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もう撮れない写真がある
- 長野
- 写真展とか、写真集で
写真を並べていく行為は、
小説家が物語を書いていくような作業ですよ。
1枚の写真だけで見るんじゃなくて、
何枚も何枚もある写真のつながりの中から、
その人のストーリーをつくっていく。
でもInstagramは
そういう作業ではないってことですよね。
Instagramでは一度に10枚しか上げられないし、
別にそこにつながりなんかなくても、
1枚1枚が映(ば)えてればいい、
バズればいいってことなんです。
- 伊藤
- 写真集を出すときに、並びを考えるでしょう。
この写真とこの写真の間に、
写っていない「行間」みたいなものがあるでしょう?
- 長野
- そうですね。まさこさん、
すごくいいことを言いますね!
- 伊藤
- 彼らは、そんな行間は、考えないってこと?
- 長野
- はい、だから、それがあるよってことを、
僕が学校で教えてるんです、今。
- 伊藤
- 反応はありますか?
- 長野
- 面白がってくれますよ。
面白がってくれるけど、
卒業後の目的がそういう方向じゃない、
自分の作品がそういう方向じゃない学生は、
「そういうものなんですね~」ぐらいです。
でも、そういうふうに写真に携わっていきたいって
思って気づいた人は、面白がってくれてます。
- 伊藤
- じゃ、そんな彼らに教えてて、触れ合って、
長野さん自身が「よっしゃ」みたいな
刺激をもらえることとかもある?
- 長野
- あぁ、もちろん!
「よっしゃ」というか、
もう自分には撮れなくなったものって、
たくさんあるので。
- 伊藤
- え、何? 何?
- 長野
- たとえば『シマノホホエミ』なんて、
もう、今、撮れないんですよ、僕。
当時のようには。
- 伊藤
- そうなの?
- 長野
- だって当時、僕は20代後半で、
今53歳ですから。
53歳のおじさんが
10代の子に声を掛けて写真撮ってたら、
もうヤバイじゃないですか。
- 伊藤
- そりゃ、ヤバイかもしれないけど(笑)。
でも、そのときの、ああいう新鮮な被写体に
向かい合う気持ちは変わらないんじゃない?
- 長野
- うん、被写体に対してはそうですね。
その人たちを目の前にしたときは、
僕は20代のときと、気持ちの中では同じつもりです。
でもそれを写真にしたときに、
たとえば今息子が14歳だから、
あぁ同じ年ぐらいかぁと、
親の目線や気持ちが生まれちゃう。
昔は、年齢は違えど、対等だったんです。
1人の被写体がいて、僕はいち写真家で、
全く知らない人に声を掛けて、
写真を撮らせてもらうだけの関係で、
そこで作品づくりができていたんです。
たけど、今だったら、
親御さんにちゃんと知らせなきゃいけないなとか、
家がもし近所で、お母さんがいらっしゃるようでしたら、
ちょっと一言だけ挨拶したい、
名刺だけでも渡したいからみたいな、
そういうアプローチになっていくじゃないですか。
そうなってくると、撮ったときの感じが、
もう、変わってしまうんですよ。
「この人を撮りたいな」というだけで撮れなくなる。
- 伊藤
- 大人になってきたってこと‥‥。
- 長野
- そう! 自分が大人になってるし、
責任が生まれちゃってる。
だって、僕は自分の作品として、
その人に何の利益もないのに
発表するわけじゃないですか、
‥‥とかそういういろんなことを
考えるようになっちゃった。
- 伊藤
- 逆に若いときは撮れなかったけど、
今はこれが撮れるっていうことはありますか?
- 長野
- あぁ、いっぱいあるんじゃないかな、それは。
- 伊藤
- たとえば、何ですか?
- 長野
- 若いときは、水平・垂直とか、
気にしてなかったですが、
風景や建築、そして料理もそうですね。
いまでは水平・垂直と光がどうあたっているかを
気にするようになりました。
- 伊藤
- 技術的なことですね。
- 長野
- はい。つきつめることで発見することがあって、
そこから次の写真が生まれる。
でもね、水平垂直を悩んでる間に、
失ってくものっていっぱいあるんです。
撮りたいなって思ったとき、
ポジションを探る間に、
光が変わっちゃった、とか。
シャッターチャンス、ってそういうことですよね。
そうすると、やっぱり変わるんですよ、気持ちも。
ちゃんとしようとすると、その間に。
でも若いときって、
そのままワッと押しちゃったりとか、
ちょっと露出が暗くても、
ちょっとピントがズレてても、それがよかったり、
「だから撮れるもの」があるんですよ。
学生の写真は、
写真としては未熟なわけですよね、ある意味。
でもそこに、
すごく人の心を惹きつける力がある。
- 伊藤
- 歌や演技もそうかもしれないですね。
達者だからといって
魅力的な人っていうことでもないんですよね。
- 長野
- そうです、そうです。
「自分の写真はこうだ!」っていうふうに
決めて撮影をしている人からしたら、
僕が今話したことは、
そんなに大事なことじゃないかもしれないですけど、
僕は10代が被写体だったので、
そこのキラッと光る感じとか、
未来をもってるとか、青春とか、
なんでもいいですけど、
未完成のよさみたいなものに、
未だに敏感なんです。
学生の作品には、結構、それが詰まってるんですよね。
昔俺もこんなふうに見てたなぁとか、
懐かしくなっちゃうというか。
あと知らない世界。
こんなところがあるんだとか、
全然自分が知らない世界があるんだということ。
その人の実家でもいいんですけど。
うちにはないわ、このマッサージ機とか、
すごく面白いですよ。
これどこで買って来るんだよ、この銅像、
みたいなものとか、
自分の知らないものが写ってるんです。
それは、精査されてないから。
- 伊藤
- その「精査されてない」っていう意味だと、
わたしはもうほんとに余分なものを
精査しちゃう癖があって。
- ──
- 伊藤さん、撮影現場で、
「情報が多いから減らしましょう」って、
よく、おっしゃいますよね。
- 長野
- (笑)
- 伊藤
- その癖はなんだろう。
すっきりした写真が好きっていうのもあるんだろうな。
あとは、料理やもの、服など、
撮りたい対象物があるから、
それを主役にして、と考えると
情報を押さえたほうが、
主役が目立つというのもあります。
- ──
- 伊藤さんのスタイリングの仕事と
おんなじですね。
- 伊藤
- これはわたしがスタイリストになる
少し前の話なんですが、
たとえばレストランのメインディッシュを撮るのに、
その手前に前菜があって、
後ろにデザートがあって、
バチバチに全部にピントが合っている、
そんな写真が雑誌では主流だったんです。
そこにワイングラスが横に倒れてて、
ワインの瓶もあって、
空いたところにバラの花があって、
っていう世界だったんですよ。
- ──
- 大御所の料理写真家たちがつくりあげた世界ですね。
料理写真はこうあるべきだっていうのが、
確立された時代がありました。
それが日本の婦人雑誌の料理ページの質を
高めていったんですよね。
- 伊藤
- わたしがこの世界に入ったときも、
4×5(しのご)の大きなフィルムで、
大きなカメラで撮っていました。
でも、22歳ぐらいのわたしにとって、
それはちょっとだけ疑問だったんです。
- 長野
- そうでしょうね(笑)。
- 伊藤
- こんなテーブルは一般家庭にはあり得ないし、
一皿一皿食べるものなのに、
何でこんなにいっぺんに並ぶのかな? とか。
それは写真1枚で
すべてを表現しなきゃいけなかったからなんですけれど。
- 長野
- うんうん。
- 伊藤
- それでわたしは情報を精査する、
という方向のスタイリングを続けてきたんです。
でも最近、情報の少ないすっきりした写真を
撮る人が多くなったので、
逆に、こってりしたスタイリングにも
興味が出てきたんですよ(笑)。
- 長野
- おぉ~! いいじゃないですか!
やって下さいよ!
- 伊藤
- 自分も変わるものなんだなぁと思ってます。
別にわたしが写真を撮るわけじゃないけれど、
写真の中におさめるものをつくってきて、
ちょっと飽きてきたのかもしれませんね。
アコーディオンアルバム、 わたしの使い方 伊藤まさこ
黒のフォトコーナーに合わせて、
黒い台紙にした今回のアコーディオンアルバム。
じつは、そのもととなったのは、
わたしが30年前に作ったアルバムでした。
一眼レフを持ちながら、
およそ1ヶ月のパリ一人旅。
その時は、時間があったのでしょうね、
ものすごくたくさんの写真を撮って帰ってきたのですが、
困ったのはその綴じ方。
見ると、どれも「いい!」と思った
瞬間なのでしょうけれど、
どうにも写真が拙くて。
なんとか上手く、
そして思い出の写真を美しく見せたいと思い、
試行錯誤した結果、黒い台紙に行き着いたというわけ。
今回は、そのたくさんの写真の中から、
さらにえらんで、飾って見せたいものを、
アコーディオンアルバムに貼ってみました。
まず最初は、カフェの写真。
20代の一人旅。
地下鉄に乗ることももちろんあるけれど、
なんと言っても、どこを歩いても美しいパリですから、
おのずと移動は徒歩になる。
途中途中で、佇まいのよさげなカフェを見つけると、
道に面した席に座ります。
必ず頼むのはカフェクレーム。
「マドモワゼル、お待たせ~」なんて言われながら、
カフェの給仕のおじさんが、
カップの横に添えてくれるのは、紙に包まれた角砂糖。
当時、そんな包み紙にいちいち感動し、
大切に持って帰ったわたし。
ハッと気づけばけっこうな量のその包紙を、
写真の横にテープで貼って保存していたのですが、
なんせ30年前のもの。
テープが劣化して、
茶色くなっているのが気になっていたのでした。
今回、そのテープをそっとはがし、
アコーディオンアルバムに。
フォトコーナーは、角さえあれば、
こんな変則的な形も留めることができるんです。
そしてできたのが、この見開きふたつ分。
なかなか行けないパリ。
しばらくリビングに飾って、
懐かしい思い出を振り返ろうかなと思っています。
この見開きは、
石と黒。
貼るものは自由ですが、
なんとなくテーマを決めると収まりがいいみたい。
今ではすっかり写真はパソコンの中に保存していますが、
紙焼きされたものっていいなぁ。
今回あらためて、そんなことを思いました。
紙が好きという気持ち
- 伊藤
- 若い子って雑誌読まないって言いますよね。
- 長野
- そうなんです!
- 伊藤
- ちょっとうっすらと悲しみがあります。
雑誌文化で育ったから‥‥。
- 長野
- これ、自分の息子には
全く理解してもらえない話なんですよ。
- 伊藤
- この前、若い人にインタビューしたとき、
「買う洋服を、いいなと思うきっかけって何?
たとえば雑誌とか?」
って訊いたら、
「ううん、全然、雑誌は読まない。
Instagramとか、
アイドルのあの子がテレビで着てるのが
いいなって思うとか‥‥」
という答えでした。
- 長野
- そうなんです(笑)。
- 伊藤
- それですぐ検索して、
オンラインで買い物、なんですって。
- 長野
- そう、検索ですよね。
- 伊藤
- はぁ‥‥、とため息。
- 長野
- この話、僕らのような、
雑誌を見て育った人にしかない
感覚なのかもしれないですよ。
- 伊藤
- そうなんだけれど、
この日めくりカレンダーなんて、
自分の毎日の始まりになるんだから、
やっぱり紙にしたかったんです。
デジタルじゃなくてね。
まぁデジタルで日めくりカレンダーは
見ないのかもしれないけど、
やっぱり何かを行動起こすみたいなときに、
紙にプリントされてるっていうのが
大事なことだったんだなって、
長野さんとこうしてお話しをしていて、
気づきました。
- 長野
- なるほど。つくった後に思ったんだ?!(笑)。
- 伊藤
- そう、つくった後に(笑)。
- 長野
- 結構、今、古い雑誌を買い直しているんですよ。
昔、欲しかった号とかを、
ヤフオクとかで探したりして。
- 伊藤
- へぇ~!
- 長野
- やっぱ紙の雑誌じゃないと伝わらないことって、
すごくあるなぁと思ってます。
- 伊藤
- 開いたときにワクワクする感じ。
- 長野
- 写真に関しては、雑誌のサイズ感も
大事だなと思ってます。
文字もそうですけど、
iPadで横位置にすると
写真もちっちゃくなるじゃないですか。
だから縦にして片ページずつ見るんですけど、
片ページだけ見てると、
雑誌を読んでいる感じじゃないんですよね。
デジタルならではの、縦横がクルッと回転したり、
必要なところが拡大できたりするのも、
なんだか違和感があって。
- 伊藤
- わたしたち人間の、ほんとのベースっていうのは、
あんまり変わってないはずなのに、
わたしが仕事を始めた30年ぐらい前と、
今とでは、ほんとにいろんなことが変わっていて。
- 長野
- そうですね。
やっぱりデジタルネイティヴかどうかっていうのは
大きいかもしれない。
- 伊藤
- 雑誌は紙だから楽しいっていうのも、
そういう楽しい時代を過ごしたわたしたちだからで、
うちの娘や長野さんの息子さんの世代だと、
また違うのかもしれませんね。
- 長野
- 本人たちからしてみればデジタルが自然なんでしょう。
情報の古い・新しいについてもね、
たとえば息子がローリングストーンズのTシャツを、
昨日買って来たんです。あの「ベロ」のね。
で、聞いたら全然知らないんですよ、
ストーンズの存在すら!
- 伊藤
- え!! そうなんだ~。
かっこいいから、みたいな感覚なんでしょうね。
- 長野
- じゃあストーンズに興味を持ったのかなと思って、
「この曲がいいから聴きなよ」なんて言っても、
「そういうことはいいんだよ」っていうような感じで、
全然興味がない。
多分僕が持ってる過去のことは、
若い人たちからしてみたら、
「とりあえず今はいい」みたいな。
大人になって、ほんとに好きになったら、
掘り下げるんでしょうけどね。
- 伊藤
- でもあるとき、つながるかもしれない。
あ、これ、あのときのあれだったんだ、みたいな。
- 長野
- そこに自分で気づけばね。
僕ら、どうしても、昔のものと今のものを
比べるじゃないですか、
比べないと気が済まなくなっちゃってる。
それがないんですよ。
だから写真もおんなじような感じだと思います。
これからデジタルで写真を始めた人は、
僕のフィルム時代ならではの話は
多分理解できないと思う。
- 伊藤
- 現像が上がってくるまでのドキドキする感じとかも、
面倒臭いって思う人もいるのかもしれない。
- 長野
- それがね、僕らのときのその感覚とはちょっと違ってて、
若い人たちのほうが、それを楽しんでるんです。
僕らのときはそれしかなかったから
面倒だなあなんて思っていたけれど、
今の人たちはデジタルがあってのフィルムでしょう、
だから現像の時間を待つことも含めて楽しみなんですよ。
- 伊藤
- デジタルの配信で音楽を聴くと、
レコードに針を落として聴く違い、みたいな?
- 長野
- そうですね。
僕らはレコード側ですよ。
- 伊藤
- そっかぁ。
- 長野
- 若い人たちも今レコードが好きだけど、
それは多分サブスクがあるなかで、
感度のいい人たちが気づいたんでしょうね。
- 伊藤
- ちなみに息子さんは、iPhoneを使って
何を撮ってるの?
- 長野
- 友達とかじゃないかな。
- 伊藤
- 自撮り?
