針生 |
ともあれどこから始めます? |
永田 |
ええとね、とりあえず決めときたいのは、
季節ネタを狙うのかどうか。 |
針生 |
ん? どういうこと? |
永田 |
放映時期の季節ネタっていっつも何個か入るのよ。
お正月だと『かどまつ』とかさ。
もしそれを狙うなら、話が絞りやすくなる。 |
天野 |
季節ネタって、たいてい1番最初になりますよね。
だから今回、3月の放送だとすると、
「さあ行きましょう、1ばん『卒業式』!」とか。 |
針生 |
ははあ、なるほど。 |
天野 |
そんで、最初はなんとなくの勢いで合格しがち。 |
永田 |
それでいいじゃん! |
針生 |
それじゃダメじゃん! |
永田 |
……あら? |
針生 |
ちょっと待ってよ、目標はなんなのさ? |
永田・
天野 |
優勝! |
針生 |
じゃあ、1番に季節ネタで出たらダメでしょ。 |
永田 |
あ、そうか。
そういや、過去に季節ネタが優勝したことは……。 |
天野 |
なかったような気がしますね。
(注:後日調べたところ1987年放送の第20回で
その年の干支をテーマにした『うさぎ』が優勝) |
針生 |
だとしたら、季節ネタは外すべきでしょう。
だいたい、ただ出たいわけじゃないんだから
……あれ? 俺がいちばん積極的に話してる? |
天野 |
(笑) |
永田 |
じゃあ季節ネタは除外する方向で。
あと、基本的な方向というか、系統を決めとく? |
針生 |
系統? |
永田 |
うん。やっぱ分析していくと系統があるじゃん。
たとえば第1回の優勝作品
『蒸気機関車』に代表される、
そのままの姿を表現するようなものから
パッと変化するからくりモノ、
インパクト勝負の一発モノ、
新体操みたいなフォーメーションモノ。 |
針生 |
はいはいはい、なるほど。 |
天野 |
とりあえず、いまの時代、
『蒸気機関車』みたいな直球で
上位は難しいんじゃないかなあ。 |
永田 |
やるなら完成度を恐ろしく上げないとね。
『カブト対クワガタ』くらいに。 |
天野 |
そうか、そうですね。あれがあった。 |
針生 |
……やばい、『カブト対クワガタ』、覚えてる。 |
天野 |
やっぱ、見てんじゃん(笑)。 |
針生 |
あれ、すごかったね。『カブト対クワガタ』。
|
永田・
天野 |
すごかったすごかった。 |
針生 |
覚えてるもんだなあ。 |
天野 |
『アジのひらき』とか覚えてるでしょ? |
針生 |
覚えてる覚えてる。大爆笑した。 |
永田 |
あと何覚えてる?。 |
針生 |
ええと、『バスケットボール』ってあったよね? |
天野 |
あ、影のやつ? |
針生 |
じゃなくて──。 |
永田 |
頭がボールになってるやつ? |
針生 |
そうそう。あれ好きだった。 |
天野 |
あ、そっちか。 |
永田 |
影のやつは優勝したじゃなかったっけ? |
天野 |
優勝でした。
(注:第67回優勝『バスケットボールの影』) |
永田 |
あれは見事だった。大好き。 |
針生 |
どんなの? |
永田 |
シュートするところの、
地面に映った影を表現したやつ。 |
針生 |
ああ、あったあった! |
天野 |
見てんじゃん(笑)! |
針生 |
あれすごかったねえ。 |
天野 |
あれってそのまえの回で優勝した
学校の廊下の鏡のやつの影響があるのかなあ。
(注:第66回優勝『学校の鏡』) |
永田 |
いや、あれとは系統が違うでしょ。
鏡モノ自体は昔からあるわけだし。 |
天野 |
ああ、そうかそうか。 |
永田 |
鏡モノの集大成が、あの学校の廊下のやつでしょ。 |
天野 |
そうですねえ。あれはよかった。 |
永田 |
あれで俺、クラス全員参加モノを見直したもん。 |
針生 |
……あれ、よかったねえ。 |
永田・
天野 |
見てる(笑)! |
天野 |
そう考えると、最近の優勝作品に共通するのって
チームプレイなんですよね。 |
永田 |
っていっても、人数任せでやるんじゃなくて。 |
天野 |
うん。フォーメーションの完成度。アンサンブル。 |
永田 |
だね。アイデア+アンサンブル。 |
針生 |
じゃあ、一発モノはダメってこと? |
永田 |
いや、ダメじゃないよ。あくまで傾向の話。
個人的にも笑える一発モノは大好きだし。 |
針生 |
いま『アジのひらき』が出たらどうなんだろ。 |
永田 |
あれはいま見てもおもしろいと思うけどな。
まあ、いざとなったら、天野が小物を使って
一発芸を10個くらいやればいいんだけどさ。 |
天野 |
勘弁してくださいよ。 |
永田 |
「ジャカジャカジャン!」とか合間に言いながら。 |
針生 |
黒と白のタイツかなんかで。 |
永田 |
そうそうそう(笑)。しかもひとり。 |
天野 |
勘弁してくださいよ。 |
永田 |
俺、大好きだけどな、ああいうの(笑)。 |
天野 |
俺だって好きですけど、自分じゃできないスよ。 |
永田 |
あと、系統でいうと、なんかの瞬間を
うまくとらえたものがいいと思うんだ。
たとえばその、ビールの泡が出る瞬間、とか。 |
針生 |
あ、シャンプーでやったやつだ。
(注:第11回優勝『ビールのあわ』) |
天野 |
見てんじゃん(笑)。 |
針生 |
……見てるなあ。 |
天野 |
ストップウォッチのやつとかもそうですね。
(注:第61回優勝『200M決勝』) |
永田 |
最後にゴールするやつね。あれもよかった。
あのへんが最近の入賞作の主流じゃないかな。
なんか、大学生くらいの集まりで、
アイデアも時間も体力もある人たちが
きちんとアンサンブルを練習してるっていう。 |
天野 |
そうですね。そのへんの傾向を踏まえつつ──。 |
永田 |
よし! いよいよ、企画を出し合おう。 |
天野 |
…………。 |
針生 |
…………。 |
永田 |
…………。 |
天野 |
…………。 |
針生 |
…………。 |
永田 |
なんで具体案に入ると
ぱったり黙っちゃうんだよ! |
一同 |
(失笑) |