未分類カテゴリー記事の一覧です
旅に出て
5年ぶりにパリを訪れました。
カフェやレストランで。
街を歩いて。
マルシェで。
また、メトロに乗っている時も。
久しぶりのパリは、
目に入るものすべてが新鮮で、
初めてパリを旅した、
35年前(!)と同じくらいの気持ちの高揚感。
ああ、やっぱりこの美しい街を時々訪れて、
刺激をもらわないと、と思ったのでした。
それと同時に、
でも日本もいいなぁとしみじみ。
旅に出て自分の居場所を見直す。
これもまた旅のよいところなのです。
今回は、
着まわしのきくsaquiのパンツや
SLOANEのニットなど、
weeksdaysの服が大活躍。
ベーシックなものに、
小物を足して毎日の着こなしに変化をつける。
ぺたんこになるMAISON N.H PARIS のバッグも、
その変化に一役買ってくれました。
パリではもちろん、
MAISON N.H PARISの
ひろみさんとのりこさんに
お会いしましたよ。
パリの宿で、SPELTAのバレエシューズを
旅にはいつも部屋で履く靴を持って行きます。
脱ぎ履きしやすいこと。
かさばらないこと。
それから、部屋に置いて絵になるもの。
このみっつが条件。
南の島では、
カラフルなサンダルを持っていくことが多いのですが、
今回の旅はまだ寒い早春のパリ。
そこで手に入れたばかりの、
SPELTAのバレエシューズにすることに。
友人のおすすめでえらんだホテルはパンテオン広場の近く。
通されたのは、
壁紙もカーテンもすべて花柄のラブリーな部屋でした。
まずは窓を開け、
荷解きを開始。
メイク道具はバスルームに。
服はクローゼットに。
パソコンや本は机に。
1週間ほどの滞在ですが、
ふだん家にいる時と同じように、
あるべきところにあるべきものを置いて、
やれやれ、ほっと一息。
これから1週間どうぞよろしくね。
朝食を食べる時。
ホテルの中庭を散歩する時。
目に入るのはこの鮮やかなグリーンのバレエシューズ。
小雨が降ったり止んだりのパリ。
どんよりした天気の中、
このグリーンが晴れやかな気持ちにさせてくれました。
次回は素足で履ける季節にまたぜひ訪れたい。
快晴のパリにも、このシューズはきっと似合うはずです。
ところで今回の旅支度に持ってきたのは、
SLOANEのタートルネックが2枚。
CI-VAの肩掛けバッグ
(パスポートなどを入れてサブバッグに、
街歩き用にも重宝)。
trippenのブーツに肩掛けバッグ。
saquiのテーパードリボンパンツにドレスにコート。
Le pivotのダンボールパンツ
(飛行機や列車の移動にとても重宝しました)。
LERET.Hのサックヌー(レストランに行く時に)、
RaPPELERのカシミヤストール。
‥‥と、weeksdaysのもの、
もしくはweeksdaysでおつきあいのあるブランドばかり。
好きでセレクトしたものだけれど、
こんなにも自分に浸透しているとは!
と改まって気づいた旅でもありました。
SPELTAのバレエシューズ あのひとのコーディネート パリのチャコさん編 02. 服はベーシック、小物で効かせる
鈴木ひろこさんのプロフィール
すずき・ひろこ
東京でスタイリストとして活動後に渡仏。
パリ在住33年。
現在は日本の女性誌を中心にパリをはじめ、
ヨーロッパ各国での取材、執筆、撮影オーガナイズを行う。
2022年、ライフウエアブランド
「LERET.H/ルレ・アッシュ」をローンチ。
パリ風味をひと匙加えたコレクションはすべて日本製で、
地球環境に配慮した植物由来の素材の
アンダーウエアやバッグを展開している。
weeksdaysでは、コーディネートやエッセイなどに登場。
●チャコさんのInstagram
●LERET.Hのwebsite
●LERET.HのInstagram
グリーンとパープル、グレーの3色ある
サテン地のOLGA RASO。
チャコさんがえらんだのはパープルでした。
合わせたのは同じ色合いのパープルのブラウスに、
デニム、それからステンカラーのコート。
出かける間際、
「ちょっと待ってね」
といって、
ベッドルームの棚から、スカーフをえらんで、
ささっと巻いて。
この「ささっと」が、
なかなかできないのですよねぇ。
スカーフを巻いた理由をたずねると、
「他のアイテムとのつなぎ役」
なのだとか。
なるほど、あるのとないのとでは全然違う。
「あとね、パープルに赤の組み合わせも好きなの」
柄の中のパープルが、
バレエシューズとブラウスにぴったり。
そしてここでも赤いリップが効いています。
バッグはルレ・アッシュの深いグリーン。
「服はベーシック。小物で効かせる」
ここでもチャコ・スタイル!
服のブランドをうかがうと、
そうそうたるハイブランドの名前がでてくるのですが、
「どれももう何年、何十年と着ているもの」
なのだとか。
「たとえば5千円のものを10個買うのをやめて、
5万円のものをひとつにして、大事に大事に長く着る」
これもパリの人たちから学んだことなんですって。
いつもすてきなチャコさんの着こなし
(インスタで見ることができますよ)。
さぞかし衣装持ちなことでしょう‥‥
どうやって収納しているのかな?と思っていたのですが、
びっくりするほどすっきり。
ものも少ない印象。
服もインテリアも器も、
どれもひとつひとつにえらんだ理由があって、
長く大切につきあっている。
今回、バレエシューズの取材にうかがいましたが、
チャコさんがパリに来てそうだったように、
私もチャコさんから「生き方」みたいなものを
学んだ気持ちになりました。
SPELTAのバレエシューズ あのひとのコーディネート パリのチャコさん編 01.色を楽しむ
鈴木ひろこさんのプロフィール
すずき・ひろこ
東京でスタイリストとして活動後に渡仏。
パリ在住33年。
現在は日本の女性誌を中心にパリをはじめ、
ヨーロッパ各国での取材、執筆、撮影オーガナイズを行う。
2022年、ライフウエアブランド
「LERET.H/ルレ・アッシュ」をローンチ。
パリ風味をひと匙加えたコレクションはすべて日本製で、
地球環境に配慮した植物由来の素材の
アンダーウエアやバッグを展開している。
weeksdaysでは、コーディネートやエッセイなどに登場。
●チャコさんのInstagram
●LERET.Hのwebsite
●LERET.HのInstagram
SPELTAのバレエシューズ、
どなたに履いてもらいたいかなぁ‥‥と考えた時、
一番はじめに思いついたのが
パリに住む友人のチャコさんでした。
ともすると甘くなりがちな、
バレエシューズですが、
チャコさんだったら、
ほどよく抑えた大人の着こなしを見せてくれるはず!
なにより彼女のセンスが大好きな私。
5色あるうちのどの色をえらぶのか?
どんなコーディネートを見せてくるのか?
日本を出発する前から、
ワクワクしていたのでした。
ここはパリ右岸のご自宅。
「いらっしゃい!」
と出迎えてくれたのはこの笑顔。
じつは今回の滞在で、
会うのは3回目の私たち。
一度目は共通の友人宅でのディナー。
二度目はブリュッセルへの日帰り旅。
友人宅では黒のジャケットに赤い靴。
バッグはもちろんご自身のブランドのルレ・アッシュの
ブリック色。
蚤の市巡りがメインのブリュッセルでは、
歩きやすそうなブーツに、
使い込まれたバーキン
(ご自身でショルダーストラップをつけて斜めがけ!)。
どんなシチュエーションでも、
ハッとする小物使いと、
トレードマークの赤いリップが効いた、
チャコスタイルはみんなの憧れです。
さて、SPELTAのレザーシューズ・IMMA NAPPAは、
ベージュとパウダーブルーの2色の展開
チャコさんがえらんだのは、
春らしいきれいな色合いのパウダーブルー。
ボーダーのニットの上に、
ブルーのカーディガン。
袖を少したくしあげ、ボーダーをのぞかせて。
ネイビーのパンツが全体をひきしめます。
ウェストはコサージュでアクセントを。
このカーディガンは昔のマルニ。
色違いで何枚も持っている気に入りとか。
「でもね、カシミヤ素材がおいしかったのか、
虫にくわれちゃって‥‥」
友人に刺繍してもらったのは、
かわいいモチーフではなくあえて蜘蛛の巣。
パンツやボーダーとの色合いもぴったりです。
パリ暮らしも今年で33年目。
パリに住むようになって変わったのは、
おしゃれの概念。
「最初はジェーンバーキンみたいに、
毛玉のついたカーディガンを着こなすのに憧れて、
蚤の市で探したりしていたの」
でもね、とチャコさん。
「だからといって、それを私が真似しても、
すてきじゃないってことに気がついた。
生きてきた自信や意思。
そんなことの積み重ねがその人を作る。
これを着たらおしゃれになるとか、
そういうことではないんだなって」
仕事を通じて出会った人や、
友人たち、それから家族。
街で、カフェで。
目で見ていいな、すてきだなと思ったものを、
チャコさんの中で消化してご自身の中に取り入れる。
チャコ・スタイルがすてきな理由は、
そんなところにあるのでした。
“まるで手袋のように”フィットする、SPELTAのバレエシューズ
ミラノ郊外で生まれました
「SPELTA」誕生のきざしは1957年、
イタリアのミラノ郊外、靴職人たちの技術が集まる地区
パラビアーゴにありました。
そこに、ある靴職人が
家族経営の小さなファクトリーをはじめます。
そしてその10年後の1967年に、
「もっと自分たちのものづくりを表現したい」
という思いから
立ち上げられたブランドが「SPELTA」です。
その履き心地のよさから、
ミラノのバレエダンサーたちが
日常に街で履く靴として
広く愛用されるようになります。
ひとりの職人が、イタリアらしい手仕事で
一般的な靴づくりでは、
アッパーとソールを結合するために
接着剤が使われることが多いところ、
「SPELTA」では接着剤は使用せず、
縫い合わせる「グッドイヤー製法」
(goodyear welted:革靴本体にウェルトと呼ばれる
細い革帯を、すくい縫いで接合、ウェルトと靴底を
縫い付ける方法)を用いています。
さらに「SPELTA」では
「縫い合わせた生地を裏返す」という
独自な手法を生み出します。
それはまさに「手袋のような」つくり方。
そうすることでアッパーとソールに一体感が生まれ、
やわらかく素足のような履き心地を実現しているんです。
そして靴を構成する「レザー」、「生地」、
「リボン」、「ソール」といったさまざまなパーツは
すべてイタリアでつくられたもの。
信頼する業者から仕入れたものだけが
使用されています。
それらをひとりの職人が
一足のバレエシューズに仕上げていき
「SPELTA」のバレエシューズが完成するのです。
日本には、2018年から
日本での展開は、2018年に輸入元の
FLAPPERSが取り扱ったのがはじまり。
世界最大級のミラノの靴展示会
「MICAM(ミカム)」の片隅で、
小さなブランドブースを出していたところを
FLAPPERSの代表長島邦彦さんが目に留めたそう。
最初はカラーバリエーションの
2~3型でスタートしたそうですが
その本格的なつくりのバレエシューズは
日本でもたくさんのファンをつくり、
今では素材やデザインのヴァリエーションも増え
今回「weeksdays」でも展開する
定番モデル「OLGA(オルガ)」を中心に、
20~30型がラインナップとしてあります。
ブランド誕生から57年。
現在工場を切り盛りする
2代目のロベルト・ベローニさんは
すべての製品の最終チェックを自らしているそう。
そして奥さんが最後のリボン結びを担当しているとか。
そんなひとつひとつの靴への愛情も
「SPELTA」のひみつのひとつかもしれません。
足元から春
少しずつ少しずつ日が長くなってきて、
春の訪れを感じる毎日。
‥‥と思っていると、
雪の予報が出たりして。
「三寒四温」とはよくいったものだなぁと思います。
気持ちは春に近づいているけれど、
まだまだ寒いこの時期。
着るものに一番困る時でもありますが、
軽めのコートを出したり、
やがてくる素足の季節に備えて、
足の手入れをして、
春の支度をはじめます。
そうそう、ネイルをいそいそと揃え始めるのも、
毎年、今頃だなぁ。
今週のweeksdaysは、
SPELTAのバレエシューズ。
スミレのようなパープル、
素足に寄り添うベージュ。
パウダーブルーに、グリーンにグレー。
足元から春を感じてくださいね。
生活の風景から発想するもの
- 伊藤
- こうしてお店を訪ねると(*)、
若い人がとても多くて、男の人もいますよね。
みんなの気持ちにフィットしてるんだな、と思うんです。
(*)この日、伊藤さんが訪れたのは、
yumiko iihoshi porcelain東京店。
- イイホシ
- 嬉しいです。若い方も、男性も多いですし、
海外からのお客さまも多いんです。
- 伊藤
- どこで皆さん知るんでしょう。
- イイホシ
- インターネットで見た、とおっしゃいますね。
- 伊藤
- 海外に輸出もされてるんですよね。
- イイホシ
- そうですね、レストランで使っていただいたり。
それで知って、来てくださる方も
いらっしゃるみたいです。
- 伊藤
- そういえば、最近流行りの
日本のフレンチとかイタリアンも、
いわゆる伝統的な洋食器を
使わなくなってきているようですね。
- イイホシ
- そうですね。だからでしょうか、
フレンチなどのレストランでも使っていただいてます。
洋食器ってサイズ取りが決まっているので、
和食器の自由なサイズだったり形だったりが、
すごくおもしろいっておっしゃいますね。
- 伊藤
- 洋食器は6枚とか12枚単位でそろえて、
家族で共用で使いますよね。
日本って「マイ茶碗」があって、
家族の同じテーブルでも違うものを使う。
西欧の方にはそういうことがおもしろいんでしょうし、
わたしたちも、食器に対する愛着が強いんでしょうね。
手に持つし、口につけるし、自分だけのものもあるし。
- イイホシ
- そうですね。日本の食器って、すごく特殊なんです。
形状もひさご(ひょうたん)だったり、
はまぐりだったり。
そういうのって西欧にはなくて。
そういうことに強く興味を持っておられる方は多いです。
海外の展示会に出てから、
そういうリクエストがあるんだと
私もわかるようになってきました。
- 伊藤
- そうなんですね。
- イイホシ
- 海外の方の中にも昔の染付だったり、金蘭手みたいな
きらびやかな和食器は
自分たちの今の暮らしには合わない、
って思う方も多いですよね。
それで、日本らしい形でありながら、
現代の暮らしに合うものってどんな形なのかな、と、
私も考えるようになりました。
- イイホシ
- これがいちばん最初につくったシリーズなんです。
- 伊藤
- 最初から、ぶれていないんですね。
この独特の色合いも、
イイホシさんが、最初から「これ」と。
- イイホシ
- そうですね。
- 伊藤
- 何か作るときって、
「こんな料理を盛りたいな」
っていうところから始まるんですか。
それとも器の形そのものをイメージなさるのかな。
- イイホシ
- コンセプトっていうか、
どういうシーンで使うかっていうことをまず考えます。
これは、朝昼夜の食卓のシーンを考えて、
カップとプレートとボウルを作ったんです。
朝昼夜だから、名前は「unjour(アンジュール)」、
フランス語の「un jour」(1日)からつけました。
- 伊藤
- そうなんですね。
朝、昼、夜。
- イイホシ
- 朝のたっぷり飲むカップと、ワンプレートのお皿、
お昼、お茶をするカップと、ケーキのお皿、
そして夜はコーヒーを飲むカップと、
チョコレートを1個食べる用の小さなお皿。
- 伊藤
- これがあればもう、
新生活セットになりますね。
- イイホシ
- そうですね。
- 伊藤
- 大・中・小3つのボウルは、
何をイメージなさったんですか。
- イイホシ
- サラダやヨーグルト、ジャムなどを入れるのに。
- 伊藤
- かわいいです。色は‥‥。
- イイホシ
- sunaというアイボリーとsmoke blueという2色から始まりました。
- 伊藤
- すごいなぁ。これができたのが何年前ですか。
- イイホシ
- 何年前だろう。16、7年前ですね。
そしていまだに続けているんです。
- 伊藤
- 窯変が強いものと、
そうでないものとがあるんですね。
- イイホシ
- そうですね。個体差が大きくて。
釉薬はいろいろ使っていて、
窯変が強い釉薬だと、そうなりますね。
smoke blueは緑が多く出るときもあれば、
水色の白っぽいときもあるし、
sunaももっとグレーが強いときもあれば、
白が強いときもあります。
不安定な釉薬なので、本来であれば
量産には向かない釉薬ですね。
そして、同じ窯でも色味が変わったり、
原料がやっぱり天然のものなので、
突然色が出ないこともあったり。
- 伊藤
- そんなことがあるんですか。
- イイホシ
- それが季節ゆえなのか、
原料ゆえなのかすらわからないんですけど、
そういうところも面白さだ、と思って、
やっていきたいなと思っています。
- 伊藤
- それこそ
「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」ですね。
ここにいらっしゃるお客さまは、
1個1個、選ばれたりしますか?
