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冬の必需品。

未分類

素足にサンダルの季節があっという間に過ぎ、
そろそろタイツが恋しくなってきました。

これから春がやってくるまで、
足とおしりをあたたかくまもってくれるタイツは
私の冬の必需品です。

今回、カーマンラインと作ったのは、
冬の街に映えるカーディナルレッドと
マスタード色のタイツ。
ともすると全身が暗くなりがちな、
この季節のコーディネートに、
一役買ってくれそうな、
なんともかわいらしい存在。
足元が明るいと、
足取りも軽くなるから不思議です。

weeksdaysでは、
この2色にくわえて、
カーマンラインのオリジナルの
ブラックとネイビーもご紹介します。
定番カラーと明るいカラー。
冬が待ち遠しくなる、あったかタイツ。
足元のおしゃれをどうぞたのしんでください。

根本は「食」。

未分類

安藤
高知の子どもたちって、
どこに行っても人に話しかけるのが
当たり前に生きているから、
娘は公園でバーッと知らない人のところに行って、
「お姉ちゃん、あっそぼう」って、
勝手に遊びだすわけです。
それで東京で公園に連れて行った時、
「あっそぼう」って
知らない子供たちのなかに入っていった瞬間に、
みんながサーッて、散り散りになり、
お母さんたちの顔を伺いに行くんです、子どもたちが。
そうか、そんなかんじか‥‥がーん。
と、切なくなってしまって。
うちの子もショックを受けながら、
頑張って何回も行くわけですよ。
それで、だんだん自信をなくして、私の所に来て、
「ママも一緒に言って‥‥」って。
伊藤
そうですねぇ。
子どもが親の顔を伺うのと同じように、
大人もまた、そういうところがありますよね。
たとえば娘が目の前にいるのに、
私に向かって「娘さんはこれは好き?」みたいに
聞く人がいます。
親を介して子どもに接する。
そういう時は「彼女に直接聞いてくれますか」
って言うんですけれど。
安藤
うんうんうん。
伊藤
なんだかこう、人と人との間に
冷たい川が流れてるみたい。
安藤
映画もそうなんですよ。
多くの人が、映画を感性で受け取れなくなってきている。
だから先に「これは泣ける映画です」
「こんな物語です」「ラストシーンは感動です」
みたいに教えないと、
不安で見に行けないみたいな時代になっている。
わからない映画は見に行きたくないって思う流れもある。
映画文化、映画というメディアは、
これから先もずっと残っていくとは思うんですけど、
見る人がどうそれを支えていってくれるか、
っていうところに、今、来てると思うんです。
でね、今日会話したこと、全ての根本にあることは、
やっぱり「食」ですよ。
伊藤
つくり手側と受け取る側をつなぐのに、
「食」は、わかりやすいですよね。
安藤
つくり手側で、意識が高い人は、
どこの分野にも多いわけで、それは「食」も同じ。
提供する側は、これは無農薬、これは有機栽培、
こうでこうでってわかっていて、
さらに、それをみんなに届けたいっていう
スーパーの人がいたりとか、取り組みはちゃんとある。
でも、そこと消費者の距離が、まだまだ大きくある。
やっぱり相互のアプローチをもって、
いかに、より自然な感覚で生きていけるか。
伊藤
その「食」のことで言うと、
娘が小さい時に、ある料理家の方と仕事をしたのですが、
その方が、
「あのね、子どもはね、ちゃんとご飯をつくってれば、
いい子に育つのよ」っておっしゃっていて。
そうか、たしかにそうだなって。
安藤
ですよね。
伊藤
「別に豪華じゃなくていいから、
炊き立てのご飯とか、
ちゃんと出汁をとったお味噌汁があれば」って。
たのしそうに、美しく料理をしてるなかで、
そんなふうにサラッと言ってくださって、感激しました。
「まさしくそうですよね!」って。
忘れがちですけれど、
お母さんがご飯をつくってくれるって、
すごくうれしいし、基本だなぁ。
安藤
本当に共感しまくります。
私、さらに、その答えが、
「菌」にあると思っているんです。
伊藤
菌?
安藤
今、そのことを追究していて。
そんなふうに考えていくのが好きなんですね。
お母さんのおむすび、なんでいいんだろうっていったら、
お母さんの手の菌がいっぱい入っているから。
味噌はその最たるもので、
発酵していく中で、麹と手の菌が、
その家にとってベストな菌をつくるためのミーティング、
たぶん長期ミーティングを繰り返してくれている。
「あぁ、こんな感じの家なんだ」
「そうしたら、こうしたほうがいいんじゃないか」って。
味噌がね。
伊藤
おもしろい(笑)!
マンガの『もやしもん』みたい。
安藤
えぇ、知らない!
伊藤
主人公は農大の学生で、菌が見えちゃう人なんです。
そして菌が語り始めるの。まさに。
安藤
やっぱり、語ってるんだ!
今、除菌、除菌、除菌じゃないですか。
たしかに除菌も大事だと思うけど、
やっぱり、お母ちゃんの菌で
自分は育ったなぁと思ったら、「食」。
伊藤
うちの娘が小さい時にパリに行って、
きれいなものがすごくたくさんあるなかに、
汚いものもいっぱいあるのを見たんですね。
そして東京に戻ってきて、地下鉄に乗った時、
「なんか無菌室みたいだね」って。
「本当だね、なんてきれいなんだろう、東京って」って。
じゃあパリの居心地が悪いかというと、
居心地はよかったんです。
そんな東京も、住んでいると、麻痺するんですけれど。
ああ、今回、高知に来て、ほんとうによかった。
安藤
すごくうれしいです。
伊藤
そうそう、昨晩、居酒屋に行ったら
「桃ちゃんに会った?」って言われましたよ。
結構ね、行く先々で、
「桃ちゃん」「桃ちゃん」と言われてて、
桃子さんって、すっごく馴染んでるんだなぁ。
すごいことですよ。
愛されてる。
安藤
うれしい。私も愛してるから、心から。
伊藤
たくさん取材をして、高知を肌で感じた最後に、
こうして桃子さんに会えた。
よい時間の過ごし方をしました。
ほんとうにありがとうございました。

撮影:ほぼ日刊イトイ新聞

安藤
次にいらっしゃったら、山に行きましょう。
野いちご、イタドリ、ハナミョウガ、
食用のものがどんどん自生で広がっていますよ。
私も子どもも夢中になって、
案内の人からは「もうちょっと早く進まない?」って
言われちゃうくらいなんです。
野草の効能を知っている人と一緒に行くと、
「これは何々に効く」って教えてくれて。
それを食べると、本当に効くんです。
びっくり仰天の連続!
そしてね、その野草だらけの山の湧水を飲むと、
本当に、その水は、ちょっと薬草っぽいんですよ。
これ、高知にちょっと住んで、
だいぶ感じられるようになったことなんです。
感覚的には、高知は、
見えない微生物に至るまでが幸せです。
伊藤
次回は、それを体感しに来ますね。
安藤
ぜひ! ありがとうございました。
伊藤
ありがとうございました。

トゲトゲの町。

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伊藤
ある程度大人になるまで
東京にいたからこその驚きもありますか?
私は訪れた先で、「なんでそんな喜ぶの?」
って、土地の人に言われるんですけれど。
安藤
言われますよ、「なんもないのに」って。
「なんもない高知に来てくれて、ありがとう」って。
でも私からしたら「全部あるから、高知に。
こちらこそありがとう」です。
伊藤
高知市内にあるセブンデイズホテルのオーナーの
川上絹子さんもおっしゃってました。
「なんでこんな高知のこと好きになってくれるのかしら」。
私は「いやいや、好きになるよね」って。
安藤
うんうんうん。地元の人は、そう思っちゃうんですよ。
いま企画している「カーニバル00 in 高知」も、
目的は「リマインド」、再発見なんです。
高知の人たちに、気付いてほしい。
自分たちが当たり前だと思っていることが、
「えぇ、そんなすごいことだったの?」って。
これは高知に限らず、日本全体がそうだと思うんです。
日本人って、外国から見たら、
とんでもないオリジナルな多様性の国です。
『逝きし世の面影』っていう本があって、
黒船時代のことが書いてあるんですが、
それを読むとすごくおもしろい。
海外の人が、江戸時代に日本に来て
びっくりしたことを書いたエッセイ集のようなもので、
読むと、私たちが思っている日本人のイメージは、
一回、なんか西洋に出されて、ちょっと変えられて、
また私たちにインプットされた結果、
勘違いしたままのものなんだなって。
これを読むと、いかにいろんなことが
混ざりに混ざっていて、
でも、ベースは、とっても土着的というか、
縄文的で、みんなハッピーっていう、
全然閉鎖的じゃなかったんだってわかるんです。
エロティシズムとかもね、もう、バクハツ(笑)。
伊藤
おおらかですよね、江戸までは。
たしかに高知は、今もおおらかかも。
飲み屋さん行くと、案外、お年を召した
おじちゃんとおばちゃんが、
イチャイチャしてたりするんですよ。
安藤
うんうんうん!
伊藤
それ、私、結構、「いいなぁ」と思って。
年甲斐もないとか、そうじゃなくて、自由。
安藤
ラテン気質ですよね。
伊藤
すごいよかった。
しかも、なぜか、
見知らぬ私たちにおごってくれたりして。
安藤
そうなの、すぐおごってくれる。
伊藤
さっきおっしゃった、
「愛してるから、愛されてる」じゃないけど、
そういう気持ちにさせてくれる何かが
この土地にあるような気がします。
安藤
そうですね。それは利害関係じゃなくて、
なにかしてもらったからこう返さなきゃっていう感覚は
高知にはない。むしろ「なんかいいこと」を
みんなでぐるっと回している感じなんです。
伊藤
みんながそうなればいいのにね。
安藤
うん。
伊藤
都会にいると、私、モタモタしてるから、
ちょっとした人混みで
「チッ」とか舌打ちされたりします。
厳しいって思う。
もっとね、おおらかになればいいのにな。
安藤
絶望感をいっぱい感じることがあります。
私、移住してきた当初、
都会に行って仕事をしていたら、
やっぱりぶつかりそうになって、
それこそ舌打ちをされちゃって、
「あ、すいません」ばかりで。
それで高知に帰ってきて、
スーパーの前で、自転車が私にぶつかりそうになり、
キーって止まった時に、
東京のまんまの感覚だったから、
きっと向こうが文句を言うと思ったんですよ。
だから私は先制して険しい顔で振り返っちゃった。
そしたら、ここは高知だから、
「ごめんねぇ~、大丈夫やったぁ?」みたいな、
そこから会話が始まるような、
ゆったりしたテンションなわけです。
私、ものすごく反省して。
「あぁ、申し訳ないです、私、本当に忘れてた。
もうすでに忘れてた、高知はこうだったよ!」って。
そのあと、子どもの手を引いて高知の町を歩いていた時、
たむろってる不良っぽい若者たちの前を通ったんです。
私はうっかり東京の態度で、トラブルが起きないように
「やる気?」みたいに、ちょっと防御する感じでいたら、
その子たち、「えぇ、メッチャかわいい!」
「何歳っすか?」って。
あぁ、本当にごめん。ここは高知だった〜って。
見た目はそうでも、みんな、そうなの。
伊藤
へぇ!
安藤
携帯ゲームに夢中になって歩く子も見かけることがないし。
ゲームが悪いとは思わないけど、
五感で楽しいことがたくさんある。
『Pokémon GO』は時々、大人がやってるけど(笑)。
伊藤
5年くらい前、矢野顕子さんとお会いした時に、
「愛されるためには、まず自分が愛すること」って
おっしゃっていて。
すごく深いなあ、そうだよなあって。
いろんなことが、そうですよね。
自分がされたいんなら、まず、自分がするべきだなと。
高知の人は、そう気づいたからやってるんじゃなくて、
最初から、それができてるんですね。
安藤
高知に限らず、もともとは、そうなはずですよね。
誰しもが。
困っている人がいたら、助けたい、それがうれしい、
それをできる自分もすごくうれしいみたいなこと。
みんなそうだと思うけど、それなのに、
やっぱりどこかで、欠乏感があると、
足りないから奪わなきゃと思ってしまう。
ものも、これに価値があるって決めた瞬間から、
価値がないものが生まれてしまう。
芸術もそうですが、
生きること自体がクリエイティブなはずだから、
経済的な考え方では絶対に答えが出てこないはずなのに、
「これはクリスタルじゃないから、価値がない」とか、
「これはプラスチックだから」とか、思ってしまう。
伊藤
みんな、1個だけある正解を信じていて、
それに向かっている気がします。
でも、その正解って、じつはどうでもいい。
たとえばお店で運んできてくれた人に、
「ありがとう」って言う。
でも「『ありがとう』とか要らないから」
って言う人がいる。
安藤
「『ありがとう』とか言わなくていいの!
お金払ってるんだから」みたいな。
伊藤
東京は大好きな街でもあるんだけれど、
時としてトゲトゲする。
でも世界には挨拶が当たり前で、
そのことで循環してる社会がたくさんありますよね。
そっちのほうがラクだと思うんだけれど。
そういえば、知らない大人から挨拶をされたら、
無視するように都会の子どもたちは
言われるようになったって聞きました。
マンションでも張り紙がされて、
「子どもに挨拶をする人がいるけど、やめてください」。
安藤
なんてこった!さみしくなっちゃう。

