さあ、ラグビーW杯の準決勝だ!
「にわかのミカタ」でたのしもう。
2019-10-26
こんにちは、ほぼ日のラグビー担当ひらのです。
ラグビーワールドカップ2019日本大会、
ラグビー日本代表は惜しくも準々決勝で
勝利をおさめることはできませんでしたが、
それでも史上初のベスト8!
代表選手のみなさま、おめでとうございます。
たのしませていただき、ありがとうございました。
何度倒されてもすぐに起き上がり、
強大な相手に立ち向かっていく選手たちの姿に、
世界中のラグビーファンが感動しました。
日本では初めての自国開催ということもあり、
一試合ごとに強くなっていく日本を応援するために、
多くの人が祈り、声を枯らし、涙して、
たくさんの「にわかファン」を生み出した
忘れられない大会となりました。
まだ、大会は終わっていません。
終わっていいはずがありません。
これから準決勝、決勝、3位決定戦が
ぼくたちをたのしませてくれます。
世界最強を決めるための戦いが
4試合も残されているんですから、
どの試合もしびれる展開が待っているはずです。
これまでは日本が勝てるように
応援していた方が多かったと思いますが、
日本だけを応援してきた人にとって、
準決勝からは、試合がはじまる前からノーサイド。
どっちもがんばれ、いい試合を見せてよね、
とおおらかな気持ちで試合をたのしめそうです。
この大会、最後までぜひ応援していきましょう。
さて、今日のほぼ日ニュースでは、
丸の内15丁目プロジェクトでのトークイベント
MARUNOUCHI RUGBY PARK
「にわかのミカタ講座」のようすをお届けします。
このトークイベントは先週末の10月19日、
準々決勝の直前におこなわれたもので、
日本と南アフリカの試合が開催前の話です。
なので、準々決勝のたのしみ方については
省略させていただきますが、
これからのトーナメントがたのしみになったり、
大会後のラグビー観戦が
もっとたのしめそうな考え方が詰まっています。
「ほぼ日」のラグビーコンテンツに
これまで何回もご登場いただいた中竹竜二さん、
丸の内15丁目プロジェクトのムービー
「BY THE RUGBY」の映像ディレクター中村裕さん、
そして我らのにわかラグビーファン糸井重里が
これまでのにわかファン活動を振り返ります。
司会進行は、アナウンサーの渡辺真理さんです。
編集してみたら長くなってしまったのですが、
準決勝、決勝がたのしみになるような内容です。
このトークの最後には、
「にわかラグビーファン観戦グッズ」にかかわる
お知らせもありますよ。
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渡辺
こんにちは。
本日は「ニワカのミカタ」講座に
お越しいただきありがとうございました。
渡辺真理と申します。
最近、ラグビーのおもしろさに目覚めたという
にわかファンのみなさまを対象に
細かいルールなどの知識がなくてもたのしめる
ラグビーの見方をお伝えするスペシャル企画です。
ほぼ日で、ラグビーのコンテンツを発信なさって、
「RUGBY NIWAKA DE GOMEN」
と書かれたグッズも販売しています。
糸井さんが「NIWAKA DE GOMEN」の
生みの親ということでいいですよね?
糸井
そうなりますね。
ちょっとフランス語みたいに
「ニワカ・ドゥ・ゴメェーン?」
と読んでもらってもいいです。
渡辺
「ニワカ・ドゥ・ゴメェ〜ン?」
あはは、フランス語ですね。
ラグビーはイングランド発祥ですよね?
糸井
んなこたぁどうでもいいんです。
渡辺
ですよね、そう言われると思いました。
糸井さんは、にわかファンなんですよね?
