未分類カテゴリー記事の一覧です

暦帖ができました。

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美篶堂では、オートメーションではなく、
人の手をつかっての(もちろん、機械の力も借りながら)、
ハンドメイドの製本を手がけています。

その丁寧な仕事は、手軽なノートから特殊な美術書まで、
さまざまな分野でみることができます。
「ほぼ日」ではこれまで「ほぼ日手帳」のコンテンツや
TOBICHIでのイベントで紹介をしたことがありますから、
ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんね。

「weeksdays」が
暦帖の製作にあたって、大切に考えたのは、
なによりも、1年間付き合うにふさわしい品質。
そのために、「冊子」ではなく、
うつくしい「本」のかたちにしよう、
と考えました。

そうして決めた仕様は、布表紙に金の箔押し、
花布、栞付の上製本(ハードカバー)です。

しかし、問題は、束(厚み)。
カレンダーのみをシンプルに収録した
ページ数のすくない本をハードカバーにするには、
ある程度、厚みを出す必要がありました。

それをクリアするために、私たちは、
美篶堂の社長である上島(かみじま)明子さんに
相談しました。
すると、明子さんから、
「絵本製本にしましょう」という提案をいただきました。
ん? 絵本製本って、何だろう?

この「絵本製本」は美篶堂が得意とする技術で、
見開きで片面のみ印刷をして、
小口をノリで貼るというつくりかたの本です。
つまり1ページが2枚仕立てになっており、
左右のページが1枚の紙に印刷されている。

これ、どういう「いいところ」があるかというと、
ぱたんと、きれいに開く!
テーブルに置いて、開いたとき、
のどのところを「ぎゅっ」とおさえなくても、
きれいに開くという仕様は、
スケジュール帳にはとても大切。
それがこの「絵本製本」で実現しました。

「絵本製本」のよいところは、
もうひとつあります。
それは、書き込みをしたときに裏写りしにくいということ。
1ページが2枚を貼り合わせた状態になっているので、
紙に倍の厚みがあって、
万年筆などのペンで記入しても前のページや次のページに
写ってしまうのを防ぐことができます。
また、筆圧の強い人にも安心。
(ただし、1ページめの年間カレンダーと
30ページめの奥付のみ、
製本の仕様により、2枚重ねになっていません。)

用紙は、「アラベール ホワイト」。
柔らかく、画用紙のようなしっかりとした質感で、
繊細なやさしい風合いを持つ紙です。
スケジュール帳に使われることはあまりない、
よい紙なのですけれど、
書き心地もよい、ということも、
この紙を選んだポイントでした。

スケジュールは、見開きで1ヶ月のデザイン。
日付がシンプルに配置されたカレンダーです。
横罫線より縦罫線をすこしだけ薄く印刷することで、
全体の印象が軽やかになり、
数日続く旅行などの予定も
書き込みやすくなる工夫をしています。
カレンダーの上下と、
左の余白をしっかりととっていますので、
メモに使っていただけますよ。

weeksdaysの暦帖

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ずっとほしかった。

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生まれ育った家を出て、
自分だけの部屋を借りた時、
私は20代の前半でした。

そこは、
とても小さな部屋でしたが、
時間を気にせず友だちと夜どおしおしゃべりしたり、
ひとり気ままに好きな料理を作ったり。
今までに感じたことのない自由を手に入れた気がして、
それはうれしかったものでした。

でもなによりうれしさを感じたのは、
その部屋にあるものすべてが
「好きなもの」であることでした。
ベッドは実家で使っていたものを、
白くペイントする。
棚を買うお金がない代わりに、
ワイン箱を重ねて。
という具合に、少しずつ少しずつ、
自分の気に入った空間にしていくのが
なによりたのしかったのでした。

台所道具、器、ベッドリネン‥‥。
暮らしをとりまくものをそろえていくうちに、
ハタと困った問題にぶつかりました。
毎日目にしても感じがよく、
部屋に馴染み、
一年眺めていても飽きのこないカレンダーが
なかなか見つからないのです。
あれこれ探しまわるうちに、
そうか、ないなら持たなければいい。
手帳だけでもなんとかなるんじゃない?
そう気持ちを切り替えて、
いらい、私の家にはカレンダーがありません。

今週のweeksdaysは、
私がずっと、
「こんなのがあったらいいなぁ」と思っていた、
カレンダーのような手帳のような、
「暦帖」をご紹介します。

たたずまいがさりげなく、
一年ずっとつきあえる、
やさしい手ざわりの暦帖。
新しい年をむかえる準備のひとつにどうでしょう?

轟木節子さんの コーデュロイワンピース、 7つのコーディネート。

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轟木節子さんのプロフィール

とどろき・せつこ
スタイリスト。
1972年、熊本生まれ。
ファッション誌、カルチャー誌、広告などで幅広く活躍。
シンプルな中にスパイスの効いた、
独自の空気感が漂うスタイリングが人気。
ナチュラル志向なライフスタイルも注目されている。
ほぼ日では「轟木節子がつくる、気持ちのいい服。」
のコンテンツも。
著作に日々のスタイリングのヒントがつまった
『毎日のナチュラルおしゃれ 着こなし手帖』
『毎日のナチュラルおしゃれ 着こなし手帖 2』
などがある。

後編 ピンクベージュとグレーのコーディネート

ピンクベージュのワンピース、その1
 シンプルに着る。

「シンプルに着る時は、靴や靴下の色を
ていねいにえらぶようにしています」
と轟木さん。

靴は茶色、タイツは紫。
そしてワンピースはベージュピンク。
微妙な色合い同士がきれいな、
グラデーションのコーディネートです。

「靴はコーデュロイに合わせて、
あたたかそうなスウェードを」

ちなみにバッグを持つとしたらどんなものがいい?

「青みがかった白にすると、
差し色になるかな」

もしくは靴と同じ、茶色にすると
全体がまとまっていいかんじになるそうです。

ピンクベージュのワンピース、その2
 ワイドパンツを合わせて。

「ロング丈のワンピースに
ワイドパンツを合わせるのが好き」

スタイリングにとどまらず、
轟木さんご自身もよくするスタイルなんですって。
ワンピースにワイドパンツなんて上級者! と言うと、

「フルレングスのドレスを
着ているようなイメージだと思うと、
取り入れやすいと思いますよ!」

そんな答えが返ってきました。
轟木さん自身は同系色でまとめることが多いとか。

とにかくかわいらしい色合いのピンクベージュ。

「赤を合わせたらいちごみたいでかわいいかな」

と轟木さん。
ベージュピンクに赤に茶色。

「いちごのチョコがけみたいでしょ」

ボタンをいくつか外して襟を抜くと、
雰囲気が変わってまた新鮮。

「下に来たネイビーは万能色。
ピンクとの相性もいいし、
肌色がきれいに見えるんですよ」

いちごコーディネートがぴりっとしまって見えるのは、
このネイビーのおかげなんですね。

グレーのワンピース、その1
 色合わせを楽しむ。

カーマンラインのマスタード色のタイツが効いた、
はっと目を引く着こなし。

「全部同じトーンでそろえてもかっこいいのだけれど、
色合わせを楽しもう! って日は、
こんな思い切ったコーディネートもおすすめ」

「タイツは、チャレンジカラーではあるのですが、
グレーと合わせると案外しっくり。
黄色って派手かなと思うけれど、
グレーと合わせると
ちょっと落ち着いてモダンになるし、
一瞬、地味かなと思うグレーは、
マスタード色と合わせると冴えてくる」
両方の色が、お互いを引き立てあっているのです。

「派手な色のタイツを履く時は
ボトム(今回はワンピースの色)と
靴の色みを合わせるといい」
と轟木さん。
発色のいい色を合わせると視覚的にたのしいし、
見た目に新鮮。

コーディネートってたのしいね。

グレーのワンピース、その2
 はずしのアイテム。

太めのパンツに厚底のスニーカー、
それとブラウス。
グレー以外は白でまとめたすっきりコーディネートです。

「はずしのアイテムとして、
やわらかめのレースのブラウスを合わせてみました」

ワンピースの襟元や袖口からレースをのぞかせるなんて、
考えたこともなかったな。
コーデュロイとレースの質感、
両方が引き合てあって、すごくいいかんじ。

「ちょっと甘いヴィンテージ風の服が好きな人でも
モードっぽいのが好きな人でも
いろいろに着られる色ですね」
と轟木さん。

グレージュか、ピンクベージュか。
それともグレー?
轟木さんのコーディネートを参考に、
ご自身にぴったりな一枚を見つけてくださいね。

轟木節子さんの コーデュロイワンピース、 7つのコーディネート。

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轟木節子さんのプロフィール

とどろき・せつこ
スタイリスト。
1972年、熊本生まれ。
ファッション誌、カルチャー誌、広告などで幅広く活躍。
シンプルな中にスパイスの効いた、
独自の空気感が漂うスタイリングが人気。
ナチュラル志向なライフスタイルも注目されている。
ほぼ日では「轟木節子がつくる、気持ちのいい服。」
のコンテンツも。
著作に日々のスタイリングのヒントがつまった
『毎日のナチュラルおしゃれ 着こなし手帖』
『毎日のナチュラルおしゃれ 着こなし手帖 2』
などがある。