- イイホシ
- そうですね。直営店にお越しいただくお客さまは、
いくつかご覧になって
選んで購入してくださっている感じですね。
選ぶことを楽しんでくださっています。
オンラインショップだと‥‥。
- 伊藤
- そこまでは選べませんから、
お届けしたものを、
ご縁だと思っていただけたらいいですね。
- イイホシ
- そうですね。
- 伊藤
- きょう、お話をうかがったあとに
料理の撮影をするんですけど、
「これも、あれも!」と思ってワクワクしています。
ひとつ考えているのは、
ちっちゃいクロワッサンをいくつも入れて、
カフェオレを添えてみようって。
- イイホシ
- うん、うん、きっとかわいいですね。
- 伊藤
- この器、飲み物や汁物も合うんですよ。
『LEE』の撮影では、
ピンク(foggy pink)の器に抹茶を入れたんです。
- イイホシ
- とても綺麗でしたね。
- 伊藤
- ほんとにいろんなものに使えるなっていうのを、
すごく実感しています。
和洋中、なんでもいけるので。すごいなと思って。
- イイホシ
- 嬉しいです。
- 伊藤
- そして、飽きるってことがなさそう。
さらに新しいイイホシさんの器が
欲しくなるかもしれないけれど。
‥‥今回、ほんとうに「真ん中」のサイズを
つくっていただいてよかったです。
- イイホシ
- これがほんとに、すごく使いやすいんです。
カフェオレもほんとにこのサイズっていいですしね。
- 伊藤
- 同じ量のごはんでも、どの器に盛るかで、
印象がまるで変わりますよね。
- イイホシ
- ねえ。全然違いますよね。
炊き込みご飯とかでも、
大きな器に、軽く入れると印象がかわりますよね。
- 伊藤
- フォー(ベトナムの汁麺)もいいですよ。
- イイホシ
- フォー、いいですね。
- ──
- フォーとかにゅうめん、
温かいお蕎麦、うどん、ラーメンを
家で食べる時って、ちょうどいい器ってないですよね。
- イイホシ
- こんなに麺大国なのにね(笑)。
- 伊藤
- そう、ないんですよね。ちょうどいいのが。
なぜなんでしょう。
- イイホシ
- 軽くて良い形のドンブリは、作るのが結構大変なんです。
- 伊藤
- なるほど、日常づかいの雑器だから。
- 伊藤
- ミントグリーンは、染付の豆皿などにも合いそうですよね。
- イイホシ
- そうですね。青い色でも白でも合いそうです。
- 伊藤
- 「中」のサイズはこのためにつくっていただきましたが、
今後、こちら(yumiko iihoshi porcelain)でも?
- イイホシ
- はい。gohan chawanはすでに展開しておりますが、
Redonburi、Kodonburiも4月末くらいから販売を予定しています。
- 伊藤
- わたしたちは「TRIO」っていう、
3個セットで発売するんですけど、
お店ではそれぞれの販売をなさるんですよね。
- イイホシ
- はい。「TRIO」という名前もかわいいですね。
- 伊藤
- ありがとうございます。最初は3つ揃いで自分用にと。
私はピンク、お父さんはミントグリーンみたいな感じで、
家族でお使いいただくのもいいですし、
必要に応じて個別に買い足していただいてもいいですね。
ちなみに、こちらでは他にも色の展開が?
- イイホシ
- ブラウン(warm soil brown)、
グレー(winter night gray)、
ホワイト(quiet white)があります。
- 伊藤
- ミントグリーンやピンクと合わせて使ってもいいですね。
この「どの色とも合わせられる」という感覚は、
私の好きなペンキとも似ているんです。
Farrow & Ballというところのものなんですが、
はっきりした黄色と派手な朱を組み合わせても
「あれ? 合う!」となる。
それはつくっている人の考えがあるからなんですよね。
イイホシさんの器も、同じです。
- イイホシ
- そうなんですね。嬉しいです。
- 伊藤
- イイホシさん、ほんとうにありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いします。
- イイホシ
- こちらこそ、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いします。
土が戻りたい形をいかして
- 伊藤
- イイホシさんは、大量生産とも違う、
手づくりのものとの間ぐらいのものを
目指していらっしゃったんですよね。
最初からその考え方だったんですか。
- イイホシ
- そうです。言葉にすると
「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」。
私がつくるんじゃなくて、
職人さんにつくってもらう。
量産の力を借りてつくるっていうのが
目的だったんです。
だから「あなたがつくったらいいんじゃない?」
って言われても、
「いやいや、私がつくったんじゃダメなんです」。
そこは私の中で明確でした。
- 伊藤
- でもその門前払いから、どこから突破口が?
- イイホシ
- まずはつくってもらえるところがやっと見つかって。
それで販売をすることができて、
またリピートしてっていうのが、
ほんとにジワジワと続いた感じです。
- 伊藤
- 最初の販売はどちらで?
- イイホシ
- 自分で売りました。
というのも、それまでに手づくりのものを
販売していたので、販路ができつつあったんです。
- 伊藤
- つまり、手づくりのイイホシユミコ作品を
売る場所が、すでにあったんですか。
- イイホシ
- そうなんですよ。その販売店さんに
ご協力をいただいて、
量産品の販売が始まったっていう感じですね。
ちょうどSTOCKIST(*)の第1回目にも、
販売店さんを通して出してもらったり。
(*)STOCKIST(ストッキスト)は、
正式名称を「FOR STOCKISTS EXHIBITION」といい、
年に一度開かれる、インテリア、ファッション、雑貨などの
業者(販売店など)向けの合同展示会。2006年スタート。
- 伊藤
- なるほど。STOCKISTはものづくりの人が多いですよね。
そして、そういうものを探しているショップの人が集まる。
それで販売店が増えていったんですか。
- イイホシ
- そうですね。
- 伊藤
- 最初の工場では、
思ったものがすぐ形になりましたか?
- イイホシ
- 今でも、同じなんですよ、
思ったものが形になってるわけではない。
ずっと「もうちょっとこうだったらいいなぁ」
と思います。
- 伊藤
- やりとりは何往復もするんですか、
試作から最終的にGOをするまで。
- イイホシ
- そのときによります。
早くからピタッとくるときもあるし、
ほんと、何回も、何年もやり取りすることもあります。
まだ形になってないものもありますよ。
陶磁器は最後に「焼く」いうことが
大きな通過点なんですけれども、
その洗礼を受けて、くぐり抜けて、
思った形に出て来るかっていうところで、
全然「あら?」みたいなことがあるんです。
そこをできるだけ違わないように通過させたい。
どうやってそこをクリアするか、
窯元さんの長年のノウハウとともに、
みんなでアイデアを出し合って考えてきたんですね。
私が作りたいものはすごくシンプルで、
できるだけ直線だったり曲線だったりが出るものです。
誤魔化しようがない、っていうところが大きくて。
けれども今回のどんぶりみたいに、
焼き上がることでゆがみが発生することもあり、
それをよしとするのかどうか、悩みました。
- 伊藤
- 「大」をいちど販売なさって、
けれどもいったん止めていたというのは、
そういう理由だったんでしょうか。
- イイホシ
- そうなんです。
この場合、もっと分厚くしてゆがまないようにすると
ゆがまない形ができるんですけど、
そうなると重たいどんぶりになる。
「だったらいらないな」と思って。
その結論が出るまで止めておこうと考えたんですよ。
そして今は、
この素材を使ってプロダクトをつくっているので、
できるだけそこは残していいという考えに、
私も変わって来ています。
最初は私が最初に求めたままの形が出て来るよう、
なんとかならないかと思っていたんですけど、
そこに押し込める素材じゃないなぁというのが、
やればやるほど理解できてきました。
- 伊藤
- なるほど。
- イイホシ
- 磁器の素材って、
プロダクト、量産品を作るには、
すごく特殊だと思っていて。
樹脂みたいに図面どおり、
思ったとおりできてくる素材じゃないので、
そこはみんな鷹揚に磁器で作ってるんだから、
こういうゆがみ、
「土が戻りたい形」になるのは
アリだなぁと思うようになったんですよね。
- 伊藤
- 土が戻りたい形。
- イイホシ
- こういう薄くて円型っていうのは、
なおさらそこが目立つものなんです。
世の中に薄手のどんぶりがないっていうのは、
そういうことだと思います。
そこを「よさ」として、
こう受け止めていきたいなと。
- 伊藤
- 「手づくりとプロダクトの境界にあるもの」だったら、
そのちょっとの違いっていうのは、
使う方にしたら逆に嬉しいっていうか。
- イイホシ
- そう思ってもらえるといいなぁと。
プロダクトというものは、今まで、
ほんとに寸分たがわずきちっとしたものができる、
というところを目指して、
ちょっとした黒点でもはじいてっていう世界で、
ずっと作ってこられてたのが
ほとんどだと思うんです。
でも私は色釉、窯変の釉薬を使っているので、
そういうもともとの日本の焼物のよさみたいなところも、
量産の中に入れたいと考えています。
そういう意味で「手作りとプロダクトの間」を
出せたらいいなと思っているんです。
- 伊藤
- 窯変をすることによって、
焼き上がった器、ひとつひとつの模様が
違うわけですものね。
- イイホシ
- そうですね、1個1個、変わりますね。
- 伊藤
- デザインのポイントといいますか、
やさしい曲線であるとか、
「ここは譲れない」ことはありますか。
わたしは、イイホシさんの器には、
とくに使いやすさを感じるんです。
- イイホシ
- 口が当たる器は、その口当たりがいいものがいいなぁ、
と思っています。
「この厚さが」というよりも、
厚くても薄くても、
口が触れて違和感のないものがいいなぁと。
- 伊藤
- なるほど。しかも、重さがちょうどいいんですよ。
重ねて上から見ても、3つ並べて横から見ても、
形も綺麗ですよね。
ところで、いちばん最初に出会った工場の方と
ずっと製作を続けていらっしゃるんですか。
- イイホシ
- 今は増えていますね。
皆さん、使っておられる土も窯も違うので、
でき上がって来るものが異なるんです。
得意分野が違うので、
次にこんなものが作りたい、
というものができたときに、
それだったらあそこにお願いしたら
良いものが出来るだろうな、と、
依頼をするんです。
- 伊藤
- どういうときに次に作りたいというか、
欲しいものが出て来るんですか。
- イイホシ
- いや、ずっとあるんですけど、いろいろ。
- 伊藤
- へえ!