糸井
ぼくはもう、超・超にわかです。
ぼくがラグビーに興味を持った頃、
「にわか」っていうことばそのものが
「バカ」っていうことばと
同じような意味を持っていたんですよ。
もともとラグビーを好きだった人に
「この間のあの試合おもしろかったよね」
と話しかけたとしても、
「お前、にわかだろ?」と蔑まれる。
「にわか」って、そんなことばだったんですよ。
それまでぼくが知っていたラグビー好きは
わりとエリート意識の高い人が多くて、
ちょっとお高くとまっている感じでした。
でも、スポーツにしても何にしても、
にわかの人がいないとおもしろくなりません。
にわかの人たちを大事にできるような
文化風土を作りたいなというのが最初の考えです。
2015年に南アフリカに勝っちゃった試合を
夜中にテレビでたまたま観ていて、
「うーわっ、おもしろいっ!」と思ったときの、
にわかどころじゃない、
何も知らない人として感じたことなんです。
渡辺
それが中竹さんと出会って変わった、と。
日本ラグビーフットボール協会の
コーチングディレクターで、
糸井さんを「にわかラグビーファン」に変えた
中竹竜二さんです。
中竹さんはU20日本代表監督も務められていますが、
ベスト8進出を決めたいま、
どんな心境でいらっしゃいますか。
中竹
素直にうれしいのと、驚きはあります。
いずれは決勝トーナメント進出も
ありえるだろうと思っていたのが
かなり早く実現したなという気がしています。
ぼく自身はずっと若い世代を育てていて、
今回の代表に入っている日本人の選手は、
ほぼ直接指導しています。
ひとつ、日本代表の躍進の裏側として、
U19という高校日本代表チームがこの3年間で、
スコットランドとアイルランドを破っているんです。
公式戦ではない交流試合なんですけども、
すでに3年前から勝ちを遂げていますので
選手の中では近づいている感じがあったんですけど、
本番で勝てるかどうかはまた別の話ですよね。
決勝トーナメント進出というのは、
ぼくの中では10年ぐらい先かなと思っていたのが
一気に目の前に表れて本当にうれしいです。
選手たちやコーチのみなさんに感謝ですよね。
関係者としても彼らの頑張りには敬意を表しています。
渡辺
五郎丸歩選手が
「これは奇跡ではなく、必然です」
とおっしゃっていましたよね。
U19の若い選手たちが育っていることも
すごいことですけれど、
日本代表の躍進も当然の結果なのでしょうか?
中竹
若い世代が強くならなければ、
代表チームは勝てないと言われています。
毎年U20の大会があるのですが、
その結果は数年後のワールドカップの結果に
かなり準ずると言われています。
下の世代からしっかり育てないと未来がありません。
今回は、若い世代が育つ前に成果が上がったので、
若い世代も勝つマインドが身につきました。
渡辺
丸の内15丁目プロジェクトで
ラグビーワールドカップの歴史から
ラガーマンの珠玉のことばとともに
名勝負を描いたムービー、
『BY THE RUGBY』の製作者で、
ご自身も早稲田大学ラグビー部出身の
中村裕ディレクターです。
中村さんは、日本代表の躍進を
どうご覧になってますか。
中村
「まさかこんな日が来るとは」
というのが正直な気持ちなんですけど、
ぼくが大学4年生のときの早稲田の監督が
大西鐡之祐さんという人で、
1968年にはじめてオールジャパンを本格的に強化して
オールブラックスジュニアに勝たせた監督なので、
不可能を可能にするということが
ラグビーではあり得ることは知っているんです。
前監督のエディー・ジョーンズさんは
世界の頂点を知っている人ですから、
あらゆる戦略、知略をやってきた人なんです。
それから今のジェイミー・ジョセフ体制になって
ジャパンは確実に進化していましたよね。
渡辺
中村さんは大学でラグビーをなさって、
社会人になってからも続けられていて
5年に1回ぐらい
骨折されてるとうかがったんですけど。
中村
ぼくはあんまり身体を張る選手じゃなかったので、
大学時代にはほとんどケガしなかったんです。
卒業してからはケガをいっぱいしまして、
アキレス腱を切ったりとかいろいろしました。
五郎丸さんが「ほぼ日」の糸井さんとの対談で
言っているように、
人間は自分のためだけだったら