前編 グレージュのコーディネート

グレージュのワンピース、その1
 タイツとマフラーで。

轟木さんが最初に見せてくれたのは、
グレージュのワンピース。
うすい水色のマフラーをくるりと巻いて、
髪をきゅっとまとめて。
冬の街に映えそうなスタイルです。
かわいいなぁ。

足元は同系色の靴とあずき色のタイツで。
すぐにでも私たちにも
取り入れやすそうなところがうれしい。
「グレージュは寒色系も暖色系にも合う、
コーディネートしやすい色ですね」

買うとしたら、これかなぁと轟木さん。
どの色を買おうかと迷っていたけれど、
轟木さんの言葉はかなりの説得力。

グレージュのワンピース、その2
 さっとコートを。

上にさっと羽織ったのは、
ベージュのコート。
グレージュにベージュ!
私には思いつかない色合わせが新鮮、
そしておたがいの色がすんなり馴染んでいる。

「さすが「グレージュ」というだけあって、
グレーの要素もベージュの要素も持っている。
だからベージュとの相性もいいんですよ」

グレージュのワンピース、その3
 羽織って着る。

「コートっぽく着るぞという気分の日には、
こんな風にボタンをすべて開けてみて」。

合わせるのは、
トラッドっぽいものを。
なるほど、
これがトレンチだとはまりすぎるけれど、
コーデュロイのやさしい質感が、
全体の雰囲気をやわらかく見せてくれます。

「ワンピースなんだけれど、
ワークコートとか、ショップコート風と思うと、
コーディネートの幅が広がります」

「ブリティッシュチェックのパンツには、
白のカットソーと靴下を。
ちょっとシュッとしたイメージにしたくて」

合わせた白は生成り色ではなく、
「まっ白」というのが、ポイントなんですって。

ヨーロッパから いいものを探して。 グラストンベリー 内田起久世さんinterview

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「すぐれた技術は、それ自体に価値がある」
グラストンベリーは、創業以来20年、
それまで世の中に知られていなかった
世界の「ファクトリーブランド」を発掘してきました。

▲内田起久世さん。

「Honneteは、もともと、
上質なテキスタイルをつくる工場でした。
そのうち、縫製も手がけるようになり、
生地づくりから一貫して服づくりができるように
なっていったんですね。
そこでつくられていた服がすばらしいと、
日本に紹介をしたいと考えたわけなんですけれど、
じつは、最初は、メンズだけ、だったんですよ」

えっ、もともとメンズウェアの会社だったんですか!

「そうなんです。だから得意としていたのは、
たとえば、肉(生地)の厚い、フランスのミリタリー。
フレンチネイビー(海軍)用のメルトンのウェアが、
ほんとうにすばらしくて、
それを輸入するところから始めたんです」

現在、Honneteはレディスウェアのみですから、
ちょっと想像がつきにくいのですけれど、
メンズウェア、しかもフレンチネイビーのものを
つくってきたということは、
そうとうな高い縫製技術を持っている、
ということですよね。
だからフランス国内外のメゾンからも
たくさんの仕事を受けられていたんですね。
グラストンベリーにおいてHonneteは、
メンズからスタートして、
やがてレディスに移っていった、ということですか?

「はい、メルトンのコートのサイズ展開を拡げ、
パターンは同じで、サイズが異なるものを出し、
ユニセックスで着られますよという
提案をするようになりました。
やがてレディスウェアをつくるようになり、
いまでは100%、レディスになっています」

Honneteのウェアは、
今回のコーデュロイもそうですが、
まず素材のよさに目がいきます。
やはり「テキスタイルの会社」ということが
大きいのでしょうか。

「そうです、さすがテキスタイルの
会社だっただけのことはありますよね」

ん? 「だった」?

「そうなんです。じつは、いろいろあって、
Honneteはいま、テキスタイル部門を閉じ、
縫製部門だけになってしまったんです。
それでもテキスタイル会社時代からのスタッフが多く、
経験も技術もきちんと残されていますよ。
彼らは、自分たちがつちかってきたコミュニティ、
関係してきた会社や人をとても大事にしていますから、
そういうなかから選んだ、
由来のたしかな、いい素材を使います。
私たちが、すこしコストを落としたいなと
すこし安い生地を希望しても、
絶対出てこないですから(笑)」

デザインは、グラストンベリーさんも関わって?

「基本的には、彼らのアーカイブをもとにしています。
彼らのつくるものって、基本的には
『ずっと変わらない』んですよ。
今回のワンピースにしても、そうです。
ただ、もともとはもうすこしボリュームが小さかったり、
長袖だったりしたところを、
例えばちょっと袖を短くしてもらおうとか、
身幅をドンと出してもらおうとか、
着丈を出してもらおうとか、
プルオーバーだったものを、
フルオープンにしてもらおうとか、
そういったリクエストをしています。
Honneteをはじめ、
グラストンベリーが扱っている
ファクトリーブランド全体に言えることなんですけど、
毎シーズン、ブラッシュアップされた新しいコレクションを
求められているわけではないですし、
自分たちもデザイナーではないので、
変わらぬ定番をという姿勢でいるんです。
そんななかに、少し旬なイメージとか、
ちょっとトレンドを意識した素材を導入しています」

なるほど、つまり、デザイナー不在なんですね。

「そうですね。いつも工場との
コミュニケーションのなかでものが生まれます。
工場の中には、パターンを担当してくれる子がいたり、
縫製の技術者が『こうすればもっときれいに見えるよ』
とかっていう子たちがいて、
それの相談の元でいつも成り立ってます。

今回の素材は、どちらのものですか?

「イタリアのRedaelli(ラダエリ)社のものです。
ふるくからのベルベットの生地屋さんで、
そこがつくっているコーデュロイなんです。
ちょっと毛布のようで、おもしろいでしょう?
こういったコーデュロイは、ヘビーデューティの
イメージがあって、じっさいドイツなどでは
コットン100%、
厚くしっかりしているものが多いのですが、
イタリアのRedaelli社のものは、
気遣いがすごく良くて、
5%だけ、カシミアを入れているんです。
その5%と、フィニッシングの違いで、
コーデュロイのあのカジュアルなイメージを覆す、
艶も色も、ちょっと品のある質感になるんです。
しかも、うんと軽いんですよ」

そうなのです。このコーデュロイのワンピース、
一見「重いんじゃないかな」と思うと、
ほんとうに意外なくらい軽い!
「あったかくて、軽くて、衝撃的な着心地」だと
伊藤まさこさんも言っています。

「このワンピースは、
この生地があって、できたことですね。
これだけ用尺がたっぷりしていたら、
ふつうのコーデュロイでは重くなり、
ギャザーを寄せることすらできないと思います」

今回のタグには、
MADE IN POLANDと入ります。
フランスの会社ですけれど、
縫製工場はポーランドにあるんですね。

「はい、いま、フランスのブランドは、
ポーランドに縫製工場を持つことが増えました。
ここ10年ほどで、
ポーランドの縫製技術が飛躍的に高まったんですよ」

ところで、そういう遠い場所から、
日本にいながらどうやって
「いい工場」を見つけてくるんでしょう?
それが不思議で‥‥。

「創業者がそういうものが大好き、
ということもありますし、
そのボスのふるくからの友人で
ビジネスパートナーでもある英国人がいて、
現在、ロンドンを拠点にヨーロッパ各地の工場と
やりとりを担当しているんです。
彼らが、マニュファクチュアリングが、大好きで。
展示会にすら出てこないようないい工場を探し、
私たちに紹介をしてくれるんですね。
若いころから、旅をして、
得体の知れないところから
いいものを探してくるのが好きな人たちなんです」

なるほど、そんな強い味方が!

「彼らとおなじように、結局、私たちは
『好きじゃないとできない仕事をしている』
んだと思いますよ」

内田さん、どうもありがとうございました。
そんな背景を知ることができて、
Honneteというファクトリーブランドのこと、
そしてグラストンベリーのことが、
よくわかったように思います。

次回は、Honneteのファンだという
スタイリストの轟木節子さんによる
コーディネート解説をお届けする予定です。
どうぞ、おたのしみに!

