気づけば、ほぼ日の連ドラチェックに
8年以上も出てくださっている
脚本家の森下佳子さんが、
なんと、ついに、いよいよ、満を持して、
大河ドラマの脚本を担当することに!
2017年の大河ドラマ、タイトルは
『おんな城主 直虎』です!
これはもう、全力で応援せねば!
ということで、漫画家の荒井清和先生と
ほぼ日の超弩級テレビッ子あややが、
『おんな城主 直虎』の撮影現場を
見学してきましたよー。
テレビッ子の憧れ、NHKのスタジオで
あややは冷静でいられたのか?
いえ、いられませんでした。無理でした。
舞い上がるあややと冷静な荒井先生、
そして森下佳子さん当人による、
『おんな城主 直虎』レポート、
全3回の年末緊急連載です!
新しい連ドラがスタートする頃、
歩みを合わせるかのようにスタートするのが
この「連ドラチェック」シリーズです!
‥‥って、あかんやろ。遅いやろ。
はじまる前にスタートしろっちゅう話や。
ああ、すみません、編集者の作業が遅くて。
それはさておき、お待たせしました!
ほぼ日刊イトイ新聞が誇る、
超弩級テレビッ子、あややが
脚本家、森下佳子さんと
マンガ家、荒井清和さんといっしょに
今クールの連続ドラマについて
たっぷりこってりまったり語ります。
語ったのはドラマがはじまる前ですから
願望、予想、妄想などが交錯しますが、
脱線上等の心持ちでのんびりと
たのしんでいただければと思います。
進行は、テレビドラマについての造詣が
まったく深くならない
「ほぼ日」の永田が担当します。
味わい深いイラストと、魂の漫画は、
「沼のハナヨメ」
でお馴染み、
「気仙沼のほぼ日」のサユミが描きます。
じゃ、はじまりますよー!
ほぼ日刊イトイ新聞随一のテレビッ子。
どんなに忙しくても
録画したドラマは必ずチェック。
毎週発表される
視聴率なども無意味に把握。
幼少期から蓄積された
テレビの知識は無尽蔵。
漫画家・イラストレーター。
ほぼ日刊イトイ新聞にて
『TVウォッチャーの逆襲』を
超不定期連載中。
「写真より似てる」という
高品質な似顔絵には定評が。
ドラマ、スポーツ、
バラエティー番組などが好き。
脚本家。『JIN-仁-』
『世界の中心で、愛をさけぶ』
『白夜行』『天皇の料理番』など
名作ドラマを生みだす。
NHK朝ドラ『ごちそうさん』で
向田邦子賞を受賞。
大河ドラマ『直虎 おんな城主』は
1月8日スタート。
第1回
撮影を見学し、思わぬ遭遇をし、
なぜか、台本を読み合わせる。
2016-12-29-THU
第2回
イケメンたち、おさえてます。
そして大女優から国民的美少女まで。
2016-12-30-FRI
第3回
派手で活劇的要素満載?
森下さんの心の中に住むものは。
2016-12-31-SAT
──
はい‥‥それでは、はじめましょうか。
あやや
私たちはいま! NHKにいます!!
N・H・K! えぬ・えいち・けー!
──
声が大きいって。
荒井
正確に言うと、NHKの食堂にいます。
あやや
テレビ局の、あのNHKの、食堂ですよ!
スターのみなさんが食べに来ることだって
ありえるわけですよ!
森下
落ち着け、落ち着け。
あやや
はぁ、なんか、すごいですね、
いやいやいや、おつかれさまでした。
森下
おつかれさまでした。
荒井
おつかれさまでした。
──
なんの「おつかれさまでした」なのかというと、
私たちは、本日、渋谷にあるNHKにおじゃまし、
森下佳子さんが脚本を担当する
2017年の大河ドラマ、『おんな城主 直虎』の
撮影を見学させてもらったところなのです。
あやや
はーーー、すっごかったー。
もうね、やばいね、
興奮、さめやらんなんらいらいね。
──
日本語、おかしい。
森下
取材していただいて、
ありがとうございました。
あやや
いやいやいやいや!
なんの、なんの!