残高3000円でも。

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安藤
高知に移住してきて、思うことがあるんです。
「これから、私たち、どうなっていくの?」って。
私、東京で仕事をすることも多いから、
経済の動きに基づいた所で暮らす感覚も知っているし、
同世代の話を聞くことも多い。すると周りの人は
「将来、社会保障は期待してません」とか、
「年金は貰えないと思う」、
そんな声が聞こえてくる。
私の世代だけじゃなく、
私の両親(奥田瑛二さん・安藤和津さん)も
ずっと上の世代だけど、全然期待していない。
で、期待してなかったら、どうするかっていったら、
「自分たちでなんとかするしかないよね」、
そうみんな思うわけじゃないですか。
特に、クリエイティブ系の仕事をしてる人は、
自分がやりたいことをやり続けて、
老後も生きていきたいっていう人が多いわけで、
しかも社会保障が期待できないのだったら、
老後までに、どれだけ資産を増やせばいいかのかって
考えるじゃないですか。
伊藤
うん、うん。
安藤
その資産というのは何だろう?
その人にとっての資産は何か? って考えたんです。
私の場合は、お金ではなくて、
子どもが「お腹すいた」って言った時に、
何億円、何兆円、口座にあっても、
米一粒与えられなかったら、まったく意味がない。
だから私の資産というのは、
やっぱり食べることだと思うんですね。
自分も食いしん坊だからなんですけれど(笑)。
伊藤
私もそうですよ(笑)。
安藤
そこで高知なんですけれど、
ここには目の前に山・川・海があって、
ちょっと釣り竿を出したら、魚が獲れる。
そこら辺で、食べられるものが
季節ごとになっている。
街路樹でも食べれるもの、
ヤマモモとかビワが、なってるし。
高知のこの環境って、
自然、イコール、安心感なんです。
市内の中心に暮らしていても、
それを感じられるんですね。

撮影:ほぼ日刊イトイ新聞

伊藤
東京で震災に遭ったらどうするんだろうと思います。
店以外何もない! みたいな。
安藤
そう、3・11の時、私は東京にいて、
それを最初に感じました。
オイルショックは体験してないけれど、
お金を積んでも買えないっていうか、
必要なものがあってもお店の人から
「売らない」って言われたらどうなるか、
っていうことだし。
伊藤
私はちょうどその時、松本に住んでいたんですが、
松本は湧水もあって、水道が出なかったとしても汲める。
それこそ、実もなるし、近所づきあいもあるし、
「きっとなんとかなる」という、
気持ちの上での救いがありました。
でも、これ、東京だったら、どうしてたんだろうと思って、
気持ちがザワザワしたんです。
東京に住んでいるみんな、
大丈夫かなっていうのもあったし。
安藤
どうにもならなかったです、東京は、本当に。
伊藤
無力なんだなって思いました。
安藤
でも、我々は、本来は自然そのものじゃないですか。
伊藤
そう。動物の一部なのに。
桃子さんって、東京生まれで東京育ち、
しかもロンドンやNYにいた人なんだけれど、
すごく自然児な感じがしますよ。
安藤
自然児です。それは、奥田さんです。
うちの父、超自然の中で生まれ育って、
ボーイスカウトの隊長をずっとやってたりして。
伊藤
へぇ!
安藤
小ちゃい時に、私もそんなふうに育てられて。
学習院に通っていたんですが、
あの学校は、意外なことに、
そういう教育をするんですよ。
根性と、自然の中で
いかに生き延びられるかみたいな(笑)。
伊藤
へぇ、意外!
安藤
私、4月に口座残高が3,000円になって。
伊藤
えっ?!
安藤
それで‥‥、
伊藤
えっ、えっ(笑)?!
安藤
よくそういうことがあるんですよ。
いろいろやりたいことにつぎこんでしまって、
気がついたらお金がないっていうこと。
でも、こういう仕事だから、
受け取るはずのお金の支払が遅れたりもして、
その時は、そういうしわ寄せが一気に来てしまい、
予想していなかった事態になってしまったんです。
それでいちど「どうしよう?!」と、
心臓がドクってなったけど、
その時、知り合いと山に行って、
そこに生えている野草を
いっぱい食べながら歩いたんですよ。
伊藤
へえ!

撮影:ほぼ日刊イトイ新聞

安藤
高知には「すごい山」がいっぱいあって、
食べられるものが自生しているんです。
野草に詳しい人もたくさんいて、
今、それを防災にっていう動きもあったりして。
私たち、もし南海トラフが来たときに、
何がまず必要かっていったら、食料。
だから「食べられるものを知っておこう」。
すぐそこが山だ、川だ、海だってなるから、
避難生活にそれは役立つよねと。
それで、山を歩いていたら、だいぶ冷静になって。
「これは幸せじゃないか?」と。
残高3,000円でも。
伊藤
うん。
安藤
さらに「桃子、金がないらしい」っていう噂になって、
自転車を運転していたら、
「桃子ーっ!」って呼ぶ人がいるんです。
向かいの居酒屋のおばちゃんから、
商店街のみんなが通りがかりに、
かごに野菜とか突っ込んでくれる。
さらに、家に帰ると、惣菜が届いていたりして。
伊藤
すごい(笑)!
安藤
何度もそんなことを体験しています。
それは、高知の県民性である
「どうぞどうぞ気質」とともに、
「今の世の中、大問題がある。不安だ。
それをどう解決したらいいか」の手前に、
どこまで行っても自然ベースの
安心感というものがあるんです。
その中で私はどう生きていきたいかっていうことで、
ひとりひとりが生活をしているんですね。
時には苦しい思いをしたりしながらも、
「人生いろいろあるよね」って、
高知ではそういう「人のあり方」を感じられる。

ギュッとする時間。

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安藤
先日、参議院選挙戦がありましたけど、
形をつくっていく、仕組みをつくっていく、
システムを生み出すという意味で、
行政というものがあって、そこにはルールがあり、
資本主義の「社会ベース」で成り立っている。
けれども高知は、
「自然ベース」の社会なんですね。
逆なんです。

撮影:ほぼ日刊イトイ新聞

伊藤
うん、うん。
安藤
そして、それが昔もいまも、うまくいっている。
というか、高知って、取り残されて、
変わらずに来たゆえに、
大事なものが残っているんです。
伊藤
ほんとうにそう感じます。
現代なのに。
安藤
そう、ここには文明というものもあって、進化もしてる。
私がなぜ高知に来てしまったかというと、それです。
ここが最先端だと思ったんです。
たぶん、高知が、私にもともとあった
感覚と価値観を開眼してくれた。
そのポイントは「社会ベース」ではなく
「自然ベース」だということです。
伊藤
たしかに高知って、
社会と自然のバランスがすごくいいですよね。
安藤
はい。きっと食のことをなさってる伊藤さんは、
それを感じていると思うんです。
社会と自然のクロスポイントが高知では見出せる。
伊藤
だから「長く滞在したい」って思うのかも。
そういえば料理家には、
トラネコボンボンの中西なちおさんのように
高知を拠点になさっている方や、
高知に移住なさった有元くるみさんのような方が
いますものね。
安藤
クロスポイントって、縦軸と横軸が必要ですよね。
でもみんな、縦軸にばっかりに集中してきた。
だから経済成長‥‥どころか、
疲弊しまくっちゃってる。
横軸が、全然伸びてきてなかったんです。
でもその横軸が高知には最初からあって、
伸びるどころか、地場、土の中でずっと張り続けている。
伊藤
そっか、だから、食に関心のある人は、
高知にくると、すぐにピンと来るんですね。
安藤
はい。きっと高知には、
次のものごとを生み出すひな型がたくさんあるんです。
伊藤
そういうことに気付いたのは、
海外にいたことが影響しているのかな?
自由にものを考え、
客観的に日本を見るようなこと。
安藤
はい。イギリスにいた影響も大きいですね。
みんな政治のことを考えるし、
というか、無意識ではいられない。
そして、政治ができないことを芸術がやるということも、
強く実感できるんです。
私は、映画監督を目指した時からずっとそうですけど、
日々ニュースを見たり、新聞を読んだりして、
そういうことを思ってきました。
その答えが、高知にはあったんです。
これからも政治が仕組みをつくっていくのだけれど、
そこに気持ちが入らなかったら、きっと破綻します。
でもその「気持ち」の部分を、
高知の人は、最初に持ってくる。
伊藤
高知に住むって3秒で決めたというのも、
そういうことを薄々感づいていたからでしょうね。
安藤
そうですね。それで
「革命を起こすならここだ!
お父さん、私は移住します!」
みたいな感じで父に言ったんです。
伊藤
お父様(奥田瑛二さん)は
どんな反応だったんですか。
安藤
私がやろうとしてることを、
うちの家族はみんな知っていたから、
「おぉ、そうだな。
でも東京にいたまま、高知がいいと言っていても、
何も動かない。高知に腰を据えなさい。
早急に移住したほうがいい」
という感じでした。
伊藤
高知にピンと来る人なら、
東京との距離は気にならないんじゃないかな。
むしろ、すごく近くにあるような気がするくらい。
だから家族のみなさんも、
離れても、寂しいとか、
そういう感じじゃなかったんじゃないかな。
安藤
そうですね、それはそうかも。
それに、家族にとって、
ずっと私はイギリスにいて、
「いつもお姉ちゃんはいない」
みたいな感じだったから、
高知に移住すると言っても、
「この人は、やっと帰ってきたと思ったら、
やっぱり、また出ていくのか」
っていうくらいだったと思います。
伊藤
(笑)
安藤
高知で子育てをしていて、
すごく実感することがあるんです。
母がそのように私を育ててくれたんですが、
子どもへの愛は、時間じゃなくて、濃さだと。
ずっと一緒にいても、
イライラしちゃったりしたりすることだってあるわけで、
お母さんが幸せに、自分のことを一所懸命やっていて、
その中で切り替えて、家に帰ったらもう今日は
ここから娘の時間だっていうのを、ギューッと。
1日に1回必ず、そんな凝縮した愛の塊の、
ラブラブな濃い時間を、絶対に、娘と過ごします。
伊藤
2人住まい?
安藤
そうです、離婚したから、2人きり。
だから2人きりのラブラブタイム(笑)。
伊藤
うちも娘と2人暮らしで、
今20歳なんだけれど、
ラブラブにしようとすると。
もう、嫌がられるんですよ。
16歳くらいからだったかな。
安藤
えぇーっ?!
伊藤
だから、寝てる間に、
そっと近づいて。
安藤
それじゃ、まるでお父さん(笑)。
でも、すっごいわかります。
伊藤
そのうち「キモい!」とか言われちゃうから、
ラブラブできる今を十分堪能してください。
安藤
そうします。
やっぱりそうか、15、6まで。
伊藤
‥‥12くらいからだったかも?
「ママ、気持ちわるいなぁ」って言ってた(笑)!
安藤
そのくらいかもしれないですね、たしかに。
伊藤
私は気づかないふりしてたけど、
安藤
(笑)
伊藤
だって、すごく好きだもの!
うちも、私がしたいことがあって、
仕事をしていたから、一緒にいる時間は少なかった。
だからこそギューってする時間をつくってました。
そんなふうに仕事をしてきたことについては、
18歳くらいの時に、
「ママがママとして生きてるから、すごく楽」
って言ってくれました。
「ずっと見られてても辛いし」って。
安藤
うんうんうん。
伊藤
「私もしたいことが自由にできるのは、
ママがしたいことをしてるからだね、ありがとう」って。
安藤
私も、母に対してすごくそのことを思います。
伊藤
きっと、そうですよね、働いていても、
濃密な、ギュッとした愛情の時間を持つこと。
安藤
娘って、お母さんがしんどそうっていう姿とか、
辛そうなのに何かやってるっていうことが、
ものすごく気がかりじゃないですか。
とくに、小っちゃい時とか。
伊藤
敏感に感じ取るんですよね。
安藤
だから、不機嫌でいたり、疲れを見せるのは、
「どうなんだろう?」って。
仕事を一所懸命やったあとは、
体は疲れてるかもしれないけれど、
子どもとギューっていう時間は持とうと。
今、そのいいバランスが少しだけわかってきました。
伊藤
どんなふうに育つのか、楽しみですね。
安藤
ほんとに!
あれ? 私、なんでこの話に今飛んだんだろう?
すぐ話があっち行ったりこっち行ったりするんです(笑)。

