はやし |
もう録ってるんですか? |
永田 |
はい。 |
僕のこの連載に初めてメールをくれた、
はやしゆうこさんは僕より少し年上の女性だった。
はきはきとして、大きくはないけれど
聞き取りやすい声で、テンポよく話す人だった。
僕らは、会うことができたことにお互い安堵し、
それですっかり緊張が解けてしまった。
さて、テープは回る。 |
永田 |
一回目をアップした日に
すぐメールくださったでしょ。
ちょうど見てたんですか? |
はやし |
そうですね。見て「あ、また新しい連載だ」と
思って読んだらすごくおもしろかったんで、
すぐ、思いつくままにメールしちゃったんです。 |
永田 |
毎日あのページはご覧になってるんですか? |
はやし |
ええ。・・・ほぼ毎日。 |
永田 |
ほぼ毎日(笑)。
『ほぼ日』へは、よくメール出すんですか? |
はやし |
それが、初めてなんですよ。 |
永田 |
へえええ。そうだったんですか。 |
はやし |
はい。 |
僕の初めての原稿を読んで、
はやしさんが『ほぼ日』に出した初めてのメールが、
僕に届いた初めてのメールだったのだ。
なんとも不思議な巡り合わせだ。 |
永田 |
僕、驚いたのが自分の原稿がアップされたのを
職場で初めて見たんですけど、
すぐに最初のメールが転送されてきて。
自分も初めて読んでるようなタイミングで
メールが来たから、
「あ、この人、今読んだんだ!」っていう
新鮮な驚きがあって。で、すぐにメール出して。 |
はやし |
ああ、私もすぐに返事が来たから驚いて。 |
永田 |
『ほぼ日』って、いつからお読みになってます? |
はやし |
インターネット初めたのが一昨年の暮れだから
去年だと思いますけど。 |
そんなこんなで、お互いの共通点である、
『ほぼ日』の話などする。
よく見るテレビの話をするみたいに。 |
永田 |
最近だと、井上陽水さんのおもしろいですよね。 |
はやし |
あ、ごめんなさい。私あれ読んでないんですよ。 |
永田 |
いえ(笑)。 |
はやし |
1回も開いてないんですよ。ごめんなさい! |
永田 |
あ、あの、僕に謝られても。 |
はやし |
あ、そうですね(笑)。
『ほぼ日』を読み始めたころは、
更新されるものは全部読んでたんですよ。 |
永田 |
うんうん、僕もそうでした。 |
はやし |
でもそのうち「これ読みたいな」っていうのを
選ぶようになってきちゃって。 |
永田 |
ああ、全部読むとすごい量になりますもんね。
ん? でも、井上陽水さんの対談って、
一度も開いてないんですよね?
1回読んで、っていうのならわかるけど、
読む前のものをどうやって選んでるんですか?
つまり、読む前に、
「読まない」って決めちゃったわけですよね?
開くものと開かないものの差ってなんですか? |
はやし |
・・・・・・。 |
永田 |
あっ、すいません!
