ほぼにちわ。です。
みなさんは、
荒井良二さんという絵本作家をご存知でしょうか?
代表作品に、
『たいようオルガン』や
『うちゅうたまご』などがあります。
「ほぼ日」では、
「あたまのなかにある公園。」という本の
装画をお願いしました。
こちらの本は、糸井重里が1年のうちに
「ほぼ日」に書いた文章のなかから、
印象にのこる言葉をぬきだして、編集されている
「小さいことば」と呼ばれるシリーズの4冊目です。
そして、その書籍出版にあわせて、
糸井重里と対談もしていただいただきました。
このときの対談で、
荒井良二さんが絵本・「さよならペンギン」を
話題に取り上げてくださったおかげで、
絶版になっていた「さよならペンギン」を
再出版することになった、という経緯もあるんです。
今回、そんなご縁の深い荒井良二さんから
糸井重里に
「『ホソミチくん』という
マンガ本を出版することになったので、
『帯』をお願いできませんか?」
という依頼がやってきたのです。
糸井はもちろん二つ返事でそれをひきうけました。
なんでもこのマンガは、
いまは廃刊になってしまっている「生本」という雑誌で、
5年間連載していたものをまとめたものだとか。
主人公「ホソミチくん」が暑い街、広い大地、坂の多い町など
さまざまな場所を「さすらう」というお話です。
せっかくの機会ですから、
荒井さんのアトリエにおしかけまして、
『ホソミチくん』について聞いてきました。
『ホソミチくん』はマンガ、のようなもの。
荒井良二
これ、マンガを描こう! と決めて
積極的に取り組んだわけじゃなくてね。
そもそもは「何か描いて」っていう依頼だったの。
で、何ページでもいいって言われて。
4ページでも6ページでも8ページでもいい、
文章書いてもいいし、絵でもいいしって。
で、マンガ描いてみようかなと思って。
理由は、描いたことなかったから(笑)。
だから、月に1回の連載とはいえ、
そんなに長く続くのかなーと思ってた。
でも、まぁ、こんなこと言っちゃなんだけど、
みんながこぞって読むような
大々的な連載でもないし(笑)、
だから、のびのびやれそうだなと思って。
いちおう、これでも、
小学校6年生のときの卒業文集には、
「マンガ家になる」って書いてたからさ(笑)
で、毎月1回、毎回一発で描いてたの。
ストーリーも下書きもなにもなく、一発で描く。
描いたものは、消さないって決めて。
だから、「ホソミチくん」の顔も、
線の太さなんかも、微妙に違ったりするの。
それも含めて、ライブ感のようなものを
楽しんでたっていう感じかもしれない。
なんにも決めずに描くのは、
ぜんぜん難しいことじゃないです。
とくに、最初の半分くらいを描くのは簡単。
でも、後半は、たいへん。
終わらせなきゃいけないから。
いや、最初からオチなんて
なくていいって言われてたし、
当たり前におもしろそうなオチなんて
思いついても描かないようにしてたんだけど。
でも、なんていうか、読んでる人が、
なんか終わるんだろうなっていうふうには
もっていかなきゃなんないじゃないですか。
そのあたりが、ちょっとたいへん。
わかりやすいオチは、
何通りか見えるんですよ、やってると。
10人中、8人くらいには伝わるなっていうオチが。
でも、それ、選ばないんだよね、わざと。
だから、メジャーになんないんだと思うけど(笑)。
なんていうか、「思いつき」っていうものに
あんまり興味がないんですよね。
なにか思いついたとしてもね、
「これ、おれ、世界で何番目くらいに
思いついたんだろうな」って思うもの。
「たぶん、6億番目くらいかな」って。
だから、「思いつき」でやってるとね、
次に進めなくなってしまうというかね、
「どうやったら思いつくんだろう?」
みたいなことばっかり考え出しちゃうから。
最後は、お祈りしたりとかさ(笑)。
そういうことしてる場合じゃないと思うから、
もう、手を動かしちゃう。
これ、最後はどうするんだろうなあって言いながら、
もう、描いちゃう。
そのへんが自分でもちょっとおもしろいかな。
