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ごはんの時間。 伊藤まさこ

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[4]パインジュース

家の中を見まわす毎日。

今日は台所の棚という棚を拭きました。
重い鍋やボウルをどかして、
拭いたらまた戻す、
それの繰り返し。
なにも考えずに手を動かすうちに、
もやもやした気分から離れることができる。
しかも手を動かした分だけ、
台所だってきれいさっぱりになるんだから、
こんなにいいことはありません。

棚の奥から出てきたのは、
かつお節削りや大きなすり鉢。
ああ、旅先で気分が盛り上がって買ったんだっけ。
最近全然使ってないなぁ。
よし、もう少し手がとどくところに置くことにしよう。
新しい道具を発見したようで、
ちょっと得した気分。

‥‥するとそのさらに奥には、
パインの缶詰がふたつ。
そうそう、撮影用に多めに買っておいたの
すっかり忘れてた! 
「食材は持ちすぎない」
ふだんからそう心にちかっているのになぁ、と
ちょっと反省。

せっかくなので、
パインジュースを作ることにしました。

材料は2人分で、
パインの輪切りを4枚、
サイダー400ミリリットル、
ミントの葉っぱ3枚くらいと氷適量。
これをガーッとミキサーにかけたらできあがり。

グラスに注いでかざりのミントをさせば、
ちょっとうれしいドリンクに。

残ったパインは、ココナッツミルクとラムで
ピニャ・コラーダにでもしようかな。
いつもだったら友だちに、
「ちょっと飲みにおいでよ」
というところだけれど、
ここはぐっとがまん。
少し先のおたのしみにとっておくことにします。

ハーブの苦手な小さな子には、
ミント抜きにしてあげるといいでしょう。

ごはんの時間。 伊藤まさこ

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[3]ミートソース

ここのところ実家の母に毎日のように電話をしています。
車で30分ほどしか離れていないけれど、
今はちょっと遠い場所。
まさか会いに行かないことが親孝行になるなんて‥‥と
娘としては、さみしい気持ちでいっぱいですが、
母はいたって元気。
庭仕事をしたり、
縫いものをしたり、
食事のしたくをしていると、
「あっという間に、1日が終わっちゃう」んですって。
母を気遣って電話をしているつもりが、
逆に母から元気をもらう日々なのです。

さて、
昨日とおとといは、
材料も調味料も最小限の、
ささっとできるものにしましたが、
今日は、それにくらべると少し手間のかかる
ミートソースを紹介しようと思います。
とはいっても作り方はとても簡単。
応用が効くので、たくさん作っておくと重宝します。

大きな鍋に、オリーブオイルを熱し、
にんにくと玉ねぎのみじん切りを入れ軽く炒めます。
細く切ったにんじんとセロリを入れさらに炒め、
合挽き肉を入れて火が通ったら、
トマトピュレ(ホールトマトの缶でも)と
ローリエの葉っぱを入れ、
ぐつぐつ煮ること30分。
最後に塩とこしょうで味をととのえます。

作ったその日は、シンプルにパスタの上にのっけて、
クラフトのパルメザンチーズ
(パルミジャーノではなく、このクラフトのが気分!)
をかけていただきます。

トレーにセッティングすると、
ちょっと喫茶店風。
このあとコーヒーでも飲めば、
大満足のお昼ごはんです。

ソースの粗熱が冷めたら、
保存袋に入れて冷凍します。

ベシャメルソースと合わせてラザニアにしたり、
レッドキドニービーンズやスパイスを入れて、
チリコンカンにしたり。
同じメニューが続くと飽きてしまうし、
かといって毎回、ごはん作りに時間もかけられない。
そんな時に、この冷凍ミートソースは大助かりなのです。

母のミートソースは、缶詰のマッシュルームと、
ミートソースの中にさらにミートボールが入った
スペシャル版。
こっくり濃厚で、孫たちが大好きな味ですが、
そういえばいつも「作って!」と甘えてばかりで、
ちゃんと教わったことがないような‥‥。

今度、会う時は
一からきちんと教わらないとね。

ごはんの時間。 伊藤まさこ

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[2]ツナエッグトースト

こもり生活も2週間が過ぎようとしています。
そこで困ったことが発生しました。

私は太陽とともに目がさめる朝型。
それに反して娘は夜型。
休みの日など、
ほおっておくとお昼過ぎまで寝ています。

だんだんと夜更かしに、
そして朝寝坊になる娘を見ていて、
うーむ、どうしたものかと考え、
遅くとも8時には起きることを提案しました。

睡眠が足りなかったら、
その日の夜、早く眠ればいい。
ゴールデンウィーク明けまで続く長丁場。
どこかで区切りをつけないと、
このままダラダラしてしまいそう。
ともに暮らすのですから、
ルールはおたがい守らないとね。

その一方で、
よかったこともたくさんあります。
中でもうれしいのは、
朝、おいしいコーヒーを入れてくれるようになったこと。

ミルで豆を挽いている間に、
お湯を沸かし、いったん少し冷ます。
もう一度、沸かし、また冷ましてから、
粉全体にお湯をかけて‥‥。
コーヒー焙煎家の友人の言葉に忠実に、
ていねいにていねいに入れる娘。

私はというと、
ほかにいろいろすることがあるので、
いつも雑になってしまうのです
(だから味も雑)。

コーヒーを入れる娘の横で作るのは、
彼女の気に入りのツナエッグトースト。
焼いたパンの上に、
卵2個、ツナ缶をひと缶混ぜて焼いたものを
(これでふたり分の量)のせて、
仕上げに黒こしょうを振るだけ。
私が子どものころ、母が作ってくれたなつかしの味です。
卵にツナ缶。
ストックしてあるものでできるので、
きっと挑戦しやすいはず。

ポイントは、たっぷりのオリーブオイルをよく熱して、
強火で一気に焼くことくらい。
ひるまず、火を通しすぎず。
それだけ気をつければ必ずおいしくできあがります。

「今日はお腹空いているから、
ひとりでぜんぶ食べられる!」
というので、今朝は卵ふたつの大盤振る舞い。
「おいしい~」と言いながら、
ものの数分で平らげていました。

よかったね。

ごはんの時間。 伊藤まさこ

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[1]春キャベツの蒸し煮

家に1日いられる! 
一年のうちでも、そうなかなかなかったことが、
今では毎日のことになりました。

最初は、よし! いつもは作らない凝った料理にでも
挑戦するか、と思ったけれど、
そんな気持ちも最初の1週間でおしまい。
だんだんシンプルなものを欲するようになってくるし、
あんまり動いてないから、
お腹も空かないのです。

それでもせっかくのごはんの時間、
おざなりにはしたくない。
あまり手をかけずに、
でもおいしいものを。

今日、作ったのは春キャベツの蒸し煮。
ふかふかとやわらかい葉のキャベツは今が食べごろ。
作っている途中から、ちぎっては食べ、を繰り返しちゃう、
私の大好物です。

材料はキャベツとアンチョビとにんにく。
用意するのは、ふたができる厚手の鍋。
(厚手の鍋がなかったら、
火加減をやや弱くすれば大丈夫ですよ。)

キャベツは手でざっくりちぎります。
芯の部分もおいしいから、そのまま入れてしまいましょう。
鍋にキャベツを入れたら、
皮をむいてたたいたにんにくと、
アンチョビを入れて、水をほんの少々入れたら、
ふたをして蒸し煮にします。
焦げないように鍋の様子を見ながら、
キャベツがくたくたになるまで中火で約10分。

お皿に盛って、
黒こしょうとオリーブオイルをまわしかけたらできあがり。
アンチョビがなかったら、
塩だけでもじゅうぶんおいしい、春のごちそうです。

今夜は、この蒸し煮とサフランをきかせた
ホタイルイカの炊き込みごはん、
キャロットラペ、それから白ワイン。
きちんとテーブルセッティングして、いただきます。

明日は、私が子どものころ大好きだった、
トーストを紹介します。

イラストレーター/mitosaya 山本祐布子さんインタビュー

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東京っ子、
京都でイラストレーターになる。

──
とっても可愛いボトルが出来ました。
ありがとうございます。
山本
良い感じで出来上がりましたね。
──
ちいさなほうがフェイシャルトナー、
おおきなほうがボディゲル。
それぞれ香りが2つずつ。
山本
“Herbes”のほうは、
セージとかローズマリー、コリアンダー、
フェンネル、そしてレモン。
ちょっとさっぱりした草っぽい香りですね。
“Fleurs”は、ダマスクローズ、
ジャスミン、ラベンダー。
──
きょうは、山本さんの拠点である
mitosaya(みとさや)という
薬草園蒸留所にうかがっているんですが、
まさしくこの環境とイラストレーションが
ぴったり合っている印象があります。
「weeksdays」はもちろん、
「ほぼ日」でもはじめて組ませていただいたので、
山本さんがどんな方なのかを
おしえていただきたいなと思っているんですが、
mitosayaのウェブサイトのプロフィールは、
わりと短めにキュッと書かれていて。


イラストレーター/mitosaya株式会社 取締役
mitosayaでは、ボタニカルプロダクトの開発や、フード・ドリンク全般に携わる。マップのイラストレーションももちろん彼女によるもの。京都精華大学テキスタイルデザイン科卒業。切り絵、水彩画、ドローイング等いくつかの技法を使い、装丁、広告、プロダクトデザインなどに関わる。


東京生まれとお聞きしましたが、
大学は京都なんですね。
山本
はい、東京育ちです。
京都の大学は、
東京からは私ひとりでした。その時代は。
──
そこにしかない何かがあったんですか。
山本
高校生の時に学校案内を見て、
「ここなら自分がいられるかも」って。
ほんと“感覚”ですよ。
高校時代は東京の美大を目指していて、
たとえば、武蔵美の視覚デザインのような学科を
受験するつもりだったんです。
そこで予備校に行き、受験のための
デッサンの対策をしていました。
そんななか、ちょっと立ち止まっちゃう時が
あったんでしょうね、
東京にある大学に行くのではなく、
もう少し自分らしい道はないかな? 
と思ったんです。
そして「デザインって何だろう?」と考えた時に、
自分は手を動かすような、少し工芸的なことを
やってみたいんと思い直して。
そんなふうに視野を広げた時に、
四年制大学で人文もあって、
普通の学科も学ぼうと思えば学べて、
しかもテキスタイルデザインの
専攻がある京都の学校を知りました。
その頃はなかなか珍しいことだったんです。
そういう条件がパーッと目の前に並んで、
「私、ここかも」と、決めたんです。
──
東京の人には思い切った決断!
山本
(笑)そうですね、
何かピョーンと飛びたくなっちゃったんでしょうね。
──
大学生活は、楽しかったですか?
山本
はい、楽しかったです。
──
イラストレーションを描きはじめたのは?
山本
在学の頃からチョコチョコ落書きみたいのをしていて、
友達が少しずつ増えていった中で、
「ファンジンを作るからイラスト描いてほしい」と、
描きはじめたのが最初でした。
そういうのが京都でものすごく流行った時期だったんです。
──
そういう潮流があったんですね。
山本
「京都系」とか言われていました。
そういう渦の中に私も飛び込んで、
すごく楽しくみんなで本を作ったり、
イベントを開催したり。
京都に行ったことで、
人とのつながりが出来たんですね。
──
そこから,プロフェッショナルの道へ進まれたわけですが、
大学を出て、すぐに
フリーランスでやっていく覚悟をなさったんですね。
山本
はい。自分はこういう友達の輪の中で、
ひとりでやれるんじゃないかな? って
思っちゃったわけです。
テキスタイルの勉強をいかして
工業繊維会社に行くのではなく。
──
学生時代からお仕事もなさっていた?
山本
はい。学生時代は恵文社さんに
つくったカードを置いてもらったり、
包み紙を作らせてもらったり、
友達関係でチョコチョコ仕事をもらい、
活動をしていました。
卒業後は東京に戻ってきていたんですが、
京都とのつながりは残っていたんです。
──
京都に残るという選択肢は考えましたか。
山本
気持ちは、残るのも半分、帰るのも半分でした。
でもやっぱり東京っ子だったので、
ちょっと帰ろうかなって。
──
すごくざっくり言うと、そのまま仕事が増えていって、
今に至るわけですね。
山本
はい、卒業して1、2年目ぐらいかな、
編集者の方から本の装丁のお仕事をいただいて、
そこから、ドドドッと
いろんな仕事が舞い込んできて。
画業としては、それで20年間やってきました。

「絵」から「モノ」へ。

──
今回、「weeksdays」では
山本さんにOSAJIのボトルのデザインを
お願いしたわけですけれど、
そういうパッケージの仕事も。
山本
そうですね、コンスタントにというよりは、
単発でポーンポーンとですけれど、
こういった、自分の絵を図案として
モノにしていくっていうプロセスは、
何回か経験させていただいています。
──
イラストレーション単体ではなく、
どんなボトルにしようか、
全体のトーンから相談をさせていただきました。
山本
そうですね、私自身も絵を
絵として媒体で発表する以外に、
額縁に飾って大事に絵として見てもらう、
ということだけじゃなくて、
モノとして人が手に触れて使えるものになる、
というのは、学生時代からの憧れだったんです。
そういうものとしてのデビューはマッチでしたよ(笑)。
──
マッチ? 火をつける、マッチ?
山本
はい。甲斐みのりさんという、
文筆家としてご活躍の方がいらっしゃって、
その方と京都ですごく仲が良かったんです。
学生時代に彼女とちっちゃいブランドを立ち上げて、
その時にマッチを作ったのが最初です。
ほんとにつたない絵でしたけれど、
そのマッチが出会いになって、
いろいろなことにつながっていきました。
──
印象的だったのが、
伊藤さんと一緒にここに伺って、
さあどうしましょうという時に、
伊藤さんがお願いするというよりは、
山本さんが伊藤さんに
インタビューしてるみたいな感じで、
どんどん引き出していったことです。
「イメージは細かい絵? 太い線? ベタ塗り?」と、
細かく訊かれていましたね。
山本
限られた時間なので、
訊けることは訊いとこうと(笑)。
キーワードを全部自分の中に入れるんです。
──
ある意味アーティストにお願いするというより、
プロダクトづくりのチームのひとりとして
参加してくださった感じがすごくして。
山本
そうですね、わりとそういう立場で
仕事をすることが多いので。
自分がこうしたいからこう、というより、
ほぼ日さんらしさだったり、
まさこさんらしさだったり、
OSAJIの感じとかも含めた、
そういうチームの中に私がいて、
図案描き担当、みたいな、
そういう気持ちでやってました。
──
ほぼ日らしさって、
山本さんから見て、どういうことでしたか。
山本
いわゆるエッジーではなく、
分かりづらいこともなく、明快であり、
みんなが手に取って笑顔になれるような、
そういうプロダクトのイメージです。
──
いい言葉をありがとうございます。
山本
そう思うんです。
私、weeksdaysのファンで、
毎日のようにチェックしてますから!
──
嬉しいです。
じゃあOSAJIさんと伊藤さんと私たちと
話し合って決めたことは、
山本さんの中でそんなにずれていなかった感じ?
山本
ずれてなかったです。
まさこさんがけっこう委ねてくださったのも、
とってもやりやすかったです。
──
パッケージで悩んだことはありましたか?
山本
文字のからみを、ちょっと悩みました。
文字って、判読するためのものですから、
見えないと意味がない。
まさこさんからは、文字を絵の中に入れていいですよ、
と言われていましたが、
やっぱりものとして読めないと、と思って。
そして香りの違いをボトルでわかってもらいつつ、
統一感もないといけないかなと、
ここにたどりつきました。
──
“Herbes”のほうは風が吹いてるみたいです。
山本
そうなんですよ。
まさこさんがお話しされていた、
「薬草園を散歩してる時に踏みしめた時の香り」
そのシーンを思い浮かべて。
──
風景ではなく、
草をばらばらに描かれていますね。
山本
散歩する時に、草をちぎるじゃないですか、
これどんな香り? とか言って。
その葉っぱを、いっぱい手に持って、
最終的にはちぎれた草がワーッとなってるみたいになる。
そこから来ているイメージです。
フェンネルのちっちゃい先っぽを摘んで、
ああいい香り! って、
ポケットに入れたり何となく籠に入れたりして、
散歩の最後に残ったかけら、です。
──
そういうことでしたか!
山本
そんなイメージをスタートにして、
あんまり散らばさず、ちょっと整列させて描きました。
──
“Fleurs”は咲いている姿そのものですね。
山本
「モッコウバラがフワッと咲いている姿を
見上げた時に季節感を感じる」というキーワードを
まさこさんからいただいたので、
こちらはその時のフワッとした感じを、
感覚的なところで描いています。
まさこさんにピタッときたようで、よかったです。
──
言葉と絵が同じイメージでシンクロするのって、
すごいことですね。
そして、山本さんの説明も明快です。
山本
見れば伝わる、っていうことも、
もちろんあるんですけど、
でもやっぱり言葉でこうやって説明しないと、
合点がいかないこともあるじゃないですか。
だからなぜこうしたかということを、
常に自分の中に持っていながら描くということを、
日々、心がけているんです。