▲“Redaelli Velluti – Journey of the Production Cycle”
今回weeksdaysで販売するワンピースの生地をつくっている
イタリアのRedaelli(ラダエリ)社のイメージ動画です。

Honneteのコーデュロイワンピース

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再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
10月25日(金)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

MOJITO AL’S COAT




▶︎商品詳細ページへ

入荷のたびに人気のアイテム
MOJITOのAL’S COAT。
ベージュが再入荷いたします。
あわせて、モスグリーン、ネイビーも揃います。


「リモンタのナイロンを使った
メンズのMOJITOのコートを試着した時、
「これは女の人でもうれしいアイテム!」
そう思いました。
いえいえ、
「これは男の人だけのものにしてはもったいない!」
とまで思うほど、よいものだったのです。

まずは着心地のよさ。
軽やかさ。
シルエットのうつくしさ。

形はとてもスタンダードなのですが、
その「ふつう」の中にデザイナーの山下さんの
工夫が込められています。」

(伊藤まさこさん)

懐かしくってあたらしい。

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オーバーオールに、つりスカート。
たしかお稽古ごとに持っていくバッグにも
使われていたっけ‥‥。

コーデュロイは、
私にとって懐かしさあふれる素材のひとつ。
子どもの頃に好きだった
『CORDUROY(くまのコールテンくん)』
という絵本の存在もあって、
ひびきを聞くだけで、
なんだかちょっとうれしくなる、
とくべつな素材でもあります。
(そうそう、昔はコールテン、
なんて呼ばれていましたね。)

この秋、見つけたのは、
あたたかでかろやかな、
最高に肌ざわりのいいHonneteの
コーデュロイワンピース。
「ちょっと懐かしい」と思っていたコーデュロイが、
洗練された大人の服になっているのは、
さすがフランス生まれのブランドといったところ。
素材えらびはもちろん、
色やフォルムなど、
こまかなところに目が行き届いていて、
思わずうなりたくなる、
とてもすてきなワンピースなのです。

色は3色。
どれも秋から冬にかけての
街の色にとけこむやさしい色合い。
この色合いもまた、
思わず「さすがフランス!」と
うなりたくなるのです。

相談しながら。

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伊藤
洋服のブランドって、年に2回、
シーズンごとのコンセプトを打ち出したりとか、
テーマを語ったりするものだと思っていたんですが、
nooyは、そういう表現はしていないですね。
ラインナップは、どういうふうに決めているんですか。
平山
よく言われるんですけど、
特にシーズンテーマがないんですよ。
伊藤
なさそうだなぁと思ってました(笑)。
若山
訴えたいものがないからかも?
コンセプトを立てられる人が羨ましい。
伊藤
もちろん、心の内に秘めたものはあると思うんだけど、
コンセプトはこれですって打ち出すことはない。
でもふたりでやっているわけだから、
それぞれにつくりたいものがあるはずで、
そのへんをどうやって進めてるのかなって。
若山
シーズンの立ち上げは、
「こういうのをやりたい」っていうのを
ふたりでバァーっと落書きしますね。
じゃあ、ここをこうしたら? とか、
ここをこうしてもいいよねとか、
そしてトワル(toile=サンプル布で仮縫いをすること)で
形をだして、さらに詰めていきます。
そこに時間をかけますね。
伊藤
このアトリエで、ふたりで?
若山
そうです。
「ねぇ、これどう思う?」って話しながら。
伊藤
分担は、ないっていうこと?
平山
そうなんです。分担がないんですよ。
若山
ふたりで一人前。
平山
ひとりでしかできないことはありますが、
ものによって違います。
例えば、これは若山がデザイン、私がパターン。
これは私が絵を描いて、若山が形にして、って。
伊藤
そうなんだ!
おもしろい。
──
バンドっぽいですね。
若山・平山
ああ!
平山
ふたりのバンドね(笑)。
若山
ツーピース(笑)。
──
そう、バンドって、誰かが引っ張って、
ほかのメンバーがサポートに回るタイプと、
全員が曲を作って前に出るタイプがあるんです。
後者は、曲を持ち寄って、いいんじゃない、
これで1枚作ろうか、みたいな感じになります。
伊藤
曲の完成に向けて、
つくった人じゃない人のアイデアが
入ったりするんだ。
ちょっとこんなアレンジしよう? みたいな。
若山・平山
はははは!
若山
そんな感じですよ。
平山
バンド。いいですね。
伊藤
ふたりがそれぞれの真っすぐな道じゃなくて、
いろんな意見を出しながらひとつの服ができる。
結局、ちゃんとnooyだってわかるものができる。
お客様のリクエストは聞くんですか?
若山
あ、けっこう聞きますよ。
体形がこうだから、もっとこうしてねとか、
ベージュがいろいろあるけど、
こっち系のベージュはちょっと顔がくすむわとか。
そのたび「なるほど!」って思います。
平山
展示会にいらしてくださる方、
それぞれに個性があって、
試着をなさっている様子から
発見することもありますね。
若山
年配の方も、こんな鮮やかな緑が好きなんだとか。
伊藤
ある程度おとなになると、
ひと通りベーシックなものを持っているから、
色のあるものが欲しくなったりするのかな。
今回、「weeksdays」でつくっていただいたのは、
まず、同じ形で、3つの色のコート。
これはクラシックなイメージですよね。
若山
そうです。首のところ、
襟がちょっとだけ「抜けて」いるので、
首元がすごくすっきりして見えます。
あと、この襟の形だと、通常はテーラードで、
切り替えがあるものなんですが、
これはショールコートの丸い襟に、
ちょっと刻みを入れているんですよ。
それで柔らかいイメージになっているんです。
伊藤
そういうことなんですね。
確かに切り替えがあると、
もっとカチっとした印象になりますね。
でも、ふんわり丸い。
すっごく、かわいい。
この形、nooyの定番的なデザインですが、
ふしぎなくらい、
生地で印象が変わるんですよね。
私が持っているのが‥‥。
伊藤
そう、これ。
全然印象が変わるでしょう?
若山
おもしろいですよね。
伊藤
だから今回の3色も、
どれを選ぼうか、いまから悩んでいます。
若山
だからけっこう皆さん、
色違い、柄違いでお持ちです。
伊藤
もう10年以上になるアイテムですよね。
全然形を変えず?
若山
ちょっと袖丈が長くしたりとかはしてますけど、
シルエットはあまり変えてないです。
伊藤
着やすいですしね。
黒いパンツにTシャツだけでも、
これを羽織ると洒落て見える。
コートなのだけれど、
ジャケットとの中間ぐらいのイメージなんですよ。
若山
そうなんです。
意外と長い季節、着られます。
伊藤
このパンツもすごく良かった。
裾のリブが、スポーティーにならず、
かわいくまとまってる。
若山
この生地感がちょうど合うんだと思います。
かなりの細番手で、スーツなどの
メンズウェアで使われる糸なんです。
平山
「スーパー120」っていう糸で織った生地を
加工してあって、
ウール100%なのにストレッチ性があるんですよ。
伊藤
そっか、メンズ!
若山
ダンディ生地が好きです。
女性らしいのも好きですし、ハンサムなのも好きです。
平山
カッティングにメンズのパターンを取り入れることも
多いんですよ。
伊藤
nooyの服は、どれもそうなんだけれど、
着ると「より、いい」んですよね。
そういう秘密もあるんですね。
平山
腰はゴムですし、
裏地も、ほら、メンズの袖裏に使うものですよ。
伊藤
ほんとだ!
カッコいい。
若山
それもポイントです。
伊藤
このままメンズサイズもあったら‥‥。
メンズはやろうと思わない?
若山
そういうお声はいただきます。
たしかにもっと大きいサイズがあっても
いいかもしれないですね。
このパンツ、いまちょうど店頭でも
別カラーで展開していますが、
男性の方が買ってくださいますよ。
伊藤
そして、スカート。nooyはニューヨークでつくった
スカートから始まったと聞きましたが、
このスカートに通じるものでしたか?
若山
はい、かたちは似ていますね。
いわばこれがnooyの定番スカートです。
伊藤
ちょっとストンとしたかたちで。
平山
あまり広がり過ぎず、ストレートな感じ。
伊藤
ウエストはゴムなのに、すごくすっきり。
「2秒で履ける」みたいな!
そこも最高なんですよ。
若山
タイトめのスカートって、
探してもなかなかいいのがなくて。
伊藤
そう、そう、ないんですよ。
私は丸首のカシミアのニットを合わせて、
ちょっと美智子さまふうに着たいな。
下はタイツかなぁ。
若山
そうですね。
平山
タートルも似合いますよ。
伊藤
ヒールの靴もかわいいですね。
若山
石畳を歩きたくなる(笑)!
──
nooyの服って、
こんなふうに盛り上がるんですね。
横で見ていて、楽しいです。
伊藤
いろんな方に着て欲しい!
今日は、ありがとうございました。
お客様の反応がとても楽しみです。
またぜひご一緒させてください。
平山
こちらこそありがとうございました。
若山
ありがとうございました!