- 長野
- そういうのとか、遊びに行って友達を撮ってたりとか。
今、僕、写真の学校で教えてるんですね。
学生は皆デジタルネイティヴだから、
僕らが共通で認識している写真家、
たとえば川内倫子さんとかの名前を出しても、
知らないできているんですよね。最初はね。
- 伊藤
- えっ?
- 長野
- 彼らにとっての憧れの写真家は、
Instagramでフォロワー数の多い人、
なんです。
- 伊藤
- えっ?!?!
- 長野
- その人たちこそが写真家で、
土門拳だろうが木村伊兵衛だろうが(*)、
誰ですかそれ? って感じなんですよ。(*)土門拳(どもん・けん)は1909年生まれ、
木村伊兵衛は1901年生まれ、ともに20世紀に活躍した写真家。
- 伊藤
- えーっ??!!
その彼らは‥‥何がしたいの?
- 長野
- もちろん、写真が撮りたくて来てるんです。
- 伊藤
- それを仕事にしたいのかな?
- 長野
- そうですね。どこまでどんな仕事を
理想としているかは分からないですけど。
- 伊藤
- そうなんだ!
- 長野
- そういう状態の学生に、
先生たちが、写真の歴史や、
現代写真ができ上がるまでの流れ、
そのときに出てきた機材の話、
こういう機材があったから、
こういう写真が撮れるようになった、
ということを教えて、
初めて、僕らが出してる「写真集」っていう
本の存在を知っていく。
- 伊藤
- ‥‥すごい。今、衝撃すぎて‥‥。
- 長野
- 衝撃でしょ? そりゃ、全員じゃないですよ。
でも大半がそう。半分ぐらいかな。
たとえば高校に写真部があって、
写真甲子園を意識して活動してました、という人たちは、
顧問の先生からそういうことを教えてもらって、
フィルムを現像してプリントする
暗室作業まで知ってるんですけど、
それでも、写真の文化をほとんどの人が知らないし、
興味がないとすら言ってもいいんじゃないかな。
今、SNSは、フォロワーというかたちで、
はっきりした数字が出るでしょう。
何がよくて何が悪いか、ではなく、
皆が敏感に見てるもの、
バズる写真とか映(ば)える写真が
「いい写真」っていう価値観が
確実に、明確にあるんです。
- 伊藤
- ショックですね。
- 長野
- はい、ショックです。
- 伊藤
- そして、すごく面白いです、このお話。
スマホじゃないと撮れない写真
- 長野
- ポラロイドのサイズにしたのは
まさこさんのアイデアですか。
- 伊藤
- はい。昔からあのサイズがすごく好きなんです。
フィルム時代、自分が撮った写真も、
そのサイズでアルバムに挟んでいたんですよ。
- 長野
- あぁ。ポラロイドフィルムを切ってってことですね?
- 伊藤
- ううん、ポラじゃなくて、
普通にプリントしたものがあるでしょう。
現像であがってくるのは
標準サイズ(89×127mm)なので、
その縦横を切って、
ポラロイドサイズ(77×79mm)にして。
- 長野
- あぁ~! はいはい、わざわざ!
- 伊藤
- いま見返すと、恥ずかしいんだけれど。
- 長野
- え、見たい。ちょっとだけ見せてください。
- 伊藤
- (オンラインですこしだけ見せて)
ほんとに20代のとき(笑)。
パリで撮った写真とか。
- 長野
- あぁ、いい写真じゃないですか!
全部、手で切ってるんですもんね? ご自分で。
- 伊藤
- はい。暇だったんです、昔は。
- 長野
- マメ! ちゃんとしてる。わぁ!(笑)。
- ──
- Instagramの前から
Instagramの感覚だったんですね。
- 長野
- 正にそうだと思いますね。
- 伊藤
- それで、日めくりカレンダーも、
ポラロイドの体裁にしたいなぁと思う気持ちがあって。
ぱっと渡せる写真、というのも、
いいところですよね、ポラロイド。
‥‥って、その話はいいんです、
長野さんの写真の話に戻ってもいい?
- 長野
- どうぞ(笑)。
- 伊藤
- iPhoneで撮った写真について、
もう少し聞かせてほしいな。
普段のメモ代わりにも、たしかに使うけれど‥‥。
- 長野
- はい。撮ったときは、そんな感覚ってことですね。
でも、後々、iPhoneで撮った写真を
写真集に使うか、というと、
ないとは言い切れないと思っているんです。
今のところはないですけど、
そういうときが来ると思うんですね。
なぜなら「それしかない写真」が、
多分あると思うんです。
iPhoneでしか撮れなかったっていう写真が。
- 伊藤
- iPhoneでしか撮れない瞬間っていうのは、
たとえばどういうことかなぁ?
- 長野
- たまたまカメラを持ってなかったとか。
- 伊藤
- 偶然集まった人たちを撮ったら、
すごくよかったとか?
- 長野
- たまたま、そういうことってありますよ。
そういうときに、iPhoneだからダメだなんて、
僕は全然そういうふうに思ってないんです。
撮った写真は、写真だと思ってる。
全然抵抗はないですよ。
写真集に、iPhoneの写真が、他の写真と混ざっても。
ただ、ひとつだけ気にしてるのは、
iPhoneの写真って、液晶画面で見ることが多い。
これが、そこで見てるときはいいんだけど、
たとえばパソコンの画面で見ると、
よく見えなかったりすることもあるんです。
- 伊藤
- うんうん、おっきくなるから。
- 長野
- そう、多分サイズが結構大事。
最初は画角かなとかって思ってたんですけど、
今、Instagramも、
パソコンで見れるじゃないですか。
そうすると、iPhoneで見てるほど、
よくは見えないんですよ。
- 伊藤
- そっかぁ。
- 長野
- 僕はサイズってすごい大事だと思っているんです。
iPadでも違うんですよ、大きく感じちゃう。
iPadにもカメラのレンズがついているじゃないですか?
でもiPadでは、僕は写真が撮れないな。
なぜかはわからないけれど。
- 伊藤
- 機械そのものが、おっきいからじゃないかなあ?
- 長野
- そう、カメラというには、抵抗があります。
だからiPadのカメラロールの中には、
それで撮った写真は1枚も入ってないんですよ。
転送された写真しか入ってないです。
- ──
- 観光地に行くと、高齢者のかたで、
iPadを持って歩いてるかた、多いんですよ。
たぶん地図などの情報が見やすいからだと思いますが、
みなさん、そのままiPadで写真を撮ってますね。
だから、慣れなのかな、とも。
- 長野
- そうそう、慣れもあると思うんですよね。
いつも見てる環境と変わると
違和感があるっていうのは、
あるかもしれない。
ただ、まさこさん、今回みたいに、
紙に出力したとするじゃないですか。
- 伊藤
- うんうん。
- 長野
- それは多分また違う見え方をするんです。
- 伊藤
- そうなんですよ!
- 長野
- はい。なので多分、
iPhoneの画面で見る写真と、
こうして日めくりカレンダーという
「もの」になって見る写真とでは、
印象が違うと思うんです。
だから、これを買って見る人が、
ふだん、まさこさんのInstagramを見ていたとしても、
それとこれがすぐに結びつく人は、
あんまいないと思うんです。
「これはこれ」で見ると思う、多分。
- 伊藤
- 紙の魅力ってなんなんでしょう。
なぜ紙になると、もっと素敵になるんだろう?
- 長野
- やっぱり「物質感」じゃないですか。
「慣れ」と言われるかもしれないですけど、
たとえば僕はiPadで雑誌が読めないんです。
- 伊藤
- 分かる! わたしも、
雑誌が読み放題のサブスクリプションに入ったけれど、
まったく読まないんです。それでやめちゃった。
- 長野
- 本屋さんとかで立ち読みしてると、
買っちゃったりするのに、
その魅力がデジタルではなくなっちゃう。
- 伊藤
- いつでも見られるという
よさがあるはずなのにね。
- ──
- 雑誌は読めないのに、
漫画は読めるんですよね。
- 長野
- あ、漫画は読めますね(笑)! たしかに。
- 伊藤
- そうなんだ?!
- ──
- あと、テキストだけの本も慣れちゃいました。
Kindleで小説を読んでます。
でも、「これは紙の本で買おう」という本もある。
そしてたしかに雑誌は読めないです。
- 長野
- なるほど~。
それって、何故だと思います?
- 伊藤
- なんでだろう?
長野さん、スマホで写真を撮りますか?
- 伊藤
- 長野さん、こんにちは。
今日は、写真について
いろんなことがお話しできたらと思っています。
じつは「weeksdays」で
「日めくりカレンダー」をつくったんですよ。
- 長野
- はい。まさこさんの写真で?
- 伊藤
- そうなんです。
これまで、年にいちど、「暦帖」っていう、
B5版の月ごとのスケジュール帳を
つくっていたんですけれど、
コアな商品過ぎたのか、
あまり需要がなく、お休みをすることになって。
そのかわりということでもないんですが、
日めくりカレンダーがほしいという
チーム内の声があって、
「それだったら、できるかも?」と。
ただ、365日、全部新しい写真を撮るのは
すごくたいへん‥‥というか、
思いついたときには
新しく撮影するのは
もう間に合わないスケジュールだった。
それで、わたしの過去のカメラロールから、
5年分、365枚の写真をチョイスして、
編集をしたんです。
- 長野
- そういういきさつだったんですね。
- 伊藤
- 中には長野さんと行った九州ロケの写真も
あるんですよ。
- 長野
- ご一緒しましたね!
- 伊藤
- コロナ前だったので、台湾のロケの写真とかも。
- 長野
- へぇ~! もう写真集じゃないですか、
ほとんど、それ。
- 伊藤
- とんでもない!
そんなつもりはないんですよ。
iPhoneで撮っているものですし、
写真集だなんて思ったら、できなかったです。
日めくりだから、気が楽で、
楽しい作業だったんです。
- 長野
- めくるだけですか。
1日ずつ破って剥がすタイプですか。
- 伊藤
- 1日ずつ、剥がして、
捨ててもらうタイプです。
- 長野
- えぇっ、それ、捨てづらいなぁ(笑)。
- 伊藤
- いやいや、わたしはもう、
どんどんなくなっていくのが
気持ちいいなぁと思って!
- 長野
- そうなんですか。
- 伊藤
- うんうん。
- 長野
- 写真と日付が入ってるだけですか。
- 伊藤
- まさしく、そう。
- 長野
- まさこさんの名言が書いてあるとか‥‥?
- 伊藤
- じゃないです!(笑)
写真の説明として
短いキャプションがあったほうがいいのかな?
ということも、ちょっと頭をよぎったんだけれど、
それも、うるさいかな、と。
- 長野
- シンプルにしたんですね。
- 伊藤
- 今日、お話しを伺いたいなと思ったのは、
その「日めくりカレンダー」の製作で、
写真と向き合う日が続いて、
写真について考えることが多かったからなんです。
そういえば以前は写真を撮るのって、
カメラがなくちゃ、できなかったけれど、
最近はスマホがあるじゃないですか。
- 長野
- そうですね。
- 伊藤
- わたしがiPhoneを買った理由も、
10何年前かにパリに行くのに、
もうカメラはいらない、
と思ったのがきっかけでした。
それで一気に撮る枚数が増えたんですね。
そこから写真を撮ることが身近になりました。
みんなも、普段の自分の記憶を
残したいと思っている人が多いと思うのだけれど、
そんなことについて
語り合いたいなぁと思っています。
前置きが長くなっちゃった(笑)。
- 長野
- (笑)分かりました。
- 伊藤
- 長野さんは、スマホで写真を撮りますか?
- 長野
- もちろんです。
メモ代わりに撮ったりもしますし、
まさこさんと一緒で、
iPhoneで「写真を撮る」こともあります。
でも、カメラで写真を撮る感覚より、
もっとライトで、気軽なものだと思います。
- 伊藤
- カメラを構えて撮るときと、
どういうふうな心持ちの違いがあるんですか。
- 長野
- 普通のカメラだと、
絞りとシャッタースピードっていうのがあって、
僕ら(写真家)は、いつも、
それを前提に、どういう画(え)にするかを
考えているんです。
iPhoneでもなんとなく選べるようにはなってますけど、
そこまでのこまかな操作はしません。
最近でこそ、後ろがぼかせたりとか、
できるようになったけれど、
ちょっと前までは、それすらもできなかった。
まずその違いが大きいんです。
だから、iPhoneのときは、
目の前のものをとりあえず記録しておく感覚ですね。
だから「じっくり」というよりは
「パッ」と撮っています。
仕事かどうかは関係なく、ですね。
- 伊藤
- でもiPhoneで撮るときも、
長野さんはちゃんと「おさめてる」と思う。
- 長野
- はい、それは職業病ですね。
水平・垂直をちゃんと保って撮ったりとか。
- 伊藤
- 分かります!
- 長野
- 斜めの写真は、ムズムズしちゃうんですよ。
ちょっと生理的にダメなんです。
だから「パッと押してる」って言ってるけど、
実際は、ゆっくり押しているのかもしれません。
でも、普段のカメラで撮るときよりも、
意識することが少ないから、
自分の感覚としては、
メモを取ることに近い感じなんです。
- 伊藤
- わたしもフィルム時代から
雑誌や書籍の仕事をしてきて、
写真家のかたと組むことが多いんですが、
以前は、露出を調べるのに、
露出計というのかな、
カチカチッて測る小さな機器がありましたよね。
あれ、いまでも、使うんですか。
- 長野
- 僕は、もうやらないですね。
- 伊藤
- そこもカメラの進歩で
簡単になっているんですね。
今は、Instagramなどで、
いろいろな人が撮った写真を
見る機会が多くなりましたが、
みなさん、すごく上手になっているって
思うんですよ。
- 長野
- そうですよね。
- ──
- お話の最中、すみません。
日めくりカレンダーのサンプルが
いま、届きました。
(オンラインで見せる)
- 長野
- あぁ! すごい! かわいい~!!
ポラロイドのフィルムみたいですね。
- ──
- そうです、まさしくポラロイドの
印画紙のサイズです。
- 長野
- あぁ、いいじゃないですか!
うん、いいです、いいです!
これ、みんな嬉しいと思う。
- 伊藤
- そうだといいな。
- 長野
- 素晴らしい! これ、切り取れないですよ~、
もったいなくて。
- 伊藤
- いやいや、いいんです。
もうどんどん、昨日を捨ててもらって。
- 長野
- もう(笑)。
でも、いいかも。たしかに気軽に切り取れそう。
紙の質感とかも、そういう感じなんですね。
薄めで、ちょっと透け感があって。
- 伊藤
- 紙が厚くなると、
束(つか=本の厚み)が出てしまうので、
この薄さが限度かなと思って。
- 長野
- そうですよね。
365枚ってことは、
本にしたら730ページですからね。
- 伊藤
- うん。そして、置いて使ってもいいけれど、
最後のページがボール紙で、
組み立てるとスタンドになり、
自立させることができる仕様なんです。
- 長野
- すご~い!
あぁ! ほんとだ。すごい!!
しかも、かわいいですね。素晴らしい。
- 伊藤
- ありがとうございます!