そんなに痛い思いはできません。
しかし、前と後ろに
他の14人の仲間がいると思ったら、
そして観客席に自分のことを
応援してくれる人がいると思ったら、
つい身体を張っちゃうのがラグビーです。
そのあたりもこのワールドカップで
知っていただけたのもよかったと思います。
渡辺
中竹さんにも糸井さんにも
中村さんにも伺いたいのですが、
ラグビーのすべてが決勝トーナメントには
詰まっていると言われています。
どういうことなのか教えていただけますか。
中竹
予選はポイント制で、
たとえば3勝してもポイント次第で
決勝進出となるか決まっていましたよね。
ボーナスポイントを意識した勝ち方にこだわったり、
メンバーのランクをあえて落として
決勝トーナメントに備えたりしていたのですが、
決勝トーナメントに入れば負けたら終わり。
1点差でもいいから勝つという戦法になるわけです。
決勝トーナメントで注目したいのは、
「選手をどこまで引っ張るか」ということを
どこのチームもすごく迷うんです。
当然ベストメンバーで試合に臨みますが、
予選プールですでに4戦やっているので、
選手たちもすごく疲れています。
いい選手であることはわかっているけれども、
後半残り20分でガクッと力が落ちるわけですね。
そのときにリーダーの選手を外せるか
監督の決断が相当問われますし、
あえてエースを控えに回す戦略家の監督もいます。
選手たちも勝ちにこだわるので、
審判に文句を言ったりフラストレーションが出ます。
決勝トーナメントは負けたら終わりなので、
すべてに対してベストを尽くしていきます。
糸井
中竹さんの話を聞いていて、
またおもしろくなったなと思ったんです。
にわかって、一回ずつ吸収していきますから。
ぼくはいま、正直なことを言いますと
今回の大会前に、ラグビーの経験者や詳しい人に
「日本は勝てますか?」ってきくと、
全部、自信なさげな答えが返ってきたんです。
「勝つ可能性はあるんですけどね」と、
よくよく聞いていくと全敗だったんですよ。
その答えが、ぼくを助けてくれた気がして、
負けたって当たり前なんだなと思うと、
のびのびして試合を観ていられるんですよ。
ラグビーに詳しい人が負けると言っているんだったら
にわかのぼくにとっては
「勝ったら最高じゃないか!」と思えるんで。
試合に負けたときには「いやあよくやった」
と言っている自分が想像できるんですけど、
勝ったらたぶん、地面から足が浮くと思うんですよ。
プール戦は現地で2試合を観ているし、
パブリックビューイングも2試合観ているから
全部の試合をみんなで観ているんですけど、
奇跡の勝利をたのしみに来ているんです。
帰り道にニヤニヤしながら
電車に乗っているヤツになりたくて(笑)。
中竹
糸井さんのたのしみ方は、
にわかファンにとって大事なことだと思っています。
スポーツには「サポーター」ということばがありますが、
人間の脳科学的にもですね、
サポートすると自分たちのいいプレーがよく見えて、
相手のプレーはいいプレーでも嫌なんですよね。
だから、南アフリカがすごくいいプレーしたら
日本のファンはムカついたりすると思うんですよ。
だから、にわかファンになったみなさんは、
どこか特定のチームのサポーターになるんじゃなくて
ただ観るぐらいでもたのしめるんですよ。
「勝ったらラッキー」みたいな気持ちでいれば、
「相手のプレーすごいなあ」って思えます。
そうすれば勝ったときの喜びも倍増するんで、
サポーターにならなくてもいいんじゃないかな。
渡辺
ラグビーとともに人生を歩んでこられた中村さんは、
にわかファンの方が激増するのを
どのように思われますか?
中村
日本の人たちが、
ぼくの想像以上にラグビーのたのしみ方を
知ってくれて嬉しいなと思うんです。
敵のプレーにも拍手したりとか、
それに選手たちも反応して
普段はやらないお辞儀で返したりとか。
外国のナショナル・アンセム(国歌)を
観客のみんなで歌ったりとか、
何よりのもてなしとして選手も感動するんですよ。
日本のファンのホスピタリティは伝わっています。
また何年後かにまた日本でやろうよという
機運が高まっているんじゃないかな。
中竹
我々、日本協会としても
また日本に呼ぶぞって話していますよ。
渡辺
おぉー! すばらしい!
