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基地がほしかった。

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伊藤
この本屋さんのある下北沢って、
小田急線の地下化にともなって、
開発が進んでいますね。
「ここ、前はなんだっけ?」というくらい、
風景が変わってきました。
ねむ
そうなんですよね。駅の出入り口も新しくなって。
伊藤
どうしてここを選んだんですか?
ねむ
姉と義兄が、このあたりがすごく好きで。
私がお店をやりたいなっていう時に、
この物件を紹介してくれたんです。
私はご縁があればと思っていたので、
見に来てみたら、一目惚れでした。
お庭があって、こんなに広かったら、
ちっちゃい子が走り回れるし、
縁側も付けられそうだし。
そう、縁側が欲しかったんです。
アイドルを辞めて、本屋を始める時に、
老後をイメージし続けていたんですよ。
どんなおばあちゃんになってたい、とか。
伊藤
その時は、いつか結婚するんだろうなっていうことを
視野に入れて?
ねむ
思ってはいたけれど、決まってはなかったです。
でも、周りの、すごく好きな大人たちが、
ちょっとのお金と友達がいれば老後は楽しいから、
がんばれ! みたいに言ってくれていて。
それで、これからどう生きていこうかな、って考えて、
友達とお茶を飲んで、縁側に座ってたいな、って。
伊藤
どう生きていくか? 
「こうなっちゃった」じゃなく(笑)?
ねむ
(笑)めちゃくちゃいいですね、それ。
伊藤
アイドルを辞めるという節目が
あったからなのかもしれないですね。
私はずっと同じ仕事を続けてきたから、
「こうなっちゃった」なんだけれど。
アイドルって、もう、どういうことなのか、
想像もつかないです(笑)。
ねむ
私も、意味不明です。
理解できないですよね。
だから、辞めるとなると、
自分もだし、ファンだった子にも
納得いってもらえるような
「先」があるほうがいいなと思いました。
だから内緒にせずに「本屋になります」と言っていた。
みんな納得してくれてるかな、と思うんですけど。
伊藤
好きなことが、ちゃんと形になってってる感じがします。
これから、どうなるんでしょうね。
ねむ
ね。もしかしたら、本屋という仕事を選んだけれど、
それ以前に、みんなと遊べる基地的な場所が欲しかったんですよね。
遊び場的な機能のない、
本屋「だけ」を真剣にやるんだったら、
もっと本がたくさんあって、選書に特化したような
そんな店をつくるんだと思います。
私、本屋が減っていくっていう現実に対して
悲しかったのが、自分でチョイスする力が衰えていくことで。
例えば「フルーツの本、欲しい!」って思って、
そのコーナーに行ってチョイスするところを、
ネットで見つけて「この本、欲しい」って購入ボタンを押して、
1冊しか買わなくなっちゃった。
隣にある本が、人生を変えるかもしれないのに。
伊藤
フルーツの本に紛れ込んで、
全然別のものが入ってることもあるし、
それが目に留まるかもしれない。
ねむ
そうそうそう。自分にはその経験があったし、
帯に書かれている「お子様の発育に」とか、
「勉強になります」みたいな言葉で
親が勝手に選んだ本を与えるって、
良くもあるけれど、
その子の「選んでいく人生」の最初を、
けっこう、くじいているんじゃないかな? って。
変な心配だとは思うんです。
ほんとそんなの考えなくていいんですけど。
伊藤
うん、うん。
ねむ
昨日も、うちのお店に来た
電車の本が欲しい男の子と、
麺の絵本を買いたいママが対立していて。
伊藤
麺類の麺?
ねむ
麺類の麺です。
食べ物の絵本が、絶対いい、っていうママと
子どもが戦っていて。
ママは、もう、電車の本は買いたくない。
だって家にいっぱいあるし、似た本もいっぱいあるし、
そもそも家にあって読んでない本もあるのに、
なんでまた電車の本なの? って言ってて。
「麺も好きじゃない? 何々君は、
スパゲッティ好きでしょ? 
じゃあこれでいいんじゃない?」みたいな。
子どもは、絶対、嫌なんですよ。
「絶対、この電車の本がいい」つって。
そこで私が間に入って、
じゃあなんでそれがいいか、
プレゼンしてみ? って(笑)。
伊藤
プレゼン(笑)。
ねむ
家にあるこの本とここが違うとか、
この点において、これがその本より、
絶対に欲しいその理由を言うんだよって言ったら、
「好きだから」って。
ああ、もう真理だけど、
それじゃあ、やっぱ勝てない。
伊藤
えー! 好き以外に、
なんの理由があるっていうの。
ねむ
もういっそ買ってあげたいって思いますよね(笑)。
ところが、ちょっと目を離してるスキに、
話がまとまってて。
ママに押し切られちゃったかな? 
麺の本かなぁと思って、見たら、
お弁当の本なんだけど、
表紙に電車が走ってました。
ちょうど食べ物と電車が融合した本があったんです。
伊藤
すご~い。
ねむ
「これに落ち着きました」って、パパが言ってて。
「良かったー」みたいな。
伊藤
かわいい(笑)。
ねむ
そういうのを見てると、いいなと思って(笑)。
伊藤
いろんなドラマが見えるんですね。
ねむ
はい、いろんなドラマがあります(笑)。
伊藤
おもしろいね。
でも、これから、どうなるんだろう?
1人暮らしをしていたのが、
今、2人暮らしになったでしょ?
ねむ
そうです、そうです。
伊藤
それも劇的な変化だし。
ねむ
伊藤さん、ちゃんと暮らされてるじゃないですか? 
きれいに。
伊藤
そんなことないですよ。
ねむ
切り取ったところを見る限り、きれいですよ(笑)。
伊藤
う~ん。
家で打ち合わせや撮影もあるので、
いつ人が来てもいいようにはしています。
ねむ
すごい!

なぜ本屋さんに?

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伊藤
アイドルから本屋さんになるって、
どういうことだったのかな。
もちろんファンの人たちは知ってると思うんですけど、
あらためて教えていただけたら。
ねむ
もともと、私、美術家になりたくて、
大学のために上京してきたんですね。
そのときは、アイドルになるなんて、
1ミリも考えてなかったんです。
伊藤
世間がほっとかなかったのかなぁ。
ねむ
そんなカッコいい話じゃないです(笑)!
でも、表現って、なんだろう? って行き詰ったんですね。
自分で好きな作品を発表して、満足してるって、
意味はあるのかな? って思っちゃった。
そのとき、ちょうど流行っていたメイド喫茶に
行ったことがあったんですね。
そうだ、あそこにもう1回、行ってみようと思って、
行ったら、これは説明書きがない芸術だなと思って。
自分はご主人様、お嬢様。
向こうはメイド。
お互いどんな立場かが説明なしに分かって、
帰るときに幸せな気持ちになってる。
これって、すごいインタラクティブアートだ! 
って思って、そこから、研究をし始めたんです。
伊藤
研究?
ねむ
秋葉で、メイドになったんです。
伊藤
そんな人、いないですよ!
ねむ
はははは。
人によっても違うと思うんですけど、
目の前にいる人を幸せにするっていう使命で
やってるメイドが多いんです。
普段はできない「非日常」を提供して、
楽しかった、現実もがんばろう! 
っていうことを提供している。
伊藤
そうか。バイトとして割り切るんなら、
普通に働けばいいわけですもんね。
それをあえてメイドになるっていうことは、
究極のサービス業というか。
ねむ
そう。好きで、好んで、選んで
メイドをやってる子は、なにかしら、
エンタメの気持ちでやっている。
もちろんかわいいお洋服が着たい、
そういうきっかけの子もいるんですけど、
けっきょくそれだけじゃ続かなかったりする。
私も入ってみたら、すごく楽しくって。
学校そっちのけで
「萌え産業」について調べたりしちゃって(笑)。
伊藤
萌え産業。グッときます。
心つかまれまくり(笑)!
ねむ
(笑)それで、メイドを辞めた後に、
「秋葉原ディアステージ」ってお店で働いた時に
「アイドルにならない?」って言われて。
まあ、人生1回だし、
1曲で終わるって聞いていたので、
記念にと思って始めたら、
10年続いた、っていう感じです。
伊藤
10年!
ねむ
はい、10年です。
アイドルをしていたときも、
元々、本が好きだったりして、
日販(日本出版販売株式会社)っていう
書籍の取次さんの主宰するネットで
連載をやらせていただいたりして、
「やっぱり、本、好きだな」って再確認しながらでした。
その連載は「私が本屋をオープンするなら」
っていう仮の設定で連載してたんですが、
だんだんその気になってきて。
「あ、本屋やりたいなぁ」って。
一生、アイドルはやらないかもしれない、
というか、やれないと思っていたので。
やっぱり体力的にも。
伊藤
例えばアイドルから、女優さんになる人はいますよね。
ねむ
セリフが5文字しか覚えられないんですよ(笑)。
伊藤
5文字‥‥(笑)。
ねむ
「ありがとう」しか言えないです(笑)。
伊藤
「愛してます」だと‥‥。
ねむ
も、ギリ、ダメ(笑)。
「愛して『る』」だっけ? 
「愛して『ます』だっけ? 
みたいになっちゃう。
元々が芸能を目指してなかったのが、
「でんぱ組.inc」だから続けられた。
芸能は、すごい経験をさせてもらって
ありがとうございました、って感じで、
10年を閉じました。
そして、自分で生きていくなら、なにがいいかな? 
ていうときに、やっぱり本屋さんがやりたいなって。
伊藤
本が好きっていうのもあるでしょうけれど、
ねむきゅんは文を書いたり、絵を描いたり、
本にもなるけれど、
本にする以外の表現もできるじゃないですか。
ねむ
そうですね。
伊藤
でも、やっぱり、本が好き?
ねむ
本屋っていう場所がどんどん減っているということに、
ショックを受けて。
自分も本をネットで買いますけれど、
本屋がなくなっているという現実を目の当たりにして
「うわ~」って。
気づいてなかったんですよ、
多くの人が本屋に行かなくなってるって。
周りの友達や、自分がそうじゃないから‥‥。
伊藤
行きます?
ねむ
わたしは、行きます。
伊藤
確実に、自分も、本屋に行くことが
減ってるような気は、する。
ねむ
そう、減っているんです。
私たちには、いつでも本が好きだった記憶があるから
また本を手に取れるけど、
本屋が減っていったら、ちっちゃい子たちって、
本屋さんに行って楽しかった思い出が
なくなるんじゃないかなと思って。
伊藤
たしかに、触れる機会が減ってますものね。
ここには、ちっちゃい子がうれしそうに
過ごせる場所がありますね。
ねむ
そう、ここは、ママがホッとできるというか。
書店に行ったときに、どうしても、
ちっちゃい子が泣いたりしてるのを、
キッて睨む大人がどうしても目に入るようになっちゃって。
それまでは、なんにも気にしなかったんですけど、
自分の周りの人たちが子どもを持って、
姉にも2歳になる子がいたりとかして、
ママたちと遊ぶようになってから、
ショックな出来事が多くなりました。
そして、子ども向けの場所はあっても、
お母さんが謝らなくていい場所は
あんまないなって思って。
本屋をするっていうのは決めてたんですけど、
そこは、子どもがいても手を離せて、
ママたちは人が作ったものを食べられる
食堂や喫茶店のような機能があって、
しかも、本も開ける。
そういう場所にしたかったんです。
それで、この形に落ち着きました。
伊藤
すごくいいと思う。
ねむ
ママって、誰かが作ったもの食べるにも、
理由がいるようになっちゃうって聞きました。
子どもを連れて食べに出ると、
なんだか人の目が気になるって。
伊藤
そもそも外に行けなくなるし。
ねむ
はい。でもこのお店だったら、
ちょっと子どもを転がしておいて(笑)、
ママはカウンターでひとり食べていても、
誰かが見ているから大丈夫。
そういう本屋にしたかったんです。
伊藤
子どもは好き?
ねむ
全然、普通ですよ。
伊藤
ん。普通だったら、
こんな、優しい空間は作れないと思います。
ねむ
子どもが好きというより、
親になってる子たちが友達だったり、姉だったりする、
そのことが大きかったですね。
あんなに普通の暮らしをしてた人たちが、
急にこんな疎外感を味わって、大変になるなんて、
超ヤダ! と思って(笑)、
本屋になりました。
子どもは、大人と同じで、
仲良くできる子もいれば、
けんかしちゃうおチビもいますよ。
伊藤
そうですよね。わたしも、
年齢はどうであれ、好きな人は好き。
同じですよね。

