永田 |
江口さんと和田さんは、
どういう関係で飲み友だちに? |
和田 |
最初は集英社のパーティーで。 |
江口 |
ラヂヲがまえに
『スカの群れ』っていうのを描いてて、
そのときにオレがすごくおもしろいなあと思ってて、
「ちょっとコイツに会わせて」って編集に言って、
紹介してもらって。
もうけっこうまえだよね。 |
和田 |
デビューしてすぐだったから。 |
江口 |
もうだいぶ経ったね、デビューして。
いつの間にか。もう大御所じゃん(笑)。 |
和田 |
どこがじゃ(笑)。 |
江口 |
だってもう10年? すごいじゃん。
ギャグで10年って言ったらすごいよ。
ギャグ5年説っていうのがあるからね。 |
和田 |
定説ですからね。 |
江口 |
でも最近の人は昔みたいな
感じじゃないけどね。 |
和田 |
何がですか? |
江口 |
いや、俺たちのころのギャグマンガっていうと、
なんていうか……身を削ってたというか。
田村(信)さんとか鴨川(つばめ)さんとかさ。 |
和田 |
ああ、本当に昔は小説家に近い
ノリがありましたよね、雰囲気が。 |
永田 |
『マカロニ』とか、いまにして思うと、
そうやって描いてたのかなって
いうのはありますね。 |
江口 |
まあ、鴨川さんとかは特別だよね。 |
和田 |
無頼派みたいな感じですよね。 |
永田 |
絵にだんだん精神状態が
反映されていったりして。
当時僕はその頃小学生だから、
そんな世界はわからないんだけど、なんか……。 |
和田 |
でもわかるもんね。
いまなら感じ取れるもんね。 |
永田 |
そういや江口さんも、原稿に詰まると
マンガに白いワニが
出てきたりしてましたね(笑)。 |
江口 |
オレのはまだわざとやってるところがあるんで。
ここらで気が狂ったフリでもするか、
みたいなのがあったんですけど(笑)。
やっぱりバランス感覚なんじゃないですかね。 |
和田 |
あと、いまはシステムも変わってきてますしね。
編集と作家の関係も
変わってきたじゃないですか。 |
永田 |
昔はどうだったんですか? |
和田 |
昔はやっぱり詰めたりしてたんでしょ? |
江口 |
してたよ。 |
和田 |
最近そういうの聞かんもんな。
最近はバイク便の世界やもんな(笑)。
バイク便の人が詰めてるような。
よけい気になる(笑)。 |
永田 |
(笑) |
江口 |
オレはいまだに詰められてるからな(笑)。 |
永田 |
江口さんはよく「江口が逃げた!」
みたいな話が(笑)。 |
江口 |
あれね、一回だけ本当に逃げたことある。 |
永田 |
あはははははは。 |
江口 |
一回しかないんですよ、本当は。
しょっちゅう逃げてるみたいな印象だけど(笑) |
永田 |
読者のイメージでは。 |
江口 |
『ひばりくん』のときに
一回だけ本当に逃げたんだけど、
あとは逃げてない。 |
永田 |
和田さんは? |
和田 |
オレはマジメにやってますよ。締切守って。 |
江口 |
どうしてもできないときってどうしてる?
なんらかのモノを描いちゃう? |
和田 |
うん。でもあれってやっぱりイカンですね。
中途半端なもんはあとで後悔する。 |
江口 |
ギャグはとくにね。
自家中毒になっちゃうから。
自分でわけわからなくなっちゃうからね、
おもしろいんだかおもしろくないんだか。 |
和田 |
でもそのときのほうが
おもしろかったりもするんだけどね。 |
江口 |
あ、そう? オレはやっぱり
自分がおもしろいと思ったときは、
けっこういい。 |
和田 |
週刊連載のノリってあるじゃないですか。 |
江口 |
ああ、あるね。 |
和田 |
あれにハマるとけっこういいですよ。
そこまで持っていくのがたいへんなんですけどね。
なんか鮫みたいに泳いでないと
死んでしまうみたいな。 |
江口 |
止まるとね。
週刊ペースでマンガを描くって
尋常じゃないもんね。
だからあれだけ身を削ってやってるんだよね。
どこかを犠牲にして。
すると何か出てくるんですよね。
体痛めつけて、疲れてくると
脳内麻薬が出てくるじゃないですか。
それで描いたときとかあるしね(笑)。
描いたあと忘れてることもありますし。 |
永田 |
そういうときのほうが
いいモノができてるんですか? |
江口 |
う〜ん。まあ、自分がいいと思っても、
よくないこともあるんですけどね。
でもとりあえず自分でいいと思わないと
描けないんですよね。手が動かないんで。 |
永田 |
描いては消し描いては消し、っていうよりは
真っ白っていう感じ? |
江口 |
真っ白。 |
和田 |
できるときはアッという間にできるもんね。 |
江口 |
そうそう。何でも作るものはそうだもんね。 |
和田 |
ひらめきだよな、一種の。
でもなんかありますよね? こう……。 |
江口 |
あ、あるある。なんか降りてくるみたいな。 |
和田 |
あれ不思議ですよ。 |
江口 |
あれ気持ちいいよね、来たら。 |
永田 |
なんか共通してますね、そういうところ。 |
和田 |
それはみんな同じじゃないかなあ。
どんなジャンルでも。
|