ぜひ実現させていただきたいです。
糸井
中竹さんに聞いてみたいんですけど、
海外の選手たちにとって
日本のプレーは何が脅威なんでしょう。
日本代表が何をしてくるか
わからないと思いはじめていませんか。
中竹
スピードを重視した日本のラグビーは、
世界からすると理解できないようです。
特に速さと低さに関しては、
どうやって指導したら日本のようにできるのか
本当に迷っていますね。
糸井
松島選手と福岡選手っていう、
すっかりスターになったあの二人が
隣り合わせにいることがありますよね。
中村
それが海外のチームの脅威になっていて、
本来なら両翼にいるはずなんですが
トライのときにはなぜか
ふたりがユニットになって動いているんです。
あれは、トライを取る想定でポジション関係なく
動く練習を相当積んでいるんだと思います。
渡辺
「オフロードパス」が話題になりました。
倒れかかりながら片手で投げる。
すごく難しいわけですよね?
中竹
若い世代の指導者は
オフロードパスをしてもミスが多いので
全面禁止にしているチームもたくさんあります。
ぼくも早稲田大学の監督をしていたころは
スキル的に難しいので禁止しました。
けれど、U20日本代表チームでは練習しましたね。
なぜかっていうと、練習をしておかないと
相手がやってきたときに対応できないんです。
いきなり試合だけで対応するとほぼ食らってしまう。
糸井
タックルされているときの頭の中って、
三次元が狂っているわけですよね。
ふだんは軸があるから対応できるけれど、
タックルされたら高さも幅も前後左右がずれて
0コンマ何秒の間、べつの場所にいるようになる。
それなのに味方にパスが届くと信じて投げているのは
経験があるからとしか言えないわけですよね。
中竹
練習だけでなく、習慣化できているかどうか。
ふだんから無意識的にプレーできるところまで
持っていくのが練習なので時間がかかるんです。
今大会までの4年間で、大きく変わったポイントです。
渡辺
前回のワールドカップを見ていた糸井さんは、
リーチマイケル選手を「武将みたいだ」とか、
田中史朗選手を「たまご泥棒」なんて表現されました。
今大会での、糸井重里流の観方はどんなでしょう?
糸井
ラグビーをやっていた人からすると
ぼくが「たまご泥棒」とか言っているのを
すごくおもしろがってくれましたけど、
今のぼくはもう「たまご泥棒」なんて
言えなくなっているんですよ。
つまりもう、役割を知っちゃったから。
この大会でにわかファンになった人たちは、
いろんなことを知らないうちに
知らないときの観方をするといいですよ。
中竹
びっくりしましたね。
最初に「たまご泥棒」を聞いた時。
糸井
あれ、実際には「たまご泥棒」だけじゃなく、
たまごを入れていることもありますからね。
「たまごプレゼント」(笑)。
意味を知るまでわからないことを
大事にできたらたのしいと思います。
中竹さんと中村さんのお話を聞いて
ワクワクしているのは、
相手から見て何をしてくるかわからないという
プレーは強いなということです。
海外のチームから見たときに、
日本はどう思われているんだろう。
もしかしたらこういうことかなって、
無責任に仮説を持って観るのは
にわかならではのおもしろさだと思います。
中竹
にわかのみなさんには思いつきでいいので、
どんどん仮説を立てていただきたいです。
慣れてしまうと気づかないことがたくさんあって、
仮説すら立てられなくなるんです。
頭の中で戦略や戦術がどんどん見えてくると
試合を観ていてもおもしろくなくなってしまう。
ぜひみなさん、どっぷりつからない程度に
無責任な感じでどんどん仮説を立ててください。
ルールや戦略がわからなくても、
「こうすればいいじゃん!」と言っていただけたら、
意外と当たっていたりするので。
現在はキックパスがすごく流行っていますが、
ぼくがラグビーをやっていた頃には、
距離や角度を正確にキックするのは難しいんで