今日の主役は?

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バッグとか、靴とか、スカーフとか。
「今日はこれにしたい」
なんて気持ちが先立って、
コーディネートを考える日があります。
服をえらぶよりも先に小物を主役にと考える、
そんな日が。

いつも洒落ているなぁと
女の私から見ても惚れ惚れしちゃう友人は、
「口紅を主役にする日もある」
って言っていましたっけ。
なるほど、お洒落の主役は人それぞれ、
ってことなんだ。

そういえば、
とふと気づきました。
靴やバッグと同じで、
「この下着を身につけたいから、
この服にしようかな」と考える日があるってことを。

下着は見えないお洒落なんて言うけれど、
見えないからこそ気を使いたいと私は思う。
つけ心地がいいのはもちろん、
かわいくて、その日の気分にあったものがいい。
つけているだけで、
うれしくなっちゃう、そんなのがいい。
だって、
服の下にかくれているけれど、
自分に一番近い存在だもの。

今週のweeksdaysは
cohanのチュールネットの
ブラジャーとショーツをご紹介します。
weeksdaysだけの特別カラーは、
春の花から一色取ったようなコーラル。
どうぞおたのしみに。

ひとりになったら。

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伊藤
こんにちは! おじゃまします。
ここ、お庭があるのがいいですね。
ねむ
いらしてくださってありがとうございます!
伊藤
(本棚を見て)なんだか楽しい‥‥!
ねむ
すみません、いろんなものが
グチャグチャに置いてあって。
伊藤
わたしがスタイリングした本がある。
うれしい(笑)。
ねむ
え? どれですか?
伊藤
この、アフタヌーンティーの本です。
すっごく昔です(笑)。2006年かな。
ねむ
わざとみたい(笑)!
伊藤
ありがとうございます。
これ、結婚祝いにと思って。
キッチンクロスです。
おめでとうございます。
ねむ
わっ! ありがとうございます。うれしい!
ちょうだいします。うれしい。
しました。結婚。
伊藤
赤ちゃんスペースもあるんですね。
ここで、ママ友ができることもあるとか。

ねむ
そう、ここで偶然、仲良くなって、
次回から、一緒に予約のタイミングを合わせて、
来てくださったり。
伊藤
そうなんだ!
ねむ
きょう、ちょっとスカートがしわくちゃなんですが、
大丈夫かな。立って、写真とか撮りますか?
言わなきゃ気づかなかったかもしれないんですけど(笑)。
伊藤
大丈夫ですよ。
座って、ね。
ねむ
良かった(笑)。
じゃあ、しわくちゃのままで、いかせていただきます。
対談のお話をいただいたとき、
「なぜ?」と一瞬、思ったんです(笑)。
伊藤さんが私のことを知ってくださってるっていう
イメージがつかなかったんです。
伊藤
実は、うちの娘が大ファンで。
車の中で『あたしの最後のラブソング』をかけるので、
私も覚えちゃった。
ねむ
ほんとに私の個人の曲です。うれしい。
ありがとうございます(笑)。
それで知ってくださったんですか?
伊藤
そうそう。ねむきゅん、ねむきゅんって言ってて。
「ねむきゅんは、かわいいだけじゃない」って。
ねむ
私は伊藤さんのインスタをずっと見てて、
素敵~! てなっていたんですよ。
伊藤
ありがとうございます!
それで、結婚なさったって聞いて。
ねむ
はい。
伊藤
チームで「ちょっと待って」って。
「対談のオファーは、その前にしてる?」て(笑)。
結婚したから話が聞きたいみたいな、
ミーハーな人だと思われたら!
ねむ
ふふふ。大丈夫です。
じつは私の元々のマネージャーさんで、
若手の男の子がついてくれていたんですが、
その子のお父さんが、ほぼ日のかたなんです。
いろんなご縁があって。
それで私が引退してから、
糸井さんとBoseさんと、パルコまで歩く企画
に出させていただいて。
またぜひなにかできたらと思っていたんですが、
まさかの「下着」がテーマの対談を、
伊藤さんと! って。
伊藤
そうなんです。でも下着がテーマっていうのは、
先にあったんじゃなくって、
ただ、私がねむきゅんに会いたかったんです。
かこつけちゃったの。
ねむ
でも「下着? 全然分からん!」
みたいな感じなんですよ(笑)。
伊藤
いいんですよ。
どういう感じですか?
ねむ
もうひどいもんですよ。
伊藤
え、そう(笑)?
ねむ
はははは!
アイドル時代は、スポブラなわけですよ。
踊るので。
伊藤
そっか、けっこうダンスが激しいですよね。
ねむ
はい、けっこう激しくて、
飛んだり跳ねたりするので、
「ここのスポブラは押さえる力がいい」とか、
メンバー内で共有したりしてました。
もちろんメンバーによっては、
めっちゃかわいいのを付けてる子もいるんですけど。
私はもう「無」って感じの(笑)。
伊藤
無? ふふふ。
しかも、楽屋裏とかでは、
だれにもなにも気にせず、ですよね?
ねむ
そうです、そうです。
伊藤
でも‥‥無って?
ねむ
付けてはいるけど、
そこに感情はなにもない、みたいな。
私がちょっとガサツなんだと思います。
もちろん、見に行って、「かわいい!」とか思って、
買ったりするんですけど、
けっきょく撮影とかで、
スタイリングした服の下から、
かわいいレースが浮き出ちゃったりしたら、
着けられないんですよね。
衣裳に響かないものを探すと、
ツルンとした、なんにもないタイプばっかり。
伊藤
ベージュとか。
ねむ
だからちょっとお婆さん的なチョイスをしてしまう。
伊藤
アイドルグループの子たちのトークを
テレビかな、やっていて、
「誰それは、下着がババくさい」って。
ねむ
分かる。
伊藤
その反論としては、
「下着が浮き出たり、透けちゃったりとかするでしょう?
仕事中なのに、カワイイ下着だとか言ってるなんて
プロとして、失格よ」。
ねむ
ほんとそう! その人に1票!
縫い目がなくて、
お尻か下着か分かんないくらいの、
なめらかなやつがいいんです。
ベージュの。
伊藤
モデルさんとかもそうですもんね。
ねむ
だから、この話をいただいて、
「ええっ!」ってなったんです(笑)。
伊藤
でも、今は、スポブラは着けないでしょう?
ねむ
スポブラは卒業したんですけど、
よりどうでもよくなってしまいました。
伊藤
はははは!
ねむ
わたし、元々、運動が大嫌いだったんです。
仕事だから、動いていたんです。
伊藤
動いて、楽しい、っていう感覚じゃなく?
ねむ
そういう感覚が一切ないんですよ。
もちろん仕事でライブするときは、
すごく楽しいんです。
ファンの方もいて、そこには意味があるから。
ところが1人になったら、
動くメリットが1つもない。
体育をできるだけやらないでいた
学生時代の感覚に戻っちゃって。
伊藤
そうだったんだ! 意外。
ねむ
ダンスは好きなんですけどね。
踊る意味を考えちゃうと、
今はやらなくていいかな、ってなっちゃう。

