「とめきち配達日記」(7)
旅する生茶 〜三重篇〜
行ってきましたよ!
今回の目的地は、安川教子さんが勤める
三重県一志郡にある会社、「(株)いせこ」です。
ひじきの粉末を製造している会社です。
ひじきの粉?
そもそも、ひじきってなんだ?
煮物とかで、よーく食べるんだけど、
ひじきがなんなのか、僕は知らないのだ。
6月14日(水)朝。
福岡の旅のレポートを夜なべして書いてたために、
またしても徹夜明けの留吉。
同じく、ほぼ日で徹夜していたスタッフの
ハリ耕作&ベイちゃんと一緒に、
山梨の桃園の方からいただいたぶどう酒を飲み、
ちょっといい気分です。
目の下ブラック、唇パープルな2人に見送られる中、
朝7時半、寝ず穴、いや、鼠穴を出発しました!
三重までは、名古屋まで新幹線で行って、
そこから在来線で紀伊半島を南に向かいます。
旅する生茶で、初めて新幹線での移動です。
駅のホームで自販機の詰めかえ中の販売員さんに
妙な親近感を感じつつ「ひかり号」に乗りました。
車窓を過ぎ行く景色も見ずに熟睡。
10時、名古屋駅に到着。
南に向かう列車に乗り換えたいんだけど、
急行は1時間に1本しかない。特急を使うしかないか。
10時50分、特急「南紀5号」で、目的地にまっしぐら!
煙突が立ち並ぶ工業地帯、四日市を抜けます。
視力が2.5に跳ね上がるんじゃないかというほどの、
あたり一面、はるか彼方まで、
稲の緑がきれいな水田地帯を走り抜けました。
いいとこだなぁ。
12時半、松阪駅に到着!
とりあえず、目的地の「(株)いせこ」に電話しました。
次のバスが来るまで30分も待つということで、
社員の田中英樹さんが、
わざわざ車で出迎えてくれました。
助かりました。
「はじめまして、田中です」
「ども、豆屋留吉です」
「実は僕、生茶が当たる自信あったんですわ!」
「な、なんでですか?」
「ウチのホームページの名前、
伊勢家こな吉商店、なんですわ!」
「……吉、しか同じじゃないですか!」
「直感ですわ! ほな行きましょか」
「……すごい凄い自信だなぁ」
車のなかで、田中さんが、
三重県の事についていろいろと教えてくれました。
「留吉さん、今日はイベント満載ですから。
今日に至るまで、何やったらおもろいか、
えらい考えましたわ」
「たのもしいかぎりですねぇ!」
「留吉さん、お昼まだですよね?」
「ええ」
「うちのカミさんの実家なんやけど、
めっちゃアサリ貝がうまいんですわ!」
「おお!」
「夜は夜で、本場の松阪牛食べましょ」
「僕、松阪牛、食べたことないですよ!」
「地元の人間がこっそり行く、安くてうまいとこでっせ」
「そんな、いいんですが!?」
「いいんですが、って、
留吉さん、興奮して、なまっとるがな!」
田中さん、ノリがいいんです。
言葉なのか文化なのか、
不思議とたのしい空気に包まれました。
東京は梅雨で雨なのに、
三重県は快晴の夏日和です。
暑い〜。
午後1時、ついに目的地に着きました!
「こんにちわ〜、生茶持って来ましたよ!」
すると、社長の小濱さんが登場。
「豆吉くん、遅いでえ〜。
お腹スキスキでっせえ〜! はよ行こ。
うちのひじき仲間も待ち疲れしとるわ〜!」
ひじき仲間???
「伊勢えび箱詰本舗(有)珍海堂」の水谷さん、
「(株)風味堂(黒ごまひじきおかき)」の田中さん、
「豊製菓(バームクーヘン)」の加藤さん、
「タキ産業株式会社(伊勢ひじき麩)」の滝野さん……、
いずれの方も、ひじきを使って
いろんな製品を作っていらっしゃる人です。
こんなに、いろいろな商品ができるなんて、
おそるべし、ひじき。
ひじき仲間のみなさんと一緒に、
五主海岸という伊勢湾の中央に位置する海岸に移動。
そこの浜茶屋でお昼を食べました。
お刺身盛に、アサリ貝の浜焼き、イカ焼き、アサリ御飯、
どれも近くの海でとれた新鮮な魚介類です。
「まあ、ビールでも飲みなさいよ」
「いただきます。
プハーッ、昼ビールだなんてサイコーですよ。
なんだか、竜宮城にでも来た気分です!」
「おっさんばっかりで悪かったな! はははは」
特においしかったのが大アサリの浜焼きです!
巨大なアサリの上に、マヨネーズと唐辛子がのってます。
大アサリの貝汁がジュワーっと、マヨネーズとからんで、
留吉をうならせる味です。
うまい、うますぎる!
