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04 (第22回の4)
ゲームボーイアドバンス専用ソフト「黄金の太陽 開かれし封印」
タカハシ・ブラザーズ・インタビュー その4
いままでのロールプレイングと
こんなに戦い方が変わっちゃったんだなって、
自分でプレイしてみて驚くんだ。
 
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ゲームボーイアドバンス専用ソフト
「黄金の太陽 開かれし封印」。
キャメロットのタカハシ・ブラザーズの
お二人に話を聞くシリーズの最終回です。
「ジン」について、RPGであることについて、
あつく語ってくださいましたよ!
 
●戦闘は「たたかう」ことだけなのか?
 
宏之:
今回のもうひとつの売りは「戦闘」なんですよ。
なにが見どころなのかっていうと、
“ジン”ていうのがいるんです。
ジンとは、すべての物質の源である
地・水・火・風の4種類の元素(エレメンタル)の
それぞれに存在する精霊なんです。
冒険の途中で出会ったり、
戦って勝利することでゲットしたジンの力を利用して
キャラクターの特徴が変えられたりなど、
かなり自由度が高い。
その根底に流れているのはなにかっていうと、
「作業になっちゃった戦闘をどうにか変えたい」
ということなんです。
なんで戦闘が「たたかう」「たたかう」ばかりに
なっちゃったのか。それを僕らなりに考えたんです。
でね、戦闘が作業になっちゃったのは、
魔法を使わせないからだなって。
もっと詳しく言うと、
魔法はゴージャスで効果のあるものが
どんどん出てきたんだけれども、
その結果一撃必殺になりすぎちゃったんですよ。

 
──:
それさえ出せば勝てちゃう。
 
宏之:
そう。だから例えばMPの消費量とかは、
ものすごいインフレ化したんですよね。
それから逆にボス戦は手ごたえのあるものにしよう、
っていうことになるから、ボス戦でMP使うんですよ。
そうすると普段に使うと無くなっちゃうから、
もうすぐボス戦に行くかもしれないと思うと使えない。
そういうこと色んなことがあるもんだから、
普段には「たたかう」しかやれなくなっちゃうんです。
でね、「たたかう」をなるべくやらせないようにしよう、
というのがこのゲームの大きなコンセプトなんですね。
それとね、一番派手なものを
とにかくたっぷり楽しんでもらう。
これやると、逆ですよね。
いまのロールプレイングの流れと。
最初は普通に遊んじゃうと思うんですよ。
“ジン”が各キャラクターに
2体ずつくらい手に入りだすと、
戦闘のスタイルがガラッと変わりますね。
ゲームを初めて、初期の戦闘をし始める段階では、
多分、攻撃魔法を頻繁に使わないにしても、
回復魔法をあんまり気にせず使えます。
気にしないように使えるのは、
歩いてるうちに、エナジーポイントって言うんですけど、
回復するシステムにしたからなんですよ。
MAXのまま歩いてると、
エナジーポイント捨てて歩いてるのと同じじゃないですか。
だから適度に使う。
減っちゃうのをすごく気にしながら使うっていうことから、
適度に使う方向にプレイスタイルが変わるんですよ。
これに“ジン”が加わると、
普通に使うと一行動ターン使っちゃいますけど、
“ジン”を使うと攻撃プラス“ジン”の効果っていうのを
やってくれるから、
まあかなり「たたかう」を単独でやるよりお得。
で、見栄え的にも派手。
「たたかう」をやるよりはそっちをやる。
“ジン”を一回使うと、“ジン”を体から放すから
パラメーター的にはプレーヤーは
ちょっと弱くなるんですよ。
そのかわり、“ジン”を解き放つことによって、
召喚獣を呼べる権利ができるんですよ。
で、呼べる権利ができたら使いません?

 
──:
そりゃあ使いますね!
 
宏之:
使っちゃうんですよね。
そうすると、「たたかう」って入れてる
ヒマないじゃないですか。

 
──:
なるほど!
 