諦めていたプレーだったんです。
素人の方は「なんでキックパスを使わないの?」
と言っていたんですけど、ぼくらの感覚では難しかった。
でも現在ではプレーが開発されているので、
20年前の「にわか」の方々が言っていたことが
まさに現実になったんです。
にわかのファンに好き勝手言っていただけたら
ラグビー界の中でもイノベーションが起きると思います。
糸井
いまのラグビーって、
あのボールが変な形だってことを忘れていませんか。
丸い形のボールのように扱っていますよね。
中竹
内側に転がるか、外側に転がるか、縦に転がるか。
かなりコントロールできるようになっていますね。
中村
スコットランド戦で、ラファエレ選手が
敵の背後にゴロパントを蹴って
福岡選手が見事にキャッチして
トライに結びつけましたが、
おそらくボールの転がり方も計算しているはずです。
それぐらい練習を積んでいたんじゃないでしょうか。
糸井
動きながら思考を回転させるのが
スポーティーということだと思うんですよね。
ぼくはラグビーよりも野球のほうが詳しいんですけど、
野球って止まって考えている時間が
めちゃくちゃ長いんですよ。
動きながら考えているラグビーやサッカーに、
野球がある意味で負けている部分でもあります。
動きながら考える速度の感覚は、
普段の生活にも役に立ちますよね。
中竹
「動きながら」ということは、
「ごまかしが効く」とも言えるんですよ。
ラグビー選手からすると、
野球みたいに止まって自分だけが注目され、
ごまかせない中でパフォーマンスをするのは
すごく難しいことに見えるんです。
ラグビーはみんなが動いているから、
極端な話、サボろうと思えばサボれますし、
サボっている間に考えることもできます。
40分とか80分の間ずっと集中はできないので、
限られた時間の中でどれだけ高い
パフォーマンスを出せるかを考えるんです。
運動量が多い方がいいかといえばそうではなくて、
ここはいかないと決めることも大事なんです。
糸井
集中力が持続しないとわかっているから、
「今こそ!」みたいなものをどこで出すかが
重要だということですかね。
中村
姫野選手が日本のフランカー、
ナンバーエイトとして大活躍しましたが、
彼の「ジャッカル」というプレーを見ていると、
「ここだ!」というニオイを嗅ぎつけて
本能的に手を伸ばして相手のボールを
奪っています。
コンマ何秒遅くても
反則という微妙なプレーです。
選手は、80分間「選択と集中」を
繰り返しているんですね。
糸井
よく聞かれることだと思いますが、
いろんな国の出身の選手がいるけれど
どうして日本のチームにいるのって、
おふたりはなんて説明していますか。
中村
彼らは、いわゆる
助っ人選手じゃないんですよね。
例えば、キャプテンのリーチ・マイケル選手は、
まだヒョロヒョロの高校時代に日本に来て、
日本の根性ラグビーに鍛えられて、
世界標準になった選手なんです。
中竹
ラグビーというのはそもそも、
多様性をもっとも大事にするスポーツです。
ルール上、スクラムを廃止しないのも、
ラインアウトを廃止しないのも、
多様性が生まれるようにしているんです。
スクラムやラインアウトを廃止すると、
ほぼ全員が同じような身体も形の選手になります。
多様性というのが大原則で、
誰しもが防具を身に着けずにできる、
というスポーツなんです。
国籍に関わらず、そこにいる人たちが
自由にプレーできることが
最初にルールとして決まっているんです。
糸井
ちょっとその説明だと長いかなあ。
ぼくだったらさ、
「好きなチームを選んだってことだよ」
という説明で済ませちゃいます。
中竹
あっ、その説明のほうが100倍いいです。
糸井
他の国にも、そこで生まれた選手以外の選手が
いることだってあるわけですよね。
未来って、そういうことじゃないかな。
中村
なるほど。国家とかじゃなくて、
好きなチームなんですよね。
