未分類カテゴリー記事の一覧です
ねむりのために
ものづくりをしていく上で、
「売れる、売れない」を考えるよりも、
「こんなものがあったらいいのに。
でもないからつくっちゃう!」
そんな自由さは、
とても大切ではないかと思っています。
それは、
常に新しいものを提案していく、とか
奇抜さを狙うとか、
そういうことではけしてなく、
本当に、純粋に、
「欲しいものをつくる」。
ただそれだけ。
weeksdaysがはじまったばかりの頃、
私が欲しいなと思ったのは、
女の人用のトランクス。
チェックやストライプ柄のトランクスを見て、
こんなかわいいの、
男の人だけのものにしておくの、もったいないんじゃない?
履き心地もいいに決まっているし。
そう思ったのでした。
最初は、まわりの人にびっくりされた
女のトランクス(糸井さんが「ルームパンツ」という、
かわいい名前をつけてくれました)でしたが、
次第に私の生活に馴染んでいき、
今や夏には欠かせない存在になっています。
さて、
去年あたりから気になり始めたのは、
ボクサーパンツ(また男の人用の)。
さっそく数種類、サイズ小さめを買ってみたら
これがなんとも気持ちいいんですよ。
今週のweeksdaysは、
夜眠る時や、リラックスしたい日に穿きたいナイトパンツ。
ボクサーパンツの穿き心地のよさを基本に、
私たちが穿いても、
「よし!」と思える、
見た目、それから穿き心地にと、
考えてくださったのは、
weeksdaysでもお馴染み、
cohan や ma.to.wa のデザイナーの惠谷太香子さん。
「ナイトブラ」ならぬ、
「ナイトパンツ」。
私の、そしてみんなの新定番になる予感がしています。
シルクのTシャツ、あのひとに着てもらいました。 03 シンプルな服には ターコイズやシルバーを。 ソムリエ・ワイン検定講師 秋田恭子さん
秋田恭子さんのプロフィール
あきた・きょうこ
1964年生まれ。
クラシカルなレンガの壁と大きな木がシンボルだった
吉祥寺のレストラン〈葡萄屋〉を家族で営んでいた。
ワインソムリエとして働きつつ、
ソムリエ資格取得の講師としても活動。
海外旅行が趣味。
おいしいものが大好きで、
自然派ワインへの造詣も深い。
身長160cm。
吉祥寺で長年愛されてきたレストラン〈葡萄屋〉の
オーナーマダム兼ソムリエとして働いてきた秋田恭子さん。
惜しまれながらも閉店した今は、
友人のイベントを手伝ったりしながらも、
のんびりと暮らしています。
だから最近の服装は、シンプル&リラックス一辺倒。
「レストランで仕事をしていた頃は
ジャケットとパリッとしたシャツや、
フォーマルなワンピースという装いが多くて。
仕事を辞めた今は家で過ごす時間が長いから
カジュアルでシンプルなものばかり着ています」
おしゃれは好きだけど、
凝ったデザインが好きなわけではなく、
自分が好きなものがはっきり決まっているという秋田さん。
「行くお店もほとんど決まっているし
衝動買いはせず、じっくり悩んで買うタイプ。
だから流行にのったり、
新しいことにチャレンジすることが
あんまりなかったんですよね」
シルクについても、「お出かけ着=高価」という
昔ながらのイメージを持ったまま、
手に取る機会が少なかったとか。
「でも久しぶりに着てみたら
とろみがあって吸い付くような肌触りでありながら、
体に貼り付かず、からだが泳ぐような着心地。
シルクなのにストレッチが効いていて動きやすいし、
通気性がよく、自転車をこぎながら風をはらんだ時は
一層、気持ちよかった。
この肌触りは、1枚で着てこそ良さを発揮するんですね」
と嬉しそう。
「Tシャツスタイルというのも
取り入れやすいポイントですね。
光沢やとろみ感があるから、スポーティに偏らないし。
年齢的にも寂しくなりがちな顔周りに、
この光沢はありがたい」
合わせたシルバーのスニーカーも同じ理由で
最近、出番が多いのだそう。
「昔、素敵なマダムが履いていたのをみて、
同じブランドを探して買ったものなんです。
サイズで選んだらシルバーになったんですが、
買った当時より今のほうが似合うんですよね。
歳を重ねて、派手なものも
しっくり馴染むようになったかな」
ボトムには20年ほど前から着ているという
薄手のパンツを合わせて、
カジュアルシックなグレーコーディネートに。
「差し色を使うこともありますが、
基本的にはベーシックな色が好き。
こんな明るいグレーは、特に好きな色合いです。
年齢が出やすい首もとを隠したいから、
ショールを巻こうと思ったんですが、
服の光沢で気にならないかも」
アクセサリーやメイクも、
興味がないわけではないけれど、
なかなかチャレンジできないという秋田さん。
今回、シルクのトップスに合わせて、
娘にもらったという大ぶりのピアスや、
息子のアメリカ土産のバングルをチョイス。
「普段のアクセサリーは小さなピアスだけ。
でもこんなシンプルな服には
ターコイズやシルバーが合いそうだなと思って。
アクセサリーを買うのは好きで、
昔はよく海外旅行先で買っていました。
敬遠していたシルクも着てみたら気持ちがいいし、
タイやトルコで買ってきたアクセサリーも
つけてみたら楽しい。
古い概念は取り払って、
どんどんチャレンジしなきゃ、と感じました」
(撮影協力=「珈琲 立吉」)
シルクのTシャツ、あのひとに着てもらいました。 02 「きちんと」見えるのがいい。 フォトグラファー 宮濱祐美子さん
宮濱祐美子さんのプロフィール
みやはま・ゆみこ
女性誌をはじめ、料理本などの書籍、
広告などで活動しているフォトグラファー。
スタジオアシスタントを経て2004年に独立。
器や工藝にも造詣が深く、ポートレートから料理、
ドキュメンタリーな取材ものまで、幅広く活躍している。
身長172cm。
料理や器、インテリア、ファッションと
さまざまなジャンルでの撮影に携わっている
人気フォトグラファーの宮濱祐美子さん。
ときにはオフィシャルな場での撮影も手がけているため、
仕事のときの服装には気を遣っているそう。
「動きやすさを重視しながらも
取材先への敬意が伝わるように、
きちんと見える服装を心がけています。
カジュアルで大丈夫な場合でも
きちんと見えて恥ずかしいことはないから」
フリーランスとして仕事をしているからこそ
気遣いや仕事への姿勢を見せることが大切だと
考えている宮濱さん。曰く、
きちんと見せるために効果的なのは素材感。
「例えTシャツだとしても、
さらっとしたシャリ感のある素材だったら
だらしなく見えないと思うんです。
これはとろみのあるサテンシルクで、
肩もきりっとしたシルエットだから
よりフォーマル感がありますよね。
スポーティーなスニーカーを合わせたとしても
ドレスアップして見えるはず」
そう、ドレスハーセルフのシルクトップスは
まさにきちんと見える素材なのです。
「10年ほど前からシルクは大好きな素材で、
肌触りと着心地がとにかくいい。
それまでは取り扱いが難しそうだと思っていたけれど
家でも洗えるし、カジュアルにも合わせられると知って
今では下着から靴下まで、シルクを持っています」
明るいグレーのトップスを
毎日のように履いているという黒のパンツに合わせたら
ぐっと大人っぽい雰囲気に。
「これなら初めましての時にも、
格式のあるレストランにも
堂々と出かけられます」
汚れても洗える素材であることや
写り込みが気にならない無地であることも
宮濱さんの仕事着として大切な要素。
「仕事とプライベートを切り替えるためにも
仕事着とおしゃれ着は分けて考えています。
このトップスをプライベートでカジュアルに着るなら
あえて柄ものを合わせたいですね」
ワントーンはサマになりやすいけれど
たまに飽きたときは
華やかなプリント柄に惹かれるのだとか。
「このスカートはウエストを紐で結ぶタイプで
かなりリラックスして着られるもの。
派手と思われるかもしれないけれど、
柄の中の1色を選んでコーディネートすれば
意外と組み合わせやすいんです」
その言葉どおり、明るいネイビーのトップスとも
しっくり馴染んでいます。
「ダークカラーといえば、
以前は絶対にブラックを選んでいました。
でも最近、ネイビーのほうが
柔らかい印象になることに気づいて
その楽しさに目覚めたところなんです。
ボトムスや靴、バッグなどをブラックで揃えて
トップスだけ明るいネイビーにするなんて
シックでとても素敵だと思いませんか?」
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
7月28日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
saquiのダンガリーワンピース
weeksdaysではお馴染みのブランド、saqui。
大人っぽさの中に、かわいらしさが
ほどよい感じにプラスされて、
「そうそう、こんなの欲しかった!」
なんて、シーズンのたびに、
欲しくなる服が見つかるブランドです。
今回、デザイナーの岸山さんに、
「weeksdaysのために、
ダンガリー素材を使ってワンピースを」とお願い。
カジュアルな素材を使って、
岸山さんがどんな風に、
私たち大人に似合う服に仕上げてくれるんだろう? と
ワクワクしながら待ちました。
やがてできあがったのがこちらのワンピース。
品のよさとカジュアルさが、
うまく混ざって、とっておきの夏の一枚になりました。
ウェストのリボンをキュッとしばって、
レースのバッグと。
リボンを取って、スニーカーと。
ちょっとしたお出かけに、
また、カジュアルな場所へもぜひ。
(伊藤まさこさん)
DRESS HERSELFの
シルクのワンピース
着ていてこんなにストレスのない服があるんだ! と
驚くばかりのワンピース。
シルクってすごいんです。
(できれば部屋の中でもずっと着ていたいくらい。)
素材感のすばらしさにくわえて、
首をすっきり見せてくれる襟の開き具合や、
足さばきのよいスリット、
体が自由になるほどよいゆとり‥‥と
ふつうに見えてふつうではないいろいろな工夫が
ひとつのワンピースに込められています。
一枚でさらりとはもちろん、
薄手のニットを下に着たり、
上にニットを重ねたりと、様々な着こなしがたのしめます。
色は「ブラック」と「ネイビー」の2色です。
(伊藤まさこさん)
DRESS HERSELFのシルクのTシャツ
カジュアルの代表、
といったイメージのTシャツですが、
素材がシルクなので、
エレガントな雰囲気がただようところがいいのです。
コットンのパンツやデニムと合わせると、
カジュアルになりますが、
「カジュルすぎない」ところもまた、いい。
ゆったりとした首回りは、
女性のデコルテをきれいに見せてくれ、
さらには着心地も抜群。
スカートやパンツをインしても、
もたつかず、すっきり、といいことづくめ。
ニットやローブと合わせても。
色は「ネイビー」と「グレー」。
シルクの気持ちよさをぜひ味わってみてください。
(伊藤まさこさん)
シルクのTシャツ、あのひとに着てもらいました。 01 久しぶりの半袖です。 茶調合師 武内由佳理さん
武内由佳理さんのプロフィール
たけうち・ゆかり
茶調合師。
2015年より、台湾・大陸茶、
オリジナルのブレンドティーを中心に
「心と身体を整えるお茶」を提案する
TEALABO.tを主宰。
月に一度、オンラインストアをオープンし、
季節に寄り添う茶葉や茶器の販売を行っている。
イベントや企画に合わせた
オリジナルティーの調合や卸販売も。
身長155cm。
茶人、茶調合師として活動している武内由佳理さん。
オリジナルブレンドの茶葉のやさしい味わいと
エレガントな佇まいによって生まれる静謐な世界観が、
武内さんが主宰するTEALABO.tの特徴です。
そんな武内さんが持っている洋服は、
ほとんどがホワイトとネイビーなのだとか。
「母がトリコロールが好きなので
子どもの頃からネイビーやホワイトをよく着ていました。
フォーマルもネイビーでカバーできるので、
ブラックは1枚も持っていないんです」
好きな色に加えて、洋服を選ぶ基準といえば
なんといっても素材感。
「私、”生地フェチ“なんです(笑)。
柔らかなコットンやさらりとしたリネンなど、
触っていて気持ちのいい素材が大好き。
いちばん好きなのはコットンシルクです」
素材を大事にすると
自ずと価格も高くなってしまうけれど
好きなものを少しずつ買い揃え、
長く大切に着るようにしているのだそう。
「ただ最近、光沢がある素材に
惹かれるようになってきたんです。
多分、年齢ですよね(笑)」
肌にパンと張りがあり、
ツヤツヤとしていた若い頃は
洗いざらしの服も似合っていたけれど、
40歳を越えると、そのツヤを補うために
服やアクセサリーの力を
借りたくなってくるのかもしれません。
「このサテンシルクは品のよい光沢があって、
大人にぴったりだと思います。
この肉厚な感じもいいですよね。
透けないし、体のラインを拾わず、
着ていて安心感があります」
イベントへ参加するなど、
地方出張や移動の多い仕事ですが
旅先でもシルクは大活躍。
「シルクはとにかく軽くてコンパクトだから、
旅にもってこいなんですよね。
驚くほど荷物が軽くなる。
宿泊先でハンガーにかけて霧を吹いておけば
翌日にはしわもなく着られます」
ただ、この服を初めて目にしたときは
普段あまり着ない半袖であることに不安があったとか。
「私、バトミントンをしていたこともあって
肩ががっしりしているんです。
二の腕も気になるので、夏でも長袖を選び、
袖をまくって着ていて。
でも久しぶりにこの半袖を着てみたら
やっぱり涼しいなぁ」
裾をボトムにインするのは苦手なので、
ちょっと内側に折り込んで。
「身幅が少しタイトでもたつかないので、
かるく折り込むだけで丈を調整できるんです。
だからボトムを選ばず、コーディネートしやすい」
今日は濃紺のパンツを合わせたワントーンコーデで。
冷房対策に持ち歩いている
大判のコットンパレオを羽織っても素敵です。
「とてもシンプルな服なので、
シチュエーションを選ばないのもうれしい。
オフィスにも馴染むだろうし、
ジャケットを羽織ってもいいですよね。
暑い時期はさらりと1枚で、
肌寒くなってきたらショールやローブを
合わせたいなと思います」
シルクのTシャツとワンピース
機嫌よく
時々、
というよりわりと頻繁に、
「なんだかいつも楽しそうだね!」
と言われます。
それは、とてもうれしいことなのですが、
私もそれなりにいろいろあるんです。
でも、
口をへの字に曲げて過ごすより、
笑顔でいたい。
意識してそうすることで、
なんだか運も上向きになるような気がします。
「ハッピーでいること」の工夫は、
他にもあって、
たとえば、窓を開けて部屋の中に風を通すとか、
シンクをピカピカにするとか。
新鮮な空気を体いっぱいに取り込む、
毎朝の散歩も、そうかもしれない。
それから、
身につけるものも大切。
自分にとって気持ちがよく、
気分をあげてくれるものをえらぶこと。
今週のweeksdaysは、
ドレスハーセルフのシルクのTシャツとワンピース。
まるで自分の肌のように、
体に寄り添う心地よさ。
コンテンツは、
3人の方にTシャツの
着こなしを披露していただきました。
そちらもどうぞご覧ください。
シルクを着て、
機嫌よく。
今日も口角上げていきましょう!