日めくりカレンダーとアコーディオンアルバム
SCANDINAVIAN 365 CALENDAR 2023
うれしいものを365日
自分の人生って、
一日、一日の積み重ねでできている。
すごく当たり前のそんなことをつい忘れるのは、
目の前のことに追われていたり、
昨日し残したことを、
今日の自分が消化できていないから。
ようするに
「余裕がない」んだよなぁ。
‥‥なんてことに気づいてからは、
一日、一日を大切に、
そして充実したものにしようと思って、
過ごしてきたつもり。
自分の毎日が、
ちょっといい感じになってくると、
過去の思い出や、
これから先のことが愛おしくなってくる。
これってなんだかいい感じじゃないか!
今週のweeksdaysは、
365日の日めくりカレンダー
(なんと2種類あるんです)と、
アコーディオンアルバム。
日めくりカレンダーは、
めくるたびに、
その日がうれしくなってしまうような、
おいしいもの、
かわいいもの、
気分のいいものを365日分。
アコーディオンアルバムは、
大切な思い出をとっておきたい
あなた(と私)のためのもの。
コンテンツは、
写真家の長野陽一さんと、
写真を撮ることについての対談。
そして、「ほぼ日」の中で連載してくださっていた、
「北欧365旅日記」のおさだゆかりさんと、
日めくりカレンダーについての対談を。
今週も盛りだくさんなweeksdays。
どうぞお楽しみに。
余白が多いページのように
- 伊藤
- pageaéréeができあがるまでは、
それこそいろいろ大変だったでしょうね。
- 篠
- 大変でした!
- 伊藤
- ですよね。
パターンとか。
- 篠
- 2年半ぐらいかかりましたね。
失敗も、右往左往も、
遠回りもいろいろしました。
パターンを引いてもらってから
生地が決まったんですが、
この生地はこのパターンじゃダメだ、
みたいなことになって、やり直しとか、
あとは、いざっていうときに、
コロナがあって、
どうにも動けなくなりましたし。
- 伊藤
- うーん。
- 篠
- 展示会ができなかったりとか、
工場がストップしてしまったり、
生地を染めることができなくなったりとか。
- 伊藤
- いまはどうですか?
コロナも、もう3年目で。
- 篠
- 部屋着的なウェアに関しては、
コロナ前よりもみなさんが
お家にいる時間を大切にしたい、と思われているので、
以前よりはいいと思うんですけど、
でも逆に、経済的な面であったり、
材料の値段が上がってしまったりとか、
悪影響みたいな部分も
出てきているように思います。
- 伊藤
- なるほど。
いいものは欲しいけれども、
材料が高くなったり‥‥。
- 篠
- お客さまも、部屋着やパジャマには
ここまでの予算はかけられないとか。
- 伊藤
- 洋服にはかけても‥‥。
- 篠
- パジャマまではちょっと、って。
- 伊藤
- パジャマこそ、なんですよ!
って思うところもありますよね。
- 篠
- そうなんですよね。
パジャマって家族には見せますけど、
他人に見せるものじゃない。
通常は家の中で着る自分だけのものですよね。
でも私は逆に、
人が見ないところで何を着るかっていうことが、
実はすごく大事だと思っているんです。
何を着るのか、自分はどう存在するか、
みたいなこと。
ちょっと生きかたにも関わってくるようなこと。
- 伊藤
- たしかにそうですねぇ。
玄関を出たらピカピカだけど、
その前も整えておきたいっていう気持ちは、
やっぱり大人になるとありますよね。
- 篠
- そうですよね。
- 伊藤
- 実際、フランス人のお友達とかも
pageaéréeのパジャマを着ていますか。
- 篠
- はい、着ています。
みんなびっくりしてくれますよ。
こんな気持ちのいいものはない、
っていうぐらいびっくりしますよ。
- 伊藤
- へぇーー。
そうか、
そうですよねぇ。
- 篠
- あとはバカンス中に
水着の上に着たいとか。
- 伊藤
- へぇ!
いいかもしれないですね。
- 篠
- 本当にバカンスだったら、
一日中これ着ていられるわね、とか、
そういうふうに言うかたも。
- 伊藤
- そうかもしれないですね。
フランスだと、
ガーゼ生地っていうのはめずらしいんですか?
- 篠
- あの感じはわりにめずらしいかもです。
一般的には麻になっちゃうかも。
- 伊藤
- うんうんうん、なるほど。
weeksdaysチームのみんなから、
篠さんへの質問はありますか。
- ──
- そもそも、
伊藤さんと篠さんの出会いは
いつごろだったんですか。
- 篠
- ファーストコレクションの展示会ですから、
2年半前ですよね。
- 伊藤
- それでわたしが暑がりだから
- 篠
- 「襟が‥‥」って。
- 伊藤
- そう、襟って暑いなぁと思ってたんです。
その頃わたしはパジャマのズボンとキャミソールで
就寝していたんですが、
寒くなったら、pageaéréeのパジャマを
カーディガンみたいにして着るといいんです。
なんだ、わたし、襟があっても大丈夫だった! と思って。
パジャマは最初から上下で着るものって思ってたけど、
こうして自分で調整すればいいんだなぁと思いました。
- 篠
- それがあって、
ユニセックスのパジャマは上下セットなんですけれど、
それ以外は、バラ売りにしているものもあるんです。
パンツだけ欲しいっていうかたとか、
ワンピース型にはカットソーを合わせたい
っていうかたもいらっしゃるんですよ。
あと外に着ていらっしゃるかたもいます。
サロペットみたいに作業着として着たり、
パンツだけをロールアップして、
外で着ているかたも。
それがかわいかったので
びっくりしたんですけど。
ワンピース型も外に着てくださるかたも多いし。
パジャマ型のパンツとシャツも
ばらして着てらっしゃるかたもけっこういますね。
- 伊藤
- そっか、
そういうふうに着ればいいんだ。
いろいろ幅が広がりました。
- 篠
- パンツはそのまま、上だけを取り替えて、
犬の散歩に行くっていうかたも
いらっしゃいました。
- 伊藤
- そっかぁ、すごいなぁ。
みんな、かっこよさそうですね。
- 篠
- うれしいですよね。
- ──
- 刺繍はどんなふうに決めたデザインなんですか?
- 篠
- パリに住んでいて、蚤の市が好きなんです。
古いパジャマやシーツとか、
テーブルナプキンとかには
前に使っていたかたの刺繍が入ってることがあって、
それがいつもかわいいなってすごく思っていました。
それで、古いデザインの感じに、
友達のデザイナーに組んでもらいました。
- 伊藤
- うんうんうん。
意外な場所に刺繍があって
びっくりしたりしますよね。
しません?
背中や、首の下とか。
色も、きなり色のリネンに赤とか。
- 篠
- そうなんですよね。
- 伊藤
- ‥‥そういえば、ブランド名の由来は
どんなことなんですか。
- 篠
- 「pageaérée(パージュアエレ)」って
ひと綴りにした造語なんですけど、
もともとは2語のレイアウト用語なんです。
page aéréeですね。
まず「アエレ」っていう単語は、
風通しがいいっていう意味なんですよ。
「パージュ」は英語でいう「ページ」で、
レイアウトで「パージュ・アエレ」っていうと、
余白が多いレイアウトのことなんです。
「余白が多いページ」って、
いろんな意味に取れるし、
風通しがいいっていうのもいい。
最初は、「アエレパリ」
っていうブランド名にしようと思っていたんですが、
1年もかかったのに商標登録が通らなかったんですよ。
- 伊藤
- へぇー!
- 篠
- パリっていう名前を
日本産のブランドに付けるのが
一番ひっかかったみたいです。
でも「アエレ」は絶対に残したかった。
それで「pageaérée」という造語はどうかって
フランス人の友人たちにメールで聞いたら、
みんな「aérée(アエレ)」一文字よりぜんぜんいいって。
含みがあるし、ポエティックだと。
- 伊藤
- 聞き心地もいいですよね。
- 篠
- ほんとですか。
よかったです。
- 伊藤
- そういうことだったんですね。
- ──
- 今はすっかり回復されてると思うんですけど、
どんなふうにパジャマ着てらっしゃいますか。
- 篠
- 普通に夜寝るときですね。
あと、旅も多いので、
ワンピース型は便利ですよ。
仕事仲間と同室になったときとか、
ちょっと慌てて朝食にとかいうときでも、
そのまま行けたりするので便利です。
軽いのでそんなに負担になりませんし。
- 伊藤
- たしかに軽い!
だから疲れないっていうのも
あるんでしょうね。
- 篠
- 羽織った瞬間にちょっとふわっとすると、
気持ちがちょっと柔らかくなりますよね。
- 伊藤
- ほんとう。
ところで篠さんの今のお仕事は、
どんな感じですか。
- 篠
- 今はこのpageaéréeとともに、
フォトグラファーとしての仕事も、
もちろん続けています。
日本の雑誌やフランスの書籍、
ポートレート、ブランドのルックブックなど、
いろいろ撮影させていただいています。
写真のお仕事で色々な方にお会いしたり、
旅をしたりすることが、pageaéréeのための
インスピレーションになっているように思います。
- 伊藤
- いいですね。
ご自身のブランドのスタイリングと写真も、
もちろん篠さんですよね。
- 篠
- たった一人で全部は無理なので、
手伝っていただいたりしつつ‥‥。
撮影が自分でできるのはいいですけど、
何回も撮っていると
ほかのかたの撮ったのも見たいなって。
自分のだと予想が付くので。
- 伊藤
- ありがとうございました。
篠さん、何か、ありますか。
- 篠
- そうですね、ほんとに‥‥
いまいろいろ世の中が大変なので、
やっぱり自分をいたわる時間を、多く、
みなさんに取っていただきたいなって思います。
そういうときに寄り添えるような製品が作れたらと
思っています。
- 伊藤
- はい、ありがとうございます。
pageaéréeのパジャマで、
あまやかします、自分を。
- 篠
- はい、あまやかしてください!
- 伊藤
- 今日はありがとうございました。
- 篠
- ありがとうございました。
こういうパジャマを待っていた
- 伊藤
- 実際pageaéréeを立ち上げて、
着始めたかたの感想っていうのは、
みなさん、どんな感じでした?
- 篠
- Tシャツで寝ていた自分に戻れない、
っておっしゃってくださるかたがいらっしゃいました。
あと、ご病気のかたからも、
こういうのを待ってました、っていう感想を
SNSを通じてくださったかたがいらっしゃいましたね。
リピートしてくださるかたもいらっしゃるんです。
パジャマって、そんなに買い替えないんじゃないかな、
と思っていたんですが、わりと多くのみなさんが
「もう一枚欲しいと思ってたんです」と。
- 伊藤
- 実際、わたしも母にプレゼントしたいなと思いますし、
もし自分や友達が入院するときは、
すごくうれしい贈り物っていうか、
何にも代え難いものになるにちがいないと
着ていて分かりましたよ。
- 篠
- ありがとうございます。
それから、授乳ができるようになっているので、
産む前も、妊娠中も、
生まれた後に授乳するのにも、
すごく助かりましたっていう意見も。
- 伊藤
- たしかにそうですね。
- 篠
- いろんな感想がとどきますよ。
pageaéréeではガウンも作ったんですが、
このパジャマに着替えて、
そのガウンを羽織ったとき、
一日の終わりにすごく贅沢で
極上な時間を過ごしてると思える、って。
- 伊藤
- そうなんです! よくわかります。
pageaéréeのガウンは、長袖と、
チョッキみたいなタイプを持っているんですが、
寒いけど暑い、暑いけど寒いみたいな日に、
すごいちょうど良くて、助かりました。
6月ぐらいまで着ていましたよ。
- 篠
- ほんとですか!
- 伊藤
- あれもいつか「weeksdays」で
扱わせていただけたら嬉しいです。
- 篠
- はい、ぜひ(笑)!
そういえば、いいガウン、ないんですよね。
- 伊藤
- ないですね。
どうしてだろう?
入院中も便利ですよね。
- 篠
- そうなんです。
闘病中は、いいガウンがなかったので、
病院ではロングカーディガンを着てました。
でも軽くて気持ちのいい
ぱっと羽織るものがあったらいいなって、
入院してるときもずっと思っていたのが、
ガウンづくりにつながったんですよ。
- 伊藤
- そういえばファッションのスタイリストさんで、
タレントさんや女優さんを担当なさっているかたが、
着替え前にメイクをするとき、
ちょっと羽織ってほしいようなガウンに
いいものがぜんぜんないと言ってました。
でも篠さんのはいいですよね。
- 篠
- はい、ぴったりですよ(笑)!
- 伊藤
- すごいやさしくされてる感じがして、
うれしいんです。
- 篠
- ありがとうございます。
日本でガウンを探してデパートに行くと、
いまだに、パイプをくゆらすみたいなのが(笑)。
あれ、すごく重いんですよ。
石原裕次郎さんが着てらっしゃったみたいな。
- 伊藤
- ブランデーを片手にね。
ところで、パリの人は
どういう寝姿なんですか、
- 篠
- パリの人は、
パジャマはやっぱり日本と同じで、
着てるかたと、ぜんぜん着てないかたがいます。
裸で寝るっていうかたも多いんですよ。
何も着ない。
- 伊藤
- へぇー。
ガウンはどうですか?
- 篠
- ガウンはよく「キモノ」といって、
日本の古いものを羽織る人も見かけます。
でもいわゆるガウンは、パリでも意外にないんです。
昔の映画に出てきそうな、
髪の毛を巻いてる女優さんが着るような‥‥。
- 伊藤
- ブリジット・バルドーみたいな?
- 篠
- そういうイメージのものをいまだに売ってたり、
すごく極端ですね。
中間がないっていうか。
男性ものでも
シャツスタイルでちょっと長いものとかを
売ってますけど、どれだけのかたが、
それを本当に着てるのかどうか、
ちょっと分からないですね‥‥。
- 伊藤
- わりとごわごわとしたタオル地の、
ホテル仕様のガウンにも憧れるんですけど、
どうやって乾かせばいいかわからないし、
そもそも重いし。
- 篠
- 首まわりがモコモコですよね。
そういえば、バスローブも、
次の夏は作りたいなと思ってるんです。
- 伊藤
- ぜひぜひ!
話をパジャマに戻しますが、
今回、「weeksdays」では
ワンピース型とユニセックスのいわゆるパジャマ型、
2つのパターンを取り扱うことになりましたね。
それぞれ、いいところがありますね。
- 篠
- どちらも、パジャマ1枚で歩いていても
きれいに見えるっていうことを大事にしています。
ワンピース型はとくにシルエットのうつくしさ。
そして、胸の開きがあるので授乳もできます。
もともと私の病気って、
2種類の癌だったんですけど、
最初の乳癌のときの経験で、
脱がなくても治療ができるような
長さにしているんです。
そしてユニセックスのパジャマに関しては、
ご家族でお揃いで着たいっていう要望を
いただいていたのがつくるきっかけです。
pageaéréeではサイズが
S、M、L、XLとありますが、
「weeksdays」では女性向けということで
パジャマ型はSとMの2サイズ、
ワンピース型はMとLの2サイズを
選んでいただきました。
- 伊藤
- なるほど。
上下のパジャマは、
上の丈が長いほうがいいみたいな
シチュエーションが入院中にはある、
っていうお話もありましたね。
たとえば出産のときには、
ズボンを脱がなくちゃいけないような
シチュエーションもあって、
普通のパジャマだとちょっと、って。
- 篠
- そうですね。
なのでユニセックスのパジャマは
上着の丈を若干長めにしてあって、
お尻が隠れるようになっています。
あとはポケットが特徴かもしれませんね。
私、洋服でもポケットがないとイヤなので、
パジャマでも絶対ポケットをつけたかった。
なにも入れないにしても。
- 伊藤
- こういう服のポケットって
普段そんなにありがたみが
あるわけじゃないんだけれど、
ないタイプを着たときに、
「あ、ない!」って思うんですよね。
- 篠
- そう。
あれ? ないの? って
ちょっと指を引っ掛けたりしたいんですよ。
- 伊藤
- 重要なものなんだなって、
ないと初めて気が付きます。
ユニセックスの方は、女性向けのサイズですが、
着たかたがいいと思ったら、
「あ、じゃあこれを夫にも」みたいな感じで
じわじわ拡がってくれるといいですよね。
- 篠
- そうなんです。
- 伊藤
- 素材に関しては?