会いたい人に会いに行く仕事。

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伊藤
やっと今のお仕事につながりましたね。
でもしばらくはお父様のリサイクルショップで
販売をしていたんですよね。
ご自分のお店として独立したのは?
山口
北欧家具の輸入を始めて
7、8年くらいした頃、独立をしました。
いまの場所からちょっと離れたところに
倉庫兼店舗を構えたんです。
それからずっと、この仕事です。
伊藤
北欧の家具を輸入するという仕事を続けた
原動力は、どこにあったんだろう。
山口
行っていると、友人や仲間ができるでしょう? 
だから、「家具の輸入の仕事を続けたい」というよりは、
「この人たちに会えなくなるのは嫌だ」と思ったんです。
それは生きていく上で大きな損失なような気がした。
だから行きつづけなきゃいけない、
そのためには、その人たちにキチッと
お金を払えるようにしておかなくちゃいけない、
そのためにはビジネスとして
キチッと回さなきゃいけないって。
そんな思いのもとに続けているんです。
伊藤
その10年っていうのは、
日本では一人だけで?
山口
はい、一人でしたけれど、
もう一人バイトさん、もしくは時々もう一人で、
合計3人みたいな感じです。
いまは、だいぶ増えましたけれど。
伊藤
家具の修理をなさいますよね。
それは独学で?
山口
独学です。
じつは、僕、めっちゃくちゃ器用なんですよ。
それに、これを売らないと明日生活できない、
って思って修理をすると、
めちゃくちゃキレイに修理できるんです。
それを積み重ねてきました。
伊藤
今も、その気持ちは続いてるんですか?
山口
そうです。
修理は自分の仕事と思って今でもやってます。
伊藤
全部バラバラにして、キレイにして、
組み立て直すんですよね、taloでは。
そこがとてもいいと思うんです。
買ってきたものをそのまま売るのではなく、
ちゃんとメンテナンスをするということが。
そして、買い付けもずっと自分で行かれていて。
山口
年間、3分の1くらいは、
フィンランドにいますよ。
伊藤
「この人たちに会いたい」って思ってる人たちと、
ずっとつながりが続いてる。
山口
そうです、そうです。
伊藤
自分のためにも買い付けをするんですか?
ご自宅用にっていう意味で。
山口
一切、やらないです。
伊藤
おっ、へえー!
山口
正確にいうと、そういう気持ちで買ったものは
一つもありません。
買ったけれど売りものにならなかった、
というものを使うことはありますけれど。
だから僕の家、ぜんぜん北欧テイストじゃないんです。
ずっと実家暮らしですし。
伊藤
そうなんだ! 先日お目にかかった建築家のかたが、
自分の家はつくることができないと
おっしゃっていたけれど、
同じような感じかもしれないですね。
でも、家具を選ぶのって、
誰のデザインで何年ごろのものであるとか、
どういう構造であるとかは学べることだと思いますが、
その向こうに「センス」がありますよね。
それはやっぱりその10年で培った?
山口
そうですね、はい。
だから、自分では使っていなくても、
お客様の相談にはきちんとのれます。
僕は自分から勉学をするっていうことが
好きじゃなくて、
本を読んだり、ノートをつけたり、
資料をめくったりが苦手です。
そのかわり、感覚的なものは
研ぎ澄ましていけば誰よりも強くなるんじゃないかと、
そこは絶対に負けないんだって思って勝負してきました。
伊藤
お客さん一人一人の買ったものとか好みを
よく覚えてるんですよね。
山口
はい、はい。
伊藤
でも不思議ですね。
いいかげんなようで、強気で。
山口
ほんとそうですね。
伊藤
最後に、今回のラインナップのお話をすこし。
私、たくさん椅子を使っているんですが、
一脚あるだけで、部屋の雰囲気が、
がらりと変わるんですよね。
それで、このコンテンツをつくりたいと思って。
山口
変わりますよね。
僕のところで買ってくださったお客様が、
こんなふうになっていますよと教えてくださるのを見ると、
「こんなふうになったんだ!」って、とても嬉しいです。
ものを選ぶってその人の好みだから、
極端にいうと、椅子の好みで
その人の好みがわかった気がするくらい。
伊藤
実家で長い間、使っていた椅子を、
太郎さんに無理を言って
張り替えてもらったことがありました。
北欧テイストの日本製の。
古びてきてしまって屋根裏にしまいっぱなし。
家族の思い出がつまったものだったから、
捨てちゃうのもなって母が持て余していたんですね。
座面と背もたれを張り替えてもらって・・・
山口
よく仕上がりましたよね、あれ。
木の部分の塗料を剥いでね。
伊藤
オイル仕上げにしてもらって。
山口
生まれ変わりますよね。
伊藤
ベースがちゃんとしたものであったら、
手入れしてけば、どんどん良くなる。
椅子が好きで椅子を買うけど、
捨てるっていうことが全然ないんです。
服はどんどん譲ったりしていくのに。
山口
椅子だけは捨てないんですね(笑)。
伊藤
そうなんですよ(笑)。
どんどん増えちゃうんだけど、
それもいいなって思います。
「椅子がひとつあるだけで」というテーマで
太郎さんに相談をして、
選んでいただいたものから、
足したり引いたりして、30脚が決まりましたが、
最初に選んだポイントはどんなことでしたか。
山口
シチュエーション的に、
どこにでも使えるような椅子を
中心にしようと思いました。
お直しをしたときに、
伊藤さんは、手の跡があるもの、
あとからペンキを塗ったようなものは
お好きじゃないとわかっていたんですが、
ヴィンテージの椅子って、
それもひとつの魅力なので、
そういうものもあえて入れています。
たとえば、あたたかい印象の
ちょっと黄みがかったピンク色って
フィンランドの人たちが好きで、
よく使っていたんですが、
購入したかたが、そんな色で塗り直していたりね。
伊藤
アノニマスデザインというか、
デザイナーが不明の、
学校で使われていたような椅子もあれば、
有名なデザイナーによる名作椅子もあって。
でも、どちらも同じようにいいですよね。
山口
はい。「有名デザイナーの作品」ということで
選ぶ椅子って、それ自体がきわだって、
部屋の雰囲気と合わないことがあるんですが、
今回、自分が選んだ椅子は、
どこに置いても使いやすいものが多いと思いますよ。
伊藤
そう思います。
キャプションを書いていて、
自分が欲しくなって困っちゃった。
太郎さん、ありがとうございました。
知らなかった太郎さんの仕事のことも、
お店の来歴もわかって、面白かったです。
山口
こんなんでコンテンツになるのかな?
ありがとうございました!
伊藤
そうだ、3つの野望! 
語学は自然と身に付いたことでしょうし、
海外にもしょっちゅう行くことができた。
外国人のガールフレンドはできたんですか?
山口
‥‥妻は日本の人です。
いろいろありましたが、
結局、それだけは、無理でした!
伊藤
そうだったの(笑)。

フィンランドデザインとの出会い。

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伊藤
輸入の仕事に夢破れかけた太郎さんが、
幼なじみのいるフィンランドに
3泊5日で遊びに行くことに。
そこで何が起きたんですか。
山口
その幼なじみは、一級建築士の免許を取ったあと、
勉強のために大学に行っていたんです。
彼はフィンランドの建築に夢中だから、
会っても建築やデザインの話しかしないんですよ。
「このゴミ箱は誰がデザインしたんだ」とか、
「このカップは、この角度が‥‥」って。
伊藤
夢中だったのね。
まさしくその現場ですもんね。
山口
そうなんですよ。
それで有名な建築を見に行こうって、
「中を見れる機会をつくったから」って
アアルト大学に連れて行かれたんですけど、
僕は全く興味がなくて。
ところが、3日間ずっと聞かされてたら、
「デザイン、カッコいいな!」みたいになって。
伊藤
3日間で(笑)。すごい。
山口
それまで自分の中には
「デザイン」っていう概念がなかったんです。
ゴミ箱ひとつにしても「誰かがデザインした」なんて
考えたこともなかった。概念がなかった。ホントに。
だからそこからして新鮮でした。
伊藤
椅子一脚を、名前のある人がデザインをしてる。
たしかに不思議なことだと思ったでしょうね。
例えばカップひとつ、
デザイナーがいるっていうことに。
山口
ビックリしました。
しかも、その幼なじみが詳しいから、
これはこうでこうなんだ、みたいなウンチクが
ちゃんとある。もうほんとうに驚いて。
伊藤
世界がぱあっと開きますよね。
良かったですね。
山口
そうなんですよ。良かったです。
で、3日目に、インテリアショップ、
ヴィンテージ屋さんに連れて行ってもらったんです。
そこで「フィンランドに来たんだから、
俺、とりあえず、家具を買って帰る」って。
伊藤
すっかりその気に!
山口
そうなんですよ。
「だって、俺、デザインの国に来てるんだもん」って。
脳内イメージは、
サングラスの似合う、デザインを知ってる男が、
家具を買いに来た、みたいな。
伊藤
(笑)
山口
で、そのとき、口座にあったお金を全部引き出して、
50万円ぐらい持っていたんです。
それで「50万円分買う。日本に配送できるか?」
って訊いたら、「できる」って言うんですよ。
「でも、輸出は難しいんだぞ、大丈夫か?」
「大丈夫だ。何度もやったことある」って。
「配送代金、いくらだ?」と訊いたら、
「3万円だ」って言うんですよ。
山のように買ったのに。
伊藤
安い! ちょっと怪しい(笑)。
山口
そうでしょう?
でもマジメそうな人間だし、
フィンランドのひとが優しいっていうのは
3日間、肌で感じていたから、
嘘をつくわけないなって。
50万円分も買ったから、サービスなのかなって思って、
任せて、帰国したんです。
伊藤
最初に買った家具は、どんなのだったんですか?
山口
エーロアルニオとか、アアルトとか、
名作と言われる家具が多かったです。
ちゃんとしたいい家具でした。
木のものも、プラスチックのものもいっぱい買いました。
ところが、日本に戻って、
2か月経っても、3か月経っても、ものが来ないんですよ。
伊藤
嫌な予感‥‥。
山口
そう。来るわけがないですよね、3万円で!
伊藤
うん‥‥。
ダマされちゃったの?
山口
まずフィンランドの幼なじみに電話したら、
行ってくれたんです。すると、
「出荷したって言ってる」。
「ああ、そうなんだ」って、
結局、半年‥‥8か月くらいかな、経っても、
ウンでもスンでもない。
これはやられたな、
「ふざけんな」ってなるじゃないですか。
若かったんで、「アジア人、舐めてんのか」って思って、
もう1回エアチケ買って、
ガラス窓を割る勢いで乗り込んだんです。
伊藤
アハハハハ。
山口
冗談ぬきですよ。ホントに許せない、
少なくとも、会って文句を言わなきゃいけない。
そしたらその店主、満面の笑みで
「よく来たな~!」って、ウェルカムで。
伊藤
いけしゃあしゃあと。
山口
いけしゃあしゃあと。
「お前、ふざけんなよ、俺の荷物、送ってないだろう」
って言おうと思ったんです。
それはちゃんと英語を調べて暗記して。
それも、近所に住むアメリカ人に、
強い口調で汚い言葉で言いたいからって、
教えてもらった強気の英語で。
ところが笑顔で「ウェルカム」。
「前の発送したの、着いたか~?」
なんて言うわけです。
「着いてねえよ!」ってなったんですけど、
ホントに悪気がない感じなんですよ。
この人、そもそも騙す気はないぞ、って。
これはもしかしたら、時間にルーズなのかな?
こういうのを理解しないと
輸入業はできないのかな? と、頭がグルグルして。
そうしたら「また買うのかい?」。
伊藤
もしや、「うん」って、言っ‥‥。
山口
言いました。
伊藤
アハハハハ。
山口
「文句を言いに来た」って
言えなくなっちゃったんですよ。
伊藤
えー。
山口
そのときは70万円くらい持っていたんです。
貯めたお金。
で、70万円分買って、帰りました。
伊藤
えっ、えっ? 届いたの?
山口
来ないんです。
待てど暮らせど。
伊藤
そ、それで‥‥。
山口
さすがに俺もバカだったと。
そんなことをやってたら、ダメだ。
疲れてしまって、もう諦めようと思いました。
「輸入業、もう諦めた」ってホントに思ったんですよ、
心の底から「サラリーマンになろう」って。
そうしたら、突然「荷物が届いてます」って
税関から電話が家にかかってきたんですよ。
「すごくたくさんあります」って。
第一弾と第二弾が一緒に来たんですね。
だから、「あいつ!」と思って。
おそらく、二度目に行ったときには、
まだ出してなくて、
また買ったからまとめて送ったんだと思います。
伊藤
ほんとうに、騙すつもりはなかったのかな?
山口
ちょっとそう思いますよね。
ところが、荷物の中に、
買った覚えがない、いろんなオマケが
入っていたんですよ。
頼んでない家具が5、6点。
けっこうな額ですよ。
それで「まあいいか」と。
それをさっそく父のリサイクルショップに並べたら、
今度は都内のインテリアショップのオーナーの人たちが
買いに来てくれました。
飛ぶように売れちゃったんです。
伊藤
すごい(拍手)。やっと、今の仕事につながりました!
そのフィンランドのショップの人とは?
山口
さっそく3回目のフィンランドです。
オーナーに「おまえ、半分騙したな! 
これからお前は俺のパートナーだからな!」つって、
結局その彼と10年間、仕事で組みました。
それでわかったのは、
そいつは、審美眼もあるし商売は正直にやってし、
人を騙そうと思ってはいないのに、
結果的には騙しちゃうことになる、
っていう、いちばんたちの悪い人だったんです。
伊藤
ああ。
山口
熱意もあるし、真剣味もあるんだけど、
結果的に平気で「金払えないんだよ~」ってなる。
たとえば、400万円のクルマがほしい。
手元には100万円しかない。
まず100万円借金して200万円になった。
さらに200万円のローンを組んで、
400万円のクルマが手に入った。
すると「お金がないから返せない」。
ひどいでしょう? 
その反面、それ以外のものを持ってる人だったんですよ、
取引の仕方とか、ものの見方とか、
センスが抜群だったのは間違いないし、
何よりもアクティブだった。
27、8で英語もろくに喋れない僕を、
結果的にデンマークに引きずってってくれて、
トップディーラーに紹介してくれて、
スウェーデンに行って、
またいちばん大きいディーラーさんに紹介してくれて。
彼のおかげですごく広がっていったんです。
この人の元にいたら、俺、強くなれるなって思って、
結局、10年仕事をしました。
最後は彼がスイスに移住することになって、
パートナーは解消することになったんですが。
そいつに学んだことが、今の仕事に
大きく影響しているのは確かです。
伊藤
すごいですね。
お母さんのひと言がきっかけで。