そういうものをマンガって呼べるのかっていうと
疑問なんだけどね(笑)。
ほら、とくに日本はマンガのレベルが高いから、
口が裂けてもマンガとは言えないんだけど。
まぁ、形態としては、マンガっぽいけど、
やっぱりこれはマンガじゃないよね。
スタイルとしてはマンガかもしれないけど、
考え方としては、多分に絵本的だと思うし。
だから、いわゆるマンガというものに
挑戦しているわけでもないし、
むしろ、「これ、マンガなの?」っていう感じの
感想をもらえるようなものでよくて。
なんで『ホソミチくん』なのかっていうのも
ほんと、よくわかんなくてね(笑)。
たぶん、俺、俳句をいつか習いたいって
思っていた時期があって、
でも、ちゃんと習うことからは逃げてたの。
そういう、近づきたいけど近づきたくないものに、
こういうかたちで少しでも
寄っていきたかったのかな。
で、『奥の細道』の、パロディ‥‥いや、
パロディにもぜんぜんなってないんだけどね(笑)。
どこかで、この主人公が一句、
俳句を詠むんだろうなと思いながら描いてたんだけど、
けっきょく、一句も詠んでないんだよ(笑)。
そういう、「‥‥のようなもの」が、
やっぱり、自分は好きみたい。
マンガのようなものだったり、
俳句のようなものだったり‥‥。
逆に、そのへんが説得力のないところ
なんだろうなと思うけどね(笑)。
ホソミチくん 荒井 良二 (著) 価格: ¥ 1,365 出版社: イーストプレス (2011/07) ISBN-10: 4781606326 |
荒井さんご自身がおっしゃっているように、
わかりやすいオチがあったり、
物語がびゅんびゅん進んでいくマンガではないのですが、
しみじみとしていて、とても良いです。
もうすぐやってくる秋の夜長にいいんじゃないかなあと思いますよ〜。
ぜひ、書店などでお手にとってみてくださいませ。
最後に、その荒井良二さん12月には、
久しぶりに自作の絵本を出版の予定だそうですが、
その他、本業の絵本作家というワクを飛び越えて
様々な活動もされています。
そちらも、ちょっとご紹介させていただきましょう。
CDをリリース。
「荒井良二と連絡船」というバンドでボーカルを担当。
世田谷文学館などで、ライブ活動をしていましたが、
この4月にCDを発売されたそうです。
『どこから どこまで いつ どうやって』
荒井良二と連絡船
(CD+DVDセット)2500円
『どこから どこまで いつ どうやって1000部限定BOX』
(CD+DVD+ライヴペインティング原画1/1000ピー
ス他、直筆サインとシリアルナンバー入り)7500円
こちら、CDとDVDがセットになっています。
DVDでは、荒井さんのライブペインティングの様子が
ご覧いただけます。
ご購入はこちらから。
9月10日には、”荒井良二+PIKA☆”で
『JAZZ ART せんがわ2011』にも出演予定です。
演奏も歌ももちろんいいのですが、
荒井良二さんのMCは最高です。
お時間がある方は、ぜひ!
東北でのワークショップ
「荒井良二とふらっぐしっぷ」
東日本大震災で被災した宮城県沿岸の4つの街を訪問、
出会った人の言葉と声をもとにして、
荒井さんが、即興で絵を描いていくワークショップです。
描かれた絵は、旗に仕立てられて、
「ふらっぐしっぷ」キャラバンが進む、
塩釜→多賀城→七ヶ浜→仙台の街の商店街や図書館、
小児病院や仮設住宅などに掲げられます。
現在、塩釜、多賀城までキャラバンが
進みました。
これまでのワークショップは、
非公開でおこなわれたのですが、
いちばん最後の仙台での
ワークショップ(9/19 13:30〜)は、
一般にも公開されます。
会場は「せんだい演劇工房10-BOX」となります。
ご興味があるかたは、ぜひお越しください。
お問い合わせ:
東北芸術工科大学(広報室:須藤知美)
tel; 023-627-2218(受付時間:平日9:00〜17:00)
e-mail; y-gakusha@aga.tuad.ac.jp
それでは、また!