糸井 |
「カイエ・ソバージュ」のシリーズは、
ぼくは、谷川俊太郎さんが
『対称性人類学』を、おもしろいと
言ったのがきっかけで、読みました。
|
タモリ
| ほうほうほう。
|
中沢
| 詩人がほめてますからね。
|
タモリ
| 詩人がほめてますね。
|
糸井
| あれは
どのくらいの期間で出たんでしたっけ。
|
中沢
| 2年半くらいですかね。
ぼくとしてはめずらしく、
半年に一回というペースを守ったんです。
気合い入ってたんですね。
|
タモリ
| 今日、これからきけば、
だいたいのことは、
ほとんどすべてわかると。
|
糸井
| しかもDVDであらかじめ
この内容をしゃべったものがあって。
もう、何重にも
鍵をかけているんじゃないかという。
|
タモリ
| 鍵はかけてないよ。
|
糸井
| (笑)何重にも安全な、
聞き漏らしのないような
構成に、なっております。
|
中沢
| じゃあ、
ぜんぜん新しい話をしようかなぁ。
|
糸井
| それも、いいですよね。
|
タモリ
| いや、
さっきだって、新しいのが
どんどん出てきたもん、
貝塚の話とか……。
あの、私はだいたい
感動したり、感激したりする人間が
きらいなんですよ。
|
糸井
| (笑)感激したな、
そんな人がいるなんて!
|
タモリ
| あの、ぼくは
夢とロマンスが大きらいなんですよ。
わかりますか?
|
糸井
| (笑)はい。
|
タモリ
| なんでかっていうと、たとえば
ディープインパクトが勝ちまして、
インタビューで男が
「いやぁ! 感動したなぁ!」
って叫んでいるんですけど、
ちっとも感動しないんですよ。
|
糸井
| ディープインパクト本人は
感動してないですよね。
|
タモリ
| ええ、走ったってだけの話で。
なぜ、俺が、感動したりするのを
控えていたかと言いますと……。
|
中沢
| (笑)
|
糸井
| 控えていたんですか!
|
タモリ
| 控えてました!
感動する人間ていうのは、
だんだん
感動がなくなっていくと思うんです。
と、同時に感動している俺っていうのは、
人間的に素晴らしいだろうと……。
|
中沢
| (笑)あぁ。
|
タモリ
| そう言っているようなものなんですよ。
|
糸井
| アピールですね。
|
タモリ
| なんでもかんでも
「カワイイ」と言える女の子もそうです。
「カワイイ」と言える私がかわいいみたいな。
|
糸井
| うん。
|
タモリ
| でも、人類にも、
いつか感動できるようなときが
くるだろうと思うんです。
その日のために、俺は感動しないんだ。
|
糸井
| (笑)すごい!
「レストランに行くからごはん食べない」
みたいなことですね。
|
タモリ
| 「夢なんか語らねえんだ」と。
夢があるから絶望があるわけですから。
(明日に、つづきます)
|
|
2006-01-10-TUE
|