miiThaaiiのリネンのエプロン・あの人に着てもらいました 03 キムコさん
キムコさんのプロフィール
デザイナー。韓国出身。
韓国の大学でフランス文学を学んだ後、デザイン勉強のため単身パリへ。
老舗ファッションブランドでのデザイン業務を経て、
夫の谷卓さんと共に、
2004年オルネ ド フォイユをスタート。
パリで15年間暮らした後、2009年より日本在住。
●オルネ ド フォイユ
●ようこそキムコ食堂。
●キムコさんのインスタグラム
●キムコさんの料理のインスタグラム
ちょっと腰掛けるのにいいラタンのスツールや、
グリップに木彫りの動物がついた傘、
やさしげなプリント模様のシートクッション‥‥
(今や大人気となっている、Astier de Villatteの器も
ずいぶん前から扱っていらしたのではないかな?)
オルネ ド フォイユのオーナー、
谷卓さんのセレクトは、
質実剛健とはちょっと違う、
持っていてうれしく、
使ってほっと和むものばかり。
「何々風」というカテゴリーにおさまらず、
使い方は、私たちお客さん側の自由。
そんなおおらかさに
あふれているような気がしてなりません。
その谷さん、
どうやら新しく家を建てたのだとか。
しかも、内装はご自分たちで手がけているそうで、
その噂を風の便りに聞いていた私は興味津々なのでした。
今回、miiThaaii のエプロンの取材に、
主宰の関根由美子さんが、
「谷さんの奥さま、キムさんはどうかな?」
と挙げてくださったことで、
初訪問が実現しました。
「エプロンはいつもつけているんですよ」。
とキムさん。
料理がお好きだから、
エプロンは身近な存在なのかな‥‥と思っていましたが、
「朝起きると、服をえらぶようにエプロンもえらぶんです」
ですって。
もはやエプロンは、
キムさんにとってなくてはならない存在のよう。
えらんだのはブルー。
緩やかにまとめた髪と、
コットンの白いブラウスにパンツ、
藤のバングルと、
全体が涼やか。そして爽やか。
柄ものの服ももちろん持っているけれど、
今日は、エプロンに合わせて
このコーディネートにしてくれたのだとか。
部屋の雰囲気ともよく合っていて、
さすがだなぁと、この日、
取材に訪れたweeksdaysチームは、
感心することしきり。
高台に立つ、キムさんの家。
光がきれいに回るリビングとキッチンに、
エプロンの青がよく映えます。
壁の色は?
玄関は?
床は?
天井の高さは?
‥‥考え出すと、気が遠くなりそうな家作り。
けれども、
とても楽しそうに進めているおふたり。
仕事を通じて、たくさんのものを見たり、
パリに住んだ経験が、
今のインテリアに反映されているのかな。
「壁に色を効かせた時期もありましたが、
一周まわって、この家では白」と谷さん。
それも、まっ白ではなく、
穏やかな白。
リビングの床は、フローリングにせず
グレーのマーモリウム(天然リノリウム)にしたり、
キッチンの食器棚は無印良品のオープンシェルフにしたり。
「ブランドに頼らず、センスとアイディアで
インテリアを楽しみたい」と谷さん。
洗面所や玄関など
(撮影中、家探検もさせていただきました)、
タイル張りはなんとキムさんが担当。
料理と庭仕事もキムさん担当のようですが、
それぞれの作業ごとに、
つけるエプロンも違うそう。
服をえらぶようにエプロンをえらぶキムさんですが、
服を着替えるように、
シチュエーションに応じてエプロンも着替える。
これってかなりのエプロン上級者ではありませんか!
透き通るような肌のキムさん。
さぞかし、ピンクもお似合いなのでは‥‥と、
お願いして、ピンクのエプロンもつけていただきました。
私の想像通り、
さすが着こなしてる!
白い壁に、ウォールシェルフ
(もちろんこの棚も、ご自分たちで取り付けられたそう)、
無造作に配置された雑貨と箱。
ここにいる間、
部屋を改装したい気持ちがムクムクと湧き上がってきた私。
自分の家だもの、
自分らしい空間にしたい。
家のことを、あらためて見直す、
よいきっかけになりました。
miiThaaiiのリネンのエプロン・あの人に着てもらいました 02 イイホシユミコさん
イイホシユミコさんのプロフィール
器作家/デザイナー。
京都嵯峨美術大学陶芸科卒業後より
作品の発表を始め、2007年に
テーブルウェアブランド「yumiko iihoshi porcelain」を
立ち上げる。
2013年に大阪に直営店を、
2014年に東京に直営店&ショールームをオープン。
プロダクトシリーズやHand work作品を
国内外で発表している。現在は、
アトリエ、事務所を東京・目黒区に置く。
「食器が好きなんです」という、
器作家/デザイナーのイイホシユミコさん。
どうやらそれはお母さまの影響が大きいよう。
たとえば、
子どもの頃の休日のお昼ごはん。
「お弁当箱におかずとごはんを詰めてくれて、
『家の好きなところで食べてもいいよ』
なんていうんです」。
それ以外にも、
お母さまの器使いはとても自由。
驚くこともあったけれど、
それ以上に、
ふつうのごはんも、
演出によってこんなに印象が変わるんだ!
子どもながらにそう思っていたのだとか。
さらに、10代の頃はお母さまと連れ立って、
実家の宝塚から、朝早く電車に乗って、
京都の骨董市にも出向いていたそう。
なんという英才教育‥‥
今のお仕事もなるべくしてなったのですねぇ。
「もちろん、手を動かして器を作るのも好きですが、
それより何より気持ちは『食器が好き』」
という、イイホシさんの作るプロダクトの器は、
温かみが程よく抑えられていて、
でもクールすぎない。
和風の料理だけに限らず、
いろんな国のものを口にする、
今の私たちの暮らしにしっくりくるのです。
電子レンジにかけられたり、
食洗機に入れることができたり、
また、買い足しができるのもプロダクトのメリット。
そして何より私が好きなのは、
その質感と色合い。
白、グレー、スモーキーなグリーン、ブラウン‥‥。
今回、fog linen workで「miiThaaii」を
プロデュースしている関根由美子さんが、
「ぜひイイホシさんにエプロンをつけていただきたい!」
とおっしゃった理由、わかるなぁ。
だって、エプロンの色合いと、
器がなんだかぴったりですものね。
エプロンに合わせたのは、
黒のワンピース。
第一ボタンをきっちり閉めて、
きちんとした印象。
おじゃましたのは、都内のご自宅。
器のイメージ同様、
キリッと整ったイメージです。
「いえいえ、今日のために一生懸命片づけたんですよ!」
とおっしゃっていましたが、
好きなものがはっきりしていて、
すべてに(器やインテリア、そしてエプロンと
服のコーディネートまで!)統一感がある。
なんとも清々しい空間です。
さて、イイホシさん。
エプロン、つけてみた感想はいかがでしたか?
「リボン部分の色がアクセントになっていていいですね。
ふだん、アトリエで作業する時にもよさそう」
そして、うれしいことにリネンのバッグも
とても気に入ってくださいました。
こっくりした茶色に薄いピンク、
海のようなブルーに水色、
ピンクの濃淡‥‥
miiThaaiiのエプロンとバッグは、
色の組み合わせが新鮮ですが、
どれを組み合わせても統一感があるところは、
イイホシさんの器と同じかも。
いつか、イイホシユミコ×関根由美子
(あらどちらもゆみこさん!)のコラボレートで、
すてきな何か、作って欲しいなぁ。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
7月21日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
洗濯用洗剤 シルク&ウール 600ml
洗濯ブラザーズの
「シルク&ウール」を初めて試した時は、
本当にびっくりしました。
エッセイにも書いたように、
私の「洗濯革命」と断言できる、
洗い上がりの美しさ、そしてしなやかさ。
家でこの仕上がりになるなんてとうれしくて、
去年の衣替えの衣類はほぼすべてを
自分で洗濯をしたほどです。
思わず、友人知人に「使ってみて!」
と連絡をしたところ、
みんなが「すごい‥‥」と絶賛。
洗濯って、どことなく
家事の片手間という感じでしたが、
洗濯する時間が楽しい時間へと変化したのは、
なによりの収穫でした。
weeksdaysオリジナルは、
沈丁花とすずらんの2つの香り。
さりげなく、そしてほのかに漂ってくる春の香りは、
洗濯している人へのご褒美。
洗い上がった服は、前より一層愛着が湧く。
服が好き、おしゃれが大好きという方に、
ぜひ使っていただきたいなぁと思います。
(伊藤まさこさん)
miiThaaiiのリネンのエプロン・あの人に着てもらいました 01 タネカら商店 滝田俊輔さん・十河和子さん
タネカら商店のプロフィール
青果店・卸問屋。
滝田俊輔さん・十河和子さんがふたりで営む。
化学肥料、除草剤、土壌消毒を使用していない
農を生業とする生産者から農産物を仕入れ、販売。
肥料に頼らず、自家採種に取り組む生産者を
全力で応援している。
レストランや小売店への卸販売と、
毎週1回の朝市を開催。
「お店や朝市に足を運べなくても、
おうちで美味しいものが食べたい。
安心安全なものを、ほっと食べたい」
という声をうけ、ウェブ販売もスタート。
2023年6月9日に
東京都世田谷区深沢5-2-9にショップをオープン。
野菜の卸業と個人宅への配送、
それから、朝市などへの出店‥‥
野菜の作り手と、私たち食べ手を繋いでくれている、
タネカら商店の滝田俊輔さんと十河和子さん。
私がおふたりの扱う野菜を知ったのは、
2年ほど前の緊急事態宣言時。
家からも出られず、
買いものに行くのもままならなくて。
この先いったいどうなるんだろうと途方に暮れている時に、
関根さんが、
野菜をどっさり送ってくださったのでした。
「その頃、fogはコロナで休業中。
せっかくならばと、
野菜を売る場所を提供したんです」と関根さん。
箱を開けた時に、
ふわっと土の香りが広がって、
生きる活力(けして大げさではなくて)が湧いてきた私。
健康に育った野菜って、
すごいんだなぁとしみじみしたことを覚えています。
今日は、おふたりに
miiThaaiiのリネンエプロンをつけていただきました。
感想はどうでしょう? と尋ねると、
声を揃えて、
「軽いですね!」。
そうなんです。
このエプロン、つけているのを忘れるくらい軽い。
ふだん、作業をする時にもエプロンはしているそうですが、
「もっと生地が厚くて質実剛健タイプ」なのだとか。
だからこれは接客する時用かな。
十河さんはモスグリーンを。
淡い色合いが、
野菜にぴったりでかわいらしい。
「洋服を着ている感覚でつけられますね」
黒いシャツと合わせてキリッとした感じに。
滝田さんは「ブルーマリン」を。
「最初、ふたりそれぞれ逆の色えらんだのですが、
シャツの色と似てしまうかなと思って、
僕はこちらの濃い方に」
なるほど。
シャツとエプロン。
ブルーのグラデーションがきれいです。
裾の長さもたっぷりとってあるので、
男性もオッケー。
ご家族で兼用、なんてこともできるんです。
撮影場所は下北沢のfog linen workの一角。
野菜を並べ、手書きの看板を立てて、
あっという間に搬入とディスプレーが終了。
さすがの手際のよさ。
この手書きの野菜の説明がいちいちすてき、そして親切。
読んでいると、あれもこれもと欲しくなっちゃう。
タネカら商店という名前の由来は、
「自分で種を繋いでいく」ところからきているのだとか。
「種を採り、土に撒いて野菜を育てる。
私たちの店の野菜は、
肥料にも農薬にも頼らない農家さんを
優先してえらんでいます。
旬のものだけを扱うから、
なんでも揃う八百屋ではないけれど、
でもその分、おいしいし、力強くて日持ちもいいんです」
たしかに、この日いただいた野菜は、
それぞれの味が際立った個性派揃い。
そして何より、見ていて惚れ惚れするほどきれい!
エプロンと一緒に販売するエコバッグに、
野菜やくだものを入れてみましたが、
ほら、なんだか見ているだけでうれしくなってきませんか?
今は、実店舗を探しているというおふたり。
どこ、とはまだ決まっていないけれど、
住宅街の中がいいのだとか。
「地元に根ざした八百屋がいいなと思っているんです」
お客さまが気軽に、
「今日も来たわよー」なんて、
ふらっと立ち寄ってくれる、
そんな店を作りたいんですって。
わぁ、それはぜひとも我が街に。
お店ができたら、お知らせくださいね!
miiThaaiiのリネンのエプロンとバッグ
いろどる
近所の八百屋の店先を眺めるのが好きです。
今日は何があるかな?