- イイホシ
- ふふふ、まだまだ、あるんです。
けれど、この仕事ってすごく時間がかかるので。
一回作っちゃう(焼成する)と、
それがダメだった場合、ゴミになってしまうというか、
土に還らないので、無駄を出さないよう、
慎重に進めているんです。
- 伊藤
- そういうことも、考えていらっしゃるんですね。
- イイホシ
- はい。できるだけ長く使ってもらえるものを、
と思うので、私が思いつくままに
どんどん作っていっていい素材じゃないな、
というふうに思っています。
- 伊藤
- なるほど。毎年2回新製品を何個も作るとか、
そういう仕事の仕方ではないんですね。
確かに、一回揃えれば、飽きが来ないから、
ずっと使えますよね。
- イイホシ
- そうなってもらえたら、嬉しいです。
できるだけ長く使ってもらえたらいいなぁと。
- 伊藤
- 食洗機に入れられるように、
ということも考えられていますよね。
テーブルから持ち上げるとき、
お皿の縁に手がスッと入りやすいことであるとか、
ナイフやフォークを使ってもガタッとしないところとか、
そういうところに気を配られているんだなと、
使うと感じるんです。
「もうちょっとこうすればいいのにな」ということが、
イイホシさんが作るものには、ないんです。
「食器好き」がはじまりでした
- 伊藤
- イイホシさんとは、ずっと、
お仕事をご一緒したいと考えていたんです。
「weeksdays」でも何かつくりたいねと
チームで話していたんですよ。
そんな折、雑誌『LEE』の通販サイト
「LEEマルシェ」の編集部から、
イイホシさんと何かつくりませんか、
という提案があり、
それならば両方でぜひ、という話になったんです。
さっそくイイホシさんに相談をしたところ、
今回の「TRIO」のもとになった
大小2つの器を見せてくださって。
それで、同じかたちで色を替えたうつわを、
それぞれに展開したらいいんじゃないか、って。
- イイホシ
- そうなんです。
ReIRABO(リイラボ)というシリーズに、
もともと「大」サイズのどんぶりがあったんですけど、
いったん販売を終了していたんですよ。
それをリニューアルして発売するのに、
「小」(gohan chawan)をつくったタイミングでした。
それをまさこさんにお見せしたら、即答で、
「真ん中のサイズがあったら、すごく使いやすい」って。
そのタイミングが、
もうほんとにいつものまさこさんで!
- 伊藤
- 反応が早かった? ふふ。
中間があって、3つでひと組になっていたら、
すごくいいな、と思ったんです。
見た目も綺麗ですし、
重ねることができてコンパクトになるし、
それぞれで用途も違うので使い勝手もいい。
同じ食べ物でも大きい器の気分で
いっぱい食べたい気分のときもあれば、
ちっちゃい器で「これでいい」というときも
ありますよね、って。
- イイホシ
- それで私も、ああ、たしかになぁ、と。
真ん中のサイズって、
単品でもご要望の多いものだったんですよ。
私もどんぶりとご飯茶碗を使っていて、
真ん中のサイズがあると色々使いやすいなと
思っていたんです。
- 伊藤
- そこからは早かったですね。
- イイホシ
- 早かったです。
それで新しいサイズの
「中」(Kodonburi)ができました。
- 伊藤
- ‥‥と、いきなり今回の器の話になりましたが、
「weeksdays」に初めて登場いただくので、
イイホシユミコさんってどんな方なのか、
お話を聞かせてもらってもいいでしょうか。
- イイホシ
- もちろんです。
- 伊藤
- そもそもイイホシさんは、
「食器が好き」な子どもだったと聞きました。
- イイホシ
- そうなんです。
食器が作りたいというよりも、
食器が好きっていうところが始まりです。
小さい頃からの、母親の影響ですね。
- 伊藤
- お母様は、骨董市とかを歩いて
食器を探されたりなさっていたとか?
- イイホシ
- そうですね、いろいろなところに出かけていって
買い求めていました。
そんな母に、小さいときからつき合って。
- 伊藤
- ということは、お母様は、お料理も好き?
- イイホシ
- 大好きでした。
ちょっとした食器の使い方で、
普段の食事が楽しくなるっていうことを、
常々、自分が楽しみながらしている人だったんです。
- 伊藤
- お料理と器がちゃんと一緒になってるんですね。
- イイホシ
- はい。しかもちょっと天然で(笑)、
いろんな器に料理を入れてみたいと、
普段の晩ご飯を松花堂弁当みたいなのに入れてみたり。
- 伊藤
- こうじゃなきゃいけないっていうよりは、
これもありじゃない? みたいな。
- イイホシ
- そうです、そうです。
私はそれを手伝ったりしてました。
ご飯だけじゃなくて、お菓子を焼いたりも。
手づくりのものを、自分で選んだ食器で
みんなでいただくと、
すごく盛り上がって楽しいっていうことを
経験してきたことが、
私のベースにあると思います。
でも、そこはきっとまさこさんも同じですよね。
- 伊藤
- そうですね。
わたしの母は、友だちが来ると、
籐で編んだトレイにレースペーパーを敷いて、
オープンサンドを乗っけて出してくれたりしたんです。
友だちがそれをすごく喜んでくれるのを見て、
あ、これって普通じゃないんだって。
でも母は、わたしに教えるとか、
わたしも母から教わるとか、
そういう感じじゃなかったんですよ。
イイホシさんもそうじゃないですか?
- イイホシ
- そうですね、そんなんじゃないですね。
毎日使う中で、覚えるんですよね。
- 伊藤
- うちの娘も知らず知らずのうちに覚えているみたい。
粉引にキムチは色がついちゃうとか、
高台の裏はざらざらしているから
テーブルで引きずっちゃダメ、とか。
- イイホシ
- 漆の使い方だったり、手入れの方法だったりも。
- 伊藤
- そう、手入れのしかたも覚えていきましたね。
そんなイイホシさんが
器づくりを仕事にしようと考えたきっかけって、
どんなことだったんでしょうか。
「好き」と「仕事にしよう」っていうのは、
全然違うと思うんです。
- イイホシ
- 「欲しいものがなかった」ことでしょうか。
それで作りたいって考えたんです。
- 伊藤
- なるほど「欲しいものがない」。
わたしは欲しいものがないから、
誰かに作ってもらおう、と思って、
いま、こういう仕事をしているんですが、
イイホシさんは自分でなさろうと考えたわけですね。
- イイホシ
- そうですね‥‥一匹狼なので。ふふふ。
- 伊藤
- そうなんです、イイホシさんって一匹狼。
- イイホシ
- ほんと、自分でつくるのが好きなんですよ。
小さな頃から絵を描くのが好きだったし、
工作するのも好きでした。
よく洋服をつくったりもしていたんです。
- 伊藤
- そうなんですね。
でも、最初からプロダクト(工業生産)に
行ったわけでは、ないですよね。
いわゆる作家活動というか、
ひとつひとつ手でつくって、
ギャラリーで展示販売をして、って。
- イイホシ
- 最初はそういう形から始まったんですけど、
ゆくゆくはプロダクト
(工場を使った大きなロットでの製造)が
やりたいと考えるようになりました。
今ほどそんなプロダクトという
言葉が広まっていなかった頃ですけれど。
- 伊藤
- そもそもお仕事になさる最初のきっかけって、
どんなことだったんですか。
- イイホシ
- 食器が好きだったので、
雑貨の輸出入の会社に入ったんです。
そこで流通のことを理解して、
ただつくりたいっていうよりは、
つくって売る、そういう仕事をしたいと考えました。
もうほんと、何十年前の話なんですけど。
- 伊藤
- そういうふうに考えるつくり手の方って、
なかなか、いないですよね。
もともとおうちが陶磁器の工房で、
そこから作家になられたという方には、
いらっしゃいますけれど。
- イイホシ
- そうですね。
- 伊藤
- ひとつずつ、手ろくろでつくるなら、
小さな工房があれば始められるでしょうけれど、
量産をしたいとなると、
工場とのつながりが必要ですよね。
それはどう開拓されたんですか。
- イイホシ
- 量産したいと相談に行っても、
工場側も、個人が相談に来るなんてことは
なかったんですよね。
だからだいたい門前払い(笑)。
- 伊藤
- 規模の大きなブランドやメーカーの製品を
請け負ってつくることが多いでしょうからね。
- イイホシ
- 「何個ぐらい欲しいの?」
と訊かれ、数を伝えると、
「そんなだったら、
自分で作った方がいいんじゃない?」
と、帰される。
そんなことが続きました。
「型代がかかるからもったいないよ」と言われて。
- 伊藤
- 「最低ロット何千個だよ」とか‥‥。
- イイホシ
- 「(個人で)そんなに持ってどうするの?」とも。
そこがスタートで、ジワジワっていう感じでした。
かさねる
折り紙をひとまわりずつ小さく切って、
箱を折る。
端と端をきちんと合わせて、
根気よく。
10個くらい作ると最後にできるのは、
人差し指にちょこんと乗るくらいの、
小さな箱。
小さな箱から大きな箱へ、
順々に重ねていくと、
入れ子の箱のできあがり。
小さかった私が作ったのは、
たしか色とりどりの虹色の箱。
今作るとしたらきっと白一色とかなのかな。
マトリョーシカに、
ネストテーブル、それから応量器。
どうやら入れ子になっているものが昔から好きみたい。
今週のweeksdaysは、
イイホシ ユミコさんが手掛ける
テーブルウェアブランド
「yumiko iihoshi porcelain」と作った器をご紹介。
コンテンツは、
weeksdays初登場のイイホシさんとお話をしました。
「日常使いのものこそ、
美しいものを」
イイホシさんが作る器がすっと私に馴染んだのは、
こんな共通する思いがあるからなのです。
nooyのデニム、あのひとに着てもらいました 2・丸久商店 斉藤美紗子さん
斉藤美紗子さんのプロフィール
さいとう・みさこ
東京・日本橋で
注染の手拭いや浴衣を
昔ながらに製作する問屋
「丸久商店」5代目。
小さな頃から絵を描くことが好きで、
東京藝術大学で日本画を学んだのち、
家業の店を継ぎ、
現在は藝大で出会った夫とともに
丸久商店を切り盛りしている。
「日本の事象にちなんだ浴衣図案や
いろいろな職人の手を経て出来上がる布に
触れることが楽しいです」
5歳の男児の母。
「休日は子供と街歩きをして
『あ、ここ新しいお店できてる!』
と新しい出会いが楽しみです」
夏はやっぱり浴衣をたくさん着るそう。
丸久商店とnooyのアトリエは
歩いて数十秒というご近所さん。
ある日ふらりと斉藤さんが
nooyの展示会をのぞいたのが、
出会いだったそうです。
丸久商店のお隣のお蕎麦屋さんも4代目という
江戸から東京への伝統を今に伝えるひとびとの街で、
あたらしい時代のつながりが生まれていることが
とてもおもしろい!
丸久商店で出迎えてくれた斉藤さんは、
期待どおりに(それ以上に!)
すてきにデニムを着てくださっていました。
「軽くて風の通りぬけがよいデニムなので、
ブラウスを合わせて軽やかな雰囲気にしてみました」
その言葉どおり、
とてもさわやかなスタイリング。
「デニム自体のラインがきれいなので
合わせるブラウスはシンプルにしました」
と言うそのブラウスは
たしかにシンプルながら、小さな襟と
後ろさがりの裾ラインがとてもおしゃれです。
仕事柄、普段は正座で座ることが多く
あまりデニムは履かないとのこと。
さらに出産を経て、タイトなものは
身につけることが少なくなったそう。
「でもこのデニムは生地が柔らかいので
とても気軽に気持ちよく履けるんです」
つづいて着てもらったラボコート。
「ラボコートっていう名前のとおり、
研究者の白衣のような
ユニセックスな形が気に入っています」
下にはnooyの白いシャツに、
春らしいカラフルプリントの
透け感のある素材が特徴的な一枚を
重ねたコーディネートがすてき!
染物問屋で生まれ育った斉藤さんからは
さりげない色使いのセンスが所々に感じられます。
「nooyの洋服は、シンプルなのに
形やディテールにちゃんと個性があって好きです。
後ろの白いタグがポイントになって
かわいいですよね」
そんな「さりげなさ」のセンスが、
nooyと斉藤さんを結びつけたのかもしれません。
丸久商店が扱う「注染」とは、
明治時代に生まれた染めもの技術。
1mほどの幅の型紙の上に、
長い生地を折り返しながら糊付けし、
その上に染料を注ぎます。
そうすることで生地の裏と表が同時に染まり、
柄を均等に繰り返すことが容易にできるようになったそう。
江戸時代からつづく「型染め」の
手間をはぶこうと生まれたこの注染は
明治の当時はある種の工業化であり、
大衆化でもあったのだろうけれど
プリントものの布がたくさん流通する現在では、
今や「伝統工芸」と呼べるもの。
すべての工程が職人の手作業によるものなので、
そこに生まれる「ゆらぎ」が大きな魅力です。
そんな注染をもっとカジュアルに広めていこうと
現在は「TEWSEN」というローマ字表記のもと
注染のシャツブランドもスタート。
さらにはパリのデザイナーとコラボし、
メゾン・エ・オブジェにも出展するなど
海外に向けても積極的に発信を続けられています。
伝統を大切にしながら、あたらしい挑戦を続ける斉藤さん。
こうして日本の伝統技術が受け継がれ
歴史が紡がれているんだなと
あらためて感じるひとときでした。
nooyのデニム、あのひとに着てもらいました 1・haruyoさん
haruyoさんのプロフィール
会社員。
「ほぼ日」のある御茶ノ水~神保町界隈は、
書店や学校が点在し、また街路樹が並ぶ
自然豊かな雰囲気が好きで、
休日によく足を運んでいる。
とくに、神田猿楽町の音楽喫茶
「On a slow boat to . . .」がお気に入り。
「ネルドリップのコーヒーはもちろん、
キーマカレーやガトーショコラなど
美味しいメニューが楽しめるんです。
残業後や週末は、このカフェで
リラックスした時間を過ごすことが多いんですよ」
通ううちに常連客との交流も深まり、
昨年秋にはお店主催の『「あまちゃん」10周年記念
三陸元気! GoGo号乗車ツアー』にも参加するなど、
新しい世界を楽しんでいる。
去年、Satomi Kawakita Jewelryの
イベントに来てくださったharuyoさん。
スラーっとしていて、
ご自分の好きなものや、
似合うものが分かっている大人の女性。
やわらかい話し方も印象的で、
またお会いできる機会があったらいいな、
と思っていました。
そこで今回、
nooyのデニム、着てくれませんか?
とお願い。
前日まで、
あれこれとコーディネートを考えてくださって、
いざ当日。
「もうすごく緊張していて‥‥」とおっしゃるけれど、
どうです?
この堂々とした着こなしっぷり!