アメリカで挫折し、アジアで夢破れ。

未分類

伊藤
輸入の仕事がしたくって、テキサスに。
そこではどうだったんですか。
日本語のわからないイランの人のところに、
英語のわからない太郎さんが行って。
山口
それでもなんとかコミュニケーションを取って、
「こういうことがしたい」と言ったら、
イラン人も知ったかぶりしたのか、
「できる。そんなの余裕だよ」って。
いいかげん同士が重なり合って。
伊藤
アハハハハ。
山口
「空港で働いてる友人がいて、貨物やってる」
と言うので、そこに行ったんです。
そうしたら何が困ったかって、用語がわからない。
「インボイスはどこなんだ」って言われて、
インボイスの意味が分からないんです。
今は携帯で調べればいいですけど、
辞書を持っていってないですから。
伊藤
インボイスって、輸出入にあたって必要な
内容物の詳細なリストですよね。
税関への申告に使う‥‥。
そっか、そりゃ当時は知らないですよね。
山口
でも世の中どうにかなるもので、
「とりあえず日本に送ってくれ、いくらでも払う」
みたいな感じで言っていたら、
「もういい。わかった」みたいになって。
僕、その時、祖母にもらったお金と、
バイトで貯めたお金を足して、
200万円ぐらい持っていたんです。
当時の僕にはとんでもない大金です。
それで「金は払うから」って繰り返して言っていたら、
「よく分かんない日本人が面倒くせえな」みたいに、
たぶん、なったと思うんですよ。
ところが足元を見られて
輸送費が莫大にかかってしまって。
そういえばイラン人も、泊めてくれたんですが、
結局「宿泊代、10万よこせ」みたいになって、
今思えば居候の5泊で10万って高いんですけど、
やっぱり足元を見られました。
伊藤
あるでしょうね、そういうこと。
山口
それでもどうにか日本に送ることができました。
インボイス問題は、テキサスで、
日本に支社のあるオフィスが対応してくれたらしくて、
なんとかなって。
伊藤
その自転車とかは売れたんですか?
山口
結果、売れました。すぐ売れました。
伊藤
へえー! どこで売ったんですか?
山口
当時、父が美容院の経営に見切りをつけて、
リサイクル屋を始めていたんです。
持ってきた商品を売る場がないから、
そこのリサイクル屋で売らしてくれと頼み込んで。
そうしたら、すぐ売れたんですよ。
なぜかって言うと、
それこそ『ポパイ』があったから、
紙媒体でのアメリカ情報は溢れていた時代で、
でも、神奈川のこのあたりは想像以上に田舎で、
アメリカから持って来たものを扱うショップは
すごく少なかったなかに、
自転車なんか、最新のものを持ってきたから。
伊藤
でも、値付けが高くなっちゃったでしょう?
ショップで正規購入したものに、
輸送費や渡航費、税金や諸経費、
それに太郎さんの利益を足したら‥‥。
山口
それがですね、ほぼ原価で売っちゃったんです。
ちょっとはのせましたよ、
1万円で買ったら、1万2000円ぐらいで。
でも完全に赤字ですよね。
伊藤
だから売れた、ということでも
ないような気がしますけれど‥‥。
山口
運も良かったんです。
何が起こってたかっていうと、
都内のインテリアショップのオーナーさんたちの間で、
「神奈川の近郊のリサイクルショップには、
昭和初期のレトロなものがまだ残ってるぞ」
と、探しにきていたんですよ。
伊藤
へえ!
山口
そういう人たちが来て、買っていってくれました。
おしゃれで、地元とは全然雰囲気の違う大人だった
という覚えがあります。
伊藤
なるほど。
いいお客様がいて、売れたことは売れたけれど、赤字。
そして「輸入業はたいへん」ってこともわかったと。
それで、次にどこへ行ったんですか?
山口
輸入の仕組みが分かって、
持論としてそのときに思ったのが、
輸入業を成功させるには
物流をおさえなきゃいけないんだってことでした。
じゃあ物流を構築しようという目標をもって、
アジア各国に雑貨を買いに行きました。
とにかく輸入がしたかったので、
ものはなんでもよくて。
伊藤
なかなか、家具に行きつかない!
山口
そうなんですよ(笑)。
伊藤
早く、早く(笑)!
でもどうしてアジアだったの?
山口
アメリカは肌感覚として
勝っていくには難しいって分かったし、
そりゃできればヨーロッパが
カッコいいとは思っていましたけれど、
アジアだったら勝てるんじゃないかと思って。
伊藤
「勝てる」って。もう。
確かに、その頃は、渋谷や原宿界隈で
中国やベトナムの雑貨が輸入されはじめて、
ちょっとした流行になっていましたよね。
山口
そうです、そうです。
それに影響されて、アジアがベースだったら
勝てるだろうって思って、
ベトナムや香港、深圳に行くんですけど、
時代はすでにアジア各国に中国の資本が入っていて、
輸入業者の規模も大きくなっていたんです。
ベトナム人の知りあいが
「洋服の安い工場がある」というので行ってみたら、
「さて、あなたはいくら投資できるんですか?」
みたいな世界でした。
話の桁が違うんですよ。
で、各所まわって、結局思ったのが、
「アジアでも勝てない」と。
伊藤
勝ちたいのね。すごいねえ。
山口
「儲けなきゃいけない!」って。
伊藤
うん、商売を始めるなら当然ですよね。
山口
そうやってるうちに2年経ち、3年経ち。
伊藤
北欧に早くつきたい(笑)!
山口
ですよね。
僕、結構しつこいタイプなので、
アメリカのあと、十何か国に行ってるんですよ。
だんだん「チャレンジしてる自分が大好き」
みたいな感じになってくんですけど、
伊藤
若ーい!
山口
でも、負け続けているうちに、
失望しかなくなってくるんです。
それで27歳くらいの時、
「もう俺は勝てない」って思って、
ショボンとしてたときに、たまたま母親が、
「幼なじみの○○くんが、フィンランドにいるよ」って。
伊藤
フィンランド!
山口
幼なじみだったのが、
大人になったら神奈川と埼玉に別れて、
10年ぐらい会ってなかったんですけど、
建築の勉強にフィンランドに行ってる、って。
「いつでも来いって言ってるよ」って。
伊藤
ショボンとしてるときにそれを聞いたのね。
山口
そう。フィンランドっていう国が
どこにあるかも知らなかったけれど、
行こう! と思って。
伊藤
資金は? さすがにおばあちゃんは‥‥。
山口
じつは結構一所懸命働くタイプなんですよ。
だから、とにかく働いてお金を貯めていました。
貯まったら外国へ行き、
それを繰り返していたんです。
とはいえ、いま振り返れば、
寛容な家族の存在は大きかったです。
「まあ好きなことやんなさい」って。
伊藤
それでフィンランドに。
何も知らずに。
山口
ヨーロッパのガイドブックにも、
フィンランドのページはほんの少し、
という時代でしたから、
情報がなにもないに等しくて、
とりあえず行ったんです。
27歳で、ことごとく失敗をして、
周りはキチッと働いているのに、
自分だけぷらぷらしていて、
なんの目処も立ってない残念な人間だけど、
幼なじみに会って気分転換しようかなって。
「輸入」のことをあまり考えないようにして、
3泊5日で遊びに行きました。