その時々の旬の野菜やくだものを、
店のおじさん(お兄さんの時もある)が、
気ままにディスプレイ。
野菜は入口の右側、
くだものは左側。
ざっくりした決めごとはあるようですが、
並べる野菜は毎日違うので、
おのずと眺めも変わってくる。
段ボール箱を駆使して、
お客さんが見やすいようにと工夫を凝らす姿が
なんだか愛おしくて、
目の前のスーパーではなく、
野菜の買い物はいつもここです。
その近くに花屋もあって、
家に何か彩りが欲しい時や、
友だちの家に行く時の手土産に、
今日は何があるかな? とのぞきます。
お店のお兄さんと話をしながら、
気分に合った花をえらぶ時の、
ウキウキしたこの高揚感は、
いったいどうして? と思っていたのですが、
ウキウキの原因って「色」なのではないかな?
なんて最近思っています。
赤やグリーン、ピンク‥‥
目に飛び込んでくる色は、
私の暮らしにも彩りを与えてくれるようなのです。
今週のweeksdaysは、
miiThaaii のリネンのエプロンとバッグ。
ハッとするほどきれいで、
楽しくなるそれぞれ4色のカラーを展開。
コンテンツは、
4人の方にエプロンをつけていただきました。
みなさん、とってもすてきでしたよ。
どうぞお楽しみに。
日傘と扇子、 あの人のコーディネート。 その2 夏のBLACK & WHITE。 岡本敬子さん
岡本敬子さんのプロフィール
おかもと・けいこ。
服飾ディレクター。
文化服装学院スタイリスト科卒業後、
スタイリストオフィスを経て、
大手アパレル会社のPR部門で
国内外のブランドのプレスを担当。
2008年に独立し、ファッションブランドの
ものづくりからPR、店舗の計画など、
「おしゃれ」に関する幅広い仕事に携わる。
2011年に立ち上げたブランド「KO」は、
流行は追わないけれどスタイリッシュでいたい、
人と同じものはつまらない、エイジレスでいたい、
というひとたちに向け“旅のMIXスタイル”をテーマに、
ジュエリー、皮小物、アイウェアなどを展開。
オーガニックコットンの
nanadecor(ナナデェコール)では、
KO by nanadecor という、岡本さんのラインをもち、
2017年からは東京・千駄ヶ谷の「Pili」というお店の
ディレクションも担当。
編集者の夫・岡本仁さんとの共著に、ブログを書籍化した
『今日の買い物。』
『続・今日の買い物。』が。
現在は発信のベースをインスタグラムにうつし、
おおぜいのフォロワーの支持を集める。
著書に『好きな服を自由に着る』
『好きな場所へ自由に行きたい』
(ともに光文社)などがある。
「毎朝、天気予報を見て、
天気はもちろん湿度もチェックする」
という敬子さん。
出かける時は、
気温や湿度に合わせて調整できるよう、
羽織りものやストールをバッグに入れるとか。
天気予報はあまり気にせず出かけ、
(車移動が多いということもありますが)
あーあ、今日も失敗しちゃった‥‥
を繰り返している私は、
「毎朝チェック」にびっくりしたものでした。
敬子さんのもうひとつのびっくりは、
「同じコーディネートは一年のうちでほとんどしない」
こと。
たしかに、
重ね着したり、色を効かせたり、
大胆な柄物を取り入れたりして、
そのスタイリングはまさに、
「好きな服を自由に着る」
(敬子さんの著書のタイトルです)。
インスタグラムで拝見する、
毎日のコーディネートにいつも、
ほほぅ、とか、おー! なんて
新鮮な驚きをいただいているのです。
さて、今日はどんなお姿で‥‥
と思って待ち合わせ場所に向かうと、
黒いワンピースに黒い靴といういでたち。
とはいえ、ノースリーブから見える腕や
(暑がりなので夏はほとんど袖無しの服とか!)、
スカートの裾からのぞく素足の分量、
キュッとまとめた髪などで、全体が軽やかな感じ。
いいですね! 夏の黒。
黒に合わせたのは、白い日傘。
「この日傘、小さいから帽子みたいな感覚で持てそう」
と敬子さん。
小脇に抱えられるのがいい、とか
かごにも入るから夏のお出かけに重宝とか。
なるほど! という、
「使う側の視線」に立った感想をいただきました。
黒いワンピースだから白い傘? と尋ねると、
「でもね、黒でもいいと思う!」と敬子さん。
傘がレースで透け感があるから、
重ねても重くならないよ、とのこと。
そうそう、この日はワンピースの丈が少し短く感じたので、
薄手のペチパンツを重ねたとか。
全身黒でも、素材感を工夫すると、
スタイリングに奥行きが出るんですねぇ。
さてお次は扇子です。
「扇子はサングラスと同じくらい、夏の必需品」
とか!
服に合わせて、柄物やレースなど、
いくつも持っているそう。
さすが、扇子をはたはたとさせて、
仰ぐ姿が堂にいっています。
「持ち慣れてる」感じがすごくする。
えらんだのは、黒い扇子。
日傘と扇子、必ずしもお揃いでなくてもいいんですね!
耳元も、手元も、
アクセサリーを重ねづけ。
してみたいけれど、
私はなかなかできないなぁとお会いするたび思う、
敬子スタイル。
黒のワンピースにシルバー、
それから黒い扇子。
やっぱりここでも、素材感の重なりが効いていました。
敬子さんの店、Piliは、
まずご自身が気に入り、
じっさいに身につけたり、
使ったりして「よし!」となったものだけを
置いているのだそう。
同じボンボンストアの日傘も、
Piliと、weeksdaysではセレクトが違う!
毎回、ここを訪れるたびに
「敬子さんっぽいなぁ‥‥」
と思う私です。
時おり、お店番もされているとか!
お会いできたらその日はラッキー!
また遊びに行きますね。
日傘と扇子、 あの人のコーディネート。 その1 和服にあわせて。 山崎陽子さん
山崎陽子さんのプロフィール
やまさき・ようこ
編集者・ライター・きもの著述家。
1959年福岡県北九州市生まれ。
マガジンハウスに入社、編集者として
雑誌『クロワッサン』『オリーブ』
『アンアン』の編集に携わる。
フリーランスに転身してからは、
『クウネル』(マガジンハウス)『エクラ』(集英社)
『つるとはな』創刊から、編集・ライターとして参加。
現在は、女性誌、ムック、書籍の編集、
ライティングの仕事をしながら、
スタイリストの佐伯敦子さんとともに洋服ブランド
「yunahica(ユナヒカ)」を立ち上げ、運営中。
着物が好きで、Instagramでも注目を集めている。
著作に『きものを着たら どこへでも』
『きものが着たくなったなら』
(ともに技術評論社)がある。
「芒種。
雨の1日は、小千谷縮で家着物」
「梅雨の晴れ間。
はじめましての会社の打ち合わせには、
涼しげな琉球紬を」
着物の着こなしと、
それに添えられた文を読むのが、
毎回、楽しみな山崎さんのインスタグラム。
春夏秋冬だけじゃない、
「その日、その時だけ」の季節がある、
ということに気づかせてくれるのです。
「色合わせなど、デザインの勉強にもなるんです」
とは、weeksdaysのデザイナー担当。
そう! 色合わせはもちろん、
素材と素材の組み合わせ、
小物づかいなどなど、
「こうしたいな」と思わせてくれる、
私たちのお手本が、
山崎さんの着物の着こなしなのです。
「コーディネートはその日の気分や天気、
会う人、出かける場所などによって決めます」
と山崎さん。
冠婚葬祭やお茶会、あらたまったパーティー以外は、
特に決め事は意識せず、
「着ていて心地いいかどうか」を大切にしているのだとか。
聞けばなんと、着物を着はじめたのは50歳を過ぎた頃。
それまで長い間、ファッション誌に携わり、
「洋」の文化に触れてきた山崎さんが、
「和」に触れたきっかけは‥‥?
「たまたま雑誌で、
女優さんの着物のページを担当したのですが、
最初はちんぷんかんぷんでね。
でも、着付けの先生などに聞いて、
一から教わったの」
子育てや仕事が一段落し、
心の余裕ができたのが、ちょうどその頃。
さらに、着物を着はじめた
友人たちからの誘いもあったとか。
「タイミングがよかったのかも。
それより、前でも後でも
着なかったかもしれませんねぇ」
ボンボンストアの日傘に合わせたのは、
越後上布の着物と、
古い着物から仕立てたという、芭蕉布の帯。
着物に日傘なんて、すごく憧れます。
「レースは、本当に暑い時は
厳しく感じることもあるので、
そこは臨機応変に高機能の日傘を持つことも」
とはいえやはりレースが好き。
なんと、ボンボンストアの日傘を
すでに2本お持ちでした。
「着物を着はじめると、
お茶や俳句も習ってみようかなって」
‥‥とどんどん世界が広がっている様子。
「さらには、日傘も欲しいな、とか
扇子もいるかな、なんて、
小物も気になって。
当分、熱が冷めることはなさそう」
なんですって。
撮影中、幾度か
「こんな感じがいいんじゃない?」と言って、
日傘と扇子が、
美しく見える角度を探ってくださった山崎さん。
さすがの編集者魂でしたが、
ご自身の所作もとてもきれい。
これは見習わねばなぁと反省することたびたびの私。
最近、すっかりご無沙汰していましたが、
この取材を機会に、
着物、また着てみようかなぁなんて思いました。
山崎さんのお宅にうかがったこの日、
お着物まわりの話以外に、
生後6ヶ月の甲斐犬・はなちゃんとの生活や、
すてきなキッチンのことを根掘り葉掘りと聞いた私。
そうそう、着物や帯留めの収納法や、
お手入れなどもうかがえばよかった‥‥
近いうちにまたweeksdaysで取材させてくださいね。
あたらしいアイテムができました。
- 伊藤
- 井部さん、ことしも素敵な日傘をつくってくださって、
ありがとうございます。
ご一緒して3年目の今年は、さらに、
あたらしいアイテムが加わりましたね。
この扇子、すごくいいんです。かわいい!
これ、井部さんが「こういうこともできますよ」
っておっしゃってくださって。
- 井部
- はい、扇子は、BonBonStoreのオリジナルですが、
自分のブランドとしては、出していなかったんですよ。
というのも、大手のセレクトショップの企画として
つくっていたものだったんですよ。
それも、ここ最近はお休みしていました。
- 伊藤
- 常に新しいものを並べるセレクトショップが
井部さんに扇子つくりをお願いするということは、
江戸扇子や京扇子などの伝統的なものとは
違う何かを求めているということなんでしょうね。
- 井部
- はい。ダイレクトに老舗の扇子屋さんにお願いすると、
いかにも「扇子」の仕上がりになるので、
私のところに相談が来たんだと思います。
扇子はいろいろなバイヤーの方が
つくりたいと思っているのだけれど、
「これじゃないんです」という、
それぞれのショップのカラー、ニュアンスがあって。
でも共通しているのは
「和装小物の扇子」っていうところから、
あえて、外れたものをつくりたい、ということでした。
- 伊藤
- いつくらいの時のことだったんですか。
- 井部
- 私が20代の後半でしたね。
その頃は、もうほんとうに
頭のてっぺんから、つま先まで、
たくさんの雑貨をつくっていました。
そのなかに扇子もあったんです。
- 伊藤
- 具体的にはどんな要望があったのでしょうか?
- 井部
- オリジナリティのある生地と構造の組み合わせですね。
いわゆる和装小物の伝統的な扇子は、形が決まっていて、
閉じたときにぴしっと決まるようになっている。
その骨の間数は生地の厚みによって決めていくんですけど、
どうしても「使える生地」が限定されていくんです。
扇子屋さんに
「この生地でつくってみてください」といっても、
重なりが強くて、畳んでも拡がったりするので、
つくっていただくのが難しくって。
- 伊藤
- 和装小物の扇子って、閉じたときに、
先がちょっとだけすぼまっていますものね。
- 井部
- そうなんです、
綺麗にピタってとまらなきゃいけない。
だから、生地もこれ以上厚いのはできませんよ、となる。
それが伝統であり美意識です。
けれどもファッションの人たちにしてみると、
「そこはちょっと置いておいて、
夏だから楽しいアイテムがいいな」と、
和装小物ではない扇子を求めていた。
- 伊藤
- でも、扇子をつくってくれる扇子屋さんとのやりとりも
井部さんが担当するわけですよね。
たいへんなことだったんじゃないでしょうか。
- 井部
- 最初は、京都の伝統的な扇子屋さんにお願いしていました。
そういうところは
「扇子らしいものとは」ということについて、
当然のことながら、厳しい。
何代も続いてらっしゃるのだから、
おっしゃることはよく分かりますよね。
だからといって外国での生産を考えても、
生産工程が難しいものは嫌がられました。
出来上がったときにロスが多くなるのは、
量産でいちばん辛いことですし‥‥。
それで、無理を言って、国産で。
- 伊藤
- そうしてつくった井部さんの扇子が、
いろんなショップに置かれていったんですね。
- 井部
- いえいえ! 私の扇子、っていうよりも、
材料を持って行く担当、という感じでしたよ。
先方に、その中からチョイスしてもらうんです。
でもすごくいっぱいあってもチョイスできないから、
「あのショップならこの辺が好きかな」と、
骨や生地をある程度絞り込んでいくんです。
その感覚を、一流のセレクトショップとの取組みの中で
学んできたということかもしれません。
- 伊藤
- たくさんのショップと
お付き合いがあったと思うんですが、
それぞれの違いをどうやって‥‥。
- 井部
- それって、難しいことでないんですよ、
はっきり、ショップごとのカラーがあるんです。
ひとつのお店をつくるときに、
カラーをきちんと打ち出すのが、
セレクトショップのバイヤーとデザイナーの仕事ですから、
他店と同じものはやらない。
今はファストファッションが台頭して、
そういう考え方はちょっと薄まっているけれど、
私が30代、40代と
お取り引きさせてもらったところは、
「自社のオリジナルは何?」ということを
追求されていました。
もちろん、私からの提案に多少のかぶりはあるんです。
でもみなさん見事にそれぞれのカラーで選ぶから、
結果、かぶったことは、一回もないですね。骨も生地も。
- 伊藤
- その店にぴったりのものがつくれた。
- 井部
- そうなんですよ。それを40代半ばまで
ずっとやり続けてきたんです。
- 伊藤
- でも、最近は扇子をつくることは減ったと。
BonBonStoreのオリジナルも、ですか?
