「糸井重里のバス釣りNo.1
決定版!」 〜釣りに行こう〜 制作スタッフ座談会 その5 「そこまでやるか!?」っていうところまで、作り込んだ。 それは、バス・フィッシングの世界の奥深さと シンクロさせたかったからなんだ。 |
ディープな釣りの話かと思ったら、 実はゲームの裏技紹介をばっちりしているこの座談会。 とくに今回は、大物を狙いたい人には必読です。 そうか、でっかいバスは、そういうところにいるんだな!? (いちばん最後には、あのCMのメイキング画像& プレゼントのおしらせがありますよ!!) |
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| ──ほかには、ゲームに組み込んでいる実際のバスの動き、 どんなものがあるんですか? 倉恒: バスの産卵行動。これをゲームに組み込むのに、 けっこうすったもんだしたんですよ(笑)。 バスの産卵行動を入れることは、 ある意味よぶんな動きになるから 「やっぱりやめてほしい」って話もあったし、 「いや、これはやらんといかん」という考えもあって。 とりあえず、ゲーム中の湖は解禁が冬になっているので、 3月に解禁して釣りができるよ、ってときに バス釣りをする人が考えることは、 プリスポーン(産卵前)から、スポーニング(産卵)、 アフタースポーン(産卵後)というバスの動きなんですよ。 要は、産卵にともなうバスの行動にたいしての戦略を バス釣りをやってる人は考える。だから、 今回のゲームをやってもらったときに、 「なんや、ぜんぜんあかんやん!」 って思われたらいやだってのがあったんですよ。 やっぱり産卵の要素を入れたい。 ……たいへんやったね。 アベキ: たいへんでしたねぇ。 スポーニング(産卵)してますからね。 | ||||||
| 倉恒: ちゃんとスポーニングもします。 パターンとしては、 まず沖のサンクチュアリ的な場所にいて、 そこから岬などのコンタクトポイントを経由して、 シャロー(浅瀬)に上がって、産卵して、 シャローから下りる。 そういう行動パターンがゲームに入ってて、 しかも、乱数計算になってる。 たとえば、だんだん気温が上がってきて、 バスがコンタクトポイントに上がって、 シャローに上がろうとする前に、 1回深場に落ちたりするでしょ? その動きも入ってます(笑)。だから、むずかしい。 しかも、低地にある湖と、山上にある湖では、 産卵の時期がズレてます。気温も水温もちがいますからね。 たとえば、低地の「かかすみ」という湖より、 山にある「けけはら」とい湖のほうが 産卵する時期がおそいんです。 もしそれを見切る人がいたら、 産卵の時期だったら本物のトーナメント ぶっちぎりで勝つんちゃう? というくらい、作りこんであります。 糸井: それは、裏ワザってことで言っちゃおう(笑)。 倉恒: 今回のゲームは、ぜんぶの湖の等深線がわかってるんです。 バスの位置関係や移動は、等深線にもとづいて 動かすようにしてあるから、 実際のバス釣りと同じような場所に魚がいますよ。 たとえば、春に産卵する第1陣がリザーバー(ダム湖)の 岬に集まるという習性があったら、 ちゃんと岬に集まってますよ。 そういう場所にバスは集結してます。 それから、たとえばフラットレイク(平地の湖)の場合、 産卵するバスは、大きなワンドのシャローに わーっと入っていくけど、リザーバー(ダム湖)の場合は、 シャローといっても狭いことが多い。 仮に産卵前のバスが岬に集まっても、 そこから行けるシャローってものすごく狭いでしょ。 魚にとっては狭い場所で産卵するのは 生存競争がきびしいってことだし、 そんな狭いエリアで群れてもしかたがないから リザーバーの魚っていろんなエリアに散るんですよ。 ──それは、ゲームでも……、 倉恒: ゲームでもちゃんと散らせてあります! | ||||||