mitosayaの山本さん。

──
mitosayaのこともちょっとだけ聞かせてください。
すごく簡単に言うと、結婚した人が、
こういうことをやりたかったから、
一緒に始めた、ということなんでしょうか。
山本
そうですね(笑)。
蒸留所をやりたいと江口さん
(夫でありmitosayaのCEOである江口宏志さん)から
声がかかった時に、
私は基本的には絵を描く仕事を
やめないでいいんだったらどうぞ、
と言ったんです。
──
イラストレーションとの両立は、大丈夫でしたか。
山本
どういうふうにバランスをとればいいだろうかと、
そこは自分の中での戦いでした。
自分で決めないと完全に呑み込まれていっちゃう
状況だったので。
──
江口さん、人を巻き込みそう!
山本
そうです、そうです、
人を巻き込むのが得意なタイプです。
なので巻き込まれる部分と、
自分できちんとやりたいと思っていたことを
やめずにやるということを、
けっこう葛藤しながらやってた時期も
あったかなと思います。
どんどんmitosayaのほうが忙しくなってきた時に、
絵を描く仕事をやめちゃえば‥‥、と
考えたこともあります。
フリーランスだし、
「忙しいんで」って言っていれば
仕事も減っていくだろうから、
そうしていくべきなのかなって、
ちょっと決心をしかけた時もあったんです。
でも、絵を通じて貴重な出会いがたくさんあるので、
そういうのをなくしちゃうのは
私にとってあり得ないな、
ほんとに受けたい仕事だけをやっていこう、
というふうにちょっと匙加減をして、
舵を取りつつ、やっている感じです。
──
減らしたと言うよりは、
ほんとうにやりたい仕事を選ぶ。
山本
そうですね。
でも最近は「mitosayaでもお馴染みの」みたいに、
どっちかというとmitosayaの人としての認識のほうが
高いような気がしています。
若い方なんか特に。
でもそれはそれで私としてはよくて。
今って「私はこうです」と言っても、
「それ以外ではありません」ということって
ないじゃないですか。
やっぱり何であり何であり、何であり何である、
というところをうまくやってる人のほうが、
絶対楽しそうに見えるなって思うから、
──
実際、楽しいでしょうね!
山本
そうですね。なのであんまりそこで、
「いや違うんです、私は絵を描く人間です!」
みたいなことは言いません。
mitosayaでできることは精いっぱいやります。
──
ほんとうにすばらしい環境ですよね。
薬草園に住むなんて! 
ここで育つこどもたちや、
犬や猫が羨ましいです。
山本さんにもストレスがなさそう。
山本
そうですね。忙しかったり、
常に追われてるような感覚はあるんですけど、
ストレスっていうのは、私は、あんまりないですね。
──
もともとなかったのか、
ここに来てからなくなったのか。
山本
さあ、どうかなあ。
ストレスがあったとしても、
負けないですよ(笑)。
──
ああ、強い!
この商品もそういう個性になるといいなって思います。
是非お使いくださいね。
山本
ぜひぜひ! 楽しみです。
──
ありがとうございました。

香りと心。

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──
基礎化粧品も、メイクも、
香りの要素が大きくかかわってきますね。
茂田
海外では香りの効果の研究がずいぶん進んでいるんですよ。
ハーブはいわばヨーロッパの漢方みたいなものですからね。
たとえば「妊娠中の方は精油は控えたほうがいい」
というぐらい、香りはホルモンバランスをいじります。
──
香りで?
茂田
女性は経験があると思うんですけれど、
生理周期にともなって、
「いい香り」って感じる香りが変わるんです。
ホルモンバランスの加減で求める香りが変わるんですよ。
パティシエとか料理人に男性が多い理由って、
それが関係しているとも言われています。
そう、香りの感じ方が変わると、
「おいしい」と感じる香りも変わっちゃうから。
──
そうか。求めるものが変わる。
茂田
理解すれば全然いいんですけど。
──
OSAJIの香りは、健康な感じがします。
茂田
天然の香りって、なんども嗅ぎたくなる、
そういうところがありますよね。
合成の香りって、すぐ飽きちゃうんですけれど、
天然の香りって、いろんなものが複雑に混じってるんで。
──
色と一緒ですね。天然の色素って、
「赤」に見えても、数百の色が混ざって
「赤に見える」のだそうですね。
それが人の感覚に訴えると。
香りも、合成と天然で分かりますよね。
似てても違ったり。
茂田
違いますね。やっぱり奥行きが全然違いますから。
──
今回、伊藤まさこさんが
香りを決めたわけですが、
茂田さんは、開発者として、
それを客観的に見ているわけですよね。
上手にコントロールした部分はありましたか?
茂田
伊藤さんの香りのブレンドのとき、
僕、いつもいろんな発見があって面白いんです。
けっこう料理視点なんですよね、
伊藤さんの香りのブレンドの仕方って。
──
えっ?
茂田
料理を作るときのように
香りのイメージをするみたいなところがあって。
試作してるときのキーワードも、
以前のトラベルセットはフェンネルとレモンとか、
今回もクローブを使うとか。
たぶん料理を作るときのようにイメージをしながら、
香りの相性を考えてるんじゃないかなって。
──
「これとこれは絶対合うよね」っていうのが、
料理由来だったりするのかもしれないですね。
それは茂田さんにはない発想だった?
茂田
なかったですね。
僕も料理を作るのすごい好きなんだけど、
料理を作ることと化粧品を作ることって、
完全に自分の中で分離しているんです。
逆をいったら、そういうふうに考えたら
面白いですよねって気づかされました。
僕自身も、料理を作るような感覚で、
化粧品を作ればいいんだなっていうふうにも
ちょっと思えたりとか。
そうそう、東南アジアの方が面白いですよ、
香りのブレンドについて話すと。
──
身近なんでしょうか。
茂田
やっぱりハーブっていうのが
日常的なものとして存在してるからでしょうね。
必ず、家の片隅でハーブを育てていますよね、
東南アジアの人って。
──
料理にハーブを使いますしね。
茂田
パクチーも使えばレモングラスも使えばバジルも使う。
僕、鹿児島でハーブを自分たちで育てて、
そこから精油をとってヘアオイルを作ったり、
いろいろやってる人たち知ってるんですけど、
そこは奥さんがカンボジアの方で。
ハーブの育て方に関しては、
奥さんがやっぱりずば抜けてるんです。
「これを蒸留したら絶対香りがいい」という判断は、
全部奥さんの感覚に従ってるって言ってましたね。
──
教養ではなくて、身体的な何かのように思えますね。
たとえがずれますが、
輸入食材のスーパーに行ったら、
乳製品の種類がすごく多くて、
そういえばフランスに行くとそうなんですよね。
使い分けの勉強するのが半端ないなと思ってたんだけど、
逆に考えると、僕らお豆腐の種類、
あんなにあるのに使い分けられますよね。
絹はこう、木綿はこう、焼き豆腐はこう、
お揚げはこう、厚揚げはこう、湯葉はこうとか。
なんかベーシックに肉体に叩き込まれてるものって
強いなとそのとき思ったんですが、ちょっと似てます。
茂田
うん。
僕は、その感覚的、身体的なところと、
サイエンティフィックなことを
ハイブリッドするのが好きなんです(笑)。
ただただ感覚だけではやらないんですよ。
つまり「いい香りだなぁ」みたいなことだけでは
採用しないというか。
やっぱり、そのハーブが持っている
人の体に対する効果や作用を考えながら、
そこを一個のルールにして、ブレンドしたり、
組み合わせを考えています。
──
両方なんだ。じゃあ、今回でいうと、
伊藤さんが料理視点の感覚的なピックアップをした。
それを茂田さんは、自分の中にあるエビデンスを
しっかり持って採用した、みたいな、
そういうタッグを組んだって感じですか?
茂田
そうですね。
今回の伊藤さんとの取り組みは、
最初に、紫蘇を摘んで
ブーケを作ってきてくださって。
それを空間で振って、
「こういうのがやりたい」。
──
直前に、作陶家の島るり子さんの
岐阜のお家に行ったときに、
庭でいっぱい摘んできたんですよ。
その翌日が打ち合わせだったので、
そのハーブをそのままお持ちになったと。
そしてたしか「ハーブ園を歩いたときに、
足下から立ち上ってくる感じ」とも。
それは、茂田さんにとって、
けっこうな宿題だったんだ。
茂田
けっこうな宿題ですし、
どこまでそのニュアンスを現実にするか、
相当悩みましたよ。
ただ、ハードルが高ければ高いほど、
いろいろやりたくなっちゃう性格ではあるんで、
がんばりました。
厳密には、生で育ってるハーブと、
蒸留されて精油化されてるハーブとでは、
香りがちがうんです。
やっぱり蒸留される成分って、
植物が持ってる成分の中でも
限られた成分なわけです。
水溶性の成分は当然落ちちゃうし、
油溶性の成分だけを取りだしてるわけだから。
仮に紫蘇の精油って言っても、
紫蘇の葉っぱと同じニオイがするかっていったら
しないわけですよね。
だから、そこの絶対的な乖離はある中で、
どれだけ伊藤さんの言うニュアンスをね。
──
イメージに近づけるか。
茂田
難しいけど面白いなって。
──
エルブとフルール、ふたつの香りがありますが、
伊藤さんの説明どおりの香りですよね。
エルブは、薬草園を歩いていて、
ハーブを踏んだときにかすかに漂ってくる、あの香り。
茂田
うん。いいと思いますよ。
──
フルールは、ブーケですよね。
モッコウバラが咲いている季節が好きだという伊藤さんが、
それをブーケにしてプレゼントする瞬間をイメージして。
茂田
じっさいには、モッコウバラではなく、
ダマスクローズを使っていますが、
イメージは再現できたと思いますよ。
──
伊藤さんは、朝晩だけでなく、
日中も使うようなイメージでおっしゃってたんですけど、
実際どういう使い方がいいのかを教えてください。
茂田
日中なら、ミストは、メイクの上から吹きかけて
おさえてもらうっていう使い方がありますね。
定期的に水分を
補給してあげるっていうコンセプトですから。
100ミリリットルなので、国際線の機内にも
持ち込みができますね。
──
諸説あると思うんですけど、
メイクの上から使うと逆に乾燥を促す、
という説を聞いたことがあるんですけど‥‥。
茂田
市販のもののなかには、蒸発スピードが速すぎて、
逆に乾燥を誘発してしまうことが往々にしてありますが、
蒸発しちゃダメなんじゃなくて、
蒸発スピードが問題なんですね。
OSAJIの化粧水が高い評価をしてもらえるのは、
化粧水の蒸発のスピードがすごく遅いことです。
40度ぐらいの部屋に入れて、
何時間たったら何ミリへってるみたいなことを
計測しながら化粧水の処方開発をしています。
そして人の肌にとって一番ベストな
乾燥スピードを探って商品化してるんですよ。
たとえば天然水のミストのような商品は、
つけた瞬間は、当然しっとりしますけれど、
そのあとの乾燥スピードのことを考えると‥‥。
でも、夏に日焼けして火照った肌に
スプレーをしたいときは、
天然水のものは、使い道としてはすごくいいですよ。
湿度が高い夏は乾燥が遅いですし、
天然由来のミネラル成分が
日焼けした肌の炎症を抑えてくれる効果も
あると思うんです。
夏場、けっこう日焼けしても
温泉につかって帰ってくると、
意外と嫌なヒリヒリ感にならずに落ち着くでしょう。
そういう使い方としては非常にいいけど、
乾燥対策ではちょっと違うだろうなと。
湿度が30%を切ると、一瞬で水分が
蒸発していこうとしますから。
──
ボディゲルは、どういう使い方が一番いいんですか?
茂田
ボディゲルは、全身に塗ります。
乾燥したところに限らず。
お風呂あがり、できるだけ早くがいいです。
──
濡れてる状態?
茂田
濡れてる状態じゃないんですけれど、
お風呂からあがって、
タオルで拭いたらすぐに。
──
すぐ。
茂田
着がえてから塗るとかは、遅いです。
着がえてる間に、お風呂場で一回
体の中に吸収された水分が
すごいスピードで蒸発しちゃって乾燥させちゃうんで。
お風呂で自分の肌の中に入った水分が
蒸発する前に塗るっていうのが、
圧倒的に効果が最大限になる使い方です。
──
じゃあ、寒い脱衣所とか良くないんですね。
茂田
そうなんですよ! 
高級なボディケアをするよりも、
脱衣所に加湿器を置いてください。
お風呂場の中はメッチャ湿度高いですから、だけどそこから脱衣所に出た瞬間に急に湿度がドーンって下がって、
一気に蒸発するわけですよ。
──
それ、一番良くないですね。
茂田
だから、脱衣所の湿度を上げる。
──
ヒートショック対策で、
温度ばっかり言われるけれど、
湿度も大事なんですね。
茂田
脱衣所の湿度を上げておくだけで、
肌が乾燥して痒くなるぐらい気になる人に
効果がありますよ。
そして脱衣所に出て、軽くタオルで拭いたら
すぐに保湿ゲルを塗ってください。
──
もったいない使い方かもしれませんが、
顔用のミストを全身に浴びてから、
保湿ゲルを塗るのはどうなんでしょう。
茂田
厳密には、やったらやったに
こしたことはないというのが正直な答えですけれど、
フェイシャル用とボディ用で分けましたので、
それぞれに使っていただければ。
逆に、ボディ用を顔に塗ってもいいんですが、
ニキビができやすい人は、
ちょっと注意したほうがいいかもしれないです。
顔とか頭皮っていうのは、皮脂量が多いのに比べ、
体っていうのは皮脂量が少ないので、
それを前提に保湿剤の量を決めてるので。
顔がけっこう皮脂が出やすい人とかだったりすると、
ニキビの原因になるアクネ菌のエサが増えすぎちゃう。
逆に、皮脂が出にくい人だったら、
顔に使っていただいて大丈夫です。
──
ありがとうございました。
いいものができて、ほんとうにうれしいです。
茂田
こちらこそありがとうございました。

