(これまでの「はじめての中沢新一」連載はこちらです)




第2回 思わず、知ったかぶりました

中沢 今日は、
「三十年もわたる研究」
というふれこみになっていますけど、
ぼくがずーっと考え続けてきて、
そして、いろんな表現もしてきましたけど、
それでも表現し足りなかったことも
いっぱいあって、そういうことを
今日一日で話せと糸井さんは言うわけで、
大変なことを、おおせつかっちゃいました。

がんばります。
長丁場、よろしく、お願いします。
タモリ こんばんは。
糸井 タモリさんと、ぼくと、
しきりの苦手な二人が登場しました。
タモリ わたくし、
司会者とか言われてますけども、
ほんとうに司会がキライで……
また、ヘタ、という面もあるんですけども。
糸井 何を話さなければいけないか、
ということに、
まったく無頓着なタモリさんですけども、
タモリさんとは最初に
『はじめてのJAZZ』ということから
シリーズものを企画していまして。
タモリ これは、
ジャズに関心持ってる人はいるけども、
とっつきにくいんじゃないか、
ということで、ジャズに関する
あらゆることを質問を受けつけて、
舞台上で話で説明できるところ説明して、
説明できないところは、隣にいる
山下洋輔さんのバンドが実際に演奏して
ジャズのことを解説する、っていうもので。
第1回目は
六本木のかたすみでやりました。
糸井 (笑)あれでも
700人、入ってましたけども。
でも、まぁ、出世したものですよ。
タモリ 国際フォーラムですよ?
糸井 国際ですからね。
国際という名がつく大学は
だいたいいい大学ですから。
タモリ いや、ダメです。
糸井 (笑)あんまり言いにくいことだけど。
タモリ 大学の名前って、
大きければ大きくなるほど
ダメになりますからね。
糸井 (笑)世界とかついちゃダメですか。
タモリ ええ、ダメです。

ま、今日はあの、長くなりますんで、
ちょっと覚悟してほしいと思うんですが、
途中で時間がないかたは、

もうしょうがないんですが……
まぁ、おくばりしたパンフレットの中に
ほとんどのことが、書いてありますから。
あれ、うまくできています。
「だったらなんでくるんだ?」
ってことになるんですけども。
糸井 (笑)呼吸ですかね?

おくばりした袋の中には、
DVDとパンフレットのようなものが
入っています。
タモリ すごくよくできています。
言いたいことは
ぜんぶ入っていますし、
これからやることも入ってますし、
今後、人類が直面することも、
ぜんぶ入っています。
糸井 はい。帰りたい人は、
いつ帰っても心配事はないと思います。
タモリ (笑)DVDと冊子を見ればわかります。
ジャズのときも
心残りで帰る人いたんですけども、
今日は心のこってもいいし、
駅もすごい近いし……。
糸井 もしかしたら、
すごいはやめに終わるかもしれないし。
タモリ そうです。
いきづまるかもしれないし。
糸井 それから、
翌日になっちゃうかもしれませんし……。

ここでなおかつ、お知らせがあります。
お配りした冊子の中の芸術人類学の欄に、
誤植と言いますか、
編集上の大きなミスがありました。
わけのわからないところがふたつありまして。
タモリ 29ページに
「パスカル」
「ドストエフスキー」
というところがあるんですけども……
糸井 パスカルと
ドストエフスキーの言葉を
引用したはずの部分が、ただ、
「パスカル」
「ドストエフスキー」
としか書いてありません。
タモリ わたしは、
最初にあれを読んだとき、
「パスカル」
「ドストエフスキー」
……あ、これは
しゃれた文章だな、
と思ったんですけども。
糸井 (笑)「パスカル」
という言葉の中にすべてが入っていると。
タモリ そう。
この後に引用される言葉ぐらい、
おまえら知ってるだろう?
知らないやつはどうしようもないやつだ、
という……
思わず、知ったかぶりました。
糸井 (笑)
タモリ まぁ、本来の引用部分はこちらです。

パスカル
「人間たちはかくも必然的に
 気違いであるので、
 気違いでないとは、
 狂気の別のひとめぐりによって、
 気違いであることである」。

ドストエフスキー
「彼の隣人を
 閉じこめたからといって、
 ひとは自らの正気を
 確信できるものではない」

これはかなり重要なことが書いてありますね。
ちなみに、放送できない言葉ばかりですけど。
糸井 「隣人」とかは大丈夫ですよね?
タモリ (笑)「隣人」は、大丈夫だね。

(明日に、つづきます)

2005-12-21-WED