「腰回りがゆったりしているので、
穿きやすいですね!」
鏡で全身のバランスを探りながら、
コーディネートしてくださったそう。
「裾はちょっと折り返してみました。
くるぶしを出した方がすっきりまとまるかなと思って」
なるほど。
サイズは2と3を穿いて、
今日えらんだのは2。
裾は折り返さずそのまま。
トレンチにスカーフをさらっと合わせ、
さっそうとした雰囲気に。
「カジュアルもいいけれど、
大人っぽいのもいいかなと思って。
赤いヒールは久しぶりに履いたのですが、
じっさいデニムに合わせてみたら、
しっくりまとまりました。これは発見!」
会社では広報のお仕事をされているというharuyoさん。
「去年から自由な服装で来てください、
となったのですが、
デニムで行ったことはまだないんです。
でもこのコーディネートならいいかな」
最後はデニムのコートを。
中にはニットを重ねました。
このコート、すっかり春物と思い込んでいましたが、
合わせるもので、冬の終わりや秋でもいけるんだ!
これは私の大発見でした。
ニット帽と手袋はchisakiのもの。
「weeksdaysでchisakiを知ってからのファンなんです」
帽子はそれまでほとんど被ったことがなかったと
おっしゃいますが、
とてもよくお似合い。
バッグはTEMBEAの白のエナメルを。
白のステッチと光沢感のあるバッグがぴったり。
後ろ姿もすてきです。
パンツも靴も白でまとめて。
「白のコーディネートは、この春ぜひとも挑戦したかった」
のだそう。
今回、weeksdaysのものを
コーディネートにたくさん取り入れてくださった
haruyoさん。
服のみならず、
CI-VAのバッグに、cohanの下着‥‥
「オーバルの器はヘビーユーズ」なんですって。
weeksdaysでは、コンテンツも読みますか?
とたずねると、
はい! というお答えが。
「とくに好きなのは、nooy、Satomi Kawakitaさんや
saqui、COGTHEBIGSMOKE、chisakiなど、
日本の女性デザイナーの方のインタビュー記事です。
ユニークな経歴をお持ちだったり、
海外で活躍中だったりと、それぞれとても興味深い。
拝見して、素敵だな、
この方が作られたものを身に着けたいなと
思うことも多いです。
どのブランドもweeksdaysで
初めて知ることができました」
チームでも毎回頭をひねって考えているコンテンツ。
こうして読んでくださっている方がいると思うと、
とても励みになります!
haruyoさん、ありがとうございました。
大人のデニム
デニムは、
定番のアイテムとされているけれど、
じつは、その年ごとにアップデートされているから、
目が離せない。
うかうかして、昔のものをそのまま穿いていると、
「ちょっと古い人」になるからご用心。
パリに住む友人は、
「ずっと古着のリーバイス501一筋」と言うけれど、
それはかなりの上級者。
私はとうてい真似できないなぁ‥‥なんて、
その人のすてきな着こなしを見ると思ってしまうのです。
この春、新鮮なのは、
ちょっとウォッシュ加工されたデニム。
大人のデニムはきれいめでないとと、
ずいぶん長い間、
色落ちしていないデニムを「よし」としてきた私でしたが、
この心境の変化はいったいなんなのだろう?
春だから?
今週のweeksdaysは、
今の気分にぴったりな nooyのデニムをご紹介。
早春にぴったりなコートも合わせてどうぞ。
Half Round Table あのひとのつかいかた 6・川畑朋子さん
川畑朋子さんのプロフィール
かわばた・ともこ
社会福祉士、精神保健福祉士。
長崎県生まれ、幼少期から福祉に関心があり、
鹿児島県の大学卒業後、
医療機関や行政機関での仕事を経て、現在に至る。
「特別養子縁組に関することを、
こどもからおとなまで、
ご相談、お話をきかせてもらっています」
現在、娘と2人暮らし。
「娘と心地よく楽しい時間をすごすことを考えて
昨年家を建てました。
写真を撮ること、
自分の好きなものにふれること
(テーブルやほぼ日など)が好きです」
●こどもも おとなも website
●こどもも おとなも Instagram
「昨年の5月に自宅を建てるとき、
このハーフラウンドテーブルを置くことを前提に
設計を依頼したんですよ」
という川畑さん。
ええっ?! なんと、
そこまで惚れ込んでくださったのですか!
ほんとうにありがとうございます。
川畑さんが「これだ!」と思われた
一番のポイントは、大きさと形だったのだそう。
この日は、テーブルの上にお花を飾られていましたが、
とくに使いみちは考えていなかったのだそう。
「この大きさがいいんです。
小さすぎず、書き物をしたいときも使えますし、
コーヒーテーブルにもなりますよね。
わが家は娘と2人なので、
2人で足りる大きさのテーブルが
欲しいと思っていました。
でも申し込んだ時は使いみちを想定せず、
届いてから、どう使おうかなと考えたんです。
最初は、パソコンを置いて、
ちょっとしたデスクのようにと思ったんですが、
なんだか違うなと感じて‥‥。
結局、『まだ見ておきたい!』と、
あまりものを置かずに眺めています。
これからまた、使い方が変わるかもしれませんが、
今は、こうして見て満足している感じです」
そうなんですよね、このテーブルって、
「そこにあるだけで嬉しい」、
そんな存在感があります。
川畑さんの新居には、これまで少しずつ揃えた
お気に入りの家具のほか、
この家のために設計を依頼した家具が。
「家事をする作業台や、
洋服をしまうスペースなどは、
大工さんにつくってもらったんです」
そんな中、
このテーブルを選んでいただいたこと、
光栄です。
左に玄関スペース、右はキッチンスペース、
ふたつの空間をつなぐちいさな壁にそって、
このハーフラウンドテーブルは置かれています。
ふたつの出入口は、
壁をくりぬいたかのようなデザインで、
天井側の角はまるいR(アール)に。
それがテーブルの印象ととてもよく合っていますね。
「そうなんです。このRのデザインは、
テーブルの大きさに合わせて、
設計の方が考えてくださったんです」
すごい!
見た目のうつくしさだけでなく、
玄関からキッチンに食材を持って行くときなど、
ここに半円のテーブルがあることで、
動線を邪魔しないのかもしれません。
実際に、使い勝手はいかがですか?
「とってもいいですよ。
お友達が来たときも、
ここにサクッと荷物が置けるのも便利です。
何を置いても、見ていて絵になる感じがします」
なるほど、実際に使えもするし、
見ていてもきれい。
ブラックとナチュラル、
ふたつの色がありますが、
ナチュラルを選ばれた理由は、
「木の色を生かした感じが好きだから」とのこと。
たしかにお家の雰囲気ともよく合っています。
「weeksdays」の使い方のコンテンツは、
参考になさいましたか?
「はい、すごく!
真似してるんじゃないかっていうぐらい、
参考にしています。
ベトナムのかごが好きで、
赤と黒を持ってるんですけど、
本を入れてこのテーブルの下に置いて、
とか、いろいろやってみています」
今、ベストな場所に置かれているとは思いますが、
ここ以外に置くとしたら、どこに、
という候補はありますか?
「そうですね。玄関にも置きたいなと思って、
じつはいちど、移動をしてみたんです。
けれどもまだちょっと存在感がおっきいなって思いました。
あとは、奥にちいさな自分の部屋があるんですけど、
本とか書類がいっぱいなので、
そこがもう少し片付いたら、
そこに贅沢にボンッて置きたいなと思います」
ご自分のお部屋に置くのもすてきそうですね。
今、お話しなさっている横に見える白い壁のところにも、
テーブル、似合うかもしれません。
「この壁、いまは真っ白なんですけれど、
子供がちっちゃくて、絵を描いたりするので、
あけておいて『絵を描いていい壁』にしているんです。
彼女がもうちょっとおっきくなってきたら、
贅沢にこちら側に置いて、
それこそプロジェクターを置いて映画鑑賞、
というのもよさそうですよね」
すてきですね!
そして川畑家の間取りには、
「扉がない」というお話にも。
なぜ、扉をつけずに?
「今までの生活の中で、
ドアの開け閉めが面倒だったので、
扉はトイレとお風呂の脱衣所だけでいい、と」
わかります。
扉の奥のホコリが気になったりしますよね。
その、扉をつけないことって、
以前からずっと心に決めていたんですか。
「いえ、ここを建てるときに考えていたのは、
ハーフラウンドテーブルを置きたいということと、
『絵が描ける家』ということぐらいでした。
設計者のかたと話す中で、
扉は要らないとか、ここはRにしようとか、
相談しながら一緒に決めたんです」
思い描いたことを形にしてくださる工務店さんとの
よい出会いがあったんですね。
「そうなんです。同級生なんですよ。
なので、自由にものが言えて」
そうだったんですね!
ところで、テーブルの重さはいかがですか。
ちょっと動かしたりするときに。
「重いと感じたことはありません。
持ち運びやすい中でも安定感があり、
子供がまわりで遊んでいても安心です。
だからこうして今は花瓶を置いています」
よかった。
川畑さん、さいごにお聞きしたいんですが、
weeksdaysに「こんなものがあったらいいのに」と
思うことって、ありますか?
「なんだろう? いつもふと思ったりするんですよ。
こうして話すと思い出せないものですね」
急に訊いてしまってごめんなさい。
思い出されましたら、ぜひ、メールをくださいね。
参考にさせていただきます。
川畑さん、ほんとうにありがとうございました。
「私もうれしかったです。
ありがとうございました」
あらためて「家を建てる時に、
このテーブルが置けるように設計を考えた」
というお話、とっても嬉しかった、
川畑さんのお話でした。
Half Round Table あのひとのつかいかた 5・横山有美さん
横山有美さんのプロフィール
よこやま・ゆみ
大学卒業後、外資系企業の秘書を経て
友人の紹介で研究機関(事務職)にて長年勤務。
欧米出張土産の美味しい紅茶や
宝石のようなトリュフ(チョコレート)の虜になり、
沼にハマる。
退職後は幼少期から弾いていたピアノの稽古を再開。
コンサート、バレエやオペラを観るために
旅行に行くことも楽しんでいる。
「一目ぼれでした。
でも一回目は、申し込まなかったんです」
とおっしゃる横山さん。
迷った理由は? とお訊ねしたら、色だったそう。
じつは横山家の家具は色が濃いめの楢(ナラ)材が多く、
ハーフラウンドテーブルの「北海道産ミズナラ」の
ナチュラルカラーとは、
ちょっとだけ違和感があると感じていたのだそうです。
「けれども2回目の申し込みのときに、
玄関の建て付けの色と似ていることに気づいたんです。
そっか、玄関だったら似合う! と思って、
注文することにしました」
そうして横山家の玄関にやってきた
ハーフラウンドテーブル、
どんな使い方をなさっているんでしょう?
「コロナ禍のときは消毒用アルコールや
マスクなどを置いていました。
ちょっと落ち着いた今は、
ぬいぐるみなど趣味のものを置いているんです」
なるほど、万能ですね!
「ちなみに、これからの季節は
チョコレートの保管場所になります。
部屋だとあったかいし、
冷蔵庫だと冷えすぎるし……。
冬の玄関ってチョコレートを置くのに
温度が完璧なんですよ」
バレンタインを前に、
玄関にチョコレートを?!
素敵です。
「行ってらっしゃい」や
「ただいま」の時間が楽しくなりそうです。
玄関にあるこのテーブル、
横山さんがちょっとした家事の合間に
本を読むための場所にもなるんですって。
「というのも、主人が在宅勤務の日、
居間と食堂を占拠してしまうので、
私のスペースがなくなっちゃうんです。
それで玄関を、ちっちゃいリビングに
早変わりさせて」
なんと、いいアイデア。
ハーフラウンドテーブルの天板って、
ちょっとした書き物をしたり、
読書をしたり、お茶をしたり、
編み物など趣味のことをするのにも、
ちょうどいい大きさですよね。
ところで横山さん、
買う決め手になったのは色とおっしゃいましたが、
ほかにも「ここがいいな」
というポイント、ありましたか?
「形と大きさですね。
ちょうど玄関の幅に、
オーダーしたようにピッタリなんです。
家具を運んで来られた方がびっくりしてました」
よかったです!
通販で家具を購入するということには
躊躇はありませんでしたか。
「大丈夫ですよ。家具のいいものって、
このぐらいのお値段はしますし、
ほぼ日さんのご推薦だったら間違いないかなと。
実際、素敵なものが届いて喜んでいます」
そんなふうにおっしゃってくださって、
私たちも嬉しいです。
玄関先で梱包がはずされた瞬間、
画面で見て想像していたものそのものだった、
という横山さん。
開梱した時に木の香りがしたのに感激なさったそう。
ナチュラルは、
ミズナラのいい香りがしますよね。
「もうそれがすごく癒しになって!
合板物にはない香りですよね。
玄関に森がやって来た、っていう感じでした」
なんて嬉しい言葉!
ありがとうございます。
「PAS Stoolと一緒に頼んだんです。
スツールは主人や娘も使いますから、
それぞれの部屋や洗面所など、
けっこう家のあちこちに持って行くんですよ。
そうすると持って行った先で、
いい木の香りがするんですよね。
テーブルはもちろん、
スツールは座ると体温で香りが立つ。
ああ、素晴らしいなと思いました。
それはやっぱり使ってみないと
わからないことでしたね」
天然木の家具を使うって、そういうことなんですよね。
ところで、テーブルが丸いということについては、
違和感、ありませんでしたか?
「大丈夫です。じつはうち、食堂のテーブルも
30年以上前にオーダーしたんですけど、
天板が120センチの正円なんです。
その当時、そういうテーブルがなかったので、
オーダーして作ってもらったんですよ。
なぜ丸だったかというと、
子どもがケガをしないっていうのが一番で。
成長してきて、
ちょうど天板が目の高さになる時期ってありますよね。
そのときに角がないのは安心だなって思ったんです。
また、私ぐらいの年齢になってくると、
足元を見ていないことが増えるので、
角にゴンっとやっちゃうこともあるんですよ。
このハーフラウンドテーブルは、
壁につけて置けば角がなくなりますから、
誰もケガをしません。
よく考えられて作ってらっしゃるなと、
ほんとに感心します」
使ってくださっているからこその感想、嬉しいです。
ところでスツールは移動して使われると
おっしゃっていましたが、
ハーフラウンドテーブルはどうでしょう。
玄関に据え置きですか?