ハンカチでマスクをつくろう。 伊藤まさこ

未分類

何度も水を通したハンカチは、
顔に馴染みやすく、
縫いやすいところがいい。
マスクをイヤがる小さな子も、
気に入りの柄で作ってあげたらきっと喜ぶはずです。
ざっと縫っただけなので、
用がなくなったら縫い目をほどいて、
またハンカチに戻すことも可能。
(早くそんな日が来て欲しいですね。)

用意するもの

・ハンカチ
・ゴムひも(ない場合は耳に負担のかからない素材のテープや靴ひもでも)
・縫い糸/針/はさみ

[1]

ハンカチを半分に折り、
自分の目の下から顎の少し下
(1.5センチくらい下がめやす)の幅に、
さらに折ります、
(この時は縦が14センチにしました。)

[2]

端と端を合わせて、
端から5ミリくらいのところを、
並縫いします。
はじめと終わりは、
何度か返し縫いして、しっかり止めましょう。
(縫い目は、あとで見えなくなるので、
少々ヘタでも、ぐちゃっとしていても、大丈夫!)
糸は2本どりにするとしっかりします。

[3]

縫い代をアイロンで割り、
表に返しゴムを通します。

[4]

ゴムの端を結びます。
(結び目は中に入れると、
つけた時にきれいです。)

[5]

一度、試着をして、
あごのところが浮いてくるようだったら、
浮いた部分を内側からつまんで
一カ所縫い止めます。

[6]

できあがり。
鳥の柄のハンカチは45センチ角、
ゴムの長さは28センチ(×2)にしましたが、
ハンカチのサイズや、顔の大きさなどに合わせて、
臨機応変にサイズを調整をしてみてください。

ストレスと肌。

未分類

──
茂田さんがOSAJIを立ち上げたきっかけについては、
以前、伊藤まさこさんとの対談のなかで
教えていただいたことがあります。
お母様が交通事故に遭われて、
その後遺症で顔や身体に湿疹ができ、
いままで使っていた化粧品では
炎症を起こすようになってしまった。
それで、肌にやさしい化粧品をつくろうと思い立ったのが、
OSAJIにつながっていったんですよね。
いま、茂田さんは、
視覚障害を持った方のための美容など、
そういう活動をされていると聞きました。
つまり鏡の中に、自分の顔は見えないけど‥‥。
茂田
見えないけれど、指の感覚で
自分の顔にフルメイクをするっていう
「ブラインドメイク」っていう技法を
編み出した人たちがいるんです。
ホントに目から鱗ですよ。
実際、視覚障害を持った方が、
自分でメイクをすることによって、
社会に出ていけるきっかけになり、
恋をして結婚する人もいる。
協会の理事長は全盲の方で、
彼女もブラインドメイクで人生がかわり、
結婚するところまで至ったんだといいます。
ある時期から視力を失った方というのは、
その時からお化粧ができなくなるわけですよ。
そうすると、怖くて当然外に出られなくなる。
だけど、自分たちの感覚でメイクができるようになると、
「どう? 変じゃない?」「似合ってるよ」と、
周りの人たちとのコミュニケーションのきっかけになり、
自分はちゃんとメイクができてるから外に出られる、
そんなふうに思えるようになるんです。
すごく素敵な取り組みでしょう?
いまはデバイスに音声読み上げ機能があるので、
メールもLINEも、全盲の方とのコミュニケーションに
使うことができるんです。
──
すごいって思いました。
茂田
そんなことをやっていると、
化粧品のこれからのあり方って、
だいぶ変わってくるなと思えるんです。
さらに、その関連団体で、
化粧とメンタルヘルスの関係を研究しているところがあり、
例えば認知症の人たちが化粧することによって
進行を少し遅らせられるのではないか、とか。
口紅を塗るだけで、脳の萎縮スピードが
遅くなるんですよ。
──
えー、すごい。
茂田
ホントに、ホントに。
──
あれは『レナードの朝』だったかな、
原題が『Awakenings』っていうタイトルの映画で、
原作はオリバー・サックスの医療ノンフィクション。
ロビン・ウィリアムズがお医者さんで、
ロバート・デ・ニーロが何十年寝て起きなかった患者さん。
そういう人がいっぱいいる病床に、
新薬を投与すると、彼らが目覚めるんです。
そうすると、若い頃昏睡におちいり、
何十年も寝ていた女性は、
目覚めたらおばあさんになってる自分を発見して、
たいへん落ち込むんですが、
お化粧をするシーンがあるんですよ。
そのときの、喜びの顔。感動的でした。
もちろん女優さんの芝居ですけれど、
ほんとうにそうなんだろうなと思って。
茂田
そうなんですよ。
──
キレイでいることって、
ものすごく大事なんだなと思ったんです。
茂田
脳科学者の茂木健一郎先生の著作に
『化粧する脳』というタイトルの本があるんですが、
他人のメイクのビフォーアフターを見ても
MRI上で脳の変化は何も起こらないんだけど、
自分のメイク前・メイク後の写真を見ると、
興奮作用が発現するらしくて。
──
ワクワクしたり、ドキドキしたり、
いいなって思ったりする気持ちが
身体に訴えかける刺激は、
人のを見るより、自分が変わるほうが、
ずっと大きいってことですね。
茂田
それが鏡を見るっていう習慣の大事さという話に
繋がってくるんです。
鏡を見て自分の変化を日々見ることによって、
脳の活性が全然変わるという研究なんです。
──
それはきっと女性だけの話じゃないですよね。
茂田
男性は髪型をセットする前とセットした後で
同じような傾向があるらしいですよ。
──
OSAJIさんは、メイク系のラインナップもありますが、
もとはスキンケアですよね。
茂田
そうですね。僕はずっとスキンケアの開発をしてきたので、
OSAJIもスキンケアが中心になっています。
──
いちばん最初に作ったのは‥‥。
茂田
化粧水と保湿ゲルです。
──
まさしく、今回の「weeksdays」のラインナップですね。
その開発にあたっていちばんポイントになったことは、
どういうことだったんでしょう。
茂田
究極的に肌トラブルを起こしたときって、
アブラが大敵になるんですよ。
経皮吸収されてしまって、
免疫系に働いちゃうんです。
経皮吸収されなかったら
免疫細胞にふれないんでいいんですけれど、
経皮吸収されるとどうしてもリスクが高まる。
──
何でも経皮吸収するんですか? 人間って。
茂田
すごくざっくり言うと、
基本的には人の体っていうのは、
水に対するバリア膜なんです。
だから、水ははじくけど、
アブラは馴染んでしまう。
だから、水溶性のものであれば
基本的に通過しないんだけれど、
油性のものだとバリアを通過してしまう。
極端な皮膚疾患を起こしてる状態では、
アブラ系のものだと悪化させちゃうので、
完全に油性の成分を一切使わないっていうコンセプトで、
最初の、母親のための化粧品を作りました。
だから「クリーム」じゃなくて、
「保湿ゲル」だったんですよ。
──
つまり、水分ははじくけど、そのはじく水を
皮膚の上にどれだけとどまらせておくか、
っていうことですか。
茂田
そうですね。
で、また不思議なもので、
人の細胞っていうのは、
再生していくプロセスの中で、
絶対に水が必要なんですよ。
細胞が機能として壊れてしまってるところを
再生させるためには、やっぱり水の力が要る。
水が届くエリアは決まってるんだけれど、
そこに水を満たしてあげることが重要なんです。
──
そういうことですか。
はじいちゃうのになって、、
半分疑問に思いながら聞いてたんです。
化粧水と保湿ゲルの役割は全然違うんですか?
茂田
角質層って角質細胞が15層ぐらい重なってて、
健康な肌の人だと上の五層ぐらいまでしか
化粧水が届かないんですね。
その下っていうのは完全にガッチリとした
バリアが働いてくるので。
その5層に水を馴染ませてあげることが
けっこう重要なケアなんです。
そこに水をしっかり馴染ませてあげることによって、
細胞がキレイに整列しなおして、
本来のバリア機能を呼び起こす。
ただ、水を一回吸っても、
急激なスピードで蒸発してしまうと、
より悪化するんですよ。
──
よく、水が乾く段階で肌が荒れると、
聞いたことがあります。
茂田
そうそう。
ただ、絶対蒸発しちゃいけないんじゃなくて、
速いスピードで蒸発してしまうと肌が荒れる方向にいく。
けど、ゆっくり蒸発するプロセスの中で
細胞が再整列するっていうロジックもあって。
だから、水を吸わせてあげるのは化粧水の役割だけど、
それをゆっくり蒸発させるプロセスのために
保湿ゲルというものが役割を果たす。
──
そういうことですか!
茂田
化粧水にも、当然、
ゆっくり蒸発するような保湿剤を入れて
処方設計をするのだけれど、
さらにそこに保湿ゲルを塗ってやることによって、
よりゆっくり蒸発するようになるんです。
──
ということは、ダブルで使うほうが良い?
茂田
ダブルで使うことは、
すごくメリットが高いです。
今回は、化粧水がフェイシャル用、
ゲルがボディ用ですから、
それぞれで使い分けていただくことで
じゅうぶんな効果を発揮しますけれど、
ボディには、重ねて使っていただいても大丈夫ですよ。
──
顔とボディって、
やっぱり違う肌だと思ったほうがいいんでしょうか。
茂田
実際、角質層の厚さという意味では、
顔は薄くて、15層もないんです。
それは外的要因で少なくなってるのか、
生態学的にもともと少ないのか、
微妙なところではあるんですけれど。
一説には、紫外線を浴びるからターンオーバーが速くなって顔の角質層というのは薄くなるという言い方もあるし、
毎日顔を洗う習慣があると、
それに伴って当然薄くなっていくっていうふうにも
考えられています。
──
どこからが「顔」でしょう。
首は身体に入りますか。
茂田
顎の付け根ぐらいからが顔ですね。
──
じゃあ、あんまり顔を洗わない文化の人たちは
厚かったりする?
茂田
厚かったりします。
そういう人たちは基本的に全般的に厚いです。
顔だけじゃなく。
あと、角質層って不思議なもので、
乾燥状態にさらされると厚くなるんですよ。
だから、いっとき「肌断食」というトレンドも
世の中にはありましたね。
肌を強くするために、一切スキンケアをやめるという。
──
えっ、それは正解なんですか?
茂田
半分正解で半分間違ってます。
実際、乾燥状態にさらされると
角質層っていうのは厚くなって強化されるんですよ。
そういう意味では正解です。
ただ、角質細胞っていうのは灰色なんですね、
だから見た目上は、
角質層が厚くなると自ずと顔が灰色側に寄る。
──
くすむ。
茂田
だから乾燥状態にして角質層を厚く、
バリア機能を強化することは当然できるんで、
それは事実だし、
健康面でいったら異物の侵入も
防げるようになるからいいんだけれど、
角質層が厚くなることによって
顔色は灰色になってくるからくすんでしまう。
だから、良し悪しみたいな。
──
茂田さんは、勧めますか? 肌断食。
茂田
土日だけやめてみる、とかは勧めます。
例えば、外に出かけなくてもいい週末だけ、とかね。
──
そうか、紫外線を浴びない日。
茂田
そう。今日は一日家にいるって決めこんだ日だったら、
一切やめてみるとかっていうのはありだと思いますよ。
その人の肌の状態にもよりますけれど。
──
甘やかしちゃうのかな? 
丁寧に丁寧にしてばっかりいると‥‥。
茂田
そういうことです。
いわゆるホメオスタシーっていうやつで、
熱ければ汗かいて体温を下げようとするのと
同じなんですよね。
乾燥状態にいたら乾燥から体を守るために
角質層を厚くして、
自分の体の水分保持能を高めようとするっていう、
体の恒常性がなすワザ。
──
化粧って、考えたら不思議な文化というか、
原始的なころからずっとあったわけですよね。
肌にいいかどうかっていうと、どうなんですか? 
お化粧って。
茂田
化粧をすること自体は、
肌にいいか悪いかで言ったら、良くはないですよね。
──
だけど、さっきおっしゃったような精神的なものや、
コミュニケーションにおいての何かとか、
それを補ってあまりある効果が
あるんだというふうに見えますよね。
茂田
うん。例えば、メイクをして精神的に充足されれば、
バリア機能が高くなるという論文も出ているし。
逆に、過度なストレスがかかると
バリア機能が落ちるという論文も出ているし。
そういう意味では、精神と肌の機能の連携っていうのは
常にありますから。
──
まず肌に出ますもんね。化粧しない男性だって、
ストレスが高かったり、あまりに忙しい日が続くと、
大人なのにニキビができちゃったり
荒れたりしますからね。
茂田
そういうとき、一番最初に起こる現象は
肌表面の菌のバランスが崩れることなんですよ。
──
肌表面に、菌、いっぱいいるんですよね。
茂田
いっぱいいます。腸内細菌と同じで、
最近、乳酸菌で腸内細菌を整えよう、
みたいなのが増えてるけれど、
例えば、コロナの影響で外出できなくなります、
家の中にいます、ストレス溜まってきます――、
そうすると、まず腸内細菌が乱れる。
腸内細菌が乱れたことによって
免疫力の低下に繋がっていく。
──
そうすると、外敵に弱くなる。
茂田
弱くなる。肌も全く同じで、
まずストレスを感じると
菌のバランスが崩れてきて、
肌は全体的なバリア機能が落ちてきて、
そうすると異物の侵入がブロックしづらくなり、
肌荒れを起こす。
──
なるほど、悪循環におちいるんですね。

OSAJIのミストとボディゲル

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1日のはじまりと、おしまいの合図。

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朝と夜、ボディゲルを全身にぬります。
首からはじまって、背中、腕、手の甲‥‥
最後は、かかとをぬったらおしまい。

時間にしたら5分と少しですが、
この時間は私にとって、
1日のはじまりと
おしまいの合図みたいなものになっています。

日中、ちょっと気分を変えたい時は、
ミストをひと吹き。

ボディゲルも、ミストも、
私の1日になくてはならないもの。
気分転換と肌の保湿が一緒にできちゃうなんて、
いいでしょう?