クラシックであること。

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伊藤
では、いまのように
生地をオリジナルで作るようになったのは、
あとからなんですね。
平山
そうですね。ニューヨークのときの知り合いで、
ネクタイ屋さんをやっていた方が
日本で生地の工場をやっていて。
その方の伝手で、初めてオリジナルの
生地をつくったんです。
伊藤
それってやっぱり、
「こういうのが欲しい」っていうときに、
頭に描いたものがなかったから?
若山
そうですね。
伊藤
今は、オリジナルの生地は
どれくらいの割合に?
平山
もう半分以上‥‥いや、もっとだね。
若山
8割ぐらいはオリジナルかも?
伊藤
おぉ、すごい。そうなんだ!
平山
デザインは同じでも色は変えている、
というものを入れたら、ほとんどすべてが
オリジナルかもしれません。
伊藤
生地をつくるのって時間がかかるでしょうね。
平山
すごくかかります。
展示会が終わったら、次のシーズンに向けて
生地を決めるのが最初の仕事ですね。
それでも間に合わないときは
1年、繰り越すこともあります。
若山
最初のサンプルは予想もしていなかった、
ほんとうに倒れそうなものが来たり(笑)。
伊藤
どっちが先ですか。服のイメージと、
生地のイメージ。
平山
デザインが先のものもあるし、
この生地を使いたいねというところから
デザイン化するものもあります。
若山
「この生地、絶対使いたい!」って、
「何作ろう?」ってなるときもあります。
逆にこういうのを作りたい、
あ、ちょうどこんな感じの生地があった、
ということもありますね。
もともとつくりたいなぁってぼんやり思っていたのが、
生地を見て、「あ! これだ!」って形になることも。
もちろんそのために生地を探すこともありますし、
たとえばこの立体感のある鳥の羽根柄の服は、
もともと、生地屋さんに、同じ手法で、
まったく違う柄のものがあったのがヒントでした。
平山
こういう方式でこういう仕組みでできてます、
っていうことを説明してもらって、
じゃあこんな柄もできますよね? って、
絵を描いて、糸の色を指定して
つくってもらいました。
伊藤
テキスタイルデザインは勉強したんですか。
若山
学校の授業‥‥、それだけです。
仕事しながら、日々勉強な感じです。
「教えてくださーい!」ってしつこく電話して(笑)。
伊藤
nooyの服って、
一見かわいらしいんだけど、
おとなも似合いますよね。
若山
お客様、年配の方も多いですよ。
体形も幅広くって、
すごく痩せた方も、
ふくよかな方もいらっしゃいます。
身長も、150㎝ぐらいの方もいれば、
170㎝ぐらいの方も。
伊藤
それは、そう工夫して
パターンを引いているんですか。
平山
工夫はあると思います。
たとえば肩。
このコートも、肩が落ちている形なんですけど、
痩せた方でも肩幅が大きく見えないし、
肩が張っている方もしっかり入るように。
伊藤
へぇ! 
そして、ちょっとクラシックなイメージがある。
若山
はい、好きです! すごく。
伊藤
この前、美智子さまスタイルが素敵だって、
盛り上がったんですよね。
クラシックなのに、古くならない。
若山
そう、だから好きなんだと思うんです。
伊藤
ほんとにかわいいですよね。
じゃあ、クラシックなものは、
洋服づくりのヒントのひとつ。
若山
はい、それが基本かもしれないです。
伊藤
古着を着ていた時代とかも?
若山
中学生のときとかに、一通り。
祖父の三つ揃えを着たりとか!(笑)
伊藤
分かる(笑)!
ほかにはどういう要素があるんでしょう?
若山
ユニフォームですね。
昔のユニフォーム的なもの。
昔のパン屋さんとか、薬屋さんとか、
ヨーロッパっぽいもの。
伊藤
そういえばnooyでは、
パン屋さんのユニフォームを作っていますよね。
若山
はい。パン屋さんだと、丸の内の新丸ビルの
ポワンエリーニュ(POINT ET LIGNE)などですね。
伊藤
それは、独立してわりと間もないとき?
平山
はい、わりとすぐの頃でした。
叔母の知り合いが、
あたらしいお店のプロデュースをするのに、
ふつうの白衣ではないものがほしいと。
それで、打ち合わせして、つくりました。
若山
そこから意外といいエプロンがないぞ、
っていう話になって、
nooy KITCHENという
別ラインが生まれたんです。
「家事しなきゃ!」じゃなくて、
着て「これなら楽しく家事ができる」
っていうものを作りたいねって。
しかも、外にそのまま着て出かけられるような。
伊藤
キッチンのための服って、
作業しやすいことが前提だから、
いろんな工夫がありそうですね。
若山
はい。まず、素材ですね。
バサバサ洗っても、
どんどんいい味になっていくように。
お洗濯も簡単で。
これは1枚の布でできているんですよ。
伊藤
畳むのも楽そう。
若山
それから、アンティークも好きなんです。
今回のこのコートの裏の花柄も、
アンティークのお皿の絵付けが
ヒントだったんですよ。
伊藤
そうなんだ!
伊藤
なるほど、
これをパターンに起こしたんですね。
若山
そうです。
この裏地に使った模様は、
もともと違う生地で洋服をつくったことがあって。
もとは1色で、ペタッとした感じだったんですけど、
これは同系色の濃淡で陰影をつけて、
ぺったんこな印象にならないようにしています。
伊藤
かわいい! 
色もいいし。それはいつのですか?
若山
2017年の春夏です。
平山
スカートとか、シャツもありました。
伊藤
それを今回の裏地に応用なさったんですね。
着物で、八掛(はっかけ)が
チラッと見えるおしゃれみたいな感じ。
そういうの、すごく嬉しいんです。
コートをちょっと手に持ったりするときに、
ちらっと見えるとすごくいいですよ。
若山
色っぽさもありますよね。
伊藤
nooyの服は、おとなをかわいくするし、
年配のかたを元気にするし、
若い人をすてきにする。
私、娘に着てほしくて。
最近、興味を持ってくれるようになったんです。
若山
ありがとうございます。
伊藤
先日、一緒に服を整理していたら、
「すぐ着なくなる安い服」がたくさんあって。
たしかにかわいいなって思うんだけれど、
1回洗濯すると、かたちが崩れてしまったりするんですね。
いっぽう、素材や仕立てのよい服は、長持ちするし、
娘も私のそういう服を借りて出かけたら、
褒められたことがあったようで、
「ほらっ! いいでしょ?」って(笑)。
若山
そういう道を通りますよね。
最初は自分の好きな服をちょっと安く買って、
それがすぐだめになっちゃうことを知って、
「1回勉強して」って言ったら、あれですけど‥‥。
伊藤
気に入って買ったはずが、
すぐ着なくなるんですよね。
買うのが楽しい、いちど着てみたい、
そういう気持ちもわかるし、
ファストファッションを
全部否定するわけではないけれど。
娘は、小学校高学年から、
スニーカーで、リュックしょって、
細いデニムを穿いて、っていうファッションでしたが、
最近デニムでも選ぶ形がちょっと変わってきた。
それにnooyのジャケットを合わせたりとかして。
それを見て、nooyって、
こういうハタチの子から、おばあちゃんまで、
ほんとうに幅広いなって思ったんです。
若山
有難いです。
平山
伊藤さんのように、
親子で着てくださる方もいますよ。
若山
以前から来てくださるお客様に、
初めて会ったときはお嬢さんが小学校低学年だったのが、
今年大学生になって、入学式に、
お母さんのnooyのコートを着ていったんですって。
「なめられちゃいけない」って。
伊藤
なめられるって(笑)!
若山
「お母さんのコート貸して」って、
私たちが昔つくったコートを着たんだそうです。
平山
Aラインのコートがあったんです。
若山
赤いチェックの。それを着て行ったら、
ファッション部っていうのがあったらしくて、
「ちょっとそこの赤いあなた!」って、
入部しないかって勧誘されて
追いかけられたそうです(笑)。
伊藤
えー、かわいい!
若山
「違います! 母のです! 私、違います!」
って逃げて帰ってきたんだそうです(笑)。
平山
「私、そんなんじゃないですから! 違いますから!」
って。
伊藤
ファッション部、気になる!
何するんだろう。
平山
私も気になって調べたけれど、
分からなかったんですよ。
伊藤
でもそれ、嬉しいお話ですね。
若山
すっごい嬉しかったです!
伊藤
ファストファッションを着る時期があってもいいけど、
やっぱり私たち、そういう年代じゃなくて、
ずっと着れるものが欲しいから、
nooyの服がグッと来るんでしょうね。