- 井部
- 扇子に関しては、
アフリカンプリントの生地でつくったことがありますね。
でもこういうタイプ、久しぶりです。
日傘があるので、いっしょに持つものとして、
いいんじゃないかな、と、
提案をさせていただきました。
- 伊藤
- 今回は、井部さんの提案と、
わたしのタイミングがぴったり合って。
知り合いに、
洋服に扇子を合わせている方がいらして、
それがとても印象的だったのと、重なったんですよね。
「こんなにちっちゃくなるんなら、
バッグに忍ばせて持ち歩くのにいいんだな」って。
それで「どんなものがつくれるんですか」と訊いたら‥‥。
- 井部
- 過去につくった見本や生地帖をお見せしましたね。
するとその瞬間に
タタタタって伊藤さんが決めたんです。
「この生地でこの骨!」って。
それで、日傘のハンドルと扇子の骨を
竹で揃えて、生地も同じにして。
- 伊藤
- やっぱり一緒に使いたい方も多いと思うし、
同じ質感だったら嬉しいなと思って、
「竹とブロック刺繍」と決めましたね。
- 井部
- あとはサンプルをつくって確認いただいて‥‥。
完成まで、速かったですね。
- 伊藤
- 「もうちょっとこうしたいな」ということが、
井部さんの作るものにはないから、
安心して任せられるんですよ。
例えば、素材選びとか、それに付随する部品選びとか。
- 井部
- そうは言ってもオフホワイトの裏地では
ちょっとだけ考えましたよね。
この色に合わせるなら
クリーム色っぽいものを選ぶのが、
中国工場では定番なんです。
でも、それはなんだか「ちがう」気がして、
だったらいっそ「白」の方が
いさぎよいんじゃないかな、と。
それだけは、伊藤さんと、
メールでやりとりさせていただきました。
- 伊藤
- でも井部さんの決断どおりに、で大丈夫なんですよ。
生産は中国なんですよね。
- 井部
- はい。以前、中国製は
安くて速いっていう印象がありましたけど、
今は上手にきちんとあげてくれるところが
すごく多くなっています。
逆に日本は、こういうことを継いでいこうという
若い人が入ってこないから、
たまに、傘でも、製品に難あり、
ということが起こりえるくらいです。
それでも紙の扇子は日本の方が
いいかもしれないと思いますが、
こういう生地の扇子をつくるのであれば、
中国の工場に頼んだ方がいいと判断しました。
- 伊藤
- 適材適所なんでしょうね。
さて、その扇子とおそろいになるのが、
今年の日傘ですね。
ヘアメイクアップアーティストの
草場妙子さんに取材したとき、
夏の日差しを完璧にガードすることについては、
草場さんもちょっと「ん?」って思っていらした。
それ、わたしも同感だったんです。
完全防備で紫外線を100%遮ることを考えるよりも、
夏を楽しく過ごすためにできることが
あるんじゃないかなぁ、みたいな。
そのアイテムとして
BonBonStoreの日傘ってちょうどいいんですよ。
- 井部
- ありがとうございます。
去年は麻でしたが、今年は綿ですね。
- 伊藤
- BonBonStoreで販売をしているタイプから、
ハンドルを「weeksdays」仕様に
バンブーにしていただきました。
40センチというコンパクトさで、
まっすぐのハンドルなので、
ぽんと、バッグに入れるのにも便利なんです。
- 井部
- そう! そのことを強く言いたいな。
私は、このまっすぐなハンドルで、
駐車場の自転車のかごに引っかけちゃうことが
なくなりましたよ(笑)。
ハンドルがカーブしていると、意外と何かに当たるので、
ストレートなハンドルって楽なんです。
ちなみにハンドルの素材ですが、
去年は楓の木をルーターで削っていましたが、
今年は竹なので自然のままです。
長さは揃えていますが、
お届けするものによって、
節の形が微妙に異なります。
- 伊藤
- はい、それがいいんですよね。
露先の処理もすばらしいですよね。
- 井部
- ちょっと古びた色にしています。
いわゆるメーカーさんだと光沢のある金属を
使うことが多いと思うんですが。
これは、扇子のビスと揃えました。
こういう方が目立たなくていいかなと。
もちろんアイテムによっては
目立っていいときもあるんですが、
今回は目立たなくていいと思いました。
- 伊藤
- そのあんばいが、井部さんらしい!
- 井部
- 難しいところですよね。
でもちょっとの違いで、安っぽくも見える。
逆にそういうもののほうがいいときもありますし。
今年、百貨店でイベントをして、
店頭に立っていてあらためて思ったんです、
こういう日傘をつくってるところは、
今、あんまりないんだなと。
UVカット100%、というものが全盛ですし、
ほかにもサマーシールドといって、
すごく涼しく過ごせるとか、
化合繊で開発された機能性の高い生地が、
今の傘屋さんにはたくさんあるんですよ。
逆にこういうクラシックな路線を
ずっとつくってるってところは少なくなっていますね。
- 伊藤
- そうですよね。
- 井部
- でも不思議なんです、3年前につくってた、
オール国産の日傘で、柄も長くて千鳥格子の
麻の素材のものがあったんだけれど、
つくったときは誰も見向きもしなかったんですよ。
ところが今年になって、それを置いていたら
「すっごいかわいいわね」って、
百貨店でとても好評をいただいたんです。
- 伊藤
- へえー!
- 井部
- なんだろう、この時代の雰囲気に
みんなが疲れてきたりしているところに、
木だったり天然素材の温もりだったり、
人はそういうものを求めるのかもしれませんね。
売り場にいると
「お客さんってよく見てるな」って思います。
私みたいに名もないブランドの傘のものを
「ブランド」として見るのではなくて
「もの」として見てくださる。
それで評価をいただくっていうことが一番嬉しい。
ただスッと見て
「すごい素敵ね」って言ってくれる方が
ものすごく多かったです。
- 伊藤
- うんうんうん。
「本当にいいわ」って思ったものを
選んでくださるんですね。
井部さんの日傘を差される方って
どういう感じの方が多いんですか。
- 井部
- それは、いろいろですよ。
年齢層で言うと、
30代後半ぐらいから上の方って感じでしょうか。
- 伊藤
- そのイベントを目指して来てくださるんですか。
- 井部
- いや、通りがかりだと思いますよ。
うちは、そこまでの訴求力がありません。
でも「以前にも買って持ってます」っていう方も
いらっしゃいましたよ。
- 伊藤
- 服の感じとかも本当にいろいろ?
- 井部
- もうほんっとにいろいろです。
百貨店のおもしろいところってそこなんです。
本当に人それぞれ。でもみなさん、
ご自分に合うものを探されていくからすごいです。
カップルの女性の方は、
ほとんどが、男性の方に見てもらってから選ばれますね。
男性の方は(機能重視の日傘よりも)
こういうものを好まれます。
- 伊藤
- そう思います、絶対そうですよ、
「こういう日傘を持っててほしい」って
思うんじゃないかな。
井部さん、ほかにお伝えしておいたほうがいいこと、
ありますか?
- 井部
- そうですね、あらためてこの40センチという
小さめのサイズ感でしょうか。
人の多い場所でもコンパクトに持って歩けるって、
とても便利かなと思いますよ。
お勤めで、日傘を持ってらっしゃる方で、
会社に1本置いておく、という方もいますね。
朝持って行く傘はコンパクトな機能系を使い、
ランチに出るときはちょっとおおぶりのものを使う。
- 伊藤
- すごーい。マメですね!
なるほどー。
- 井部
- でもこれは小さいから、そういう意味では、
1本で足りるかもしれません。
- 伊藤
- わかりました。井部さん、
今年も素敵なものをつくってくださって
ありがとうございました。
日傘と扇子って、使っている所作もきれいですしね。
そして涼しい!
こんなに暑い夏になるなんて、と思いますが、
これで乗り切ります。
- 井部
- ほんとう、いまは必需品かもしれないですね。
こちらこそありがとうございました。
BonBonStoreの日傘と扇子
木漏れ日のように。
連日、暑い日が続いています。
冬から続けていた
毎朝の散歩も
ついついさぼりがち。
でもね、やっぱり歩いたり、
ストレッチをちゃんとしないと、
体がなまってしまう。
そこで、
今朝は、えいやっと出かけることにしました。
いつもは、坂道を下ったり上ったりして、
あえてハードにしていた散歩
(というよりウォーキングかな)でしたが、
もう無理はよそうと思って、
川べりの桜並木をのんびりと歩くことに。
するとどうでしょう。
朝5時台の並木の下は、
思った以上に清々しい。
木漏れ日がなんとも気持ちいいのです。
そうだ、この感じ‥‥と思い出したのが、
ボンボンストアのレースの日傘。
真夏の日差しを、
やわらかく避けるエレガントな日傘は、
私の夏の必需品。
昼の外出にはなくてはならない
存在になっているのでした。
今年はさらに、
夏を快適にするアイテムが登場。
日傘とお揃いで持つと、
なんだか自分がしとやかになったみたい。
すてきなお二人の着こなしコンテンツもどうぞお楽しみに。
「もっと」背中をきれいに。
- 伊藤
- じゃ、ちょっと欲張ってお聞きします。
うしろ姿、肩甲骨をきれいにしたいと思ってる人のために、
鍛える運動ってあるんでしょうか。
背中の開いた洋服を着るときに、気になるんです。
- 高阪
- ああ、なるほど。そうですよね。
そうすると多少なりとも負荷がかかった方がいいですね。
伊藤さんはヨガとかそういうポージング的な運動は
なさいますか。
たとえばこういうポーズは御存じでしょうか。
- 伊藤
- はい、猫のようなポーズですね。
- 高阪
- これは、肩甲骨を閉じたり開いたりするための
運動なんですけど。
- 伊藤
- ‥‥わ、すごい、すごーい!
- 高阪
- 肩甲骨を寄せてるイメージから、
こうやって開いてあげて、
また寄せて、開いて。
最初のうちは、あまり肩甲骨が
動かないかもしれないです。
それをだんだんちょっとずつ大きく、
できるだけ大きく動かそうとしていくと、
動くようになりますよ。
今、肩甲骨と肩甲骨が
完全にくっついてる状態です。
- 高阪
- そのためには床についた肘をちょっと曲げます。
- 伊藤
- 負荷をかけるといっても、このくらいでいいんですね。
毎日やるってことがポイントですか。
- 高阪
- そうです、それがポイントです。
肩甲骨を寄せて開いて、
寄せて開いてっていうことを繰り返してあげて。
伊藤さん、肩甲骨を触ってもらえると、
理解しやすいと思います。
- 伊藤
- はい。あ、すごい、すごーい!
- 高阪
- 体格差はありますけれど、
これぐらいの幅で肩甲骨って動くんです。
- 伊藤
- 肩甲骨で卵を挟んで割れるくらいの力!
筆を挟んでお習字できるくらいの力!
- ──
- その必要はないですけど‥‥(笑)。
- 高阪
- こういう形で肩甲骨がだんだん
コントロールができるようになってくれば、
背中は立体的になって、
ノッペリとして見えないはずですよ。
ノッペリの原因は、
おそらく、肩甲骨が開き切っているから。
自分のような動きにするまでは
ちょっと特殊なコントロールが
必要になってくるかもしれないですけど、
肩甲骨を寄せるのは、
練習を繰り返していけば、できるようになります。
- 伊藤
- 安心しました。
- 高阪
- 大事なのは難しいことをやらない方がいいということ。
毎日の習慣になるぐらいのものを続けていけば、
「まっすぐ」な姿勢が見つけられますよ。
最初の2つは、どこでもできますからね。
- ──
- 何回やればいい、何分やればいい、
みたいな目安はありますか。
- 高阪
- 10回を目安にするのがいいと思います。
それを、朝・晩、あとは、
お仕事されてる方なら3時くらいまで頭がフル活動、
でも体が留守でガチガチな感じ、
ということもあるでしょうから、
2時とか3時とか、ちょうど休憩のときに、
ちょっと1回やったらいいんじゃないかな。
- 伊藤
- 信号待ちのときとか?
- 高阪
- あっ、そういうのはすごくいいですね!
肩甲骨の運動は、慣れてきたら
手を大げさに動かさずとも、
肩だけでできるようになるので、
ほんとうにどこでもできます。
肘をちょっと体に寄せながら、こういう感じで。
信号待ちのときでも、何してるかバレません。
- 伊藤
- 今日、いろいろ教えていただいて、
格闘家ってすごいな、と思ういっぽうで、
こういうことはみんなできるはずですよって、
きっと、高阪さんはおっしゃりたいんですよね。
- 高阪
- そうです。特に寄せる側は、
周りの筋肉がどっかでブレーキをかけちゃってるだけ、
なんですね。
開く方は、ちょっと細かい筋肉の連動だったりとか、
完全に開ききるっていうところまでやるのは
難しいかもしれないんですけど、
寄せる方は、脱力ができれば誰でも寄るはずなんですよ。
今まで感じたことのない動きには、
人って必ずブレーキをかけたがる。
そのときに腕を真っすぐにしてると、
ロックする、ロッキング、などと言って、
関節がグッてこわばる。
でも、ちょっと肘を曲げた状態にしてあげると
ロックしないので、肩甲骨を寄せやすくなるんです。
- 伊藤
- 猫のポーズのときも「ちょっと肘を曲げて」、
骨盤を回すときも「ちょっと膝を曲げて」と
おっしゃっていましたね。
すこしゆるめるのが、大事なんですね。
- 高阪
- そうなんです。実は、自分、立ってるときも、
軽く膝が曲がってるんですよ。
- 伊藤
- ほんとですね、
ほんのちょっと緩めた方がラクなんですね。
- 高阪
- そうです。ちょっとだけ曲げておくんです。
まっすぐにした状態だと、余計な力が入ろうとするので、
とっさのときにグッて体がこわばろうとします。
- 伊藤
- 体がしなやかだと、
交通事故などに遭っても、
怪我が軽めで済む場合もあるとか。
それは、ロックしていなかったから、
ということなのでしょうか。
- 高阪
- そうですね。
たとえば、体の向きを、突然、90度変える、
っていうシチュエーションのときに、
股関節と肩を連動させると、
すばやくできるんですよ。こんなふうに。
- 伊藤
- えっ! 速い!