今週のweeksdaysは、
OSAJIと作ったボディゲルとミストをご紹介します。

かおりは、ふたとおり。
そのイメージにぴったりな、
容器のイラストを描いてくれたのは、
すてきなあの人。
コンテンツをどうぞおたのしみに。

幸せじゃないって思ったら。

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松原
わたしが、今いちばん、
これがあると便利って思っているのは、
キャミニッパーっていうものなんです。
ブラキャミソールは
ブラジャーがついてるじゃないですか。
キャミニッパーは、ブラジャーがついてなくて、
着けているブラジャーを持ち上げて、グッとなるの。
どんなブラジャーでもいいのね。
例えば、先ほど見せていただいた
ふんわり胸にのせるタイプの黒のブラジャー、
あれだけのものはまだ勇気がいるっていう人は、
たくさんいると思うんですよ。
もう少しきっちりしてないと、落ち着かないっていう人。
そういう人のためにいいですよ。
それと、よぶんなお肉も出てきたら、
それをなんとかして欲しいでしょ? 
それも補整してくれるんです。
伊藤
へえ! 
松原さん、そんなふうに、
「これもあるといい」という下着はありますか。
松原
赤。
赤は、持ってたほうがいい。
伊藤
赤! なぜですか?
松原
元気になるでしょ? 勝利の色ですよ。
赤いパンツは元気になるって言うでしょう、
絶対、ほんとうだと思います。
体温が上がりますもの。
私は、なにかを迷ってる人を
元気にしてあげたいときに、
勧めてきました。
伊藤
ブルーグレーとか、水色とかしか持ってないんです。
松原
ブルーグレー、すごくおしゃれですね。
でもね、洋服とはちがい、
下着は制約がないんですよ。
もしかしたら伊藤さん、
赤い下着はお似合いにならないと
思っていらっしゃるのかもしれないけれど、
赤にもピンク系とオレンジ系があるでしょう? 
きっと似合う赤があるはずです。
伊藤
1枚持っていれば、
きょうは元気がないな、
でも元気ださなきゃ、っていう日に、
着ければいいんですね。
松原
そうです、そうです。
お正月に私は赤を着るんです。
伊藤
じゃあ、買いに行きます!
松原
パーソナルカラー診断というのがありまして、
その人の肌、目、髪の色をみて、
似合うトーンを探すんです。
そうすると、赤でも、
似合う赤があることがわかりますよ。
伊藤
あなたはこういうタイプの色ですよ、
ていうことを教えていただけるのかしら。
松原
はい。お近くのデパートで、
やっていると思いますよ。
伊藤
自分の色、知りたいです。
松原
わたしは、ちょうど70歳になった時、
70歳ってなんの色だろうと考えて、紫だと。
それでパーソナルカラー診断で、
似合う紫の下着を買ったんですよ。
伊藤
今日、伊勢丹に行く用事があるんです。
友人が大病を患ってしまい、
「元気を出したいから、
買い物に行くの付き合って」って。
じゃあ洋服見に行こうよ、と言って、
みんなでワイワイ、4人で集まるんです。
そこで探してみようかな。プレゼントも。
松原
病気になったら、元気が出る色を
つけるといいですよ。
伊藤
ね、そうですね。
松原さんのご出身だから言うのではありませんが、
伊勢丹新宿店って、
どうしてあんなにおもしろいんでしょうか。
松原
品揃えの土台がしっかりとできていると思うんですね。
伊勢丹時代、販売員も楽しかったですよ。すっごく。
わたしは今、1カ月のうちに、
ただ飲むだけのグループが
3つもあるんです。伊勢丹のつながりで。
伊藤
楽しそう!
松原
いい時代を過ごさせていただきました。
伊藤
20歳の娘もしみじみと、
「伊勢丹って違うよね」って。
松原
ほんとうですか? わあ、それは嬉しいな。
伊藤
たまにひとりで行くそうなんですが、
上のハイブランドの階は怖いから、
遠くから見てるんですって。
それでもすっごい楽しいって。
松原
楽しいですよね。
ああ、嬉しい。
さて、みなさんからのご質問はあるかしら?
山川
はい!
伊藤
はい、ミチコさん。
山川
「寄せて上げる」だけじゃなく、
補整下着ってありますよね。
試着でそういうものをお勧めされるんですが、
やっぱりそういうふうに整えることが
体にとっていいんだろうな、
だからオススメしてくださるんだろうな、
って思っていたんです。
松原
身体にとって良い、というのではなく、
これを着けることによって
より美しくなると提案したのかと思います。
下着は大きく3つに分類されるんですね。
ファンデーション、つまり基礎下着。
ブラジャー、ガードルなど、
ボディラインをうつくしく整えるもの。
ランジェリー、つまり装飾下着、
これはスリップやキャミソールですね、
洋服のすべりを良くします。
そしてアンダーウェア、肌着。
シャツやショーツですね。
保温、汗を吸収する、体温調節をするもの。
ファンデーションは、着用することにより
多少の補正はされますが、
強力な補整下着としては
「ブラデリスニューヨーク」
というブランドがあります。
山川
松原さんも「寄せて上げる」を勧められるのかと思ったら、
「ユニクロのブラキャミでもいいんですよ」
っておっしゃってたんで、すごくびっくりして。
松原
もう、全然ブラキャミでもいいんです。
ただブラキャミの楽さに慣れてしまうと、
ブラジャーがきつく感じたりして、
洋服によっては胸をきれいに見せられない。
さきほども話しましたように、
ストレスを感じない下着と、
洋服をより美しく見せられる下着、
このふたつは必要だと思います。
そうすればバリエーションも広がるし、
素敵なファッションライフが楽しめますよ。
──
なんか堕落の象徴みたいに
言う人、いますよね。
胸をなまけさせるから、
ブラキャミはダメですよって。
松原
すごくしっかり押さえてないと、
ダラダラしてくる感じがするんでしょうね。
伊藤
でもさ、誰に見せるわけでも
なくなってきますよね(笑)。
松原
そうそうそう。
伊藤
だから、楽なほうがいいと、私は思う。
松原
そうですよね。
夜もブラジャーをつけましょうっていうので、
夜用のブラジャーもあるんですが、
そんなに激しく動いてるわけではないので、
絶対に必要だとは私は申し上げていないんです。
伊藤
マラソンなどの運動では、
固定したほうがいいと言われていますよね。
松原
その通りです。
胸って筋肉ではなく、
クーパー靭帯というもので支えているんですね。
走ったり、激しい運動をして胸が揺れると、
それが切れてしまうと言われているんです。
寝返りを打つだけで、これが切れちゃうというのは、
ある程度の年齢をいった人ですね。
これも38歳を境に考えていただければ。
伊藤
じゃあ逆に、40代以降は、
寝る時にも、つけてたほうが‥‥。
松原
たしかに、安全ですね(笑)。
そうそう、どうして海外、
とくに欧米では「寄せて上げる」が少ないかというと、
私たちは、脂肪が柔らかいから、
寄せて上げてるブラジャーでも、合うんです。
むこうの人たちっていうのは、
寄せて上げてブラジャーが必要なかった。
伊藤
硬いって言いますもんね。
松原
私たちは好きな胸の形ができるから、楽しめます。
寄せて上げるよ、とかね、いろんなことを言って。
伊藤
柔らかいんですね。
松原
でも、ほんとむこうの人たちは、
ゴムまりみたい。
日本でたくさんの機能性ブラジャーができたのは、
そういうベースがあるからなんでしょうね。
先ほど拝見させていただいた
「胸にのせる」ブラジャーが、
むこうで流行るっていうの、よく分かりますよ。
でも、脂肪体質の胸でも、着けてみると、
やっぱりそれなりにきれいだから、
着ければいいと思うんですよ、ほんとに。
ちょっとくらい見えてもね(笑)、
これでいいんだって。
ほんとにね、「ああ、いい女になったな」って、
自分が感じればいいんですよ。
絶対、感じるときがある。
その70歳の方だって、ほんとに輝きましたよ。
あ、素敵! って思いました。
やっぱりあれですよ、幸せじゃないって思ったら、
いい下着を買おうっていう、その気持ち(笑)!
伊藤
ほんとう! 
松原さん、今日、相談ができて良かったです。
ありがとうございました。
勇気をもらえる方が、
読者にいっぱいいる気がします。
松原
ほんとに? 
こちらこそありがとうございました。

アバウトさがないと、エレガントさが出ない。

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伊藤
「weeksdays」は実際の店舗展開をしていないので、
試着をしていただくことができないんですね。
厳密な試着は必要がないように
サイズ展開や着け心地を考えて
つくっていますけれど。
松原
いい下着って、見た瞬間、
「ああ、着けてみたい」って思いますよ。
これを着けたら、肌ざわりよく、着け心地も良いって
感じられるものです。
肌着には、2つのパターンが必要だと思うんです。
ひとつは、第二の皮膚のようにストレスを感じさせない下着。
ふたつめは、洋服をより美しく整えられる下着。
ひとつめは通販で、
ふたつめは試着してから購入するのが
いいと思うんですよ。
伊藤
このアイテムは「ひとつめ」ですね。
でも自分に似合う下着を見つけるには、
信用できる販売員さんのいるところに
出かけてみよう、っていうのは、
アドバイスとして、お伝えしたいことですね。
下着売り場に行くって、なんか楽しいことだよって。
映画を見にいくような感覚で。
「これはどうですか?」って勧めていただいたら、
意外に似合ったりするんですよね。
自分はこうって決めつけてたんだな、
おもしろいなあ、って。
松原
そうそうそう。下着に関しては、
みんな保守的なんですよね。
私だって、黒、白、ベージュがあればいいじゃない、
っていうのは、保守性のひとつかもしれません。
もういっそね、ふんわりのせるタイプの
高級な黒のブラジャーが、
通販だったら1万2000円ぐらいであったら、
とってもいいと思うんですよ。
伊藤
それは、高いほうですよね。
松原
そうですね。
6000円というのが、めやすのひとつですから、
1万2000円のブラジャーは高級品です。
今、わたしが、日本のブラジャーで、
これはいいじゃないかと思っているのは、
ワコールの「ディア(DIA)」。
1万6000円からなんですけれども。
最初の頃にくらべて、寄せて上げる感が、
ちょっとずつ出てきているような感じがしますけれど、
それでも、すばらしいと思っています。
伊藤
胸があると、
やぼったく見える服もあるんですよね。
松原
あります、あります。
日本では、ちっちゃい胸が好き、
って人は多いですよ。
伊藤
そうだ、松原さん、このまえ伊勢丹で、
このドレスを買ったんです。
食事に行くとき用なんですが、
胸元が、すごく開いているんですよ。
松原
向こうの、なんていうんでしょう、
アカデミー賞の授賞式に出るかのようなドレスね。
伊藤
着る機会があるかどうかじゃなく、
これが自分のクローゼットに準備されている、
って思うだけで、すごくうれしいんです。
松原
それこそがおしゃれよ。
伊藤
いっしょにチェリーの香水も買って、
もうほんとうに楽しくて。
でも、下着に迷って、買わなかったんですよ。
今日、松原さんに、どんな下着をつけたらいいのか、
お聞きしようと思って。
松原
これは、確かに‥‥。
伊藤
大人すぎます?
松原
伊藤さんはじゅうぶん大人よ。
伊藤
このドレスは、
寄せて上げてしまうと、似合わないように思います。
松原
そうですね、
いっそ一枚で着たらいいと思います。
下着をつけずにね。
伊藤
やっぱり! わたしも、
一枚で着ようかなと思っていたんです。いっそ。
松原
すごく素敵。
そうね、たとえばきれいなレースの下着が
見えてもきれいだと思うけれど、
あえて、着けないほうがいいと思いますね。
──
ええっ。見えちゃいませんか。
こう、ウェイターさんが来たときとか。
伊藤
わたしの胸なんか見ないと思うよ(笑)。
松原
アラ、見るかもしれないわよ? 
でもあえて、
そんなのへっちゃら、って思っているくらいで、
いいんじゃない?
チラッと見えたって、なにがっての。
むしろ、素敵だと思うな。
伊藤
ありがとうございます(笑)。
松原
ほんとよ(笑)。
伊藤
チラっと見える時、ありますよね。女の人でも。
そういうとき、素敵だな、
カッコいいなと思いますもの。
松原
私もそう思います。
そのぐらいのアバウトさがないと、
エレガントさって出ないような気がするんですよ。
伊藤
!!! 
その言葉、心にメモしておきます。
「アバウトさがないと、エレガントさが出ない」。
松原
たしかにね、
寄せて上げることが必要なときも、あるんです。
70のアンダーをお求めの社長さんも、
きっと、キチっと洋服を着て、
プレゼンをするんだと思うんですよ。
ちょうど、社長業をやり始めたばかりの頃でしたし。
でもね、その人も、きっと数年したら、
エレガントなソフトなブラジャーを
お求めになるかもしれない。
やっぱり、下着は、心ですね(笑)。
伊藤
下着で、仕事への情熱を
奮い立たせているのかもしれないですね。
松原
そう。もう一番最初に肌につけるもので、
「さ、行くぞ!」っていう感じでね(笑)。
そういう気持ちに近い部分って
あるんじゃないかと思いますよ。
下着って、絶対に。
伊藤
自分に一番近いものですもんね。
松原
肌に近いし、心に近いし、気持ちにも。
伊藤
ね、ほんとですね。
松原
ほんとに、奮い立たせるものだと思って。
それから、思い出深いお客様でね、
その方は70歳ぐらいで、
ご主人様が亡くなられて。
ひとりになって、あらためて洋服を着たら、
介護がたいへんでいらしたのでしょうね、
ほんとにもう、これじゃあ
外に出られないわっていうぐらいに、
痩せて、貧相な自分がいたんですって。
「もうどうしていいかわからない」と、
伊勢丹にいらっしゃったんです。
その時、かつて着ていらした
ニットのワンピースをお持ちになったんです。
「この洋服をもうちょっときれいに着たい」と。
私もどうしていいかわからないくらいだったんですが、
よし、おしりを作ろうと。
ヒップパッドをおすすめしました。
ニットのワンピースは、
ふわ~っとした感じのものじゃなくて、
ちょっと体の線が出るものだったので。
考えてみたら、もう70歳で、
そんなのつけるの嫌かな? と思ったんですけど、
その方は、とっても素直に聞いてくださって、
ヒップパッドと、それから、
ブラジャーにちょっとパッドが入ったもの。
そうしたら、そのニットのワンピースが
きれいに生きたんですよ。
伊藤
わぁ!
松原
そしたら、その方、みるみるうちに、
鏡の中の自分を見つけて、
喜んで帰ってらっしゃいました。
ですから、やっぱり、私たちは提案するだけでね、
決めるのはお客様なんだ、と。
伊藤
お金を払うのも、自分ですしね。
松原
ただ、お洋服の場合は、
「ああ、絶対、それ素敵。絶対いいですよ」
なんて言われたら、
「ほんとにそう思う?」なんて言ってね、
「そうかなぁ。うん。買っちゃおうかな」
なんて思うじゃないですか。
でも、下着の場合は、
その人が、ほんとに納得しないと、
お買い求めになりません。
そういうことだと思います。
背中を押す仕事だと。
先ほど言いましたように、
下着にはふたつのパターンがありますでしょ?
伊藤
通販でOKの、ストレスを感じさせない下着と、
ぜひ試着をしたい、洋服をうつくしく整える下着ですね。
松原
試着をおすすめするメリットは、
狭い試着室の中で
ひとつひとつ身に付けていくことによって、
自分の胸が高くなったり、
ウエストのくびれが見つけられたり、
腋の下やおなかまわりの贅肉がおさまったりするのが
自分で確かめられるでしょう? 
それは、忘れていた喜びのようで、
試着室から出てこられる時は、
目、顔は無論のこと、
身体全体が輝いています。
自分で確認し、自分で納得できるんです。
伊藤
逆にいうと、冒険できるのも、下着ですものね。
松原
そうです。
伊藤
自分を変えたい時に。

心で選び、心で着る。

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松原
サイズのことで、
伊藤さんにお話しようと思ったことがあるんです。
これ全部、私のものなんですけれど、
サイズ、ずいぶんちがうでしょ?
伊藤
ほんとうですね。
松原
なぜかっていうと、
サイズは、目安だから。
数字にしばられないでね、
という意味ですけれど。
伊藤
はい。
松原
これは、ぴったり入る。
これだって、ぴったり入る。
それから、これも。
数字だけじゃないんですよ。
接客をしてきて思うのは、
「これ!」と決める瞬間に、
サイズは関係がないということです。
いくらわたしが一所懸命しゃべっていても、
その人が自分で決めます。
決めますっていうよりも、
体が決まっちゃってるみたいなの。
顔が変わります。うっとりするんですよ。
伊藤
ええっ?!

