(これまでの「はじめての中沢新一」連載はこちらです)




第23回 興奮、なさってます?

タモリ 夢がなかったら
自殺者がだいぶ減ると思うんです。
あれは、夢のせいですよ。
糸井 だからがっかりするんだと。
中沢 行者さんも同じことを言ってました。
夢を見ない訓練を最後するんですよ。
「夢、よくないから」って言って……。
糸井 タモリさん、行者ですね。
タモリ 「Dreams Come True」というバンドは
とても好きなんですけれどもね……。
名前は……。
中沢 (笑)
糸井 ドリームは必ず、カム、トゥルーだと。
タモリ マスコミが努力すれば
ぜんぶ叶えられると言いますけど、
私は中学の時に短距離の選手に
なりたかったんですけれども
どんなに努力しても
世界記録は出せないと思うんですよ。
糸井 そうですね。残念ながらね。
タモリ やっぱり、中学の時に
勉強できない奴が
いっぱいいるんですけれども、
勉強できない奴にどんなに勉強さして、
尻を叩いても、先生方は
「みんな勉強する能力は同じだよ」と。

違うんですよ。
だから勉強できなくてもいいわけです。
糸井 そうですね。
タモリ 勉強ができなくてもいいのに
なぜさせるのかというと、
やっぱりその西欧の考え方ですからね。
資本主義という全体主義がありまして、
それがそうさせているんですね。
ぜんぶ行き詰まりがでてきているんです。
糸井 興奮、なさってます?
中沢 (笑)
タモリ 興奮してます。
糸井 (笑)めずらしく!
タモリ はい。
ですから、
あの、言いたいことは、
本当に感動することは
今から語られることだと。
糸井 あぁ! いいですねぇ!
ぼくは今、気圧されました。
中沢 なんかぼく感動しちゃった。
糸井 (笑)
タモリ 感動しちゃだめですよ。
糸井 ふだん低温体質な人が
こういうことを言うと
やっぱりびっくりしますね。
タモリ びっくりするでしょう。
私はいままで、
長い芸能生活のなかで
感動という言葉を
使ったことがないんです。

今からぼくは
感動することになると思うし、
とてつもなく難しいことだと思うけど
一応この現場にいるということで、
どなたも感動すると思うので、
ぜひとも、これから、
ほんとうに聞いていただきたいと……。
糸井 じゃあ、中沢くん、頼むね。
中沢 感動しました。
タモリ 新しいこと入れてくださいよ。
糸井 じゃ、去って行っていいのかな。
タモリ これで、おまかせすればいいのですね。
糸井 よろしくおねがいします。
中沢 ひとりぼっちで残されましたけれども、
感動を与えなくてはいけないらしくて。

じゃあ、はじめましょう。

こんなに
長い時間の講義というのも
ぼくは、
はじめてなものですから。

(明日に、つづきます)
 
2006-01-11-WED


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