- 篠
- これは三重県でつくっている
オーガニックの和晒(わざらし)の
二重ガーゼです。
- 伊藤
- それはどうやって探したんですか?
- 篠
- これは、
パジャマをやりたいなと思ったとき、
お会いするかたみんなに
実はこんなことを考えていて、
みたいなことを話していたんですよ。
そのなかで、
スタイリスト時代に
お仕事をさせていただいてたかたの旦那さんがいらして、
アパレルの会社をなさっていたんです。
そのかたとご飯を食べたとき、わたしのアイデアを聞いて、
うちで応援するからやってみれば、
とおっしゃってくださり、
ご一緒させていただくことになりました。
この生地は、その会社で
ずっとオリジナルで作っている生地なんですよ。
- 伊藤
- そんなご縁が!
- 篠
- そのかたは、10年以上前から
オーガニックコットンと、
再生できる生地を開発しているほどの
第一人者なんです。
ガーゼの生地ってほかにもあるんですけれど、
あの柔らかさのものは、
なかなか市販では見つけられなかった。
じつは2年以上の試行錯誤があって、
最後にあの生地と出会えて、
それまで暗礁に乗り上げてたことが、
すっと解消したんです。
闘病生活のなかで考えたこと
- 伊藤
- 篠さん、こんにちは、
よろしくお願いします。
このたびはありがとうございます。
- 篠
- こちらこそ、ありがとうございます。
とってもうれしいです。
- 伊藤
- 以前、篠さんへのメールにも書いたんですけれど、
ちょっと体調を崩したとき、
pageaérée(パージュアエレ)のパジャマが
すごくありがたくて。
- 篠
- よかったです。
- 伊藤
- 今回、「weeksdays」で
初めて扱わせていただくブランドですから、
篠さんに、成り立ちからお訊ねしたくって。
パリにお住まいで、写真がご本業。
- 篠
- そうなんです。
- 伊藤
- 日本にいるときから、
フォトグラファーだったんですか?
- 篠
- 日本にいたときは、
スタイリストだったんですよ。
パリに引っ越してから写真をはじめて、
カメラマンになれるかどうか分からない状態での
スタートだったんですけれど、
いろいろご縁がつながって、
写真を仕事として生きてくることができました。
ただ、2017年、2018年の2年間、
病気をしてしまい、日本に戻って闘病していたんです。
- 伊藤
- そうだったんですね。
行ったり来たりではなく?
- 篠
- 治療してる間はパリに帰れませんし、
治療が終わっても半年ぐらいは、
しょっちゅう病院に行かなければならなかった。
その半年の間は、行ったり来たりも
ちょっとだけしながら、
基本的には日本にいたんです。
- 伊藤
- 2年間は長いですね。
- 篠
- そうなんです。
最初の病気がわかって、
手術して、入院して、
3か月後に今度は別の病気が分かって、
そこからパリに戻れなくなっちゃった感じでした。
二度目の病気がちょっと重かったので、
それだけで1年間ぐらい治療が必要でした。
その間に、好きなパジャマがなかった、
というのがpageaéréeを立ち上げる
きっかけになりました。
入院するのに高価なものは買えないけれど、
「でも、こんなのがあったらいいな」っていうパジャマが、
まったく見つからなかったんです。
- 伊藤
- 東京でもパリでも見つからなかった?
- 篠
- パリにいたとき、病気になる前は、
パジャマのありがたみとか、
パジャマを絶対着なきゃならない、
っていうシチュエーションがなかったんです。
それこそロングTシャツとか、
スエットみたいなものを着て寝ていました。
パジャマも持っていたんですけど、
コットンの大きいもので、ごわっとして、
あんまり着心地が良くなかった。
でも病気になると、入院のときに、
絶対にパジャマを持っていかなきゃならない。
前開きだったりとか、
病院の出すいろんな条件があるんですよ。
- 伊藤
- なるほど、前があかないと、
診察や治療のときに困るんでしょうね。
- 篠
- そうなんですよ。
だから入院するためにパジャマを買わなくちゃ、
と思って、お店に行ったら、
好きなものがまったくなくって、
「どうしよう?」と。
たとえ気に入ったものがあっても、すごく高くて。
日本のブランドでは
8万円なんていうパジャマもあるんですね。
- 伊藤
- うーん!
それはパジャマとしてはそうとう高価ですね。
- 篠
- あとは、イギリスのブランドで6万8000円とか‥‥。
いくら気に入っても、
いつ仕事に戻れるかもわからない状態で、
それを買うことはできなかった。
たくさん着替えなきゃいけないから、
枚数も要るんですよね。
結局、量産品のパジャマに落ち着きましたが、
体型がドーンと見えるのがすごくいやでした。
病院に入院してる間って、
忙しいですよね、わりあい。
- 伊藤
- そうなんですよね。
- 篠
- 寝てばっかりじゃなくて、
やれレントゲンを撮りに行ってくださいとか、
コンビニ行ってこれを買ってきてくださいとか、
病院の中を移動しなきゃならないですし、
お見舞いのかたがいらっしゃると、
個室じゃなかったから、
いわゆる談話室みたいな所に行かなくちゃならない。
みなさんはすごく素敵な、
いつもと変わらない服でいらっしゃってるのに、
自分はなんだかドーンとしたパジャマなのがイヤでした。
背が小さくて、ちょっと体型にコンプレックスもあるから、
直線のパターンの物を着ると、
なんだか丸太っぽい感じになるっていうか(笑)。
鏡に映った自分を見てイヤだなぁ、って。
- 伊藤
- 着心地はどうだったんですか。
やっぱり違和感が?
- 篠
- けっこうありましたね。
薬で肌が敏感になってしまって、
縫い目がちょっと当たっただけでも、
赤くミミズ腫れっぽくなってしまったり。
- 伊藤
- うんうん。
- 篠
- そんななか、友人がお見舞いに
キャミソールを買って届けてくれたんですよ。
それも、スイスの、
とてもいい肌着ブランドのものを買ってきてくれて。
- 伊藤
- はい。
- 篠
- それを着たときに、
あぁ、肌触りがいいって、
こんなに気持ちがいいものなんだ、と思って。
- 伊藤
- 自分がちょっと弱ってるときって、
すごく過敏になりますよね。
- 篠
- そうなんですよね。
それで、自分でパジャマをつくるなら、
肌触りが良いいものを、と。
- 伊藤
- それで「よし、ブランドを立ち上げよう!」
っていうことが、すごいですよ。
- 篠
- そうなんですよね(笑)。
ただ、パジャマだけじゃなく、
薬の副作用があって、いろんな体の不調、
陶器のカップの持ち手が冷たくて手がしびれるんですよ。
木のものしか持てないんです。
金属のフォークにもガーゼを巻かないと持てないし、
コップすら唇に付けられなくて、常温のお水すら飲めない、
冷たくてしびれる、ビリビリってくる。
そういうときに、
あっ、木のスプーンがあれば、とか、
ヘアーバンドがあれば、とか、
手袋があれば、とか。
- 伊藤
- いろいろほしいものが、そのときに。
- 篠
- そうなんです。
それでネットで探そうとするんですけれど、
そういう体力も気力もない。
ようやく探して買っても、
うわ、これはちょっと‥‥、
っていうものだったりするんですよね。
ですから最初は、
入院したときに購入できるおしゃれなアイテムが
一気に見られるようなサイトがあったらなぁ、
というのが発想のスタートだったんですよ。
ただ、実際にそれを集めてウェブショップをつくるのは、
私がパリに住んでいるということもあり、
一体誰がどうやって? って考えると無理がある。
じゃあ、作れるものから、っていうことで、
いちばん欲しかったパジャマをやってみようかな、って。
- 伊藤
- なるほど。
闘病なさっていたことが、
ほんとうに大きなきっかけだったんですね。
- 篠
- 長きにわたる闘病で、
副作用がひどかったというのもあって、
「今日をやり過ごすこと」で精一杯だったんですね。
だから将来的に写真に戻れるか、ということも、
まったく考えられなかった。
自分の未来が想像ができないんです。
そんな日々を過ごしていたなか、
あるとき、
「あ、元気になったらパジャマをつくりたいな」
って、ふと思った瞬間、
「あ! 初めて私、
未来のことを考えた!」と思ったんです。
- 伊藤
- へぇーー!
- 篠
- これは絶対にやった方がいいんだ、
と思えたのが、実際の行動につながりました。
- 伊藤
- なるほど、
そういうことだったんですね。
たしかに、縫い代の始末がすごい丁寧だったりする、
そこにはそういう理由があったんですね。
- 篠
- 肌が弱っているときでも、
当たってかぶれないように、ですね。
タグを絶対外に付けているのも、そうです。
- 伊藤
- そう! タグも気になりますよね。
- 篠
- 切っても、その切ったところが
肌に当たるんですよね。
pageaéréeのパジャマ
わたしにやさしい
夏バテ知らず。
前に風邪ひいたのいつだっけ?
というくらい、
いつも元気な私ですが、
冬から春に変わる数週間は、
ふだんより幾分、トーンダウン。
ことに今年の春先は、
堪えたなぁ。
でも、そんなことをもう何年も繰り返しているので、
対処法はわかっているんです。
まずはゆっくり休むこと。
よく寝て、
あまり食べすぎないように。
あとは、
体を温めて。
すると、だんだんふだん通りに戻っていく。
ああ、無理させてごめんね。
もう少しいたわるよ。
なんて、自分に声をかけたりして。
今年、とてもありがたかったのは、
ガーゼのパジャマ。
弱っている自分を、
ふんわり包み込んでくれるような安心感。
お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんて、
きっとこんな感じなのかな?
なんて思うほどの。
今週のweeksdaysは、
パリ生まれのパージュアエレのパジャマです。
体に馴染み、
私にやさしい。
一枚持っていると、とてもありがたい存在です。
スツール、ウッドバスケット、鋼正堂 わたしの使い方
スツールは家のあちこちで
「家のあちこちに移動させている」
という、関根さんのスツールの使い方同様、
我が家もあっちに置いたり、こっちに置いたりしています。
ある時は、ドアの前に置いてストッパーのように。
またある時はベッドサイドに置いて、
サイドテーブル代わりに。
という具合。
軽いので、持ち運びがしやすく、
ポン、と置くだけで空間に変化が生まれる。
スツールって、
気軽に模様替えできるとても便利な家具なのです。
今日は、蘭の鉢植えを乗せて、
リビングのはじっこに。
豪華なイメージを纏う蘭ですが、
茎の支柱を取ると、
ちょっとドレスダウン。
あまり手をかけなくても花が長持ちするので、
時々、こんな小さな鉢植えを買って楽しんでいます。
実家から積んできたミントを
ガラスの片口にワサッといけたり、
沖縄から送られてきたシークワサーの枝を瓶に挿したり。
上に乗せる花やグリーンで、
イメージはずいぶん変わるもの。
「座る」以外に、楽しみ方はたくさんあるのです。
ウッドバスケットは、収納のひとつ
ウッドバスケットは、
ゴミを入れるだけではもったいない。
「バスケット」という名前の通り、
いろいろな使い方ができます。
最近は、掃除道具をかけた壁面の下に置いて、
中にウェスを入れています。
ドアはいつも開けっぱなしなので、
これらの道具はドアに隠れるのですが、
隠れているところこそ、
気に入ったものでまとめたい。
そんな風に思っています。
ウェスはバスケットの半分くらいが目安。
これはウーさんに影響されて。
こうすることで、真上から見ない限り、
中に入っているものが見えずに美しい。
掃除道具こそ、きれいにね。
スタイリングがたのしい鋼正堂
磁器のお皿と同じく、
ほぼ毎日使っているのが、
内田鋼一さんと作った鋼正堂の器。
料理が映え、
かつ何を盛ってもおいしそう。
食洗機にもかけられ、
高台まで釉薬がかかっているから、
扱いが(裏を乾燥させたりなど)楽ちん。
重なった姿も美しく‥‥と
好きな理由を挙げるとキリがないくらい。
こちらはある日のお昼ごはん。
とうもろこしごはんと、タンドリーチキン、
焼いたズッキーニをプレートの大に盛りました。
ハッと気づくと、すべて黄色の食材。
このさいだからと、
黄色の肉切りナイフにしてみました。
スタイリングって楽しい!
と思うのはこんな瞬間です。
またある日の友人が来た時の
お茶の時間。
私が作ったプリンに、
友人持参のベリー、
取り皿もすべて鋼正堂!
何気なく撮った写真を見返すと、
こんな風に我が家に溶け込んでいるんだなぁ‥‥
と感慨深い。
我が家になくてはならない器です。
あのひとのウッドバスケットの使い方 ウー・ウェンさん
ウー・ウェンさんのプロフィール
ウー・ウェン
北京生まれ。1990年に来日。
母親から受け継いだ小麦粉料理が評判となり、
料理研究家の道へ。
雑誌、新聞、テレビなど幅広く活躍中。
中国に伝わる家庭の味、
シンプルでからだにやさしい家庭料理を、
日本の素材で手軽に作れるようにと
工夫を凝らして紹介している。
1997年から、東京でクッキングサロンを開始。
小麦粉料理、中国家庭料理を中心に指導を行なっている。
家庭では、二人の子どもの母親でもある。
『料理の意味とその手立て』(タブレ)
『本当に大事なことはほんの少し~料理も人生も、
すべてシンプルに考える生活術』(大和書房)
『体と向き合う家ごはん』(扶桑社)
など、多数の著作をもつ。
『ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理』、
『ウー・ウェンの炒めもの』
(ともに高橋書店)では、
伊藤まさこさんがスタイリングを手がけている。
「『いらないものを入れる』
ゴミ箱えらびって、すごく難しいと思うんです」
とウーさん。
今まで、欲しいものがなかなか見つからず、
やむなく、
四角いプラスティック製の容器を、
ゴミ箱代わりにして、バスルームに置いていたとか。
「木製のものを使った時もあったけれど、
ナチュラルな雰囲気が強くて、
今の家に合わなくなってしまって」
ゴミ箱に関して、
つねにいいものがないか? と
頭を悩ませていたウーさんが、
「私の探していたの、これじゃない?」
とピンときたのが、
weeksdaysのグレーのウッドバスケットだったとか。
晴れてウー家にやってきたウッドバスケット、
まずひとつは玄関に。
コロナになってから、
お客様用のスリッパは使い切りのものにしているそう。
木箱に入れたスリッパの横が定位置です。
端に置かれたスツールと、靴べらはなんと透明。
たしかにここに木のゴミ箱だと、
少し重たい印象になってしまうかも。
ラグマットの色合いともぴったり。
ウッドバスケットは木製ですが、
グレーに色づけされているので、
見た目が軽やかなのです。
もうひとつは、バスルームに。
横にかかっているのは、
weeksdaysのグレーのタオル!