松原
ほんとに、ほんとなの(笑)。
顔が変わる。
だから最後に決めるのは、
私のアドバイスではなく、
やっぱり自分の心と体です。
伊藤
伊勢丹の試着室って、
全身の三面鏡じゃないですか。
あれは、自分を知る、恐ろしい機会です。
松原
そうそう。
伊藤
こんな後ろ姿なの?! って。
松原
そうです、そうです。
恐ろしいですよ。
伊藤
あそこはね、ほんと恐ろしいです。
それで、ためらっちゃって、
やめたりすることもあって(笑)。
あんまり素敵すぎるとね、
この素敵な下着に自分がついていけてない、と思って、
やめることもありますよ。
松原
でも、これはダメだと思っても、
いくつか着るとね、
絶対、妥協点が見つかりますよ。
色を変えてみるとか。
眩し過ぎる、若すぎると思ったら、
すこしダークな色にしてみると、
しっくりくることもあります。
ですから、いろんなものを試すっていうのは、
ぜひやっていただきたいことなんです。
伊藤
最初にしっくりこなくても、
必ず、顔がパアっとなる瞬間が訪れるんですか。
松原
どんな人でも、自分で決められる瞬間が来ます。
伊藤
伊勢丹新宿店のあのコーナー(マ・ランジェリー)に
足を踏み入れるということに、
第一段階があるような気がしますね。
松原
簡単です。電話で予約して
来店してくださるだけです。
直接ご来店の際は、
ランジェリーコンシェルジュにお願いしますと
言ってくだされば良いです。
ただ、直接の場合はお待ちいただくことに
なるかもしれません。
伊藤
うちの娘も、伊勢丹の地下2階の
基礎化粧品売り場には行きやすいけど、
1階のいわゆるブランド化粧品フロアは、
「ママ一緒に来て」って言います。
そういう感じかもしれませんね。
下着売り場は、ちょっとドキドキする。
足を踏み入れるとき。
松原
私も、化粧品売り場って苦手だったんですよ。
なぜかっていうと、バアーっとみんな寄ってきて、
「どうしましょう、どうしましょう?」
っていう感じでしょう?
伊藤
そうなんですよね。
全然分からないから、
すすめられるままに買ったり。
松原
昔はね、化粧品と下着売り場って、
悪の売り場だったのよ。
伊藤
悪(笑)!
松原
お客様が入ってくると蟻地獄だって言われていたの。
ようするに、逃げられない、助けて! 
っていう売り場だったのね。
もちろん大昔の話ですよ。
でも蟻地獄じゃいけないということで、変革があり、
ボディコンシェルジュという職種もできたんです。
こういったものが欲しいという
お客様の声をちゃんと聞きましょうって。
伊藤
松原さんは、お客様に、
まずどんな質問をするんですか。
松原
「どういう胸になりたいですか?」って。
伊藤
そんなこと、考えたこともありませんでした!
松原
もちろん最初は「なにをお探しですか?」から聞きますよ。
そうするとね、
「結婚式のときにウェディングドレスの下に着たい」とか
「下着が古くなっちゃったので、新しいのを」とか、
いろんなふうに返ってきます。
でもね、下着売り場にいらっしゃるお客様が
望んでいることっていうのは、ただ、ひとつ。
「着て、わぁ、素敵だ! と思うものが、欲しい」
ということです。
伊藤
そうですよね!
松原
でも、そんなふうには言えないじゃないですか。
伊藤
たしかに、そういうふうには言えませんね。
松原
ちょっと恥ずかしいしね。
だから、一所懸命聞いて、
全部で3枚を望んでいるとわかったとしますね、
そして「ふだん用に白が1枚と‥‥」とおっしゃったら、
ほかの2枚は、仕事用、遊び用っていう提案を
入れてあげるんです。
そうすると、ドンピシャじゃなかったとしても、
それがヒントになって次のステップに進めるんですね。
伊藤
仕事の時は、こういう感じとかって、
あるんですね。
松原
それもいろいろなんです。
一日デスクワークをするから
楽なのがいいという場合もあれば、
人前で話をするから、
精神までキチっとするようなタイプが
いい場合もありますね。
伊藤
そっか、立場やシチュエーションで違いますよね。
人を管理する仕事で、上に立つ女性だったら、
キリっとしていたいかもしれないし。
松原
そう。いろんなお客様に接してきて、
つくづく印象に残っているのが、
会社をひとりで立ち上げたばかりの方。
ところがその方の接客をスタッフがみんな怖がって、
私が担当することになったんです。
勧めるブラジャーをどれもこれも、
「合わない」ってはねつけてしまうのね。
しかも、試着姿を見せてくれないから、
どう合わないのかがわからないんです。
伊藤
合わない、としか、言わないんですね。
松原
「どこが合わないのか、見せてください」
と言ってもダメなんです。
ほんとにもうどうしようもなく怒っていらして。
でもね、分かったんです。
その人は私たちにサイズを選んでもらうことを
望んではいないと。
伊藤
どういうものを、望んでいたんですか?
松原
その方は、アンダー80だったんですが、
70を着たいとおっしゃるんです。
ふつう、80の人が70を着けたら、
お肉がボコっとするからおかしいんです。
ところがその方は「70でいい」と。
でも、わたしは、ようやくその方の試着姿を
見せていただいて、こう思いました。
「それで、いいんだ」と。
その人の言ってることは間違いないと。
なぜかというと、合うんですよ、70でも。
伊藤
それは、気持ちの問題ってことですか?
松原
気持ちです。
見方によってはね、もちろん、
多少はお肉は出てますよ。
でも、気持ちが70なんです。その方。
伊藤
ええ。
松原
ほんとに心で着ちゃうんですよ。
70を着けたときのほうが、
その方らしさが出るんです。
そうか、下着は心で着ればいいじゃないかと、
その時、ほんとにそう思いました。
伊藤
そっか、心で着る。
松原
自分にも思い当たることがありますもの。
私は、痩せていて、
アンダーが68ぐらいしかなかったんですけれども、
75のブラジャーが好きだったんです。
私も、心で着ていたんですよ(笑)。
とくに、日本のブラジャーっていうのは、
寄せて、上げてですから、
非常に乳間が狭くできています。
サイズは、ほんとに目安で、
実際はサイズが75のブラジャーも
そのまま測ったら67ぐらいしかないものもあります。
そういうものは、ちょっと小さめを選んで、
着るときに伸びることで、ぴったり合わせるんですね。
それは商品によっても全然違う。
伊藤
試着に行った時、
その「顔が変わる」ようなぴったり感のほかに、
チェックしておくべきことってありますか。
松原
まずバンザイしてください。
それから、腕をふって、
2、3歩、歩いてみてください。
サイズの合ったブラジャーなら、
ぴったりくっついているんですけれども、
その動きで、絶対、緩みますから、
少しはズレるんです。
そのズレが気持ち悪いものだったら、
そのサイズはやめたほうがいいですね。

高い下着と安い下着。

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松原
ファッションは、下着から始まる。
私はそう思っているんですね。
たとえば「あの洋服には、この下着は合わない」
ということもありますよね。
透けやすい素材の洋服を着たいときは、
合わない色の組み合わせがあるとかね。
伊藤
はい、よくわかります。
松原
ちなみにブラジャーのような洋装下着が
ほんとうに普及したのは、
1945年、戦争が終わってからなんです。
1964年に東京オリンピックが開催されることになり、
日本じゅうで、一所懸命きれいにしよう、となった。
街も人もね。
そんな時代に、ぐんと商品が増えました。
それからミニスカートブーム。
必然的に、パンティストッキングが出てきました。
それまでは、みなさん知らないかもしれないけれど、
ガーター(靴下留め)を使っていたんですよ。
それが一気にパンティストッキングになりました。
そしてベージュの下着が流行るのは1973年からなんです。
ベトナム戦争が終わった時代ですね。
やがてみんながベージュに飽きちゃって、
カラーの下着の時代が来るわけなんです。
伊藤
そして今は、いろんなタイプの下着が
手に入る時代になっているわけですね。
素材もいいものが開発され、
機能もますますよくなって、
デザインやカラーにおしゃれなものもあれば、
うんと実用的なものもある。
価格もいろいろですよね。
松原
高い下着と安い下着のどこが違うかっていうと、
いまは安かろう悪かろうではないんですよね。
微妙っていえば微妙に着けた時の肌ざわりが違うとか。
でも感じ方で高い下着は高いんだという心が動くから、
収まり感や肌ざわりが違うんだとかが自身で納得できて、
胸を開く姿勢に現れてくる。
伊藤
わたし、ふだんは人と買い物に行かないんですよ。
待ったりするの、面倒くさいから。
「どう思う?」とか言われても、
「好きなのを買えばいいじゃん」みたいな感じなんです。
でも、この前、友達と
伊勢丹にお買い物に行ったんですね。
そしたら、楽しくて! 
下着売り場でもキャーキャー言いながら過ごしました。
思えば、下着を選ぶときが、
いちばん盛り上がりました、その日のなかで。
松原
そう、盛り上がるの。
思えば、ほんとに私は、
下着はなんでもよいという人間だったんですよ。
ほんとに、40くらいまで、どうでもいいやって。
下着売り場にいながらね(笑)! 
ほんとうに下着に関心を持ったのは、
ひととおり、販売員もやり、
マネージャーもやり、バイヤーもやって、
ボディコンシェルジュという仕事に就いてからなんです。
「その人、ひとりのために、
とことん接客をする」というコンセプトが
ボディコンシェルジュという仕事でした。
伊藤
つきっきりで。
松原
その人が満足するまで、
選んであげましょうということですね。
伊藤
おいくつのときだったんですか?
松原
56歳のときだったんですよ。
その職種に就いた最初が私だったんです。
実はね、私は下着が長くて、
いろんなことやってきたんですが、
後輩に席を譲ってくれということで、
レストラン事業部に転属になったんです。
そこで教育係に。
そこはそこなりに楽しくて。
どこに行っても、
すぐ馴染むタイプなんでしょうか(笑)。
伊藤
あら(笑)。
松原
なにが楽しいかっていったら、
初めて落ち着いて
パソコンを打てるようになったんですよ。
それまでは、モタモタしながら打っていましたから、
後輩が全部引き受けてくれました。
ところが転属してたった1年で、
ボディコンシェルジュという職ができるから、
戻れというんです。
伊藤
必要だって会社が思ったんですよ。
それで56歳で下着に戻ってらした。
それから長く、定年‥‥を過ぎても、
いらっしゃいましたよね。
松原
そうなんです。60歳で定年だったのに、
まだコイツは使えるなと思ったんでしょうね、
それも、安いお給料で使えるぞって。
そこから10年間、ボディコンシェルジュをつとめました。
伊藤
すごいですね!
その「56歳までの松原さん」は、
どんなふうだったんですか。
松原
お客様の質問には答えられないといけないから、
勉強をしたことを一所懸命にお伝えする、
そういう感じだったかもしれません。
分かったような顔してね。
日本製の下着っていうのは、
とてもきっちりしたものが多いんですよ。
「寄せて上げる」もそうですね。
そして、それが流行れば、
みんながみんな、買ってくれるぐらいに普及する。
ですから、新しい商品が出ると、
メーカーさんに行って、勉強するんですよ。
新商品ができるたびに、そうしていました。
店頭では、そこで仕入れた知識を伝える場でしたね。
伊藤
わたしは、「寄せて上げる」に興味がなくて。
たとえばこの下着、
友人が作ったブランドなんですけど、
全然、カップがないんです。
日本でもこういうものが
もっと増えないかなと思っているんです。
松原
これは、シルク?
伊藤
シルクです。全部シルクで作りたいって。
そうじゃなくても、
たとえばスイスのハンロ(HANRO)のような、
シンプルだけれど素材のいいものに魅かれるんです。
どうしてみんなつけないんだろう、
とっても気持ちがいいのにって。
松原
それはね、高いからですよ。
輸入品は、国産の倍の値段になるから。
そういう意味で、カップなしで肌にのせるような
ナチュラルな下着のよさを
伝えるのはとても難しいことなんです。
いっぽうで「寄せて上げる」のようなタイプは、
テレビで「こうなります」なんて放映されたら、
みんなが「あっ、着てみたい!」って思うでしょ? 
「その気」にさせてくれるんですよ。
日本の下着の素晴らしさは、
安いプライスで、機能をまとめてくれること。
すごく立派です。そして見栄えも悪くない。
もちろん伊藤さんの好きなハンロのような下着は、
肌触りから全てが良くて、
だから大好きだっていう人は、
たくさんいらっしゃいます。
ただ、価格は2倍、3倍ですから。
輸入品のキャミソールブラと
パンツをセットで買うと、数万円‥‥。
伊藤
それを、数セット揃えようと思ったら! 
しかも、ベージュに、黒に、白も、なんて考えたら、
たいへんなことになっちゃいますね。
松原
でも旦那様のパンツは3枚1000円だったりして(笑)。
もちろん私も、ああいう商品が
日本に根づいて欲しいんですけどもね。

40代からの下着選び。

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伊藤
松原さん、
お越しくださってありがとうございます。
松原さんに下着のこと、
いろいろ教えていただきたくて。
松原
こちらこそ呼んでいただいてありがとうございます。
40歳以上ってね、
下着に関心が高くなる年齢なんですよ。

伊藤
たしかに40代になると、
誰かにアピールするためじゃなく、
自分のために下着を揃えたい、
という人が増えますね。
自分を大事にしたいっていうか、
自分のことに気が向く歳ってことですよね。
松原
そうですね。
40代は人生にとっても、
女性の身体にとっても、分岐点です。
青春を謳歌している20代、
恋愛、結婚、出産などを経験する30代。
そして子育ての一段落した人、
社会人として心にも経済的にも余裕が出来る人など、
公私のバランスがとれる40代。
女性にとって40代は人生の中での
大きなターニングポイントともいえます。
伊藤
そうかもしれないですね。
松原
それと、また、
女性の身体のサイクルをつくっている
女性ホルモンの働きが減退しはじめ、
30代後半からは大幅な体重増加や
体型変化が見られます。
40代、50代、年を重ねて、
今は人生100年時代ですので、
いくつになっても若々しく輝けるために、
女性の身体の変化に寄り添える下着を選び、
身も心も充実した人生を送ってほしいと思います。
伊藤
子育ての時期は、
下着より先に、することがあるんですよね。
松原
そう。だからもう、パッと着られて脱げる、
ユニクロさんのブラキャミソール的な下着に
人気が集まるんだと思いますよ。
伊藤
たしかに、いま、ファストファッションの下着って、
すごく安いですし。
松原
安いです。しかも優れてますよね。下着に限らず。
デパートで売ったら2900円ぐらいするものが、
1000円で売っていたりする。
下着は洗濯が激しいじゃないですか。
すごくいいものを持っていても、
おんなじくらいには、洗濯するわけだから、
そういうものが欲しくなる気持ち、わかります。
伊藤
いい下着も、手洗いをするのかと思うと、
くじけそうになりますよね。
かといってクリーニングに出すわけには、いかないし。
松原
ユニクロさんが席巻しているのもわかりますよね。
よく言われている言葉で、
25歳がお肌の曲がり角、
35歳が体の曲がり角。
だいたい38歳を過ぎたあたりで、
体が衰えはじめるのを実感しますよね。
伊藤
分かります。
ほんとに、38の時、実感しました。
あれれ? って。
松原
そのとおり。
伊藤
そのあとは、どんな感じですか?
松原
そのあと、もうどんどん下降線ね。
伊藤
ほんとに‥‥?!