| 糸井: いや、そこまではねぇ、 なかなかゲームする人は読み切れないと思うんだよ。 ただ、低地の湖か、高地の湖かってことを 読みまちがえると苦しいことになるよね。 だから、1日1日の釣りでけっこう失敗ができる。 これはすごい。 こういうことまで知ってればいいという 範囲外のところをわかったとたんに 釣れるようになることがいっぱいあるよ。 ──ゲームの難易度の設定が3段階ありますよね。 難しいモードのほうが、バス探しをするときの 当たり外れが顕著に出るんですか? 糸井: そうそう、難しいモードだと、 魚の個体数を減らしてあるわけですか? サイトウ: 個体数はかわらないんですけど、 よりタイトにアピールしないと ハードモードの場合は釣れなくなってます。 倉恒: たとえば杭が1本あって、 杭のヘチにそってルアーを引いたときに食ってくる魚と、 杭から離れて釣れる魚はサイズがちがう(笑)。 サイトウ: ポイントがあったら、タイトな所にまず大きい魚がつく。 離れるにしたがって、中くらいの、小さいの、 というように作ってあります。 で、魚がルアーを認識する視野範囲というのが、 イージーなモードだと広いんですよ。 ですので、遠くにルアーが通っても魚にアピールが とどいてるんですよ。 倉恒: プロダクティブゾーンが広くなってると。 サイトウ: ハードになってくると、 魚の視野範囲が狭くなってきますので、 本当にセオリーどおりにタイトに探らないと、 魚がルアーを認識しないんですよ。 魚から見えないところをルアーが通ってることに なってしまうんですよ。 糸井: ……オレは、このゲームをなめてたわ(笑)。 倉恒: ほんまに杭1本でも、ヘチと、ちょっと離れた所では ぜんぜんちがいますよ。 | ||||||
| 糸井: そこまではわかるのよ。 そういう設定なんだろうなと思ったんだけど、 オレはハードって、早い話が 魚の個体数を減らしてあるんだと思ってたんだよ。 そうじゃなくて、ルアーを認識する範囲がちがうんだ? 倉恒: そうです、そうです。 糸井: もーのすごいね、それ! アベキ: それともうひとつ、占有領域だっけ? | ||||||
| サイトウ: 支配領域。要は大きなバスがいたら、 「オレの周りにはオマエら小バスはついてくるなよ!」 という領域も、イージー、ノーマル、ハードという モードによっていじってます。 糸井: あきれる……。 ──たとえば、ハードの場合で大きなバスがいた場合は? サイトウ: 大きなバスの支配領域が広いんですよ。 倉恒: 魚のテリトリーってあるじゃないですか、 あれがうまくできてるんですよ。 「そこまでやる? バカじゃないの?」 っていうくらい作ってある(笑)。 サイトウ: それと、細いラインを使ってるときほど、 魚の視野範囲は広くなります。 しかも、細いラインほど 大物の視野範囲を広げてるんですね。 細いラインほど大物がかかる確率は高いんです。 アベキ: でも、ラインを切られやすい……。 サイトウ: そうですね、ラインは切れやすくなりますね。 ──いやらしいですねー(笑)。 倉恒: でも、実際の釣りもそうでしょ? 糸井: 事実そうなんだから、しょうがないよぉ。 ──細いラインを使いたいんだけど、切れやすいから どうしよう……という。 倉恒: しかたないんです、実際の釣りがそうなんです(笑)。 アベキ: 釣れ具合をつくってるスタッフがいて、 今日来てない人間がいるんですけど、 もう……なんか七転八倒してですね……。 | ||||||
| サイトウ: 支配領域、視野範囲、 また、ライン別の視野範囲とか、 ハード、ノーマル、イージーという 難易度のちがいによる視野範囲、支配領域を ぜんぶコントロールしなきゃいけないんで、 はっきりいってスタッフは壊れてましたね。 アベキ: まだ壊れてなかったサイトウが、 最後をうまくまとめたんですけどね。 倉恒: そうそう、サイトウさん、いつも冷静。 アベキ: 気は強いけど冷静(笑)。 ──いちばん簡単に釣れるのは、 イージーモードですよね。 魚の視野範囲が広くて、 なおかつ支配領域が狭くなるんですか? 隣の魚がすぐ近くにいるってことですよね? サイトウ: それはケース・バイ・ケースなんです。 使うラインの太さや、 ストラクチャーの種類によってちがってくるんですよ。 アベキ: でも、イージーなモードだと でかいバスは釣れないです。 ──視野範囲が広い魚がいっぱいいるわけだから、 小さいバスから食ってきちゃうと? サイトウ: そうです、そうです。 ですから、小さいバスの視野範囲を広くしてしまうと、 要はルアーが魚の視野範囲内を通りやすくなるんですよ。 そうすると、大物の支配領域内をルアーが通っていても、 遠くから小さいバスが来ちゃうんですよ。 そういう優先順位になってるんですよ。 アベキ: あと、小さいバスのほうが数が多いので、 大きいバスを釣ろうとしても、先に小さいバスが 食ってきちゃうというケースが多くて、 なかなか大物にたどりつけないというか……。 ──たとえば、1本の杭に10匹のバスがついてて、 そのうち1匹だけ大物だとするじゃないですか、 何回もキャストをして、先に小さいバスを3匹釣って、 その杭をひたすら探り続けたら、いつかは大物が 釣れるってことですか? サイトウ: それはでかいバスがかかります。 | ||||||