そうそう、このタオルも、
「これ!」とピンときたというウーさん。
ハンド、フェイス、バスを
たくさん揃えてくださったのでした。
ウーさんのご自宅の扉は、
ウッドバスケットと同じグレー。
白×グレーがシックな印象。
そして何より潔い。
見ていてとっても気持ちいいのです。
家に置いているゴミ箱は、
キッチン以外にこの2つのみ。
広々としたこの家で、
ご家族に不都合はないですかと尋ねると、
「大丈夫。だって
家の社長は私ですから!」
ですって。
じつは我が家の方針も同じ。
家の中のことは、家の社長が決めるのです!
さて、ウーさん。
ゴミ箱に蓋がないといやだという人もいますが‥‥?
「私は逆に蓋があるといや。
キッチンに置くものと違って、
ゴミを見せないことに違和感があるんです」
と興味深いお言葉。
「だって、見えた方が、ゴミを増やさないでしょう?
ゴミの捨て方のセンスも必要だと思ってるんです。
性格的に隠すのもいやですしね」
ただただぽん、と入れるのではなく、
ゴミを美しく捨てる。
「ゴミに見えないように捨ててもらいたい。
だってその方が気持ちいいでしょう?」
というウーさんの言葉に一同、深いため息‥‥。
ゴミの捨て方にも美学があることに気付かされた、
衝撃の1日なのでした。
お客様の多いウーさんのお宅。
来客時には、ウッドバスケットを
リビングに置くこともあるとか。
「軽いから、移動が楽。
ある程度高さがあるから、
ゴミが見えにくいところもいいですよね。
形に緊張感があるので、
時々、ここに捨ててもいいですか?
なんて聞くお客様もいるんですよ」
ゴミの量の目安は、
ウッドバスケットの容量の半分以下。
こうすることで、
「美しく捨てる」がかなうとか。
ゴミ捨ての美学、
私も今日から実践します!
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
8月18日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
鋼正堂 丸プレート(小)
鋼正堂でまず一番初めに作りたかったのがこのプレート。
私が持っていた北欧の軍ものの
(と買った時にお店の方から説明を受けました)
プラスティックのプレートがベースになっています。
軍ものですから、軽く持ち運びしやすく、
余計なデザインがほどこされておらず‥‥。
お皿の一番プリミティブな形とも言えるのではと、
見るたびにほれぼれしていたものです。
陶芸家の内田鋼一さんに、こういう形で毎日使える
陶器のお皿が欲しいと伝えると、
一言「分かった」と。
すぐにろくろを回して、
原型となる型を作ってくれました。
できあがったプレートは、
一見とてもふつうなのですが、
使うごとに、よさがじわじわと伝わってくる。
料理の引き立て役になってくれるところがいい。
ほどよい重さがあり、手に馴染むところがいい。
こちらに気を使わせない、
繊細すぎないところがいいのです。
使い方は自由。「懐の深い器」ですから、
どんな料理にも合うんです。
(伊藤まさこさん)
鋼正堂 オーバル耐熱皿(大)
もともと質実剛健な業務用の耐熱皿が好きで、
海外の蚤の市や、
料理のプロが通う道具街で買っては家で使っていました。
ちょっと重いけれど、逆にそれが安心感につながる。
ついた焦げ目をガシガシと洗っても、へこたれない。
しょっちゅう使うものだからこそ
できあがった器や道具には、
なぜその形になったのかの理由があるように思います。
今回ご紹介する、オーバルの耐熱皿2点は、
私が長年使っていたヴィンテージの耐熱皿が
ベースになっています。
どちらも使い込まれて器としての味わいが増し、
それと同時に愛着も増していっている。
鋼正堂のオーバル耐熱皿も、使ってくださるみなさんが
そんな気持ちになるといいなぁと思っています。
白と言ってもいろいろな色合いや質感がありますが、
内田さんが提案したのはおだやかで落ち着いた白。
さくらんぼのクラフティやプリンなどの
見た目も愛らしいデザートから、
ズッキーニやとうもろこしを
まるごと一本のオーブン焼きなんていうシンプルな料理、
またはローストビーフなどのちょっと豪快な肉料理など、
なんでも受け止めてくれるところが気に入っています。
また、耐熱皿としてだけでなく、
「オーバルの形をした器」として使うと
より器としての広がりを感じることができます。
大きな方にはいちごを山盛りにしたり、
葉野菜のサラダを盛ったり。
小さな方には、フムスなどのペーストや
にんじんサラダ、たことオリーブのマリネなど、
ワインに合う料理をちょこちょこ盛ると
楽しげな雰囲気になりますよ。
(伊藤まさこさん)
北の住まい設計社
weeksdays PAS Stool
「座る」だけでなく、
部屋のすみっこに置いて、小さなサイドテーブル代わりにしたり、
花台として使ったり。
部屋にひとつあると、
とても重宝するスツールです。
今回、お願いしたのは、
東川で35年に渡って家具を作ってこられた、
北のすまい設計社。
従来のデザインにちょっと変化を持たせ、
weeksdays仕様に
していただきました。
色はオーク×ナチュラルと、オーク×ブラック。
もふもふしたシートパッドとともにぜひどうぞ。
(伊藤まさこさん)
SAITO WOOD BASKET
フローリングにも、またカーペットにも。
白い壁にも、
または我が家のような水色の壁にも
しっくりくる色合い。
控えめながらも、
部屋の片隅にあるとなんだかうれしい、
バスケットです。
このバスケットを使いはじめてから、
我が家はゴミのことを
今一度、考えるきっかけができて、
ゴミが減りました。
だって、せっかくの気に入り、
中に入れるものだって
「ぐちゃぐちゃ」はいやですもの。
さてこのバスケット、
その名の通り、中に入れるものはなんでもいいんです。
撥水加工もされているので
(とは言っても、水を直接入れることや、
湿ったものをずっと入れておくのはダメですが)、
お客様用の使い終わったタオルを入れたり、
子どものおもちゃを入れたり、
領収書の一時保管場所にしたりと、
用途はいろいろ。
詳しくは コンテンツをどうぞご覧くださいね。
(伊藤まさこさん)
あのひとのスツールの使い方 関根由美子さん
関根由美子さんのプロフィール
せきね・ゆみこ
ふだん使いをテーマに、リトアニア産の麻素材で。
シンプルなデザインのキッチンリネンやベッドリネン、
ウエアなど、日々の暮らしに寄り添う布製品と
雑貨を展開する、下北沢「fog linen work」のオーナー。
すべてのアイテムがオリジナル、
関根さんはそのデザインと企画を行なっている。
また、南インドの人たちの日常着「ルンギ」の生地を使って
いろいろな商品を作るべく、あたらしいブランド
「miiThaaii」(ミーターイー)を立ち上げ、
自らが現地への仕入れに赴いている。
下北沢のショップでは
fog linen workとmiiThaaiiのオリジナル製品のほか、
インドのワイヤーバスケットや雑貨類、
世界各国のアクセサリーやインテリア雑貨を販売。
■fog linen workのウェブサイト
■miiThaaiiのウェブサイト
■fog linen workのインスタグラム
■miiThaaiiのインスタグラム
●関根さんと伊藤さんの対談「さがす、えらぶ、つくる。」
私の知り合いの中でも
一番といっていいほど、
ミニマムな暮らしをしている関根さん。
広ーいリビングダイニングには、
大きなダイニングテーブルと椅子が数脚、
隅っこにパソコンなどが置かれたテーブル
(かなりの大きさではあるけれど、
部屋が広々しているので、まったく圧迫感なし!)と、
ソファが点在しています。
「広い」にプラスされて
「天井が高い」というのも、
この空間の魅力。
まるで美術館にいるような、
潔い空気が漂っているのです。
あれ?
でもついこの前うかがった時は、
たしかソファがなかったような‥‥。
「はい。最近、届いたんです。
前の家に住んでいる時から
ずっと欲しいなと思っていたんですけれど、
念願かなってようやく!」
と関根さん。
ソファの色合いが、
コンクリートの壁と、
関根さんがプロデュースする
miiThaaiiのワンピースに、
ぴったり合っている。
関根さんのことだもの、
吟味に吟味を重ねたんだろうなぁ。
ソファの横に置いたのは、
weeksdaysのスツール。
なんと関根さん、
「いつもスツールを探している」
というほどのスツール好きとか。
「それでも、なかなかいいのがなくって。
インテリアやヴィンテージ家具屋さんをしている、
友人知人に声をかけているのですが、
コロナもあって、あまり入荷してこないんですって」
そんな時に、目に留まったのが
weeksdaysのこのスツール。
「座ることはほとんどないのですが、
お花を置いたり、本を置いたり。
部屋のあちこちに移動して使っています」
仕事机の横に、
庭で剪定したグリーンを。
サイドテーブルを置くほどでもない、
ちょっとした空間作りに、スツールは大活躍。
「軽いから、移動が苦にならないところもいいですね」
そう、そうなんです!
作りはしっかりしているのに、
持った時、手にずしりとこないところが魅力。
「重い」って、時に億劫になってしまいますものね。
「もうひとつ欲しいくらいです!」
いろいろなものを見てきた関根さんに、
そういってもらえると、
なんだか太鼓判を押してもらったような気分。
うれしいなぁ。
ところで、取材中、
関根さんの家のあちこちで、
weeksdaysのものをたくさん発見。
キッチン脇には消火器が。
食器棚には、
オーバル皿が!
「じつは下着も買ってます」
と関根さん。
コンテンツもじっくり読み込んでくださっているよう。
そんなありがたい言葉を聞くと、
張り合いが出るというもの。
取材に伺ったのに、
こちらが元気になった1日でした。
鋼正堂のお皿、わたしの使い方 02
4・斉藤いずみさん
株式会社「金万」で、trippenの
バイヤーである斉藤いずみさん。
「weeksdays」チームとは仕事仲間ですが、
鋼正堂の愛用者でもあるのです。
お持ちのうつわは、丸プレート小2枚、
耐熱皿小2枚、大1枚。
「手にした時のほどよい厚みが気に入ってます!
特に丸プレート小、の温かみのある感じは最高です。
洗いものをする時でさえテンションがあがるくらいです」
わあ、うれしい言葉。
そんな斉藤さんの鋼正堂の使い方は、
基本的に「パンと甘いものとフルーツ」なのだそう。
そして時々、料理をシェアして食べる時の
取り皿として使用する事も。
では、いつもどんなふうに使っているのかを
見せていただきましょう。
まずは、収納はどんなふうに?
お気に入りの鋼正堂のお皿とともに、
使用頻度の高いものを、見える棚に置いています。
丸プレート小と耐熱皿小は
日々使用するので取りやすい所に、
‥‥というのもありますが、
とにかく置いてあるだけで絵になる!
だから目に入る所に置いておきたいんですよね。
ということで、定位置はここになりました」
「耐熱皿大は、普段はフルーツの
ストックプレートになっています。
毎朝フルーツを食べるので、
ここから季節のフルーツを取り、
鋼正堂の小皿に盛って食べています」
お気に入りのパンを買った時は
パンのストックプレートにもなるそうですよ。
「これは、週末のブランチで食べるモリモリのパンです。
とにかく甘いものとパンが大好きなので、
それをお気に入りのお皿にのせて
のんびりと食べるのが至福の時間です」
これはキャロットケーキ。
これはお惣菜パイ。
これはベイクウェルタルト。
ワクワクしますね!
「鋼正堂、再販があるんですか?
じつは全て揃えるのが目標なんです。
そして伊藤さんにリクエスト。
この先、鋼正堂のあたらしいコレクションが
増えていってくれたら嬉しいです。
丸プレートのサイズも増えたらいいなぁ」
斉藤さん、ありがとうございます!
検討いたしますね!
5・三好和美さん
三好さんは、アパレルである株式会社金万のプレス担当。
「weeksdays」では、斉藤いずみさんとともに、
いちばんさいしょのtrippenのときから
お世話になっています。
料理の好きな三好さんは
グラタンが作りたい! と、耐熱皿小を2枚購入、
けれども使いはじめてみたら、
いろいろな使い方を発見なさったのだそうです。
シンプルさを求めていくと、
どんどんわがままな目になってしまう、と三好さん。
だからなかなかイメージ通りのものを
見つけられなくなってしまうのだと。
「けれども、鋼正堂さんのお皿は、
ぽってりした質感に優しい色目、美しい佇まいに、
そのわがままな目が、ハートになりました。
しかも、使い勝手の良さが、無限大なんですよ!」
おおっ?!
では三好さん、そんな実際の使い方、見せてください!
「食事の時に、
おしゃもじ置きとして使っているところです。
炊飯器が壊れて、小型なものを購入したら、
今までお釜の中に納まっていたおしゃもじが
入らなくなってしまいました。
保温機能は使っていませんが、
食事中はおかわりもするし
炊飯器の近くに置いておきたい。
そこで小皿を使ったり、
キッチン売り場や100円均一のお店で
おしゃもじ入れになるものを探してみましたが、
しっくりとくるものが見つからず、
テンションが上がらずにおりました。
そんなとき、ピンときたのが、こちらの耐熱皿小。
置いたら写真のようにいい感じ!!
しかも、炊飯器の前のスペースにも収まりもよく、
見た目も良き! 今ではすっかり定番の使用方法です。
こんな使用で申し訳ございませんが、
個人的には大ヒットの鐘が鳴った使い方です」
お客様を招いたときのカジュアルな
「カトラリー」&「ナプキン」置きに、
といいたいところですが、
実際は、宅配ピザやテイクアウトの
フライドチキンなどで簡単に済ませるときのセットとして
一緒にテーブルへ出しています。
そのまま小皿として使用したり、
テイクアウトのポテトを入れたりと、
手抜きゴハンも楽しく見える! と自己満足(笑)」
「調理中に何度も使うミニトングや
ミニゴムべらを置くのに使います。
また冷蔵庫に入っていた玉子を
常温に戻すあいだの置き場所にも。
そうそう、玉子入れとしては、
すき焼きのときもテーブルの上で活躍しますよ」
「バターは容器入りのものを購入しているので、
バターケースなるものを持っていないのです。
だから友人からお土産にいただいた
北海道の美味しいバターを使うときに困りました。
さっそくパンに付けてと思ったのですが、
さて何に入れたら‥‥? と思ったときに、
なんとぴったり!
このまま出したらサマになって大満足です」
「きゅうりの浅漬けやピクルスなどの
ちょっとした副菜にいいんです。
写真にはありませんが、2つ並べて、
枝豆と枝豆のから入れにも。
オーバル形なので、テーブルに収まりが良くて、
ガチャガチャしがちな食卓をスッキリと見せてくれます」
三好さん、たのしい使い方を
たくさん発見なさっているんですね。
アパレルのプレスという職業的な目で、
鋼正堂のお皿のいいところを語るとしたら、
どうなりますか?
「そうですね‥‥、シンプルながら、
器そのものにしっかり素敵な存在感があって、
何をいれてもサマになる器です。
しかも使い勝手の良さがあるので、
さまざまなシーンで活躍してくれて、
まさに『うつわの大きさ』を感じます」
うまいっ。
三好さんは今後の鋼正堂にのぞむことはあるでしょうか。
「あります! オーバルの平皿が欲しいです!
出来れば、耐熱皿(小)が
ピッタリ収まる大きさだと嬉しいです!!
オーブンから出したグラタンなどの熱々を
オーバルの平皿を受け皿にしてテーブルへ、など、
夢が広がります!!」
ありがとうございます。
こちらも検討させていただきますね!