はじまりはニューヨーク。

未分類

伊藤
nooyを紹介してくださったのは、
若山さんの叔母さまで、
エディトリアルデザイナーの
若山嘉代子さんでした。
若山さんは私の憧れの女性で、
本をデザインしていただいたことがあるんです。
その若山さんから
「姪が服づくりを始めたの」ってお聞きして。
あれは何年前のことだったのかな。
若山
日本に帰ってきたのが2003年ですから、
その頃じゃないかなって思います。
伊藤
その前は、ニューヨークに
いらっしゃったんですよね。
若山
はい、3年ほどいました。
伊藤
そもそもふたりはどういうきっかけで
nooyを立ち上げることになったんですか。
平山
知りあったのは、吉祥寺のデパートの
物産展の販売員のアルバイトだったんです。
伊藤
うんうん、‥‥んっ?
平山
「京都展」でしたね。
伊藤
吉祥寺の? 京都展?
平山
私は数珠を売っていて。
若山
私は和紙を売っていました。
伊藤
えっ! なぁに、それ?!
若山・平山
(笑)
平山
ほんとに1週間だけのアルバイトで、
偶然、休憩時間に話をしたんです。
「私、ニューヨークに行くんだ」って言ったら、
「あ! 私も行くんです」っていう話になって。
渡米に半年くらいの違いはあったんですけれど。
伊藤
なぜニューヨークに?
平山
留学です。
伊藤
洋服の?
平山
はい。日本で大学を出てから、
エスモード・ジャポンにちょっと居たんですが、
もっと本格的に勉強をしたくなって、
Fashion Institute of Technology(ニューヨーク州立
ファッション工科大学。略称FIT)に
行くことにしたんです。
伊藤
若山さんも?
若山
はい、私もファッションの勉強に。
文化服装学院を卒業して、
日本でフリーで仕事をしてたんですけれど、
海外で勉強したいという気持ちが高まっていたんです。
伊藤
数ある都市のなかで
なぜニューヨークを選んだんですか。
パリや、ロンドンではなく。
平山
バックパッカーで旅をしていた頃、
ニューヨークって楽しそうだなあって
思っていたんです。
若山
わたしもそうです。
ニューヨークに1回、遊びに行って、
「ああ、すごい! なんか合ってるかも!」と。
それに、パリに行くならフランス語ができないと。
ロンドンはそのとき物価がすごく高かったですし。
それから、叔母の強い勧めもありました。
伊藤
そうですよね。
若山嘉代子さんは
ニューヨークにいたことがあるとお聞きしました。
若山
それで、私も大学に行くつもりで渡米したんですね。
パーソンズ美術大学(Parsons School of Design)
っていうところに入りたかったんですが、
日本の卒業記録と成績表を持って相談に行ったら、
「これだけ勉強したのなら、うちに来る必要ないわよ」
って断られてしまった。
はて、どうしたものかと途方に暮れ、
ビザの関係もあったので、
学校には絶対行かなきゃいけない。
それでとりあえず語学学校に行きました。
伊藤
それで、おふたりは、ニューヨークで再会を?
平山
それが、行ってすぐは交流がなかったんです。
たまたま夏休みに帰ってきたとき、
渋谷のスクランブル交差点でバッタリ。
若山
「あ! 見たことある子がいる!」って、
服をつかんで。
平山
「あの子だー!」
若山
「連絡先教えて!」
平山
それでニューヨークに戻ると、
わたしが住んでいた大学の寮に
若山が電話をくれて、
遊ぶようになりました。
そしてわたしは卒業後、
現地でデザイナー・パタンナーとして
働くようになって。
若山
私も韓国系のデザイナーの方のところで、
就労ビザを貰って、
パタンナーとして働きながら、
しばらくいることになったんです。
平山
そのうち「ふたりで洋服をつくる?」ということになり、
できあがった服を、お店に持っていくようになりました。
伊藤
それが「nooy」のはじまり?
若山
そうなんです。
伊藤
一緒にやろうって決めたのは、
デザインというか、
つくりたい方向が似ていたんですか?
平山
そうですね。
そうじゃないとやり始めなかったかもしれないです。
伊藤
名前の由来は何ですか。
とてもかわいい。
若山
ふたりのイニシアルです。
夏子のNと良佳のYに、
OO(オーオー)を入れたら、
ちょっとどこかの国の女の子の名前みたいだねって。
それで「nooy」(ヌーイ)に決めました。
伊藤
そうだったんですね。
「縫う」「衣」かなって思ってました。
平山
そう! よく言われます。
伊藤
ふたりで最初につくったのは何ですか。
若山
スカートです。
ニューヨークって、ほんとに生地屋さんが多く、
デッドストックを扱うような生地屋さんも
いっぱいあるので、そんな生地を使って。
そしてセレクトショップに飛び込み営業をしたんですよ。
「買ってください」って。そうしているうちに、
「じゃあコレとコレとコレ」と、
注文をいただけるようになって。
スティーブン・アラン(Steven Alan)っていう
ショップが扱ってくださったり。
伊藤
すごい!
若山
わたしたち、何も知らなかったので、
展示会を開くなんて考えつかなかった。
ほんとにスカートを担いで、
「こういうのお好きですか?」って(笑)。
伊藤
サヤカ・ディヴィス(SAYAKA DAVIS)さんと
話をしたときも、
服をトランクに入れてゴロゴロ持って、
「見て欲しい」って営業をしたということでした。
ニューヨークは、そんなふうに知らない子が来ても、
有名じゃなくても、いいものだったら受け入れてくれる、
そういう街だっておっしゃってました。
若山
ほんと、アポなしでしたよ。
「バイヤー」という職業すら知らなかったです。
伊藤
日本に戻ってきたのはどうして?
そのままニューヨークにいる選択肢もあったでしょうに。
若山
2001年の「9.11」(アメリカ同時多発テロ事件)が
きっかけでした。
伊藤
そうでしたか。
若山
私たちも、拠点を日本に移すことにしたんです。
あのときは、長くいた人のほうが
帰国を選んだように思います。
それで日本に戻って、
またゼロから出発しました。
平山
日本で、またふたりで
服をつくりはじめました。
伊藤
日本では、誰もnooyのことを知らない状況ですよね。
どんなふうに販路を開拓していったんですか。
平山
ニューヨークと同じで、お店に直接、
でも今度はちゃんとアポイントメントを取って、
服を担いで、見てもらいに行っていました。
若山
そう、行きましたね!
楽しかったね。
平山
それで置いてくださるお店もあったし、
扱ってはもらえなかったけれど、
親身になってアドバイスをくださった
お店もありました。
若山
おもしろかったですよ、自分たちが素人すぎて。
平山
本当、すごくおもしろかったんです。
何も分からなかったから。
たとえば最初の頃は、
余り生地ばかり使っていたので、
それじゃ多くの注文を受けられないよと。
「生地の仕入れはこうするといいですよ」
なんて教えてもらったりもしました。
若山
そのうち、展示会を開くことを思いついたんですが、
そういう貸し会場があることすら知らなかったので、
ギャラリーで展示会を開いたんです。
そしたら、そのギャラリーのオーナーが、
イラストレーターの方をおおぜい知っていたので、
DMを出すことができて。
平山
そのDMを受け取った人が、
たくさん来てくださったんです。
若山
しかも「かわいい!」ってお求めくださって、
それがきっかけで広がっていきました。
それがなかったら、いまがないかも?

nooyの秋の服

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期間中配送手数料無料!「weeksdays」は ほぼ日ストア送料無料キャンペーンに参加しています。

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11月1日(金)午前11時から
11月15日(金)午前11時まで開催する、
ほぼ日ストア送料無料キャンペーン。
この期間中にご注文いただいた商品について、
配送手数料(通常:770円税込)が無料になります。
「weeksdays」のアイテムについても
適用となりますので、
ぜひこの機会をご活用くださいね。
くわしくは、特設ページをごらんください。

▶︎ほぼ日ストア送料無料キャンペーン!

気になるふたり。

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スタイリストをしていると、
ものづくりをしている人との出会いがたくさんあります。

いいな、と思うものを生み出す人は、
やっぱりその人自体もとてもすてき。

今はどんなことに目が向いているんだろう?
とか、
次は何を作るのかな、
とか、
いつだって気になる存在です。

今回、ご紹介するnooyの
若山夏子さんと平山良佳さんのおふたりも、
私にとってそんな存在。
春と夏、秋と冬、
1年に2度発表される服が、
毎回たのしみでしょうがないのです。

ちょっと懐かしくて、
でも新しくて。
着ているとうれしくなっちゃうnooyの服。
今週のweeksdaysでは、
全部で3型の服をご紹介。
コンテンツでは、
おふたりの出会いのきっかけや、
服作りに向かうおもいなどをうかがいました。
合わせてどうぞおたのしみください。

わたしとカシミア。 その3 毛玉さえも愛おしい。 料理研究家 中川たまさん

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中川たまさんのプロフィール

なかがわ・たま
料理研究家。
神奈川県・逗子で、夫と大学生の娘と暮らす。
自然食品店勤務後、ケータリングユニット
「にぎにぎ」を経て、2008年に独立。
季節の野菜や果実を使ったシンプルな料理や、
洗練されたスタイリングが書籍や雑誌などで人気。
著書に『煮込みの本』(エイ出版社)、
『少ない材料で、簡単に作れる
たまさんちおおらかなおやつ』
(家の光協会)、
『デイリーストック』(グラフィック社刊)、
『季節を慈しむ保存食と暮らし方 暦の手仕事』
『季節の果実をめぐる114の愛で方、食べ方』
(ともに日本文芸社)などがある。

カシミアニットが大好き!という中川たまさん。
肌が弱いこともあって、コットンやリネンなどの
天然素材の服が多く、
冬のニットは絶対にカシミア派だと言います。

「シンプルなデザインのカシミアニットは
20枚くらい持っているかな。
若い頃に、セレクトショップで働いていたときに
買ったものも、いまだに着ています」

そこまでカシミアニットが好きな理由って、
どんなことでしょう?

「いいカシミアは、毛玉さえも愛おしい。
毛玉がある様子も可愛いから、あまり取りたくないくらい。
柔らかな素材だから、長く着ていくうちに、
自分の体に馴染んでくる感じも好き」

肩が凝る服は苦手で、タートルネックもNG。
だからweeksdaysの軽いカシミアは理想的。

「これは楽ちん。特にVネックがいちばん
肩まわりに圧力がかからなくて着やすいんです」

Vネックワンピースには、白いコットンパンツを合わせて。

「お尻が出るのが嫌なので、
このワンピースの丈はいいですね。
パンツにも合うけれど、
ロングスカートを合わせても可愛い。
Vネックのアキも、深すぎず浅すぎずでいい感じ。
今日は中に見えないタンクトップを合わせていますが、
襟アキからインナーの色を見せても楽しいだろうな」

ワンピースを脱いだところで、長女がご帰宅。
そして当然のごとく、試着へ。

「わー、これ超気持ちいい!」

とはしゃぐ19歳の姿に、着心地の良さがうかがえます。
普段から、ちょっと大人っぽくしたいときや、
シンプルなブラウスなどをお母さんから借りることは
よくあるのだとか。

「私のニットはチクチクして大変だから、
ママは着ないけど(笑)」

一方で中川さんは、
丸首セーターにロングスカートを合わせて。
料理研究家という仕事柄、
家で仕事をする時間が長い中川さん。
洋服は着ていてラクなことを重視しています。

「丸首セーターはメンズライクなシンプルさが好みです。
コンパクトなシルエットで重心が上がるから、
パンツでもいいけれど、
フェミニンなロングスカートが合わせやすい。
ウエストがゴムの自作スカートにこのニットだと
ストレスフリーでとことんリラックスできます」