イメージ ●「冒険」ってどういうことなんだろう。
 
宏之:
まあ、ほかにもなるべく誰を「たたかう」にさせるかを
的確に選択させるシステムが入ってる。
通常のロールプレイングの感覚でやっちゃうんだよね、
途中までは。僕らの場合はシステムをわかってるんで
「最初から歩くと回復しちゃうからな、
 最初から少しずつ使っとかなきゃ」
って気持ちでプレイするんで、
その時点でもうだんだん変わってってね。
で、空中にジンを解き放つと“ジン”のシステムも
錬金術の法則にしたがっているんですよ。
だから地水火風ですね。
二体ずついてそれぞれバランスよく地水火風揃ってる場合、
どういうふうに使ったほうが得かっていうと、
まあ、みんながまんべんなく出すんであれば
どうでもいいんですけど、次のターンに、
例えば強力な召喚獣を出したいというのがあれば、
同じ属性のヤツを同一ターンで
飛ばしたほうが得なんですよ。
なぜかっていうと、一匹よりも二匹飛ばして呼べる
召喚獣のほうが圧倒的に強力なんですよね。
そうなってくると、キャラクターにも属性があるから、
みんな水のキャラクターには水のジンを付けたがる。
そのほうがパラメーター的には得かなって思うんですよ。
でも、先の方までやっていって
付け替える習慣ができてくると、
そのやり方が一番お得ではないってことが
わかってくるんです。でもね、いま言ったみたいに
同一ターンで同じ属性のやつを飛ばしたほうが、
次のターンの召喚のときにお得であるということになると、
ある程度散らすようになってくるわけですよ。
で、召喚をやる。召喚出すと気持ちいいんですよね。

イメージ 秀五:
でも、気がつかない人は気がつかないんですよね。
この前も出版社の人が来てキャラクターと同じ属性の
“ジン”を付けたほうが有利ですよねって
言ってたくらいだから、
ある程度やり込んでても気がつかない。
でも、冒険てそういうことだと思うんですよ。
色んなことを試してみること。
だから、そういう場を用意するのが
僕らの役目だと思うんで、
それを積極的に遊んで欲しいなと。
積極的に遊んでもらう仕掛けを
すごく練って作っていると思うんですよね。
だって普通だったら、
キャラクターとおんなじ属性のを付けていくほうが
保守的な感じがして安心感があるじゃないですか、
日本人として(笑)。
でも、確かに安心感はあるけれども
そればかりを求めていたら冒険にならないよ。
冒険ていうのは小さいときだったら、
近くのお店に買い物に行くっていうのも冒険だったり、
大人になって経験を積んで、
さらに冒険するっていうのは何なのかって考えて、
どんな体験をしようかっていうのが
冒険になっていくわけじゃないですか。
そういう場をどう用意するのかっていうことを
すごく考えましたよね、今回。
それが、それぞれのキャラクターに
色んな“ジン”をくっつけてみようってことになった。
で、それが結果的に有利になるような
仕組みが多いんですよ、実は。
さっき言ったように、おんなじターン上で
おんなじ属性のジンを飛ばして
そうすると結果的におんなじ属性のジンが
スタンバイになって召喚使えるようになって、
威力のある召喚を一気に使える。
一気に使ってできるだけ早めに
またジンが自分の体に戻ってきてくれたほうが、
パラメーターが落ちてる時間が短い。
もうひとつあるのは、ジンが戻ってくるタイミングが、
ひとりのキャラクターに対して
一ターンにつき一体なんですね。
だからひとりのキャラクターに
おんなじ属性のジンを付けて
そいつが飛ばして次のターンにまた飛ばして、ってやると、
召喚撃つのも当然2ターン後になっちゃいますよね。
で、戻ってくるのが1ターン後に1体だけ、
その次のターンにまた1体。
ところが別々に付けておけば
一気に一回目のターンで飛ばしておいて
二回目のターンに召喚撃って
次のターンにはみんなに戻ってくる。
当然お得ですよね、サイクルが短いから。
そういうふうにやってもらいたいなあっていうのが、
実は思いとしてあるんで。
だから保守的に遊ばない。
  ──:
冒険してくれ! と。
 
秀五:
そうです。

 
宏之:
この使い方を覚えると、
ボス戦でものすごいプレーヤーが
積極的な状態になってるんですよ。
もう、自分で戦闘してないにも関わらず、
アドレナリンが出まくってるんですよね、
不思議なことに。

 
──:
気持ちいいでしょうね〜!
 
