で対応します。
お出かけいただいて、
フィッティングの調整をしてもらってくださいね。
(調整は、無料です。)

「weeksdays」が 老眼鏡をつくりました。 その1 鯖江に行きました。

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伊藤まさこさんといっしょに
福井県鯖江市のメガネ工場を訪れたのは、
2019年3月のことでした。

それまでは、東京のJINS本社で、
「こんな老眼鏡がつくりたい」と、
伊藤さんがイメージしている
フレームの色や素材について話し合ったり、
「こんなケースがいいんじゃないかな」
「付属のメガネふきをオリジナルなものにしたいな」
など、いろいろな相談をしてきました。

さらにさかのぼると、スタートは2017年。
「第2回 生活のたのしみ展」で、
「ほぼ日」とJINSとで企画した
「かわいい老眼鏡の店」がきっかけで、
「次は、伊藤さんバージョンをつくりましょう」
と話しはじめていたんです。

フレームは、金属? それともセル?
どんな色がいいんだろう、
どんなかたちがいいんだろう。

大きくみんなのイメージをひとつにしたのが、
伊藤さんが発したこんなことばでした。

「かけているとき、だけじゃなく、
そこに置いたときにも、
風景になるようなフレームがいいなぁ」

また、「ひとつだけ」を選ぶのではなく、
老眼鏡を複数もって、
持ち歩くほかにも、
家の中ですぐに手に取れる場所においておく、
という人が多いことから、
「これがベスト!」をつくるのではなく、
あるていど、選びようのあるラインナップにしましょう、
ということも、決めました。

そうして、チタンフレームと
セルフレームの両方でデザインを詰めてゆき、
3Dプリンターでサンプルをつくり‥‥、と、
その経緯のこまかいことを言うときりがないくらい、
こまかな調整をして、
「このかたち」を決めたあとの、鯖江訪問でした。

さて、鯖江でなにをしたのかというと、
「メガネ工場で、ずばり! の
セルフレームの素材となるアセテートの色えらび」。
なにしろアセテートは色のサンプル数が膨大なため、
東京でそれを行なうことはむずかしい。
すでに、チタンは、シルバーとゴールド、
フォレスト・ブラックという3色を決めていたのですが、
アセテートはじっさいに色を見ないとわからない。
さらに「ぜひ鯖江のメガネづくりを見たい」と、
出かけることになったのです。
(おっと、画像のなかで
みんながマスクをしていないのは、
コロナ以前だったからですよ。)

ちなみに、訪れたのは、海外むけのフレームが約半分、
それも「メイドインジャパン」の高品質を求める
欧米のメガネブランドからの発注が多い、腕のよい工場。
ちなみに鯖江へは海外からの注文が多く、
全体では6~7割にものぼるんだそうです。
鯖江の技術力を信頼して、最近では、
金属とアセテートの両方をつかったものなど、
より複雑なフレームが求められているのだとか。

また、鯖江のすごいところは、メガネづくりの工程が
分業制になっていること。
最初から最後まで1社ですべての工程を
こなせるところはなく、
作業、パーツごとに、大小さまざまな工場があって、
その物づくりが鯖江でできるんです。
つまり、鯖江のまち全体が、
大きなメガネ工場だとも言えるのですね。