| 糸井: なんか実戦的な質問だなぁ、今の(笑)。 サイトウ: そのかわり、場荒れします。 魚がルアーを認識するアピール度が100だとすると、 同じ場所で同じルアーで何度も釣ってると、 魚に与えるアピールをどんどん多くしないと かからなくなってくるんですよ。 つまり、アピール度が下がってくるから、 アピールする時間を長くしなくちゃならない。 ですから、「ここには大物がいる!」という確信があって、 でも先に小バスがかかってきちゃう、 なので小バスをまず先に釣って、 それでも「いる!」という確信をもって 10投でも、20投でもすれば 大物が釣れる可能性はあります。 倉恒: ちゃんとタフってくる(魚がルアーに馴れてくる)のよ。 糸井: 杭で1本かけたとして、その魚をバラしたとすると、 魚がまた杭についてることもあるし、 いなくなることもある、それを昨日オレ経験して ジーンときたよ。すごい! サイトウ: そのへんのことをあまり知らない人は、 ある杭で1匹釣っちゃうと、 あきらかにルアーアピールが下がりますから、 魚が釣れにくくなって、 他の場所に移動しちゃうと思うんですよね。 ただ、ここに大物がいるはずだという確信のある人は、 2回、3回、いやもっと探り続けると思うんです。 そうすると大物が釣れます。 ──たとえば、そこに回游バスが回ってきちゃった なーんてこともありえるわけですね。 倉恒: 当たることもありえますね。 ただ、うまいことしてますよ。 そこには当たらへん。ちょうど外れてるよ(笑)。 糸井: なるほどねー。 | ||||||
| 倉恒: たとえば漁礁で釣りしてて回游バスにボーンと 当たっちゃったらおもしろくないじゃないですか。 そうじゃなくて、実際に漁礁でも、 ちょっとしたところを通るのよ、回游バスは。 そこにキャストしないと釣れへんから。 サイトウ: 回游バスは、そういう意味では、 ストラクチャーのセオリーでは釣れない位置にいますね。 倉恒: 回游バスは、もっとマクロな視点で湖のマップを 解読したときに、「ここを通過するだろうな」っていう 仮説が思い浮かぶじゃないですか。 その仮説で釣ったほうが回游バスには出会えます。 でも、うまくできていて、 もし回游バスの50センチオーバーかけても、 ファイトしてる間に、回游バスはもう移動してる。 実際の釣りもそうですよ。 アベキ: ラインが太ければバーンと釣り上げて、 すぐに投げられますけど。 倉恒: ま、そうなんだけど、 カツオ一本釣りの漁船じゃないから、 そんなバンバン釣って投げてができないでしょ。 そのへん、ホントうまいこと計算してありますから。 ──回游バスを釣るほうがむずかしそうですね。 糸井: それは、本当の釣りを同じで、 回游バスをねらって釣るってのは、 そういう1日を自分でつくって、 自分が「ここを通過するはずだ」という確信をもって 「今日は回游バスを釣る日にしよう!」って 1日つぶすんだよ、やっぱり。 倉恒: しかもね、回游バスでも、最初に小さいのから 回ってくるから。 糸井: うわーっ、ヤダ(笑)。 倉恒: 小バスが回ってきて、中バスになって、 最後に大物が回ってくるという動きをしてるから、 わけわからん場所で回游バスの小さいのがかかって、 「これ、回游バスだー!」って喜んでたら、その間に でかい魚はスーッと移動しちゃってますよ(笑)。 | ||||||
ああ、やっぱり、こんなゲーム、どこにもないですよ。 奥深すぎる。それはバス・フィッシングの世界の奥深さと シンクロしているんですね。 次回もこの座談会の続き。実際にコントローラを 手にしながら、白熱したトークをくりひろげます。 お楽しみに! | |||||||
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2000-03-31-FRI