──
大きいから、声が。
荒井
大河ドラマの撮影現場を
見学させていただくという貴重な機会を、
こちらこそありがとうございます。
あやや
いや、ほんと、おもしろかった。
いろいろ言うより、写真をお見せしましょう。
うちのみっちゃんが撮影した
撮影現場を、見せられる範囲で、
何枚かお見せします!
『おんな城主 直虎』は現在、
こんな感じで撮影されてます。どうぞ!!
あやや
‥‥と、いうわけなんですよ!
──
ひとりで何を言ってるんだ。
あやや
のちにページになったときのことを
考えたうえでのおしゃべりですよ。
いやー、しかし、興奮しましたね!
大河ドラマが撮影されてましたよ。
見ましたか、あのリアルなセット!
荒井
スタジオの中に民家が
そのままふつうにありましたねー。
森下
でも、今日見ていただいたのは
大河のセットとしては
かなり小さいほうだったんですよ。
あやや
そうなんだーーー。
でも、すごかったですよ。
庭とか、ふつうに庭でしたよ。
荒井
そうそう。
森下
もっと動きのある回だと、
セットも人の数もぜんぜん変わってきます。
荒井
いま、脚本のほうは
何話くらいまで進んでいるんですか。
森下
完全に台本になっているのが
20話くらいまでですね。
直しているのも含めると、25話くらいまで。
あやや
え、それは、早いんじゃないですか?
森下
うん、早いと言われている。
あやや
超早すぎません?
森下
と言われているけど、わからない。
あやや
私にはわかります!
それは早いです! 超早いです!
荒井
放送前に脚本が半分できているというのは
とても早いんじゃないでしょうか。
森下
まあ、早めにあげようとはしています。
というのも、大河ドラマとかの
大がかりな時代もののドラマって、
どうしても準備が必要なので、
脚本が先にあがっているほうが、
撮影の自由度が上がるんですよ。
あやや
あーー、なるほど、なるほど。
森下
私はどちらかというと、
主人公とか登場する人たちを、
外とか、いろんな場所に出してあげたいので、
そのためには脚本を早くあげないと。
あやや
‥‥鏡ですね、脚本家の。
森下
脚本界の吉野家とは私のことです(ドヤ)。
あやや
永田さんも見習ってください!
連ドラチェック座談会の編集をもっと早く!
──
ひゃああ、すみません。
荒井
はははは。
あやや
荒井先生も笑ってる場合じゃない!
原稿のチェックが遅い!
荒井
うわ、すっ、すみません!
──
どさくさに紛れてゲストの方を
叱りつけるんじゃありません。
あやや
さあ、それじゃ、
『おんな城主 直虎』のことを
語っていきたいと思いますけど、
(いただいた紙資料を見つつ)
わー、かわいい!
やっぱり、つい、柴咲コウさんに
目が行ってしまいますねーー。
森下
かわいいですよねー。
──
見学させていただいた今日の撮影では、
柴咲さんの出番はなかったのですが‥‥
なんと! 楽屋口で、遭遇しましたね。
あやや
遭遇しました!
通路の端からひょいと現れた柴咲コウさん!
もう、こんなでしたよ、顔。
こんなでしたよ、顔。
(コーヒーカップを指さしている)
──
‥‥顔の大きさが、
コーヒーカップの直径ほどだった、と。
あやや
コーヒーカップですよ。
でも、ほんとに、こんなでしたよ。
だって、ほら、ここに
髪の毛がこうあるわけじゃん。
(コーヒーカップのまわりに
髪がついているイメージを表現)
──
なんぼなんでもちっちゃすぎるわ。
荒井
コーヒーカップよりはデカいです。
あやや
コーヒーカップよりデカかった?
森下
でも、このくらいともいえる。
(コーヒーカップを指さしている)
──
森下さんまで。
荒井
(コーヒーカップを見つめながら)
‥‥でも、言われてみれば、
このくらいだったような気もしてきた。
──
ひぃ、みんな、しっかりしてくれ。
たしかに柴咲コウさんの顔は
たいへん小さかったけれども!
あやや
楽屋口で会った柴咲コウさんを
撮影するわけにはいかなかったのですが、
こんなこともあろうかと
私たちは準備していました。
‥‥サユミ!