さて、膨大なサンプルを前にした伊藤さん、
まずえらびはじめたのはアセテートの茶色です。

「やっぱり最初は、すごくベーシックで、
わたしたちみんなが似合うような茶色が、
ひとつ欲しいと思うんです」

茶色とひとくちに言っても、
明るめの茶色と暗めの茶色、
赤っぽい茶色もあれば、くすんだ茶色も。
フレームが二層、三層になっている
複雑な色味のものもありました。

「うーん? でも、単色がいいですね。
よし、決めた! この、かわいい茶色にします」

うん、はっきりとした色で、きりりと顔をひきしめますね。
そして、伊藤さんから、もうひとつのコンセプトが。

「もう一個の方には、若干のニュアンスで、
かわいいおばあちゃんっぽさを残したいんです」

そうして選んだのが、こんなライトブラウン。
なるほど! とってもおだやかで、品のある印象です。

さらに伊藤さんが気になっていたのが「カーキ系」。
これは、ずらりと並んだサンプルから、
ぱっと気になったものを選んでのことでした。
「四つ葉のクローバーを見つけたときのように、
目立っていたんです」
と伊藤さん。
JINSのみなさんからは
「これを選ばれるとは!」と、感嘆の声があがりました。
(こういった組みかたで、こういう色をえらぶのは、
めずらしいことなんですって。)
でも、むずかしい色かといえば、そんなことはありません。
かけてみると、いろんな人に似合う!

こうしてセルフレームの3色が決まりました。

さて、ここはアセテートの素材倉庫。
さきほど選んだフレームの素材もありました。

厚みがあると、うんと濃く見えます。
アセテートは、ほかのプラスチックに比べると、
比較的軟らかい素材。パルプからできています。
メガネのフレームは、熱を加えて曲げたり、
切削をしたりするので、
アセテートの硬さがちょうどいいのだそう。
そして、アセテートは吸水性が高いので、
そのぶん、かけたときに、肌に優しいんです。
ただし、汗をかいたり、水洗いをしたまま
拭かずにおくのはNGです。
(拭き取っておけば、だいじょうぶです。)
ちなみに、このアセテートは、
兵庫県の網干でつくられています。

メガネをつくる工程はとても多く、
メタルフレームだと300工程ともいわれます。
それに比べてセルフレームは工程数が減りますが、
素材を曲げて、切削しある程度の形状にして、
柄をつけ、鼻パッドをつけ、丁番をつけ、組み立てる、
その過程はメタルもアセテートもおなじこと。
それぞれのパーツにもたくさんの工程がありますし、
メタルではメッキなど、また異なる工程が加わります。
こまかい作業は、分業化され、
なかには個人でなさっているところもあるのだとか。
見学をさせていただいた工場は、撮影不可、
専門的な技術のことは社外秘だそうです。

というわけで、「こうやってつくっています」
というレポートは、できないのですけれど、
これだけは伝えておかなくちゃ、ということがひとつ。
それは、どの工程も「人」がかかわっているということ! 
工場、というと、オートメーションで、
片方から素材を淹れたら、もう片方から製品が出てくる、
なんてイメージをもってしまいそうですけれど、
メガネづくりは、どの部分も、
人がいなくちゃできないことでした。
なかには危険な仕事もありますし、
かなりの集中を要する仕事もたくさん。
世界がなぜ「鯖江クオリティ」を求めるのか、
わかる気がする工場見学でしたよ!

さて後編では、「老眼鏡の選び方」をお伝えします!

JINSの老眼鏡

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この年齢だから、のたのしみを。

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食べるもの、
人づき合い、
ものとのつきあい方、
仕事の仕方、
時間の使い方‥‥。

これは自分にとって必要、
これは必要ではない。

50代に入って、
その分け方が、はっきりしたといったらいいのかな。
どんどんシンプルになってきたように思います。

これは、若い頃だったら、
けしてできないことでした。
なにが自分にとって必要か不必要かなんて、
考える余裕もなかったから。

そう思うと、
今は、ずいぶん楽ちんになったし、
軽やかにもなった。
年をとるって、なかなかいいじゃん!
なんて思っています。

そりゃあ、シミも増えたし、
小さな字も読みづらくなったけれど、
それはそれでしょうがない。
受け入れようではありませんか。

今週のweeksdaysは、
構想から3年かかって、
ついに形になったJINSの老眼鏡。

年をとったからこそ、
できるおしゃれに、
わくわくしています。

つけている時も、
また部屋に置いている時も、
佇まいのよい老眼鏡。

明日からのコンテンツをどうぞおたのしみに。

再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
12月10日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。