振り返ってる場合じゃない。

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伊藤
頭に思い描いたものを映画にする。
そのためにキャスティングする時は、
この人はこれだっていう枠組みの想像を超える
キャスティングをするわけですよね。
安藤
はい。
伊藤
『カケラ』で、志茂田景樹さんが
ちょっと出てくるじゃないですか。
あのシーン!(笑)
安藤
(笑)
伊藤
一瞬でしたよね、出てきたの。
あの後に、きっと家族で食卓を囲むシーンが
あると想像してたんだけど、ない。
あれ、すごいなぁと思って。
安藤
うんうん、あれだけでしたね(笑)。
伊藤
そう。それが、すごいインパクトで、
かなりのショックで。
安藤
あれは映像だからこそできることですよね。
魂の奥に最速で届くのは、まず音。
音楽は、ポーンって1音鳴らしただけで、
涙が出ることもあるわけですから、
さらに魔法に近い表現です。
映画はその音があり、
映像という、ある種の衝撃があり、
観る人は次に何が来るか予想できないという仕掛けがある。
スッと終わっても、そこから引き込まれ、
「あっ」って、何かが開いたところに、
感情とか、いろんな栄養が奥深く入ってくる。
映画はそういう仕組みを持っているんです。
文学は、読む人が、自分の想像力で広げてくれる。
それはそれで本当に素晴らしいもの。
そういう意味では、
小説と映画はまったく違うと思います。
伊藤
『カケラ』は桜沢エリカさんのマンガ
『LOVE VIBES』が原作でしたよね。
ご自身が原作を書かなかったのは、
「これだ」みたいな、交わりを感じたからですか。
安藤
処女作を撮る時に、考えたんです。
長編と短編って、やっぱり全然違うので、
長編を監督したことのない自分が、
監督としてどんなものかがわからない。
初めてのことだからこそ、
大きな、柵も見えない牧場の中で
撮ったほうがいいと思ったんですよ。
伊藤
その「大きな、柵も見えない牧場」が、
原作がある、ということなんですね。
安藤
はい。いくら助監督をやっていたとはいえ、
何も知らない子どもと同じで、
自分自身に対して未知数だから、
オリジナルを選んだら、
子どもが料理した時みたいに、
無茶苦茶なことをやりかねないと感じました。
一作目からオリジナルが撮りたかったからこそ、
「このお皿の中だよ」って、
その中で大いに描くっていうことをすれば、
たぶん、処女作は、どこまでも自分の感性を
表現できるのかなと思ったんですね。
伊藤
あの時は、20代?
安藤
はい、20代です。
伊藤
私、この前『カケラ』を見返した時に、
自分の中で、若い頃、置いてきたものが
これだったのかもみたいな、
キュンとした感覚をおぼえました。
ご自分では、その時の気持ちそのままなのか、
私みたいに、
「そうそう、こういう若い頃って、
こういうところがあるよね」って、
思い出しつつ表現したのか、どっちなのかなと。
安藤
その時のままです。
エピソードとして、
若い頃、こんなことあったな、っていうのは
盛り込みましたけれど、
あとは、主役の2人
(満島ひかりさん、中村映里子さん)の
ど真ん中の若さに任せたいというのもあったし。
‥‥って、実は、こんな話をしていていながら、
『カケラ』のこと、ほとんど忘れてるんです(笑)。
伊藤
えっ?!(笑)
安藤
どんな映画だったっけ? って。
というのも、私、自分が撮った作品って
全然見ないんですよ。
もちろん編集中はずっと見ているし、
ゼロ号、初号は見ます。
公開初日や、映画祭でお客さんの反応が見たいとか、
最初の数分と、途中の気になる所、
このシーンの反応を見たい、というときには
そっと館内に入りますが、
それ以外は見ないんです。
伊藤
だとしたら、今ご覧になられたら、
「こんなことを思ってたんだ!」って
思うかもしれませんね。
でも私も、自分の書いたものや、仕事は、
ほとんど見返しませんね。
単行本を資料として見返すことはときどきあるけれど。
安藤
うんうんうん。
伊藤
昔のことを振り返ってる場合じゃない! というか。
安藤
ですよね(笑)!
それがひどすぎて、撮って、公開に向けて
その作品のインタビューを受けている時に、
「どんな作品ですか」とか訊かれても、
もうすでに忘れてて、
「えぇと、どんな作品だっけ?
ちょっと待ってください」なんてことも。
なので、テレビに出るときは、
「主人公が何々で、この人がこうで、
こういう役だったよね。
こうでこうで、こう。はい、覚えた!」
って、全部言えるようにして(笑)。
伊藤
じゃあ、今は、次に向けて、蓄え中?
だって、始まったら、
湖に飛び込んじゃうんですよね、
息が続く限り。
安藤
そうなんです。
今──、人生で見たことがない、
最高におもしろい映画を見ている途中なんです。
こんな映画は私以外見たことないんじゃないか?!
とすら思っています。
というのも今、「カーニバル00 in 高知」という
大掛かりなイベントを企画していて。
伊藤
今年、開催されると聞きました。
安藤
はい。土佐の知恵と、
日本中から集まった知恵を混ぜ合わせるお祭りなんです。
食の力があふれて、人間らしく生きる力が輝いていて、
自然との循環がずっとあるこの場所を舞台に、
農業はもちろん、
映画、音楽、いろんな分野の専門家を招いて、
未来を考えようっていうイベントを、
若者巻き込み型、同時多発の、
街フェスとして開催しようと。
それが終わったとき、その後の自分は、
いったい何を撮るのかなぁって、
逆に、楽しみになっているんですよ。
「こういうのを撮ろう」と思っていたことや、
やりたいと思っている企画は常にあったけれど、
このイベントに関わったら、
どれも違う、今じゃない、それじゃない、
っていう気しかしなくなって。

撮影:ほぼ日刊イトイ新聞

伊藤
その後の桃子さんがどんな映画を撮られるのか、
すごく楽しみ。
安藤
はい。このイベントを立ち上げる過程で
筋力がついていると実感していて、
映画監督としての超スーパー強化合宿を、
今、受けている感じがするんですよ。
それがそのまま映画という形に
なるわけじゃないですけれど。
伊藤
イベントの日程はいつですか。
安藤
11月の2、3、4日(土・日・月/祝)の開催です。
伊藤
きっと新しい何かなんでしょうね。
安藤
そうなんです。
新しい地球を描こうとしてるんです。