「海に棒がいっぱい立ってますけど、あれは何ですか?」
「あれは、立て干し漁と言って、
立て竿を使って網を仕掛けておいて、潮が引くと
網に掛かってる魚がとれるんですわ」
「あのオバさんはカゴ持って海の中にいますけど、何を?」
「アサリなどの貝をとってるんです。
もうすぐこの辺は潮干狩りの客でいっぱいになりますよ」
伊勢の海を見ながら、ビール片手に海鮮料理、
素晴らしいランチタイムです。
会社に戻ると、今回の「旅する生茶」の企画に、
会社を代表して応募したという、安川さんがいました。
「ほぼ日のあみぐるみを見て作ったんです!」
「おお、よくできてますね」
「うちのキャラクター“こな吉”です」
社長の小濱さんに説明してもらいながら、
ひじき粉の工場を見学しました。
「そもそも、ひじきって何ですか?」
「え? ひじき、知らへんの?」
「ええ……よく、食卓には出ますが……」
「ひじきは、海藻ですよ。
鉄分、カルシウム、食物繊維が豊富なんですよ。
便秘が治ったり、宿便がよくとれるんですよ」
「宿便……?」
「お腹にたまった、うんこです。
ひじきは栄養補給もバッチリなんです。
こちらが、ひじきをある程度の粉末にする減圧釜です」
「ほほう……」
「次にこちらは、回転通気式ボールミルです。
細かいボールが筒の中に入っていて、
それが回転して、ひじきを粉砕します。
粉砕熱によって栄養成分を残しつつ、
乾燥したものが壊れないように工夫がしてあります。」
「こーなるのか……粉だけに」
「はははは」
ひじきを粉にする機械を見た後で、
この日はお休みだった会長さんの
アトリエも見せてもらいました。
ひじきの粉を水に溶かして、
和紙に塗って絵を描くんだそうです。
独特な色彩の墨絵がありました。
ひじきの粉で日本画が描けるとは……。
見学を終えて、みなさんと生茶を飲みました。
それから、少し離れた鳥羽という場所にある、
「海の博物館」に連れて行ってもらいました。
博物館の幹事をしている水谷さんが案内役です。
木造ドームの館内で、志摩半島の歴史や
海にまつわる道具などを見ることができました。
しまった、今回はすっかりお客さんじゃないか。
ま、いいか、せっかくだからいろいろ見ていこう。
5人家族がそのままスッポリ入りそうな大釜です。
昔はこの大釜で、ひじきなどを煮ていたそうです。
また、54隻の木造船が保管してある、日本でも最大級の
収蔵庫を、特別に覗かせてもらいました。
中に入ると蔵独特の臭いがしました。
「木造船を保存するために、
温度や湿度などを、常に一定に保ってるんですよ」
次に水谷さんのオススメ、海藻の押し葉を見ました。
「これ全部海藻ですか? きれいですね」
「押し花みたいなものですが、
きれいな枝のある海藻を探してきて、1本1本、
枝をピンセットで伸ばして、オモリで潰すんです」
「見た目よりずっと手間が、かかるんですね」
海の博物館をじっくり楽しんだ後は、
安くて、おいしいと地元で評判の松阪牛のお店、
焼肉ホルモン「一升びん」に直行!
海鮮ランチ、工場見学、博物館、そして松阪牛……、
こんないい目にあっていいのだろうか……。
昔ながらの店内には、
テーブルひとつひとつに炭火の鉢があります。
1人で焼肉を食べているお客さんもいます。
きっと松阪牛マニアだな。いや、そういうことじゃない。
いかん、このままじゃ、お客さんのままじゃないか。
あの、僕何かお手伝いしなくていいんでしょうか……。
「かんぱーい!」
「かんぱーい!」
みなさん、タン塩があまり焼けてないのに、
パクパク食べてます。大丈夫なのか……。
「レモン汁とかつけないんですか?」
「こんなもん、そのまま食べた方がうまいんやで!」
確かに! カルビにホルモン、うまい。
特に松阪牛のロースはうまい!!
「うまいやろ! 留吉君、焼酎の梅割飲むか?」
「はい!(グビグビッ……)
うえっ、ほぼストレートじゃないですか!」
「アホ! 三重の梅割いうたら、
焼酎のストレートに梅汁チョット垂らしただけじゃい!」
「……みなさん、お酒強いですね」
「お前も強くしたる! 飲め!」
「は、はい」
酔いました。
松阪牛の焼肉屋さんの後も、
2、3軒、飲み屋さんをはしごしたような気がします。
どれくらい飲んだのでしょうか。
カラオケでガッチャマンを熱唱したような……。
思い出せない。
田中さんの家に行ったような気もします。
意識をとりもどすと、
人の家のふとんの中でした。
明るい……泊ったのか……。
翌日になってました。
あっちで洗濯してるのは、きっと田中さんの奥さんだ。
「あの、おはようございます。……田中さんは?」
「もう、仕事に行きましたよ」
「え?」
「昨日の晩は、そうとう飲んだそうですね」
「覚えてません。 いてっ!!」
田中さんちの猫が、僕の足に噛みついてます。
近所の奥さんとよくお茶を飲むという
田中さんの奥さんに、
福岡で買ったおみやげの和菓子を渡しました。
1泊のお礼として、受け取ってください。
その後、1歳の娘さんと遊んでから、
僕は松坂駅に向かいました。
帰りも新幹線です。
午後4時、無事に鼠穴に帰り、今回の旅を終えました。
留吉、この旅でひじきの正体がわかりました。
そして、予定外の1泊でしたが、
初めて、招待してくれた人の家に
泊めてもらいました。
みなさん、生茶、飲んでくださいね。
ひじき粉のおみやげ、
ありがとうございました。
豆屋留吉
三重のおみやげ
鳥取でサッカーやってる桑村めぐみさん、
ひじき粉末(シェーカー付き)を
(株)いせこさんからいただきました。
鳥取に持って行きますよ。
水に溶かして飲んだり、料理の調味料にして下さい。
留吉は元バーテンダーです。
シェーカーふりふり、ひじきドリンクを
作ってさしあげましょう!
