NAGATA
怪録テレコマン!
hiromixの次に、
永田ソフトの時代が来るか来ないか?!

第63回 パイロットの日常 〜その1〜

知り合いが知り合いの話をしていて、
つまり間接的にその人の話を聞いたのだけれど、
僕が非常に興味を覚えた理由がなんだったかというと、
その人の職業がパイロットだったからである。
さっそく僕は知り合いを通じてその人に連絡をとり、
忙しいなか、お時間をいただいてテレコを回した。

身のまわりにパイロットがいるという方にとっては
よく聞く話が続くのかもしれない。
しかしながら、身のまわりに
パイロットがいないという方にとっては
非常に興味深い読み物となると思う。

宇宙飛行士と並ぶ憧れの職業、
パイロットの日常を
例によって長々とお届けします。
なお、業務上の規約など、
記事の本質とは違う部分での制限が生じると思うので、
今回のご登場名は仮名とさせていただきます。
それでは、ゆるゆるとご覧ください。

永田 本日はお忙しいところありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
木下 よろしくお願いします。
永田 今日は、一般素人の視点から、
パイロットのことについて
いろいろとうかがわせていただこうと思ってます。
木下 いや、でも、そんなに
おもしろい話でもないと思いますけどね。
永田 いえいえ、そんなことないんですよ、きっと(笑)。
木下 そうですかねえ(笑)。
永田 いただいた名刺がいきなり興味深いんですが、
ここに書いてあるのは機種ですか?
木下 あ、はい。
永田 搭乗する飛行機の機種?
木下 ええ。それぞれ部署が分かれてるもんですから。
永田 え! 乗る飛行機によって
部署が分かれてるんですか?
木下 ええ、はい。
永田 もう、そういうことから
珍しくてしょうがないんですけど(笑)。
木下 (笑)。まあ、車みたいに
免許取ってしまえば
なんでも乗れるっていうわけじゃなくて、
その飛行機ごとに免許があるもんなんで。
永田 はあー。飛行機ごとに免許を取るわけですか?
こう、初級免許とか中級免許とかが
あるわけではなくて?
木下 そうですね。なんていうのかな、
パイロットとしての基本の免許があって、
そこにさらに飛行機ごとの免許を
つけ足すように取っていくんです。
永田 へええええ。
それはやっぱり、機種によって
運転のやりかたとかが
ぜんぜん違うからですか。
木下 そんなには変わんないですけどね。
まあ、メーカーが違うとやっぱり違いますよね。
永田 「メーカー」(笑)!
木下 ええ(笑)。
ボーイングとエアバスとでは、だいぶ違います。
永田 じゃあ、新しい機種が出るたびに、
免許を取らなきゃならない。
木下 その新しい機種に
乗らなければならないのであれば、
取らなきゃいけないですね。
ただ、そんなに頻繁なことじゃないです。
永田 はあああ。
ええと、新しいのが出るとなると、
その、練習とか、するんですか?
木下 あ、やりますよ、もちろん。
けっこう時間かかりますねえ。
新しい機種の免許を取るまでに
4ヵ月から半年くらいですかね。
永田 ええと、その‥‥どうやって?
木下 まず、そのシステムっていうか、
飛行機自体を勉強するので2ヵ月くらいやって。
永田 ああ、なるほど。いわゆる筆記試験的な勉強。
木下 で、シミュレーターっていう、
フライトシミュレーターゲームみたいなやつ、
それのもっとよくできたやつがあるんですけど、
それを1ヵ月とか2ヵ月とかやります。
そのあとに実機で練習して。
永田 実機で練習! どうやって?
木下 日本だと経費がかかるので
外国でやったりするんですけどね。
ヘルシンキとかに
1ヵ月くらい行ったりするんですよ。
永田 飛行機の練習をするためにヘルシンキに!
木下 はい(笑)。要するに、
その飛行機を使っているところに行って、
ふだん路線で飛んでる飛行機を使って、夜中に。
永田 夜中に(笑)。
木下 ええ。業務が終わった飛行機で。
永田 お客さんは乗ってないわけですよね、当然。
木下 ええ、客はもう、空ですね。
永田 貸し切り状態?
木下 貸し切りで(笑)。
訓練生と先生と5〜6人だけ乗って。
永田 は〜〜〜。そういうことって、
パイロットでもなかなか
経験できないことじゃないですか?
木下 あ、そうでもないですよ。
たとえばその、台風が来たりしますよね。
そのときに、飛行場に置きっ放しになってると
壊れちゃうかもしれないっていうことがあって、
運転してどこかに避難させたりね。
永田 へえ!
木下 あとは、どこかで飛行機自体が壊れたから
代わりの飛行機として届けることもあるし。
永田 代車だ!
木下 あとは、よその空港で機材がなくて
どうしようもないときに、
運んで行ったり。
永田 バイク便! ぜいたく!
木下 逆に、自分が乗る予定だった飛行機が
飛べなかった場合、その空港で修理して、
つぎの日に備えて
本来行くべきだった空港まで行くとか。
永田 はああ〜。それは教官もいないし、
ほんとに貸し切りですねえ。
木下 そうですね(笑)。
パイロットふたりだけのときもあるし、
場合によっては後ろにスチュワーデスが
乗ってることもあるし。
永田 ちょっとリラックスムード。
なんかそれ、いいなあ。
木下 (笑)
永田 すいません、話がそれました。
そんな感じで免許を取って。
木下 ええ、それで免許を取って、
今度は実際の路線で
お客さんが乗ってる飛行機で練習して、
あ、練習っていっても、離着陸はしないです。
副操縦士として2ヵ月くらいやります。
永田 なるほどー。
それで、晴れてパイロットになれると。
木下 ま、そんなとこです。
そんなおもしろい話でもないでしょ。
永田 いえいえっ、十分、興味深いです!
(もちろん続きますよー)

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2004-01-28-WED

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