海の底に降りてゆく。

未分類

安藤
私、日本にいた頃から、
クラスで浮いてた子だったんです。
うちの母も、何回も呼び出しを食らったし。
伊藤
小・中の頃?
安藤
もうずっと!幼稚園から、高校1年まで(笑)。
伊藤
気が強いっていうことじゃなくて?
安藤
むしろ、自分だけのファンタジーの世界にいました。
先生の話も聞いてないし。
いつも鼻の下のばして、口あけて、
「ボーッ」でした。
伊藤
へぇ!
安藤
今の私には、結構はっきりものを言う
印象があるかもしれないですけど、
実は真逆で、数字のカウントで行くと、
1、2、3、4じゃなくて、
にぃ、しぃ、ろぉ、やぁ、とぉ‥‥、
というタイプです。今でもそうです。
伊藤
ええっ?! 妹のサクラさんとふたりで
インタビューを受けているのを
テレビで拝見したんですが、
桃子さんは自分の言いたいことが
全部言葉にできていて、
サクラさんは、ポヤーンとしていて‥‥。
だから桃子さんは「長女です!」みたいな
役割をしっかり自覚してるのかなって。
今日も、発してくださった言葉には力があり、
もともとそういう人なのかなぁと、
そんな気がしていました。
無駄がないですよね、言葉に。
安藤
えぇ? 本当ですか。
今日は、いっぱい褒められて、どうしましょう(笑)。
たしかに、姉妹としては、
そのパターン、あるかもしれないです。
でも、あの子のほうが、
意志も強く、軸がぶれないですよ。
私のことをサクラが表現していて、
すごい、この人、私を理解してるなぁ、と思ったのが、
「お姉ちゃんは、湖でなのか、
海なのかわからないけど、
バーンっていきなり飛び込んで、
探求しようと思うのか、
なんとかしようと思うのか、
どんどんどんどん潜っていって、
きっとそのまんま死んじゃって、
浮き上がってこれなくなる。
だから私はいつも水面に浮いて、
『お姉ちゃーん』って、
万が一の時、糸を垂らす役割をしてる感じ」
と。
私はたしかにそうなんです。
「あれだ! 何か光った。
たぶんあそこに何かある!」って、
みんなに「行ってきます」も言わずに、
自分が帰る距離の間に呼吸が続かないことも忘れて、
危険なくらいまで潜って行っちゃうんです。
本当にそういう関係性なので、
私はサクラをものすごく信頼しているんです。
伊藤
サクラさんのその言葉は、
「お姉ちゃんってさ‥‥」みたいな感じで、
直接、言ってくれたんですか。
安藤
いいえ、何かでインタビューに答えてました。
伊藤
そういう話って、姉妹間ではしませんか。
ちょっと照れくさいかな?
安藤
それが、意外と、言うんですよ。
「お姉ちゃんはこうだから、こうじゃん?」とか。
伊藤
今、お仕事は「映画監督」ですが、
何をしてるのがいちばん楽しいと感じますか。
安藤
全部、映画です。
伊藤
全部、映画?
安藤
これは私の構造なんだと思うんですけど、
いつも常に、自分の中で見ている映画があるんです。
それは、いくら説明しても、
みんなには映画として見せられないから、
実際の映画にして見せている。
伊藤
頭の中に、映像が?
安藤
そうです。今日も映画ですし、
自分の体験の全て、
いつもすっごいおもしろい映画を
見てるっていう感じなんですよ。
伊藤
へぇ。昔からですか。
ファンタジーの世界で生きていたという
小っちゃい時から、映画だった?
安藤
そうですね。
みんな、夢を見ますよね?
夢って、ちゃんとカット割りが
できてるはずなんですよ。
伊藤
(笑)! あぁ‥‥。
安藤
基本は自分の見た目で人が動いている、
でも、自分を客観的に見ることもある。
自分が動いてる姿とかを。
伊藤
なるほど。
安藤
もしくは、自分が一切出てこなくて、
他の周りの人たちしか登場しない
パターンの人もいるかもしれない。
いずれにせよ、状況も、環境も、
登場人物の言っていることから、
関係性全てがわかって夢を見ているってことは、
カット割りができてるってことなんですね。
伊藤
それを、「あ、そうなんだ」って
意識し始めたのはいつから?
安藤
10代じゃないかな。
夢日記っていうのをずっとつけていて。
伊藤
へぇ。
安藤
夢って、思い出そうとすると、
人に話し始めると忘れちゃう。
「あぁ、わーっ、消えちゃった」って、
霧がパッと消えるみたいに掴めない。
でも夢日記をつけていくと、
そのトレーニングで、
つなげられるようになってくるんです。
夢日記は、見た夢は記憶していられるということを
証明したくて始めたトレーニングなんです。
伊藤
夢日記っていうのは、絵で?
それとも、文章で?
安藤
文章ですね。夜中に起きて、書いていました。
伊藤
もしかして、小説を書かれることとは、
また違う?
安藤
夢日記から書いた短編の連載は、昔、したことがあります。
『0.5ミリ』には、ほとんど夢は入っていないんですけど。
伊藤
言葉で表現できることと、
映像で表現できることっていうのは、
また、違うんですよね。
安藤
小説は、詳細までちゃんと説明しないと
伝わらないじゃないですか。
戸を開ける手つきも、
「髪をかき上げた」も言わなきゃいけないし、
その時の気持ちも全部書く。
それを表現することが大切だったりします。
しかも、1人の作業でコンプリートできるから、
完全なる主観です。
映画はそうじゃなくて、
そこに自分が見ていたものはあっても、
新たな軸が生まれるんですよね。
そして、時間の魔法使いになれる。
次のシーンでいきなり今日から1年後に飛べるし、
過去にも戻れるしっていう、
マジックの使い方が違う。
そして、演者も含めて、
自分以外に一緒に参加している人がいるから、
1+1が、自分の予想や想像したことを乗り越えて、
つくっている私すら見たことのない世界に
連れて行ってくれる。
無限の可能性が在る。
そんな生み出し方ができるんです。
伊藤
!!!
安藤
そこが、小説より、ある意味で、
リアリティに近いと思っているんです。

気持ちが先、理屈はあと。

未分類

伊藤
今日はありがとうございます。
スタイリストの伊藤です。
ただ桃子さんに会いたいっていう気持ちで
対談をお願いしました。
安藤
存じ上げております。
すごくうれしいです。
伊藤
本当にかわいい‥‥!
安藤
本当ですか。
恥ずかしい(笑)。
伊藤
私は桃子さんの顔が好きなんだと、
いま、お会いしてあらためて思いました。
かわいいだけじゃなくて、
地に足がついているというか、
スクッと立っている、
そんな意志を感じるお顔だと思っています。
安藤
本当に?! うれしい! そんな。
伊藤
高知に来たら、こちらの友人が、
桃子さんと子どもの幼稚園が一緒、
さらに「孫が同じ幼稚園」というかたにも
お目にかかって。
素敵な幼稚園だそうですね。
安藤
食育にチカラを入れている幼稚園で、
生きる根幹である食事が、
とにかくしっかりしているんです。
地元の野菜、無農薬や無化学肥料の食材を使って、
園のイベントでは田んぼもやるし、
お味噌づくりもする。
働く高知のお母さんたちがおおぜい、
子どもを預けているんですよ。
伊藤
へぇ! 選んだポイントは、
「食育」ですか。
安藤
はい。その取り組みを長年やってきた
先生方がいることは、理由のひとつでした。
初めて子どもができて、幼稚園を探すとき、
自分の理想100%の幼稚園なんてのは、
自分の脳内以外にどこにもないと気づいて。
みんな、そう思っていると思うんですけど、
予算や近さなど、何かしらが合わず、
100%はなかなかないと思うんです。
伊藤
うんうん。
安藤
その時に、1個だけ、
自分がどうしてもこれは、
っていうのは何かなと思ったら、
食事だったんです。
娘にとって初めて、私がつくったり、
わかっている以外のものを、
3年間、毎日食べるわけですから。
伊藤
そうですよね。
安藤
だったら、食育に意識が集中している所が
いいと考えて、そこを選びました。
伊藤
そんないい所があるんですね。
さすが高知。
食材がいいですものね。
日曜市に行って、料理したい欲がずんずん。
安藤
料理ができる宿があったらいいですよね。
コンドミニアムみたいな。
伊藤
そうなんですよ! それで、さっき、
セブンデイズホテルのオーナーの
川上さん
に詰め寄ってきたんです。
もちろん高知では居酒屋さんに行くのもいいけれど、
今日は野菜蒸しただけでごはんにしたい、
という日だって、旅行中、あるから。
それができたら、2日間だった滞在が、
1週間になるだろうなぁと思って。
安藤
うんうんうん。
そういう動きが出るといいですよね。
私もメモしておきます!
そういうのがあったら、
移住者も増えると思います。
半々で生活する人とか。

▲セブンデイズホテル。

伊藤
桃子さんも移住したんですよね。
『0.5ミリ』(安藤さん監督の映画)の
撮影がきっかけで、
高知っていいなぁと思ったと、読みました。
安藤
まさに自分の気質が
高知にピッタリ合っていたということと、
知れば知るほど、
みんなが思っている日本人の性質の
本質が色濃く残ってる場所だなと思ったんです。
このことは、やっと言葉にできるように
なってきたんですよ。
そんなふうに、感性でキャッチしたもので行動に移して、
後でそれを理解していくっていうパターンは、
小っちゃい時から変わらなくて。
高知に来たのも、そうなんですよ。
伊藤
先に「移住しよう!」っていう気持ちがあったんですね。
理屈じゃなく。
安藤
「わぁぁ!」と思った次の瞬間、
「引っ越す!」って、
ものの3秒で決めました。
伊藤
ピンと来た?
安藤
「この場所、この土地。私、ここで刀を抜く!」
って。
伊藤
刀!
安藤
‥‥って、変かもしれないけれど、
ほんとうにそんな感じでした。
今でこそ、地方移住というのは、
最先端なイメージを持たれているけれど、
私が「高知に移住する」って言った時、
世代によっては「都落ち」と言った人もいました。
「30代の前半で『0.5ミリ』で賞を獲って、
そんな時に、なぜ、高知に?」って。
伊藤
そんなの、まったく関係ないですよねえ。
安藤
そう、関係ない。
今は、東京が全ての中心だと思う時代から、
どこにいても、私は私である時代に
転換したんじゃないでしょうか。
伊藤
桃子さんはたしかに、どこにいても変わらなそう。
安藤
どこにいても変わらないでいるっていうのは、
変わらずにいないと苦しくなる、
ということでもあるんです。
自分のままでいられなくなる環境が、
すごく苦手っていうことを、
自分自身が知っていて。
伊藤
それは、小っちゃい時から?
安藤
海外に行ってからかな?
伊藤
高校くらいでしたっけ?
安藤
そうそう、15歳でロンドンに行って。
伊藤
その後、ニューヨークでも学ばれて。
安藤
はい。そして日本に帰ってきたら、
ここでは本音を言ってはいけないのかもしれない、
って思いはじめて。社会人になった時に。
伊藤
本音を言うと、角が立つみたいな‥‥。
安藤
留学してた人によくあることだとも思うんですけど。

いいものを、三世代で。

未分類

伊藤
そしてシルクで、
いちばん最初に作ってほしいなと思ったのは、
Tシャツだったんですよ。
カジュアルにも着れそうだし、
きちんとした印象にもなるし。
深澤
そうですよね。ジャケットを羽織ってもいいですし。
伊藤
おばあちゃんとか、いろんな年代の人に合いますし。
わたしは、母にプレゼントしようかと思っているんです。
深澤
ぜひ!
今日、私も着て感じましたけど、
きれいにデコルテが出るように
デザインされていますよね。
伊藤
「こういうのって何でないんだろう?」
ってずっと思っていたんです。
コットンのTシャツだとカジュアルになりすぎる、
だからTシャツ型でも、
ちょっと光沢のあるものがあったらなと。
深澤
下をカジュアルにしたら
カジュアルにもなりますしね。
伊藤
あと、年中、着られますよね。
深澤
着られます、着られます。
伊藤
夏も、冬も。
深澤
シルクとカシミアの組み合わせが最強だっていうふうに、
ドレスハーセルフで推奨しているので、
冬場は特にシルクのインナーに
カシミアのアウターを重ねていただければって思います。
保温性という意味では、風を通さない上着を着れば
ものすごく温かいですし。
また、このシルクの下に
さらにシルクのインナーを着ると、
夏などは、本当に快適だなって思いますよ。
伊藤
首周りのかたち、裾の始末など、
何度もやりとりをして。
もうちょっとフラットなのがいいなとか、
いろいろと意見を交換しながら、
このかたちに仕上がりました。
伊藤
Tシャツの素材は、
もともとドレスハーセルフにあったものなんですか。
深澤
ドレスハーセルフでは
ナイトウェアに使っている生地ですね。
これを使っていただいたことは、
私もとても嬉しくて。というのも、
ずっと、夜寝る用だけにするのはもったいない、
贅沢だなと思っていたんです。
ですから私は飛行機に乗るときや、
旅行先のホテルでの部屋着として着ていたんですよ。
でももうちょっと展開があったらな、
と思っていたんです。
伊藤
飛行機に乗るときって、
とくにロングフライトの場合、
着るものにすごく気をつかいますよね。
深澤
はい、気をつかいます。
伊藤
人目にさらされるから‥‥でも、
リラックスしたいし。
たしかに、そういうとき、いいかもしれない!
深澤
そうなんですよ。ぜひそんなふうにも
着ていただきたいなって思っていたんです。
だからこのデザインができたことは
個人的にも嬉しくて(笑)。
伊藤
ドレスハーセルフのデザインや
アートディレクションは、
東京のチームがなさっているんですか?
深澤
プロジェクトメンバーでいうと、
新潟では、山忠サイドの専務をトップに、
マーケティングのチームで
全ての生地やパターン、MD、
セールスマネジメントを担当しています。
そこに対して東京には
デザインと企画を手伝ってくださる
アパレルのデザイナーの方がいます。
アートディレクションを担当しているのも、
東京のデザイン事務所です。
そしてそのチームを編成した、
プロデューサーであるカッコイイ女性が中心にいます。
その方がコンセプトなど、旗振りをされながら、
さらに、セールスプロモーションとか
PRまわりを私がお手伝いさせていただいています。
つまり新潟には生産の拠点があり、
東京にはプランニングチームがいて、
2か所に分かれたチームのタッグで
進んできたブランドですね。
山忠さんとは商品企画のこととか、
これをどう今後育てていくかを含めて、
今でもかなり綿密にやりとりしながら進めています。