3つの野望で輸入業を志す。

未分類

伊藤
太郎さんは、なぜ北欧の家具屋さんに
なろうと思ったんですか。
長いおつきあいなのに、
いちども聞いたことがありませんでした。
山口
最初は、家具とはまったく関係のない
仕事をしていたんです。
家が美容院の経営をしていたので、
学生時代は、漠然と、
自分は美容師になるものだと思っていました。
僕、昭和48年生まれなんですけど、
学生時代はバブルのちょっとあと、
世の中がグチャグチャな時代で、
自分の中で思っていたのは、
サラリーマンができない人は
自分でなにか立ち上げるしかない、って(笑)。
伊藤
うん。
山口
今は優秀な人が経営者になる時代だけれど、
僕の育ったところは、
神奈川県といっても都会ではなかったので、
お店を始めたりする人が多かったんですよ。
朝もちゃんと起きられないし、
上司の言うことも聞けないだろうから、
最初から独立して仕事をしたほうがいいや、
みたいな発想の人がいっぱいいて、
僕もその中の一人でした。
それで25歳のときに
「輸入業でもやりたいな」って。
伊藤
「でも」って!
「こういうことが好きだな」って思っていないと、
ふつう、こういうふうにはならないでしょう?
山口
そうなんですよ。
僕、そのストーリーが成り立たないから、
こうして取材の機会をいただいても、
いつも「残念ですね」って言われるんです。
好きで好きで始めました、
っていうストーリーがいいですよね。
伊藤
アハハハハ!
山口
全くデザインの勉強もしてないですし、
家具の勉強もしてないですし、
物販の勉強もしてないです。
伊藤
なぜ「輸入」っていうキーワードが
出てきたんですか?
山口
一石三鳥だなぁって思って。
伊藤
ん? んんん???
山口
輸入の仕事で語学が達者になりそうだし、
旅行気分で海外に行くこともできるし、
きっと外国人のガールフレンドができるし、って。
伊藤
えっ、なんですか、それ~(笑)!
軽薄! 若さゆえの軽薄! もう!
山口
そうなんですよ。
そう言うとすごい軽い感じですよね。
でも自分としてはホントに夢をもって、
希望を抱いての「輸入業でも」だったんです。
伊藤
買い付けって実際は
すごく大変な仕事ですよね。
山口
そうです、そうです。
現実はそんなに甘くなかったです。
輸入をやれば、
全体的に自分の人生が楽しくなるはずだ、
っていう思い込みで始めちゃったんです。
伊藤
英語は‥‥。
山口
全く話せなかったです。
それまで、勉学をしてませんでしたから。
でも、親類で骨董屋さんをやってる人がいたり、
伯父が書画の先生だったり、
古いものに触れる機会は子どもの頃からあって。
伊藤
あら、ホラ、やっぱりあるじゃないですか!
山口
そう言われたらそうですね。
伊藤
そうですよ。じゃなきゃ、うん。
小っちゃい頃とかは
分からなかったかもしれないけれど、
いま思うと「あのときのあれ」みたいなことって、
影響するものですよ。
でもいっぽうで、そういう闇雲さというか、
若さゆえに突っ走っちゃった感じというのは、
いま、なにかしたいなって
モヤモヤしている若い人にしてみたら、
勇気の出る話だろうなって思います。
山口
そうだといいですけど。
伊藤
それで、語学と旅行とガールフレンドに向かって、
最初に何をしたんですか?
山口
25歳のとき、とりあえず海外に行こうと。
当時は海外といえばアメリカで、
情報がとにかくアメリカしかなかったんです。
ウェブもない時代で、紙媒体しかなくって、
『ポパイ』を読めば「アメリカ最高」って書いてある。
NIGOが行ってるなら俺も行く! 
って、アメリカに行ったんです。
そして1週間ぐらいで分かったのが、
ここで成功するのはハードルが高すぎるってことでした。
いきなり挫折です。
伊藤
相手が大きすぎたってこと?
山口
何ひとつ、とっかかりがないんです。
頼れる人がいるわけでもない、
語学ができるわけでもない、
学校に入るわけでもない、
バイトするわけでもないっていう状態で
一人でポンとアメリカに行っても、
そりゃ、何をしていいか分からないですよね。
しかも、なぜかテキサスに行っちゃって。
伊藤
西海岸とかじゃなく?
山口
なくて。
生粋のアメリカ人が少なくて、
アジア人がいっぱいいて、
彼らのエネルギーがもう半端なさすぎて。
日本に生きてたときには感じなかった、
サバイバル感みたいなものが、
露店のおじさんからですら、出ていて。
「この人たちに勝てる気がしないな」っていうのことを、
すごく思いました。
伊藤
「ここでやっていくんだ」という
強い気持ちがあるんでしょうね。
山口
そんな中に、語学もできないのに入っていって、
「成功するまでの道のり、気が遠くなるな」
って感じました。
伊藤
「何を輸入しよう」は決めてなかった?
山口
ああ、もう、全然考えてないです。
でも、とりあえず行ったんで、
何か輸入しておかないと、
親の手前もありますし。
伊藤
お金を出してくれたんですか?
山口
祖母でしたね。「これ使いなさい」って。
それと自分で1年間働いて貯めたお金を握りしめて、
全部使ってこようって思って行ったんです。
でも何を買えばいいか分からない。
でも何か持って帰らないと格好がつかない。
そもそもやり方も知らないから、
何か輸入することで、
やり方ぐらい覚えて帰ろうと思いました。
伊藤
何を持ってきたんですか?
山口
オールドノリタケとか、ガラス系です。
あとはスーパーで売ってる、普通の自転車。
今でいうBMXですね。
まだ日本にあまり入っていなかったから、
それを買って。
伊藤
どうやって持ち帰ったんですか。
山口
ですよね。何も前調べをしていかなかったので、
輸入が難しいなんて想像もしていなかったんですよ。
宅配便の会社に頼めば、
きっとモノが日本に着くんだろうな、って。
税金を払ってとか、
書類で細かいことを書かなきゃいけない、
みたいな発想はそもそもなかったんです。
伊藤
じゃ、その場凌ぎで?
どこに持っていったの?
山口
そもそもなぜテキサスだったかっていうと、
地元にイラン人の友人がいたんですよ。
このへん、イラン人が当時多かったので。
そしたら、「俺の友だちがテキサスにいる」って言うから、
「じゃ、テキサスにしよう」って、
テキサスに行くんですけど、
「ちょっと日本にいたので日本語ができる」って
言われていたその人は、
日本語はぜんぜんわからない人だったんです。
伊藤
!! 今の「talo」の成功があるから冷静に聞けるけど、
その当時の太郎さんに会ったら、
「何言ってんの」って言っちゃいそう(笑)。
「もう、この子は」みたいな。
山口
そうですよね。

椅子を買いに。

未分類

「今日は椅子を買いに行こう」
小学校に上がったばかりのある日、
父がこんなことを言いました。

それまで座っていた子どもの椅子は、
もう卒業と思ったのでしょうか、
私専用の椅子を買ってもらった時は、
少しだけ大人の仲間入りをしたようで、
それはそれはうれしかった。

家族5人おそろいのその椅子は、
何年も経ってほとんど使わなくなってしまいましたが、
捨てるにはしのびないと思った母が、
屋根裏に移動させておいてくれたおかげで、
今では我が家に仲間入り。

木の部分はやすりをかけ、
オイルをしみこませ、
背もたれと座面は革からグレーのソファ地へと張替え。
姿は少し変わったものの、
愛着は当時のまま。
思えばこれが私の「はじめての椅子」なのでした。

ダイニング、台所の傍、リビング、
玄関、廊下のすみっこ‥‥。
今ではいったい何脚の椅子があるんだろう? 
と思うくらいたくさんなのですが、
そのひとつひとつに思い出があり、
ひとつひとつに役割がある。

椅子がある分、
風景がある。
好きな椅子とつき合ううちに、
そんなことを思うようになりました。

今週のweeksdaysは、
とっておきの椅子を紹介します。
ひとつだけしかない、
あなただけの椅子に出会えますように。

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
2月13日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

シルクモダールパンツ(ブラック)

▶商品詳細ページへ

DRESS HERSELFの
シルクモダールパンツ(ブラック)が再入荷します。
ネイビー&ブラックコーディネートセット
同じタイミングで入荷します。

とても肌触りが良く着やすいアイテムです。
この機会にぜひおためしくださいね。

「ウエストに寄ったギャザーが、
お腹まわりを快適に、
かつすっきり見せてくれます。
着て歩くとわかるのですが、
とにかく着心地がいい。
飛行機や列車で長時間移動、
なんていう時に手放せなくなりそうです。」
(伊藤まさこさん)

たとえばこんなコーディネート。[2] リネンのオールインワン編

未分類

オールインワンは、
さらりと着るのが好きです。
そしてスニーカーより、
ヒールのある少し女らしい足元にすると
大人っぽい着こなしになります。

このオールインワンを着るときに、
よく合わせるのが赤いスウェードの靴。
身長がヒールの分、
高くなってバランスがよくなるし、
デニムとの相性もよし。

首元にはヒールの赤と
デニムのネイビーに合わせた色合いのスカーフをくるりと巻きました。
これにクラッチバッグを持つのが今の気分。

中に白いレースのブラウスを合わせました。
首元に別の素材を持ってくると、
ニュアンスが加わって、
すっきり一枚で着るのとはまた違う雰囲気に。

足元はこれまたヒールつきのブーティを。
もう少しあたたかくなったら、
華奢なサンダルとか合わせてみたいなぁ。

(伊藤まさこ)

