永田 |
あ! あれは? ○○は?
○○が○○するさまをゆっくり表現する。
それに合わせて周囲もこう……。
(図に描いて説明する) |
針生 |
ん? |
天野 |
お! |
永田 |
こっちからこう来て、こう見えてて──。 |
天野 |
ああ、こう、ゆっくりグワーンと
なっていくさまを。 |
針生 |
それ、おもしろい。できるよ。しかも。 |
永田 |
たとえばこっちからこう見せて──。 |
天野 |
ズワーーッてなるのに合わせて、
こっちもズワーーッて。 |
針生 |
ムッズい! でもおもしろい! |
永田 |
がんばればできなくはないレベルだよね。 |
天野 |
うん。これこそ、演技力と、アンサンブルと、
作り物の完成度が必要で、
かつ、ちゃんと身体の動きを使ってて、
うまくできれば入賞を狙える。 |
永田 |
うん、完成すれば、いける。 |
針生 |
いける? |
天野 |
いける。 |
永田 |
よし、ちゃんと考えっか。 |
<数十分後> |
天野 |
……やっぱこれいけるんじゃないですか。 |
針生 |
いけそうな気がする。 |
天野 |
いろんな要素が入ってるのがいいと思う。 |
永田 |
ここのところが決まってないのが気掛かりだけど。 |
針生 |
もう、なんとかするしかないよね。
まずは、予選に通ることが先決でしょ。 |
天野 |
うーん、でもある程度のプロトタイプというか、
ある程度の説得力は見せないとダメだと思うなあ。 |
永田 |
じゃあさ、こういうのはどう? ここを……。 |
<さらに数十分後> |
針生 |
ねむーい。 |
永田 |
がんばれー。 |
天野 |
あとここだけなんだけどな。 |
針生 |
これ、もう考えて出てくるもんじゃないと思うな。 |
天野 |
詰んでる? |
針生 |
うん。いま話してるのが最終形態かなと思う。 |
永田 |
だとすると、ダメだ。確信が持てない。 |
天野 |
うーん。 |
永田 |
なんつーかね、全体の完成度が、
最後の技術頼みになってるのがイヤなのよ。
これ、最後の作り込みがダメだったら
終わっちゃうよね? |
針生 |
でも、それは、
ある程度の規模のものを作ろうとしたら、
しかたないんじゃない? |
永田 |
そうなんだけど、これはとくに、
ハンパな部分が許されないでしょ。
あと、とにかく演技者が動きを練習すれば
カバーできるとか、そういうものでもないし。 |
針生 |
ああ、そうね。
練習あるのみ、っていうわけでもないんだ。
作って、作ったうえで練習しなきゃいけない。 |
永田 |
あと、途中で最終の仕上がりを見通せない。 |
天野 |
決まればカッコいいんだけどなあ。 |
永田 |
せめて、会議だけでも、
この案を土台にもう何回かやらないと。 |
天野 |
でも、予選を通過しながら、
いろいろ変わっていくって、
けっこうふつうみたいですよ。 |
永田 |
う〜ん。 |
針生 |
やりようが何通りもあるのがよくないね。 |
永田 |
そう! で、けっきょく最後は技術頼みになる。 |
針生 |
その点、俺の考えた電気のスイッチはわかりやすいよ。 |
永田 |
うん。その意味で、これはスイッチ以下なんだよ。 |
天野 |
ガーン。 |
針生 |
……ていうか、無理じゃない? 今日は。 |
永田 |
……。 |
天野 |
……。 |
針生 |
ふたりともそう思ってるでしょ? |
永田 |
これを離れて、
冷静にもういっぺん考えればよさそうなんだけど、
いまは頭が切り替わらないかも……。 |
針生 |
でしょ? |
天野 |
締切が今日だもんなあ。 |
針生 |
じゃあ、もう、次回でしょ、これは。 |
永田 |
……。 |
天野 |
……。 |
針生 |
……。 |
永田 |
……一回、負けだね。考えが甘いよ、やっぱ俺ら。 |
天野 |
……そうっすね。 |
永田 |
引き分けじゃなくて負けだ。
エラそうなこと言ってて、応募以前に自分落選だ。 |
天野 |
やっぱ、出てる人はすげえなあ。 |
針生 |
そうだね。 |
永田 |
こんな会議なんか、何十倍もやるんだろうし。 |
針生 |
思いつくだけじゃダメか。 |
永田 |
うん。「できそう」とかじゃダメだと思う。
「できた」って机上で思えないと、
このまま進んでもハンパなものになっちゃうよ。
いまいろいろ考えたのって、
これをやるならこうするしかないなっていう、
後づけみたいな考えばっかだもん。 |
天野 |
……じゃあ、次回ですか。 |
永田 |
……うん。もいっぺん。 |
針生 |
……集まりましょう。 |
天野 |
くぅ〜〜〜、悔しい! |