ほぼ日ニュース

おめでとうございます、三谷幸喜さん!
第15回伊丹十三賞贈呈式に行ってきました。


左から、周防正行さん、平松洋子さん、三谷幸喜さん、第1回受賞者の糸井重里、
南伸坊さん、第14回受賞者の小池一子さん、宮本信子さん、中村好文さん。
撮影:池田晶紀(株式会社ゆかい)

こんにちは。リカです。

今年9月のある佳き日に
第15回伊丹十三賞の贈呈式にうかがってきました。

この伊丹十三賞は俳優、映画監督、エッセイストなど
数々の分野で偉業を残された伊丹十三さんを記念して
創設されたもので、
その第一回の受賞者に糸井重里が選ばれました。

またほぼ日では「伊丹十三特集」という企画で
関係者のみなさまにお世話にあったこともあり、
毎年このすばらしいお式におうかがいしては、
レポートをさせていただいています。

さて今年は、ほぼ日に何度もご登場いただいている
三谷幸喜さんが受賞されました!

三谷さんとほぼ日といえば、初期のコンテンツ
「男子も女子も団子も花も。
「婦人公論・井戸端会議」を読みませう。」の
「笑いのツボはここにある」
(「婦人公論」からの転載。)をはじめとして、
「駄目な僕。」
「『わが家の歴史』を、観ると決めた。」
「映画好き人の話。」へご登場いただき、
最近では「ほぼ日の學校」の授業でも
たいへんおもしろいお話をしてくださっています。

そのためこのたび伊丹十三賞を受賞されたことは
わたしたちにとっても、とてもうれしい出来ごとでした。

それでは、その日の様子をお知らせします。

贈呈式ではまず主催者
(公益財団法人ITM伊丹記念財団理事長 玉置泰さん)の
ご挨拶と受賞者の紹介があります。
今回の授賞理由は
「つねに企みをもちながら、脚本、演出、エッセイ、
コメンテーターなどの仕事に取り組み、
独自の境地を切り拓いた予測不能の才能にたいして。」
とのこと。

そして、選考委員(周防正行さん、中村好文さん、
平松洋子さん、南伸坊さん)を代表して、
南伸坊さんから祝辞がありました。


今回はとても取材のカメラが多かったのです。

南伸坊さん
「三谷さん、伊丹十三賞おめでとうございます。
そしてありがとうございます。
これでまた、伊丹十三賞が
さらに一回りまた大きくなりました。

私はこれまでに三谷さんに
いろいろなシチュエーションで笑わせていただきました。
わたしは笑うことが大好きなので、
笑わせてくれる人が大好きです。

ドラマで、エッセイで、
インタビューや対談の受け答え、
テレビのコメンテーターとして、あるいは、
映画の宣伝のときでさえ三谷さんは
どんなときにも工夫して、必ずおもしろいことを言って
笑わせてくださいます。

すばらしい! ことです。

笑うっていうのは、なんでこんなに楽しいのか。
おもしろいっていうのは、
どういうことなのでしょうか。
私たちは、わかりきった話は、つまらない。
同じ冗談を続けて何度もされると、少しムッとします。
かといって、難しくて立派な、
わからない話もおもしろくないです。
わからないからです。

私たちはどんなときにおもしろいと思い、
笑うのでしょうか。

わたしの思いは、
すでにわかっていると思っていたことが、
くつがえされるときです。
言い換えると、わかっていたことをわかり直したとき、
脳みそが喜ぶのではないか。
わかっていたことをわかり直して、深くわかる。
笑っているとき、わたしたちは、
何らかの発見をしているのではないでしょうか。
その喜びがわらいになっているのではないか、と、
私は思います。

我々はほぼくだらないことで笑っている、
とおもうかたもおられるでしょう。
ごくくだらないことは発見ではないだろう、
と私は思いません。
なんだかよくわからないことでも、我々は笑う、
と思う方もおられるでしょう。
なんだかよくわからないのでは
そもそも発見ではないだろう、と、私は思いません。