気持ちのいいカシミアニットに包まれて
ゆったりとティータイム。
冬の長い夜も楽しみになるような、至福のひとときです。

わたしとカシミア。 その2 さらりと1枚で。 主婦 金本ソニアさん

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金本ソニアさんのプロフィール

石川県金沢で生まれ育った28歳。
日本人の父とドイツ人の母を持ち、
高校卒業後、ドイツに留学。
現在は、3歳と0歳の息子の母として、日々奮闘中。
おいしいものとおしゃれが大好きで、
来年でき上がるマイホームへの夢が膨らんでいるところ。

いつも洋服をおしゃれに着こなしている姿が
とっても印象的な金本ソニアさん。
小さな子どもと一緒に過ごす毎日でも、
好きなファッションを積極的に楽しんでいる様子が
伝わってきます。

「次男は授乳中ですが、専用の服は持っていません。
今はデパートや公共施設に授乳室があるから、
あまり気にせず、好きな服を着ています」

普段は毎日、息子たちと公園で遊ぶので、
汚れても気にならないようにと、
ワンピースを手作りすることも。

「ベビー服を手作りするようになってから、
自分の服を作るのも楽しくなりました。
好きな生地を買ってきて、息子の服と
お揃いのワンピースを仕立てたり」

パンツもスカートもワンピースも着るけれど、
ハイウエストが好きで、
スカートは膝丈が好き、という金本さん。

weeksdaysのVネックワンピースはちょうど膝丈。
パンツなどを重ねず、さらりと1枚で着るのが
金本さん流です。

「靴下を合わせてもいいし、
タイツを重ねても可愛いですね。
これに黒のスエードのサンダルとか履きたいな」

寒い季節も公園通いは日課だから、
あたたかなニットは必需品。
メンズの大きめサイズを着ることが多いそう。

「旦那さんと共有することが多いんです。
大きめのセーターにパンツとかミニスカートを
合わせています。
旦那さんも買うときに、私が着ることを想定して
選んでくれているみたい(笑)」

なので、weeksdaysの丸首セーターや
Vネックワンピースのような薄手のカシミアニットは
あまり持っていないとか。

「薄手だからコートを重ねても、
着膨れせずに動きやすそう。
丸首セーターは、パンツやスカートに
インすることもできますね。
ハイウエストが好きなのでうれしい!」

いざ着てみたら、その着心地の良さに感動している様子。

「肌が弱いので、セーターはいつも下になにか重ねないと
チクチク痒くなってしまっていたんです。
でもこれなら大丈夫!」

丸首セーターに花柄のテロテロパンツを合わせた
大人っぽい着こなしもとってもお似合いです。

「丸首セーターは、カーディガンのように
肩からかけてもいいですね。
肌触りがよいので、インナー代わりに
白いレースのワンピースの下に重ねてもいいな」

と、どんどん、着こなしのアイデアが湧いてくる様子。

「このベージュの色合いも、着まわしが効きそう。
ネイビーのミニスカートに合わせて白タイツ
という着こなしもやってみたいし、
紫のニットのロングカーディガンの下に着るのもいいな。
イメージはモデルの
アレクサ・チャンのファッションです(笑)」

わたしとカシミア。 その1 10年先もずっと。 MOON mica takahashi COFFEE SALON 高橋美賀さん

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高橋美賀さんのプロフィール

たかはし・みか
カフェオーナー。
「女性ひとりが、仕事帰りに
ゆっくりひと息つけるようなお店を」と
四谷四丁目に
MOON mica takahashi COFFEE SALONをオープン。
大好きな月が見える場所を選び、
夕方から夜にかけてひっそりと営業している。
主にていねいにハンドドリップで淹れた
コーヒーを始めとしたドリンクと、
手作りの焼き菓子を提供。

◆MOON COFFEE SALON
東京都新宿区四谷4丁目28-16 吉岡ビル
火~金曜日の16時から22時(21時30分L.O.)。
定休日は、毎週土・日・月曜日。
不定休が多いので、営業日はインスタグラムで確認を。

◆インスタグラム
@micatakahashi

東京・四谷四丁目で、
コーヒーのおいしいカフェを経営している高橋美賀さん。
着る服は動きやすいことが基本。
そんななか、この数年で、自身のファッションに
方向性が見えてきたと言います。

「今までいろいろな服を着てきましたが、
40代になってから、洋服はたくさんはいらない、
上質なお気に入りを大事に長く着続けたい、
と思うようになりました」

改めて高橋さんの服装を観察してみると、
上質な生地で作られたブラウスやパンツに
フランスのデザイナーの
繊細なゴールドのアクセサリーという
高橋さんのスタイルがあることがわかります。

「そういう服はやっぱり少し高価だから、
若い頃は買えなかった。
でも今は、自分で働いて、
少しずつ集めていく楽しみがあります。
服選びのいちばんの条件は、素材がいいこと。
デザインも色も、
結局ベーシックな定番が長持ちするんですよね」

聞けば、お気に入りの洋服は10年選手もざらにあるとか。

「このカフェを開くために、2~3年、倹約していました。
贅沢をせずにひたすらコツコツ貯めて。
そんなときも、新しい服を買わなくて済んだのは
上質な素材の服を揃えていたから。
長年着ている服が好きなものばかりで、
くたびれない上質な素材だったおかげなんです」

高橋さんの普段の服装は、ほぼパンツスタイル。
ワンピースにもパンツを重ねます。
なにか参考にしている雑誌などはありますか?
と聞いてみたところ、照れながら出してきてくれたのが
10年ほど前のとある雑誌。

「伊藤まさこさんのおしゃれが大好きなんです。
この雑誌もずっととっていて。
今見ても、可愛いなあと思う。
すべてを真似するわけではないけれど、
バレエシューズの使い方とか、
ふわっと女の子らしくて、でもどこか凛々しい。
永遠の憧れですね」

というわけで、伊藤まさこさんがセレクトした
weeksdaysのカシミアニットを知ったとき、
とても気になったのだそう。

「着た瞬間に、軽い! 気持ちいい!って。
コンパクトに見えるから、私のからだには
小さかったらどうしようって心配でしたが、
サイズ感もちょうどいい。安心しました」

寒い時期も、カフェで働いていると暑いから、
厚手のセーターは持っていないそう。

「暑がりなのかな、薄手のニットが好きです。
素材命なので、カシミアは大好き!
直接、肌に触れても気持ちがいいし、
毛玉ができても、手入れして着続けようと思えます」

グレーのVネックワンピースには、
いつものデニムを合わせて。

「ずっと前から持っていたみたいにしっくりくる。
着心地もよく、気持ちが落ち着きます」

ネイビーの丸首セーターには、同じ色のパンツを。

「わ、大人っぽい! 少しツヤがあるから、
同系色でセットアップみたいに着ると、
ちょっとかしこまりたいときもいいですね。
デートにもいいなあ。デートしたいなあ(笑)」

実は、”MOON”のカフェ・オ・レとプリンには、
恋が叶うというジンクスがあるらしく、
高橋さんが知らないうちに、話題になっていたのだとか。

気持ちのいいカシミアニットに身を包んだ店主が
笑顔で迎えてくれるなんて、
それはもう、恋も叶うような気がしてきます。

カシミアのセーターとワンピース

未分類

毎日、袖を通したくなる。

未分類

毎日カシミヤが着たいなんて
ちょっとぜいたく?
いえいえそんなことはありません。
大人なんだし、
がんばっているんだし。
自分を甘やかしたっていいのでは、
なんて思うのです。

去年の冬、
「着慣れたTシャツや、
履きなれたデニムのような
自分になじんでくれるカシミヤのニットを」
そう思って作ったのが、
weeksdaysオリジナルのこの丸首ニット。
今年はサイズ感を少し変えての登場です。

「しょっちゅう着てる」
とか
「気がつくと手に取ってる」
なんて、私の友人たちからもとても好評だった
(もちろん私も)、
Vネックのワンピースも一緒にご紹介。

毎日、袖を通したくなる
カシミヤニット。
あなたの冬のおともに、
いかがですか?