宏之:
ものすごくイケイケ状態になってるんで、
あとでグッタリ、瀕死になります(笑)

 
──:
(笑)
 
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●殻を破るゲーム。
 
宏之:
いままでのロールプレイングと
こんなに戦い方が変わっちゃったんだなって、
自分でプレイしてみて驚きますね。

 
秀五:
だから、RPGっていうのはすごく様式ができちゃってて
それに準じて作り手側が作っちゃってるっていう、
殻に閉じこもった作り方してるっていうのは
あるんですけれど、逆にこういう、
積極的に遊ぶと冒険を楽しめるっていうゲームを
作ってみると、実は遊び手側もすごくその様式に
慣れてたんだなってことに気づくんですよね。
今までとおんなじ遊び方をしちゃって
何も疑問を持ってないっていう。
このゲームは殻をお互いに破るゲームです。

 
宏之:
そこを遊んで貰えれば、ものすごく楽しんで貰える
ゲームなんじゃないかと思うんですよ。

 
秀五:
ジンを身に付けるとクラスが変わって、
使えるエナジーもいろいろ変わる。
で、さらに戦闘ではそのジンを飛ばすことによって
付加効果ができたり召喚ができるようになったりする。
だから全部実はつながっているんですよね。
理にかなってる。

 
宏之:
ジンは通常に遊んでいるとある数しか集まらないんで、
ジンがたくさんいたほうが
強いぞ楽しいぞっていうのがあると、
結局プレーヤーはサブクエストのほうに
行かざるを得なくなる。

 
秀五:
でもサブクエストは手ごわい、と。

 
──:
よくできてますねー。
はめられた(笑)。
 
宏之:
だからだんだん深みにはまる。
そういう感じになるんじゃないのかな。

 
イメージ 秀五:
超能力としてジンをそういうふうに
身に付けることによって
クラスが変わっていくっていうのは
去年の段階から整理されていたんですけど、
それを戦闘に理にかなった形で乗せたっていうのは
2月くらいだったかな。

 
──:
ギリギリですね。
 
秀五:
最初、ある形っていうのはあったんですけど、
ほんとにそれでいいのかっていう、
詰めていく時間が欲しかったんですよね。
ほんとにこれでいいのかって自分達に問いただす時間が。
ほんとに合理的に収まりがつくシステム、
しかも積極的にジンが使えるようなシステム。
多分普通の作り方だったら、去年の段階で
「そういうふうに使えばジン使えるんだから」
「ジン使ったことが有効になるんだから
 それでいいんじゃないか」
ってとこで終わるんだと思うんですよ。
それが普通だと思うんですけど、今回それであきらめずに、
「ほんとうに積極的に使ってこそ、
 ジンの効果はもっともっと大きなものになって楽しいよ」
っていう、それが要は「新しい体験をする」イコール
「冒険」みたいな形でつながっていって、
しかも理にかなっている
やり方っていうのを煮詰めるために、
プラス二か月使ったっていう感じだもんね。

 
宏之:
うん。そうだよね。

 
秀五:
だからプログラマーには相当せっつかれましたね。
もう間に合わなくなっちゃいますってね。

 
宏之:
ただ、きっと遊んで感じて貰えるんじゃないかな。
「あ、これはほんとうになんか整合性があるなあ」って。
世界観と、戦闘するっていうこと、
それから冒険をするためにエナジーを使うってこと。
例えば謎解きをするときのエナジーも、
ちゃんとジン配分して使えるようにしなきゃいけない
エナジーがあったりするんですよ。
「え、これどうしたらいいの」
「こうやると、あ、このエナジーが出てきて、
 このエナジーを使うとこれができるのか」
みたいなね。