ということで、2回にわたってお届けした
鋼正堂のうつわの使い方はおしまいです。
ゆっくりではありますが、鋼正堂のプロジェクトは
まだまだ続いていく予定ですので、
どうぞおたのしみに!
鋼正堂のお皿、わたしの使い方 01
1・cayuさん
小さな戸建で夫と2人暮らし。
日々の朝ごはんを大事にしています。
cayuさんのInstagram
持っている器はほぼ全て白いもの。
中でもこの鋼正堂のお皿は使わない日がないくらい
ほぼ毎日使っている一軍選手だという、cayuさん。
インスタグラムにも、毎日のおいしそうな食事が
つづられています。
鋼正堂の器は、
とにかく何を置いても絶妙にかわいいところと、
裏まで抜かりなく素敵なところが好きだそう。
「一見普通の白いお皿なのですが
色といい質感といいこんなお皿はどこにもない!
アンティークのような儚く柔らかい佇まいと
業務用の雰囲気を両方持っている不思議なお皿。
そしてプロダクトの安心感もあって本当に最高。
初めて家に届いて包装を解いた瞬間、
きゃーー!!! うわー!! 素敵!! と
声を上げてしまいました」
一枚で使っても
他の作家さんの器と合わせて使っても
まとまりよく馴染んでくれるので、
本当に出番が多いのだといいます。
ちなみに、ラインナップは、
丸プレートが大小2枚ずつ、
耐熱皿は小が3枚、大が1枚。
「うちではいつでも手に取れるよう
食器棚の一番手前に置いています」
では、それぞれの使い方の例をうかがいましょう!
●丸プレート小
「お休みの日の午後、
本を読みながらゆっくりワインを飲むのが好きなのですが、
そんなとき丸プレート小にパンとチーズをのせると
とっても素敵な雰囲気にしてくれます。
どこかアンティークのような雰囲気があるので
古いカトラリーとの相性がいいのもお気に入りです」
「おやつを食べるときはほぼこのお皿。
リムの立ち上がりが絶妙で、
パウンドケーキやスコーンを乗せると
どんな大きさのものでも
いい雰囲気のおやつ時間にしてくれます。
カトラリーの当たりも柔らかいので
音も気にせず心地よく使えるのも好きなポイントです」
●丸プレート大
「丸プレート大は朝ごはんにワンプレートとして。
結構大きめなので、忙しい朝に
パンと数種類のおかずを雑に置いても
ごちゃごちゃせず使いやすい。
プレーンな白いお皿で大きいものは
なんとなく間伸びした印象になってしまうことが
多いのですが、なぜかこのお皿は
そうならないところもお気に入りです」
●耐熱皿
「初めて見たとき、野菜やおつまみを入れて
テーブルの真ん中に置いたらかわいいだろうな、
と頭に浮かびました。
なのでこれだけ3つ持っています。
これに入れると食卓が楽しげな雰囲気になるので
とりあえず何でも入れています」
「耐熱皿小にグラタンを、
耐熱皿大にパンを入れて使っています。
このときは小にグラタンを入れて使っていますが、
人数が増えた場合に大皿料理として
耐熱皿大でオーブン料理を作ることも多いです。
どちらのパターンでも使えるので
とても使い勝手がよいです」
ああ、どの写真もおいしそう‥‥。
洗いざらしのリネンや、木目のうつくしさと、
鋼正堂の白い肌、そして料理。とてもきれいです。
ちなみに鋼正堂の耐熱皿で
個人的に推したいポイントは、
プレートのリムの立ち上がり方なのだそう。
「かくんとしてない絶妙な立ち上がりのおかげで、
たくさん盛っても少なく盛っても
自然と馴染んでくれます。
だいたいのお皿は余白を多めにとって料理を盛らないと
バランスを取るのが難しいのですが、
この鋼正堂のお皿に限っては
そんなことを気にせず使える、安心できる存在です。
白いお皿が好きな方にこそぜひ使って欲しいです!」
cayuさん、ほんとうにそうですよね。
どうもありがとうございました!
2・duckshome___dhさん
40代。夫、フレブルと暮らしています。
duckshome___dhさんのInstagram
耐熱皿小と、丸プレート小をお持ちの
duckshome___dhさん。
インスタグラムからは、
すっきりときれいにまとまったキッチンに、
えらびぬかれた道具がならぶようすがわかります。
お持ちの鋼正堂は、耐熱皿小と、丸プレート小。
それぞれの印象をおたずねしました。
●耐熱皿小
「耐熱皿という事で
グラタンや焼きプリンを作りたくて購入しましたが、
意外にも普通のお皿としてよく使っています。
深さとサイズ感がちょうど良くて
フルーツを盛る事が多いです」
来客時にトレイに3つ並べてお菓子を盛ったり、
食卓によく登場するサムギョプサルの時に
キムチやナムルを入れたりしているのだそう。
「玄関に置いて鍵置き場にしてもいいなぁと思っています」
●丸プレート小
「薄過ぎず、かと言ってぽってり過ぎでもない、
手に取った時に安心感のある絶妙な厚みが
気に入っています」
取り皿としてはもちろん、
切った食材を乗せておいたり食材をレンジで温める時など、
おうちの食器の中でいちばん出番の多いお皿だそう。
「簡単に済ませたい
自分用朝ごはんの時にもよく使っています」
duckshome___dhさん、ありがとうございます。
すえながくご愛用くださいね~!
3・yoco_matさん
デザイン事務所勤務。
大好きな自宅で過ごす時間が増えました。
yoco_matさんのInstagram
丸プレート小を4枚、
耐熱皿大2枚をお使いの、yoco_matさん。
丸プレート小は、
朝食やおやつを乗せたり、取り皿にほぼ毎日、
耐熱皿は、リモートワーク中の
ワンプレートランチに使うことが多いそう。
そういえばyoco_matさんのインスタグラムって、
う~んとおいしそうなものであふれていますよね。
さて、鋼正堂のお皿ですが、
ふだん、しまっているのは、引き出しだそう。
「いちどに見渡せて取りやすいので、
引き出しに収納しています。
耐熱皿は、引き出しの下の棚に入れているんですよ」
なるほど、ひと目で見渡せて、便利そう!
料理を持ったときのイメージもつかみやすそうです。
では、活用なさっているようすも
見せていただきましょう。
●丸プレート小
「ちょうどSAVEURのサブレと
ガトー・オ・ブールが届いたので、
おやつを乗せてみました。
朝食のスコーンは、イチゴジャムと
クロテッドクリームを添えて」
●耐熱皿大
「この日は忙しかったので、
冷凍してあったじゃこご飯と、
コンビニの冷凍麻婆茄子をチンして、
冷奴に乗せて簡単に。
冷たい豆腐と熱々の茄子が意外と合いました」
「乾麺の蕎麦とめんつゆに、
前日に仕込んでいた味卵を添えて。
麺類もしっかり受け止めてくれます」
「野菜をたくさん食べたかった日です。
ハンバーグの上には黄身のしょうゆ漬けを乗せて。
このお皿なら、たくさん盛ってもこぼれる心配なし!」
耐熱皿をこんなふうに使うなんて、おどろきです。
立ち上がりがあるのをいかして、お蕎麦とは!!
でもそうですよね、お皿なのだから、
使い方は自由です(マネします!)。
yoco_matさん、ありがとうございました!
幸せって?
「幸せって感じる時って、
どんな時?」
なーんて、
不意に聞かれて、
パッと出た答えは、
好きな人とおいしいものを食べること、
でした。
でもその後、
いろいろ考えると、あったんです。
たとえば、
一人の気ままな時間。
たとえば、
スヤスヤ眠る娘の姿を見た時。
それから、
自分の好きなものに囲まれること。
隅々まで、掃除の行き届いた快適なホテルの部屋も、
それなりに居心地はいいけれど、
そこにあるものはやっぱりすべてが、
「自分の好きなもの」ではない。
長い間、じっくり時間をかけてえらんだ家具、
気に入りの壁の色、
光の透けた感じがいいリネンのカーテン。
家にあるすべてのものが、
私の好きなもの。
それらに囲まれている時こそ、
「幸せ」なのでした。
今週のweeksdaysは、
ウッドバスケットとスツール、
それから鋼正堂の器を再販売。
買い逃してしまった! という方、
どうぞお見逃しのなきように。
コンテンツは、
スツールとバスケット、
それぞれの使い方を取材しました。
そこにあったのは、それぞれの美学。
取材先の方々の考えを知る瞬間も、
私にとって「幸せ」なのだなぁ。
杉工場の小ひきだしと鏡 わたしの使い方 伊藤まさこ
4・鏡の置き場所えらび
去年の終わりに、
チェストを買いました。
大きな家具を買うのは、久しぶりのこと。
圧迫感が出たらどうしようなんて、
少し心配はしましたが、
じっさい置いてみると、
前からそこにあったみたい。
よかった。ほっと一安心。
ひきだしが浅めのチェストには、
スカーフやベルトなど、
こまごました小物を入れます。
じつは、この小物の収納には、
紆余曲折ありまして、
オープン棚に飾るように収納したり、
紙の箱を使ったり。
それはそれでいったんは気持ちが落ち着くのですが、
どうにも使いづらく、
すぐに散らかるのが悩みなのでした。
一番上には、アクセサリーを。
ひきだしの奥には、香水や気に入りのハンドクリーム、
ハンカチなどを入れています。
出かける前、
このチェストで、最後の準備をするというわけです。
顔がうまい具合におさまる鏡は、
チェストの上に置きます。
ピアスをつける時や、
メイクの最終チェックもできて、
とても重宝。
フレームと重ねるように並べたり、
フラワーベースや石が入った器を置いて、
鏡がインテリアに馴染むようにします。
チェストの上は時々、模様替え。
目の高さに釘を打ち、ミラーを壁にかけました。
同じ場所でも、目線の位置を変えると、
印象が変わるでしょう?
鏡本体の裏側に溝があり、
縦にも横にもかけられるところもいいんです。
(裏側の写真は、商品ページをご覧くださいね)
香炉に、お香、鳥のオブジェ、
はずしたアクセサリーをいったん置く陶器の皿、
それから空き箱をいくつか。
たくさん置いても、ごちゃっと見えないコツは、
色合いを統一すること。
鏡があると、
空間に奥行きが生まれます。
鏡のある風景、なかなかいいでしょう?
杉工場の小ひきだしと鏡 わたしの使い方 伊藤まさこ
3・娘の部屋では
「小ひきだし」という、小さな家具の存在が好きで、
古くて、感じのよいものを見つけると、
ついつい買ってしまいます。
weeksdaysで小ひきだしを作るようになったのも、
そんな「好き」という気持ちがきっかけ。
小さいのに、いろいろな用途に使えて、
こまごましたものの整理ができるところがいいんです。
weeksdaysの小ひきだし、
まず初めは、文房具や領収証など、
仕事まわりのものを収納。
その次は、アクセサリーを入れて。
豆皿や、着物の小道具の収納にもうってつけ。
こんな風に、場所やシーンをえらばずに使える、
小ひきだしの可能性って無限だわ‥‥
と思っています。
最近、私の目に新鮮に映ったのは、
娘の使い方。
こんな風に、ベッド脇に置いて
サイドテーブルのようにしていました。
(娘は古いものを使っているので、
weeksdaysの小ひきだしで
「私が置くのなら」という様子を
スタイリングしてみました)
目薬、眼鏡、リップクリーム。
アイマスクとかも入れるといいのかな?とか、
文庫も入るよね?
マグカップもおけちゃう!
なんて、また小ひきだしの可能性を見出した私です。
ありがとう、娘。
素材は、
ベッドと同じナラ。
だからか、ベッドサイドに置いても馴染む。
小さなライトも合いそうだな‥‥なんて、
夢は膨らみます。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
8月10日(水)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
杉工場 小ひきだし
一見、コンパクトに見えますが、
収納力はけっこうあって、
この小ひきだしがあるのとないのとでは大ちがい。
身の回りのこまごましたものが、
気持ちいいほどすっきり片づきます。
いつも、あれない、これない、どこいっちゃった?
なんて探しものをしているとしたら、
時間が少しもったいないと思う。
ものの置き場所をきちんと決めて、
こまごましたものをひきだしにおさめたら、
ものだけでなく、
気持ちの整理整頓にもなるはず。
入れるものは、あなたの自由。
使い方も自由です。
小さいけれど、大きな役割をしてくれる、
このひきだしはきっと暮らしの役に立つはずです。
使い方もぜひ参考にしてくださいね。
(伊藤まさこさん)
杉工場の小ひきだしと鏡 わたしの使い方 伊藤まさこ
2・ああ、すっきり
「ひきだしの中の進化」はまだ続いていて、
今日は、器以外のこまごましたものを入れている
小ひきだしの中を整理しました。
まず1段目は、
日々、使うもの。
ここには、最近、体調の変化を記すために買った、
ほぼ日の5年手帳とメモ用紙、ボールペン、
老眼鏡とメガネ拭き、
そして出張のために用意してくれた新幹線のチケットを。
このひきだしの中と、
スマートフォンとパソコンをチェックすれば、
わたしの仕事は万事大丈夫というわけです。
2段目は、事務用品を。
名刺もクリップも、
ここがいっぱいになったら整理します。
左の真ん中の箱には、
気に入りのピカソの名言が書かれた消しゴムと、
ル・コルビュジエの小さな家を模したクリップを。
仕切りには、いいなと思って取っておいた、
グレーの小箱とその蓋を使いました。
消しゴムとクリップは、
気に入っているだけあって、
使うつもりはないのですが、
なんとなく、これくらい
「使うものとそうでないもの」が
混在している方が、
ひきだしの中に呼吸が通る感じがして好きです。
3段目は、老眼鏡の予備と文房具。
ペンケースの中のペンも、
今回、使えるかどうかチェックして、
少し減らしました。
4段目には、
小銭とお財布を。
スマートフォンとカードだけでどうにかなる日も多いので、
お財布を持たない日は週のうちの半分くらい。
長財布を持った時もありましたが、
最近は「お財布です」といった感じの
がま口が気に入っています。
ひきだしの中が整ったら、
棚に収めます。
ああ、すっきり、気持ちがいい!