松原
40代~50代の身体の変化として、
体型や体質の変化が実感され始める頃です。
それは女性の閉経が、
個人差はありますが50歳頃、
その前後の5年間、
だいたい45歳から55歳が更年期で、
筋肉や脂肪は量も質も変わります。
体型、体質、感覚の変化が出てきて、
いままで着けていた下着があわなくなります。
60代以上は、骨格や呼吸、体質などが変わってきて、
体型を変えてしまったりします。
でもフランス人作家のミレイユ・ジュリアーノさんの本、
『フランス人の40歳からの生きる姿勢』に、
女性のピークは65歳であり、
年寄りとは90歳以上のことで、
年をとることは
いいことがたくさんあると書かれています。
今日は、40代以降のみなさんに
着てほしいなと思うものを持ってきました。
自分で着けようかなと思って買ったものなんですけども、
もちろん未着用でございますよ。
着用済みだったらドキッとしちゃうものね。
伊藤
松原さん、可笑しい(笑)。
‥‥わぁ、素敵!
松原
見ていただきながらのほうが、
いいかなと思って。
伊藤
伊勢丹時代には、
すごくたくさんの女性の裸を
ご覧になりましたよね。
松原
ええ。もうほんとうに。
伊藤
バストの話をすると、たとえば同じCの70でも、
体の厚みとか、かたちが、
人によってぜんぜん違うんですよね。
松原
そうです、ええ。
女性の下着のサイズがどれだけあるかっていうのを、
外国と日本で比較してみましょう。
日本、アメリカ、ヨーロッパ。
‥‥たとえばイタリアは、
1、2、3、4、5、6、7、
8まであるんだけれど、
日本に入ってるのは、4ぐらいまでなの。
なぜかというと、いろんなものを入れちゃうと、
パンクしちゃって、お店が潰れちゃうので、
輸入物は、せいぜい4くらいまでしか入ってないんです。
でも、作ってるのは、6、7、8まであって、
そういうふうに大きなほうへの幅はあるけれど、
刻みは、かなりざっくりしているんです。
いっぽう日本の下着はサイズがこまかく、
2.5㎝刻みくらいで揃っている。
だから日本の人たちっていうのは、
ちょっときついわとか、ゆるいわって感じても、
なんとか合うサイズを見つけることができるんですね。
逆に言うとわがままがとおるということです。
伊藤
日本と比べて、海外ブランドの下着って、
ブラジャーでもカップがしっかりしてる感じは、
イメージに、ないんです。
松原
ボディメイクをしているブラジャーもありますが、
日本に輸入されているものが少ないのかもしれません。
伊藤
わりと、おおらかですよね。
あんまりパッドも入ってないし。
松原
そうです。海外では下着って、
きれいな胸に、ふわっとのせるだけで形がつくられる。
バストのかたさによるんですけれど。
ただ、そういうタイプも、あったらいいなと思いません? 
こういうタイプの下着も、高いものばかりではないし、
これを着けることでちょっとエレガントな
気持ちになるんじゃないかな、っていうふうに思う。
伊藤
はい。やっぱり素敵ですね。
松原
いっぽうでね、
これはふだん私の使っているタイプなんですが、
「なんにもない」タイプ。
伊藤
なんにもない? 
あ、ほんとだ! 
ワイヤーも入っていませんね。
松原
すごく楽なんです。
伊藤
これ、ラ・ペルラなんですね。
松原
ラ・ペルラが
レースだけだと思ったら大間違い。
これ、ほんとに、すごくいいですよ。
白と黒とベージュがあるんですけども、
その3色を持っていればいいと私は思ってます。
ずっとそれを使っている。
ところが。
伊藤
ところが?
松原
飽きちゃうんですよ。
そうすると、レースのものを着ようかなと思う。
そんなときにはこれ。
伊藤
ああ!
松原
飽きちゃう、っていうよりも、
そればっかり使ってると、
だんだん、どうでもよくなっちゃうんですね。
やっぱり、下着って、
着替えるとき、一番最初に肌につけるから、
つけた時、「あっ!」って気分が上がって、
じゃああの洋服を着ようとか、
そんなふうに思える。
それが大事なんです。
伊藤
まさに!
松原
これだったら、黒でツルンとしてるから、
透けて目立たないような色を着よう、
だったらあの洋服を着よう、っていうようにね。
次のステップの夢が描けるようなものが
いい下着だと思うんですよ。
伊藤
確かにそうですね。
松原
ですから、そればっかり着てると、
慣れになっちゃうんです。
だからこうやって、混ぜこぜにしておく。
伊藤
じっさいに松原さんにも、
「どうでもいいわ」っていう時期があったんですか?
松原
じつは若い頃はずっとそうでした。
お化粧もそう。苦手だった。
下着は、あんまり胸がなかったもんですから、
ブラジャーはつけてもつけなくても、おんなじかな、
なんて思っていたんです。
でもこうやって、コンシェルジュとして、
お客様と接するようになった時、
「松原さんは、どういうのを着てるの?」
と聞かれるようになった。
そのとき、私が何を着ているのか、
確固たるものを持っていないと、
説得力がないと思われるんじゃないかなと、
いろんなタイプのものをつけてみよう、となりました。

伊藤
それは、お客様から、
実際、聞かれたりもするんですか?
松原
もう、すごく、聞かれます。
「見せてくださる?」って。
伊藤
そういえば松原さんの接客は、
初めてでも、すごく距離が近いですよね。
普通に試着していただいたのを見て「いいですね」、
っていうんじゃなくって。
もういきなり、裸の関係になる。
松原
だってお客様が裸になって
着替える覚悟でいらっしゃるのに、
こちらが構えちゃうと、
あちらも構えちゃうと思うんですよ。
ですから、気持ちは裸同士で付き合ってないと。
伊藤
そうなんですよね。
だから、着替え終わってのあのひと言、
「よろしいですか?」っておっしゃる時、
一気に距離が縮まるんですよ。
物理的にもそうだけれど、
心理的にも松原さんがすごく近い存在になる。
松原
そうですね。

きちんとたたんで引き出しに。

未分類

時々、えいやっと思い立って、
下着を見直すことがあります。

引き出しの中にあるものをすべて出して、
これはいる、これはもう着ない、
と選別していくのです。

いつも、
「もう着ない」というほうが、
半分くらいあって、
どうしてもっと早く片付けなかったんだろう? 
と反省するのですが、それと同時に、
次はどんな下着を買おうかな? 
とたのしみにもなる。

この前、買い足したのはcohanのキャミソールブラと、
ボクサー型とふつうの形のショーツ。
新しいものが届いたら、
きちんとたたんで引き出しに並べるのですが、
その様子はなんだか清々しい。
引き出しの中は、いつもこうありたいものです。

今週のweeksdaysは、
cohanの下着をご紹介します。

ブラキャミソールは、
私が持っていた元の形に、
ちょっと変化をくわえてもらいました。
そちらは商品紹介でお伝えしますね。
どうぞおたのしみに。

「いいものを、すこし。」を目指せ!

未分類

スガノ
ああ、今日は反省しました。
「そんなことやってらんないよ」
って言わずに、やったほうがいいってわかりました。
倉持
そうすると、素敵な部屋着を
着たくなると思う。
あやや
そうなの。ほんと、そうなの。
スガノ
1個1個、1歩1歩ですよ。
どこからでも1個からでいいんですよ。
そこからきっと変わっていくんですよ。
倉持
ほんとですか。焼け石に水じゃないですか。
伊藤
でもそうだよ。私、スタイリストだから、
たとえばお皿一枚をよく見せたいと思ったら、
テーブルの素材、カーテンの質感、
光の具合なんかを考える。
いつも仕事の写真みたいに見てる。
そういう職業柄の視線はあるかも。
あやや
たしかに、ご職業ですものね。
スガノ
よくほら、整形した人も、鼻やったら目って言うじゃない。
伊藤
次はちょっとここをやってみようかなとか?
倉持
それを順番にやってったら、
最終的に部屋がきれいになるのかな? 
雑然としてるなかに素敵なものを置いても、
伊藤さんのおうちみたいになる? 
スガノ
一歩一歩ですよ。
すわ
やっぱり頑張らなきゃ。
伊藤
べつに頑張らなくてもいいじゃない。
スガノ
伊藤さんは頑張ってるわけじゃないですもんね。
あやや
習慣づけることだと思う、私は。
1回にすごい頑張るんじゃなくて、
毎日すこしずつやって、習慣にする。
すわ
そうか、習慣。
スガノ
そうだよ。私、5キロ痩せたんですけど、
「安いものを食べない」という方法があると
ダイエットの本に書いてあったのを実践したんです。
伊藤
「いいもの」ってこと?
スガノ
そう。安くてすぐお腹がいっぱいになる
ファストフードを避けて、
ファミレスに行ってもステーキを食べなさいって。
なぜそれで痩せるかっていうと、
それをやってたらお財布ももたないから。
家で食べるお刺身でも、
いいものを買うようにして、
しかもそれを3カ月続けろって。
つまり、習慣づけなさいってこと。
だから私はフリースを脱ぐ!
その一歩がないと、素敵な部屋着への
道は歩めないと思う。
あやや
四十代になって思ったのは、
同じ形をしていても、生地の良し悪しって
すごく重要なんだなということです。
いい生地のものをちゃんと着たいなって、
やっぱりこのぐらいの年齢になってくると
思うようになるものなんですね。
スガノ
そうですよ!
伊藤
年を取ると敏感になってくるの。
素材によってはちくちくする、
かゆくなる、みたいに。
その「おやっ?」いう曲がり角は、41歳。
あやや
わっ。過ぎてる! 
だから気になってきたんですね。
伊藤
ストレスを受けちゃうの。
スガノ
そうなのよね、
「かわいいのになぜか着なくなっちゃった」
っていう服って、デザインじゃなくて、素材。
あやや
あと、やっぱりいい生地だと、
見た目がきれいですよ、
着ていてやっぱり違う。
スガノ
言える!
あやや
だから今回の部屋着、ぜったいいいと思う。
スガノ
あれはコットンですか。
──
コットン100%です。
とってもいいコットンですよ。
倉持
トップスのお揃いのものもあるんですか。
伊藤
パンツのお揃いはないんだけれど、
ワンピースタイプがあるから。
すわ
ワンピースは外でも着られるんですよ。
部屋にするにはもったいないくらいです。
スガノ
みんな! それをあえてひとりの時に着ると、
ぜったいかっこいいよ!
私、寝るときはフリースを脱ぐけど、
ワンピース型のパジャマなんですよ。
そうすると足の間に、猫が2匹入ってきて、
すごーくしあわせなの。
伊藤
暖かいのね。
あやや
うちの子もそう!
伊藤
ほんとに? 猫?
あやや
男子。5歳児。
スガノ
男子ってそうなのよねぇ‥‥。
母が薄着になると
わらわら寄ってくるの!
あやや
ですよね!
伊藤
そうなの?!(笑)
スガノ
男児のいるお母さんは、
ワンピースで寝るといいですよ。
すわ
何のアドバイスですか。
伊藤
ちょっと話を戻させてね(笑)。
樋口可南子さんの本に
『いいものを、すこし。』
っていうのがあるでしょう。
そのタイトル、名作だなと思っていて。
最近ほんとうに、そう思うもの。
セーターでも、適当なものを複数枚買うのを我慢して、
いいものを1枚買って、それを着けることは、
それを大事にするし、いいものっていいし。
そういえば矢野顕子さんも
「おいしいものを、ちょっとだけでいいの」
っておっしゃってた。
うんとおいしいお菓子を、ちょっとだけって。
そういうふうになっていくんだと思う。
あやや
いいものを、すこし。
言いたい! そう言いたい~!
スガノ
私、お客さんから教えてもらったんですけど、
「生活のたのしみ展」で接客をしていたら、
目利きのお客さんが、
「こういういいものを買うと、
傷がついても、その傷がいいんですよ」
っておっしゃったの。
伊藤
そうなの、そうなの!
スガノ
だから、お洋服とか、ちょっと古びても、
いいものはその古び方がいい。
──
リモワのトランクが、
傷がついてこそカッコいい、みたいな。
諏訪
たしかにそうですね。
伊藤
プラスチックなものって、
買った時がいちばんきれいでしょう。
でも、木のものとかって、
使っていくうちによくなっていく。
スガノ
そういうお年頃に私たちも!
伊藤
でしょう?
倉持
いやー、私頑張ります、もうほんと!
あやや
頑張って、奈々ちゃん。
倉持
頑張る。
スガノ
そうだよ。裸はやめよう。
伊藤
裸はいいと思うのよ。
でも、たとえば裸で寝るとしたら、
シーツはうーんと気持ちいいのがいいよね、
という方向に行きたいの。
永遠なんですよ、いいものを探すって。
倉持
わかりました。
安物買いの銭失いになっちゃダメってことですね。
スガノ
私も宅配便のダンボールは捨てます。
──
そういえば伊藤さん、
ダンボール開けるのきれいですよね。
伊藤
そんなことないよ。嫌いだもん。
──
じゃ、嫌いだからから、手早いんだと思う。
撮影のとき開けるのを見ていて、
ちゃんとガムテープは全部剥がして別にしてね、
っておっしゃってた。
もう1回使う時にガムテが残ってると
上から貼れないから二度手間になるよって。
伊藤
そんなこと言ったんだ。
でも確かにそうしてる。
スガノ
そんなこと、気にしたことなかった。
諏訪
考えたこともなかった。
伊藤
それに、再生するとしたらさ、
テープは邪魔じゃないかなって。
たしかに私。
まとめる時、きれいかも、ゴミ。
──
マツコさんもそうだって
テレビで言ってました。
諏訪
見ました! なるべくちっちゃくするし、
メチャクチャ分類もちゃんとするって言ってましたね。
──
そういえば、引っ越したら、
管理がきびしい集合住宅で、
気を付けるようになってから、
ゴミが減ったんですよ。
ゴミを出さないように考えてる。
伊藤
どういうふうに心がけているの?
──
生ゴミ処理機を使いはじめました。
それでだいぶゴミが減ったんですが、
ダンボールを減らしたいから
宅配もなるべくまとめて注文するようになったし、
スーパーでプラ袋をなるべく貰わないようにしてるし、
ペットボトルのゴミを減らしたくて、
炭酸水を買うのをやめて、
炭酸水メーカーを使うようにしてます。
伊藤
私もペットボトル、ふだん全然使わない。
外出時はお茶持参。
原稿で煮詰まっている時は、
コーヒーやお茶を飲むけれど、
液体はお酒か水しかほとんど飲まない。
すわ
潔い!
伊藤
味のついたものも、
あんまり飲まないようにすると、
食事の味に敏感になるよ。
だからふだん日中は白湯!
スガノ
マネしよう。白湯。