2189 NUVOLA(NAVY)

▶商品詳細ページへ

販売するたびに人気のバッグ、
CI-VAの2189 NUVOLA(ネイビー)が再入荷します。
マチがなくすっきりスリムな形ですが、
収納力の高さも魅力です。
紐をはずしてクラッチバッグとして使ったり、
洋服にあわせていろいろな使い方をどうぞ。

「フラットな作りの、
これ以上にないくらいシンプルなバッグです。
ヒモが長くなっているので、
斜めがけしたり、またはヒモを結んで肩にかけたりと、
持ち方によって印象が変わるところも魅力のひとつ。
使ううちに革がだんだんとやわらかくなり、
体にそうように。
育っていくたのしみがあるのが、
『CI-VA』のバッグのよいところなのです。」
(伊藤まさこさん)

漆の器の使い方。 伊藤まさこ [すぎ椀 編]

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めいめいに、おひたしを。

すっとした形のすぎ椀に、
ほうれん草としいたけのおひたしを。
おひたしは、
大ぶりの器にどーんと盛ることもありますが、
こんな風にめいめいに盛ると、
品よくなるのがうれしい。

盛る時は、
盛りつけ箸を使ってていねいに。
ちょっと高さを出すときれいです。
仕上げにはちょこんとゆずの皮を置いてできあがり。


シンプルなお味噌汁。

平日、ひとりのお昼ごはん。
あり合せのおかずをつめて、
朝、お弁当を作っておくことが多いのですが、
温かい何かが欲しくなることがあるんです。

そんな時に、
私がお弁当にそえるのが、お味噌汁。
今日は、作りおきのだし汁に味噌を溶いて、
万能ネギのみじん切りをぱらり。
とても簡単ですが、
これがあるのとないのとでは満足度が違う。
あったかいものって、しみじみありがたいなぁ‥‥。

ネギだけ、お麩だけ、わかめだけ、
なんていう、
具のシンプルなお味噌汁に、
すぎ椀はぴったり。

あるのとないのとでは大違いなのは、
お腹の満足度だけでなく、
テーブルの上の景色も同じこと。
お椀があると、すごく幸せな気分になるのです。


おやつの時間にも。

柿とマスカットのマチェドニアや、
りんごのコンポート、
アイスクリームなどなど、
すぎ椀は、おやつの時間にも。
今日は、豆かんを盛ってみました。

じつは、そのまま食べられる容器に入って
売られていたのですが、
どうにも味気ない。
すぎ椀に移し替えて、
リネンのナプキンの上におき、
緑茶をそえたらいいかんじ。

漆器だからとかしこまらず、
どんどん使って、盛ってみて。
テーブルの上が、
きっとたのしく豊かになるはずだから。

漆の器の使い方。 伊藤まさこ [ひら椀 編]

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朝がゆを、豆皿と。

朝食によく作るのがおかゆ。
白がゆの時もあれば、
雑穀を混ぜたおかゆの時もあるのですが、
えらぶのはいつも、このひら椀です。

漆の朱が、
ふくよかに炊き上がったおかゆを
ひきたたせてくれて、美しいでしょう?

おかゆと、
あとはお漬けものを小皿に並べた
簡単な食事ではありますが、
漆器のおかげで、
とても豊かな時間にさせてくれるのです。

今日は、しば漬けと梅干し、高菜を、
日本の各地で手に入れた古い豆皿に。
豆皿の質感はそれぞれ違うのですが、
漆器がきりりとまとめあげてくれる。
漆の器が持つ力のすごさを、
こういう時、感じるのです。


中華風のおかずの取り皿に。

「漆器」と聞くと、
和のイメージがつきまとう、
という方も多いかもしれませんが、
私はあまり気にせず、
中華風のごはんにも合わせます。
今日は、豚肉たっぷりのシュウマイを作ったので、
ひら椀を取り皿にしました。

とかく茶色くなりがちな
私の地味ごはんに漆器の朱が
華やかさを添えてくれるところがうれしい。

蒸篭との相性もいいところも、
気に入っているポイントです。

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