(「サスケ!」と呼ぶ調子で)
サユミ
はっ。描いておきます。さらさらさら。
──
サンキュ−、サユミちゃん。
あやや
はーー、しかし、かわいかった、柴咲さん‥‥。
森下
余韻(笑)。
あやや
でも、ああいう人を直にお見かけすると、
つくづく思うんですけど、
学校にあんな人、いないじゃないですか。
かわいい子って学年に何人かはいますけど、
あそこまでかわいくて、顔ちっちゃくて、
っていう人はいないじゃないですか。
でも、芸能界にはいるわけですよ、
痩せてて顔ちっちゃくてかわいい人が。
じゃあ、もう、いろいろ、
あきらめるしかないじゃないですか!
荒井
なにを言ってるんだ(笑)。
──
なにを言ってるんだ。
森下
でも、枠はいろいろあるからね。
「顔ちっちゃくてかわいい枠」は
あきらめるしかないけど、
「おもしろ枠」とか、「ふつう枠」とか。
あやや
「ふつう枠」!
「おもしろ枠」とかは考えたことあるけど、
「ふつう枠」は考えたことなかった!
さすが、森下さん!
森下
だってさー、ああいうかわいさはさ、
もう、骨格からでしょ。
あやや
そうそうそうそう、骨格から無理ですよ!
森下
無理無理無理。
荒井
選ばれし者なんですよ。
あやや
そーそーそーそー!
森下
私、常々思うんですけどね、
美しい芸能界の方は「盆栽」なのです。
自然に生えてる木ではないのです。
あやや
はーーー、名言!
もちろん、整形してるとかじゃなくてね。
森下
違います、違います。
もともとの美と努力がかけ合わされている、
類い希なる美しい盆栽なのです。
あやや
そして、芸能界にきらめく盆栽のなかでも、
柴咲コウさんはほんとにかわいいですよね。
森下
ほんとにかわいいです。
もうバランスがほとんど二次元です。
そうとうきれいだと思う。
荒井
柴咲さんって、
NHKのドラマに出るのははじめてですか?
森下
そうです。
荒井
森下さんの作品にも出るのも
はじめてじゃないですか?
森下
あ、はじめてですね。
じつはニアミスはあって、
『白夜行』と『世界の中心で、愛を叫ぶ』で
主題歌をうたっていただいたんですよ。
あやや
あー、そうだ、そうだ、
♪もーしーもあなーたーがぁぁぁああーー。
──
あやちゃん、ここ、食堂だから。
あやや
柴咲コウさんって、歌もうまいからね。
森下
そうそうそう。
あやや
たのしみですよ、柴咲さんの演じる「直虎」。
──
柴咲コウさんが演じる主人公の
「井伊直虎」は、記録や資料が
史実にあんまり残ってないと聞きました。
森下
ないんですよ。
ポイント、ポイントは残ってるんですけど、
それぞれの間がどうなってるかはわからない。
荒井
つまり、その過程はけっこうオリジナル。
森下
そうですね。
荒井
井伊直虎が出てくる小説とかはないんですか?
森下
一応あります。
これからは増えるのかもしれないですけど、
私が書きはじめる前に2冊出ていて、
1冊は史実に寄ったもので、
1冊はちょっとSFテイストなもの。
荒井
2冊しかないともいえますね。
森下
だから、やっぱり、
歴史的に有名な場面をどう書いていくか、
というよりも、自分なりに
考えて書いていくことになりますね。
──
そのようにして、
森下さんが書いた脚本が、
いま、ここにこうして、
「台本」という形であるわけですが‥‥。
荒井
おーーー。
あやや
きゃーーー。
──
さきほどプロデューサーの岡本さんが
刷り上がったばかりの台本を
持ってきてくださいました。
森下
まだ仮台本なので、直しますけど。
あやや
ドラマファンからすると、
もう、これは神聖なものですよ。
「失われたアーク」ですよ。
「レイダース」ですよ。
でっかい球がゴロゴロ転がってきますよ。
──
転がってこないから。
あやや
あの、すみません‥‥開いていいですか?
森下
どうぞどうぞ。
あやや
はぁ‥‥‥‥
あの、すみません‥‥憶えていいですか?
森下
は?
