NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第40回 テレコマン、宇宙へ行く 〜その4〜

宇宙飛行士はどのように選抜されるのか。
その狭き門を、実際の流れに沿って説明していただきます。
お相手は宇宙開発事業団の中川人司さん。
興味津々で、やや身を乗り出し気味の僕を諭すように、
含蓄ある話をわかりやすく伝えてくださいます。
全宇宙ファン必読の内容でお届けします。

中川 実際の選抜の流れを簡単に説明いたしますね。
ちなみに前回は、応募者864名の中から
書類と英語検定で195名が残りました。
永田 いきなりがくっと減りますね。
中川 そうですね。その195名が筑波で2日間にわたる
一次選抜を受けて、54名になります。
実際に二次選抜を受験した方は51名でした。
永田 うわっ、じゃあ辞退した人がいるんだ。
中川 ええ(笑)。二次選抜は約1週間、
筑波宇宙センターに滞在していただき、
より進んだ医学検査を受けます。
これは体を切ったりする以外は
すべて調べるという厳密な検査です。
体中の穴という穴に
いろんなものを差し込まれます。
永田 あらららら(笑)。
思わぬ病気が見つかったりしそうですね。
中川 そうですね。
普通の人間ドックではやらないような
精密な検査を行います。さらに各種面接……。
永田 ひゃ、ひあ、はっくしゅん! はっくしゅん! 
…ああ、すいません。
あの、花粉症っていうのはどうでしょう?
中川 花粉症ですか。アレルギーはどうでしょうね? 
まあ、ない人とある人がいれば、
ない人のほうが選ばれるかもしれません。
永田 あ、なるほど。同じ条件なら。そうかあ。
中川 ただ、そういった医学的な条件というのは、
多くの人が今後宇宙に行くようになれば、
徐々に低くなっていくとは思います。
誤解している人が多いんですけど、
宇宙飛行士になるには
虫歯があっちゃダメだとか……。
永田 あ、聞いたことありますよ!
中川 あれは間違いで、虫歯になったことがあっても
治療してあれば大丈夫です。
あと、宇宙飛行士は風邪もひいたことがないと
言う人もいますが、これも間違いで、
実際、風邪ひいたりしてますんで(笑)。
永田 (笑)
中川 ええと、選抜の話に戻りますが、
二次選抜を通過者した8名が三次選抜に進みます。
永田 最終選抜に残ったのが8人ということですね。
中川 そういうことになりますね。
これがなぜ8名かというと、
三次選抜の中のひとつに
長期滞在適性検査というのがあるんです。
これは、実際の宇宙ステーションの
モジュールを参考に作ってある、
閉鎖施設を使用する試験で、
狭くて閉じられた環境の中で1週間生活をして、
それで応募者の適性を調べるわけです。
で、その閉鎖施設の中にある
簡易ベッドの数が8つなんです。
それで8名しか三次選抜には残れない。
永田 はー、なるほど。
その閉鎖環境で過ごす試験は
どのようなものなんですか?
中川 内容としては、1週間のあいだ、
まったく外界と接触せずに生活します。
閉鎖施設には窓がありませんから
外も見えません。
永田 うわあ、それはちょっとキツそうですねえ。
試験が無事に進行しているということは?
中川 いちおう、いろんな作業の指示を伝えますので、
進行中であることはわかるかと思います。
永田 中ではどんな作業を?
中川 たとえばジグソーパズルをしたりとか、
そういう単純作業をさせて適性を見たりします。
あとは、つねにカメラで監視されてますんで、
集団の中で誰がどんな行動をしたかとかを
選抜の中で見ていくことになります。
永田 トイレもですか?
中川 トイレはプライベートなのでカメラはないです。
閉鎖施設の中でカメラの監視がないのは
トイレとユニットバスだけです。
あと、カプセルホテルのようなベッドルームも
カーテンを閉めてしまえば
プライバシーを保てます。
永田 なるほど。試験中、食事はどうするんです?
中川 外から差し入れをしてもらうんですけど、
受け渡しのときも、外界と接触しないように、
両側からロックされた
小さな部屋を通じて行います。
永田 はー、徹底してますねえ。
そういう厳しい三次選抜がいろいろあって、
最終的に選ばれたのが、3人。
中川 ええ。そこから基礎訓練が約1年半あります。
基礎訓練が終わりますと、さらに専門的な
アドバンスド訓練が世界各国で行われます。
それが終わりますと、搭乗が割り当てられまして、
固有のミッションに対する訓練です。
それを経てようやく宇宙に行けます。
永田 …長いですねえ。
中川 ええ。選ばれてから最低でも5、6年かかります。
永田 はー。864名から3名に残ったあと、
5年も訓練するんですね。厳しいなあ。
ちなみにこれ、応募者の男女比は?
中川 やはり男性のほうが多いんですけど
……これが前回の応募者の資料です。
永田 あ、でも女性も84名いらっしゃいますね。
ということは全体の10分の1くらい。
中川 ちなみにこれが年齢別のデータです。
永田 ほうほう。
あ、ここに無謀な若者がひとりいますね。
10代の応募者が1名。
中川 基本的に応募者を全員カウントしてますから、
応募条件を満たしてない人も入ってます。
これはたしか、小学生でした。
永田 小学生!
カッチョイイな、その小学生。友だちになりたい。
中川 (笑)。とりあえず応募だけはできますから。
永田 そうか。じゃあ次回は僕も必ず応募して、
ここにカウントだけされるようにします。
中川 (笑)
というわけで実際に僕は
「宇宙飛行士候補者志願書」という書類一式を
いただいて参りました。

さて、話はこれで終わるわけではありません。
僕にとってはむしろ次回が本番です。
すなわち、
「僕が宇宙に行くにはどうすればいいのか?」
そこにわずかでも道はあるのでしょうか。


Love & Space!!


2002/02 筑波宇宙センター

2002-03-11-MON

BACK
戻る