糸井さんへの三重のおみやげは、
“むめさん人形”です。
木彫りの手作り人形です。
鳥羽市管島で60年間、
海女をしてきた、すご腕の村松むめさんです!
いい笑顔してますよ。
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三重でお世話になった
田中英樹さんからのメール
こな吉より、留吉さまへ
生茶@留吉サイコー!! ありがとー!!
ほんとに楽しい時間を過ごすことができました。
そして、キリンビバレッジのみなさま、
美味しい「生茶」ありがとうございました。
今、いただきながら書いてます。
「伊勢家こな吉」の遠縁? ではありませんが、
豆屋留吉の名前にピンときて、
応募してほんとにヨカッタです。
留吉くんが来てくれるという当日まで、
今までのレポートを読み進むうちに、留吉くんのことが、
「まだ会ったことないのに、よく知っている人」となり、
当日は、久しぶりに再開した友人と話すかのように、
楽しませてもらいました。
これも、留吉くんのキャラですかね。
まじめな留吉くんは当社へ到着するなり、
アップされたばかりの生茶レポートを
「ほぼ日」でチェックしてましたが、
私はその日「ほぼ日」を読めなかったことが残念です。
(深夜まで飲んだくれたからね)。
「生茶の旅」前半を終え、
折り返し地点の三重県へ徹夜明けでやって来てくれて、
話したいことや、見せたいものが
た〜くさんあったのですが……結局、
打ち上げでヘヴィな梅割まで飲ませてしまって盛り上がり、
気づいた時には「ガッチャマン」熱唱!!
さんざん歌いまくり、私の家で爆睡!!
となっちゃいましたね。
あっという間に楽しい一日は過ぎ、
翌日私はヘロヘロでしたが、留吉くんは、
すっかりリフレッシュしたようで、よかったです。
(ウチのネコが噛みついて……ゴメン)。
そして、当店へのご来店、
ご注文も確実にアップしております。
「留吉効果」絶大ですぞー!!
「ひじきとは何ぞやっ?」というテーマについては、
それほどじっくり話してない気がしますが……でも、
いいじゃないっ!!
三重県での「ヘロヘロレポート」楽しみにしてます!!
てなことで……、
まだまだ続く「留吉くんの遥かなる旅」が、
今後も波乱万丈であることを願いつつ、
お礼のメールとさせていただきます。
またゆっくり遊びに来てください。
(んまーい肉くおーぜっ!!)
最後になりましたが、darling さま、はじめ
「ほぼ日」スタッフの皆様へは、
カラダに美味しいお土産を送らせていただきました。
皆様でお召し上がりください。
この度は、ホントにありがとうございました。
「伊勢家こな吉商店」田中英樹
http://www.rakuten.co.jp/iseko/
株式会社 いせこ
http://www.iseko.com/
田中さん、感想のメールありがとございました。
梅割はもうこりごりです!
また松坂牛のロース、食べに行きます!
猫のしつけちゃんとして下さい。
豆屋留吉
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おこづかい帳
くりこし ¥389.090
6月14日(水)
午前 ¥1700 タクシー(鼠穴→東京駅)
¥11330 新幹線などのきっぷ(東京駅→松坂駅)
腹ペコキングソーセージロール
サプリ
¥500 週刊少年マガジン(キヨスク)
午後 ¥2500 海女のむめさん
(海の博物館・ミュージアムショップ)
¥280 マルボロライト
6月15日(木)
午前 ¥1030 タクシー(田中さん宅→松坂駅)
¥11300 新幹線などのきっぷ(松坂駅→東京駅)
スポーツ新聞
¥400 マルボロライト(キヨスク)
午後 ¥1860 タクシー(東京駅→鼠穴)
合計 ¥30.900
残り ¥358.190
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「旅する生茶」旅の予定
やっつめの旅は
6月19日(月)北海道
北海道札幌市の高田光季子さんに生茶をお届けします。
劇団「フルーツバスケット」に参加してきます!
留吉は「北の国から」が大好きです!
富良野に行って、傷ついた北キツネを助けて、
長者どんになります!
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