NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第4回 アイボがやってきた。

職場のボスがアイボ(AIBO)を入手した。
ソニーの犬型ロボット、アイボだ!
もちろんその存在は知っていたのだけれど、
知識と経験は大違い。

実際見ると、すげえや。
偉いなあ。作った人偉い。作ることを許した上司も偉い。
という僕の感激はひとまず置いといて。

僕はボスに頼んでアイボを1週間借りることにした。
ボスの部屋でヤツを受け取り、
こっそり自分のフロアに持ち帰る。

僕の仕事場はゲーム雑誌の編集部である。
なんの自慢にもならないが、平均年齢はかなり低い。
若造どもの巣窟である。
スラングの応酬である。
決めごとはジャンケンである。

さあ、その知的好奇心のかたまりのような若者の中に
子羊のごとき(犬ですが)アイボを放り込んだら
いったいどうなるのか。

おもむろにアイボを起動させ、
テレコマンは魔法のスイッチを押すのさ。
おお、来よる来よる。
好奇心の狼どもが来たぞーーー!
タカ おわっ!
アキ あ、アイボ!
エリ どうしたんですか!
永田 待て待て待て。
ええと、「どうしたんですか」と「いくらですか」など、
何度も繰り返される質問は割愛します。
あと、いろんなヤツらが現れるので人物紹介もしません。
アキ おお、肉球がある!  
エリ かわいいかわいい。
アキ バウ、バウバウバウ(犬語らしい)。
ピコピコ音を出すアイボ。
アキ ピコピコピコじゃわかんねえよ!
目のあたりのライトを点滅させて喜ぶアイボ。
エリ あ、笑った!
アキ お手、お手お手。お手お手お手。

お手お手お手お手! お手って!
永田 無茶言うなよ。
などと言ってるあいだにも人は集まる。
連中、夢中である。
野次馬のるつぼである。
視線は未来である。

そんな中、じつに機械っぽい、
不可解な関節の動きでアイボが立ち上がる!
アキ おおっ、カッコいい! ロボだ! ロボだ!
デデッデンデンデンデーン!
トヨ ガンダム大地に立つ!
エビ クララが立った!
ママ へ〜、肉球ついてるんだ。
ナガ っつーか、関節変だよ。
永田 だってロボットだもん。
ナガ そんなこと言っちゃダメだ。
こいつはペットなんだから。
永田 ロボットでしょ。
ナガ ペットだ!
歩き出すアイボ。
アキ やっべえロボコップみたい。
永田 お、歩いた。こないだまで歩けなかったんだよ。
1カ月くらいかけて成長するらしいからさ。
エリ あたしたちのおかげだよ。
かわいいかわいい。喜ぶとうれしい。
タカ 痛っ! 噛まれたよ、ロボットに。
永田 指が引っかかっただけだろ。  
ナガ なんでビーグル犬なんだ。耳が垂れてる!
永田 犬にこだわるなあ。
アキ (胸をなでながら)このへんを触ると喜ぶはず。
エリ 怒ってるよ、怒ってるよ。
タカ おまえが触るから怒っただろお。
エリ あたしが歩くまでに育てたのに!
タカ 悪かったよ悪かったよ。
タカ 触んなっつってんだよ!
エビ 解剖してみようよ。バラそうよ。
ナガ 自分で買ったら絶対分解するよな。
エビ するする。
永田 え〜っ、しねえよ。
エビ だって中、知りたいもん。
ナガ 昔、時計とか分解しなかった?
永田 あ、俺分解欲なし。
パソコンとかでも開けないもん。
ナガ うそお。ダメだ。君、ダメ。
ハリ おわっ、アイボ! あ、肉球だ!
永田 なんでみんな肉球ばっか言うかな(笑)。
アキ すっげえ尻尾立ってるよ。
ハリ 尻尾振りすぎ!
タカ あ、いま犬っぽかった。犬っぽかった。
ハリ 永田さん、めっちゃ精密にできてるよ、これ。
永田 知ってるよ(笑)。
ハリ よくできてる。精密機械。
永田 知ってるよ。
ハリ 永田さん、これすごい精密機械ですよ!
永田 知ってるって(笑)。
ナガ 黒いバージョン出すならさあ、
耳の形変えりゃあよかったのになあ。
永田 まだ耳の話してる(笑)。
このアイボは、
こないだ発売された黒いバージョンのアイボなのだ。
ハリ 黒いのヤダなあ。
永田 銀のほうがいいよね。
ハリ ・・・塗っちゃおっか?
永田 なんで小声なんだよ。
タカ 俺だったら色塗っちゃうね。
カスタムするっしょ。
エリ 小物入れとかついてるといいのに。
永田 ガハハハハ、小物入れ。
ふらふらとよろけるアイボ。
タカ 『おっとっと』。
バランスを取って座り直すアイボ。
タカ 『いやあどうもどうも』。
永田 吹き替えすんなよ。
タカ アイボが右手を上げるとお客さんを招いて、
左手を上げるとお金を招くんですよ。
永田 招き猫じゃねえかよ。
ハリ (取扱説明書を読みながら)永田さん、
「こんな時はモチベーションが下がってます」
って書いてあるよ。
永田 うそつけ。
ハリ 「志気を高めましょう」だって。
永田 ガハハハハ。
エリ これなんですか?
永田 あ、それ触んな。電源スイッチだぞ。
エリ あ、スイッチですか。
アキ これ電源切ったら記憶が消えるとかないよね?
ハリ 人工知能回路が消えるかもしんないよ。
永田 人工知能回路(笑)? 発想が貧困だなあ。
ハリ じゃあ、Pラムがクリアーされますよ。
永田 なんでいきなり専門的になんだよ。
ハリ ファームウェアが書き換えられますよ。
永田 (笑)
ハリ バイオスが書き換えられちゃうよ!
永田 もういいよ。
「フワァ」とあくびするアイボ。
エリ あ、あくびしてる。
アキ 生意気な。バシッ(殴る)。
永田 ひどいな、おまえ。あくびしただけじゃん。
アキ はいはいゴメンゴメン。!
なでなで。ニコニコ、いえーい。
永田 ・・・アキ、そういうのって、
プラマイゼロじゃないと思うぞ。
アキ そうなのかなあ。
永田 おまえ、あくびして殴られて、
そのあと「よしよし」ってされたら・・・。
ハリ 逆に腹立つよ。
アキ じゃあ、もう一回なでなで。
一同 だからそうじゃないだろ!
永田 おまえ、子供作らないほうがいいぞ。
精密機械アイボはバッテリーで動いている。
アイボはバッテリーが切れかかると、
自分からその動きを止めて眠ってしまうのだった。
ピコピコピコ・・・ピコピコ・・・・ピコ・・・・・・
 ・・・・ピコ・・・・・ピ・・・・・・・・ピ。
アイボ、停止。
タカ おっ、死んだ。死んでしまった!
ナガ 死亡。
ハリ ・・・終わったっぽいよ。
永田 終わったってなんだよ。出し物かよ。

そんなこんなでキリがないのでお終いです。
おもしろいのは、
ロボットとして「イカす!」ととらえる人と、
ペットとして「かわいい!」ととらえる人が
いることですね。

あと人は肉球に反応する。

2000/01/25 若林

2000-02-03-THU

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