なんだか問いつめてしまって。
どうもこう、糸口を見つけると
突っ込んで取材してしまう癖がついてて。 |
はやし |
いいえ(笑)。
あの、古川さんの対談ってありましたよね? |
永田 |
マイクロソフトの。 |
はやし |
そうそう。あれを読んでたときに、長くて、
スクロールさせてたら目が回ってしまって。 |
永田 |
長さで? |
はやし |
そうそう。それで、井上さんのを見たときに、
「これは長いのでは?」と思ってしまって。 |
永田 |
なるほど。じゃあ、内容は二の次で。 |
はやし |
そうですね。鳥越さんのニュースとかは、
短いから、毎日読んでます。
渡辺真理ちゃんのお菓子のやつとかも。
あと、なんとかののぞき穴っていうのも
いつも必ず見てる。 |
永田 |
そうか。長さってのが重要なんですね。 |
はやし |
そうですねえ。 |
永田 |
一日、ネットってどのくらい見てます? |
はやし |
・・・けっこうすごいんですよ、私。
調べごとを始めると、すぐ時間が経っちゃって。
キリがないからもうやめようと思ってます。 |
永田 |
(笑)。それはどんな調べごとなんですか? |
はやし |
旅行に行くときとかに調べるんですけど、
初めての土地とかだとやっぱり調べますよね。
それでいろんなサイトがあるから
「あ、今度こっち」ってやっていくともう、
どんどん時間が過ぎてしまって。 |
永田 |
ああ、なるほど。
あるなら全部見なきゃ、って感じになりますよね。
調べきった感じにならない、みたいな。 |
はやし |
そう、そうなんです。昔なら、図書館とか行って
本借りてきて調べたりしてたんですけど。
いまだとインターネットのほうが便利だし、
情報が新しいんじゃないかって思ってしまって。 |
永田 |
うんうん。たとえば本で調べるのって、
その本を借りるなり買うなりした時点で、
他の情報はあきらめてるんですよね。
膨大な情報の中から、ひとかたまりだけ持ってきて、
そこを調べてるわけですよね。
だからその本を読み切れば、
調べ尽くした感じがするんだけど、
インターネットって、ひとかたまりだけ取るって
いうわけにいかないからキリがないというか。 |
はやし |
そうですね。だから旅行の調べごとには、
ある意味向かない。 |
永田 |
なるほど(笑)。
けっきょく、ネットでさんざん調べても、
知り合いの「あの宿がいいよ」の一言で
決まっちゃったりとか。 |
はやし |
そうそう(笑)。 |
印象だけれど、
僕を含めて『ほぼ日』を読んでる人っていうのは、
インターネットに精通したパワーユーザーよりも
インターネットの便利さと不便さのあいだを
行ったり来たりしているような人が多いような気がする。
たぶんイトイさんがその代表なのかもしれないけど。 |
永田 |
メールとかネットをやりだして、
知り合いが増えたりしました? |
はやし |
それはあんまりないですね。
もともと知ってる子とやり取りするくらいで。
チャットとかもやらないし、
あんまり冒険しないですね、なんか怖くて。 |
永田 |
ってことは、これ(こうして会っていること)、
かなり冒険ですよね(笑)。 |
はやし |
うん、これは冒険(笑)。 |
永田 |
僕もかなり冒険ですよ。
メールとかネットを通じて、
面識ない人と会うのって初めての経験だし。 |
はやし |
私も。 |
永田 |
でもなんていうか、
『ほぼ日』じゃなかったら会わないですよね。 |
はやし |
あ、会わないですね。 |
永田 |
『ほぼ日』を介しているから、
なんとなく信用がおけている、
みたいなところないですか? |
はやし |
ありますねえ。でも永田さんのほうが、
私に対して信用おけるかどうか
わからなくて困ったんじゃないですか? |
永田 |
いや、でも、『ほぼ日』を読んで
反応してくれているという、
共通の認識があると・・・。 |
はやし |
ああ、それで信用いただいてるというか。 |
永田 |
お互いに(笑)。 |
はやし |
それは大きいかもしれない。
『ほぼ日』を読んでる人なら、っていうのはある。 |
永田 |
だから、会う前の、
はやしさんに対する僕の信頼と、
僕に対するはやしさんの信頼っていうのは、
『ほぼ日』に対する信頼なんですよね、きっと。 |
はやし |
そうかもしれない。そうですよ。そうだそうだ。 |
永田 |
そんな気がしますよねえ。 |
はやし |
わかる。今日もね、家を出るときに
母に「誰と会うの?」って聞かれたんですけど、
私がふだん、『ほぼ日』を読んでるの知ってるから、
いきさつを説明したら、母も、
「ああ、おもしろそうね。行ってらっしゃい」
っていう感じで。 |
永田 |
うんうん。
|
たぶん、僕がこの企画を思いついたのも、