- 高阪
- これ、肩甲骨や骨盤の運動の応用なんです。
そして、すだれ状のイメージですね。
それでしなやかに体を使えば、
こういう動きにも体が対応してくれる。
- 伊藤
- ああ、どれだけ自分の日々の動作が
ぼんやりしているかを実感します。
- 高阪
- なので、常に膝も軽く、
気持ち、ちょっと曲げておくぐらいな形で、
立ったときのイメージをしてください。
- 伊藤
- 姿勢がいいからといって
力んでいるわけではないんですね。
- 高阪
- 逆に力みをどんどんなくす必要があるんです。
- 伊藤
- みんな体は同じだから、
ちょっとずつの心がけをしながら、
使わないともったいないですね。
- 高阪
- もったいないと思います。
使っていらっしゃらない方が、
たぶん世の中には多いと思うんです。
- 伊藤
- 高阪さん、どうもありがとうございました。
知らないことがいっぱいでした。
さっそく、実践しますね。
- 高阪
- ありがとうございました。ぜひ!
骨盤を回してみよう。/きれいに座りたい。
- 高阪
- 股関節って、真っすぐ動いてるようで、
やっぱり外旋、内旋があるんです。
つまり膝を外に出す動きと、
膝を内側に入れる動き、
この2つの動きがあるんです。
つま先でやるとわかりやすいと思います。
つま先を地面について、踵を外に出す。
膝を内側に向けて踵を外に出してあげる動きが
股関節を「内旋」させている。
逆につま先をつけたまま、
踵を内側、膝を外に向けてあげる、
これは股関節を外に外旋させている動きです。
- 伊藤
- はい。
- 高阪
- そんなふうに股関節はいちいち外旋・内旋を
繰り返しているんですね。
そしてその股関節に、骨盤がくっついていますから、
股関節のための運動としては
「骨盤を回す」ことになるわけなんですが‥‥。
- 伊藤
- 骨盤を回す?
- 高阪
- はい。骨盤を回すためには、
足はだいたい骨盤と同じぐらいの幅にしてもらって、
腰に軽く手を当てます。
そうすると意識が骨盤に集まります。
軽く膝を曲げて、最初、腰全体を回してみてください。
- 伊藤
- こうかな?
- 高阪
- そうです、そうです。
なんとなくでいいので、この「腰を回す」ができたら、
今度は骨盤だけを回します。
意識してほしいのは「背骨を動かさない」こと。
そして骨盤だけを回転させます。
回転がうしろにきたとき、
腰をちょっと反らせるような。
お尻をちょっと持ち上げるような感じにします。
前に行くときは逆にお尻を前に、
きゅっとすぼめる感じにします。
- 伊藤
- そっか、韓国のアイドルの子たち、
この動きがすごいですよね!
トレーニングしているんでしょうね。
だからダンスでも軸がちゃんとしてるんだ。
(動かしながら)たまに反対側にした方がいいですか?
- 高阪
- あっ、そうですね、これは左右やられた方が。
- ──
- あ、逆にしたら、カクッとなるところがあります。
ちょっとひっかかるというか、
スムーズにまるく回転しません。
- 高阪
- そう、そうなんです。
左右で差がありますよね。
日本はおおよその方は右利きで、
左足が軸足といって踏ん張るために強い力が出せる足です。
自然と左足で踏ん張る癖がついてる方がほとんどなので、
左の股関節が詰まっちゃってる方が多いんです。
極端に言えば、うしろから見ると‥‥。
- ──
- 左で踏ん張っている。
- 高阪
- 電車やバスで立つとき、
だいたい右手で吊り革につかまって、
左足で踏ん張る方が多いんです。
- ──
- 高阪さんは電車ではつかまらずに、
サーフィンのようにバランスをとって
立っているとお聞きしました。
- 高阪
- そうですね。
- 伊藤
- オリンピック選手の人たちがテレビに出たとき、
揺れる電車でもみんな立ってバランスをとっていると
言ってました!
- 高阪
- それが必要だと、アスリートにはわかるんですよね。
言語化しないまでも、見えている。
それでその「軸足」ゆえの傾きですが、
これ、自分でもあるんです。
柔道をずっとやってたっていうのもあって、
背負い投げを想像してもらえばわかりやすいと思いますが、
左足を軸にして体重をかけますよね。
それが習慣になると、バランスをとるために、
上半身がゆがみを戻そうとするので、
体全体が曲がるんです。
- ──
- 正面から見てS字になっちゃう?
- 高阪
- はい、目に見えるほど、ひどくはないですけれど、
その状態が微妙に続くと、
その微妙なS字姿勢を「これが真っすぐだ」と
認識してしまいます。
そうなったら、きれいな姿勢って、
なかなかつくりづらいと思うんですよ。
- 伊藤
- そのための「骨盤回し」なんですね。
肩甲骨とおなじように、
同じように時間があるときにやるといい?
- 高阪
- そうですね。
- 伊藤
- これ、わかってくると、
案外リラックスしてできる運動なんですね。
ぜんぜん、息も上がらないし。
- 高阪
- そうですね。
- 伊藤
- ハァハァするような体操を想像してました。
- 高阪
- お腹に力を入れる運動だと、そうなりますよね。
でも、そういう運動って、教わっても、
たぶん二度とやらないんですよ。
だから今回は、毎日できるものをと思ったんです。
テレビ見てるときとかに、ちょっと、
無意識なくらいでやれるのが一番いいので。
これも、右回し、左回し、10回ずつぐらい
やっとくかな? っていうくらいでいいですよ。
そのくらいの意識でやる方が、
実は姿勢っていうのは保てます。
- 伊藤
- 姿勢をよくしようとするあまり、
腰が反る人だっていますものね。
- 高阪
- ありますね。
- 伊藤
- それで腰を傷めたら‥‥。
そうならないようなコツってありますか?
- 高阪
- 下半身から姿勢を立てようとするがあまりに、
そういう怪我って起きちゃうんです。
だから最初の「4点」の意識が大切で、
肩甲骨と骨盤も含めて、
股関節と肩の関節の4点を意識する。
そしてその4点の内側は平面ではなく、
立体的に動く「すだれ」であるという意識ですね。
その基本は、手のひらに乗せた棒のバランス。
つねにそこに立ち返ってもらえたら、
怪我や事故は起こしにくいと思います。
手の上に棒を載せた状態をパッと頭の中にイメージして。
- 伊藤
- それが、上から、引っぱられてる?
- 高阪
- そうそう、引っぱられてるような感覚で、
棒がフワフワ浮いてるような感じですね。
このイメージをつくれるようになれば、
姿勢は保てます。
- 伊藤
- 「座ったとき」のことをお聞きしてもいいですか。
立ってるときと座っているときでは、
心構えが違うような気がするんですけど‥‥。
座っているときにも姿勢よくするコツが知りたいんです。
- 高阪
- 座っているときは、
「これがこのまま立ち姿勢だったら?」と
想像するといいですよ。
座るとどうしても骨盤がうしろになって、
食事などをするときは前傾姿勢にもなりますが、
「これぐらいだったら許されるかな」と
意識してほしいんです。
要は、立ったときの骨盤の形と、
座ったときのこの形は違いますが‥‥。
- 伊藤
- すっごくきれい。
高阪さんはこの姿勢のまま
食事をされてると思うんです。
- 高阪
- そうですね、はい。
これは立ったときにもしこの形であったとしても、
まだ許される範囲内だと考えるんです。
でもこれがこうなっちゃうと許されないんですよね。
- 伊藤
- ハイ。
- 高阪
- 許される範囲には個人差がありますが、
「そのまま歩ける」とか活動ができる範囲内で
座ったときも骨盤の動きをコントロールしたい。
「このまま立っちゃうと、歩けないな」
という姿勢はやめたほうがいいですね。
そして、なおかつ、肩甲骨が開きすぎないよう、
ちょっとだけ意識をしてください。
開くと猫背に近づいていきますね。
- 伊藤
- きっと高阪さんは、
いろんなトレーニングを積み重ねた結果、
意識せずともその姿勢が保てる。
- 高阪
- そうですね。
- 伊藤
- すごい。さすがです。
- 高阪
- これを、座っていても、無意識のうちに
できるようにするために、
さっき言った2つの運動を
意識的にやってもらいたいんです。
- 伊藤
- なるほど!
- ──
- 首だけが前に出てきちゃうのは、
どう気をつけたらいいですか?
- 高阪
- それも、体を真っすぐ保つ姿勢の筋肉のバランスで。
人の体って、前側の筋肉とうしろ側の筋肉で
引っぱり合ってるんですよね。
背中の筋肉が弱いと、首だけ出てきちゃう。
- 高阪
- 首だけ残っちゃうとこういう感じになってしまうんですね。
そうすると、首が凝ってしょうがない、
っていうのがそのうち起こってくる。
首に関していうと、頭って重いので、
皿の上に丸いものを乗せて運んでいる状態を
想像してもらえたらいいと思うんです。
皿には縁(リム)がありますよね、
多少動いても、ある程度のところで、
引っかかりがあって、落ちませんよね。
揺れても、皿の真ん中に戻してあげるみたいなイメージで
頭が「身体のまんなかにある」イメージを見つける。
- 伊藤
- きっと、今教えていただいてるものって、
すべての格闘技とか柔道とか、
スポーツすべての方に共通することですよね。
超・基本というか。
- 高阪
- そうです。
言語化するかしないかは別として、
みんなそういうことをやっていると思いますね。
肩甲骨を回してみよう。
- 伊藤
- 「その人ならではの軸を見つける」ことができた、
と仮定して、
わたしたちがお聞きしたい「背中」について
教えてください。
「こうなっているから、きれいに見えない」
ということはあるでしょうか。
- 高阪
- ものすごく簡単なところでいうと、
肩が前に入り込んでいる、
「ショルダーイン」といって、
シュラッグしたままの(肩を縮める)姿勢は、
よくないでしょうね。
- 高阪
- こうなってるときって、
要は肩甲骨が動いてない状態なんですね。
それを解消するには、
肩を開いてあげるんですけど、
胸を張る、だけじゃなくて、
肩甲骨を逆ハの字にするイメージです。
- 伊藤
- (やってみて)ああ、なるほど!
でもこれ、硬い人は、なかなか‥‥。
- 高阪
- そうなんです、固まっちゃっている人は、
逆ハの字に、なかなかなりません。
そのために、外旋運動を、ふだんからしてほしい。
手のひらを、親指を外にして上に向けながら、
身体の前で内側から外側に左右それぞれに円を描く。
- 高阪
- 親指を外に開いたとき、
肘をちょっとだけ体に寄せるイメージです。
そうすると肩甲骨がすこしずつ動くようになります。
- 伊藤
- 肘を寄せたとき、
肩甲骨が逆ハの字になっていることを
イメージしながら‥‥。
- 高阪
- はい、そうです。
- 伊藤
- これは、力は入れちゃいけない?
- 高阪
- 力はできるだけ入れないでください。
- 伊藤
- そのとき、お腹の状態はどうなんでしょう。
リラックスですか。
- 高阪
- リラックスです。これはもう、
肩甲骨まわりだけを意識してもらいたい。
- 伊藤
- 肩甲骨から回すイメージで?
- 高阪
- そうですね、
伊藤さんはそれがおわかりになるんですね。
そんなふうにわかる人は肩甲骨を意識して、
でもそこまで意識できないなって方は、
とにかく手のひらを大きく、
親指を外に大きく振って、
ちょっと前腕を捻ってあげる。
とにかく回転をさせることによって
肩関節が動いてくれるので、それを繰り返すだけで、
最初は動かなかった肩甲骨が、
だんだん、だんだん、ジワジワと、
動くようになっていきます。
- 伊藤
- だんだんっていうのは、何日かやってるうちに?
それともその日のうちに?
- 高阪
- その日のうちに、なります。
「あ、なんか動いてるのかな」
ぐらいの感覚でいいと思います。
で、最終的に何をしたいかっていうと、
肩甲骨が逆ハの字に寄った形で、
なんとなくコントロールができるようになったら、
その形のまま、腕は普通に歩いてください。
逆ハの字の状態がある程度キープできて歩ける、
これで上半身のセット完了。
いい姿勢が保てます。
- 伊藤
- これっていつでもどこでもできますね、
キッチンでお湯を沸かしてるときとか。
- 高阪
- できると思います。
自分はこの動きをすることが、
もう癖になってしまってるんです。
目が覚めたら最初にやります。
- 伊藤
- TVで見るボクサーの方の基礎練習に、
こういう感じの動きがありませんか。違うかな。
- 高阪
- いや、そうです!
パンチって肩の回転で手を前に出すんですね。
今度は内旋(手を内側にひねる)になるんですけど、
内旋するだけで伸びるんです。
ちょっと距離が遠いところへ届くようになる。
外旋すると肩甲骨は逆ハの字に、
内旋させると開いていくんですね。
その動きが、肩甲骨のコントロールでできるので、
ボクサーの基礎練習には欠かせないんですよ。
- 伊藤
- へえーー!!!