「はい、基本的には、玄関にぴったりなので。
でも、私でも運びやすい重さなので、
お客さまがいらっしゃる時に、
サイドテーブルとして、
リビングに移すこともあるんですよ。
それこそグラスを置いたり、
ちょっとしたおつまみを置いて」
わぁ、それも素敵な使い方ですね。
それでは、もっとこうだったらいいのにな、
ということはありますか。
「やっぱり色のトーンでしょうか。
もう少し濃いめのがあるとうれしいなと思います。
ブラックとナチュラルの二択しかなかったので、
その間ぐらいのブラウンがあればいいなと思いました」
そうですね。
お使いの家具とか床材も、
濃いめ色のものという方も多いですものね。
でも使ってるうちに
ちょっとずつ濃くなっていくと思いますよ。
「そうですよね。
1年近く経つんですけど、
だいぶ濃くなってきました。
最初は、玄関が明るくなるぐらい
白っぽかったんですけれど、
これからもいい具合に経年変化をしていきそうです」
お手入れも、されていますか。
「はい、お手入れの冊子をいただいたので、
それにならって、時々オイルで磨いてます」
素晴らしいです!
最後に、テーブルに限らず、
「weeksdays」にこんなものがあったらいいな、
というものがあったら、教えてください。
「アートに興味があるので、
そんなに値段が張らないアート系のものを
出していただけたらうれしいなと思います」
なんと! じつはいまweeksdaysチームでも
そのことを考えているんです。
以前、アーティストの松林誠さんの絵を
抽選販売したことがあるのですが、
また異なるアートの取り組みができたらと思っています。
そういえば、いま、オンラインの画面で
横山さんのうしろに見えているのは、
どなたかの絵画でしょうか。
「そうなんです。
もう亡くなられた作家さんになりますけど、
社会人になりたてのときに、一目ぼれをして。
そんな私でも買えるくらいのお値段のものでした。
そしてこれが私の蒐集のはじまりなんですよ。
けれども、働いている時って忙しいから
こういう絵も掛けっぱなし。
今はすこし余裕ができたので、
季節季節で『しつらい』を変えてみたり、
雰囲気を変えてみたいと思っているんです」
はい、ご期待に応えられるよう、
考えていきますね。
ハーフラウンドテーブル、
使っていただきうれしいです、
取材をお受けいただきありがとうございました。
また何か機会がありましたら、
ご意見を聞かせてくださいね。
Half Round Table あのひとのつかいかた 4・柳本郁子さん
柳本郁子さんのプロフィール
やなぎもと・いくこ
コンサルタント。
企業経営や社会課題の解決を
支援する仕事をしている。
大学院修士課程を修了後、
現勤務先のコンサルティングファームに就職。
夫と2人の娘との4人暮らし。
「仕事と育児に追われ、
ひとりでゆっくり過ごす時間はあまり持てていませんが、
就職と同時期に始めた茶道のお稽古に今も通っています」
オーケストラやバレエを観たり、
美術館に行ったりするのも好き。
ちょうど今のウィンターシーズンは
家族でスキーを楽しみ、
月に1度は雪山へ赴いているそう。
「ほぼ日手帳からはじまって、
その次はハラマキ。
それからSHIGUSA MIRROR‥‥
夫からは『ほぼ日信者だね』なんて
言われているんですよ!」
と柳本さん。
ハーフラウンドテーブルの取材で、
ご自宅におじゃますると‥‥
PAS StoolにSAITO WOODのBASKETも!
指にはSatomi Kawakita Jewelryのリング、
耳元にはhimieのイヤカフ‥‥と、
weeksdaysのアイテムもたくさんお持ち。
そしてとってもよくお似合いです。
なんとBASKETは、
同じ部屋にふたつ。
「ここは私の仕事場ですが、
娘たちのピアノも置いているんです」
グレーのバスケットの中に入っているのは、
ピアノのペダル。
棚にちょどおさまってすっきり。
バスケットのお手本のような使い方をされている。
ハーフラウンドテーブルは、
サイトを眺めている時に、
目にとまったそう。
「半円のこの形、見たことないなって。
部屋に置いたイメージがパッと浮かんだんです」
テーブルが届いてからは、
花や絵を飾っているとか。
「仕事をする私の横で、
ここで娘たちが絵本を読んだり、
宿題をすることもあるんですよ」
また、収納が少ないので、
ちょっと何かを置く時にも重宝しているのだとか。
玄関のタイルにはじまり、
階段の手すりやステップも黒。
白を基調としつつ、
ところどころ黒で引き締めている柳本家。
「色は迷わず黒」
だったというのにもうなずけます。
「家具はナチュラルな色より、
黒やグレーなどのシックな色合いが好み」という柳本さん。
この部屋にはピアノもあるので、
同じ黒にした、というのも
えらんだ理由のひとつなんですって。
壁はきれいな水色。
窓枠や、巾木は白。
「このテーブルがきて、
部屋のおしゃれ度が高まった感じがしてます」
なんて、うれしい感想をいただきました。
また、
「そんなに大きい家具ではないので、
自分でも移動できるかなと思って。
夫の仕事部屋や玄関などに置いてもいいな、
なんて思っているんですよ」
白を基調としつつ、
それぞれの部屋ごとに壁の色が違うという柳本さんの家。
模様替えされたときはまたぜひ、
拝見させてくださいね。
みんなの定番
テーパードリボンパンツは、
色違い、サイズ違いで全部で7本。
ストレートスカートに、
ノーカラーロングジャケット、
スリークォータースリーブジャケット。
あとは‥‥と指折り数えたら、
自分でも驚くくらい、
Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)社の生地で作った
saquiの服が増えていました。
着心地がよく、上質。
シワになりづらいので、
立ったり座ったりが多い仕事の時や、
旅にも重宝。
合わせるアイテムによって、
「きちんと」はもちろん、
カジュアルにもなる‥‥といいことづくめ。
私にとってあまりに身近な素材になったため、
街で身につけている人を見かけると、
すぐに分かるようにもなりました。
あ、Sartiの生地だって。
weeksdaysのお客さまにもファンが多く、
とくにテーパードリボンパンツは、
「みんなの定番」のようになっています。
こんな服って、ほかにないんじゃないかな?
なんて思っています。
ブランドが誕生して8年。
今年の春は、パリで小さなショーを開くそう。
これからますます楽しみなsaquiなのです。
台北で
台北の友人の茶藝館を、
訪れた時のこと。
この3年余りの間に、
少しずつ改装したそうで、
店の手前には、息子さんセレクトの
器のギャラリーができていました。
「この母にして、この子あり」
といった感じの、
洗練されたその空間でお茶をいただいている時に、
ふと目に入ったのが、
入り口脇に置かれた半円の木のテーブル。
おそらく古いものなのでしょう。
3本足のそのテーブル、
あれ‥‥?
なんだか見たことがある!
そう。
大きさといい、形といい、
weeksdaysのハーフラウンドテーブルと
そっくりなのでした。
以前エッセイに、
「しっくり馴染む」と書きましたが、
そのテーブルもまさに。
ちょっとものを置いたり、
座って書きものをしたり。
丸いテーブルでもなく、四角いのでもなく。
半円だからこその馴染み方。
「こういうの、あるといいよね」
という思いが、
海を超えたこの場所にもある。
なんだかうれしいできごとなのでした。
きっとまだまだ私の知らない半円テーブルが、
世界のいろんなところにあるんだろうな。
今週のweeksdaysは、
北の住まい設計社のハーフラウンドテーブルの再販売です。
コンテンツは、以前買ってくださった方に、
使い心地をうかがいましたよ。
小ひきだし、あの人の使い方 その2 半径1mの景色を 和田泰次郎さん
和田泰次郎さんのプロフィール
わだ・たいじろう
編集者。
1985年生まれ。
編集プロダクション、学研、マガジンハウスを経て、
2023年春よりダイヤモンド社 書籍編集局に所属。
レシピ本を中心に、家事、健康など
生活実用全般の書籍を企画。
料理レシピ本大賞を5度受賞。
「weeksdays」では
「あのひととコンバース。2022」にも登場。
最近の担当書は『落合式イタリアン』(落合務著)、
『平野レミの自炊ごはん』(平野レミ著)。
伊藤さんの「まさこ百景」の展覧会にお邪魔して
「小ひきだし」をはじめて目にしたとき、
一生共にする家具だな、となんとなく感じました。
家具にはベッドや棚、テーブルなどいろいろありますが、
「愛着」という視点で見てみると、発見が。
うちの棚はどーんと鎮座しているので可愛いわけではなく、
テーブルは自分以外のお客さんも使う公共性がある。
ソファはくたってしまって去年買い替えたし、
ベッドは愛着を超えているような‥‥。
家の広さや間取り、ライフステージに合わせて、
意外と買い替えることが少なくない家具。
そう考えると、サイズ感といい、
実用性といい、距離感といい、
小ひきだし、なんて素敵な相棒なんだろうと!
そんな思いでうちに迎え入れて半年以上経ちますが、
引き出しを引くたびに(心で)にやにやするほど、
飽きのこなさに静かに驚いています。
超スムーズな引き心地、スベスベ木肌、
絶妙な高さの収納力、
そして半径1mの景色をほっこりさせる佇まい。
今は玄関の台に置いて使っていて、
外出にまつわる段が3つ。薬の段が1つです。
1の段 ハンカチ・腕時計など
家を出るときにさっと取り出せるように。
腕時計は毎日しないので、2つだけ。
サングラスやハンドクリームも置いています。
2の段 カード・領収書
財布は身軽に持ち歩きたいので、その日に使わない
カードは家に置くようにしています(身分証も含め)。
仕事で精算する領収書の一次置きにしていて、
月末にリビングのテーブルに引き出しを移動して整理を。
3の段 文庫本
ちょっと時間がありそうな日に持ち歩く用。
ぴったり4冊並ぶので(重ねれば16冊くらい収納可)、
併読しているものを気分で選びます。新書も置けました。
4の段 薬
無印良品のカードケースを置いて、
薬の仕分けに(普段はふたをしめています)。
常備薬、葛根湯、胃薬、ばんそこう。
軟膏、アルコールスプレー、体温計、マスクもここに。
頂上
忘れないようにするものを置きます。
受け取り待ちの不在票や配送伝票、翌日ポストに出す手紙、
近々使えそうなクーポン、マンションのお知らせ‥‥。
地味に大事な場所に。
小ひきだしのまわりには、猫村さんカレンダー、
骨董市で見つけた置き物、手袋、除菌スプレー、
Yuki & Daughtersのクッキーなどなど。
好きなものを集めてみたら、
家に帰るのが嬉しくなりました。
(ときどき模様替えするのも楽しい。)
今後の課題としては‥‥。
有元葉子先生のエッセイ
『使いきる』がバイブルなのですが、
家の中に気持ちのいい景色をつくるうえで、
少しでもプラスチックのものを
家の中から減らすことに努めています。
(そう簡単にはいかないのですが。)
引き出しの中ももっとシンプルにしていきたいです。
あとめちゃくちゃ丈夫なので、
どうしたらさらに味が出るものか考え中です。
小ひきだし、あの人の使い方 その1 指定席 古川ゆかさん
古川ゆかさんのプロフィール
ふるかわ・ゆか
国際薬膳師。
大学卒業後、出版社で料理本など
実用書の編集に携わる。
退職後、薬膳を学び、現在は自宅で薬膳教室を主宰。
家事をしているおだやかな時間が大好き。
最近はしなやかな体づくりを目指して
パーソナルトレーニングを受けている。
小ひきだしは、
前から気になるアイテムだったという古川さん。
古道具屋さんに行くと、
ついつい目がいくけれど、
つまみのデザインがちょっと、とか、
形がもう少し違ったらな、とか。
カタカタしたり、
手触りがざらっとしていたり。
何かがちょっと足りなくて、
買うにはいたらなかったのだとか。
weeksdaysのサイトを眺めている時に、
見つけたのがこの小ひきだし。
「これだ!!」とピンときたんですって。
届いた日は、
小箱を中に入れては、
「きゃー、ぴったり」
なでなでしては、
「きゃー、すべすべ」
とひとり、喜びを噛み締めていたそう。
小ひきだしは一階のリビングが定位置。
「どこでも自由に見てね」というので、
遠慮なく開けてみると‥‥
上段ふたつがアクセサリー入れ。
「小引き出しがくる前、
アクセサリーを2階の寝室に置いていたときは、
身支度を整えて、玄関で、
あ! あれつけたかったな‥‥と思っても、
面倒でそのまま出かけてしまったり。
ここに置くことでグンと出番が増えました」
3段目には、爪切りや体温計、ハンドクリームなどなど。
4段目は文房具。
‥‥と、ものの見事にすっきり。
どこになにが入っているかが一目瞭然です。
ふと、家の中を見回してみると、
キッチンクロスはここ、
空き瓶はここ、読み終わった新聞はここ、
とグループごとに仕分けがされている。
毎日届く郵便も来たらすぐに開けて、
いるものといらないものに仕分けするんですって。
必要なものは、
気に入りのかごや箱に収納。
好きなものだけしかないからこその、
この統一感。
小ひきだしは、
まるで前からここにあったみたいに馴染んでいました。
子どもの頃から整理整頓が身についていたのですか?
と尋ねると、
「20代の頃、取材で訪れた家事評論家の方の、
『すべてのものに”指定席”を』
という言葉に感銘を受け、
家に帰ってすぐに実践したのがきっかけ」
そんな答えが返ってきました。
とくに「小さなものほど指定席を」
と言われて、なるほど! と思ったのだそう。
「かねてから、
爪切りどこだっけ? ホッチキスは? なんて、
探しものをするのがいやだなぁと思っていたんです」
じっさい片づけてみると気持ちがいいし、
探しものをする時間もなくなって一石二鳥だったとか。
「余計な買いものもしなくなったし、
ものも還る場所があってうれしそう」
たしかに。
自称「手触りフェチ」という古川さん。
「この小ひきだし、外側だけでなく、
引き出しの中も触り心地がいいでしょう?