すぐにはわからない発見が、我々にはあると思う。

むしろ、もっともらしくて、
誰もがすぐ了解できるようなことではない。
よくわからない発見が、少しずつ積み重なっていく、
ようなことが、あるのではないか。

だから私は、どんなく~だらないような笑いの話も、
実は、何らかの発見を伴っているのではないか、
と考えている。

とにかく、わたしたちは、笑うことが大好きで、
笑わせてくれる人が大好きです。
三谷さん、これからもみんなを、私を、笑わせてください。
よろしくお願いいたします。
伊丹さんもきっと、よろこんでおられると私は思います。
おめでとうございます。」

中村好文さんから正賞の贈呈。

そして、伊丹十三記念館館長の宮本信子さんから、
副賞の贈呈があり、

三谷幸喜さんによる、受賞者スピーチです。

三谷幸喜さん
「30年以上前になると思うんですけれども、
赤坂にすっごくおいしいドライカレーと
かぼちゃプリンのお店がありました。
そこに僕は何回か通っていたんですが、
そのお店の隅っこの方のテーブルで
いつも書き物をされていたのが、伊丹十三さんでした。

僕は伊丹さんのエッセイも大好きだったし、
映画もファンだったので、
これはちょっと挨拶しなきゃいけないと思いまして、
まだ当然面識はないんですけども、
伊丹さんのところへ行って、
僕はまだ大学生だったと思うんですけど、
ご挨拶をさせていただいて、映画の話をしました。

伊丹さんは、こんな訳の分からない若輩者が
突然話しかけてきて、たぶん驚かれたと思うんだけども、
すごく優しく接してくださって、
『どうもありがとう、ところで、
 僕の映画のどういうところが好きなの?』
と言っていただきました。

‥‥えー、そこまで考えていなかったです。
あせったのをおぼえてます。

伊丹さんはすごく、若い僕ら全然世代の下の
若い人間のこともすごく耳を傾けてくれるかたでした。
『ショー・マスト・ゴー・オン』という舞台を
やったときに、伊丹さんは宮本さんと来てくださって、
終わったあとに、食事がしたいとおっしゃっていただいて、
中華料理をごちそうになりました。

すごくおもしろかったと言っていただいて、
この作品のどこがそんなにおもしろかったかということを、
とくとくと話していただいて、
僕は当然緊張していたんで、
まったく耳に入って来なかったことがありました。

それから『ラヂオの時間』という、
初めて僕が映画を撮ったときに、
伊丹さんは現場に足を運んでくださって、
僕の横でずっと、見てくださった時があって。
伊丹さんがおっしゃっていたのは、
映画というのは、フィルムに写っているものが
全てなんだから、
だから君はずっとモニターだけ見ていなさい。
そういうふうに伊丹さんは教えて下さいました。

伊丹さんのおうちにも何度かうかがって、
まだ完成していない伊丹さんの映画を、
粗編集の状態だったんですが見せていただいて、
感想を言いなさいというふうに言われて、
そう言えるものじゃないんですけれども、
まあ思ったことを話しました。

ほんとうに伊丹さんは
人の話をよく聞いてくださる方だったなというふうに、
思います。
(中略)
僕は、伊丹さんが大好きです。
だから、伊丹さんの名前のついた賞をいただいて、
本当に嬉しいです。ありがとうございます。」

このあと宮本信子館長の音頭で
乾杯があり、質疑応答、
恒例の全員での記念撮影がありました。


撮影:池田晶紀(株式会社ゆかい)

おもしろかった質疑応答の様子など、
まもなく動画で掲載する予定ですので、
どうぞたのしみにお待ちくださいね。


ほぼ日乗組員の玉木も質問しました。

この日の様子は、伊丹十三記念館の
サイトでもご覧いただけます。
第15回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました【その1】
第15回伊丹十三賞の贈呈式を開催いたしました【その2】

三谷幸喜さん、このたびはほんとうに
おめでとうございます!

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