- 高阪
- みなさんは、一日のなかで、
暇なときに外旋運動をしてもらい、
「あ、肩甲骨が動きだした、よしよし」
っていうのが、いいと思います。
- ──
- (やってみて)左の肩甲骨がグリグリと音を!
- ──
- 私はゴリゴリ!
- 高阪
- あります、あります。
- ──
- この体操をしていると、
腰のとこがちょっと疲れてくるんですが、
それはなにか間違っていますか?
- 高阪
- それはちょっとだけ
力が入ってしまってるんだと思います。
リラックスしてくださいね。
- 伊藤
- パソコン仕事で
肩まわりが固まっちゃってるときにもいいですよね。
- 高阪
- はい、そうですね。
いろんな組織がくっついて肩を動かしているんです。
もちろん胸の筋肉も、背中の筋肉も、
僧帽筋っていう首から背中にかけての筋肉、
いろんなものがくっついています。
だから、例えばオフィスの作業、
パソコンの前に座って、画面に集中し、
座り姿勢が前傾のままだと、
さっき言った「肩がイン」しちゃう状態になります。
それは「僧帽筋に力が入っている」状態です。
極端にやると、こうです。
- 伊藤
- お年を召した方の背中も、
そのほうがラクだからという姿勢が続いて、
丸くなっていくと聞いたことがあります。
- 高阪
- 生活習慣によりますよね。
- ──
- 職業的な習慣もありますよね。
先日うかがった織物工場の職人のおじいさんは、
ずっと前かがみで糸を操っているからか、
背中がずいぶん丸みをおびていました。
- 高阪
- そういうこともあるでしょうね。
- 伊藤
- わたしの知っているパティシエの方も、
もう70代の方なんですけれど、
前傾姿勢のまま固まっているようでした。
- 高阪
- すべて職業ゆえとは言えないんですけれど、
要素として、あるかもしれないですね。
- ──
- キッチンのリフォームをするとき、
いちばんよく使う人が使いやすい高さに
天板を設定するのが大事ですよって、
建築士の人に言われました。
- 高阪
- ものすごく「ある」と思います。
そして、それを調整するために、
今度は股関節が関係してくるんですよ。
さっきの運動で自分の上半身の動きを調整したら、
次に、体の中心軸を調整するために、股関節の運動です。
- 伊藤
- ということは、肩甲骨の運動は、
さきほどのひとつで大丈夫なんですね。
- 高阪
- はい、そうですね。
肩甲骨を動かすメソッドっていうのは、
実はものすごくたくさんあるんですけど、
あまりいっぱいやろうとしすぎると、
逆に力みが入ってうまくいかないことが多いんです。
上半身側は特にそうなりがちです。
なので、「逆ハの字」を心がけて、
1種類の運動をしっかりやって、
「動いている」と感じられるようになれば、
あとはそれを日常に取り入れてくださったら。
- 伊藤
- わかりました。それで‥‥股関節?
カラダの軸を意識しよう。
- 伊藤
- 高阪さん、今日はよろしくお願いします。
- 高阪
- こちらこそよろしくお願いします。
- 伊藤
- なぜ今日伺ったかといいますと、
weeksdaysではお洋服とか
生活に関わるいろんなものを紹介しているんですけれど、
最近思うことがあるんですね。
それは、どんな服を着るか、っていうより、
どんな自分が着るか、っていうことが、
すごく大事だなということなんです。
これは生活まわりのアイテムでも同じですが、
じゃあ「どんな自分か」を思い描いたとき、
姿勢って、すごく大事なんじゃないかなって思ったんです。
- 高阪
- なるほど。
- 伊藤
- たとえば外食をしている時、無防備な感じで、
猫背になっている若い女の子を見ると、
「ん?」と感じたり。
その姿勢が楽になっちゃってるのかもしれないですね。
でも、わたしが「あの人、きれいだなぁ」と感じるのは、
スクッと、いい姿勢をしている人なんですよね。
- 高阪
- そうですよね。わかります。
- 伊藤
- それで、そうなるためには
どうしたらよいのだろうかって。
高阪さんなら、わたしたちが日々できることを
教えてくださるんじゃないかなって思ったんです。
- 高阪
- はい、日々、できることって、
すごくたくさんあると思いますよ。
- 伊藤
- なんだろう?! ぜひ、教えてください。
もともと総合格闘技をなさっていて、
いまは指導者になられているなかで、
コロナ前までは「ほぼ日」の社内で
体操を教えてくださっていたと聞いたものですから。
- 高阪
- というのは、格闘技って、
瞬間、瞬間でいろんな動きを
しなきゃいけないものなんですよ。
そのためには自分の体が
いつも動ける状態を保たなきゃいけない、
それが大前提としてあるんです。
自分たちは「軸をとる」とか「軸をつかむ」とか、
そういう言い方をするんですけど、
体の「中心軸」を基本にして、
前後左右、斜め前、斜めうしろ、
もしくは回り込むとか、そういう動きができるように
しているんですよ。
そこでは体の姿勢づくり、
そして機能のさせ方がすごく重要になってくる。
- 伊藤
- 軸、というのは、体幹のことですか?
それともまた違うことなのかしら。
- 高阪
- イメージ的に言うと‥‥、
掃除のとき、箒(ほうき)を逆さにして
手のひらにのっけて立てて、
バランスをとる遊びをしませんでしたか。
- 伊藤
- 男子がやってましたよね(笑)。
- 高阪
- それです(笑)。
その立っている箒の姿が、
体の「中心軸」に近い考えです。
地面に設置してあるものではなく、
腰の辺りから、まっすぐのびて、
いつもバランスをとっている、体の真ん中です。
そして、どこに中心があるのかは人それぞれ違うんですよ。
- 伊藤
- えっ、どこに中心があるのかは
人それぞれで違うんですか?
- 高阪
- 違います、はい。
- 伊藤
- それは身長とか体重とか骨とか筋肉とかで?
- 高阪
- そうですね。あとは育つ過程での
骨の形成具合とか、
いろんなものが影響されることなんだと思うんです。
例えば背骨も、人によって全然形が違うんですよ。
- 伊藤
- なんと!
- 高阪
- 側弯症(そくわんしょう)って
お聞きになったことありますか。
背骨は、うしろから見たら真っすぐっていうのが
基本の認識なんですけど、
側弯症っていうのはS字になったりとかする、
そういう方もいらっしゃいます。
有名な選手では、ウサイン・ボルトは側弯症です。
- 伊藤
- 健康とは別のものなんですね。
- 高阪
- そうじゃないんです。
ウサイン・ボルトは側弯症なりの
自分の軸を見つけたから、
世界一になれたんですよ。
- 伊藤
- なるほど。
では、自分の軸を見つけるのが、まず大事。
- 高阪
- はい。では自分の体の軸を見つけるために、
どうしたらいいかをお伝えしますね。
人の体には4つの大きな関節があります。
左右の股関節と左右の肩の関節です。
この4つの点で四角い形を形成している、
そんなイメージを持ってみてください。
- 伊藤
- はい。
- 高阪
- そうしたら、その四角形を、
板やガラスみたいな硬いものとしてではなく、
4つの辺はまっすぐなまま、自由に動く、
「すだれ」みたいなものだと考えてください。
自由な平行四辺形で、
しかも、斜めにもよじることができる、
‥‥「南京玉すだれ」みたいな。
ねじれもできる、縦にも伸びる、横にも伸びるっていう、
直線しかないのに自由な変形をする、あのすだれ。
- 高阪
- そのすだれは、関節がやわらかければ、
ユラユラ揺れるわけです。
そのイメージが、自分の身体の中の、
四角の中にある、
っていう感覚を持たせてあげるのが、
「軸を保つ」、
真っすぐきれいな姿勢でいるってことなんですよ。
- 伊藤
- なるほど、だからジムや整体に行くと、
股関節と肩甲骨を動かすのが基本ですよと、
強く言われるんですね。
- 高阪
- はい、そうですね。
- 伊藤
- わたしは、その理由がわからないまま、
家でストレッチポールで運動をしていました。
よくわかってないけれど、
やると体調がいいんですよね。
- 高阪
- そうですよね。
その4点で結ばれたところの中に
軸っていうものが存在するわけです。
自分の身体も、
そのすだれ状なイメージで考えてください。
‥‥って、言葉で言うと、
すごくわかりにくいかもしれないですけれど、
その軸は、地面ではなく、
股関節の上に乗っているわけです。
- 伊藤
- (やってみて)ふむ、ふむ。
- 高阪
- それでね、ダメな姿勢というのは、こういうふうな。
- 伊藤
- あ、はい!
- 高阪
- いい姿勢というのは、こうですね。
ちょっと上から引っ張られているようなイメージです。
- 伊藤
- えっ。すごい! こんなに変わるんですね。
- 高阪
- さきほどの「すだれ」の軸と、
いまの「上から引っ張られている」イメージのままなら、
歩くときも、姿勢はきれいですよ。
イメージで身体をコントロールするんです。
ちなみに、軸を地面につけたイメージで歩くと、こうなる。
- 高阪
- これは、いちいち地面に棒をぶっ刺してるわけです。
ドーン、ドーン、って。
- 伊藤
- 年をとると、そうなりますよね。
ちょっと聞いたのは、
年とると身体が楽をしたいから、
左右に重心移動をしながら
前に進んで「歩いて」いくと。
- 高阪
- そうかもしれないですね。
だから、すだれが揺れているイメージで歩けば、
軸がぶれず、姿勢も真っすぐになるはずなんです。
そして、そのために必要な運動がいくつかあって。
だいたい歩いてるとき、
そんな意識はできないですから。
だからちょっとだけ運動をすることで、
身体が覚えてくれたらと思います。
- 伊藤
- 右手右足がいっしょに出ちゃいそう!
- 高阪
- (笑)ちょっと余談になりますが、
実は、右手右足を同時に出すのも、
間違いじゃないんですよ。
4点のコントロールができると、
同時に出しても、おかしくない歩き方ができます。
「ナンバ歩き」といって、江戸時代までの日本は
右手右足が一般的な歩き方でした。
- 伊藤
- そうなんですね。なぜなんでしょう?
- 高阪
- そもそも。あの当時は着物ですから、裾が閉じていて、
大股で歩くことが少なかった。
それと、お侍さんとかは、
手を動かして歩くっていう習慣が
あまりなかったらしいです。腕は振らないで歩く。
刀を持ったまま走んなきゃいけないとなると、
刀に手を添えて手を動かさずに走るわけです。
- 伊藤
- 女の人もそういう感じですよね。
- 高阪
- そうですね。腕は振らない。
だから例えば火事が起こって
走んなきゃいけないってときに、
その動かさない腕がじゃまになる。
それでどうしたらいいかわからなくなって、
バンザイの姿勢で走るわけです。
- 伊藤
- ああ! それはきっと踊りにも通じてますね。
- 高阪
- そうだと思います。
「えらいやっちゃ、ヨイヨイヨイヨイ」の阿波踊りも、
いわゆる盆踊りも、そうじゃないかっていう説があります。
- 伊藤
- なるほど、あながち、
右手右足は間違いではない、けれども‥‥。
- 高阪
- はい。とにかく大事なのは、
股関節と肩の関節を
しっかり動かせられるようにしておくっていうことです。
それが「姿勢を保つ」ための
大きなキーポイントであるっていうことは
言えると思いますね。
- 伊藤
- こうすればすぐにきれいに見えるんですよ、じゃなくて、
まずはやっぱり身体をちゃんとさせる。
その人ならではの軸を見つける。
cohanのオールインワンとワンピース
いつもきれいに。
ピーンポーンと、
不意に家を訪ねても、
いつも身だしなみと部屋が整っている友人がいます。
それも二人。
彼女たちは、
「部屋着」と「おしゃれ着」、
それから、
「日常」と「来客」の区別もあまりないみたい。
いつでも誰かに見られてもいいように、
自分と身の回りを整えるって、
案外できないもの。
でも、見ているこちら側としてはとっても清々しい。
この感じ、なんだろう? と思っていたけれど‥‥
そうだそうだ、まるで神社のようなのでした。
私の母もじつは同じタイプ。
起きたらすぐに着替えて、
ベッドを整える。
パジャマ姿でリビングをうろうろしている姿、
一度も見たことがないなぁ。
身の回りに、お手本がいくつもあると、
我が身を振り返るきっかけができるというもの。
だから私は、彼女たちを見習って、
整えていたいな、そう思う。
自分が、いつでも清々しくいられるために。
今週のweeksdaysは、
去年、好評いただいたcohanのオールインワン。
今年はワンピースもくわわって、
さらにラインナップが充実しました。
そしてコンテンツは、
意外なあの方が登場。
どうぞおたのしみに。
わたしがわたしでいるために。
- 伊藤
- 茂田さんは、本を書かれるとか。
『42歳になったら──』。
- 茂田
- 『やめる美容と始める美容』です。
- 伊藤
- すごく気になっているんです。
42という年齢はどこから?
それがポイントなんですよね。
- 茂田
- 陰陽五行の話で、女性が変わるのって
7の倍数だという話があるんです。
不思議なもので、陰陽五行って
べつに科学的なバックグラウンドなく
言われてることなんだけど、
科学的なアプローチでも、
たしかにその年齢で大きな変化点があると
言われているんですよ。
それで42のフェーズでは、
何が変わるんだろうねと。
28も35も結構大きな変化点ではあるんですけれどね。
- 伊藤
- 中医学の先生も、おっしゃいますよね。
女性は7の倍数になんかあるとか。
- 茂田
- 男は8の倍数なんですよ。
僕は40のとき最悪でした。
- 伊藤
- それは体調が?