たとえばこんなコーディネート。[1] ウールリネンのコート編

未分類

カシミヤのタートルにストール、
ファーのブーツ、手袋。
今の季節におすすめしたいのが、
全身白のコーディネートです。
とかく暗くなりがちな冬に
はっと目を引くことまちがいなし。
ウエストはきゅっとしぼって、
重ね着をしつつも、
あまりもこもこになりすぎないように。

白いバッグも合いそうだなぁ‥‥、
と「冬の白」の妄想は広がります。

春が近づいてきたら、
白とネイビーのさわやかなコーディネートもおすすめです。
ウエストのリボンはうしろで結んだり、
自然に横におろしたり。
ラフにするとコートの着こなしが
こなれて見えます。

身長155センチと小柄な私は、
バランスを考えて、
くるぶしを見せるよう、
デニムをロールアップしました。
生地をたっぷり使ったコート。
重量感に自分が負けぬよう、
どこかを軽くして
(ロールアップや髪型をまとめるなど)
全体のバランスを考えて。

(伊藤まさこ)

fog linen work 関根由美子さんにきく 春の麻、秋冬の麻。

未分類

サラッとした平織りの麻のものは夏もの、
そんなふうにみなさんお考えだと思うんですけれど、
いまは、そんなことはないんですよ。
昔より生地の織り方が進化しましたし、
麻100だけじゃなくてウールを混ぜたり、
起毛させるっていう技術がうまれ、
麻素材の服はオールシーズン着られる、という印象が、
出てきたように思います。
fog linen workでも、一年を通じて
麻の服を提案しています。

麻のデニムをつくって、
オールインワンに。

まず、このオールインワンの素材は、
麻100ですけれど、織り方でいえば、デニムなんです。
デニムって、ほんとうはコットンの綾織り。
それを麻でできないかなと作ってみました。
製造を依頼しているリトアニアの工場も、
麻でデニムを織ったことはなく、
5、6年かかって、完成したんです。
試し織りといっても、
毎回ちゃんと糸を織り機にセットするわけで、
まず、そこが大仕事。
そして織り始めると、セットした糸のぶんは織りますから、
試作品が何百メートルもできる。
そんなことを繰り返して、やっと完成しました。
試作品は、厚さが違うとか、ちょっと密度が違うため、
デニムとは言えないけれど、
綾織りの麻としていい生地でしたから、
それぞれ別のアイテムになっていきました。

やっとできた! と思えたこのデニムは、
ネップの出方もいいし、
裏地に、いかにもデニムらしさがあります。
そこそこ厚みがあり、麻ゆえのハリ感もあって、
洗っていくうちにちょっとクタッとした感じも出ます。

オールインワンは、私も最近よく着ていて、
「weeksdays」でも、
すごく推しているアイテムですよね。
着ていてとても楽だなって感じています。
いっぽうで、お客様と話していると、
オールインワンは着脱が心配だとおっしゃるかたが多い。
これ、実際は着脱が楽ですよね。
臆せず着ていただきたいな、と感じています。

平面の布を2枚、丈も袖もちょっと短めに、
前後ろで縫い合わせているという
とてもシンプルなつくりです。
体に沿うというよりも、
いかようにも着られる服ですね。
オールシーズン着れる素材ですし、
小物の組み合わせで印象が変わりますから。
旅行に行くときもすごく便利でした。
靴は、サンダルでもヒールでも、
ブーツでもスニーカーでも、合わせやすい。
もともとそんなに長めではないけれど、
さらにロールアップしてもいいですよ。
中がわりとゆったりしてるので、
中にカットソーを着たり、できますし、
上からカーディガンを羽織ってもかわいい。
そんなふうに重ね着をするのもおすすめです。

オールインワンを去年1年わりと着て感じたのは、
ひとつだけ問題があるということ。
それは、ウエストがないので、
いくらでも食べられちゃう(笑)!

色は、2つ。
デニムブルーと、ネイビーです。
この2色は海外にも卸しているんですが、
薄いブルーは肌がピンク系で、
髪の色が明るい印象の方に、
濃いブルーは髪の色が濃くて、
肌が濃い色の人に受け入れられている、
という実感があります。

ウールリネンでコートをつくりました。

ウールを麻と混紡にすることで、
保温性が高くて着やすいので、
fog linen workでは秋冬の素材として考えていたんです。
けれどもあるアパレルの方が、
この素材は春先にぜひ、とおっしゃられて。
サマーウールのように、
ちょっとウールが入ったもので、
麻が混ざっていると、
オシャレな感じになるだけじゃなく、
春先にとても気持ちがいいはず、って。
伊藤さんも同じ考えで、
「ぜひ春の服として」と提案をいただきました。

サイズ感はわりとゆったりですが、
肩がそんなに大きくなく、
フワッとしたAラインなので、
着るとコンパクトな感じに見えつつ、
裾が広がってドレープがうまれ、
エレガントな印象になるんです。

外着として使えるよう、麻100の裏地をつけて
つくっているんですが、
このやわらかさは、
家でローブとして使うのにもいいと思います。
ちょっとぜいたくですけれど。

共布のベルトは、結んでも外してもいいですし、
つけたまま垂らすと、
ドレープ感と混じって、いい感じなんです。
後ろで結ぶとちょっとアクセントにもなりますね。

このウールリネン、生なりにみえますが、
それぞれ、染めています。
生なりだと、日焼けして、色むらが出るので。
でも裏地として使っている麻の布は、
原糸の色そのままなんですよ。

fog linen workのコートとオールインワン

未分類

春が来た。

未分類

球根から育てているヒヤシンスが、
ある日をさかいに、
急に成長が早くなる。
毎年、その様子を見ているけれど、
その「急」な変化がいつかは分かりませんでした。

でもね、
今年気づいたんです。
その変わり目はどうやら大寒にあるみたい。
だってその日を過ぎたあたりから、
ヒヤシンスの姿全体が、
ふっくらやさしげになっていくように感じるから。

日に日に成長するその鉢の様子を見ていると、
ああ春がやってくるんだなぁ、
そう思う。

変化はヒヤシンスだけではありません。
大寒を過ぎた頃、
とつぜんやってくるのが、
「冬の服にあきちゃった」っていう気持ち。
寒いのはわかっているけれど、
気持ちが春に向いているものだから、
ファッションも少しだけ
春仕様に変えたくなってくるのでした。

今週のweeksdaysは、
ウールとリネンの混紡の生地で作ったコートを
ご紹介します。
リネンもウールも、ともに慣れ親しんだ素材なのに、
合わさるととても新鮮。
春に向かう気持ちを盛り上げてくれる、
今の季節にぴったりな服。
コートとの相性抜群の
デニムのオールインワンとともにどうぞ。

アミアカルヴァ、 わたしの持ち方。 伊藤まさこ

未分類

黒のタートル、黒のパンツ
黒のスニーカー。
全身黒でまとめましたが、
バッグの素材感が重さを感じさせない。
ジムに行く時のみならず、
撮影で必要なものを借りに行ったり、
探しものをしたりする時に、とても重宝しています。

ふだん、どうしても黒っぽくなりがちなのですが、
そんな時は靴下に
ポイントのカラーを持ってくるようにしています。
今日はまっ赤!

キャンバス地には、
デニムやボーダーのTシャツがよく似合う。
このバッグ、持ち手が長いので、
厚手のコートを着ても、
きちんと肩にかかるところがすごくいい。
両手が空くのって開放感につながりますから。

ざくざくなんでも入れちゃう。
今日は本、着替え、ストール、
見えないけど水筒も。
表のポケットには電話と眼鏡を。

(伊藤まさこ)

MOJITOの山下さんにきく。 僕がアミアカルヴァの キャンバストートを好きな理由。

未分類

山下裕文さんのプロフィール



やました・ひろふみ 

1968年熊本生まれ。服飾専門学校を卒業後、
スタイリストのアシスタントを経て
原宿「PROPELLER」でバイヤー、プレスなどを担当。
米国ブランドの日本初上陸のさい、
ショップのジェネラルマネジャーに。
独立してからは、英国系ブランドやアウトドアメーカーまで
さまざまなアパレルブランドの
コンサルティングを担当したのち、
2010年に、作家・ヘミングウェイの世界観を
ひとつの哲学としてデザインにおとしこんだ
メンズウェアブランド「MOJITO」を立ち上げる。


僕がいつもMOJITOの新作を発表する展示会場で、
一緒になったのが、アミアカルヴァとの出会いです。
見たときに「いいなあ」と直感的に思いました。

とにかくシンプルで大きいカバンっていうのが欲しかった。
僕はふだん仕事で荷物を運ぶことが多いのと、
基本的にトートバッグが昔から大好きだったので、
たとえばL.L.Beanなど、
これまでもいろいろなトートバッグを使ってきましたが、
こういうキャンバスで大きくて、
自分にちょうどいいものって、なかったんです。

アミアカルヴァのこのトートは、
アメリカ軍のパイロットがヘルメットを入れるときの
ヘルメットバッグが、おそらく、
モチーフになってると思うんですが、
その「ざっくり入れる」感じがいいんですよ。
僕は仕事柄もあって、
中にオーガナイザーがたくさん付いてるもの、
小分けにできるポケットがあるような、
そういうバッグって、あまり使い勝手がよくないんですね。
その機能を使い切れない。
仕事柄っていうか、
基本的に性格がちょっと大ざっぱなんで、
どこに何を入れたかっていうのが
分からなくなっちゃうから(笑)、
何通りも使い方があるものを、
自然と使わなくなっているんです。
家電でも、ラジオにもなって充電もできて
テレビも観れて、というのは僕には使えないし、
十徳ナイフも1機能しか使わなくなっちゃうんです。

その流れで、このバッグの好きな部分をお伝えすると、
たくさん物を入れられて、パッと持てて、自立すること。
パッと持てるというのは、アミアカルヴァのトートは
ハンドルの立ち上がりが短いので、
そこを持つしかないんです。そこがいい。
肩にかけたり斜め掛けしたり背負ったりはできない、
1機能1アイテム、
それがアミアカルヴァのよさですね。
むかしは3ウェイ、4ウェイのバッグも
たくさん使ったんですけど、だんだん歳をとったのかな、
「これには、これ」という潔さが、
僕がこのバッグの好きなところですね。
どれだけ作り込んだいい素材を使っているかとか、
シャトル織機でゆっくり編んだとか、
そういう「いいところ」はいっぱいあって、
もちろん僕はそういうのっていいなと思うけれど、
もっと単純に道具として、「仕事には、これ」。
使い勝手が1ウェイしかないっていうのが
いちばんの魅力です。