片づけABC。

未分類

すわ
伊藤さんは「面倒」だと思うことはあるんですか。
1日の最後は絶対片付けして、
次の日の朝ちゃんと迎えられればいいんですけど、
どうしても後回しにしちゃうんです。
どうせ自分がやることだから、かわりないのに、
面倒だなぁって思っちゃって。
伊藤
面倒‥‥かぁ。
自分のペースでできることは面倒だと思わないな。
でもね、自分のペースでできないことは、面倒ですよ。
たとえば女友だちの愚痴を聞くとかね。
スガノ
自分がやることは面倒じゃないんですね。
伊藤
そうそう。
スガノ
私たち、何でも面倒くさがるよね。
倉持
後回しにしちゃいます。
スガノ
全部が後回しですよ。
伊藤
それは忙しいからだと思う。
私、みんなより忙しくないもん。
スガノ
そんなことないですよ!
伊藤
ほんとに、絶対ほんとに、
それだけは言えます。
みんなより忙しくない。
スガノ
そんなこと絶対ないです。
私すごい、ダラッダラダラッダラしてますよ。
朝とかもね。
伊藤
私だってしてるよ~。
スガノ
そうかなぁ。
伊藤
べつに片付けが好きなんじゃないの。
片付いたほうが気持ちがいいから、してる。
あやや
たしかに気持ちいいです。
伊藤さんのおうち、換気環境がよさそう。
風がとっても気持ちいいですもん。
伊藤
うん、よく換気してる。
あやや
やっぱり家は風通しが大事ですよね。
片づいているから埃も立たないし。
スガノ
片づけかぁ。たしかに私、
40代後半からベッドで寝るようになって、
人生よくなったんですよ。
だから、きっと片付けたら、
もっとよくなると思う!
あやや
それは間違いないと思いますよ。
片付けて、紅茶ですよ。
スガノ
片付けて、部屋着着て、紅茶ですよ。
あやや
そう、紅茶ですよ。私ね、紅茶だと思う。
伊藤
何言ってるの(笑)。
スガノ
私、懐疑的だったネイル、
して、よくなったもの。
あやや
そうなの、アガるでしょう?!
スガノ
アガる。
あやや
アガるのよ~。
すわ
したことで?
あやや
そう!
スガノ
やったほうがいいよ。
穴ぐらダンボールの私が言うのはなんですけど。
倉持
まずはもう、捨てないと。要らないものを。
スガノ
はい、わかりました。
倉持
だって、1年以上見てないものだらけとかってこと、
よくありますよね。伊藤さんはないだろうけど。
スガノ
そんなものだらけよ。
伊藤
それはそれでいいと思うけどね。
べつに片付いてるのが100点ってわけじゃないのよ。
私はたまたまそういう志向だったというだけで。
スガノ
いや、これがいいと私は思う。
家を見てそう思う。
こうなりたいと強く思う。
すわ
以前、座談会で、小銭まで毎日整理するって
おっしゃってましたよね。伊藤さん。
伊藤
私ね、今年から、なるべく、
小銭を持ち歩かないようにしてる。
私、5円玉と50円玉が苦手だから。
スガノ
どうしてこうも竹を割ったような
セリフが出るんですか。
あやや
でも、おつりでもらいますよね。
伊藤
うん、どうしたって手元にくるから、
駅に行く時に通るちっちゃい神社で
おさい銭にしてます。
パンパン(かしわ手)、
おはようございます! って。
スガノ
ご縁がありますようにって?
伊藤
ううん、何も願わない。
たいへんじゃない? 神様。
みんなの言うこと聞いてたら。
だから「おはようございます」だけ。
気持ちいいよ。
倉持
やっぱりそういう潔さ!
伊藤
でね、なるべく小銭は持ち歩かないんだけど、
必要ではあるから、ここにまとめているの。
あやや
なにこれ! かわいい!
倉持
まめ! すごい。
スガノ
まめ!
伊藤
ここから着払いとか、
ちょっとコンビニ行くとか、
そういうときに使ってる。
あやや
なにそれ、もう、もう、なにそれ!
スガノ
たぶん暮らしがよくなる。
伊藤さんのマネをしたら。
だまされたと思って、やったほうがいいよ。
布団で寝れるようになった私が申し上げます。
倉持
郵便物とか、広告とか、チラシとか、
どんどん来るああいうものってどうしてるんですか。
すわ
そうですよ。家のテーブルって
何でいっぱいになってるかと言うと、
とりあえず帰ってきたチラシや郵便物が。
あやや
どうしたらいいんだろう。
伊藤
それはもうすぐ開けて、
いるものといらないものに分けるのよ。
すわ
でも、残りますよね。
「あとで振り込まなくちゃ」みたいな。
伊藤
開けた時に振り込んじゃうよ。
スガノ
えーっ。
「とりあえず」が、ないんですか?
伊藤
うん。ない。
あやや
いま私がまさに直面してますけど、
子どもの学校から貰うプリントとかって、
日々すごい量、あるじゃないですか。
そういうのは、どうしていたんですか。
伊藤
忘れちゃった‥‥、どうしてたんだろう。
ファイルに入れてたかな?
あやや
ファイルか!
倉持
お買い物をして溜まる紙袋は?
即捨て?
なんかそういうちょっとした溜まっていってしまう、
雑然としたものがまったくこのお家にはないですよ。
伊藤
いや、ありますよー。
あやや
見えないところにきれいに収納してるのよ。
だって皆さん、Wi-Fiも充電器もカゴの中ですよ!
倉持
カゴっていいですね! 
そうよ、何でもカゴに入れればいいのよ!
伊藤
ちょっとちょっと! 
そういうことじゃ、ないと思うんだけど‥‥。
でもカゴは好き。
これは、あんまり見せられないんだけれど、
スキンケアのための基礎化粧品が入ってる。
風呂から出たら、これを使う。
あやや
洗面所にはこういうものは
置いてないっていうことですか!
伊藤
置いてないわけじゃないけれど、
ゆっくり使うものはこっち。
倉持
私もこのスタイルなんですけど、
入れてるものが全然違う!
あやや
ちょっと奈々ちゃん、
ちょいちょい聞いてると、
おしゃれ生活してさ、
伊藤さんと同じね。
裸族だから同じなのね。
すわ
それが共通点?
倉持
ところが質が違うんです!
──
よく家電で思うことがあって。
とりあえずで最安値の加湿器を、
デザインのことも性能のことも
「まあいっか」で買ったら、
ひと冬で壊れたんです。
1年で捨てる羽目になった。
あやや
そう、そうなの!
──
でも思い切って買った、
性能もデザインもいいものって、ずっと使ってる。
そういうジャッジが伊藤さんは厳しいんじゃないかな。
食材ひとつにしても。調味料1瓶にしても、
いいもの使うとちゃんと使い切れたりする。
とりあえずのものは、残して捨てるはめになる。
倉持
そうなんですよ、ほんとにそう。すべてがそう。
伊藤さんは冷蔵庫のなかも
きちっとされてるんですよね。
伊藤
冷蔵庫のなか? ちょっと待って。
(見に行って)
‥‥そんなにきちんとしてない!
スガノ
いや、絶対きちっとしてますよ。
伊藤
してない!
あやや
ちょっと見ていいですか?
(見に行って)ああ、すごい!
倉持
うちと、全然違う!
伊藤
これ、ダメなほうです。
あやや
えっ、これでダメなんですか。
スガノ
うち、冷蔵庫開けたら、
繁盛してるパチンコ屋さんみたいですよ。
どんがらがっしゃーん、よ?
──
なんだかわからないけど、
すごそうだってことはわかりますね。
あやや
冷蔵庫じゃなくて、
常温保存の調味料があるじゃないですか。
うち、そこに、一緒にレシピブックがありますよ。
紙と調味料が混在。
スガノ
それ、基本、基本。
伊藤
それは別にいいよ。
‥‥うちはないけど。
目的が一緒ならいいんじゃないかな。
スガノ
キッチン家電も少ないですよ。
電子レンジもない?
伊藤
あ、それは最初からビルトインでついていたの。
あやや
炊飯器は?
伊藤
土鍋で炊いてる。
倉持
ああ! 「はじめパッパ、あとパッパ」
みたいな?
──
違う違う、はじめチョロチョロ、中パッパ。
倉持
全部パッパで炊き上げようとしてた!
──
そりゃ炊けるけどね。
「うちの土鍋の宇宙。」を読んでよ。

カゴの達人。

未分類

あやや
あっ、ハイッ!(挙手)
伊藤
はい、どうぞ、あややさん。
あやや
伊藤さんは、いっぱいお買い物もしてるし、
物も当然お好きじゃないですか。
ご職業柄からもいっぱいあるはずですよね。
でも、目に見える情報を削ぎ落としてる。
このお部屋を見ても、そうとう少ないですよ。
どういうことなんですか。
伊藤
人にあげてるからかな。
そもそもね、何かをする時に、
片付けから始まるのが嫌いなの。
たとえばパソコン。
いつもこの食卓で仕事をしてるんだけど、
原稿書こうって思った時に、
これを片付けて、あれを片付けてじゃなくて、
ぱっと始めたいの。
だから食卓の上はいつもなにも置いてないんです。
それを「ほぼ日」のやえさんに言ったら、
ものすごい声で「はぁ~っ!!!」って驚いてた。
──
やえさんは‥‥「an an」の断捨離特集で
「汚部屋度 ★★★★★」って
最高ランクづけされた人ですからねぇ‥‥。
趣味のものを買うときは、
使う用、予備、保存用、3つ買うっていう人ですよ。
あやや
いちどおうちに伺ったことがあるんですが、
関東ローム層みたいになってましたよ。
──
ハリー・ポッターがホグワーツに行く前に
異次元の商店街に買い物に行くでしょう、
あそこの魔法の杖の店みたいな感じですよね。
あやや
すごい情報量。
ある意味カッコいいですよ。
伊藤
それはそれでいいと思うんだ。
本人が楽しければ、とやかく言うことじゃないし。
でも私はね、料理をしようと思った時に
包丁を研がなくちゃってなるのが嫌なの。
そもそも包丁どこ? ってなるのはもっと嫌。
スガノ
いつ片付けるんですか。
伊藤
使い終わった後に必ず片付けるんです、定位置に。
あやや
何か新しい物を買った時は、
場所を決めてから買うんですか?
伊藤
それが、私、全然ね、
物買う時は何も考えない。
あやや
でも家に入ってきた時はどうするんですか。
伊藤
しまわずに、しばらく目につくところに置いとく。
あやや
うんうん、それで、それで?
伊藤
ここかなっていう場所に置いて、
そこが物でいっぱいだったら、
前からあるものを片づけるか、処分する。
スガノ
何でしばらく目に付くところに置いておくんですか。
伊藤
新入りだから、
居場所がないの。
それを探してあげる時間が必要。
スガノ
そっか、部屋との親しみがないから、
新入り自らが、
馴染むところを探すんですね。
倉持
パソコンなんかは「すぐ手が届く場所」に
あるのがふつうかなって思っていたんですが、
伊藤さんのところにはないんですね。
伊藤
パソコンも戸棚のなかに入ってる。ほら。
倉持
そこ!
あやや
すごーい。
スガノ
コードはどうなってるんですか。
電源ケーブルが家のなかで目立たないですよ。
伊藤
コードはここに(カゴを見せる)。
あやや
すごい。
倉持
充電したい時に1回1回出して接続しなおして?
伊藤
うん、そうだよ。
倉持
Wi-Fiも、全部ここに!
伊藤
ルータ、目立つのは嫌じゃない?
倉持
そこが違う‥‥。
スガノ
このカゴを売ってほしい! 
このカゴが買いたいです!
──
カゴを買えば済む問題なんだろうか。
すわ
中にWi-Fiルーターが入っていて、
電源コードがカゴに空いた穴から出ていますよ。
もともとこうなっていたんですか?
伊藤
穴はあけてもらいました、
リフォームのときに。
倉持
すごい。なるほど。
あやや
これもかわいい。これ何ですか。
伊藤
それはね、昔の北欧のスーツケースなんだけど、
プロジェクターが入ってるの。
引っ越してくる前は、テレビもなかったから、
見たいときはこれを出して壁に映していたんです。
いまはテレビ、壁付けで、あるけれど。
あやや
そっか、家電的なものが少ないですね。
すわ
たしかに。だから気持ちいいんですね。
目に入ってくるものは、木の素材のものが多くて。
倉持
なにか食べたくなっちゃったみたいな時とか、
そういう時はちょっとは雑然とするものなんですか。
伊藤
雑然とは、しないですよ。
倉持
エーッ!
伊藤
する時はあるけど、
絶対1日のうちで、自分できれいにする。
あやや
すっごく〆切に追われて、
余裕がなくなるみたいなことって
人生にないんですか。
伊藤
そりゃ、ありますよ。
──
去年、伊藤さんは本を何冊か書いていましたよね。
ふつう、そういうときって、
埋まっちゃうくらい資料が集まると思うんですが。
伊藤
4冊ぐらい並行していた時がありましたね。
そのときは、ひと塊ずつ資料をつくって、
その原稿を書く時はその資料だけを出してました。
あやや
終わった本の資料は。
伊藤
捨てます、バンバン。
スガノ
そうなんだ。
倉持
やっぱり捨てるっていうことなんだ。
あやや
そう、やっぱり捨てないとね。
スガノ
私、宅配便のダンボールが
常に4つぐらい玄関に置いてある。
伊藤
えっ、イヤだ! なにそれ!
──
今、怒られに行ったでしょう。
あやや
さすがに気になりません?
スガノ
ううん。大丈夫。
伊藤
もう景色になるのかな。
あやや
開けないまま?
スガノ
開けてない。
ありがとうございますって受け取って、
そのまま別の用事に移るから、
開けないままどんどん積み上がっちゃって。
──
不要不急のものなんだ?
スガノ
買い置きの猫砂とか、そういうのですね。
本もあります。
全部積み上がって、ひとかたまりになって、
ちょうどパソコン机になりそうだと、
そこで仕事したりしてます。
伊藤
もういっそ、いいと思う!
ちょっと楽しそうだよ、それはね。
スガノ
穴ぐら生活ですから、私。
伊藤
(笑)。
スガノ
でも、まさこさん的生活のためには、
まず、宅配便が届いたら開けて、
段ボールをちゃんと捨てるってことですよね。