- 茂田
- ほんとに体調が悪かった。
あっちこっち悪くなりましたよ。
尿路結石があったり、爪に膿が溜まったり、
意味不明なことが結構起こって。
ほんとに体が変わるってことなんだろうなと
思いながら過ごしていましたけれど。
でね、42歳は、ほんとに女性って
すごく大きく変わるんですよね。
- 伊藤
- はっきりとは覚えていないですけど、
あったと思います。
- 茂田
- 変化の始まりが42だから、
42ジャストではそんなに感じないといいますね。
そこから徐々に思いどおりにいかないことが
いろいろ出てくると。
- 伊藤
- そうそう! そうでした。
- 茂田
- 35もそうですよ。
- 伊藤
- そうですね、思いどおりにいかないことばっかりで。
でもそうやってたどり着いたのが、
普通の規則正しい生活が大事、
ということだったんです。
- 茂田
- そこに行けたらほんとにいいですよね。
その本で一番伝えたいのは、
やらなきゃいけない、
やっちゃいけない、みたいなことを
できるだけ減らそうよということなんです。
美容術っていうと、
やらなきゃいけないことと、
やっちゃいけないことの山積みになっていっちゃう。
でもそうじゃなくて、
どれだけナチュラルなスタンスで
自分にとっていいことをやれてるかっていう、
その価値観のつくり方とか
人生観のつくり方みたいなのが
ほんとは一番大事だよねって思ってて。
- 伊藤
- そうなんですよ。
- 茂田
- 危機感に駆られて、42歳ぐらいから
あれもやんなきゃ、これもやんなきゃ、
あれはやっちゃダメだ、
これはやっちゃダメだみたいになるとね。
- 伊藤
- その本は、肌のために? 体のために? 全体的に?
- 茂田
- 「肌のために」が今回のテーマです。
皮膚科学の専門家としての本なんですよ。
ただ、同じですよ、基本的に。
肌がよくて体がボロボロってことはないし、
体は絶好調なのに
肌がボロボロということもないんですよ。
- 伊藤
- 美肌の先生の本を読むと、
紫外線は絶対ダメと書かれていますよね。
イラストで、サングラスをかけて、
紫外線対策グッズで体を覆って外出しましょうと。
えっ、でもこれって、どこに気持ちを持っていくの?
ということが疑問に思えたんです。
いろんな考えがあって面白いなと思うけれど、
日が当たってないときが、一番いい自分なの?
わたしは、歩いてる自分が
ふとショーウインドーに映ったときに、
そんなの嫌だなって感じてしまった。
それで草場妙子さんと話していたら、
ノースリーブを着たときには、
ほどよく日焼けしてた方がいいし、
もちろんそんなにガンガン焼くことを
すすめるわけではないけれど、
ちゃんとケアもしながら、
自然に見えた方がいいと思う、という話になって、
すごくホッとしました。
- 茂田
- 老化を防ぐために女を捨てるか、みたいな話ですよね。
化粧品メーカーの僕が言うのもなんですが、
そういうのって
メーカーの都合でアピールすることも多いし、
紫外線対策の専門家にとっては
テレビや講演でしゃべるための題材でもある。
もちろんほんとの意味での紫外線の問題はあります。
あるけれど、昨今の言われようは過剰に感じますよね。
僕は、ある程度歳を重ねていても、
ああ、この人の肌はきれいだなって思う人って、
基本、自由奔放な人が多いんですよ。
人生を楽しんでいらっしゃるんだな、
ちゃんと人生で悩んでいるんだな、
と思うような人って、魅力的です。
- 伊藤
- その人自体がチャーミングだったら、
そばかすとかシミがあっても
「きれい」に見えるんですよね。
- 茂田
- 見える。
そもそも「誰のために見せたい自分なのか」
っていうテーマが、整理できてない人、
多いのかもしれませんね。
- 伊藤
- そうかもしれないです。
- 茂田
- あるいは、
まわりの人たちは気にしていないんだけれど、
本人だけが異常に気にしてるとか。
べつにこっちは
そこを全然ネガティブとは見てないですよ~、
みたいなことって、結構ありますよね。
- 伊藤
- そもそも人ってそんなに人のこと見ていないです。
自分のことだって、見ていないくらいですよね。
- 茂田
- そう、見てない。
- 伊藤
- ‥‥っていうことが、その本に書かれる?
- 茂田
- いえ、このへんは書かないと思います(笑)。
- 伊藤
- あら(笑)?
そういう話も聞きたいですよ。
- 茂田
- じゃあ、それに近いことは書こうかな。
- 伊藤
- お願いします(笑)。
ところで、今回のネイル、ラベルシールの素材を
特別なものにしていただいてるんですよね。
なかなか、柔らかい感じで、かわいいんですよ。
- 石井(OSAJI)
- はい、ネイルは機能性の問題で、
ラベルに表面加工をしなきゃいけないんですけれど、
今回は手に取って馴染むもの、
質感を感じられるものを選びました。
マットな質感の中でも、ベルベットラミと呼ばれる、
手に吸いつくベロア生地のような
手触り感のある表面加工を選んでいます。
そのおかげで、もともとのせている印刷の色も、
光の反射でちょっと柔らかく
馴染むような感じになるんです。
デザインも、私たちと、
「weeksdays」のみなさんとで
何度もやりとりを重ねて完成させましたね。
ネイルの色に馴染むような、
シンプルで、ステキなものになったと思います。
- 伊藤
- うれしいです。
ネイル自体の色はどう感じましたか、
デザイナーさんの目線で。
- 石井(OSAJI)
- すごいかわいいと思います。
単色で、すごく使いやすそうですし、
この2色の組み合わせで買いたいなって思いました。
壁紙や、きれいなペンキのような
“おうちっぽい”かわいらしさがありますよね。
- 伊藤
- まさしくその話をさっきしていたんですよ。
色選びのイメージは、わたしのうちの壁だったと。
- 石井(OSAJI)
- あ、そうなんですか? ほんとうにそんな印象で、
それがいいなって思ったんです。
OSAJIのネイルを好きでいらしてくださるお客さまも、
きっといろんなアレンジ、組み合わせを
なさるんじゃないかなって気がします。
インスタグラムで載せてくださるんですよ。
- 伊藤
- わぁ、インスタをチェックしなくちゃ。
ありがとうございました。
これが好評だったら、次はからし色が欲しいとか、
いろいろ夢が広がります。
いろいろとご相談させてくださいね。
引き続きよろしくお願いします。
- 茂田
- こちらこそ、よろしくおねがいします。
ありがとうございました。
ネイルの色が自由になった。
- 伊藤
- ネイルについて言えば、
日本では30年ぐらい前までは
赤とかピンクとか、そんな強い色ばっかりでしたね。
こういう繊細な色がほしいと思っても、
なかなか、なかったんです。
わたし、好きな色がハッキリしていて、
自分の家の壁や置いてあるもの、
ハッと気づくとこの色だったりするんですよ。
- 茂田
- そうだ、これ、伊藤さんの家の壁の色ですよね?!
- 伊藤
- そう。こっちが壁の色で、
こっちが腰板の色です。
このネイルの色を選ぶとき、
その壁の色は意識していたんだけれど、
作ってみたら、あれっ、これは
両方ともわたしの部屋だ!(笑)って。
- 茂田
- (笑)
- 伊藤
- 色って、みんなが似合うものを、といくら考えても、
万人に似合うものは、きっと、ないんですよね。
- 茂田
- そうなんです。ないんです。
- 伊藤
- だったら自分の好きな色にしようと、
この2色を選びました。
‥‥でも、たくさんのひとに、合いそう。
手でも足でも、肌がくすみそうにないですし。
- 茂田
- たしかに、こういう色のネイルって、
以前はありませんでしたよね。
ホントにいつからでしょうね(笑)。
- 伊藤
- わたしが中学ぐらいの頃に流行った、
みんなは知らないと思うけれど、
『積木くずし』っていうドラマがあって(*)、
すっごいヤンキーになっちゃう子の話なんです。
その子が黒いネイルを塗っていて。
-
*「積木くずし-親と子の200日戦争-」は、
1983年にTBS系列で放映された連続ドラマ。
俳優・穂積隆信の同名手記が原作。
非行に走った一人娘と、両親との、壮絶な闘いと
更生までの日々を描き、最終回の視聴率45.3%は
歴代ナンバーワンと言われる。
主人公を演じたのは高部知子、
両親役は前田吟、小川真由美。
- 茂田
- それが80年代ですね。
そういえば90年代も流行ってましたよね、
黒のネイル。
- 伊藤
- それはどういうタイプの人が塗ってたんですか?
不良少女じゃなくって‥‥。
- 茂田
- 音楽業界とかかな。
- 伊藤
- そうだ、ロリータファッションの人も、
つけていた記憶がありますね。
でもね、その頃から考えると、
ネイルがこんな自由になるとは思ってなかったです。
特にわたしは、仕事がら、手に色が入るとちょっと、
っていうときがあるから、普段は全然塗らないんですね。
でも足って自分の目から離れているし、
仕事にも支障がないので、わりと自由に色を選びます。
今回の2色は、撮影していて思ったんですけど、
これを塗っていると、すごく今っぽくなると、
ハッて思ったんですよ。
- 茂田
- そうですよね。
この色を決めるのは、伊藤さん、早かった。
- 伊藤
- OSAJIのみなさんもぴったりの色をつくってくださって、
このスモークグリーンは、最初のサンプルで
「この色!」と決まりましたね。
一度塗りで決まるね、って。
いっぽう、ペールブルーは、
最初のサンプルがちょっと薄かったので、
すこし濃度を上げていただいて、完成させました。
どちらも一回でしっかり発色して
重ねづけしなくてもいいようにと。
OSAJIの社内での評判はどうですか?
- 足立(OSAJI)
- みんなかわいい、かわいいって。
これまでの似た系統の色では、
Shinden〈神殿〉っていう色があるんですが、
それはカーキグリーンにちょっとラメが入っているんです。
OSAJIの中では、ラメなしのカラーって少ないので、
とても新鮮に感じますよ。
- 伊藤
- そうそう、最初、ラメとかマットとか、
そういう選択肢もありましたが、
「weeksdays」のネイルに、ラメは入れませんでしたね。
かといってマットほどマットじゃない。
ちょうどよく、きれいに見えます。
上下黒のシンプルな服で撮影したんですけど、
これを塗っているのと塗っていないので
全然違うよねって話をしていて。
面白いものですよね、こんな小っちゃいとこなのに。
OSAJIさんのネイルには、
OSAJIならではの特徴があるんですよね。
- 足立(OSAJI)
- はい、製品的な特徴だと、
酸素を通す処方になっているので、
ネイルを塗った状態でも爪がちゃんと呼吸ができます。
あと、一般的なネイルには、
乾くときに、キューッと塗料が縮んで、
爪がギュッて圧迫される感じを受けるものがあるんですが、
OSAJIはその圧迫感も、空気を通すゆえに、ありません。
塗ったときの快適さは、すごく好評をいただいてますね。
「塗りやすい」とおっしゃるお客さまが多いですよ。
- 伊藤
- ネイルをすると、爪を休ませるために、
つけっぱなしにせず、とったりしていましたよね。
それって空気が通らなかったからなんですね。
- 茂田
- これ、コンタクトレンズの技術を応用してるんですよ。
- 伊藤
- えーっ!
- 茂田
- 酸素透過性のコンタクトレンズってあるでしょう。
コンタクトも、酸素の透過率によって、目が疲れたり、
ドライアイになったりとかする。
その技術を応用してる処方なんです。
空気が通らないことによる隠蔽感って、
爪を疲れさせるんですよ。
でも酸素透過性が高くても、
使い勝手が悪い素材もあって、
そうするとネイルとしての意味をなさない。
OSAJIも、ずいぶん試行錯誤をしました。
うち、ネイルもいいんですが、
リムーバーも優秀なんですよ。
- 伊藤
- そう、アセトンフリーっていうのが。
アセトンが入っていると匂いが出る。
だからネイルを落とすぞ、というとき、
気合いが要ったんですよ。
部屋中に、リムーバーの匂いが広がってしまうから
- 茂田
- これ、エタノールと炭酸プロピレンで落ちるんで、
アセトンを使わなくていいんです。
当然、爪にもいいですし。
- 伊藤
- ちゃんと落ちますよね。
湿らして、ちょっと待つと、
わりとスルッと落ちます。
- 茂田
- 落ちる。ただこのリムーバーは、
お求めになるかたに、OSAJI用であって、
万能ではありませんよとお伝えしたいです。
やっぱりね、海外ブランドのネイルとかだと、
これでは落ちなかったりするんですよ。
- 伊藤
- なるほど。
あら、それは、なんですか?
- 茂田
- これね、爪の美容液。
- 伊藤
- へえー。そんなのあるんだ!
甘皮に塗る感じ? それとも全体的に?
- 茂田
- 爪全体に塗っていただけたら。
- 伊藤
- 充実していますね。
化粧品ってどんどん変わっていくんだなと思いました。
アセトンフリーになさったの、すごいですね。
- 茂田
- ネイルってファッションだから、
ある程度の負荷はしょうがないとも思うし、
メイクをするのだって
ストレスゼロなんてやっぱりありえないから、
そこにあんまりこだわりを持つよりも、
落とすときにどれだけ快適に落とせるか、
どう負担をかけずに洗い流せるかみたいなことは
すごく重視しているんです。
だから、こっち側を作るんですよね。
- 伊藤
- 面白いですね。
茂田さんは、次に、どこに行くんですか?
- 茂田
- 次‥‥次はなんだろう。
化粧品作るのも、だいぶいろいろやっちゃったよね。
「食べる」しかないんでしょうか。
- 伊藤
- エステとかどうかなと思って。
- 茂田
- あっ、やりたいんですよ!
- 伊藤
- ホテルとか?
- 茂田
- そう、そう!
最近「意識高い系43歳」になって、
東洋医学的施術を受けに
行ったりとかしてるんですよ。
- 伊藤
- へえー。お肌の?
