こんにちは、「ほぼ日」の奥野です。
先日、ちょっとお報せしたんですけど
「3万2千年前」の壁画を持つ
フランスの「ショーヴェ洞窟」を撮った映画が
3月3日(土)から
「3週間限定」で公開されています。
『世界最古の洞窟壁画
3D
忘れられた夢の記憶』
という、長い名前のドキュメンタリー映画です。
(上映館などくわしい情報は
公式ホームページをごらんください)
この映画の舞台である「ショーヴェ洞窟」は
世界中の古い壁画を撮ってきた
写真家・石川直樹さんが
「撮りたくて、しょうがなかった」場所。
約2万年前に入り口が大きな岩で塞がれて以来、
2万年間、誰にも気づかれることなく、
まさに「タイムカプセル」みたいな状態で
1994年に発見されました。
石川さんは、わざわざ現地まで行って
フランス政府に撮影の申請までしたそうですが、
残念ながら、希望は叶いませんでした。
というのも、このショーヴェ洞窟って
極少数の研究者以外、
何人(なんぴと)たりとも、立入禁止なのです。
その理由は、他の有名な洞窟の壁画が
観光客の吐く息や汗で劣化してしまったという
出来事があったから。
でも、およそ1万5千年前に描かれた
有名なラスコーの洞窟壁画が
それまでの「最古」とされてきたわけですから
その古さの記録(?)を
一気に「倍以上」も更新してしまったんです。
古代の壁画に魅せられ、世界中で壁画を撮影し、
壁画を集めた写真集(『NEW DIMENSION』)をつくり、
のみならず
「現代の壁画」とも言える「グラフィティ」なども
じつは撮っていたりする
「無類の壁画好き」の石川直樹さんでなくとも、
これは、見てみたい。
ということで
最終の試写会(上映後に石川さんのトークつき)に
行ってきました。
映画は、3Dメガネを掛けて観る「3D映画」です。
画面が立体的に見えることで
立ち入り厳禁の洞窟内部に「いる」感じがして、
ゾワゾワとした臨場感を感じます。
でも、映画の上映後に
石川さんが、石川さんしか気づかない視点から、
この映画が「3D」であることの「意義」を
語ってくださいました。
「洞窟の壁画というのは
壁の凹凸を利用して絵を描いているんです。
ぼくの撮るスチール写真は、
二次元ですから
そのあたりを表現することができません。
でも、この映画は
洞窟の内部を、立体的に再現してくれる。
そのことが、素晴らしいんです」
なるほど。
洞窟の発見から、今回カメラが入るまでに
20年近くかかりましたが
「その甲斐はあった」ということですね。
2万年ものあいだ「閉じ込められていた」
洞窟の内部の映像は
何とも表現のしようがないのですが
ともかく美しくて、キラキラ光ってたりして
「わぁー‥‥」という感じ。
正確に数字を覚えていないのですが
「壁画」の上に
「動物の爪の引っかき傷」がついていて
その間に「数千年」の開きがあったり。
決められた通路以外に
決して足を踏み出すことができないため、
「映画」の画面に
撮影スタッフが映り込んでいるのも
おもしろかったです。
また、石川さんと港千尋さんの上映後トークでは
「洞窟」というのは
「子どもが発見することが多い」という
話題も出ました。
ラスコーの洞窟もしかり、なんですが、
わんぱくたちが探検ごっこなどをしていて、
「偶然に見つける」んですって。
ショーヴェ洞窟のなかには
「子どもの足跡」も発見されているし、
「子どもと洞窟」って
なんだか、おもしろいなと思いました。
なお、この映画を撮ったのは、
ヴェルナー・ヘルツォークという監督ですが、
石川さん、
この監督さんも「大好き」なんだそう。
なので、この日の石川直樹さんは
「大好物のダブルパンチ」で
とっても嬉しそうに、お話をしていました。
みなさんも、ご興味おありでしたら、
劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。