──
ああ、ごめんなさい、
あやちゃんは、ある分野については
記憶力が異常なんです。
トランプの神経衰弱とか、無敵なんです。
荒井
そういや、そういう設定ありましたね。
森下
設定(笑)。
あやや
(すごい集中力でページを凝視)
‥‥ぁぁあああ、ダメだ!
舞い上がってて頭に入らない!
──
もっとふつうに取材しよう、あやちゃん。
あやや
‥‥すみません、森下さん。
森下
はい。
あやや
私の夢をひとつ、かなえてくれませんか?
森下
なにごと。
あやや
私、「読み合わせ」がしたい!
──
あやちゃん、もっと、ふつうに取材を。
荒井
ははははは。
森下
いいですよ。
──
いいのか!
あやや
いいいいいんですか!
じゃじゃじゃじゃじゃ、お願いします!
この人の役を森下さんが、私が直虎を!
‥‥じゃあ、お願いします。
森下
「そりゃー、空に雲があったからでさぁ」
──
演るんだ。
荒井
演るんだ。
森下
「こりゃもう、仕方ねえ」
‥‥はい、どうぞ。
あやや
「なんじゃ、それは‥‥」
森下
ここで、周囲の笑い声が入る。
荒井
ト書きだ。
──
ト書きだ。
森下
そして、あらためて、直虎。
はい、どうぞ。
あやや
「なんじゃーー、それはー!」
森下
はい、オッケー。
あやや
きゃああ、たのしい!
読み合わせ、たのしいいいいい!
荒井
食堂でなにをしてるんですか(笑)。
──
森下さんが応じるとは思わなかった。
森下
嫌いじゃないです。
こないだは娘と延々
「ブルータス」に載ってた漫才、
読み合わせてしまった(笑)。
あやや
はーー、たのしい。台本、最高。
あの、これは、森下さんが書いたそのままが、
こうして印刷されているわけですか?
森下
基本的にはそうです。
あやや
森下さんって、
こういうソフト持ってるんですか?
縦書きのソフト。
森下
縦書きのソフト?
荒井
縦書きのソフト? そこ?
──
そこ?
あやや
横書きで打ってるんですか?
荒井
そこ?
──
そこ?
森下
いや、あの、ふつうに
みなさんが使ってるWordとかです。
あやや
いや、なんていうか、
脚本家御用達のソフトがあるのかと思って。
こう、ト書きが特殊なフォントで入る、
みたいな‥‥。
──
わかったから。
気になるのはわかったから、
もっとこう、撮影現場で、
大河ドラマの脚本家に直で取材している
ということを自覚して。
あやや
はい、そうですね。
あの、森下さん、この台本、
すごく長いですけど、
Wordで何ページぐらいですか?
荒井
そこ(笑)!
──
Wordの話はもういいから!
森下
この回はちょっと長くて、
Wordで27、8ページくらいですかねぇ‥‥。
──
森下さん、真面目に答えなくても。
あやや
はーー、すごいですねー。
ほんと、心から尊敬します。
私、『JIN-仁-』の、森下さんの脚本が
そのまま本になったものを読んだんですけど、
ドラマ観てぜんぶ知ってるのに、
脚本だけ読んでまた泣きましたから。
森下
優しい視聴者だ。
あやや
いや、だから、こうして
ほんものの台本を目の前にすると、
ここからドラマができていくんだなぁ。
すっごいなぁーー、と。
森下
いやいや、これが仕事だから(笑)。
それ、漫画家の方に
「マンガ描けるのすごいですね」
って言うのと同じだから。
──
ってことは、やっぱりすごいですよ。
あやや
すごいですよ。
荒井
すごいですねぇ。
森下
そうだね。すごいねぇ(笑)。
あやや
まさに、あの、あれだ、
こういうの‥‥なんていうんだっけ?
ギョッコー?
──
ギョッコー?
あやや
あの、編集者とかが、
「いただきました」とか言うやつ。
荒井
「玉稿」ですね。
あやや
玉稿、玉稿!
森下
玉稿じゃないよー(笑)。
これから何回も直すんだし。
──
もうちょっとふつうの取材を‥‥。
(つ、つづきます‥‥)
2016-12-29-THU