使ううちに、またきっと中のものが
変化していくと思うのですが、
その報告はまたいつか。
杉工場の小ひきだしと鏡 わたしの使い方 伊藤まさこ
1・分類をする
最近、わたしの中で古い器が再加熱。
骨董屋巡りをしたり、
骨董市に行って、
(時にはインスタショッピングも)
気に入りを見つけてはホクホクしています。
古い器のいいところは、
長い年月を過ごしてきただけあって、
味わいが増しているところ。
だからかな、
「はじめまして」という感じがなく、
もともとあった器とすぐに馴染むんです。
さて、
厳選して少しずつ買っている器。
じわじわ増えているから、
気がつかなかったけれど、
食器棚をあらためて見てみると、
あれ? なんとなく息苦しい感じ。
そこで、休みのある日、
整理をすることに。
‥‥といっても、減らすのではなく、
あくまでも整理整頓。
重ねて取り出しづらかった、
小さな湯呑みは、竹の入れものに入れ棚へ。
こうすると一目瞭然です。
同じように、
「古伊万里の白と瑠璃色の向付け」とか、
「リネンのナプキン」とか、
アイテムごとに分類していきます。
中断に置いていた小ひきだしは、
一段下げて、上から覗きやすいようにしました。
(右はweeksdaysオリジナル、
左はそれの元となった古い小ひきだしです)
今回、取り掛かったのは、
小ひきだしの中の整理。
箸おきを仕切っていたポリプロピレンの容器、
じつはずっと気になっていたのです。
そこで、箸おきをポリプロピレンから、
小さい湯呑みに入れ替えたら‥‥
ひきだしの中が、
格段に美しくなりました。
金継ぎに出さないとと思っていた、
ちょっとひびが入った器も、
新しい役割を得て、なんだか生き生きして見えます。
ひきだしに入れたら、
それでおしまい、ではなく、
ひきだしの中も時々見返して進化させて。
いつでも心地よく、
いたいものです。
整えること
遠くの街に住んでいるので、
なかなか会えないけれど、
とても信頼している友人がいます。
こういう人を「親友」って、
呼べるんじゃないかな、というくらいの。
2ヶ月に一度くらい不意に、
「東京行くけど、時間ある?」
と連絡がくるのですが、
私たちの予定が合うのは、
たいていいつも朝。
おたがい早起き。
日中は仕事が詰まっているから、
朝ごはんを一緒に、
というわけです。
いつもくだらない話ばかりの私たちですが、
毎回、会うたびに心のすみっこに、
ひっかかる言葉を残す友人。
この前は、
「整えることの大切さ」
だったかな、
そんなことを話してくれました。
たとえば、
本棚の本の背表紙、
たとえば、
家具の配置。
ちょっと気を配るだけで、
美しく見えるいろいろなことを、
みんな見過ごしてやしないか?
ってことを言いたかったみたい。
ていねいに、
きちんと。
もの作りをする上で、
とても大切なのは、
そのふたつ。
weeksdaysは、言葉にこそ出さないけれど、
そのふたつを心に置いて
もの作りをしてくれる方々と一緒に、
仕事をしています。
今週は、毎年好評をいただいている、
杉工場の小ひきだしの再販。
どうです?
この木のつなぎ目の美しさ。
仕事のていねいさ。
この小ひきだしを見ていると、
なんだか自分まで整った気分になる。
背筋がシャン、とするのです。
いちにち2パンツのすすめ
- 岡本
- お風呂あがりに、パジャマになる前、
ボディオイルとか塗るじゃないですか。
あのベタベタ、気になりません?
- 伊藤
- ああ!
- 太田
- でも、しみこんじゃうでしょう。
- 岡本
- そうなんですけど‥‥、
なんだかお布団につくようで、気になっちゃって、
それで長袖長ズボンのパジャマを着ているんです。
みんなどうしてるのか、聞きたいです。
お粉とかふって、つかないようにしてるんですか。
- 伊藤
- うーん? なんかそのうち肌に吸収しちゃうから
気にしないよ。
- 山川
- 私も、全然、気にしてなかった。
- 太田
- 寝るまでの時間をゆっくり過ごしていたら、
気にならなくなるよ。
- 山川
- ほら、顔も一緒じゃない?
- 伊藤
- そっか、顔はわりとつけるよね。
わたし、枕カバーは毎日替える。
- 岡本
- うーん。そう言われればそうかも。
- 山川
- うち、枕カバー、
週1回ぐらいしか替えてないんですが、
たしかに洗い立てで乾き立ての
シーツやカバー類って気持ちいいですよね。
- 伊藤
- すご~く、気持ちいいです。
- 山川
- 幸せですよね。
- 太田
- 私も毎日はできていないなあ。
私、枕カバーに「やさしいタオル」を巻いてた時は、
毎日替えて洗濯してたんですけど、
シルクのピローケースにしてから、
洗いやすしすぐ乾くはずなのに、
朝、洗濯しそびれちゃう。
- 伊藤
- 中山さんはどう?
- 中山
- 私も、坂口さんタイプで、
眠りにつくときの悩みは、何もないんです。
でも、寝起きがほんとに悪くて!
土曜日とかはもう、
ほっとくとお昼まで寝てます。
- 伊藤
- 人と一緒でも寝られる?
- 中山
- あ、人と一緒は寝づらいですね。
でもどこでも寝られるので、
海外旅行に行っても時差ボケがないんです。
眠りでいかようにも調整がつくから、
最初ちょっと我慢して昼間起きていて、
現地の時間で眠るようにすれば、
すぐになじんじゃいます。
- 太田
- 私も同じです。
同僚3人でギリシャに行った時、
私ともう1人が、
飛行機でも、舟でも車でもずっと眠るので、
眠れないタイプの子から
「人ってこんなに寝るんだって思った」
って言われました。
- 伊藤
- じゃ、みんなは、就寝時に着るものの悩みは、ない?
みんなそれぞれ、これが落ち着く、みたいなこと。
- 太田
- 私、サンスペルのルームパンツが好きです。
夏は涼しくて。
- 伊藤
- それは下着の上から?
- 太田
- そうですね。
- 伊藤
- ふむふむ。
寝る前になにか口にするとか、
ナイトキャップ(寝酒)を飲むとか、ある?
ハーブティーとか。
- 諏訪
- 冬はあたたかいハーブティーを飲んでました。
でも夏になると、ちょっと暑いので、
お水を飲んでます。
- 太田
- 熱中症にならないように。
- 諏訪
- はい。それに、寝る前にコップ一杯水を飲むと、
眠りの質が良くなるって聞きました。
起きた時も、水を一杯飲むと、
自律神経のバランスが整うって知ってから、
飲むようにしています。
- 伊藤
- 今、とくに言われてるよね。
それでね、今回のナイトパンツの話になるんだけれど、
このパンツ、眠るときのためにつくったのだけれど、
眠るとき「だけ」のものでもないんですよね。
デニムとかの時は、
必ずしも着替えなくてもいい。
- 太田
- 下着が響かない服の時だったら、ということですね。
- 伊藤
- そう。なぜかって、とにかく快適だから。
服に合うんだったら、日中でも全然使ってほしいな。
ワンピースの下に着るのもいいかもね。
- 山川
- たしかに。かわいいですよね、単体でも。
- 伊藤
- うん。かわいい。うんと伸びるし。
だからワンサイズなんですよね。
- 諏訪
- 素材はなんなんですか?
- 伊藤
- スマイルコットンっていう、
とくべつなコットン。
コットンが94%、
その芯に、ポリウレタンが6%入っている、
だから肌に触れるところは、コットン。
- 岡本
- そんなに伸びるのに、
締めつけられないのが不思議。
- 伊藤
- そうなのよ!
- 中山
- パンツの太ももの付け根のところに
ふつうは入っているゴムがないので、
鼠径部を締めつけないんですね。
- 太田
- ゆったりした気持ちで穿けそうです。
- 諏訪
- 私「つきのみせ」っていう
ほぼ日のブランドも担当していて、
そこで、このナイトパンツと同じ、
惠谷太香子さんがつくる
下着を扱っているんです。
私は惠谷さんを知ってから、
初めて下着について考えたんですよ。
それまで自分がいままでつけていたものを、
なんとも思ってなかったのに、
担当して惠谷さんのつくるものを着るようになったら、
戻れなくなったというか。
いままであんなに
体に負担をかけてたんだって思いました。
- 山川
- わかる!
- 伊藤
- うん!
- 太田
- 違うものをつけると良さがわかる。
- 山川
- 私の下着の引き出し、95%、惠谷さん製です。
- 伊藤
- デザインがかわいくて安価な下着を、
娘が着るかなとか思って買ったら、
「汗がたまるからいらない」って。
「やっぱり惠谷さんのがいい」と。
- 山川
- いいんですよ~。
- 伊藤
- だからこのナイトパンツは、
これまで惠谷さんの下着を知らない人にも
ぜひつけてほしいなって思うんです。
諏訪さんみたいに、いままで気づいてなかったけど、
「あ、こんなに快適だったんだ」って
きっとわかってもらえると思う。
- 山川
- セクシー過ぎないのもいいですよね。
これだけで着てもかわいい。
- 太田
- たしかに。お風呂あがりにね!
- 山川
- 太もものところも、
締めつけないようゴムがないのを、
あんな工夫でデザインするなんて。
- 太田
- ほんと。
私は今日、伊藤さんの
1日2パンツ制度を
取り入れようと思いましたよ。
- 伊藤
- いいと思う。
わたし、朝、散歩に行くから、
ナイトパンツにスポーティな服を着て出かけるの。
帰ってきてシャワーを浴びて着替える。
- 山川
- ‥‥余談ですけど、
そのあとは何を?
- 伊藤
- 着ていたものやタオルを洗います。
ちなみに、お風呂場は、水滴をスクイージーで切って、
バスタオルで自分を拭いたあと、
浴室の壁をそのバスタオルで拭く。
- 山川
- それは娘さんもなさるんですか。
- 伊藤
- うん。
- 山川
- 私もお風呂は最後に拭くんですけど、
私以外の家族は使ったあとに掃除しないんですよね。
でも伊藤さんのお宅は、ふたりともできる。
うらやましい。
- 伊藤
- 「そのほうが気持ちいいでしょ?」
というふうに、考えを揃えてるの。
それで、家中の掃除をすると、
いまは6時50分くらいかな。
でも、ひと息ついても、まだ娘が寝てる。
行動時間が全然違うのね。
- 太田
- 同じ国で時差生活。
- 山川
- さらに聞いてもいいですか。
伊藤さんのお宅にお邪魔すると、
キッチンにいつも何もないですよね。
生ごみはすぐ捨てるんですか。
スポンジもなかったような‥‥?
- 伊藤
- あ、生ごみ。常温でおいておくと、
まめに捨てても、においがするでしょ?
だからうちは一年中、
冷凍庫に入れてます。
冷凍庫のひとつを生ごみ専用にしてる。
食器洗いと片づけは娘の担当なんだけれど、
スポンジは洗ってベランダで乾かしてから仕舞います。
そこまでが片づけ。
- 山川
- すごい!
私も娘たちに、
10年後ぐらいに手伝ってもらえるように、
教えておかなくちゃ(笑)。
って、だいぶ話がずれちゃいました。
- 太田
- そうよ、テーマは眠り。
- 伊藤
- (笑)でも、だいたい、聞けたかな。
みんなの「眠り」が知れてよかったです。
ありがとうございました。
これをヒントに、もっと眠りが快適になることを
考えていかなくちゃね。
- 一同
- ありがとうございます。
寝起きはいい? わるい?
- 伊藤
- 照明の話に戻るけれど、
わたしの寝室は天井照明がなく、
枕元に置いた小さなランプだけなんです。
- 篠田
- 困ることはないですか。
- 伊藤
- そうなの、困る時もあるんですよ。
たとえば撮影の前夜、準備をしたいとき、
寝室の奥のほうにあるはずのものがよく見えない。
でも、自分が太陽と共に暮らしてるいるのだから、
「もう仕事をするなってことなんだ!」
と思って生きてます。
- 篠田
- なるほど(笑)。
困るのは、ほんのごく、たまにだけってことですね。
- 伊藤
- 朝、探せばいいんだしね。
あと、寝室でベッドから見える範囲に
よけいな物があるのが嫌だから、
つくりつけの棚も外して、
壁をつくってその裏側に物をしまいました。
- 山川
- その思い切りがすごいです。
- 伊藤
- 家も、そうやって一つずつ整えている。
- 山川
- うちは、それで言うと、
娘ふたりと夫婦の家族4人で一緒に寝ているので、
寝室にしている部屋には何もないです。
- 太田
- 人と布団だけってこと?
- 山川
- 人と布団、ほんとにそれだけ。
畳が、1cmの隙間もないくらい
布団でぴっちり埋まります。
壁と布団の隙間にシーツを差し込んでる感じ。
- 伊藤
- それ、楽しそう!
- 山川
- 修学旅行みたいですよね(笑)。
みんなは、どう?
- 篠田
- 私も寝つきが悪いのが悩みで。
だから、スマホを見てしまうんですよ。
冬なら、あらかじめ布団乾燥機で
温かくして寝るので、
スマホ見てるうちに気絶するように
眠ることができるんですけど。
- 伊藤
- 冬は、湯たんぽとかもいいですよね。
- 篠田
- はい。冬はそうして温かくして寝ちゃう。
でも夏はちょっと寝つきにくくて。
今はドライにして眠ってみたり、
いろいろ試してるところです。
- 太田
- スマホ、見ちゃうんだねぇ。
- 篠田
- 見ちゃう!
- 太田
- 私は、お風呂からあがったら、
もう見ないようにしてる。
スマホがちょっとくらいブルって鳴っても、
夜なら見ない。
- 山川
- 見ないで何してるの?
- 太田
- ストレッチとかしてる。
- 一同
- おお~!
- 山川
- なんて清いの。清すぎる。
- 太田
- いや、逆でね、
私は眠るのが大好きだから、
眠りに入るのに、邪魔をされるのが嫌なんです。
だから眠る準備をしているわけでね。
- 山川
- 太田さんと出張で同部屋になって思ったんだけれど、
信じられないくらい寝起きがいいんですよ。
- 太田
- はい、寝起きはいいです。
- 一同
- へぇぇ!
- 山川
- それも「めちゃくちゃいい」んですよ。
- 伊藤
- そうなんだ。
- 太田
- びっくりされました。
- 山川
- 太田さんも眠りのエリートですよ。
目覚ましが鳴る1秒前に起きて、
起きながら止めるんです。
ほんとうにおどろいた。
- 伊藤
- わたしも、目覚ましはかけないよ?
- 一同
- ええーっ?!
- 山川
- さらに上級のエリート!
- 諏訪
- 信じられないです。
私、30個ぐらいかけてます。
- 太田
- 30個?!
- 諏訪
- ほんとにリアルに30個かけてます。
スマホでも、複数のアラームが
設定できるじゃないですか。
- 山川
- 私は目は醒めるんですけど、
なかなか起き上がれない。
布団の中で「朝だなぁ」と思っても。
- 伊藤
- わたしはもうガバッて起きるよ。
でも娘は寝るのが大好きで、
ずーっとゴロゴロしていたいタイプ。
「部屋が全部布団だったらいいのに」って言ってます。
翌日が休みで1日外に出なくていいときは、
「明日、寝るのが楽しみ」と言って、
じっさい、ずっと寝てる。
- 山川
- 坂口さんはどう?
- 坂口
- 私は、あんまり参考にならないんです。
眠りの悩みは人生で一度もない。
ものすごく寝つきがよくて、
どこでも寝れます。
- 伊藤
- え?!
- 太田
- 暑くても?
- 坂口
- 暑くても、狭くても、明るくても、
眠りが勝ちます。
- 伊藤
- 飛行機の中とかも?
- 坂口
- 離陸の前に寝て、
ドン! という着陸の振動で起きます。
- 伊藤
- ええっ?!
- 諏訪
- うらやましい‥‥。
- 坂口
- 飛行機が飛ばなくて
空港で一晩明かしたときも、
空港の床で熟睡しました。
- 山川
- どこでも熟睡できるって、
救急隊とかになれる素質がある。
- 岡本
- 客室乗務員もそうだといいますね。
どんなにストレスがあっても
5分で熟睡できるのが大事だと
聞いたことがあります。
寝起きもいいんですね、きっと。
- 坂口
- それが! 寝起きはわりと悪くて。
たぶん「寝るのが好き」なタイプなんだと思います。
でも今はだいぶ寝起きがよくなりました。
学生の時は、ほんとに寝起きが悪かったです。
- 伊藤
- 着てるものとかもべつになんでもいいの?