タイツと靴のコーディネート。

未分類

カーディナルレッドのタイツには
スエードの赤いヒール靴を。
同系色でまとめると、
ハッと人目をひく足元になります。
ブーツとはひと味違って、
新鮮な表情になるのもうれしい。
合わせるのはグレーのダッフルコートにしようか、
それとも生成りのボアのコート?
なんてコーディネートを考えるのが楽しくなるのが
カラータイツのたのしいところです。

黒いワンピースに黒のスニーカー。
これで黒のタイツだと
全体的にちょっと重たい印象になってしまうことも。
そんな時には、このカーディナルレッドの
タイツの出番です。
メリハリのある色使いで、
全身を軽やかに見せて。

マスタードと相性のよい茶色の
ショートブーツを合わせてみました。

スニーカーやフラットシューズなど、
タイツの色の出る分量を考えながら、
靴をえらぶのもまたたのしいもの。
少しのちがいで、
ずいぶんと印象が変わるので、
全身のバランスを鏡で確認しながらコーディネートして。

時にはレオパード柄のサボなど、
個性的な靴を合わせても。
デニムやダンガリーのワンピースやジージャンなど、
シンプルな服と合わせて、
思い切り足元を目立たせます。

冬の足元を軽やかに見せてくれる、
大好きなネイビーと白の組み合わせ。
汚れるからと敬遠されがちな白い靴ですが、
専用のシューズクリームを使えば汚れはすぐに落ちるし、
「まっ白」を履く、
という緊張感は、なかなかいいものだと思っています。

もちろん万能なネイビーカラーは、
白だけでなく、
同系色や茶の靴との相性もよし。
一足持っていたい色です。

黒いブーツにネイビーのタイツ。
「全身黒」もいいけれど、
タイツだけネイビーで
ニュアンスをつけるのもまたいいものです。
一見、似た色合いですが
黒とネイビーの微妙な差がいい。
その場合、靴は個性的なタイプをえらんで、
ちょっとだけ足元を主張して。

ネイビー同様、黒いタイツも万能選手。
こんな派手なゴールドの靴も
すんなり受け止めてくれるのは、
黒のおかげ。
本当に助かる存在です。
タイツのおしゃれで気をつけたいのは、
野暮ったくならないこと。
「おしゃれは足元から」の言葉を胸に、
かっこいい足元を目指します。

黒い靴に黒いタイツを合わせるときは、
質感に気を使います。
今回は、ペタンコのエナメルのワンストラップシューズ。
ちょっとテカリのある素材を持ってきて、
黒だけの足元がたいくつにならないようにします。
白いコットンのワンピースに、ニットを重ね着、
なんていうコーディネートがきっとお似合い。

(伊藤まさこ)

定番になるようなアイテムを。

未分類

伊藤
玉井さんは、板井さんから
「一緒にやろう」と声をかけられたとき、
どう思ったんですか。
会社の中で働くというのと、
独立して自分たちだけの責任で仕事をしていくのって
全然違いますよね。
玉井
はい。それまでは彼女に素材提案をして、
職人さんの紹介をして、彼女が形にして、
という関係で、会社員同士で、
5年ぐらい一緒に仕事をしてきましたが、
環境が変わるわけです。
でも、よかったなと思っています。
私も大きな会社に属していたので、
必ずしも売りたいものが売れるわけじゃないんですね。
当時、スポーツ用とか、機能性の高いものが
流行していたこともあって、
私はどっちかと言ったら、
天然繊維よりも化学繊維を売る
仕事がすごく多かった。
営業の知識は蓄積されていきましたが、
それは売りたいものとはギャップがあったので、
とても疲れていたんですね。
そんななか、天然繊維でやりたいという
板井の提案が、楽しかったんですよ。
そして、彼女が辞めて独立を考えていると聞いて、
しかも、一緒にやらないかと誘ってくれて、
私も、すごく悩んだんです。
6年間勤めて、自分なりにも頑張ってきたし、
楽しかったから。
ただやっぱりギャップを感じたまま
仕事を続けていくのは嫌だったんですよね。
そこで、私もステップアップしたいなと考えて、
板井と一緒にやろうと、会社を辞めました。
板井
たぶんふたりは同じような気持ちだったと思うんですが、
「この会社ではやり切ったな」と。
良い悪いではなく、会社でできることと
個人でできることって全然違う。
やっぱり次は個人でやるべきことを
自分は目標にしてるんだなというのが、
明確にあったんです。
伊藤
でも最初から順調というわけでもないですよね。
きっと。
玉井
はい。でも嫌だなとか、苦しいなというのは‥‥。
板井
なかった。
玉井
まあ、でも1年間は
ほんとに手売りみたいなことばっかりしましたよ。
板井
道端でね。
伊藤
道端で?!
玉井
はい(笑)。道端はちょっと言い方が悪いですが、
各地で開かれる販売イベントですね。
まさしくテントを張って路上で、という感じなんですよ。
5、6年前は、そういうイベントがほんとうに多くて。
板井
定期的に行なわれているものもあれば、
町おこしみたいなイベントもあって、
とにかくいろいろ参加していました。
玉井
客層もいろいろで。
段ボールを2人で持って、テントもかついで。
雨に打たれる日もありましたよ。
板井
ビチャビチャになって!
玉井
それを1年間、毎週のように続け、
カーマンラインを知ってもらうという活動をしました。
伊藤
反響はどうでしたか。
玉井
リピーターの方がたくさんうまれて。
伊藤
よかった! そういえば、
最初に2人がつくった靴下って、
どんなものだったんですか。
板井
自分たちの星座の、
おうし座とふたご座をデザインした靴下でした。
伊藤
素材は、最初からこれでいこうみたいに決めたんですか?
天然素材だけで行こう、とか。
板井
靴下って、デザイン重視になりすぎても、
素材重視になりすぎても、バランスを欠くんです。
やはり使う機械に合う糸であること、
はき心地とデザインの均衡が保てること。
どれも極端に飛び出ることがないようにしています。
あんまりデザインや素材に特化し過ぎると、
機械をだいぶ無理させてしまうと、
昔から感じていたので、
なるべくそういうことはせずに、
「ずっと穿きたいもの」というので、
納得いかなかったものは出さないようにして。
そんな考えを基本にしつつ、
混率は天然素材を高くしていますが、
例えば3割ナイロンが入っているものは、
強度のために入れるなど、理由があります。
でも表糸にはなるべく天然素材100%の糸を使い、
裏糸で調整をしているんですよ。
伊藤
機械にも色々あるんですね。
古い機械だからこそできることも?
板井
そうですね。古い機械だと、
手編みっぽい何とも言えない味わいが出たりします。
靴下のできること、できないことって、
かなり限られているんです。
洋服ほど自由じゃない。
さらに職人さんの気持ちもあります。
職人さんが手間をかけて一緒に取り組んでくれるかどうか。
現実的に難しいことも、微妙にあったりするので。
伊藤
むずかしいものですね。
玉井
この靴下、初めてコットンとカシミアっていう
ちょっと変わった組み合わせでつくったものです。
去年のものですけれど。
伊藤
わぁ、かわいい!
玉井
こういうものをつくるのは、
機械も大事なんですが、
やっぱり職人さんの微調整がいちばんなんです。
特に今回「weeksdays」でつくったタイツは、
カーマンラインを立ち上げてから知りあった
職人さんなんですが、
靴下よりも長いものを作るという難しさは、
ほんとうに勉強になりました。
タイツ屋さんの機械調整って、また、すごいんです。
靴下よりもかなり厳しい環境の中でつくっている。
伊藤
そうですよね。
ウエストの部分とかお尻とか立体的なものを、
苦しくならないように形成するんですもんね。
玉井
そうなんですよ。縫製と裁断という、
靴下にはないものが2つもプラスされてるので。
これは、最初に伊藤さんに気に入っていただいたタイツと、
同じ工場でつくっているんですよ。
前はウールでしたが、今回は95%コットンです。
伊藤
無地のコットンにして頂いたんですよね。
玉井
ウールはやっぱりシーズンが限られるので、
シーズン的にずっと穿けるものをということで、
コットンを選ばれましたね。
でもコットンがタイツになるって、
あんまり見ないんですよ。
伊藤
そうですよね。
私は靴下をあんまりはかないんですが、
冬は、タイツの需要がすごくあって。
それでタイツを探すと、
世の中には、あんまり綺麗な色がない。
黒やネイビーももちろん必要だから、
今回つくって頂いたけれど、
もうちょっと冬の足元を軽く、
明るくしてもいいんじゃないかなと思ったんですよ。
それでコットンの無地。
伊藤
今、ウェブサイトに掲載されている販売店も
かなり増えてきていますよね。
手売りというのは今もやっていらっしゃる?
板井
今はほとんどやっていないんですが、
2017年からは自分たちが主催して、
ご愛用いただいているお客様や
お世話になっている方々をお迎えするイベントをして
年末に1回だけテーマを決めて、
ものづくりされてる方や仲良くしてくださってる方にも
ご協力頂いて。
伊藤
いいですね!
カーマンラインは今も2人だけで運営を?
玉井
はい、2人だけなんです。
板井
細かい作業などを友達に
手伝ってもらったりはしていますけれど。
伊藤
会社員の時代は新作のタイミングは
年に4回ということでしたが、
今はどうなさっているんですか。
玉井
あんまり決まりをつくっていないんですよ。
伊藤
ああ、いいですね。
できたときが、出すべきとき。
板井
はい。絶対このシーズンに出す、
とかはないですね。
もちろん「このシーズンに」とは思うんですけど、
このままじゃまだダメだなと感じたら、
次のシーズンまで見送ります。
玉井
でもタイツは早かったですよ。
デザインがシンプルだということと、
職人さんが間違いなかったので。
伊藤
よかった。
逆にゆっくりつくったものはありますか。
玉井
子供の靴下は、時間がかかりましたね。
板井
慣れていないものを職人さんに
つくってもらうのは時間がかかるんです。
ほんとに会話で生んでいく仕事なので、
最初のサンプルの前のすり合わせから時間がかかる。
そしてサンプルがあがってきてはじめて、
改良点が見つかる。
その繰り返しです。
玉井
これが子供用の靴下です。
1歳から2歳用ですね。
しかもお母さんとおそろいなんです。
伊藤
すごくかわいい!
玉井
見てわかるように小さいじゃないですか。
そもそも、その機械を持ってる職人さんが、
本当に少ないんですよ。
伊藤
ただちっちゃくすれば
それでいいという問題じゃないんでしょうね。
玉井
それでつくられているところもありますが、
やっぱり、ちっちゃいときこそ大事だと
カーマンラインでは考えています。
伊藤
特に子供は敏感ですもんね。
今回のタイツづくりは、いかがでしたか?
玉井
すごくドキドキしながらつくりました。
こういう形でものをつくるのも初めてですし、
最初はすべてが緊張でしかなくて。
素材は使ったことがありましたが、
こんなふうに別注で作るのは初めてだったんです。
梱包の袋も、伊藤まさこさんと組む、
ということも含め、いろんなイメージから、
2人で生地を探して、
前の帆布よりかこっちがいいねと選びました。
「weeksdays」限定ではないのですが、
このタイミングで変えたので、
皆さんに初めて見て頂く形です。
伊藤
嬉しいです。
これがあると、旅行など、
ちょっとしたものと持っていくのに軽くて。
玉井
ほんとですね。
皆さんに広がれば嬉しいです。
私たちが想像できなかった色を
新しくつくらせてもらったというのも
新しい発見になりましたし、
それがまた広がれば嬉しいなって。
伊藤
タイツって「洋服と合わせやすい」という基準で
色を選びがちですが、今回選んだ色は、
二ットを選ぶみたいな感覚でいいと思ったんです。
主役かと言われるとちがうだろうし、
でもこんな色があったら楽しいでしょう? って。
ああ、この冬が、楽しみになりました。
これから毎年、
新しい色ができるといいですね。
板井
はい、ぜひ!
伊藤
きょうは、ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
玉井
こちらこそ、よろしくお願いします。