- 茂田
- 肌もだし、ヘッドスパとか。
やってみるとね、ヘッドスパ、めっちゃ重要だなと思って。
頭皮の血流が悪くなるから、顔の血流も悪くなるんだなと。
ヘッドスパやると目の下のクマは必ずよくなります。
やっぱり、頭皮めっちゃ重要じゃん! と、
最近改めて思っているんです。
- 伊藤
- 「頭皮はお顔の延長です」
っていう美容研究家の方もいらっしゃいますものね。
そうだよね、って思います。
きれいな人に美しさの秘訣を聞くと、
「なんにもしてないんです」と言いますよね。
でもね、なんにもしてないようで、
そんなふうに注目されるほどの人って、
実はちゃんとしてるんですよ。
それは、食べるものとか、眠ること。
わたしがこの歳で感じているのは、
何を塗るとかじゃなくて、
ホント毎日を規則正しくすることなんです。
やっと、これなんだって、理解しました。
もちろん特別なエステに通っている人だって
いるかもしれないけれど、
規則正しい生活がベースなんだと思うんです。
- 茂田
- そのバックグラウンドにあるものは
時間的余裕だったりするから、
それが確保できるライフスタイルってなんなのか。
それが根本的なことなのかもしれないし。
- 伊藤
- そうですね。
でも、無理する仕事はよくないですよ。
寝ないでがんばろう、とか、よくない。
- 茂田
- うん、本当、よくないですよ。
- 伊藤
- ね?
そこまでの仕事量はしちゃいけない。
- 茂田
- コロナって、そういう意味では
いい気づきでしたよね。
そこまでやっちゃいけないっていうか、
強制的にやらなくても回るんじゃん?
って気づいたこと。
- 伊藤
- あっ、たしかに。
あんまり会わなくても大丈夫だとか、
時間をどう短縮するかとか。
- 茂田
- そっか、移動をやめたら、
こんなに時間的余裕が出るんだ、とか、
いろんなことを気づいたコロナではあったなと思う。
そういう意味では、僕はコロナによって起こった
パラダイムシフトって、
ポジティブに受けとめているんです。
無理に外食しなくてもよくない? とかも含めて。
- 伊藤
- そうですよね。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
6月30日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
miiThaaii
シルクコットンのワンピース
袖を通した瞬間から、
なんて気持ちがいいんだろう! と
清々しい気分になるシルクコットンのワンピース。
シルクが30%入っているので、
着心地のよさに、上質さもプラス。
帽子のバックともども、ナチュラルに寄りすぎない、
「大人の夏のワンピース」、
というところが気に入っています。
そのままストンと一枚で着ても。
また、写真のようにスカーフを巻いたり、ベルトをしたり。
この上なくシンプルなワンピースなので、
小物で遊べるところもいいんです。
色はチョコレートとモーヴの2色。
じつは、モーヴはずっと似合わない‥‥と
決めつけていましたが、
久しぶりに着てみたら、しっくりきた。
と同時に、アイテムに新しくきれいな色が加わって、
なんだか気持ちが華やぎました。
新しい色に挑戦してみてはいかがでしょうか。
(伊藤まさこさん)
メイクアップのたいせつさ。
- 伊藤
- 「OSAJI」がネイルを作り始めたのって、
どんなきっかけだったんでしょう。
基礎化粧品のイメージが強かったから、
最初、ちょっと驚いたんです。
- 茂田
- そうですよね、OSAJIでは、
ネイルにかぎらずメイクアップ全般、
ベースメイク、アイメイク、チーク、
リップもつくっているんですけれど、
広い意味でいう美容・健康における化粧品の役割って、
全体のうちの4割ぐらいなんじゃないのかなって、
じつは、僕は思っていて。
残りの6割が食であったりとか、生活習慣、
運動、あとは心のことであったりするんですが。
- 伊藤
- その4割の中にスキンケアとメイクがある‥‥のかな?
わたしはメイクアップとスキンケアは、
また全然違うと思っていたんですけれど。
- 茂田
- あ、そうですよね、違いますよね。
僕の言う4割は、あくまで
「スキンケアでできる美容」の話です。
- 伊藤
- なるほど。
- 茂田
- まあ、4割というのも極論かもしれません。
ちょっと多めに言ってる4割なんですよ。
でもほんとに基本的には食生活があり、
ライフスタイルがあり、
メンタルなところがあったうえで、
どうしてもそれだけではとらえきれない
年齢とか環境による変化に対応することが、
スキンケアの役割だと僕は思っているんです。
化粧品メーカーとして、
その「心」っていうところと、
メイクアップや香りが紐づいていると思う。
例えば女性ホルモンって、
当然、美容においては大事なことだけれど、
コロナ禍で女性ホルモンの分泌が
減ってしまってる人がすごく多いと言われていて、
それを辿っていくと、人に会う機会が減ったことが
関係しているようなんですね。
女性って人に見られることによって
女性ホルモンが出るんですって。
- 伊藤
- そうなんだ!
- 茂田
- そう。だから人に直接会う機会が減ってしまうと、
ホルモンバランスが崩れてくると言われています。
メイクをするとか、ネイルを塗るって、
人に会うための行為でもあるじゃないですか。
僕らがテーマにしていることは美容であり健康であり、
‥‥なんですけれど、そこへのアプローチは
必ずしも化粧品を使うことだけではないよね、と。
- 伊藤
- なるほど。
- 茂田
- スキンケアのメーカーでスタートしながら、
メイクアップをやることだったりとか、
鎌倉で飲食をやる(*)ことを
僕が決めたいきさつっていうのは、
心の充足をはかりたいっていうことなんです。
-
*OSAJIでは2022年4月、
鎌倉にレストラン「エンソウ(enso)」を開店。
鎌倉の野菜を中心に、モダンフレンチに和の要素を入れ、
「心身と風土に調和する料理」を提供。
またグローサリー、調香専門店も併設する。
- 伊藤
- そうなんですね。
「かわいいもの」って気持ちが上がるじゃないですか。
顔に塗るものって自分では見えないけれど、
ネイルって自分で見えるものだから、
一番気持ちが上がりやすいものかもしれませんね。
- 茂田
- 塗るっていう行為も含めて、でしょうね。
- 伊藤
- あらっ? 茂田さん、なぜわかるんですか!
塗らないのに(笑)。
- 茂田
- (笑)そういうのって実は、結構、
科学的なアプローチなんです。
例えば脳科学者の茂木先生の研究だと、
メイクアップをしている自分の写真を見ると、
脳波が変わるらしい。
- 伊藤
- へえー!
- 茂田
- でもメイクアップしてる他人の写真を見ても
脳波は変わらないんですって。
- 伊藤
- そうなんだ。
- 茂田
- そして認知症の傾向にある人がメイクセラピーを受け、
メイクアップをした自分を鏡で見ると、
脳ってかなり変化を起こすんだそうです。
だから今まさこさんがおっしゃったとおりで、
自分の顔に塗ってるものは
鏡を見るときじゃないと見えないけれど、
ネイルってずっと、
自分がちゃんとつけている姿を見ることができる。
そういう意味では、
心への影響って
すごく大きいんだろうなと。
- 伊藤
- 指輪も、見えるじゃないですか。
そういう感じで「見える化粧品」って
いいなぁと思っているんですよ。
- 茂田
- 見えないけれど、香水もそうじゃないですかね。
いつも感じることができるという意味で。
- 伊藤
- 自分で感じる。
- 茂田
- そう、自分で感じているだけじゃなく、
ちゃんと自分のことが
人に伝わっているという安心感がありますよね。
ただただ香りがいい、悪い、好き、嫌い、だけじゃない、
いろんな意味での充実感があるんだろうな。
- 伊藤
- わたし、今日は低気圧で、
朝、ぐったりしてたんですけれど、
そういうときに好きな香りをシュッとすると、
部屋の雰囲気や空気が一気に変わるし、
ちょっとモヤッとしていた気持ちが晴れるんです。
そういう「気持ち」って、大事ですよね。
- 茂田
- うん、気持ちは大事ですね。
特にこの梅雨の時期は、きついですから。
世の中的には新生活が始まったあとで
ゴールデンウイークが明けて梅雨に入って、
本格的な夏が来るまで、
なかなか、みんな、しんどいですよね。
そういうタイミングに、
こういうものを提案するのって、
すごくいいですよね。
- 伊藤
- よかったです。
スキンケアをずっとやってきて、
こういうメイクアップのことを始めたときのこと、
もうすこしお聞きしてもいいですか。
- 茂田
- 僕がメイクアップに踏み込もうって思った、
一番の決め手だったのは、ブラインドメイクです。
前にちょっとお話ししたことがありますけれど、
全盲の方が自分の指先の感覚で
自分にフルメイクするんです。
今それを普及する協会の副理事長をやってるんですが、
そこに携わったことが大きかったんですよ。
まさこさんのおっしゃるとおり、
ネイルもメイクアップアイテムも
僕自身は使わないものだから、
わからないことがいっぱいある。
なぜそれが必要なものなのかってことすら、
わからないことが、最初、いっぱいあったんです。
その中で、もともと目が見えてた方が、
あるとき目が見えなくなって、
そうすると、それまではお化粧をして
どっかに出かける習慣だったのが、
お化粧ができなくなることによって
外に出かけられなくなる、であったりとか、
逆にお化粧できるようになったから
外に出て恋をして結婚するだったりとか、
そういう出来事に、ケアメイク協会を通じて
出合ったんですよ。
晴眼の人があたりまえのように化粧をするのと
ちょっと違って、全盲の方はその所作を含めて
すごく大事にするんです。
そういう意味で、ああ、女性にとって
メイクっていうのはすごく必要なもので、
こういう価値を提供できる立場にいることは
すごく幸せなことだなって思えて、
だからやろう! と思いました。
- 伊藤
- うん、うん。
- 茂田
- ただ、色に関しての女性の気持ちっていうところまでは、
僕自身はやっぱり最終的に深くは入っていけない。
安全に使ってもらいたいから、
そのための処方組みは僕でもできるけれど、
やっぱり色については不案内なわけです。
だからそこはビューティライターの
AYANAさん(*)に完全にお任せをしたんです。
-
*AYANA(あやな)さんは、化粧品開発の経験を活かし、アートやウェルネスの観点からも美容を分析、
OSAJIメイクアップコレクションのディレクターを務める。
著作に『「美しい」のものさし』がある。
- 伊藤
- 今回の製品も、AYANAさんに
たくさんアドバイスをいただきました、
ありがとうございました。
- 茂田
- お伝えしておきますね。
- 伊藤
- ちょっと話が逸れるんですけど、
Netflixに「スキン・ディシジョン:
お肌の悩みをプロが解決」っていう番組があるんです。
アメリカの、肌と美容の専門家と形成外科医の
美魔女2人が患者の悩みに答えて、施術して、
自信を取り戻していくドキュメンタリー。
- 茂田
- へえ!
- 伊藤
- 出演者には、それぞれの悩み、
アメリカならではの結構ヘビーなテーマがあるんです。
たとえば顔を切りつけられた跡が、
気になる元モデルの女性とか、
車の衝突事故で負った傷を治したい男性とか。
それをすごくきれいにするんですよ。
それで、最後に鏡を見たときの晴れやかさ!
ほんとにビックリするほど変わる人がいるんです。
コンプレックスのあったものを整えるって、
すごく自信につながるし、
性格も変わるものなんだなって、
その番組を観て思いました。
そういうことでわたしたちが毎日できるものとして、
コンシーラーでもシミが隠れたらうれしいわけですよ。
そんなことを最近しみじみ思ってたところでした。
- 茂田
- そうですよね。
- 伊藤
- わたしは、メイクアップアーティストの
草場妙子さんの影響がすごくて。
OSAJIでも「kokyu」という
オリジナルのラインをお持ちですよね。
彼女に相談して買い物をして、
それを使うのがほんとうに楽しいなと思っているんです。
「眉毛一つだけでこんな変わるんだ!」(*)とか。
-
*「ほぼ日の學校」の草場妙子さんの授業
「では、眉毛だけメイクしてみましょう。」
- 茂田
- 昔ってテレビタレントさんとかモデルさんとか
憧れの対象がいて、その人みたいになりたいっていう
メイクをしていましたよね。
それって日本では相当長いこと続いたなと思うし、
今の小学校高学年から中学校、高校生入り口ぐらいまでは
結構そうだったりするのかなとは思うけれど、
高校中盤ぐらいになると、結構自我を持って、
自分が似合うものとかを考えられてる子も多い。
そういうのって、結構、
草場さんが伝えたいことなんじゃないかなって思います。
それがすごく、いいなと思いますよね。
憧れに追いつこうとしてやるんじゃないメイク。
- 伊藤
- 理想をつくるんじゃなくて、
その人に合ったものを。
- 茂田
- そう。それが今やっと日本人にも
浸透してきた価値観っていうか。
なんやかんやね、先進国って言いながらも、
一番遅れているのが日本だと思います。
経済が成熟して、ちょっとゆとりを持って
人生を楽しむのがヨーロッパのひとたちだとしたら、
僕らはそこに行きついてない。
でもメイクに関しては、やっとそういうことを
肩の力を抜いてできる雰囲気になってきたんでしょうね。
OSAJIとつくったネイル
好きな色。
ダイニングの壁は、
スモークがかったグリーン。
リビングの壁の一部は、
ペールブルー。
長い間、自分が落ち着く色を探し続けた結果、
この2色に落ち着きました。
ふと、家の中を見回してみると、
大切にしているお皿や、
陶器のオブジェ、
ソファも、
それからソファの上に置いたクッションも、
みんな同じトーン。
服もまたしかりで、
白や黒、ネイビーの基本の色に
プラスされるのは、
スモークグリーンとペールトーン。
好きな色って、
自然と集まるものなのだなぁ。
今週のweeksdaysは、
OSAJIと作ったネイル。
夏だし、
明るい色もいいなぁ‥‥なんて思っていたけれど、
やっぱり欲しいのは、
好きな2色。
手に、足に。
今年の夏は、シックな色でまとめてみませんか?