届いた日は、夫もすーっと撫でてうっとりしてた。
気持ちいいねって」
ものの指定席がある古川家では、
「使ったら戻す」が身についているそう。
家中が淀みなくすっきりしている理由は、
こんなところにあるのでした。
「見た目よし、触ってよし、使ってよし、
の3拍子揃った小ひきだし。一生ものです」
なんてうれしい言葉をいただきました。
キューブスツール、あのひとの使いかた 5・鶴見昂さん
鶴見 昂さんのプロフィール
つるみ・たかし
1986年神奈川県生まれ。パティシエ。
石川県〈TEATON〉、駒澤大学〈POPPY〉などの
メニューを監修。
2022年より菓子教室「ツルミ製菓」を主宰。
著作に『Café Lisetteのお菓子』
(エンターブレイン)がある。
「weeksdays」ではエッセイ
「あなたには赤が似合わない。」
「神棚とケーキ」を寄稿。
ある日わが家に
weeksdaysのキューブスツールがやってきた。
わくわくして早速段ボールを開け、
立方体の木の箱を触ってみるとスベスベ~!
赤ちゃんの肌みたいだ!
真っ新(まっさら)な無垢の木に触れたら
なんとなく神聖な気持ちになって、
思わずそっと頬擦りしてしまった。
さて、どうやって使おうかな。
まずはリビングの窓際に運んで、
キューブスツールの開口部を手前にして置いてみた。
無垢材の色調もパーケットフローリングと
ぴったりマッチしていい感じ。
よく手にとるお菓子の本を詰め込んで、
花瓶を重ねて、好きなものを適当に並べて
暫く眺めてみると、余計なものに邪魔されず、
美しくデザインされた本の装丁や
色とりどりの花がパッと目に入ってくる。
一見そっけないようなデザインも
かえってちょうどいいみたい。
どんな奇抜な花も花瓶も受け入れてくれる懐の深い箱。
日々そうやって使っていると、
キューブスツールから本を取り出すたび
手に触れる木肌の滑らかな感触にいちいち癒されて、
私はすっかりこの触り心地の虜になってしまった。
しばらくリビングに置いていたら、
昔からそこにあったみたいに
すっかりわが家に馴染んで
そのまま何日も過ぎてしまったけれど、
折角なら色々な場所に置いてみようと思い立ち、
こんどはスツールとして使うために
キッチンへ移動してみた。
一人暮らしの小さなキッチンには少し大きいかな?
と懸念したものの、そんな心配はなんのその。
買い物をしてきた野菜を一旦置いたり、
調理台がいっぱいになった時に
ボウルを避難させるスペースに使ったりと大活躍。
レシピブックを読みながら何を作ろうかな~と悩むときも、
鍋を火にかけてフゥと休憩する時にも、
気づいたらキッチンの角に置いた
キューブスツールの上が私の定位置になっていた。
その後も大人数の来客で椅子が足りないときに使ったり、
高さがあるから逆さまにして
ヨガマットやストレッチポールを収納したりと、
家の中のあらゆる場所に移動させて愛用した。
気軽に移動して家の景色を変えられるところも
気に入っている。
このすべすべの無垢材を
キレイなままに大事に使いたいけれど、
何年も使っていくうちにキズがついたり、
乱雑に置いた熱いヤカンの跡がついたりして
風合いが変わっていく姿も素敵なんだろうな。
私はカバンをボロボロにしてしまうから
きっといつかそうなる。
これから何十年も一緒に過ごしていくであろう
運命の人に出会った時みたいに、
皺くちゃになった自分が
傷だらけのキューブスツールに腰掛けて
共に過ごす姿が頭をよぎった。
これからもよろしくね。
少しずつ
久しぶりにロールキャベツを作ろうと思って、
キャベツを買ったら、
あれ? なんだかやわらかくなっている。
冬の間、
硬く身を寄せ合っていた葉っぱが、
ふわっとゆるやかになっていて、
ああ、春が少しずつ近づいてきているんだなぁ‥‥
なんて思ったのでした。
八百屋の棚をのぞいてみると、
おや、新玉ねぎも出ているではありませんか。
あれ? 菜の花も。
蕗の薹も!
まだまだ寒い日は続いているけれど、
季節は少しずつ進んでる。
冬好きを公言している私ですが、
今年の冬は早く終わって欲しいと思っています。
皆んながあたたかく過ごせる日が、
やってきますように。
今週のweeksdaysは、
キューブスツールと小ひきだしの再販売。
リビングで、
キッチンで。
家のどこに置いても、きっと役に立つ、
weeksdaysでは定番となっている人気のアイテムですよ。
リベコのよさ、リネンのよさ
- 伊藤
- 生地、リベコを選ばれた理由って、
なぜだったのでしょう?
- 渡邊
- リネンの糸のクオリティの高さと質感ですね。
いろんなものを海外から取り寄せてもみたんです。
以前、イタリアにもいいリネンのメーカーが
あったんですけど、やっぱりリベコになりましたね。
織り幅も広いものがあるんですよ、
ベッドリネンもあるメーカーですから。
あとカラーバリエーションを持っていた。
北の住まい設計社では、
椅子の張り地もリベコを使っていたことがあるんです。
出会ってからは長いですね。
- 伊藤
- わたし、20年くらい前に、
取材でリベコの本社に行きました。
- 渡邊
- ええー! すごい。
- 伊藤
- マスターズオブリネン(Masters of Linen™)
という、ヨーロッパの厳しい認証を
クリアしているんですよね。
- 渡邊
- そうですね。
ほんとにクオリティーの高いものには
その認証がついていますよね。
- 伊藤
- 取材をしてみて、
「あ、やっぱりいいものなんだ!」って
思ったのをおぼえています。
- 渡邊
- そうですね。
ただ椅子の張り地にするには、
乾燥と摩耗にちょっと弱いんですよ。
- 伊藤
- わたしは薄いリネンを
カーテンにしていた時がありました。
摩耗の弱さは感じなかったですけど、
たしかに乾燥には弱い。
- 渡邊
- 大事にするあまり、
日当たりのいいところで、
何年もかけっぱなしにしていたかたが、
破いてしまったことがありましたが、
クッションに使うくらいは全然大丈夫ですよ。
適当にお洗濯もするでしょうし。
うちも、いまは椅子などの張り地にはせず、
リベコはクッションとベッドリネンに使っています。
- 伊藤
- そうですね。
このクッションカバーは
お洗濯の注意点ってありますか。
リネンでカーテンをつくって洗濯をした時に、
「あれ、ちょっと短くなった?」
ということもあったりして、
それはそれで生きてるものの感じがして、
すごくかわいいんですけれど。
- 渡邊
- まず高温のお湯で洗うのは避けること。
それから脱水に弱いんですよ。
洗濯機でも、毛糸洗いのような感じで、
脱水をゆるくすれば問題はないんですけど、
勢い良くグルグル回しちゃうと、
3%ぐらい、縮むんじゃないでしょうか。
そして乾燥機は使わないでくださいね。
- 伊藤
- 自然乾燥で。
ところで雅美さんのご自宅では、
どんなクッションを使われていますか。
- 渡邊
- ソファが無地なので、
リネンのプリントものをゴロゴロ置いてます。
- 伊藤
- そっか、プリントもかわいいですよね。
- 渡邊
- プリントやりたいですよね。
- 伊藤
- ねー。
- 渡邊
- でも、なかなかいいプリントがなくて。
- 伊藤
- リベコにはプリントって‥‥?
- 渡邊
- リベコにはプリントはないですね。
柄ものは、ストライプなど、
糸で染色して織ったものになるんです。
- 伊藤
- スウェーデンのスヴェンスクト・テン
(Svenskt Tenn)のように、
すごく派手なテキスタイルもいいですよね。
高価になっちゃうかもしれないけれども、
絵を置くくらいの感じで、
一個、部屋に置いたらすてきかも。
- 渡邊
- はい。あとは、ユンバリ(Ljungbergs)という
プリントのファブリックをやっているところが
スウェーデンにあるんですけど、
そこのプリントは機械じゃなくて、
ハンドプリントなので、
ものすごく色もいいですよ。
ここのものは、小さくポンって
置くぐらいのものがかわいいと思うんですよ。
- 伊藤
- そうかもしれませんね。
ところで雅美さん、
クッションの中身についてもお聞かせいただけたら。
北の住まいさん仕様のふかふか度合いが絶妙なんです。
ここにも家具のような安心感があるんですよ。
- 渡邊
- ふかふか度合いは、羽毛の工房に、
何センチの中に何グラム入れてもらうかっていう
注文をこちらからするんですが、
‥‥基準を決めた当時、どうだったかな?
沈みすぎては嫌だなと思ったので、
ある程度のボリュームが必要だと考えたんだと思います。
「このくらい?」
「うーん、このくらい!」
みたいにやり取りした記憶があります。
- 伊藤
- クッションらしく沈むけれども、
ちゃんと跳ね返るっていうか。
- 渡邊
- はい、その、かたさ加減。
- 伊藤
- お客さまにはカバーとクッションを別々にお届けし、
おうちで入れていただく仕様になりますね。
すごくよいものができて、うれしいです。
わたしたちも、いちど抱えて持つと、
とりこになってしまって。
- 渡邊
- 嬉しいです。ありがとうございます。
- 伊藤
- また、ご一緒したいです。
ありがとうございました!
ソファにプラスして
- 伊藤
- わたしが「クッションがほしいな」と思った理由が
じつはもうひとつあって、
それは年上の女性の友人から、
「いいクッションない? まさこさん」
と訊かれたことなんです。
というのも、もう家には決まった家具があって、
それを変えるわけにもいかないけれど、
ちょっと気分転換もしたい。
だったらクッションが
いいんじゃないかしらって思ったと。
それで、このクッションのサンプルが出来上がった時、
サンプルの写真をお送りしたら、
「いいじゃない!」と言ってくださいました。
そういうお客様って多いんじゃないかな、
って感じますよ。
家具の買い替えはお金もかかるし、場所もとるし、
シンプルで、他の家具とも合うクッション、
いいかもって。
- 渡邊
- なるほど。
- 伊藤
- デイベッドにも合いますよ、
片側に積んで足を伸ばす座り方もできて、
くつろげるんです。
- 渡邊
- デイベッドもそうですし、
輸入のソファはとくにそうなんですけど、
奥行きがありますよね。
- 伊藤
- そう!
- 渡邊
- だから、かなり厚みのクッションを置かないと、
私たちには心地よくないというか、
リラックスできないソファが多いんです。
でもこのぐらいあると、大丈夫。
- 伊藤
- 大と小をつくったのもよかったんですよ。
自分の体型に合わせて、
大と小をうまく置くと、
腰にちょうどフィットしたり。
- 渡邊
- なるほど。
今のお話を聞いていたら、
ソファに合わせるクッションの重要性が
しみじみわかります。
- 伊藤
- かならずしも、
自分の家にあるソファが
身体に合うとは限らないですものね。
その補助の役割をするんですよね、クッションって。
わたしは最初、すてきだな、
という気持ちだったんですけど、
いざ使ってみると、
いろんな役割を発見したっていう感じでした。
- 渡邊
- まさにそうですね。
- 伊藤
- この写真は、ニーチェアなんですけれど、
大きいのを後ろに敷いて、
小っちゃいのを抱っこして、
オットマンに足をかけると、
もうほんとに、なんていうんだろう‥‥。
- 渡邊
- 別物みたい。いいですね。
- 伊藤
- 体をあっちこっちに動かすことなく、
じっと映画を見ていられる、
みたいな感じでした。
- 渡邊
- 素敵。ありがとうございます。
- 伊藤
- わたし、思ったんですけど、
この生地で、デイベッドを覆うくらいの
大きい布があったら、
すごくいい模様替えになるなって。
- 渡邊
- 2メートル80センチの幅があるんですよね。
こんな織り機は日本にはないので、
ベッドカバーにもできるんです。
リベコの商品としてもあるかもしれないですけど、
ベッドにかけるとものすごく映えますね。
ちょっと重いので、
寝る時は外したくなると思うけれど。
この機会にリネンの魅力を伝えるような商品を、
伊藤さん、考えていただければ!
- 伊藤
- ほんと、そうですよね。
‥‥なんだろう。
- 渡邊
- エプロンとかそういうものもいいんですが、
ほんとにリネンの魅力を生かせるのって
インテリアの中だと思いますよね。
存在感は家具といっしょ
- 伊藤
- 渡邊さん、こんにちは!
クッション、ありがとうございました。
とってもすてきなものができて、
うれしいです。
- 渡邊
- こんにちは、
よろしくお願いします。
このクッション、生地が入手できずに、
生産を諦めていたものだったんですよ。
- 伊藤
- 最初、時間のある時に
「また一緒にできるものはないかな」って思いながら、
北の住まい設計社のウェブサイトを見ていたんです。
そうしたら、ちょうど欲しかったクッション、
まさしく、このかたち! というものがあって、
それで「こういうものが欲しいです」
と雅美さんに連絡をしたら、
「今、リベコ(LIBECO)のこの生地が入手できないので、
生産ができないんです」
というお返事だったんですよね。
- 渡邊
- そうなんですよ、
以前、展開していた生地の
カラーバリエーションがなくなって、
もう廃番かなと思っていたんです。
そうしたら生地をまさこさんが見つけてくださって。
- 伊藤
- 以前、渡邊さんたちは、
生地を直接ベルギーから輸入なさっていたんそうですね。
わたしはたまたま、
生地を日本に輸入しているかたを存じ上げていたので、
「そうだ、そのかたに聞いてみよう」と訊ねてみたら、
別の生地でしたが、
ぴったりのサンプルを送ってくださって。
- 渡邊
- 以前、私たちが使っていたものとは違うんですけれど、
ちょうどよかったんですよね。
- 伊藤
- そうなんです。
最初のクッションは、
何年位前からつくられていたんですか?
- 渡邊
- ずいぶん‥‥もう20年近くなるのかな。
つくったきっかけは、大きなソファをつくった時に、
マチのある、ちゃんと支えてくれるような
クッションが欲しいなと考えたことです。
ウレタンの普通のクッションだと、
長く使ううちに、存在感がなくなってくる。
背に当てると沈んでいっちゃうんですよね。
クッションって、中身は羽毛がいいと思っているので。
- 伊藤
- じゃあこの形は、ずっと変わっていない?
