「ゼルダの伝説 〜ムジュラの仮面〜」 〜新しいゼルダを、とことん語ろう〜 宮本茂+青沼英二+小泉歓晃インタビュー その6 ハリウッドだけが ものづくりの王道じゃないんだよ。 |
NINTENDO64ソフト 「ゼルダの伝説 〜ムジュラの仮面〜」。 制作者インタビューの最終回です。 このゲームをつくるうえで どんなものに影響を受けたのか、 ということについてお聞きしました。 それから、ページの後半では 糸井重里のバス釣りNo.1 決定版!の トーナメント結果も発表していますよ! |
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宮本: 「ムジュラの仮面」をつくっている最中に、 ちょうど『ラン・ローラ・ラン』という映画が来たんです。 (編集部註:ベルリンを舞台にしたドイツ映画。 犯罪に巻き込まれた恋人の命を救うため、 その金を工面しようと、主人公ローラが街を走る) それを見に行ったんです。最初予告を見たときは 「これはヤバイ!」 というくらい、狙っているものが、 ぼくらと近いんじゃないかと思ってて。 でも見に行ってみたら、潔く、映画らしくそれをやっていた。 僕らと考えていることは似ているけれど、 僕らはそれをゲームらしくやっていたから 大丈夫だ、と確信しました。 もし、もっと企画段階であの映画を見ていたら 意識してしまったかもしれないけれど…… |
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小泉: もう、プロットは仕上がってましたしね。 青沼: でもよく見に行ったね……あの忙しい時期に。 小泉: あれだけは見に行こう、とね。 宮本: 仕事だから見に行きなさい、と。 でね、ああいうのを見て思うのは、 映画を作っている人というのは ハリウッドだけじゃなくて いろんなところにいるんだということ。 そのことに勇気づけられたりしたんです。 低予算の映画とか、ヨーロッパのアニメーションとか 見せられると、本当に勇気づけられますよ。 ゲームって、みんなが、ハリウッドみたいなことを 目指して、お金をかけて大作をつくっているように 思われているけれど、 「そんなことないよな、ものを作るっていうのは」 ということをいつも考えているんです。 プロデューサーがいて、スタッフがいて、 という仕組みは同じでもね。 ──『ラン・ローラ・ラン』のような意味合いでも いいですけれど、ほかの作品で、刺激を受けたものは どんなものがあるんですか。 |
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小泉: こないだ、同じ質問を受けて 「ない」って答えたんだけど……。 青沼: 結局、テーマとして時間を戻したりという感覚は、 誰もが考えうることですよね。 宮本: けど堂々と王道を行きたくない、というのもあるね。 小泉: 僕は、最近やっと気がついたんですけれど、 自分が子供のころに見ていた『ドラえもん』とか 藤子不二雄さんの影響は、すごくあるんですよ。 |
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宮本: ほんまに!? 小泉: シニカルな話をウエットに描くというあの人の作風が 自分にはすごく影響しているんだな、というのを、 最近出た文庫本を読み返して、思ったんです。 読み返すと、オレの考え方ってこういうところから 来ているんだな、って、わかる。 それはもしかしたらゼルダにも関係しているかもしれない。 「夢をみる島」(ゲームボーイ)とか「時のオカリナ」の ときの設定もそうだったけれど、今回のも、 影響があるのかもしれないなって、 ふと恥ずかしくなったりもしたんですけれど。 でもパクったわけじゃないですよ(笑)。 |
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青沼: 自然に出てきてしまうものなんだよね。 小泉: シニカルに描いても 結末は優しく持っていかなくちゃならない、という。 青沼: 僕はオーソドックスな冒険ものに弱いんですね。 宮崎駿ですよ。 スタッフにも、僕の書くスクリプトは みんな宮崎駿だ、って言われてて(笑)。 |
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小泉: 女の子には優しくてね。 青沼: オトコノコはこうでなくちゃ、とか、 オンナノコはひたすら「助けてー!」っていう 状態になるとか。 小泉: 街の外(青沼さん担当分)はそうなっているんですねえ。 街の中(小泉さん担当分)はシニカルな世界でね(笑)。 今回で「ゼルダ」はひとまずおしまいです。 次回からは、発売直前のあのゲームが登場! お楽しみに!!! |
■秘密基地ニュース■ 「ポケモンスナップ」が、アメリカでAIAS (Academy of Interactive Arts and Sciences)の 「Children's/Family Title of the Year」 (ファミリー/子供向けゲーム)部門賞を受賞しました。 毎年、ゲームを部門別に表彰する ゲームの世界のアカデミー賞です。 ちなみに去年は、すでにAIASで殿堂入りを 果たしている宮本茂さんが「ゼルダの伝説」で 7部門を独占。それにつぐ快挙です。 現地にとんだハル研究所の岩田さんから トロフィーの画像を入手したぞ! |
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2000-06-22-THU