▲新潟チーム。左から、坂上さん、入倉さん、宗村さん

伊藤
ドレスハーセルフは、これから、
どんなふうに育てていこうと思われていますか?
深澤
やっぱりリアルなファンづくりっていうことで、
直接手に触れていただけるきっかけを
どうつくっていくか、ということですね。
基本的に山忠としては、
昔ながらのやりかたである
「直接、お客様に商品を届けたい」
という方針がありますので、
それを叶えるための施策というと、
いくら広告や露出を増やしても違うだろうと。
直販ゆえの適正価格で作り続けるという意味でも、
誠実さというのがいちばんだと考えていますから、
いたずらに費用をかけて知名度を高めるのではなく、
本質的なインディーズでやっていきたいと考えています。

▲深澤さんに着てもらいました。<プルオーバー/ ウォームシルク、シルクモダールスパッツ>

伊藤
いちど良さを知ってもらうと、
次にまた着たいって思うわけですから、
まず知ってもらうことが、すごく大事ですよね。
深澤
そうなんです。
今もよく百貨店さんでイベントを
させてもらっているんですけれど、
それは百貨店というのは本当にいいものを探しに、
少しコンサバティブなお客様がいらっしゃるから。
まだ立ち上げて早々のブランドですが、
ものの良さという自信を持って堂々と構えたいと思い、
はじめから、百貨店さんに協力をいただいています。
そして、いま、百貨店のお客様は、
年齢層が少し高くなってきているので、
そこの部分も私たちは大切にしたいところなんです。
逆に、お母さま、おばあちゃまが家で
「これいいでしょう」って言って、
お嬢様が「いいじゃん」、
そんなふうに三世代に受け入れられたらうれしいですね。
「母から子に」っていうストーリーも
とても合うブランドだと思うので。
伊藤
三世代、素敵ですね。
わたしは冬にカシミアの毛布を使ってるんですけど、
娘がちっちゃい頃、ワアーって、頬ずりをしてたんですよ。
ああ、分かるんだと思って、買ってあげたんですね。
それを使ってたら、母が「いいわね」と言うので、
また買ってあげて。
年齢が高くなればなるほどデリケートになっていくから、
いいものが欲しくなるんでしょうね。
まさしくうちは「いいものを、三世代で」です。
だからドレスハーセルフは母にもプレゼントしたいな。
深澤
とってもうれしいです。

▲深澤さんに着ていただきました。<セーター/シルクコットンVネック、シルクモダールパンツ>

伊藤
深澤さん、きょうはありがとうございました。
ドレスハーセルフのことが、よくわかりましたし、
ますます好きになりました。
深澤
こちらこそありがとうございました。
長く着ていただけたらと思います。

(おわります)

株式会社山忠 マーケティング本部
入倉光子さんのはなし

新潟と東京、ふたつのチームで製作をはじめた
ドレスハーセルフですが、
中国からあがってきたサンプルを検討するために
山忠に集合し、
それぞれのチームで検討し、
至らない点は修正をして‥‥、
というふうに、入念につくっていきました。
素材についてはもう何十年も
「山忠」が培った経験が生きますし、
自信をもっておすすめできるものですけれど、
デザインがまったく新しいわけですから、
着用してみないとわからないことが多いんですね。
私たちももちろん着ましたが、
社内で、40代のごくごく一般的な
女性社員をモデルにして、
サイズ感や着心地を詰めていきました。
サンプルの修正はほんとうに
何度も何度もしたんですよ。
必然的に時間がかかりましたが、
初年度の冬に、靴下7アイテムと、
Tシャツっぽいカットソー2アイテムで
スタートを切ることができました。

ターゲットとする年代にあわせて、
デザインだけでなく、靴下の色も、
これまでの「山忠」の商品とはガラッと変えました。
ビビッドなオレンジなど、これまでやってこなかった、
ファッションの差し色になるような色を展開したんです。
私たちははじめてのブランド立ち上げという不安もあって、
「この色、ほんとに売れるのかな?」
みたいな感じでしたけれど、
東京・新宿の伊勢丹を借りてお披露目をしたとき、
ほんとうによい評判をいただいて。
会期中、何度も足を運んでくださるかたがいたほどでした。

シルクのTシャツがウォッシャブルである理由は、
特殊な加工をしているわけではなく、
洗いに対する耐久性の高い、
いいシルクを使っているからです。
いちばん高級なシルクは、
着物に使うような生糸ですが、
その次に高級とされる絹紡糸、そのなかでも
上のランクのものを使うことで、
ご家庭で洗濯をしていただけるものができました。
布帛なのに伸縮性があり、脱ぎ着しやすい理由は、
ポリウレタンを10%混紡しているからです。

ドレスハーセルフの服は、
これまでの「山忠」の経験と知恵をベースにした、
あたらしいもの。
ぜひ多くのかたに着ていただけたらなと思っています。

Satomi Kawakita Jewelry×weeksdays受注会開催のお知らせ

未分類

伊藤まさこさんがニューヨークで出会った
ジュエリーブランド Satomi Kawakita Jewelry
(サトミカワキタジュエリー)と
「weeksdays」がコラボした受注会を行います。

詳しくはこちらのコンテンツをご覧ください。

今回の受注会では、リング、ネックレス、ブレスレットなど
500点ほどの商品がそろいますので、
そのボリュームと素敵さに、
見ているだけでもワクワクします。
もちろん直接手にとっていただいて、
ご試着いただけますよ。

ニューヨークを拠点としているブランドなので、
東京での受注会は貴重なタイミングです。
ぜひいらしてくださいね。

■受注会日程
9月26日(木)~9月28日(土)

■開催場所
FOG 2nd FLOOR
東京都世田谷区代田5-35-1

■営業時間
営業時間:12:00~19:00
伊藤まさこさんの在廊時間(予定):12:00~14:00

■お支払いについて
受注会でのお買い物は、
クレジットカードのみとさせていただきます。
以下をご確認ください。
————-
VISA、MasterCard、JCB
AMERICAN EXPRESS
Diners、DISCOVER
————-
現金や電子マネーなどのお取り扱いはございません。
ご了承いただけますよう、お願いいたします。

オーダーを受けての製作になりますので、
ご注文のキャンセルはお受けできません。

■受注品のお届け時期
受注会でお申し込みいただいた商品は、
12月中旬に発送する予定です。
クリスマス前を目処としています。

※ご注意ください※
お届けが12月になる関係上、
受注会での販売価格の消費税は10%となります。
ウェブで販売しているピアスについては、
受注会でも販売しておりますが、
9月27日(金)午前11時までに
ほぼ日ストアでご購入いただければ、
消費税は8%となります。

・ちいさな淡水パールのピアス
・ちいさなアコヤパールの2粒ピアス
・ケシパールのピアス
・ちいさなダイヤとパールのピアス
・イエローゴールドとパールの2wayピアス

こちらの5アイテムについては、
その場でお持ち帰りできる商品を準備しました。
(2019年9月20日追記)

口づてに、良さは伝わる。

未分類

伊藤
そして、私が驚いたのは、
ドレスハーセルフのアイテムの価格です。
とても手に入れやすい価格を設定している。
こんなに上質なものなのに、
どうしてこの価格でつくることができるんでしょう。
深澤
たしかにクオリティの高さに対して
低価格だと感じるお客様が多くいらっしゃいます。
「どうしてこんなに安くできるの?」と、
なにか秘密があるんじゃないかと
いぶかしがられることもあるほどなんですが、
なによりの理由は、直販ということです。
いわゆる「卸」(おろし)をせず、
つまり小売店での販売をすることを目的に
作ってはいないんですね。
創業当初から「行商」を行ない、
お客様に直接販売をしてきたこともあり、
それが経営の基本的な考え方としてあるので、
「卸をしたくない」のではなく、
「卸をしてこなかった」。
自分たちがこの商品をこれぐらいの値段で
使っていただきたいっていう逆算式ではなく、
原価からの計算をして価格を決めていますが、
卸であれば代理店や問屋さんに支払うぶんを、
直販では省くことができます。
それがお客様に安価に提供できている理由なんです。
伊藤
なるほど、直販ゆえのメリットですね。
逆に、直販だからこその悩みはありますか?
深澤
やはり今の時代、
オンラインショップで商品を見て、
いちども触れたことなく、
初めてのブランドを購入いただくのは難しいですよね。
それがいま、課題なんです。
伊藤
触り心地を重視するシルクや、
直接身に付ける肌着は、ことさら、そうですよね。
「weeksdays」も同じ課題をかかえていますから、
よくわかります。
深澤
伊藤さんがドレスハーセルフを知ったのは
どんなきっかけだったんでしょう?
伊藤
川島蓉子さんに紹介していただいたんです。
ぜひぜひ使ってみてくださいって。
私もそれまで知らなくて。
でも川島さん、こちらと具体的に
お仕事をなさっているわけじゃなくて、
いいものだし、郷里が同じなので
応援なさっているということでした。
深澤
そうなんです。ドレスハーセルフの立ち上げ前に、
靴下、アンクルウォーマー、ストールなど、
あたため系の服飾雑貨を川島さんにご紹介したんです。
するとさっそく、「新潟ね!」なんておっしゃりながら
受け取ってくださって、次の日かな、メールで
「これはすごい」って(笑)。
そこから興味を持っていただいて、
少しずつアパレルのアイテムが増えていくなか、
川島さんがいろんなところで紹介をしてくださって。
そのとき「すごく新潟らしい」ということを
伝えてくださったんですね。
職人技を上手く現代に活かそうとしているということです。
そんなふうに川島さんに応援いただいて、
その流れでまさこさんのご縁もいただいて、
今回の機会に繋がっているんです。
伊藤
川島さんが私に教えてくださったのは、
そういう経緯だったんですね。
深澤
オンラインだけでは難しい部分があると言いましたが、
川島さんもそうですけど、
直接わかっていただきたい方に触れていただけるよう、
各地でイベントを展開して、紹介をしています。
そこでファンになってくださったかたが、
オンラインで注文をしてくださる。
そんなふうにして広がってきています。
伊藤
川島さんのトークショーで
ドレスハーセルフのことを知って、
さっそく購入なさったお客様が
多かったと聞きました。
深澤
はい、そして、リピーターのお客様が多いですよ。
興味を持ってくださった方が、
年に数回のイベントに、お友達を連れて来てくださったり、
1年使って、ちょっとクタッとなってきたから
新しい物を買い直したいと言ってくださったり。
定番品の多いブランドなので、とてもうれしいですね。
伊藤
買い足すときも、この値段は魅力ですよ。
深澤
そうなんですよ、ホントに。
伊藤
やっぱり、良くてもすっごい高いと、
ああ、って思っちゃうし。
深澤
そうですよね。類似品があれば、
そっちに行きがちですよね。
伊藤
こんなふうに手に取りやすい価格帯でありながら、
質がとても良いことも、驚きます。
深澤
はい。シルクやカシミアは
ほとんど中国でつくっていますが、
長年、山忠が蓄積してきた関係構築の中で、
信頼関係が篤く、家族みたいなかたちで
おつきあいしている工場との強い提携があるんですね。
山忠が思う品質、レベルに叶えてくれるとか、
製品をつくる上での工夫の仕方が、すばらしいんですよ。
伊藤
工場にもよく足を運ばれるっておっしゃってました。
深澤
そうなんです。新潟から、月に1、2回は、現地に。
それも、チェックだけに行くわけではなく、
支社なみに細かいやりとりをします。
お客様と同様に、つくり手とのコミュニケーションを
とても大事にしているんですね。
さらに工場のもっと先の深いところにある
たとえば糸の生産者とのやりとりなども、
工場が責任をもってやってくださる。
だからシルク、カシミアの質が保証されているんです。
そのときそのときの、とてもいいものを
仕入れられる流通ルートが、しっかり確保されています。
伊藤
では、すでに山忠などで培った
向こうの工場とのやりとりみたいなノウハウが
もう身に付いた状態で、
ドレスハーセルフをスタートなさったんですね。
深澤
そうなんです。ドレスハーセルフは、
山忠が長年培ってきた実績が
集結しているかたちです。
伊藤
深澤さんは、ドレスハーセルフの製品、
最初はどう思いました?
深澤
私はとても暑がりでして‥‥。
伊藤
あら、暑がりなんですか?
わたしと一緒(笑)。
深澤
岩手県出身だからでしょうか、暑がりなんです。
それで、シルクやカシミアって言われたときに、
「温かいよね、あれ」とかっていう意識があまりなく、
「暑いかも」ぐらいの気持ちで接したんです。
もちろん、シルク、カシミアはいいもので、
憧れではあったんですけど。
そうしてプロジェクトに参画し、
初めて触れたとき、驚きました。
いわゆる化繊の嫌な温かさっていうのがなく、
変に蒸れるみたいなことがない温かさ。
多くのかたが「すごくいいよ」って言っていたのは
これだったのか、と、はじめて実感したんです。
「温かいの苦手って思っていたけれど、
実は化繊の温かさが苦手だったんだ」って。
伊藤
わたしも化学的な発熱、蓄熱繊維よりも、
自然素材の温かさのほうが好きですよ。
深澤
私は暑がりゆえに、そのことをずっと知らずに来たんです。
さらに普段「しょうがないか」って諦めていた
体とか肌へのストレスは、
実は自分にとってかわいそうなこと、
もったいないことだったなと気づきました。
ちょっとチクチクするとか、蒸れるとか、
ちょっとしたストレスを
今まで無視していたかもしれないと。