だから今、僕の使っているバッグはこれだけです。
汚れたら、すぐ洗って乾かして、
ほとんど毎日、使ってます。

「抜け感」のあるバッグづくり。 アミアカルヴァ 加藤一寛さんインタビュー

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加藤一寛さんのプロフィール

かとう・かずのり 

バッグデザイナー。1977年大阪生まれ。
バッグメーカーの企画、営業を経て2007年、独立。
同年「tocantins」(トカンチス)を設立。
2008年、AMIACALVA(アミアカルヴァ)をスタート。
AMIACALVAのブランド名の由来は
古代魚「AMIACALVA」から。
■アミアカルヴァのウェブサイト
https://www.amiacalva.com/

このブランドは、2008年に作りました。
拠点は大阪です。
それまでは、バッグのメーカーで、
いちサラリーマンとして、
営業と、企画の仕事をしていたんです。
自分が企画したものを、
アパレルブランドやセレクトショップに
営業をする、そんな仕事です。

独立をしたのは、
かっこよく言ってしまえば
「こういうバッグがつくりたい」という気持ちが、
会社の枠をはみだしちゃった、ということかもしれません。

従来のバッグメーカーは、
モノをイメージして、図面上でデザインして、
それをサンプル師さんに作ってもらう、
ほとんどがそんなスタイルで作られています。
上がってきたものを自分で確認して、
イメージどおりかどうかっていうのを見て、
これで行くぞ、と決めたら、展示会に出し、
受注を受けて、実際に作っていくわけです。

そんななかで、僕は、
もう少し踏み入ったところで
モノづくりをしたいなと思いました。
絵で描くサンプルに、限界を感じていたんですね。
もちろん、そういうスタイルの仕事の仕方は、
洋服もそうだと思うんですけども、分業化が進んでいて、
それぞれのスペシャリストがおられるので、
効率的ですし、アイテム数を増やすには
とてもいいやりかただと思うんです。
でも、ちょっとだけ、
自分のやりたいこととは、ずれてきてしまった。

自分の好きなバッグは、
海外のものが多かったんですが、
どうしても、何が違うのかがわからない。
だから、できない。
はっきり言えたのは、
図面からでは作れないということでした。
きっと、表面の見た目だけが違うだけじゃなく、
作り方が違うんだろうと思うんですね。
だから結果的にデザインが違ってくる。

そのことがわかるまでには、
ちょっと時間がかかりましたね。
好きなバッグをバラして研究をして、
わかったことをいかして自分で作って。
そんなことを、会社を辞める1年前ぐらいから、
ミシンを購入して、はじめたんです。

それまで触ったこともなかったミシンですから、
まっすぐ縫うことさえできないところからの
スタートでした。
工業用の、レザーや分厚い帆布を縫うためのミシンです。
新しいものは結構いいお値段がするので、
中古で探したんですけれど、
当然説明書などはなくって。
先生もいないし、そこがたいへんでしたね。

でも、かえってよかったな、と思うのは、
わからないことが出てきたとき、
じぶんでなんとか調べるくせがつく。
例えば針が折れてしまうと針を買いに行く。
そしたら、針の種類がいかにたくさんあるかを知る。
針が違うだけで、できあがるものは
まったく変化してしまうんですよ。
だから、すごく勉強になりました。
その1年は、とても重要でした。

研究は、面白かったですよ。
例えばアメリカ製のバッグで、
解体したみたら、完全に一筆書きみたいな
縫製の仕方をしているバッグもありました。
それって生地の裁断からそうしないといけないわけで、
ちょっと無駄が出るはずなんです。
なんでそんなふうになってるかっていうと、
材料を無駄にしないとか、
材料コストを抑えることじゃなくて、
ロスが出ても生産効率を上げることだけを考えた、
アメリカ人らしい、
超大量生産のためのプロダクトだったんですよね。
いまはもう変わったはずですが、
昔はひどかったんですよ。でも、モノはいい。
そういうのを見てると、たぶん教科書って、
ありそうでないんだろうなと思ったんです。
なので、壊れなければ大丈夫なのかなって(笑)。
いまも、モノづくりをしながらも、
ずっと何かを学びながら作り続けてるような
イメージなんですよ。
全部を網羅するのは、たぶん無理だと思いますので。

そうしているうちに、
どうして外国のバッグに魅かれていたのかが
わかるようになってきました。
日本のバッグって、
機能から逆算したモノづくりが多いんです。
例えば内ポケットがあって、ファスナーがあって、
だから裏地が必要になる。
裏地があると表地はこういう構造になる。
逆算すると決まってしまうんですね。

でも僕は“抜けたもの”が好きだった。
足りないな、っていうぐらいのものですね。
自分でバッグをつくると、生地をカットするにあたって、
「ここって別に縫わなくてもいいんじゃない?」
って思いつくんです。
そして実際それで作ってみると、
べつに、壊れることもない。
じゃあ、これでいいじゃないか。
それがアミアカルヴァのトートバッグの原点です。
いまアミアカルヴァのキャンバスって、
ほとんどトップの部分がカットオフで、
縫っていないんですよ。
日本の古い帆布っていうのは、
シャトル織機といって、
どうしても「耳」ができるんです、上と下に。
通常だと、生地がもったいないので、
折り返して縫っちゃうんですよね。
でも、切って作れば、自分のイメージどおりの、
抜けた感じにできた。
そうやって、デザインが決まっていきました。

帆布に魅かれて。

いちばん最初は、レザーのバッグばっかり、
自分でつくって、量産をしていたんです。
で、やっぱりすごくたいへんなことになってしまって、
身体を壊してしまった。
ひとりでやっていたので、
「金曜日までに商品を送らないと、
土曜日に店頭に間に合わない!」
なんて、週の後半は徹夜、みたいな
無理を続けていたんですね。
でもそういう作り方はダメですよね。
僕よりも作るのに長けた職人さんがおられるのに、
僕が量産する意味もないわけです。
そこはプロフェッショナルに作ってもらおう、
僕はデザインに集中した方がいいんだろうな、と、
そこで仕事を分けました。

特に帆布が好きだとか、ナイロンが好きだとか、
レザーが好きだとかっていうわけではなく、
全部好きなんです。
なぜ帆布が多くなったのかというと、
岡山に、いい機屋さんがあって、
きれいな帆布をつくるにはどうしたらいいだろう、
というような相談をしていたんですね。
資材用の帆布は、生成りで、
カスっていうカスが残るんです。
でも、生成りの色味をいかして、
きれいなものってできないのかな、って。
じゃあ洋服で使うようなコーマ糸っていう
上級糸を使ってみたらどうだろう? と、
そんな相談をしていくうちに、
どんどん帆布が面白くなっていったんです。

そして自分で量産をすることを辞めたら、
サンプルを作る時間を多く持てるようになりました。
なので、より、サンプルの段階での
モノづくりの掘り下げっていうのが、
できるようになったと思います。
図面は引きません。
いきなり生地を切ってつくったり。
そういうのに限って結構評判が良かったりするんで、
それをあとから量産するために、図面に落とし込む、
生産の指示書に落とし込むのがたいへんで、
スタッフに、すごく嫌がられてます(笑)。

いまは、新作をフィレンツェのピッティウォモ
(メンズファッションの大規模な展示会)に
1月と6月に出し、そのあとパリで小規模な展示会をし、
日本に帰ってきて、東京と大阪で展示をする、
そんなリズムでつくっています。
海外半分、日本半分ぐらいな感じです。
海外も、たとえばニューヨークの
セレクトショップに置いていただいたり。

バイヤーさんや使い手の意見を聞きますか、
って聞かれるんですが、
僕、全く聞かないんです。
というのは、基本的に、驚かせたいんです。
驚いて、感動しないと、
モノって必要なくなってくると思うんですね。
だって、世の中、いいものって
いっぱいあるじゃないですか。
僕じゃなくても、たくさん。
だから僕はちょっとヘンテコでも、
「えっ?」ってなるものを作った方がいいし、
そんなことを喜んでくださる人たちに向けて
発信していきたいなって思っています。

AMIACALVAの大きいバッグ

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向田さんだったら。

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「ハンカチ持たずちり紙持たず、せいぜい口紅一本と小銭くらいで、イザとなったら誰かに借りるわ、という超小型バッグのひとは末っ子タイプ」
と言ったのは向田邦子さん。
「ハンドバッグ」『女の人差し指』<文藝春秋>より)

かくいう私も、
小さなお財布に電話、ハンカチしか持たず、
「イザ」という時は、
誰かに借りちゃう末っ子タイプ。
バッグは小さめのものが好きです。

‥‥とはいっても、
仕事をする身なので、
そんなことばかりは言ってはいられません。

ノートにペン、
読みかけの本、
仕事の資料、
時にはパソコン。
仕事机の上をまるごと
持ち歩かねばならないこともしょっちゅうあって、
そんな時に活躍するのが、
AMIACALVAのトートバッグです。

大きいからなんでも入る。
なんでも入れちゃう。
それでも中が散らからないのは、
いくつもあるポケットのおかげ。
電話はここ、
眼鏡はここね、と決めておけば、
すぐに取り出せる。
便利なこと、この上なしなのです。

「大きなバッグを持って、一切合財抱えて歩く人は長女が多い」
「ハンドバッグ」『女の人差し指』<文藝春秋>より)
という言葉通り、
長女の向田さんは、
バッグにたくさん物を入れて持ち歩くタイプだったそう。

もしも向田さんが生きてらして、
このバッグを見たらなんていうのかな?
「あら、便利そうね」なんて言って、
ヒョイっと肩にかけた姿は
さぞかしかっこいいんだろうなぁ、なんて
つい妄想を膨らましてしまうのです。

スポーツカジュアル、 たとえばこんな コーディネート。[2]