- 渡邊
- 変えてないですね。
- 伊藤
- すごい!
- 渡邊
- そもそもそんなに大量につくろうとは
思っていなかったものなんですよ。
どちらかというと、
ソファに合わせてつくっていたので。
言ってみれば、これって、
家具の意識でつくったクッションなんです。
- 伊藤
- じゃあ、ソファと一緒にご注文くださる
お客さまがほとんどだった?
- 渡邊
- そうですね。
あるいは、家具に関心のある方が、
このクッションを単品で
選んでくださってましたね。
雑貨を見にいらした方じゃなくて。
‥‥想い出してきました、
私、この形にしようと考えたきっかけは、
どこか海外の雑誌で見たんだと思います。
「あ、この形なら沈まなくていいかも」と。
- 伊藤
- このマチがいいんですよね。
我が家のリビングのソファは、
デンマークのデザイナーのものですが、
エリザベス女王がデンマークを訪れた時に、
気に入ったことがきっかけで、
エリザベスチェアっていう
名前がついたらしいんです。
すごくすてきなんですけど、
さすが女王陛下が座るだけあって、
背筋をのばしてきちんと、
という印象の座り心地なんですよ。
- 渡邊
- ちょっとそういうふうに見えますね。
- 伊藤
- はい、きちんと座るのにはいいんですが、
のんびりするのには向いていなくて。
なので、クッションがあったらいいのにな、
と考えていたんです。
- 渡邊
- そういうときにピッタリですよ、
このクッション。
- 伊藤
- そうなんです!
そして、使ってみて思ったんですが、
すごくしっかりしてるから、
インテリアの小物、雑貨を買うっていうよりは、
家具を一つ買うぐらいの存在感がありました。
- 渡邊
- わあ、うれしい表現です。
- 伊藤
- ほんとそう思ったんですよ。
それでこんな写真を撮ってみました。
大小、組み合わせてみたんですけど。
こういう使い方もできるなと思って。
- 渡邊
- かわいい!
ほんとですね、
もう、家具ですね。
しっかり、しっくり
先日、久しぶりに友人宅をたずねたら、
ソファがひとつ増えていました。
さっそく座ってみると、
これがね、なんだかとっても座りやすいんです。
聞くと、そのソファは日本製。
なるほど、
だからか奥行きとか、
背もたれの角度とか、
座面の高さがしっくりくる。
年上の友人ご夫妻のえらんだものは、
今のご自分たちに、
ちょうどいいものなんだ。
かっこいいけど、
その追求よりもまずは「無理しない」。
それってこれからの私のものえらびの指針になりそうです。
我が家のソファは、
北欧のもの。
ソファの横にはこれまた北欧製のデイベッドがあって、
休日などはそのどちらかで、
ごろごろしながら、
本を読んだり映画を観たり。
ソファもデイベッドもとっても気に入ってはいるのですが、
「しっくり」とまではじつはいってない。
それがじつはちょっとなぁ‥‥
とずっと思っていたのでした。
今週のweeksdaysは、
北の住まい設計社のクッション。
羽がぎゅうっと詰まっているから、
しっかり。
ソファに座った時に腰に当てると、
あら、しっくり、
そしてぴたっとくる。
並べた姿も感じよく、
居心地は2倍、いや3倍よくなりました。
(けして大げさではなく。)
コンテンツは、久しぶりに北の住まい設計社の、
渡邊雅美さんとお話ししました。
対談の中では、私の家での使い方もご紹介していますよ。
どうぞおたのしみに。
「生活の道具」として
- 一柳
- 私たち「藤栄」は
1945年、焼け野原になってしまった名古屋で、
先代の伊藤正二が創業しました。
名古屋は飛騨高山も近いので、
木製の流し台や、物産だったサワラの桶や飯びつを
仕入れて売っていたんです。
- 伊藤
- わたしたちの暮らしに必要なものがないなら、
扱おう、みたいな?
- 一柳
- はい、そういう木製の道具を仕入れて、
リヤカーを引いて売り歩いていたようです。
その次に売り出した、
アケビの手提げカゴは買い物カゴとして、
とても人気があったと聞きました。
- 伊藤
- ということはつまり、
セレクトショップの先駆けじゃないですか。
ライフスタイルショップの走りですよね。
- 一柳
- 光栄です! これからその表現、使います(笑)。
それを名古屋の先代の自宅の軒先で売っていたら、
地元の大手百貨店さんが、
いい品物を扱っているから
うちにも卸してくれないかっていうことで、
卸売りを始めたんです。
そこから、素材がプラスチックにかわり、
百貨店からGMS(総合スーパー)に広がるという
変化はありましたが、
一貫して生活に必要なものを仕入れて販売をしてきました。
- 伊藤
- そうだったんですね。
その「生活道具」のなかに
ニーチェアがあったわけですね。
- 一柳
- そういうことなんです。
伊藤さんは今回、
ニーチェアに注目されたきっかけって、
なにかおありだったんですか。
- 伊藤
- 買うきっかけになったのは、
小さな森の家を購入したことなんです。
キッチンや水まわりを含め、
居住面積が55平米なので、
リビングも広くはなく、
ソファは置けないなと思ったんですが、
そのかわりにニーチェアを置こうと考えました。
今、改修中なんですが、
完成するまで東京の家で使おうと1脚購入したら、
「ここにも必要でしょ!」みたいな気持ちになって、
じゃぁもう1脚買おう、次は何色にしよう? って。
畳んで仕舞うことができるので邪魔にならないし、
買い足しやすい価格でもあるしと。
- 一柳
- 営業トークになっちゃいますが、
今そんな方がたが次に購入を検討してくださるのが、
この「ニーチェアエックス80」です。
- 伊藤
- そう! 次はそれにしようかなぁと思っていました。
これも新居さんの設計ですよね。
- 一柳
- そうですね。新居さんは「エックス80」を
1980年に発表なさいました。
畳みのある和室と洋室が同居する
和洋折衷の住宅が一般的になり、
クッション入りのソファや椅子が
多く見られるようになった時代です。
背もたれが起きていて、
立ち座りするのにちょうどよい座面の高さで、
人との談話やちょっとした作業が
しやすいのが特徴です。
そして、なんと背のフレームも
内側に折り込めるんです。
- 伊藤
- すごい!! こんなにコンパクトに。
これならラクに車で運べますね。
ヘッドレストがないんですが、
ひじ掛けの位置や座り心地が、
本を読むのにちょうどいいんですよ。
- 一柳
- はい、ニーチェアの座り心地はそのままに、
少しアクティブな使い方ができますから、
ニーチェアをすでにお持ちのかたが
追加で購入されるケースが多いんですよ。
- 伊藤
- 今回、お話をきき、
新居 猛さんという人にとても興味をもちました。
どんなお人柄の方だったのだろうと。
- 一柳
- 私もお会いしたことがないんですけど、
身長は高く、
当時の日本人としては大柄の方だったそうです。
1974年発行の雑誌『室内』で
昔の対談記事を見つけたんですが、
ご自身のことを
「僕は“ツベクソつけ”なんです」とありました。
それは徳島の方言で
「いちゃもんをつける」というような意味で、
気に入らないことがあるとすぐに文句を言う、
そういう性格だとおっしゃられていました。
きっと、すぐになにかに気がつく、
アイデアマンだったんだと思いますよ。
- 伊藤
- きっとそうですよね。
それにしても、新居さんにしろ、藤栄さんにしろ、
「必要だからつくる」、
その姿勢がすばらしいと思います。
- 一柳
- ありがとうございます。
先ほど伊藤さんがお使いだとおっしゃった
「味わい鍋」ですが、
あれも1985年につくられたもので、
その後、メーカーが廃業してしまったんです。
一時、別の会社が引き継がれたんですけど、そこも廃業。
そうしたらずっとその鍋の製造を請けおっていた
埼玉県の川口市にある鋳物工場さんが、
こんなに良い鍋をここで途絶えさせてはいけないと
販売も引き継がれたんです。
それでもやはり、時代の変遷や国際情勢による
原材料の高騰などもあって、
製造が続けられないかもしれないというお話しを、
人づてに知りまして。
ご縁もあり、じゃぁ、うち(藤栄)が
販売をやってみようと。
ヨーロッパなどの鋳鉄琺瑯鍋に比べて3分の1の軽さで、
アルミですが厚みがあるから保温、蓄熱性も高い、
日本人の考えた「コトコト煮込む鍋」なんです。
ごはんをよそいやすい底のR(アール)や、
こびりつかない工夫など、
これも日本の暮らしと
日本人の感性から生まれたものでしたから、
ニーチェアと同じように、
続けていきたいなって思います。
- 伊藤
- そうだったんですね、そんな経緯が。
- 一柳
- 良品質のものづくりを日本で続けていき、
残していけたらという思いは、
どの取扱い製品にも感じるようになりました。
- 伊藤
- ほんとですね。
‥‥そうそう、オットマンの話もお聞きしないと。
これは1970年の発売当時からあったんですか?
- 一柳
- これは1972年に発売されました。
ニーチェア本体と組み合わせて使うことで、
よりリラックスしていただけます。
新居さんは、椅子としても使えるように設計しましたので、
耐荷重もニーチェアと同じように95キロあります。
トレーを置いていただければ、
簡易的にサイドテーブルのような使い方もできます。
- 伊藤
- スーツケースを広げるのにもいいですよね。
ホテルで採用してくれればいいのに。
- 一柳
- そういうふうに使われたら嬉しいですね。
靴屋さんやアパレルショップからも、
声がかかったりするんです。
- 伊藤
- そっか、ちょっと低めなこの座面は、
腰かけて靴を履くのにもいいですね。
- 一柳
- 新居さんが、「道具」のように役に立ってこそ
椅子だとおっしゃっていたことが
ジワジワと伝わっているようで、嬉しいです。
ちなみに、いま、ニーチェアのシリーズで
人気があるのがゆらゆら揺れる
ロッキングタイプなんですよ。
- 伊藤
- これもいいですよね。
- 一柳
- エックスよりも座面の前が8センチぐらい高く、
身体の動きに合わせて揺れるので
立ち上がりがスムーズなんです。
また、揺れることで体圧が分散して、
ラクだとおっしゃる方もいらっしゃいますね。
脚のストレートなところを曲げて角度をつける、
つまりパイプの形状を変えるだけで
ロッキングを成立させているのは、
新居さんの“出来るだけ”のアイデアだと思います。
- 伊藤
- ほんとうにそうですね。
ロッキングは前後の揺れが楽しめますが、
そもそもニーチェアってエックス構造ゆえに
座っていると身体の動きにそって
ちょっとした揺れが感じられる、
それがいいんですよね。
新居さんは、ニーチェア以外に
つくられたものはあるんですか。
- 一柳
- 一時期、折り畳めるテーブルをつくられていましたが、
もう現在はつくっていません。
椅子一筋だと言っていいと思います。
- 伊藤
- ご自宅では、他のデザイナーさんの椅子を
集めたりとか、してなかったんでしょうか。
- 一柳
- 工場に行ったことがありますが、
そういう雰囲気はなかったですね。
- 伊藤
- すごいですね。
これだけのアイデアマンでありながら、
折り畳み椅子をつくり続けた、
というのがかっこいいです。
- 一柳
- ほんとうにそうですね。
- 伊藤
- 一柳さん、ありがとうございました。
ニーチェアと新居さんのことを
たくさん知ることができてよかったです。
- 一柳
- こちらこそありがとうございました。
どうぞお手持ちのニーチェアを末永くお使いください。
日本の技術が詰まってる
- 一柳
- 私たちがニーチェアの
人気の要因だと考えることのひとつに、
座り心地があります。
新居さんが考え抜いた脚部のエックス構造って、
座った時にクッション性を高めているんですよ。
エックス字状の脚に、パイプフレームを付けて
生地を横に張っているので、
開いて座るとテンションがかかり、
それがクッションとなるんです。
- 伊藤
- 構造的にはバネがないけれど、
座った時にクッション性を感じるのは、
このエックス構造のおかげなんですね。
座ったときにキャンバスの布が
自分の体に馴染む感じがあります。
- 一柳
- そうですね。そこが新居さんの発見です。
ハンモックに似ているのではと
勘違いされるんですが、じつは逆なんですよ。
ハンモックは吊るすことで縦方向に引っ張られながら
寝転がると身体が包まれる感じが得られるんですけれど、
ニーチェアは座ることによって、
自分の体重でパイプフレームが開いて
キャンバスに張力が生まれ、そのテンションが、
生地全体がクッションになる。
座る人に合った座り心地が得られるんです。
この生地も大きな機能、構造に関わるんですよ。
- 伊藤
- 座ってみると「わぁ!」ってわかりますよね。
この生地は当時から変わっていないんですか?
- 一柳
- いや、変わってはいますね。
これもお話していいですか?
- 伊藤
- はい、ぜひ教えてください。
- 一柳
- 当時、いわゆる帆布(はんぷ)は
新居さんの地元徳島に近い
岡山や大阪、京都が産地だったと聞きました。
戦後には建築資材やトラックの幌、
学生服なんかにも使われて栄えていたようです。
いっぽう徳島は綿花の生産、繊維製品や染色業が
発展していたようです。
だから徳島にはこういった
厚手の帆布をつくる環境がありました。
ニーチェアの生地はその技術をいかして
つくられたんだと想像します。
今では低コストな海外での生産や
新しい素材や製造技術により、
厚織帆布に代わる素材も登場して需要が減ってしまい、
国内ではすごく厚手の重い生地をつくれるところが
どんどんなくなっていったんです。
きっと新居さんの「ニーファニチア」さんも、
晩年はシート生地づくりに
ずいぶん苦労されたんじゃないでしょうか。
ちなみに今は岡山の倉敷帆布と、
滋賀の高島帆布の2ヶ所でつくっています。
- 伊藤
- 織機が、もう、そこにしかないんでしょうね。
- 一柳
- そうなんです。最初に倉敷帆布さんへ相談したとき、
「これはむずかしいよ」と言われました。
手持ちのシャトル織機でこれだけの強度を出して
厚手の生地をつくり、
さらに柔らかい風合いに仕上げるのは
無理だと言われてしまったんです。
それから何回か足をはこび、
最終的に「やってみましょう」となりました。
でも新しいシャトル織機はつくられていないので、
古い織機を使い、壊れたらそれを解体して部品にし、
別の古い機械のメンテナンス用にする。
このシート生地が織れる機械は、減るいっぽうなんです。
- 伊藤
- ‥‥なくなっちゃったら、どうなるんでしょう?