まずは部屋をきれいにしないと。

未分類

あやや
うち、普通の地味な両親ですけど、
子どもの時から、起きたら着替えろ、
夜寝る前に着替えろって、
そこだけはもう絶対に許されなかったんですよ。
伊藤
サザエさんのところの波平さんが帰ってくると、
浴衣に着替えるけれど、
イメージとしてはああいうことかな。
あやや
はい、うちの父は3段階ありました。
仕事のための服、家に帰って着替える服、
そしてお風呂から出たらパジャマ。
だから外着と部屋着とパジャマは別という感覚は、
私も教育でしつけられました。
倉持
それ、理想ですね。
あやや
今も帰宅したら外の服のままじゃなくて、
1回部屋着を着るんです。
それは快適で洗いやすいものがいいから、
外着のお下がりみたいなワンピースを着るわけです。
さらにお風呂上がりにパジャマに着替えます。
倉持
部屋着でいる時間帯って、そんなになくないですか。
私、帰ったら、すぐお風呂に入ってしまうから、
その後すぐバスローブです。
あやや
それは女優スタイル!
スガノ
ご飯は? 
倉持
そのまま食べてます。
スガノ
日曜日は? 朝起きて。
倉持
休日は、朝起きたら、出かけるまで着替えない。
または朝、シャワー浴びたら、そこで服を着ます。
スガノ
同じです。
諏訪
倉持さんは家に長くいることがないってことですね。
休みも出掛けるっていうのが前提?
倉持
出かけない場合はずっと‥‥。
伊藤
裸?
倉持
裸、みたいな、
キャミソールみたいな格好です。
その上に、ガウンを羽織って。
伊藤
以前、大久保佳世子さんとの対談でも話したんですが、
私も、シルクのスリップで寝てて、
ある日、実家に泊まった時に
ベローンってなってたみたいで、
ほんとお願いだからやめてって母に言われて、
そうか、そりゃイヤだよねって。
スガノ
娘のセクシー姿!
あやや
親は何でイヤなんですかね、あれ。
ベローンもそうだし、
パジャマのままでいるのはやめなさいとか。
倉持
やっぱりそういうお家なんでしょうね。
スガノ
あやや家はそうだったんだ。
伊藤
私はどうなんだろうな。
父はちゃんとしていたけれど、
私自身は倉持さん派かな。
夏とかは裸めいた格好だし。
寝るときは、いろいろ。
パジャマを着るぞっていう日もあって、
何だろう、気分かな、やっぱり。
スガノ
やっぱりね、自分の気分をよくするための
コツを知ってる人っていうのがいるんですよね。
伊藤さんはそんな人だと思う。
家のなかで着替える人って。
あやや
ハイ! 私、思いました。
まず始めたほうがいいことがあります!
スガノ
急に何ですか。
あやや
やっぱり家の片づけだと思うんですよ!
うち、家具は少ないほうだとは思うんですけど、
じゃあ美しいかって言ったら違うんです。
子どもが3人いて散らかってくると、
片づけるどころじゃなくなっちゃうんですよ。
伊藤
まだ小さいしね。
あやや
家のなかをもうちょっとちゃんとしようとか、
部屋着もきちんとしようと思うためには、
やっぱりまず環境を整えること、ですよ。
スガノ
そうなんですよ!
あやや
環境が全部に紐付いてる気がします。
スガノ
私、以前、伊藤さんに、
料理をうまくなるには包丁を研げって言われたんです。
──
名言。
スガノ
だから、私は部屋を暖くすることだなって思ってる。
たぶん暖房がテキトーなんだと思うんですよ。
倉持
そうだね。
スガノ
だからフリースが脱げない。
伊藤
そうか。
スガノ
だからまずそこからって話なんですけど、
でも、その素敵な部屋着を着るために
「そうしよう」って思うきっかけもあると思うんですよ。
伊藤
そうだよ。
あやや
だって、部屋単体、自分単体じゃないですもんね。
部屋込みの自分じゃないですか。
そこらへんにパンツが落ちてたりしたら、やっぱりね。
──
伊藤さんちは、お嬢さんと2人でしょう。
共同で使うパブリックスペースには、
私物を置きっ放しにしないというのが
ルールだとおっしゃっていましたよね。
スガノ
えっ、どういうことですか!
伊藤
読みかけの本とかを置きっ放しにして
自分の寝室に戻らない。
ちゃんと持って帰ろうね、って。
あやや
ああ、そういうことですよ! それ、それ!
伊藤
もちろん、家にあるものは全部が私物なんだけど、
プライバシーに紐付くものがあるでしょう。
そういうものは、各自の部屋で保管する。
あやや
私、何がすごいと思うかって、
お嬢さんがそれを実行してることです。
伊藤
自分の部屋ですごく自由にしてるから、
大丈夫ですよ。趣味のものに囲まれて。
あやや
でも、言ってみれば子どもって、
その境界線がないですよ。
なのにちゃんと自立心がある。
どうしたら育つんだろう、その自立心。
伊藤
うちも、小っちゃい時に
おもちゃを散らかしっぱなしにしてて、
もうそんなの捨てるよって言ったら、
さすがに捨てはしないと思ったみたいで、
‥‥でも、捨てたの。
そうしたら、「この人はほんとうにやる」って。
あやや
マジだってなって?
伊藤
それからけっこう片づけるように。
でも、児童心理学だったかな、
本当はそれいけないんだって
言われたこともある。
あやや
トラウマになるっていうことですよね。
伊藤
そうそう。
あやや家はどうしているの?
あやや
たとえばレゴが散らかるんです。
あれ、踏むと激痛なんですよ。
事故レベルで痛いんですよ。
それで「片づけてないレゴを
ママが踏んだら捨てる」
っていうのをルールにしました。
レゴってパーツがなくなると
もう成立しないんだけど、
それでも、私、踏むたびに捨ててます。
伊藤
そうなんだ。
あやや
「やめてぇーーーっ!」みたいな感じだけど、
いや、ママ踏んだから捨てる。
ママが事故に遭ったんだからって。
──
内田也哉子さんのお母さん、樹木希林さんは、
片づけなさいという言葉は1回しか言わなかったと。
あとは無視なんだって。
そのまま片づけずに何日でも置いてあるから、
逆に怖くて片づけるようになったって。
あやや
怖い。
倉持
いろんな怖さがありますね。
伊藤
うちは、そのルールさえ守ってくれればいいの。
あやや
その、センスっていうんですか、
こうすれば美しい、みたいなことって、
自然に学べるものなんですかね。
伊藤
うーん? 料理をつくるでしょう、
今日はこれとこれだからと言って、
食器棚から合う食器を出してねって言う。
でもそれが違うなってなったら、
これにはこれ合わないね、とか、
そういうことは言ってますよ。
あやや
うらやましい! 娘になりたい! 
それすごくいいと思いますよ。
英才教育ですよ。
私にも教えてください、
具体的にどういうことなんですか。
伊藤
ぽってりしてるものばっかり集まると、
食卓が重たくなるでしょ? とか。
あやや
名言!
スガノ
私も伊藤さんから言われた名言を
おひろめしていいですか。
「裸でも情報が多いのに、
それ以上情報をのせるな」。
あやや
何それ、名言! でもどういうこと?
伊藤
そんなこと言った?(笑)
スガノ
私のファッションについて。
伊藤
そうか! 柄ものを着ていたのね。それで
「あなたは裸でもただでさえ情報が多いのに」。
言った、言った。
スガノ
柄のものを着るなって。
──
それで今日ちょっと地味にしてるの?
スガノ
そうそう。ちゃんと無地を着てきました。
あやや
yaecaのコンテンツの時の
スガノさんの格好が、1人だけすごくて。
あのファッションが、私、大好きで。
スガノ
ああなっちゃうのよ。
──
僕(武井)、横に座ってるんだけど、
日々すごいですよ。僕も派手なほうだけど。
あやや
武井さんとスガノさんとゆーないとさんが
並んで座ってるんですよ。
その列、情報過多なの!
スガノ
自宅もたぶん、情報過多になってると思いますね。
それはちょっと直さないとって思ってるんですよ。
伊藤
いいの、いいの。
スガノ
えっ! いいんですか?!
伊藤
いいんですよ。面白いから。

SUNSPELのリラックスウェア

未分類

みんなは家で何を着てるの?

未分類

伊藤
今日はなぜ「ほぼ日」のみなさんに
集まっていただいたかというと。
あやや
なぜに。謎です。
「weeksdays」に私が!
スガノ
憧れではあるけれども、
出ることになるとは!
伊藤
(笑)サンスペルっていうブランドでつくった
ルームパンツを販売するんですけど、
すごく質のいいもので、
値段もそこそこするんです。
スガノ
そのルームパンツは、
どういうところがいいんですか。
倉持
きっと生地はすごくいいですよね、
サンスペルだったら。
伊藤
そう、生地も上等だし、女っぽくないの。
だから、気が引き締まるし、着心地もいい。
つまり「着ていて気持ちがいい」んです。
私はそれが好きで、部屋で着ているわけなんだけれど、
ハタと、「みんなはどうしているんだろう」って。
それを聞いてみたいと思ったんです。
一般女子の代表として。
あやや
なぜ代表の枠に私が。
スガノ
全員そう思ってますよ。
伊藤
あのね、もともと私が夏の部屋着に
男物のトランクスを穿いてるって言ったら、
みんなにシーンとされて。
スガノ
シーン! ですよね、それは‥‥。
伊藤
たしかに男物を穿きましょうっていうのは、
あんまりかなぁってことは理解したので、
ちゃんと女性向けにショートタイプの
ルームパンツを作ったのね。
ところが、思ったようには、
受け入れられなかったの。
──
前あきをなしにして、
形も女性ならではのパターンにしてもらって、
すごくいいものができたんですよ。
伊藤
「短すぎる」という声もいただいて、
だったら長いタイプも作ろうということになったんです。
あやや
あ、かわいい、メチャクチャかわいい!
スガノ
なるほどね。そういうのは上には何を着るんですか。
伊藤
キャミソールとか、Tシャツとか。
倉持
そうですか‥‥。
スガノ
なぜ倉持さんが浮かないかというと、
いつも家では裸に近い格好だからです。
倉持
裸族だから。
あやや
裸族!
すわ
その話すごく聞きたいです。
伊藤
そうだった、倉持さんと私、気が合うの。
夏は水シャワーですもんね?
倉持
そうなんですよ。
メチャクチャ代謝がよくて暑がりなんです。
とにかく火照ってる。
あやや
サウナのあと、とかじゃなくて? 
家のなかがサウナ状態ってことじゃなくて?
伊藤
お風呂がわりに、水シャワーです。
もちろん夏だけよ?
あやや
お腹とか痛くならないんですか。
伊藤
ならないです。
倉持
暑がりというだけじゃなく、
締め付けるものが苦手なので、
部屋にいるときは、下着はできるだけ着けたくない。
あやや
あ、でも、家は裸族という気持ちはわかります。
ブラジャーはとくに着けたくない。
倉持
ブラジャーは家ではみんなつけてないかと思ってました。
スガノ
ところが、私はいつも着けてます。
伊藤
そうなんだ、寝る時も?
スガノ
寝る時も。
伊藤
えーっ。
すわ
慣れちゃえば普通なんですかね、それって。
スガノ
そうですね、なんか着けないほうが気持ち悪い。
あやや
私は家のなかで上を着けるのはいやだな。
スガノ
パジャマは着ないんですか、倉持さんは。
倉持
私、パジャマ持ってないです。
すわ
1枚もですか。
倉持
1枚も持ってないと思う。
スガノ
何を着てるの?
倉持
キャミソール。
やっぱりさすがにずっと裸じゃ。
weeksdaysの麻のキャミとかすごく好きですよ。
スガノ
基本的なこと聞いていいですか、
裸族のおふたりに。
伊藤
はい。
倉持
なんでしょう。
スガノ
冬、家のなかは暖房ガンガンなんですか。
伊藤
うん。暖かくして、半袖でいるのが好き。
倉持
うち床暖だから、それでじゅうぶんなので、
エアコンはつけないです。
あやや
私も部屋では冬でも半袖です。
暖房もつけない。
うち、常に人が5人、
ぎゅっと入ってる状態だから。
倉持
それは暑い。
スガノ
つまり、家の中で薄着の人は、
家が暖かいんじゃないかと思って。
私は違うんですよ。
私はフリース着てます、家の中で。
なぜなら冬の部屋は寒いからです。
伊藤
そうなんだ!
スガノ
いま、伊藤さんの部屋にお邪魔してますけど、
たしかに暖かいです。
ここだったら、私も薄着になると思う。
だから、家のなかのおしゃれは、
部屋をじょうずに空調することからだと思います。
冬は暖く、夏は涼しく。
伊藤
なるほどね。
スガノ
部屋でフリース着てる私はダメだと思うんです。
すわ
たしかに、寒かったら、
外着のような格好になりますよね。
スガノ
家族全員がスキーウェアみたいなの着てます。
ちょっと前まで洞窟暮らしみたいな感じで、
そのへんで寝てたんですよ、ベッドで寝ないで。
伊藤
えっ、床で寝てたの?
なぜ洞窟暮らしに?
スガノ
疲れちゃって、寝落ちしちゃってたんです。
ところがそれをお医者さんに見抜かれて、
「あなた布団で寝てませんね、
ちゃんと布団で寝て下さい」って言われて、
そこから布団で寝るようになったんです。
伊藤
それ、いくつの時?
スガノ
40代ですね、40代後半。
伊藤
ひどーい!
スガノ
フリース着たまま寝てました。
倉持
布団で寝ている今は? パジャマに、
つまり薄めのものに着替えるの?
スガノ
そう、布団に入れば暖いから、
上を脱いで薄着で寝てます。
伊藤
ああ、なるほどね。
スガノ
特殊事例すぎますよね。
今日は、じょうずに家をちゃんと
暖めたと仮定して、
部屋では部屋着が着られる環境だとして、
参加します。
伊藤
よろしくお願いします。
みんな、外に見える、身に着けるものには
かけてもいいと考えているお金を、
部屋着のような見えないものには、
惜しんじゃうのかなぁ? 
日中、今日はどこにも出かけないという時は、
何を着てるの?
スガノ
寝てた服です。
伊藤
‥‥なるほど。
あやや
私は「これが部屋着です」というものじゃなく、
かつて外に着てたけれど古くなっちゃった、
ちょっとふんわりしたワンピースを部屋着にしてます。
スライドパターンですね。
宅配便が来ても出られるくらいの格好。
すわ
でも、遠出するにはちょっと着古してるし、
みたいなことですか。
あやや
そうそう。
コンビニですらちょっと躊躇するレベル。
でもそれがいいと思っているわけじゃないんですよ。
伊藤
私、前にスタイリストのお友だち3人で話してた時に、
部屋着が気に入らないとき、
着替えたりするよね、って。
「ちょっと、これじゃないな」みたいに。
スガノ
ええっ! そうなんだ‥‥。
それでわかりました。
この間、初めてネイルサロンに行ったんですよ。
それで、ネイルサロンの人に、
正直、男性はここを変えても
まったく気が付いてくれませんよねって言ったんです。
なのに、何でやるんでしょうね? って。
そうしたら「自分が見えるからですよ」とおっしゃって。
手は、自分がいちばん見る。
だからきれいなネイルをすれば、
そこから気持ちがよくなって、
全部の装いが変わる。
だからきれいなネイルにすることは、
自分にとってすごくいいんです、って。
だから、たぶん、家のなかのおしゃれも、
そういうことなんじゃないかなと思うんです。
部屋着も着替えたいというのも、
やっぱり自分から見て、
見えるところがイヤなんですよね。
伊藤
そうそう、同じことだと思う。
スガノ
家のなかも?
伊藤
そう、雑貨や家具を揃えるのも。
スガノ
やっぱり? そこですよ。
ネイルサロンの女の人も言ってたけど、
自分の視界を大事にしないといけないって。
伊藤
そういえば、この前、
ジュエリーのデザイナーさんが
接客しているのを聞いていたら、
はじめてアクセサリーを買うというお客様に、
「リングがお勧めですよ」と言っていたの。
何でだろうって思ったら、
「自分から、見えるでしょう?」って。
身に付けるアクセサリーのなかで、
唯一自分からちゃんと見えるのってリングで、
それって嬉しいことじゃないですか、って。
あやや
わかる!
スガノ
そう、その視点!

部屋で過ごす一日。

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旅に出たり、
外に出るのも好きだけれど、
家に帰ると思う。
「ああ、ここがいちばん!」ってね。

映画を観たり、
本を読んだり、
ごろごろしたり。
スープを煮るのもいいな、
プリンでも焼こうか。

家の中でできるたのしいことって、
たくさんある。

まずは窓を開けて、
部屋の掃除をして。

さてこれから何をしようか?
なんて時にはきたいのが、
サンスペルのルームパンツです。

リラックスしながらも、
だらしなく見えないところがいい。
しゃきっとした履き心地がいい。

今週のweeksdaysは、
1年前ほどに発売したルームパンツのロング版、
そして
同じ素材のワンピースをご紹介します。

家の中にいるのが、
ちょっとうれしくなる、
部屋着のおしゃれをどうぞ。

雨の日じゃなくても。 ~たとえばこんなコーディネート~ その2

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レインスカート・ネイビー

ネイビーをシックに見せてくれる、
グレーのニットとの組み合わせ。
ネイビー×グレーは、
私の色合わせの定番です。

ここでは、これまた私の定番になりつつある
CI-VAのネイビーのバッグを合わせました。

足元は白い革のスニーカー。
あ、ここでも「足元白」ですね。

新しいアイテム「レインスカート」。
「どうやって着ればいいんだろう?」
なんてあまりかまえずに、
いつも通りの着こなしに加えてみてはと思います。

レインスカート・ベージュ

白のタンクトップ、グリーンのサンダル。
それからかごバッグ。
夏が近づいてきたらしたいのが、
こんなコーディネート。
下に白いレギンスを合わせてもいいなぁ、とか
サンダルをベージュにして
ワントーンでまとめてもいいなぁ‥‥なんて
夢広がります。

おそろい素材のコートと合わせてどうぞ。

(伊藤まさこ)

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