永田 |
本日はお忙しいところありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。 |
木下 |
よろしくお願いします。 |
永田 |
今日は、一般素人の視点から、
パイロットのことについて
いろいろとうかがわせていただこうと思ってます。 |
木下 |
いや、でも、そんなに
おもしろい話でもないと思いますけどね。 |
永田 |
いえいえ、そんなことないんですよ、きっと(笑)。 |
木下 |
そうですかねえ(笑)。 |
永田 |
いただいた名刺がいきなり興味深いんですが、
ここに書いてあるのは機種ですか? |
木下 |
あ、はい。 |
永田 |
搭乗する飛行機の機種? |
木下 |
ええ。それぞれ部署が分かれてるもんですから。 |
永田 |
え! 乗る飛行機によって
部署が分かれてるんですか? |
木下 |
ええ、はい。 |
永田 |
もう、そういうことから
珍しくてしょうがないんですけど(笑)。 |
木下 |
(笑)。まあ、車みたいに
免許取ってしまえば
なんでも乗れるっていうわけじゃなくて、
その飛行機ごとに免許があるもんなんで。 |
永田 |
はあー。飛行機ごとに免許を取るわけですか?
こう、初級免許とか中級免許とかが
あるわけではなくて? |
木下 |
そうですね。なんていうのかな、
パイロットとしての基本の免許があって、
そこにさらに飛行機ごとの免許を
つけ足すように取っていくんです。 |
永田 |
へええええ。
それはやっぱり、機種によって
運転のやりかたとかが
ぜんぜん違うからですか。 |
木下 |
そんなには変わんないですけどね。
まあ、メーカーが違うとやっぱり違いますよね。 |
永田 |
「メーカー」(笑)! |
木下 |
ええ(笑)。
ボーイングとエアバスとでは、だいぶ違います。 |
永田 |
じゃあ、新しい機種が出るたびに、
免許を取らなきゃならない。 |
木下 |
その新しい機種に
乗らなければならないのであれば、
取らなきゃいけないですね。
ただ、そんなに頻繁なことじゃないです。 |
永田 |
はあああ。
ええと、新しいのが出るとなると、
その、練習とか、するんですか? |
木下 |
あ、やりますよ、もちろん。
けっこう時間かかりますねえ。
新しい機種の免許を取るまでに
4ヵ月から半年くらいですかね。 |
永田 |
ええと、その‥‥どうやって? |
木下 |
まず、そのシステムっていうか、
飛行機自体を勉強するので2ヵ月くらいやって。 |
永田 |
ああ、なるほど。いわゆる筆記試験的な勉強。 |
木下 |
で、シミュレーターっていう、
フライトシミュレーターゲームみたいなやつ、
それのもっとよくできたやつがあるんですけど、
それを1ヵ月とか2ヵ月とかやります。
そのあとに実機で練習して。 |
永田 |
実機で練習! どうやって? |
木下 |
日本だと経費がかかるので
外国でやったりするんですけどね。
ヘルシンキとかに
1ヵ月くらい行ったりするんですよ。 |
永田 |
飛行機の練習をするためにヘルシンキに! |
木下 |
はい(笑)。要するに、
その飛行機を使っているところに行って、
ふだん路線で飛んでる飛行機を使って、夜中に。 |
永田 |
夜中に(笑)。 |
木下 |
ええ。業務が終わった飛行機で。 |
永田 |
お客さんは乗ってないわけですよね、当然。 |
木下 |
ええ、客はもう、空ですね。 |
永田 |
貸し切り状態? |
木下 |
貸し切りで(笑)。
訓練生と先生と5〜6人だけ乗って。 |
永田 |
は〜〜〜。そういうことって、
パイロットでもなかなか
経験できないことじゃないですか? |
木下 |
あ、そうでもないですよ。
たとえばその、台風が来たりしますよね。
そのときに、飛行場に置きっ放しになってると
壊れちゃうかもしれないっていうことがあって、
運転してどこかに避難させたりね。 |
永田 |
へえ! |
木下 |
あとは、どこかで飛行機自体が壊れたから
代わりの飛行機として届けることもあるし。 |
永田 |
代車だ! |
木下 |
あとは、よその空港で機材がなくて
どうしようもないときに、
運んで行ったり。 |
永田 |
バイク便! ぜいたく! |
木下 |
逆に、自分が乗る予定だった飛行機が
飛べなかった場合、その空港で修理して、
つぎの日に備えて
本来行くべきだった空港まで行くとか。 |
永田 |
はああ〜。それは教官もいないし、
ほんとに貸し切りですねえ。 |
木下 |
そうですね(笑)。
パイロットふたりだけのときもあるし、
場合によっては後ろにスチュワーデスが
乗ってることもあるし。 |
永田 |
ちょっとリラックスムード。
なんかそれ、いいなあ。 |
木下 |
(笑) |
永田 |
すいません、話がそれました。
そんな感じで免許を取って。 |
木下 |
ええ、それで免許を取って、
今度は実際の路線で
お客さんが乗ってる飛行機で練習して、
あ、練習っていっても、離着陸はしないです。
副操縦士として2ヵ月くらいやります。 |
永田 |
なるほどー。
それで、晴れてパイロットになれると。 |
木下 |
ま、そんなとこです。
そんなおもしろい話でもないでしょ。 |
永田 |
いえいえっ、十分、興味深いです! |
(もちろん続きますよー)