▲深澤さんに着ていただきました。<シルクのTシャツ、シルクモダールパンツ>

伊藤
うん、うん。
深澤
「ふんわり優しく生きていこう」というよりは、
「寒さとか暑さとか、なんやかんや気にせず、
一所懸命、仕事をしたい女性たちに、優しさを」
それがコンセプトのドレスハーセルフですから、
「お肌が弱くて」というかたはもちろん、
「肌なんかいいのよ」と、
ふだん強気でいらっしゃる方がたにこそ、
おすすめしたいんです。
誰でも働く女性ですけど、
オフィスワーカーの方は、エアコンにさらされながら、
でも男性は暑いだろうからみたいなところで、
我慢している人もいると思うんです。
そういう方を応援したいっていう意味も含めて、
「自分だけのドレス」「ドレスを着るような感覚で」
と、ドレスハーセルフという名を付けているんですよ。

▲<ロングカーディガンシルクコットン>を羽織りました。

伊藤
まさに、私たちの求めていることです。
深澤
はい。だから、伊藤さんたちと、
初めてのコラボレーションというかたちで
販売をさせていただくのは、
いちばん自分たちが伝えたいお客様に
ダイレクトに伝えていただけるというところで、
みんな、喜んでいるんですよ。
伊藤
こちらこそうれしいです。

(つづきます)

株式会社山忠 中林道治専務のはなし[2]

靴下をつくって直販をする。
そのスタイルでずっとやってきた「山忠」ですが、
インナーをつくったり、
生活用品や雑貨をつくったりと、
婦人会からの要望に応え、
いろいろな商品をつくってきました。
その中で現社長が足の冷えるタイプだったこともあって、
30年ぐらい前、シルクと綿の靴下を重ねばきする
「冷えとり健康法」のための靴下をつくりはじめます。

シルクは当時高級素材として認知されていましたが、
肌に優しいなどの健康面にも着目し、
なるべく多くの人たちに
シルクの良さを知っていただくため、
シルクの5本指靴下の販売から
始まったとのことです。

当時、すでに日本の養蚕は衰退していましたから、
国産シルクは入手できなくなっていて、
当時からシルクの一大産地だった中国にでかけました。
上海の街に高層ビルがなく、牛車も走っていた時代です。
そこでいいシルクの原料と工場を探し、
冷え取り用の靴下、肌着から初め、
上物もつくるようになっていきました。
それがのちのドレスハーセルフにつながっていくんです。
「山忠」はご年配のお客さんが多いんですけれど、
そのシルクの製品はとても評判がよかったんですが、
これは、実は都会のもうちょっと若い世代に
すごくいい素材じゃないかと思ったんですね。
仕事行くときに家を出る。冬だったら寒い。
家から駅まで寒いの我慢して歩いて、
満員電車に乗ったら、すごく暑い。汗ばむ。
乗り換えで下車したらまた寒くなって、
また電車に乗って暑くなって、
会社に歩いていくときはまた寒くなってと、
寒暖差がすごく激しいなかで生活をしている。
そんなとき、シルクは、とってもいい素材なんですよ。
田舎のこういう寒いとこで、
ご年配の方の健康にもいいけれど、
都会のもうすこし若い人にもいい素材じゃないか、と。
じゃあ、それを企画してみよう、と、始まったんです。

新潟だからこそ生まれたもの。

未分類

伊藤
ドレスハーセルフは、
新潟の靴下メーカーが立ち上げた
女性もののアパレルブランドですよね。
先日、その母体となる新潟県加茂市の会社
「山忠」(やまちゅう)に、
深澤さんの案内で伺うことができました。
ほんとうにみなさん、生き生きと仕事をなさっていて、
いい会社だなぁって、感激していたんです。
深澤
その節はありがとうございました。
新潟の加茂市にある株式会社山忠は、
ドレスハーセルフを展開している会社で、
ことし9月で創業61年になりました。
美しい自然、田舎道を抜けたところに現れる本社は、
まさに真面目さと丁寧さ魂という感じで、
ブランドサイトだけで見る、
ドレスハーセルフのブランドイメージとは
ずいぶん違う、意外だって。
伊藤さんも驚かれたんじゃないでしょうか。
伊藤
靴下づくりの歴史を聞いていたら、
「いいものを伝えたい」という気持ちは、
創業当時から一貫しているし、
そのなかでドレスハーセルフが生まれたことも
納得できましたよ。
深澤
よかった。創業当時は靴下の編機がたった1台、
兄弟4人で創業、2人が靴下をコツコツとつくり、
2人が行商で販売をするところから始めた会社なんですよ。
伊藤
行商スタイル!
深澤
はい。どこかに預けて売るのではなく、
自分たちが直接お客様に届けるからこそ、
「もっとこうしてほしい」とか
「これが良かった」っていう
リアルな声が聞けたそうです。
そこで、いろいろな繊維や編み方、
つくり方の研究がすすみました。
売り方も、行商から、
全国の婦人会を通して販売する時代を経て、
カタログ‥‥印刷物ですね、それを使って。
ずっと、お客様に直販でお届けするスタイルで、
少しずつ商売を広げていったんです。
これは今でも変わりません。
伊藤
冬の厳しい新潟という土地柄は、
靴下づくりと関係しているんでしょうか。
深澤
はい、このあたりの冬の寒さはとても厳しく、
足元の冷えは、女性‥‥特に働くお母さんにとっては、
たいへん悩みの深い問題でした。
そこで、頑張る女性の寒さや冷えという苦しさの
何か助けになるような商品づくりをということで、
靴下はもちろん、ハラマキや厚手のタイツなどの
開発を続けてきたんです。


伊藤
なるほど。
「山忠」の製品は、長く使ってくださる
ファンのかたがとても多いそうですね。
深澤
そうなんです。それゆえ、中心になるお客様が
60代、70代、80代となってきました。
丁寧に、ほんとうにいいものをつくってきたので、
もっと若い世代にも使ってほしいというのが、
ドレスハーセルフを立ち上げたきっかけです。
自分たちの技術やものづくりの姿勢を、
より多くの方、これからの世代の方に
知っていただきたいということで、
2017年に始めたあたらしいブランドです。
伊藤
素材は、シルクや、カシミアですよね。
たしかに、若い人にはハードルが高い部分が
あるのかもしれないですね。
深澤
「いいものだと聞いたことがあるけれども、
使ったことはないんです」という方々に、
やさしく始めていただけるきっかけになったらいいですね。
ドレスハーセルフが目指すのは、
日々の生活の中で我慢をしない、
服でストレスを感じさせないことです。
しかも、だらしなくならず、ルーズにならない。
カッコいいけれど、着心地や、体への優しさは完璧。
それが本当の贅沢であり、
自分のモチベーションになると考えているんです。
そして、決して若い方だけに向けたブランドではなく、
エイジレスに提案をしたいと考えています。
デザインは、たとえば首まわりも
結構開いてるじゃないですか。
これは、敢えて、そういうデザインにしているんですね。
ご年配の60代、70代の方からは、
「これはちょっと開きすぎ。私はちょっと‥‥」
と言われるんですが、
「いや、ぜひ着てください」
と申し上げているんです。
敢えてそこから女性らしさで見せていくようなことも
してほしいっていうメッセージも込めて。