- 坂口
- はい、なんでも。
- 伊藤
- 「これじゃないと!」っていうのは、ない?
- 坂口
- なんにもないんです。
- 山川
- 寝具もなんでもいいの?
- 太田
- 枕とか、どうでもいい?
- 坂口
- はい、なんでもいいです。
- 伊藤
- いいなぁ‥‥。
- 坂口
- スマホ見ながらでも、
テレビ見ながらでも、
すっと眠れますよ。
でも、やっぱり、
それはよくないですよね(笑)。
- 伊藤
- ううん、いいと思うよ。健康だよ。
- 坂口
- そうですね。
入眠に関しては健康ですね。
岡本さんはどうですか。
- 岡本
- 私は、寝落ちするのがすごく好きです。
お布団も好きで。
仕事がなければ、10時くらいには電気を全部消して、
小っちゃい電気だけにして、布団に入って、
‥‥ずーっとスマホ見てる。
- 伊藤
- 見てるんだ!
- 山川
- で、寝落ちするのを待つの?
- 岡本
- そうなんです、そうして落ちるのが一番好きです。
スマホ見てるから寝れない、とかもなく。
その代わりに、寝る環境は、
かなり、大事にしてます。
- 伊藤
- え、どんなことを?
- 岡本
- たいしたことじゃないんですよ、
最近の発見が、抱き枕です。
好きで使ってたんですけど、
けっこう邪魔なんですよね。
- 一同
- (笑)
- 太田
- おっきいもんね。
- 岡本
- 「人、1人いるよ」ぐらいの邪魔さなので、
最近は、45cm角の普通のクッションを2つ置いて、
1個は抱っこして、もう1個を足に挟むんです。
そうすると抱き枕の変わりになるし、
邪魔にもなりません。
- 伊藤
- なるほど。じゃあ悩みはなし?
- 岡本
- そうですね、私も坂口さんと一緒で、
あんまり眠りの悩みって、ないんです。
でも、1年中、長袖・長ズボンじゃないと嫌かな。
- 伊藤
- 襟がついてるタイプ?
- 岡本
- はい、普通のパジャマを着てます。
睡眠はひとそれぞれ
- 伊藤
- 今日はよろしくおねがいします。
みんなの「ねむり」について、
いろいろ聞かせてほしくて。
- 一同
- よろしくお願いします。
- 太田
- 今回、ナイトパンツをつくったきっかけは、
伊藤さんの「あったらいいな」がスタートですよね。
- 伊藤
- そうなんです。
ナイトブラがあるのなら、
ナイトパンツがあってもいいんじゃないかなって。
わたしはこのごろ、柔らかめなカットソーの、
‥‥ボクサーショーツっていうのかな、
ぴったりはしているけれど、
きつく締めつけるわけではないタイプの
アンダーウェアをつけて寝ることが多かったんです。
- 篠田
- 男の子が着るようなかたちのものですね。
- 伊藤
- そう、まさしく男子用のSサイズ。
それが、とても楽だなあと思って。
なぜかっていうと、
朝は、服に合わせて下着を選び、
夜シャワーを浴びて、もう1回選ぶので、
1日2回下着を替えるんですね。
- 山川
- 1日2パンツ生活。
- 伊藤
- そう。だったら夜も快適に過ごせるものを
着用したほうがいいな、と。
眠るときは、いくらかわいくても、
足のつけ根が押さえつけられるタイプの下着は、
痛くていやでしょう。
- 篠田
- そうですよね。
- 山川
- ルームパンツで眠ってもいいように思いますけれど、
それだとちょっと窮屈ですか。
- 伊藤
- そう。もうちょっと柔らかいほうが
いいかなと思うんです。
- 山川
- たしかに、多少のリラックス感があるといいですよね。
でも伊藤さん、以前は、
シルク素材のスリップで就寝していたんじゃ?
- 伊藤
- そう、下着はつけずにね。
でも実家に泊まった時、
はだけた娘の寝姿を見た母が、
「本当にやめてほしい」って(笑)。
そんなことを、以前、大久保佳代子さんとの対談で
話したことがあるんですけど、
その頃からかな、パンツはちゃんと
穿いたほうがいいのではって思うようになりました。
それは「温める」という意味でもね。
- 山川
- たしかに、なにも穿いてないと、
スカスカしちゃいますよね、
- 太田
- 落ち着かない気がします。
- 伊藤
- うんうん。そうなんです。
山川さんは何を着て眠るの?
- 山川
- 私は、ズボンを穿かないと落ち着かない派です。
以前「weeksdays」で販売した、
サンスペルの長いルームパンツを使っています。
それにTシャツを合わせて。
- 伊藤
- なるほど。
着るものも含めて、
みんながどういう環境で寝てるかっていうのも
興味があるな。
- 山川
- 伊藤さんの場合は?
- 伊藤
- わたしは、日が沈むと同時に、
だんだんと部屋の灯を減らしていって、
眠る時間に合わせて闇に近づけていくんです。
寝る1時間前は絶対スマホもTVも見ない。
- 山川
- それは眠りのエリートですね!(笑)
みんな寝る寸前まで
ビカビカに電気ついているんじゃないかなぁ。
- 伊藤
- そうなんだ?
どうなんだろう?
- 太田
- 私は、仕事をするときは、
蛍光灯のような目の覚める光源にして、
仕事を終えて夜になったら、
やわらかく、暗めの間接照明に変えてますよ。
- 山川
- すごい。
- 太田
- もともと明るいのが好きじゃないんです。
- 山川
- 空調はどうしていますか。
寝づらい時期ですよね。
- 伊藤
- リビングのエアコンをつけておいて、
扇風機で寝室に送ってます。
- 太田
- 循環させているんですね。
私も隣の部屋のエアコンをつけて、
寝室にすこし冷気が届くよう、
サーキュレーターを回してます。
- 山川
- うちは、寝室に布団を敷くときに
エアコンをつけて冷やしておくんです。
布団を敷く部屋は
昼間にかなり室温が上がっているので、
寝る時に快適な温度になっているように。
じゅうぶんに冷えた部屋で、
こども2人と夫婦、4人で就寝です。
そのあとは除湿にして、
起きるまでつけておきます。
- 太田
- そっか、4人で1部屋は暑いものね。
- 伊藤
- みんなは、眠るギリギリまで
スマホを見たりとかするのかな。
- 太田
- うーん、私は見ないです。
- 諏訪
- 私はスマホ、見ちゃいます。
そもそも私はけっこう眠りに悩みがあって、
わりと不眠気味というか、寝付けないんですよ。
それで整体の先生に、
寝る前の呼吸による準備方法を教わって、
やっと人生が変わったかもしれません。
- 伊藤
- 腹式呼吸でしょう? 知ってる!
わたしも眠れない時があって、
その時は呼吸法で眠れるようになりました。
- 諏訪
- そうですね。そんな難しいことでもないんですよね。
ほんとに、肋骨を開くようなイメージで
呼吸をするんですけれど、
それをやるようになってからは、
眠りやすくなってきました。
眠りの質が、日中の体調を左右するんですよね。
そういう人間の基本的なことを
忘れていたんだなあと思いました。
- 山川
- ほんと、夜眠れないと、つらいですよね。
- 伊藤
- なんでだろう、
忙しすぎて覚醒してるのかな?
緊張?
- 諏訪
- そういえば泊まりの出張の前の日は、
決まって2~3時間しか寝れないんですよ。
小さな頃から遠足の前の日は眠れないタイプです。
- 山川
- 眠れなくても、ずっと布団にいるの?
- 諏訪
- いるんですよ。
いっそ起きちゃおうかなって思うんですけど、
起きて何かできるほどの集中力も、もうないから、
体だけでも休めようと、横になるんです。
でも、少しずつ眠れるようになってきました、最近。
- 太田
- 眠る直前までスマホを見てると、
ちょっとそうなるかも‥‥。
- 諏訪
- そうそう、そうですよね。
それがクセになり、逆に、
夜になると目が冴えてきちゃうようになって。
- 山川
- そうなんですね!
私は‥‥いつもすぐ寝ちゃってます。
倒れこむように。
- 伊藤
- そういえば、「weeksdays」でつくった
シルクのシーツやピローケースもよかったですよね。
自分たちの眠りを良くするために、そうやって
一つずつ改善してきているわけです。
しめつけず、やさしく守るものを
- 伊藤
- 惠谷さん、どうぞよろしくお願いします。
「ナイトパンツ」は、そもそも、
わたしから惠谷さんにお願いにあがったんです。
- 惠谷
- そうでしたね、
素敵なご提案を、ありがとうございます。
- 伊藤
- こちらこそありがとうございました。
すばらしいものができあがりました。
- 惠谷
- よかった。ありがとうございます。
- 伊藤
- 寝る時に楽な下着がほしいと。
締めつけないで、
でもおなかはちゃんと守ってくれるようなものですね。
そういうものは市場にあることはあるんですが、
ちょっと肌着っぽすぎるというのかな、
そういうものが多いんです、と、
そんなお話をさせていただきましたね。
- 惠谷
- そのお話をいただいた時に、
ちょうどいい素材がありますよってご提案しました。
私もよく使っている、
スマイルコットンっていう素材です。
- 伊藤
- スマイルコットンっていうのは‥‥。
- 惠谷
- 綿花は、普通は紡いで糸にして
綿糸になるんですけど、
スマイルコットンは、そもそも、ほら、
これをごらんください。
同じ10gでも、
このくらいのボリュームがあるんですね。
- 伊藤
- なるほど、そもそも、ふわふわしているんですね。
- 惠谷
- はい。それで、ここからが特殊技法らしいんですけど、
一回紡いだ糸をほどきます。
よく三つ編みの髪をほどいたら、
ボワンってソバージュっぽくなりますよね。
そんなふうにふわふわにして、
もう一回また糸にするんです。
そうすると、糸が柔らかくなり、空気を含む。
- 伊藤
- 惠谷さんは、このコットンを
どれくらい前から使われているんですか。
- 惠谷
- 私がタッチしてるcohanは、
2015年に立ち上げた時から
綿はスマイルコットンにしています。
なぜかっていうと、このスマイルコットンを、
日本アトピー協会が推奨しているんですね。
エビデンスもとれてまして、
タッチの柔らかさとか、乾きが早いことも、
普通のコットンとどう違うか、
検証されているんです。
- 伊藤
- それはうれしいことですね。
- 惠谷
- マタニティーもベビー服もデザインしているので、
心地いい素材をみなさんに着ていただきたい。
とくに下着は、一番、肌に近いので、
ストレスフリーになるようにっていうことで、
この素材を使っているんです。
それで、まさこさんの依頼にぴったりだと思って。
- 伊藤
- スマイルコットンを使って、
いままでどんなものをつくられたんでしょう。
- 伊藤
- ソフトブラは、マタニティーでも使えそうですね。
- 惠谷
- そうなんです。生地が伸びるので、
おっぱいをあげるのに
いちいち脱がなくて済むんです。
糸番手も、太い16番から細い140番まであり、
いろんなニットの技法が使えますから、
とてもべんりなんです。
- 伊藤
- 今回は‥‥。
- 惠谷
- 40番手のシングル(単糸)ですね。
ベアテンといって、天竺編み(平編み)の中に
うんと細いポリウレタンを6%入れてます。
ポリウレタンを入れている理由としては、
綿100%だと伸度が少ないんです。
伸び縮みがない。
これは縦横ビヨンって伸びるように、
ちょうといい混率で合わせています。
- 伊藤
- ということは、肌に触れるところは、ほとんど綿?
- 惠谷
- はい、ほとんど綿ですね。
とても伸びがいいので、
まさこさんから私まで、
同じサイズで着られると思います。
- 伊藤
- ワンサイズなので、迷わないですね。
ウエストのやわらかさもいいんですよ。
- 惠谷
- 最初のサンプルは、しっかりしたほうがいいかなと思って、
ちょっと硬めのゴムを使ったんですけど。
やっぱり素材がすごく柔らかいので、
中のこのゴムも柔らかいものに揃えました。
ほら、伸びますよ!
- 伊藤
- ほんとだ。すごい。
- 惠谷
- で、キックバックもあるんです。
戻りがいい。しかも、ちょうどとまりたい部分で
とまるんです。縦伸びもしますから、
しっかり履きたいなっていう方は、
グッと上げられても大丈夫。
ゴムは、肌にあたらないように、中にいれて、
一番縫い目があたりにくい千鳥縫いをしています。
- 伊藤
- 中で、ゴムがよじれることはありませんよね。
- 惠谷
- ありません。
- 伊藤
- じゃあ、千鳥縫いをした糸も伸びる。
- 惠谷
- はい、そうです。
これは、ウーリー糸を使っています。
布帛の生地は、スパン糸っていう、
伸びない糸を使うんですけど、
これは伸びる糸にしてます。
- 伊藤
- これ、ナイトパンツとして開発しましたが、
とっても履き心地いいから、
服が、下着のラインが響かないものだったら、
一日中、履いてもいいですよね。
- 惠谷
- もう全然、大丈夫です。
マチの部分も伸びますし、
いつもながら立体につくってありますから、
お尻に食い込んで気持ち悪いっていうことにも、
ならないと思います。
体の厚みをマチの部分でとらえて
──クロッチって言うんですけど──、
カーブするようになっているので、
履き心地がすごくいいと思います。
そして足口には、ゴムが入っていません。
- 伊藤
- ね。ここがいいんです。
- 惠谷
- 足の細い人は、生地の端のカールが
そのまま残っている感じになりますけれど。
それから、マチの部分は二重にして
「ふらして」あります。
- 伊藤
- 縫いどめてないってことですね。
- 惠谷
- そうです、そうです。
なので、1枚履きされた時も、
中の生地は、デリケートゾーンの肌に沿い、
外の生地自体はちょっと余裕がある感じになります。
このマチがついてなかったら、
ちょっとスカスカしちゃうけれど、
中の二重の部分で、フィット感がすごく出ると思います。
ちなみに、マチの素材は同じにしました。
普通の綿よりも柔らかいので、
肌触りはめちゃめちゃいいと思います。
1枚履きされたらすごく気持ちいいと思う。
- 伊藤
- 完璧です!
これって、日本の技術ですか?
- 惠谷
- そうです。日本ですね。
三重のニッターさんなんです。
お父さんの時代からずっとニッターをされてて、
今、二代目なんですって。
すごくちっちゃい工場なので、
あんまり量がたくさんつくれないんですけど。
(手で伸ばしながら)
ほんとうに、この伸び、すごいですよね。
縦伸びするっていうのは、すごく着心地がいいんです。
- 伊藤
- 体って立体ですもんね。
- 惠谷
- そうなんですよ。
生地が伸びるので、
そんなに立体設計はいらないように思われますけれど、
平面にすると、着たときにお尻がペタってなっちゃう。
なので、伸びる素材でも立体にしています。
そうだ、これ、ちょっと股下の丈があるのも、
履きやすさにつながっているんですよ。
普通のボーイレングスは、
この股下がついてないから、
女性には履きにくいですよね。
- 伊藤
- そうなんですよね。
そして、コンパクトになるのもうれしいです。
- 惠谷
- そうなんです。
しかも普通の綿100のショーツより、
お洗濯後に、早く乾くと思います。
そもそもの糸が、空気を含んでいるので。
- 伊藤
- 娘と共に着させていただきますね。
惠谷さん、いつもありがとうございます。
- 惠谷
- こちらこそ、ありがとうございます。