永田 |
あの、飛行機の操縦というのは、
夜も昼も、難度としては変わらないんですか? |
木下 |
やっぱり昼の方が楽です。
当たり前ですけど、
昼のほうがよく見えますからね。 |
永田 |
ああ、そうですね。バカな質問ですいません。
でも、バカな質問が続くと思いますが(笑)。 |
木下 |
はい(笑)。 |
永田 |
ええと、操縦というのは、
どの程度、目で見てやってるんですか? |
木下 |
目測は重要ですよ。
というか、完全に計器だけでやるってことは
ほとんどないですからねえ。 |
永田 |
あ、そうなんですね。 |
木下 |
たとえば着陸にしても、
まあ、自動で着陸することもできますけど、
あんまりやらないですし。 |
永田 |
あ、じゃあやっぱり、その‥‥人力で? |
木下 |
はい、人力で(笑)。
機能的には機械だけでも
問題なく着陸できるんですよ。
信頼性が高いし、ばらつきがないから、
ほんとうは機械のほうが
うまいのかもしれない。 |
永田 |
じゃあ、なんで人力でやるんですか? |
木下 |
おもしろくないでしょ(笑)。 |
永田 |
うわあ(笑)! |
木下 |
おもしろいのって着陸くらいですからね。 |
永田 |
「着陸くらい」って(笑)。 |
木下 |
離陸は機械じゃできないから
当然、人力でやるんですけど、
まあ、あれは、操縦桿を引っ張るだけですからね。 |
永田 |
ひ、引っ張るだけ(笑)! |
木下 |
だから、離陸はあまりおもしろくないんです。 |
永田 |
着陸はおもしろいんだ。 |
木下 |
着陸はおもしろいですねえ。 |
永田 |
不謹慎かもしれませんが、
それはやっぱりスポーツ的な意味で? |
木下 |
うん。そのときどきによって
状況がいろいろと変わってきますからね。 |
永田 |
やりがいが。 |
木下 |
ありますね。
うまくいくときもあるし、
うまくいかないときもあるから。 |
永田 |
「うまくいかないとき」! |
木下 |
うまくいかないっていうとあれですけど、
乗っててドーンって降りるときもあるでしょ? |
永田 |
ああ、ありますねえ。 |
木下 |
かと思うと、スッと着くときもあるし。
それはべつにそのパイロットが
下手とかそういうんじゃなくて、
たまたま条件が悪かったりするんですが。
だから、うまい人がドーンってなるときもあるし、
下手な人がうまく着くときもある。
だから、おもしろいんですよね。 |
永田 |
ははあ。じゃあほんとに、
もちろん、安全性とかそういった話とは
まったくべつの次元の話として、
スポーツとしての喜びがあるんですねえ。 |
木下 |
そうですね。 |
永田 |
あの、逆に言うと、
飛んでるときはおもしろくはないんですか? |
木下 |
飛んでるときは機械が全部やってますからねえ。 |
永田 |
じゃあ操縦のおもしろみは‥‥。 |
木下 |
操縦のおもしろみは、ない!
まっすぐ飛んでるだけだから。 |
永田 |
あははははは! |
木下 |
まあ、車で高速道路を走ってるのと
あんまり変わらないんで。 |
永田 |
でも、やることはあるんですよね? |
木下 |
まあ、やることはありますけどねえ。 |
永田 |
微調整とかしつつ? |
木下 |
微調整はあるけどねえ。 |
永田 |
‥‥ほんとにつまらなそうですね。 |
木下 |
まっすぐ飛ぶだけですからねえ。 |
永田 |
でも、ほら、乱気流に近づいたときとか。 |
木下 |
‥‥おもしろみとしては、あんまり。 |
永田 |
うははははははは。 |
木下 |
そんなのおもしろくないですよ。 |
永田 |
ひ〜(笑)。 |
木下 |
まっすぐ飛ぶ時間が短けりゃ
まだいいんですけどねえ。 |
永田 |
何時間もありますよね。 |
木下 |
うん。長いと疲れちゃうから。 |
永田 |
疲れちゃうんだ、やっぱり(笑)! |
木下 |
そりゃそうですよ。
あの、こんな話でいいんですか? |
永田 |
じ、十分おもしろいんですけど。 |