伊藤
たしかに、ドレスハーセルフのデザインは、
守りに入ってない感じがします。
深澤
そうですね。秋冬ものも、敢えてそうしています。
それはバリバリの30代、40代だけに
着てほしいからではなく、
全世代、女性はこういうふうに堂々と在るべき、
っていうメッセージでもあったりするんです。
ドレスハーセルフのウェブサイトのトップも
そういう雰囲気なんですよ。

https://dressherself.com/

深澤
薄手の服でも、
上にカシミアのストールを羽織るだけで、
勇気をもらっているみたいな感じになる。
ドレスハーセルフの服はそんな存在でありたいし、
だからこそ背すじを伸ばして前を見ている女性に
提案したいブランドなんです。
伊藤
着ていてストレスがないのに、おしゃれ。
しかも機能的で。
なかなかこういう服はなかったですよね。
深澤
機能的という点で私がいちばんすごいなと思うところは、
「こういう部分を温めたい」ということと、
「動きやすさ」が両立していることなんです。
山忠という会社は、
生地の機能性についての知識、技術がすさまじいんですよ。
先日、工場を見ていただいておわかりかと思いますが、
もともとの新潟の気質なのか、山忠の社風ゆえなのか、
本当に徹底してお客様の立場になって
商品をつくるという精神が、
全社一丸で通っている。
ドレスハーセルフのアイテムにも、
その精神が貫かれていると思います。
伊藤
それはやっぱり、60年間、
直販というスタイルを通して、
ずっとお客様と近かったから?
深澤
そうですね。今もそうですよ。
たとえば品質管理室やマーケティング室と、
お客様と直接話すコールセンターが、
同じフロアにあるんです。
伊藤
そうでしたね!
普通、電話をとるセクションは
ほかの部署と分けることが多いのに。
深澤
そうですよね。
他部署と一緒なのは
コールセンターのかたがたの集中を妨げますし、
また一日中電話が鳴り、話していると、
別のチームが気にするという理由で、
そうしている会社が多いですよね。
それを敢えて同じフロアにすることで、
リアルな日々のやりとりを、別のセクションの人たちが
肌感覚で実感できる。
「申し訳ありません」
「ありがとうございます」はもちろん、
お客様の声、意見も貼り出したりしているんです。
良かったことも悪かったことも。
伊藤
それが製品開発のヒントになることもあるでしょうね。
また、長いお付き合いのお客様のご自宅に行って、
そのようすを、社内報のように
印刷物としてまとめていたり。
そういう、外からは見えない部分に、
力を注いでいる会社だと感じました。
深澤
そうなんです!
もともと直接売るということを大切にしていたので、
ただの配送ではなく、
リアルに届ける行商というスタイルだからできたことを、
今でも、大事にしているんです。
お客様のところに直接伺うことは、
今では、毎日は無理ですが、
そういう活動をイベント的に行なっています。
自分たちのつくるものがもっと役に立っていくために、
お客様の声を直接聞くことを、とても大事にしています。
そういうことが、よくよく、
商品に現れているんですよ。
伊藤
昔からのお客様と、
あたらしいドレスハーセルフのお客様は、
通じているものがきっとありますよね。
ふるいお客様の中にも、
ドレスハーセルフを見て
「こんなの作ったんだ!」と驚いたり、
「こっちも着てみようかな」と興味をもつ方が、
多いんじゃないでしょうか。
深澤
はい、とても多いです。
山忠として展開している
「温むすび」というブランドがあるんですが、
その長年のお客様が、とある百貨店で開いた
ドレスハーセルフのイベントにいらっしゃって、
「これ新潟の『温むすび』でしょう? 
すぐにわかりましたよ」っておっしゃったんです。
ドレスハーセルフでは、
色味や編み方、意匠を変えて、
日常的なファッションとしても
取り入れていただけるようにという工夫をしていますが、
長いお客様だから、すぐにおわかりになったんですね。
逆のパターンでは、
ドレスハーセルフの品質の良さに
感激してくださったお客様が、
会社を調べて「温むすび」を知り、ご購入くださったり。
ドレスハーセルフから温むすび、
温むすびからドレスハーセルフという、
いい意味でブランドを行き交う動きがありますね。
山忠の考えとしては、どのブランドを通しても、
いいものをお客様に体験していただきたいとう
気持ちは同じですから、
すごくうれしいことなんです。

(つづきます)

株式会社山忠 中林道治専務のはなし[1]

ドレスハーセルフの母体となる「山忠」は
新潟県の加茂市にある会社で、
もともと私の親の世代がはじめました。
父を含む4人兄弟でスタートして、
私は三男の息子、現社長は長男の息子です。

なぜ靴下だったのかというと、
地場産業だったというわけではなくて、
ここ(本社)から40分くらいのところに
靴下の機械をつくる工場があったんですね。
そこに、父のすぐ上の兄が、
機械を買うという友人の付添で出かけたところ、
その友人は買わず、伯父が買ったんです。
それも、ふつうは複数台買うものらしいんですが、
1台だけ。
その編み機で、2番目と4番目が靴下を編んで、
長男である初代社長と3番目のうちの父が営業で、
1軒1軒の家をまわる行商をはじめました。
売る靴下がなくなると会社に帰り、
売ったお金で糸を買って、また靴下を夜通し作る。
そんな毎日だったと聞いています。

行商は地元からスタートして、新潟県内、
そして近県へとひろがっていきました。
昔は「婦人会」という団体が各地にあって、
それは、男性が外で働く間、
女性は家を守るということが
当たり前とされていた時代に、
女性も社会貢献をということでつくられたものでした。
そんななか、だんだんと山忠の製品が広がっていったのは、
新潟のある会長さんに
靴下を気に入ってもらったことがきっかけでした。
そのかたが長野の婦人会の会長さんを紹介してくださった。
そうして次は福島、さらには北海道と、
そんなふうに販路を拡げていったんです。
車に荷物が乗せきれない時は、
昔は、今みたいに宅配便がなかったので、
国鉄(現JR)のカーゴに箱を積んで、
駅に留めてもらって、そこに取りに行く、
そんなこともしていたといいます。
実物を見て、気に入ったら買ってください、
というスタイルですね。
けれども時代がかわり、その販売スタイルは
だんだんと下火になっていきます。
そうして始めたのがカタログ制作です。
通信販売のはじまりです。

DRESS HERSELFのシルク

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大人のTシャツ。

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年を重ねるごとに、
だんだんとTシャツが似合わなくなってきました。
20代の頃だったら、
まっしろTシャツにデニム、
ちょこんと赤いリップ。
ただそれだけでも十分だったのに!

それでも、
あのシンプル極まりない形が好きで好きで。
どうしたら着こなせるのかな。
大人のTシャツってなんだろう?
ここ数年、
そればかりを考えてきたような気がします。

素材は質のよいものを。
首回りをきれいに見せてくれる襟ぐりに。
スカートやパンツにインしても、
すっきり見えるものを。
少し光沢があるといいなぁ。

‥‥そんな思いを形にしてくれたのは、
新潟のドレスハーセルフというブランドです。

できあがったTシャツは全部で3色。
着心地も、また見た目のよさも。
「大人のTシャツ」として、
大満足の仕上がりになりました。

どうして新潟なの?
ドレスハーセルフってどんなブランド?

9月22日(日)からは、
広報をつとめる深澤絵さんに、
ブランドの成り立ちや魅力をうかがいます。

Tシャツ以外にも、
着心地のいい大人の服をご紹介します。
そちらもどうぞおたのしみに。

ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (3)Annika Inezさん

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Annika Inezさんのプロフィール

アニカ・イネズ
スウェーデン出身のアクセサリーデザイナー。
Annika Inezのブランド名で
コンテンポラリーなコレクションを展開。
日本のセレクトショップなどでも取り扱われている。
身長172センチ、着用サイズF。

ブランド「Annika Inez」のウェブサイト

「シンプルなデザインだけれど、
ユニークなカットが施されていたり。
そういう控えめだけれどインパクトがあって、
小さなディテールを感じるものが好き。
だからこのドレスを見たときに、
私のスタイルだって思いました」

172cmのすらりとした長身に、
ネイビーのワンピースをまとったアニカさん。
着丈が足首上になるため、
足元にはボリュームのある
アンクルブーツをコーディネート。
ブーツはNYのファッションブランド、
A Détacherのもの。
スウェードの太いストラップを
足首に巻きつけて履くという、
こちらもまた“ディテール”を感じるアイテムです。

普段着はパターン化し、
「ユニフォームみたいになってきている」とアニカさん。
好んで着るのはワンピースや
ジャンプスーツ(オールインワン)。
冬だったらデニムとドクターマーチンの靴。
髪型はほぼまとめ髪。

「クリーンなスタイルが好きなんです。
NYではエフォートレスに見えることが大切。
すごくがんばっておしゃれしてる、
というふうに見られるのを好まない。
でも実際はエフォートレスであるために、
別の努力をしてるんですけれどね(笑)」。

ワンピースは、真夏を除いた
スリーシーズン楽しめるものを目指したとサヤカさん。
アニカさんも「サンダルと合わせてもいいし、
ブーツを履いてもいい。仕事に着ていくこともできれば、
マーケットに着ていくこともできる。
もちろんディナーにも。
いろんな用途がすぐに思い浮かびました」と答えます。

「シーズンレスな服。冬だったら、
ざっくりとした大きめのニットを
合わせてもいいなと思いました」

合わせたアクセサリーは、
自身の新作コレクションからブレスレットとピアス。
ニュアンスのある円形のブレスレットは、
シルバーと14金のゴールドフィルドという
2素材を組み合わせたデザイン。
ゴールドフィルドは金メッキよりも色あいがライトで、
黄味が控えめ。ゴールドならではの派手さがなく、
肌や服にしっくりなじむといいます。

耳たぶを包み込むような、柔らかな表情のピアスは、
「ワンピースのラウンドネックが素敵だったので、
同じラウンドシェイプのピアスにしました。
アクセサリーを服に合わせるとき、考えるのは形の相性、
そしてバランスですね」とアニカさん。
コーディネートのコツとして、もうひとつ、
こんな名言を教えてくれました。

「とある有名なフランス人のデザイナーが
言っていたんです。
『出かける前に鏡を見て、何かひとつを取り外すといい』
ってね」

鏡を覗いて、冷静に、自分らしい均衡を取り戻す。
エフォートレスな装いは、そうして生まれるのです。

ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (2)Raia Wasさん

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Raia Wasさんのプロフィール

ライア・ワズ
ブルックリンを拠点に制作活動を行うミュージシャン。
ジャンルは、インディーR&B。
9月にデビューアルバム
「Angel I’m Frightened」を発表。
身長157センチ、着用サイズF。

Raia Wasさんのウェブサイト
Spotify

自宅アパート内にあるスタジオで音楽制作を行う、
ミュージシャンのライアさん。

「私は会社勤めのような働き方ではないけれど、
自宅で仕事に取りかかるときは、
いつもちょっとだけドレスアップをするようにしています。
自分自身のためにね。
私をインスパイアしてくれるものに、身を包みたい。
だからラクな部屋着は着ません」。

スタジオで作業をし、たまにキッチンでお茶をいれ、
またスタジオにこもる。
そんなライアさんの長い一日に不可欠なのは、
一日中気分よく着ていられる服。
SAYAKA DAVISのワンピースは、
まさにそんな一着だといいます。

「グラヴィティ(重力)を感じる」

ワンピースをそう表現するライアさん。
心地よいウェイトを体感するのは、
密に織られた生地のため。

「心地よいだけじゃなくて、
自分自身を大地にしっかりつなぎとめてくれるような、
そんな重みです」

もうひとつ気に入っているのは、
手首に届かない短めの袖。
折り返しても楽しめる長めのカフスがアクセントです。

「背が低いので、服の袖が長すぎることがあるんです。
でもこの袖ならパーフェクト。
ワンピースの裾から足首が覗くところも気に入ってます」

ちなみにこれはサヤカさんの、緻密な計算によるもの。
ボリュームのあるロングワンピースのため、
足もとや手もとの肌が見えるデザインにし、
軽さを意識したといいます。

ライアさんが選んだワンピースの色は、
「もちろん黒! だってニューヨーカーだから」。
シックで上質な黒。
それがニューヨークの色なのだそう。

街の景色は、人が作る。
そういう意識で色やデザインを吟味し、服を選ぶ。
ファッションにはそんな楽しさもあるということ。

ちなみに、日本を訪れたことがあるライアさん。
東京の街はどんな色に見えましたか?

