NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第18回 
江口寿史さんの家に和田ラヂヲさんとおじゃまする 
〜その1〜


とある週末、携帯電話が鳴りました。
出ると、以前このコーナーに登場していただいた、
漫画家の和田ラヂヲ先生でした。
「これから江口寿史さんと飲むんだけど、来る?」
行きます行きます行きます。

あたふたと家を飛び出します。
もちろんバッグにテレコを放り込みます。
テレコマンなのでふつうです。
取材じゃないけどテレコを回すつもりです。
テレコマンなのでふつうです。

駅に着いて待っていると、
迎えに来てくれたのは江口先生本人でした。
しかも、飲み会の会場は、
江口先生のご自宅でした。
うっわー、と舞い上がりながらも
カチャリと魔法のスイッチを押します。
テレコマンなのでふつうです。

というわけで、
漫画家さんどうしのリラックスした雑談をお届けします。


永田 おふたりはよく飲んだりされるんですか?
江口 うん。でも飲んだときって、ろくな話しないね。
和田 バカ話ばっかり。
まともな話なんかしたことない(笑)。
マンガの話なんかせんもんね。
永田 あ、そうなんですか?
江口 ふつう、マンガ家どうしでしないですよね。
和田 しないしない。
永田 へえー、なんかマンガについて……。
和田 しないですよ、それは。
江口 とくにギャグマンガ家どうしは、なんとなく
マンガの話はしないようにしてるってところあるし。
何か不穏な空気が流れてくるので(笑)。 
和田 「で、どうなのよ」って話になるから。
江口 「オマエはどうなんだよ」って(笑)。
いしかわじゅんとかと飲んでると
けっこうそうなっちゃう(笑)。
永田 そういうもんですか(笑)。
和田 ギャグは微妙だよね、確かに。
江口 とくにギャグマンガ家ってのは、
またストーリーマンガ家とは違うんですよ。
違う生き物でね。けっこうみんな繊細だし。
お互いのマンガの話って、本当にしないよね。
永田 ストーリーマンガ家の人は……。
江口 話す人いますよ。大友(克洋)さんとかと飲むときは、
大友さんはもう映画の話ばっかりするんですよ。
「こういう映画を撮りたいと思ってるんだ」とか。
まあ自分のマンガの話はあんまりしませんけど。
でもギャグマンガ家どうしは……。
和田 「今度こんなギャグ描くんだ」とか
言わないですよね。
江口 しないしない(笑)
和田 言った時点で終わってしまうから(笑)
江口 仕事として話するときはもちろんアレだけど、
プライベートで飲むときはとくにね。
和田 しないですね。
永田 そもそもマンガ家さんどうしって、
そんなに飲んだりするもんなんですか?
和田 オレなんかはこっち(東京)にいないから。
江口 いないけどよく飲んでるよね(笑)
和田 オレはストーリーの人とかと
飲んだことないもん。
永田 “ストーリーの人”(笑)。
和田 うん。パーティーとかあっても、
交流ないもんね。
ギャグはギャグで固まって
二次会行くけど……。
永田 えっ、そういうもんなんですか?
和田 編集が「ギャグの人たち〜」とか言って(笑)。
江口 ギャグの人たちってイヤだな(笑)。
でもギャグの人はそういう感じはあるね。
和田 ええ人が多いと思うけどね。
江口 うん、常識人が多いのね。
わりとストーリーのほうが
その世界の常識っていうか、俺たちから見ると
ツッコミどころの多い人が多いですね。
永田 ギャグって、やっぱり常識がなければ
描けないところがありますもんね。
江口 描けないですよ。
和田 たぶんギャグじゃなくなるよね(笑)。
永田 常識で判断していかないと……。
江口 まあ2種類いますけどね。
谷岡(ヤスジ)さんみたいな超天才の人と。
あそこまで行くといいんですけどね。
和田 あの人同郷ですよ。愛媛。
江口 あ、そうなの?
なにげに四国多いんだよね。
和田 でも、あの人が亡くなったとき、
地元の新聞とかでぜんぜん取り上げなくてね。
江口 それはよくないな。あんな天才を。


そんな感じで、
のんびりとした雑談はまだまだ続いていきます。
明日は“ギャグの人”の苦悩などを。



2000/07  西荻窪

2000-08-31-THU
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