他の国のラグビーが好きだから選んでいる。
糸井
高校まで野球をしていたような日本人が、
ラグビーの素敵な才能を持っていたから
オールブラックスに入りました、
ということもあり得るわけですよね。
渡辺
ラグビーを観ている私たちも、
チームやプレーが好きだから
他の国を応援することがありますよね。
これから準決勝、決勝と試合が進んでいきます。
にわかファンのみなさんに期待することを
最後に教えていただけますか。
中村
もうここまできたら
みんなで声を枯らして応援して、
日本代表にいいプレーをしてもらって勝ってほしい。
そのためにも、ファンになったみなさんの気持ちを
ひとつにあわせていただきたいです。
中竹
まず糸井さんに感謝を申し上げたいのが、
前回のワールドカップが終わってから
「にわか」ということばを使っていただいて、
日本中でにわかファンの考え方が広まりました。
ぼく自身、ラグビーから離れた時期が10年あって、
みなさんがラグビーに対して感じているような
「ちょっと上から目線」が本当に嫌いだったんです。
二度とラグビーには戻ってこないつもりでしたが、
いろんな経緯があって協会に戻ってきました。
みなさんと純粋にラグビーをたのしめる立場になれて、
嬉しく思っています。
ぜひにわかファンになったみなさんには、
勝ち負けや戦術にこだわりなく
自分の仮説で見ていただけたらうれしいです。
糸井
自由になっていくことはぼくもいいなと思っています。
なんでも自由がいいんだけど、
自由だけだと、ちょっと物足りないんですよ。
やせ我慢が、その人だと思うんです。
やせ我慢がその人の美意識だし、その人の生き方です。
ラグビーを見ていると、
自由と同時に無数のやせ我慢があって、
そのやせ我慢がぼくらを泣かせるんですよね。
ラグビーがあったおかげで、
いい意味でのやせ我慢の文化を、
みんなが獲得し直せる気がするんです。
みなさんもぜひ、やせ我慢をご覧ください。
とんでもなく強烈なタックルを受けて倒されても
すぐに起き上がってまたプレーをする、
ああいうのをみんなが褒める、泣くということが
素晴らしいことだと思うんです。
ぜひ、やせ我慢を見ましょう。
どうも、ありがとうございました。
************
丸の内15丁目プロジェクトでのトークイベント
MARUNOUCHI RUGBY PARK
「にわかのミカタ講座」のようすは以上です。
最後まで読んでくださったみなさんに、
ほぼ日からのお知らせです。
ワールドカップでベスト8に進出した
日本代表へのお祝いと感謝の気持ちを込めて、
急ピッチで作った期間限定の新商品をご紹介します。
ラグビーワールドカップの激闘を記念した、
「祝ベスト8」のデザインが、
ほぼ日ストア限定で新登場となります。
「RUGBY NIWAKA DE GOMEN」の
ことばが胸に大きくプリントされた
「レギュラー」のデザインをベースに、
「BEST 8 DE ARIGATO」という感謝のことばが
正面と背面にプリントされています。
ジャージの背番号8番(ナンバーエイト)を
イメージしたデザインの後ろ姿もチャーミング。
「レギュラー」と「祝ベスト8」限定の受注販売で、
11月1日(金)午前11時から
11月5日(火)午前11時まで申込みを
こちらのページで受け付けます。
サイズはJr-L/S/M/L/XL/XXL/XXXLの7種類です。
日本中に多くの「にわかファン」が生まれた
ラグビーワールドカップ日本大会。
これまで感動を与えてくれた選手たちへの感謝と、
これから新しいファンが生まれてさらに盛り上がる
ラグビーを応援していきたい気持ちでいっぱいです。
ラグビーでおもしろい取り組みができないか、
これからも考えていけたらと思います。
にわかファンになってよかった、
心からそう思える時間が過ごせてうれしいです。
ワールドカップ、ぜひ決勝までたのしみましょう!
長くなりましたが、ありがとうございました。
(おわります)