「原色──。
赤と赤、黄色と黄色、ブルーとブルーが、
カラーブロックみたいに配色されてる街。
それからたくさんのグレーも。
東京の色は、刺激的だと思います」

普段ライアさんが好んで着る服は、
ヴィンテージが多いそう。

「時間を経ているものが好き。
誰かから誰かの手に渡り、経年したものには、
味わいがあります。
ただの“物”ではなく、佇まいのあるものを身につけたり、
自分のそばに置いたりしたい」

だからこの日、ワンピースに合わせて身につけたのは、
祖母と母から譲り受けたピアス。

「世代を経て、積み重ねられた女性の英知を感じるんです。
もちろん母のことも近くに感じられる」

ゴールドの輝きは、漆黒のワンピースに気品を添え、
そのエネルギーは、ライアさんのクリエイティビティに
ひらめきを与えています。

ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (1)緑川麻香さん

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緑川麻香さんのプロフィール

みどりかわ・あさか
2002年よりブルックリン在住。
ファッションブランドdosaにて働く。
夫はアパレルでデザイナーをしている
Glenn(グレン)さん。
身長158センチ、着用サイズS。

麻香さんが選んだのは、ネイビーのオールインワン。

「とても着やすいです。洋服をチョイスするときは、
動きやすさや、肌へのなじみやすさが大事。
肌にぺったりくっついてしまう生地は苦手です。
でもこの服にはそれがなくて、着心地がいい」

そんな麻香さんの言葉を受け、
デザイナーのサヤカさんが
着心地の秘密を教えてくれました。

「レーヨン100%の生地だけれど、密に織ってあるので、
とてもハリがある。だから肌に張り付かないんです。
撚りの強い糸を使っているので、
レーヨンなのにマットな光沢があるのも、
この生地の特徴です」

流行は追わなくなった、と、麻香さんは話します。

「(流行のものは)すぐに飽きて着なくなってしまうので、
もったいないから。
せっかく洋服を買うなら、長く着られるものがいい。
同じ服を、長く、よく、たくさん着たいです」

ワードローブを占めるのは、
黒、紺、白、茶など好みのトーンの服。
ネイビーのオールインワンも、もちろんそのひとつに、
すんなり加わることになりそうです。

コーディネートはシンプルに。

「考えるのは、トップとボトムのバランスだけ。
重ね着はしません」

そんな麻香さんの着こなしに自分らしさを加えるものが、
アクセサリーだといいます。

「指輪、それからブレスレット。
ピアスはしたり、しなかったり。
シルバーとゴールドの組み合わせは、
あまり気にせずつけています」

ひときわ目を惹いたのが、左手首の腕時計。
夫のグレンさんが収集している
ロレックスのヴィンテージ、
60年代のメンズモデルだそう。
クラシックな腕時計がアクセサリーとなり、
装いを一層“私らしく”しています。

「おでかけ」をイメージして足もとに合わせたのは、
ホワイトカラーのミュール。
ちらりとのぞく赤いペディキュアが、
ドキッとするほど素敵。

「普通に遊びに行くときに着るなら、
足もとはスニーカー。ピアスはしないかもしれません」

と麻香さん。
普段着にも、ちょっとしたドレスアップにも
応用できるオールインワン。

「フレキシビリティがある服って、
すごく貴重だと思います」

撮影のさなか、麻香さんが
「あっ」と小さな驚きの声をあげました。

「ポケットがついてる! しかも位置がちょうど」

そう、実はポケットは、
デザイナーのサヤカさんが大事にしているパーツのひとつ。
iPhoneもすっぽりおさまる大きめのポケットが、
左右にひとつずつ、ついています。

「アメリカの服は、
ポケットがついていない服が多いし、
ついていたとしても
届かない場所だったりするんです(笑)。
機能性があるポケット、とってもいいですね」

と麻香さん。
スマートフォンと鍵、カードやリップをポンっと入れて、
買い物に出かけたり、外で食事を楽しんだり。
ポケットが着こなしの幅を、ぐっと広げてくれそうです。

SAYAKA DAVISのワンピースとオールインワン

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秋の気配。

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冬から春にかけてと、
夏から秋にかけて、
1年に2回おとずれる、
服の端境期。
いったい今は何を着たらいいんだろう?
とクローゼットを前に、
戸惑うのはいつものことです。

ことに、ちょっとおしゃれをして出かけたい日は、
悩みも増すもの。
今週のweeksdaysは、
そんな時の気持ちにぴったりな、
ロングドレスとジャンプスーツを紹介します。

袖を通すとわかる、
生地のなめらかさやしなやかさ。
歩くとわかるシルエットの美しさ。
一見、とてもシンプルに見えるのですが、
身につけると、しみじみ「ああ、いいな」そう思う。

少しずつ秋の気配を感じてきた今、
手に入れたいSAYAKA DAVISの服。
ワードローブの仲間入りに、ぜひどうぞ。

パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[3]

未分類

「個性的なピアスが、
より目立つようにポニーテールにしました」

といっても、そこは草場さん。
少し抜け感のあるラフなポニーテールを
作ってくれました。

「同じポニーテールでも
タイトにするかラフにするかで
イメージはずいぶん変わるんです」
ですって。

おくれ毛に少しワックスをつけると、
きちんとしたスタイルに見えるとか。
ラフに見えるけれど、
こんなちょっとしたワザ、なるほど
勉強になります。

「ピアスのラインと、
ダウンスタイルの髪のラインを馴染ませるように」

肩の力の抜けた、女性らしいスタイルです。

質感を出すために、全体的に少しウェットに。
「ウェットヘアを作るときは、
水分を少し含んだ髪にオイルをつけて」

うしろに流しながら、手ぐしでラフに。
そんな気持ちでつけると自然な仕上がりになるそうですよ。

パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[2]

未分類

「今回の中で、
より女性らしさを感じさせるピアスですね」
と草場さん。

「ヘアスタイルもそれに合わせて、
女性らしさを感じさせるよう
ふんわりゆるりとまとめます」

きちっと束ねるのではなく、
あくまで「ふんわり、ゆるりと」がいいんですって。

「耳たぶが見えると、やわらかさが出てきれいです」

今回、草場さんの口から何度か出たのが、
耳たぶを出すかどうかの、微妙なさじ加減の話。
パールの大きさや、かがやきの分量で、
耳にかける髪の分量を決めるといいみたい。
なかなか難しそうだけれど、
せっかくパールのピアスをつけるのならば、
ぜひともそのさじ加減、
マスターしたいものです。

やわらかさと強さを併せ持ったパール。
「時にはフェイスラインにぴたっと沿わせるように、
分け目をきっちりつけたこんなスタイルもいいのでは」
と草場さん。

おくれ毛もなく、ぴっちりと。
パールできりり、新鮮です。

アイラインかわいいですね、と言うと
「ヘアスタイルにリンクさせるよう
メイクも考えると楽しいですよ」

三つ編みは一度束ねてゴムでまとめるときりりが実現。

「三つ編みをするときにスタイリング剤をつけると、
きれいに編めます」

毛先にもスタイリング剤をつけて、
パサパサを抑えて。

パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[1]

未分類

草場妙子さんのプロフィール



くさば・たえこ 

ヘアメイクアップアーティスト。
熊本県出身。サロンワーク、アシスタントを経て
2006年に独立、雑誌や広告、CMなどを中心に
幅広く活躍している。
著作に『TODAY’S MAKE -UP
──今日のメイクは?──』
がある。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/kusabataeko/

「主張の強くない、女性らしい小粒なパールなので、
無造作なダウンスタイルにしてみました」
と草場さん。

Tシャツやデニムなど、
ラフなコーディネートにも合いそうです。

「無造作」を引き出すため、
スタイリング剤はあまりつけず、
ドライな仕上がりに。

「髪を耳にかけた時や、
髪の間から時おりピアスがちらりとのぞいたら、
かわいいかなと思って」

なるほど、見え隠れする小さなパールが、
なんだかいい。
さりげなく、でも女性らしくを叶えてくれる
ヘアスタイルです。

「少し離れたところからでも、つけていると分かる存在感のあるピアスだったので、
スカーフを巻く個性的なスタイルに」
と草場さん。

えらんだのは、ブルーグレーや淡い水色、紫の柄のヴィンテージのスカーフです。

センターで分けた前髪を、スカーフから少しのぞかせると
さりげなさが生まれるんですって。

「耳は、すべて隠すのではなく、
耳たぶを少し出して」
なるほど、
ラフさとデザイン性のあるヘアスタイルが生まれました。

うれしいことに、
ショートでも応用可能。
「ショートですと、
スカーフから毛先のハネがちらりと見えるので
よりニュアンスがついてかわいらしい仕上がりになります」
ピアスに合うスカーフも欲しくなる、
そんなスタイルです。

Satomi Kawakita Jewelry パールのピアス

未分類

消費税率変更に伴う対応のご案内

未分類

■消費税率変更に伴うシステムメンテナンスについて
消費税率変更に伴うシステムメンテナンスのため、
以下の期間、「ほぼ日ストア」のサービスを
一時休止いたします。

 2019年9月27日(金)午前11時〜
 2019年10月1日(火)午前11時

期間中は以下のことができなくなりますので、
ご注意ください。

・商品のご購入
・ご注文のキャンセル
・ご注文履歴およびご注文内容のご確認
・出荷保留の設定/解除
・ご注文商品、商品お届け先、お支払い方法などの各種変更
・振込用紙の再発行依頼やパスワードの再設定などの
 各種お手続き

ご不便をおかけしたいへん申し訳ございませんが、
なにとぞご了承いただきますようお願いいたします。

■商品価格の表示について
現時点で表示されている商品価格は
消費税率8%の税込み価格です。
10月1日(火)午前11時以降は、
すべての商品価格が新消費税率
(10%もしくは軽減税率8%)の
税込み価格の表示となります。
(※9月27日(金)午前11時以降に順次、
表示価格の切り替え作業を行います。)

なお、商品についているタグ(下げ札)や、商品本体に、
旧消費税率8%での価格が
記載されている場合がございます。
あらかじめご了承ください。

■ご請求金額への新消費税率の適用のタイミングについて
出荷日が10月1日(火)以降となるご注文について、
ご請求金額に新消費税率が適用されます。
9月27日(金)午前11時までにご注文いただいた商品は
すべて、9月中に出荷いたしますので、
現行の消費税率8%が適用されます。
ご注文日が2019年9月30日(月)以前であっても、
出荷日が10月1日(火)以降となる場合には
新消費税率が適用されますのでご注意ください。

【ご注意】
出荷保留機能をご利用いただいていて、
現行の消費税率8%のままお買い物されたい場合には、
9月27日(金)午前11時までに
出荷保留を解除してください。

9月27日(金)午前11時までに
出荷保留を解除していただければ、
9月中に出荷いたしますので、
現行の消費税率8%が適用されます。

9月27日(金)午前11時以前にご注文いただき、
出荷保留機能をご利用後、
10月1日(火)以降に出荷保留を解除した場合や、
10月1日(火)以降にとりまとめを行った場合、
ご注文に含まれるすべての商品に
新消費税率が適用されます。

■各種手数料の改定について
配送手数料、代引き手数料、ラッピング手数料を
以下の通り改定いたします。

 配送手数料     改定前:756円 改定後:770円
 代引き手数料    改定前:216円 改定後:220円
 ラッピング手数料  改定前:500円 改定後:550円

10月1日(火)に出荷するご注文より適用いたします。

ご不明点などありましたらこちらにお問い合わせください。

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