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樹

「テン・エイティ スノーボーディング」
の情報・産地直送!

「ゼルダの伝説 時のオカリナ」の圧倒的な人気に、
負けちゃいないぜ、1080°!
わざわざ、去年に発売されたゲームソフトを、
なぜ「ほぼ日」はクローズアップするのか?!
理由は簡単である。おもしろいからだ。
古くなってなんかないからだ。
スノーボードのシーズンだからだ。
いいゲームソフトの売れ行きが、
3週間だか4週間で決定づけられてしまうなんて、
バッカな話だと、ぼくらは思う。
1年前に発売されたゲームにのめりこむことが、
あったっていいはずだと信じて、熱く特集します。


(第2回の5)

「1080°」の「雪の音」に涙する。

新年早々、気合いをいれてお伝えしてきた
「1080゜スノーボーディング」
開発スタッフのインタビューもいよいよ佳境に。
今回は「効果音」の話です。
これがまた笑いあり、涙ありの、いい味出してます。。


目標は、プレイヤーに
「雪山にいるんだ」という実感
与えたいということでした。
道路ではなく雪の上を滑っているということ。

鉄のハコの中ではなく、
生身で冷たい空気にさらされている身体の感覚。
これらを音響面からどのように盛り上げていくか
というのがサウンドに課せられたテーマでした。

雪の音を作るのには、結構時間がかかりました。
はじめは、ホワイトノイズから作りましたが、
これは全くダメ。
次に、プラスチックのフタを爪で擦って
サンプリング。
ちょっとマシになったけど、まだまだ。
さらに、かき氷機を借りてきて
回し方を変えながらサンプリングしてみました。

しかし、やっぱりイマイチで。
自分自身もスキーしか経験がないもので、
限界を感じたこともあって、
スノーボードを体験しがてら
実際の音を採取しに行かせてもらうことにしました。

とはいっても、夏の盛りのことです。
どこにも雪なんてありません。
で、「海外に行きたい!」といったら、即座に却下。
気をとり直していろいろ検討した挙げ句、
神戸にある室内スノーボード場に行こう!
ということになりました。
もちろんアポなしですので、普通の会社員のフリをして
1時間の基本レッスンだけはまじめに受講して、
残り1時間のフリータイムのときに、ウェアに
しのばせておいたマイクを使って録音作業を開始。
コースのすみっこの方で
滑ったり、転んだりを繰り返していて、
完全に「怪しいひと」と化してました。
まあ、その甲斐あって
一応満足の行くレベルには仕上がっています。
      (サウンドエンジニア 清水英明さん)

 

雪の効果 音は、
サウンドエンジニアの清水君に
相談をしたんです。
「もっと、新雪はギュギュッ、
アイスバーンはカリカリッ、
っていう音にしてよ」と、
また相変わらず抽象的な言い方をするボクに
らちがあかないと思ったのでしょう、
清水君は、サウンド担当の永田君を連れて
人工スキー場まで雪の効果音を
録りにいってくれました。

その時の音をそのまま使ったわけではありませんが
おおいに参考にしつつ、
試行錯誤のうえに出来上がったのが
今のゲームの中に入っている効果音です。
ものすごくリアルになりました。

後でその時の録音テープを聴かせてもらったんですが、
みんながスノーボードをしている横で
ボードを手に持って一生懸命エッジをたてて
音をいれているんですよ!
他の人たちからはきっと彼らが異様な人に
見えたに違いありません。
清水君、永田君、本当にごくろうさまでした。
          (ディレクター 高野充浩さん)

 

雪の音、実際に録りに行きましたよ。
清水さんと二人で、DATとマイクを持って
コースのうえで飛んだり転んだりして。
端から見たら、かなり怪しい人に見えてたことでしょうね。
しかし、そのおかげで
他のどのスノーボードゲームより
リアルな雪の音を聴くことが出来るはずです。
      (サウンドコンポーザー 永田権太さん)

 

ヒューヒューと鳴る風の音。
はじめはこれ、入っていませんでした。
そのころ、「歓声」の音程をいろいろ上げ下げして
チェックしていたのですが、
なんかの間違いで
思いきり低い音で鳴らしてしまったんです。
すると、なんだか
「ひょおおおお・・・・」という、風の吹く音が
聞こえてくるではありませんか。
その時、「これだ!」と思いました。
いろいろな歓声のサンプリングを音程を下げて聞いてみて、
なかでいちばんよかった音をゲームに使っています。

全体的に「画像に合った音を入れる」という点では
うまくいったと思うんですが、
もうちょっと画面が楽しくなるような音響面での
サポートを入れられたらよかったんではないかと、
今となっては思います。

唯一、変なことができたのが、
おまけキャラクター関係の効果音、くらいかな。
開発の最後の段階、締め切りギリギリのころになって
隠れキャラクターの話がでてきて、
レース前に「・・・VS ・・・」と読み上げる場面では
ちょっと困りました。
「クリスタル」とか「メタル」とか「パンダ」とかって、
そんなの録音してなかったのでね。
で、仕方なくこれらの名前は、
効果音でそのまま代用しました。
私としては、ここは笑ってほしい所だったんですが、
ゲームに入れてみた直後に、
しっかり「バグ」として報告されてしまいました。
ちなみに、パンダの声は私の声を加工したものです。
                  (清水さん)

 

というところで、(第2回の5)
“「1080°」の「雪の音」に涙する”
は終り。さて、次回は「1080°」の最終回です。
1月26日の更新をお楽しみに。


1999-1-22-FRI


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