- 一柳
- そこが現在のニーチェアの抱える課題です。
昔は徳島で「ニーファニチア」さんが、
生地、肘木など部材を手配して、
縫製や金属パイプの加工、
そしてアッセンブリ(一ヶ所に集めて)までを
ご自身の工場でつくられていました。
ちなみに、事業を継承したときには
手元に設計図はありませんでした。
現物を解体して図面をつくり、
シート生地、肘木、金属パイプ、ネジそれぞれを
つくれるところを日本各地で探しました。
「ニーファニチア」さんでは、
新居さんご本人はもちろん、
熟練の職人さんもいたでしょうから、
一つひとつの部材は単純に見えるんですけど、
ものすごく工夫されていて、
とても高い技術でつくられていました。
完璧に再現するのには、
各地の工場の方たちにとても苦労をかけました。
- 伊藤
- 全部、国内で?
- 一柳
- はい、全て国内です。
ニーチェアに限らず、昔のいいものを
日本でつくり続けていくっていうのは、
すごく難しくなってきています。
- 伊藤
- レコード針についても同じような話を聞きますね。
- 一柳
- そうですよね。あちこちでそういう話が出ていますね。
‥‥ちょっと話が戻りますが、この生地、
触っていただければ分かるんですけれど、
すごく触り心地がいいでしょう?
キャンバスってゴワッとしてると思うんですけど、
これ厳密には帆布(平織)ではなく、
ニーチェア専用に開発した生地なんです。
綾織で、デニムと同じ構造なので、
伸縮性があるんですよ。
- 伊藤
- しかも、ちょっとあたたかい感じがするんですよね。
- 一柳
- はい、最初から肌ざわりがいいようにと、
当初から起毛加工をされていたんです。
新居さんがそこまで徹底的に考え抜かれたことなので、
僕らが引き受けてからもそれを続けたいと、
織物工場でつくった生地を、
大阪で染め、起毛は京都でやっています。
- 伊藤
- 「ニーファニチア」さんが
徳島でつくっていた時代にくらべて、
コストがかかるでしょうね。
仕方のないことですけれど。
- 一柳
- そうなんですよ。新居さんが目指していた
「とにかく安く」っていうことを、
引き継いだ僕らも決して忘れてはいないんですけれど、
今の品質でニーチェアの製造を、
すべて日本国内で続けていくためには、
どうしてもコストを製品の価格に
反映するほかありませんでした。
かなり「手」の部分も多い作業について、
それぞれの生産者の方たちも守らなければ
ニーチェアをつくり続けることができませんから。
- 伊藤
- そうですよね。
でも逆に「いいもの」だという安心感がありますよ。
- 一柳
- ありがとうございます。
新居さんの想いにプラスして
日本で変わらずに
しっかりとつくられていることが再評価され、
今またニーチェアに愛着をもっていただける機会が
増えてきたと思います。
- 伊藤
- 30代の若い友達は、ニーチェアを知らないんです。
でも、「そういえば、
この前どこどこのカフェで見た」って。
そしていちど座り心地を覚えると、
それが頭の片隅にあるみたいで、
「やっぱり買おうかな?」と。
ひとり暮らしで、ソファを買うのはためらうけど、
ニーチェアだったらいいな、って。
- 一柳
- まさしくそういう使い方をなさる方も増えてきました。
ソファを買ってしまうと、
ライフステージが変わり、
引っ越しのときにいらなくなってしまったりする。
ソファは家の中で占める割合が大きいけれど、
ニーチェアを2脚、ソファの代わりに
使うという方も増えてきました。
畳めて運べるニーチェアだったら、
引っ越しがあってもずっと寄り添っていけます。
それも新しい役割として
評価いただいているところかなと思います。
- 伊藤
- 昨日、うちの娘と3時間ほど
「テレビを見よう」となったとき、
娘はちっちゃいソファにゴロゴロしたいと。
「じゃぁわたしはこれを出してくる」と、
ニーチェアを置き、
湯たんぽにお湯を入れ、ブランケットを広げ、
お茶をたっぷり淹れて横に置いて、
動かなくていいようにしてテレビを見たんです。
もう最高でしたよ。
- 一柳
- ありがとうございます。
コロナ禍のとき、郊外に移住された方から、
ニーチェアを昼はウッドデッキに出して本を読んだり、
夜には、部屋の薪ストーブの前で使っていると聞きました。
二拠点生活の方も、車で持っていけるので、
「座り心地ごと移動できる」と。
- 伊藤
- そういう声、うれしいですね。
いま、一柳さんたちはこうして
ニーチェアの製造販売を
新居さんのところから引き継いだわけですが、
もともとどんな商品を扱っていらしたんですか。
わたし「味わい鍋」を使っているんですが、
御社の製品なんですよね。
ガス火でごはんを3合炊くのにとてもいいんです。
また、友人からいただいた洗濯洗剤が
こちらのものだったり‥‥。
- 一柳
- そうなんですか、驚きです。ありがとうございます。
洗剤はベルリン生まれの
FREDDY LECK(フレディ レック)ですね。
実は、この洗剤も国内、大阪でつくっているんですよ。
- 伊藤
- どちらも使ってみて、とてもよくて、
こういった「人に薦めたい」ものを、
どういう観点でセレクトされているのか、
藤栄さんにも、とても興味をもちました。
お気に入りのマグカップのように
- 伊藤
- いまは金属のパイプでつくられている部分ですが、
試作の「木製折り畳み小椅子」は木。
金属を使ったのは、
どんな経緯があったんでしょう。
- 一柳
- 木だと構造上の限界を感じられたようで、
ずい分早い時期から
自由に曲げられる金属パイプを使われています。
新居さんご自身の工場にも
パイプを加工する機械を導入されて、
座り心地のよい角度などを生みだしていたようです。
- 伊藤
- パイプって、その当時、
軽量で安く、加工がしやすいものとして
ポピュラーなものだったんですか。
- 一柳
- そうですね。1970年には、
こういった金属加工は普及していましたね。
そして、「組み立て式で折り畳みにする」ことを
新居さんは生涯追い続けるんです。
「出来るだけ・7則」という
新居さんの信念のような言葉があるんですよ。
- 伊藤
- 「出来るだけ・7則」?
- 一柳
- はい。
新居さんが椅子づくりで心がけていた7つの信条です。
「出来るだけ少ない部材で」
「出来るだけ簡易な構造で」
「出来るだけ丈夫で」
「出来るだけ少ない梱包費で」
「出来るだけ少ない輸送費で」
「出来るだけ安い価格で」そして最後に、
「出来るだけよい座り心地で」です。
- 伊藤
- なぜ、そんなに削ぎ落とした考え方ができたんでしょう。
デザインがかっこよく、
値段の高いものに目が行きそうですけれど。
- 一柳
- 当時の日本のたくさんの人たちに、
ご自身の想い、
新しい暮らしを提案したいっていうところで、
出来るだけ削ぎ落としていくのが
必然だったのかなって思います。
「カレーライスみたいな椅子をつくりたい」
ていう気持ちが、ぶれなかったんでしょうね。
- 伊藤
- すごいことです。
多分うちの父も、
そういうところにグッときたんでしょう。
それにすごくシンプルだから、
壊れづらいのではないでしょうか。
- 一柳
- そうですね。
そんなに壊れるところはないですけれど、
家具でもあり道具でもあるので、
畳んだり開いたり移動したりすることで、
徐々にネジが緩んできます。
ご自身で増し締めをしていただくことで、
安全に、長くお使いいただけます。
また、長くお使いいただくと生地は劣化してきます。
でも交換していただけるので大丈夫です。
- 伊藤
- ニーチェアは、発売されてから
ずっと人気商品だったんですか。
- 一柳
- いえ、今でこそ再評価をされていますが、
一時、生産が落ち込んだ時期もあります。
遡ると発売当初の1970年は、
キャンバスと金属パイプに
木の肘掛でできた折り畳み椅子は、
家具の世界では異質なものとして扱われ、
雑貨の椅子として見られることも少なくなかったようです。
また、かなり安い価格で売られていたこともあり、
利幅が少ないと家具店さんなどでは、
取扱いを渋るケースもあったようです。
潮目が変わったのは、全国版の新聞に写真で紹介され、
ようやく国内の都市部で売れるようになったようです。
それから評価が高まり、海外、そして世界でも
売られるようになったようですが、
そのキッカケは、残念ながら分からないんですよ。
- 伊藤
- 「世界」というのは‥‥。
- 一柳
- 輸出先で一番多かったのは、
アメリカだったようです。
次にフランス、イギリス、ドイツといったヨーロッパ。
当時の日本の家具が、これだけの国に輸出されるのは
めずらしかったんじゃないでしょうか。
- 伊藤
- おもしろいですね、
畳の暮らしから生まれた椅子が、世界に。
- 一柳
- そうですね。
でも評価をいただくと同時に
国内はもちろん、
海外でも模倣品がいっぱい出ることにもなるんです。
- 伊藤
- ええっ?!
- 一柳
- そうなんですよ。
でも新居さん自身は、
コピーが得意だと言われていた当時の日本で、
いやな気分ではあったようですが、
それほど怒ってはおらず、ご自身のデザインが
世界で認められたように思われていたようです。
- 伊藤
- 悔しさのいっぽうで、
ちょっぴり誇らしい気持ちもおありだったのかな。
- 一柳
- そうだと思います。
そしてニーチェアは70年代中ごろから、
80年代にかけて一番売れていたと思うんですが、
90年代になって、
いろんな意味で日本のくらしが変わったとき、
この椅子の役割みたいなものが
終わってしまったようなところがあるというか。
そんな時代背景もあって、新居さんのご生家でもある
徳島の「ニーファニチア」さんは、
2013年に椅子の生産を中止してしまうんです。
きっと、椅子の製造が続けられなくなるようなことが、
色々と、たくさん重なったんだと思います。
- 伊藤
- いちど、辞められているんですね‥‥。
- 一柳
- はい。新居さんが2007年に他界されてしまったことも、
色々のひとつかもしれませんね。
うち(藤栄)は、1945年創業の
生活用品・インテリア・家具の総合商社なんですが、
1972年から、ニーチェアを仕入れて
販売をしていたんです。
そして2005年にはライセンス商品の「ニーチェアF」を
つくらせていただいたという経緯もありました。
そして2013年、「ニーファニチア」さんから
「椅子製造中止のお知らせ」
という連絡が来たとき、
世界に誇る日本の椅子がここで途絶えてはいけない、
なんとかできないかと、
製造から販売まで全てを引き受けようという
プロジェクトが立ち上がりました。
それで1年間、準備をして事業を継承し、
2014年からニーチェアの正規製造・販売元になったんです。
- 伊藤
- そういうつながりがあったんですね。
すごいですね。
- 一柳
- でもすぐにはうまくいかなかったんですよ。
そもそも、家具専門店さんが減っていたり、
百貨店の家具売り場も縮小されたりして、
今までのニーチェアの売り場がなくなっていたんです。
いっぽう大規模で、価格の安い自社製家具を揃えた
SPA(製造小売業)型のお店は盛況だったりと。
- 伊藤
- あぁ、なるほど、そうでしたか。
‥‥でも、ひょっとして、その頃から、
生活提案型のショップが増えてきて、
家具を扱うようになったのでは?
わたしも見かけたことがあります、
生活雑貨店で「あれ? ニーチェアだ!」って。
- 一柳
- そうなんです。
2016年あたりから、生活雑貨のお店が
取り扱ってくださるようになりました。
やっと新居さんの
「良い暮らしの道具」として
新たな役割に気付いてくれたといいますか、
和室で使い、同時にコストを下げるためにと
考えられた折り畳むというスタイルが、
「ソファのような座り心地を持ち運べる」
という軽やかさとして受け取られ、
暮らしの道具としての評価をいただいたんです。
新居さんが当たり前のようになさってきた、
無駄のないものづくりも、
サステナブルであると再評価され、
取り扱いが広がっていったんですよ。
- 伊藤
- うれしいですね。そういえば
軽井沢のSHOZO COFFEEの入っている
施設の中庭に、
いろんな色のニーチェアがありますよね。
天気のいい秋の日に行ったら、
みんなが座り比べをしてましたよ。
ちょっと移動させて、気持ちのいい場所を探したり。
- 一柳
- Karuizawa Commongroundsの中ですね。
軽井沢書店さんが
ニーチェアを扱ってくださっているんです。
- 伊藤
- 書店さんが!
以前は考えられないことだったでしょうね。
そういえば、昔は応接セットとか、
ダイニングセットとか、
そういう感じで用途ごとに
家具を買っていました。
今は──、規模感は違うけれど、
お気に入りのマグカップを買う、
みたいな感覚の延長で
ニーチェアの購入を考えるのかもしれません。
- 一柳
- きっと、そうなんでしょうね。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
2月1日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
saquiのフォーマルバッグ
フォーマルな時に持つバッグえらび、
じつはずっと悩みの種でした。
なので、以前販売したフォーマルな服に合わせて
バッグも作って欲しいと
岸山さんにお願い。
様々なサンプルの中から、
これ! とえらんでくれたのは、
フランス製の「DENTELLES ANDRÉ LAUDE」の
レースの生地。
つつましくも、美しい
クラッチバッグができあがりました。
このフォーマルバッグ、
「フォーマル」のシーンだけにしておくのはもったいない。
私はふだんのコーディネートにも持っています。
詳しくは、 こちらのコンテンツをどうぞ!
(伊藤まさこさん)
なお、材料費高騰のため、
2024年2月1日再入荷分から、
販売価格が変更になります。