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第21回 ソフトと地形は結びつく

糸井 都市開発っていうのは、
やっぱり箱中心だから
つまんないんだと思うんです。

たとえば、
下北沢っていう街は、
航空写真とかで見たら
つまらない街ですよね。

だけど、
芝居をやる人にとっては、
ブロードウェイから
オフオフブロードウェイまで
ぜんぶ、
点在してるじゃないですか。
中沢 みうらじゅんにとっては
天狗祭りとかね。
糸井 そうですよ。
ああいう発想で、
ソフト中心のジャンルわけで、
ある町を発展させていく方針は
いろいろ、あっていいですよね。

芝居をやりたいんだけど、
劇団にまだ入れない人が、
ウエイトレスをやっているみたいな……
あるソフトを中心とする階層がある町は
いいですよね。
ロック村とかだと、
どこの家にも
内田裕也の御神影があるとかね。
タモリ 全員、シャケナベイべー。
糸井 (笑)あるいはお笑い村とか。
タモリ お笑い村は……うるさくてしょうがない。
糸井 そこに観光客として行くぶんには、
笑ろた笑ろたっていって
帰ってこられるじゃない。
中沢 アースダイバー地図は、
ソフトと地形とが
結びついていることを示してますよね。
土地の地形っていうのを頭に入れて、
都市を作っていくと、自然な街ができていく。
タモリ いきなり
違うところに
お笑い村を作りましょう、
って、これは違うわけです。
中沢 それは
テーマパークになっちゃいますもんね。
糸井 つまり、
笑いというのはなにであるかと、
笑いということから岬に建てるみたいなね、
そういう発想ですよね。
中沢 そうですね。
だって、どうして上野のあそこに、
あんなにオートバイ屋が並んでいるのか、
糸井 そうそう。
あの上野駅の線路の向こう側に、
海側に、バイク屋があるんです。

あそこをぼくらが、
中沢君と一緒に歩いたんですけども、
もともと、馬がいた場所なんですよね。
馬を売るところなんです。
だから「同じ」なんです。
タモリ でも、
オートバイ屋さんは
そういうことを知らないと思うんですよ。
糸井 それはね、中沢説ではね、
知ってるっていうんですよ。
中沢 老人たちは知ってると思う。
タモリ さらにこれから
中沢さんに話していただくのは、
人間古来の、
「本当のところの最初の考え方」は
いったいどういうものか、
というところからですよね。
アースダイバーもそうでしたけど。

思想、生き方、
社会全体の構造が
変わっていく考え方を探ろう、
という話がこれからあるわけですけれども。
糸井 そうですね。
中央大学の学生さんを前にして
話をしたものが、
『カイエ・ソバージュ』
というシリーズの本に
なっているわけですから。
まぁ、それをさらに
このイベントでは濃縮還元、
みたいな、ことですよね。
タモリ いや、還元しませんね。
濃縮だけです。
糸井 (笑)うん。

(明日に、つづきます)
 
2006-01-09-MON


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