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Tシャツとスウェットのパンツをベースに、
サテンのシャツとピンクのブーツで、
ちょっと洒落たかんじにしてみました。
これなら取り入れやすいのではないかなぁと思います。
このコーディネート、
私の中ではロングの白髪の女性が着ているイメージ。
大人の女の人が、こんな姿で歩いていたら
きっと目を引くだろうなぁ‥‥

SHORT SLV T(ホワイト)/ALWEL
LOUNGE PANTS(ブラック)/ALWEL
SWIFT-ORIGINAL(ROSA)/trippen

Tシャツはやっぱりデニムとの相性抜群。
スニーカーと合わせて
定番のコーディネートにしてみました。
それでも「ふつう」にならないのが、
ALWELのTシャツのすごいところ。
黒Tとブラックデニム、
白Tとホワイトデニムなんて
同系色で全身揃えてもかっこよさそうです。

3/4 SLV HIGH NECK T(レッド)/ALWEL

スポーツカジュアル、 たとえばこんな コーディネート。[1]

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ふだんはニットを合わせるところに、
ハイネックのTシャツを。
薄手で軽やかな素材なので、今回裾はインにしましたが、
出してくしゅっとさせてもかわいい。
ジャケットは羽織ったり、肩にかけたり、手に持ったり。
小さくなるので、
バッグに入れておけば温度差もこわくない。
旅にも重宝しそうな一枚です。

3/4 SLV HIGH NECK T(ネイビー)/ALWEL
TRACK JACKET(ベージュ)/ALWEL

手持ちのアイテムとの相性のよい
ALWELですが、やっぱり全身揃えると
ばっちり、かっこいい。
(部活の練習中、みたいにならないところは本当に
すごいと思っています)
足元はスニーカーではなく、
ファーのブーツ、それも思い切った色合わせで。
メイクもヘアスタイルもきちんとして、
背筋伸ばしてさっそうと歩きたい。

SHORT SLV T(ホワイト)/ALWEL
TRACK JACKET(ベージュ)/ALWEL
LOUNGE PANTS(カーキ)/ALWEL
SWIFT-ORIGINAL(ORANGE)/trippen

上質な素材で、 着心地よく、 スポーティに。 ALWEL 内田起久世さん&國安佳子さんインタビュー

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「ALWELのスタートは2016年。
ほんとうにミニコレクションから始めました。
今までない新しいタッチを追求した
ラグジュアリーなカットソーです。
その素材を手にしたとき、
これはほんとうに着たいと感じたんです。

スポーティ、という軸は自然に出てきました。
自分たちがふだん何を履くかって言ったら、
足元はスニーカー。
それに合わせて、アクティブに外出をしたいんです。
でもカジュアルすぎる素材のもの、
たとえばスウェットの上下でお外に、というのは、
若い頃ならばへいきでも、40代以降、つらくなる。
でもカッコいいスウェットだったら着たいんです。
デイリーに。
じゃあその「カッコいい」はどんなスタイルだろう?
それがALWELのコンセプトになりました。
スポーツ感がありながら、モード感もあって、
コンフォート(快適)でもあること。
着たときの肌触りも重要ですね」

國安さんは、ながくセレクトショップのバイヤーをつとめ、
ディレクター、プロデューサー的な立場で
ファッションブランドにたずさわってきた人。
いくつものブランドを立ち上げた経験をもっています。
「40代も中盤、後半になったとき、何を着る? 
それは最高の素材を使った、
スポーティで、快適な服じゃないかなぁ?」
國安さんはそのテーマを、内田さんになげかけました。
そして、グラストンベリー内で
2人だけでのチームが発足したのでした。

メイド・イン・ジャパンの素材で
スタート

「グラストンベリーは全部インポートなので、
そのなかで日本発をやりたい、と考えました。
そんな折り、最高のものづくりをしている
生地屋さんと出会います。
私たちが追究する「着心地のよさ」を
いっしょにとことん考えてくれる生地屋さんでした。
この出会いから、ものづくりがスタートしたといっても
いいくらいです。
いまも、基本はメイド・イン・ジャパン。
シーズンによっては、
イタリアなどの素材も使うようになりました。
そして、もうひとつ大事だと思ったのが、
素材だけでなくディテールにこだわり、
実際に着たときの見え方です」(國安さん)

そういえば、伊藤まさこさんが気に入ったポイントも、
たとえばカットソーの、首まわりの感じや、
袖丈の、絶妙な長さなど、
じつにこまやかに行き届いたデザインにありました。

「そうなんです。よく、大人の女性向けのカットソーは、
首まわりが広かったりするんですけど、
ALWELでは独自のバランスで首まわりをせまくしています。
そうすることで、品よく洗練された表情にしています。
他にも、袖丈をちょっとだけ短くしたり、
逆にたるみがでるくらい長めにしたり‥‥。
ほんのちょっとのことなんですけど、
着てわかるディテールがたくさんあるんです」(國安さん)

「今までちょっと広めの襟に慣れていた方からすると、
頭を通すとき、ちょっと小っちゃいかな、
と思われるかもしれないくらいの襟ぐりなんです。
でもね、着ていただきたい。
そしてその仕上がりを体験していただきたい。
首のラインが、ほんとうにきれいに見えますから」
(内田さん)

「着て、洗って、乾かして、という着方を想定して、
型崩れしないように、
後ろのセンターで縫製をしています。
これはALWELの特徴のひとつで、デザイン的にも、
スポーティーさと女性らしさが、両方出るんですよ。
このカットソーは、油分やロウ分の多い
100番手の細い糸を使っているので、
しっとり、しなやかなタッチです。
洗いざらし感が好きな方には
ちょっと物足りないかもしれないですけれど」
(國安さん)

「でも、大人が、ジャケットの下に
今日はTシャツが着たいわっていうときに、
すごくしっくりなじみますよ」(内田さん)

「色は、白と黒が基本で、
毎シーズン、定番にしているんですが、
このシーズンは差し色として、
この赤を入れました。
朱に近い、きれいな赤です。
白はぱきっとした清潔感のある白、
黒は、着ていくうちに
どうしても色褪せてきてしまいますが、
ALWELの黒は、なかなかそうなりません。
いい黒です」(國安さん)

「weeksdays別注のネイビーも、
いい色に仕上がりました。
明るすぎない、大人っぽいネイビーです」(内田さん)

同じMサイズでもかたちがちがう?

カットソーのかたちは、
ハーフスリーブ、フレンチスリーブ、
3/4スリーブの3パターン。
3/4スリーブにだけ胸ポケットがついています。

「重ね着をするとき、キャミソールや
タンクトップじゃ寒いんですね、肩が(笑)。
そんなときフレンチスリーブは便利なんです。
フレンチスリーブだけは
ほんのすこしタイトめになっていますが、
これは、重ね着をしたときによれず、
表にひびかずほどよくフィットします」(國安さん)

「同じMサイズでも、いろいろな着方を考えて、
形によってサイズ感を変えています。
例えば、ハーフスリーブは身幅と丈感のバランスが絶妙で、
お尻に引っ掛からず、お尻の下まで行くんです。
余り過ぎず、ピタピタ過ぎず。
なので、下にタイトなパンツを穿いても、
きれいにお尻が隠れますし、
逆にタックインしてもじゅうぶん丈があります。
ハーフスリーブの丈は万能です」(内田さん)

「フレンチスリーブの身幅を狭くしているのは、
冬のインナーにも活躍するようにとの配慮から。
袖下のところもちゃんと
フィットするようにデザインしています」(國安さん)

リモンタの生地をつかって。

ジャケットは‥‥おっ、この生地は見覚えがあります。
もしかしたら‥‥?

「イタリアのリモンタ社のナイロンです」

以前「weeksdays」では
MOJITOの「AL’S COAT」で紹介したことがありますよ!
軽い撥水性があり、くしゃくしゃにしてもかっこいい素材。

「そうですよね。イタリアのこの生地は、
ナイロンだけど、なめらかで
高級感と品のよさがあります。
その素材で、ちょっとビンテージテイストを入れた
ラグラン袖‥‥ドルマンスリーブに近い、
たっぷりした身幅のジャケットをつくりました」
(國安さん)

なるほど、ビンテージテイスト!
90’sっぽいスタイルを、
現代的に解釈したという印象です。

「ボリュームはあるんですけれども、
ウエストの部分と、袖のところが
しっかり留まるようになってるので、
腰にのって、ふわっとした印象になりますよ」
(内田さん)

2色のロングパンツ。

「かなり詰まった肉厚の
起毛素材を使ったパンツです。
旧式の編み機を使用し、
通常の編み機では表現できない
ふくらみと柔らかいタッチが特徴です。
肉厚なわりには軽さがあり、
やさしくあたたかい裏毛で穿き心地抜群です。
いわゆる一般的な綿100%のスウェットにくらべると、
その差は歴然です」

腰まわりのゴムの入る部分の
内側に、共布ではなく、
すべりのいい薄手の素材を使うことで、
スウェットなのに、すっきりしたシルエットに。
もたつき感が、ありません。
このルーズ過ぎないシルエットはとても好評で、
リピーターも多いのだとか。

「1回着たらよかったと、
シーズンごとに色ちがいを求めるお客さまもいます」
(内田さん)

ところで‥‥最後になりますが、
ALWELってどんな意味なんでしょう?

「All is wellの略なんです。
すべてうまくいく、っていう」(内田さん)

「前向きでポジティブな名前でしょう? 
着て、ちょっと気分を上げて、
自分らしく快適な毎日を過ごしてほしい、って」
(國安さん)

すべてのアイテムに、ブランド名が、
スポーツブランドぽく、
でも主張しすぎないていどに入っています。

「うんと大きくしたいところなんですけれど、
あまりにスポーティな印象が強くなるので、
ちょっと控えめにしてるんです」(國安さん)

さて、ここまでお読みいただいて、
「國安さんってどんなかた?」と
みなさん興味を持たれたことと思います。
ことばで伝えると、
「カッコよく年を重ねた、すっごく元気なひと」
でした。
ただ“ALWEL”というブランドとしては、
デザイナー個人の印象を強く伝えたいわけではないので
自身は謙虚に、とのことです。

これからも、定番アイテムを核にして、
シーズンごとに新しい提案をしながら、
展開していく予定とのこと。
「weeksdays」初登場のALWEL、
ぜひ、みなさま、おためしくださいね。

ALWELのスポーツカジュアル

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