木下 |
タバコ吸ってもいいですか? |
永田 |
ああ、はい、どうぞどうぞ。
‥‥あの、操縦席では? |
木下 |
タバコですか?
いまは禁煙になってますね。 |
永田 |
ってことは以前は吸えたんですか? |
木下 |
ええ。というか、客席も、
以前は吸える場所がありましたよね。
それを全面的に禁煙にしたものですから。 |
永田 |
そうかそうか。
「客が吸ってないのに、なんで
パイロットが吸えるんだ!」ってことに。 |
木下 |
なりますからね。 |
永田 |
ってことは、以前は、
コクピットに灰皿とかあったわけですか? |
木下 |
ありましたありました。
灰皿はありましたね。 |
永田 |
備え付けの? |
木下 |
そうですそうです。 |
永田 |
へえーーー。見たい! |
木下 |
ただの灰皿ですよ(笑)。 |
永田 |
すいません。ええと、通常、
コクピットには何人いるんですか? |
木下 |
ぼくらの飛行機にはふたりですね。 |
永田 |
交代で操縦するわけですか? |
木下 |
いやいや、操縦する人はどっちかひとりだけ。
基本的には機長が操縦して、
副操縦士は、計器のチェックとか、
ほかの機械の操作をします。
操縦といっぺんにできないですから、
最低ふたりは必要なんですよ。 |
永田 |
操縦席、すごいですもんね。
なんかもう、チカチカしてますもんね。
いわゆるその、松本零士的な世界! |
木下 |
そうですね(笑)。
でも、まあ、いっぱいボタンはありますけど、
いまはすべてコンピューター制御されてるんで、
ほとんどいじらないです。 |
永田 |
ありゃ。 |
木下 |
出発するまえに全部セットしてしまえば、
もうほとんどあとはいじることはないですね。
もちろん、オートパイロット機能が
入ってる飛行機での話ですけど。
なにか壊れたときにちょっと操作するとか、
そういうのはありますけど。
あとは、その、曲がったり、
高度を変えたりするときにいじるくらいで。 |
永田 |
(胸のまえあたりで
操縦桿を握る仕草をしながら)これを。 |
木下 |
いえいえ、
(斜め上のあたりをひねる仕草をしながら)
これを。 |
永田 |
(斜め上のあたりをひねる仕草をしながら)
これ? 操縦桿ではなく? |
木下 |
いえ、操縦桿じゃないです。ノブです。 |
永田 |
ノブ!! ひねるノブですか! |
木下 |
そうです。
曲がりたければノブを回せばいいわけです。 |
永田 |
はあ。えっ? ノブ? ひねるノブ? |
木下 |
そう。左に曲がりたければ、
(斜め上のあたりをひねる仕草をしながら)
ノブを左に回す。 |
永田 |
(しつこく胸のまえあたりで
操縦桿を握る仕草をしながら)
これではない。 |
木下 |
(ついに胸のまえあたりで
操縦桿を握る仕草をしながら)
これはね、オートパイロットのときは
まったく使わないですね。 |
永田 |
はあああああ〜。 |
木下 |
基本的に、オートパイロットのときは
全部ボタンとかスイッチとかを操作すると
飛行機が勝手に行くんで。 |
永田 |
へええええええ。
じゃあ、あれですか、極端な話、
飛行機が飛んで、まっすぐ飛んでるときに、
僕がちょっと変わらせてもらって、
操縦席に座らせてもらうということも‥‥。 |
木下 |
うーん、それは、どうだろうなあ(笑)。 |
永田 |
失礼しました! |