バフンウニの嘆き。  Nageki Of Bahun-uni


和名 オオイヌノフグリ
学名 Veronica persica
ゴマノハグサ科
クワガタソウ属
原産 ヨーロッパ
嘆きその6 オオイヌノフグリ
あーた、ちょっと、失礼じゃございませんこと?
あたくし、別名を「瑠璃唐草」とも
「天人唐草」とも「星の瞳」とも言われておりますのよ?
御存じないのかしら、その美しい名前を。
祖先は遠くヨーロッパの生まれ、
早春にコバルトブルーの花を咲かせ、
その花の命はたった一日‥‥
流れ流れてこの東の果てにたどり着いたのは19世紀末。
その末裔として健気に生きるあたくし、
たしかにいまは雑草の身とは申しましても、
あんまりじゃございませんの、和名が、
「オオイヌノフグリ」って!
漢字で書くと「大犬の陰嚢」って!
陰嚢‥‥ふぐり‥‥つまり「きゃんたま」!
あらいやだ、あたくしとしたことがそんなお下劣な。
よございますか、そもそも、
親類にあたる「イヌノフグリ」一族は、
たしかにその実が「きゃんたま」に似ておりますけれど、
あたくしの実はそれほど似ておりません!
似てないでございましょ? えっ? どうざますの?!

ちなみに親類には
「立犬の陰嚢(タチイヌノフグリ)」も、おります。
ちょっと申しあげにくいんでございますが、
茎が‥‥その、‥‥直立しておりますの。

(つぎなる嘆きへつづく)

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2010-02-09-TUE