KARMAN LINE(カーマンライン)の
展示会のおしらせ

靴下がつくりたい。

未分類

伊藤
カーマンラインを知るきっかけは、
梅田阪急の『生活のたのしみ展』に
おふたりが来てくださったことでした。
製品サンプルをお預かりして、
さっそく使ってみたんです。
それはウールのタイツとソックスだったんですが、
すごく「しっくりくる!」と思って。
玉井
ありがとうございます。
伊藤さんが似合いそうなものを
いくつか選んでお届けしたんです。
伊藤
袋に入っていて、
「かわいいな」ということも含めて、
「しっくり」来たんですよ。
製品はいいのに、包装が残念とか、
そういうものが世の中には多いなか、
こまやかな部分までブランドの筋が通っていて、
いいなぁ、と思ったんです。
それでおふたりが大阪から東京にいらっしゃるときに、
あらためてお目にかかって。
それで「こんなものがつくれたらうれしい」
ということをお話ししましたね。
それから1年、こうしてコラボレーションした
製品ができあがりました。
ありがとうございます。
板井
私たちも、とても嬉しいです。
伊藤
そもそも、なぜ、靴下を、
この2人でつくろうと思ったんですか?
きょうは、そんなことをお聞きしたくて。
板井
私は、小さい頃からデザイナーになりたいという
夢があったんですけど、
そういうふうに夢に描くのは「洋服」ですよね。
それでそういう学校に入学して、
在学時も含めて、洋服の販売員を5年ほどしました。
販売を卒業する気持ちが整い、退職後に企画の仕事を探し、
大阪のメーカーに就職をしたんですが、
デザインというのは経験がないと難しいということで、
営業に配属になったんです。
ところが、その担当した洋服のブランドが休むことになり、
デザイナーも辞めるという話になって。
そのとき、社長から一回考えてと言われ、
自分を見つめ直したんです。
そこで思ったのは、自分自身、背が高くないこともあって、
小物でファッションを楽しんできたということに
気がついたんです。
伊藤
身長、お幾つですか。
板井
150センチぐらいなんですよ。
だからどうも合う洋服がなくて。
玉井
しかも、華奢ですしね。
板井
だから帽子だったり、靴下だったり、
アクセサリーに魅かれるんだと思います。
ちょうどそこのメーカーのお客さんたちからも
靴下を作って欲しいという声を聞いていたので、
自由な気風の会社だったこともあり、
靴下のブランドを立ち上げさせてくださいと、
社長に直談判したんです。
伊藤
ん!!! すごい。
板井
それでOKが出て、
「やりたいんだったら一緒に頑張ろう!」と。
社内でも初めてのことだったので、
社長が一緒に工場を探してくれたりして。
伊藤
ほんとうに、いちからのスタートだったんですね。
板井
そうなんです。会社のある大阪から、
靴下の産地である奈良に足を運んで
工場を探す、というところから始めました。
私も経験がなかったので、
靴下の世界は知らないことばかり。
年配のベテランの男性の職人さんたちに
素材のことやつくりかたを聞く、
ということからでした。
伊藤
飛び込みで行っても、
皆さん快く話を聞いてくださったんですか。
板井
はい。まずは電話をして、
「お願いします。こういうことをしたいんです」と。
工場によっては、ちょうど世代が変わり、
息子さんが継ぐっていうタイミングでもあったりして、
職人さんについて頑張ってる息子さんがいたりとか。
そんななか、引き受けてくれる方があらわれて。
伊藤
先方もあたらしいことを始める時期で、
面白そうだな、と思われたんですね。
板井
そうかもしれないですね。
そんなふうに少しずつ取組先を増やしていって、
型数も増えていきました。
やっぱりそれぞれの工場でこれが強いとか、
これが特徴ということもあるので、
そういうのでまた違うものをつくることができて。
そうするうちに、素材に興味があった私に、
糸の会社の詳しい人を、と、
紹介してくださった職人さんがいたんです。
その糸の会社の人というのが、
のちにいっしょに「カーマンライン」を
立ち上げることになる、玉井だったんです。
伊藤
そんなご縁が!
板井
はい。まず、この業界に
女性がいるということが私は新鮮でした。
玉井
なかなか、いないんですよ。
伊藤
ええっ? 女性が穿くものをつくるのに。
玉井
そうなんですけど、
素材メーカーや工場って男性ばっかりなんです。
そこで私は珍しい女性の営業で、
靴下の職人さんに糸を売る仕事をしていたんですね。
板井
いっぽうで、靴下工場のおじさんたちは、
私に言うんです、
素材のプロから直接話を訊いた方がいいよと。
新しい糸とかも全部教えてもらえるよ、と。
玉井
素材メーカーの営業は、
職人さんと話すことが多くても、
デザイナーやアパレルの方とつながることは
あんまり多くないんですよ。
それで板井と知りあって。
伊藤
職人さんをはさんで、
伝言ゲームみたいになってたんですね。
玉井
そうなんです。
伊藤
板井さんは、つくりたい靴下があって、
それを実現できる工場や素材を探す、
という感じでしたか?
板井
そうですね。
そのメーカーの洋服を着る人が穿くテイストの靴下、
ということでもありましたし、
私自身、コンセプトを考えることも好きで、
ちょっと言葉を添えたものづくりをしていました。
春夏秋冬、年に4回の展示会があり、
毎回がほとんど新作でしたが、
たとえばシーズン毎に「世界の国」をテーマにして
観光地や建物をイメージした柄をつくったり。
伊藤
アパレルでの靴下づくりは、
何年のことですか。
板井
2008年頃のことです。
そちらで6年ほどお世話になって
2014年に独立をしました。
伊藤
独立したきっかけは何だったんですか。
板井
その会社の仕事も、とても楽しかったんですね。
がむしゃらにつくっていて、
知識を得ることもたくさんあって。
ただ、新しいものばっかりつくっているので、
お客様のところに届いたあとのことが、
わからなくなってきたんです。
その後どう変化していくんだろうとか、
どう洗ってあげたらいいとか。
私が接するのは卸先のかたがたなので、
ものづくりの想いは伝えられるんですけど、
どういう方が穿いているのか、
リアルなお客様はどんな気持ちなのか、
わからなかった。
それで、ちょうど玉井と会って、
彼女の知り合いのカフェで
直接の販売をさせて頂くことになったんですよ。
それで週末、自分が接客して
売るということをしてみました。
そこでお客様に直接ふれたことで、
「もっと直接伝えたい」という気持ちが
すごく大きくなっていきました。
自分の中では「ものづくり」をしていたつもりでしたが、
ここで一回立ち止まって、振り返りたいなと。
伊藤
うん、うん。
板井
私も30歳になり、気持ちの変化もあって、
洋服もちょっとテイストが変わってきた。
仕事でも、どんどんあたらしいデザインを
つくるというよりも、
定番をつくり、それをアップデートしていく、
そういう愛されるものづくりをしたいなと思ったんです。
それで会社に「新しいことをしたい」と
退職の意向を伝えました。
ちょうどそのタイミングで
社内でやりたいという人が現れ、
3人が引き継いでくれことになったので、
これまでの仕事を引き継いで、独立をしたんです。
伊藤
その会社にいて培った人脈や
工場のつながりなどを
「置いていくように」ってならなかった?
板井
はい。何も言われなかったです。
若い頃、販売員を辞めたときみたいに、
私には前に進みたいという気持ちがあって、
それを理解していただきました。
伊藤
じゃあ、つながりをそのまま持って、
知り合った皆さんとも引き続き仕事ができる体制で。
板井
そうですね。
引き続きお付き合いいただいている工場もあります。
もちろん新しい試みもあったので、
自分たちで新しい工場を開拓したり、
思いもしないタイミングでご縁をいただいて、
お仕事に繋がることもありました。
そして、独立にあたって、玉井を誘ったんです。
一緒にやりませんかって。
それが「カーマンライン」のスタートでした。

KARMAN LINE(カーマンライン)の
展示会のおしらせ

KARMAN LINEのカラータイツ

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