 
秀五:
そうやって職業を変えたり、
自分が使える能力が変化するってこと自体、
多分ユーザーは味わったことがないと思う。

 
イメージ ●理不尽か、新鮮か。
 
宏之:
それにね、もっとショッキングなことがある。
普通戦闘やってて、
「HPが三分の二になったあと一撃殴られたら
 三分の一になる。そうしたら回復やろう。
 ちょうどこいつの番にまわったら回復やろう」
っていうシーンってありますよね。
ところが、ぼくはまったくおんなじ場面で、
コマンド入力をしようと思ったんですけど、
そのターンの始まりにカシーンって音がしたんですよ。
で、コマンドを見たら、回復魔法が無いんですよ。
ジンを発射したときには
回復魔法を持ってたんですよだけど、
ジンが帰ってきて自分にくっついたことで、
クラスが変わっちゃったんですね。
そういうことが起きるのが面白いって言って
このシステム考えたのに、自分でその場面になったら
パニックになりました(笑)。
うそだろーとかいって。

 
──:
(笑)。
 
宏之:
でも、それがものすごい新鮮だった。
そういうのを理不尽と取るかどうか。

 
秀五:
たぶんRPGをドラクエ1から
ずっとやり続けてるユーザーが、
自分の殻を破って積極的に遊んだときに
きっと面白いと思って貰えると思うんですけど。
でもね、
逆に使わないからつまんないって訳でもないなと。

 
宏之:
使わないと普通のRPGになっちゃうんだよね。

 
イメージ 秀五:
うん。そこがだから僕らが今回RPGで提案する
ある側面なのかなと思うんですよ。
マリオテニスで言うところの
「最初のとっかかりからある程度遊べる」っていう部分。
でも、分かってくると、
「こうやるとこういう球が打てるようになるんだ。
 じゃあこれを使って決めて勝ちたいよな」
と思えるようになるのと
おんなじ部分が実はそこにはある。
考え方としては。

 
──:
なるほどね。
 
秀五:
きっと、ちっちゃい子でもエナジーを使って
冒険していることは充分楽しいと思うんですよ。
当然エナジーを使わなきゃいけない場面とか
シチュエーションで出てくるんで。
でも、どんどんやり慣れてきて
今度は戦闘でエナジーだとかジンだとか
召喚だとかをやっていくと、
またもっと深いところで遊べる。
僕らの願いとしては、
そういう深いところまで遊んで欲しいですけど。

   
宏之:
表面的にさらっと遊んでもちゃんと楽しいようには
作ってあるけれども。

   
──:
でも、もっと奥が深いんだぜっていう。
 
宏之:
そうですねー。

 
秀五:
友達同士で遊んでれば、きっとその人なりの遊び方が
全然違うんだろうなと思ってるんですよ。

 
──:
そうですよね。
 
イメージ 秀五:
だから「あそこ全然わかんないんだよね」って人が
片方にいて、
「ええっあそこはすんなり解けちゃったよ」っていう人が
もう片方にいるってことが起こりうるゲームなんですよ。

 
宏之:
下手をするとジンをぜーんぶ集めても、
ちゃんと組み替えてベストの選択をやらなかった人は、
7割くらいしか集まってない人間と、
戦ってみたら弱いかもしれない。

 
──:
そうですよね、ありえますよね。
 
秀五:
今回は実際対戦もできるんですよ。ケーブル対戦で。
そうすると相手の戦い方と自分とのやり方の違いに
唖然としますからね。そういうのを味わって欲しいな。

 
宏之:
ジンを飛ばしたときに
こういう職業になっているってことを
お前は全部覚えているんだなっていうような
戦い方をするんですよ。うまい人になると。

 
秀五:
ジンもねえ、捕まえるの大変だもんねー。

 
宏之:
まあね。でも、ジンを探していると、
本編のストーリー何だったか忘れちゃったりしますよ。

 
秀五:
(笑)うちのスタッフはデバックの中盤あたりに、
エンディング直前まで進んで
「もう完璧ですよ。もうジンもほとんど
 捕まえちゃいましたから」なんて言ってたんですよ。
実はそのときには、製品版では入ってるんですけど、
ジン一覧表っていうのが
入ってないバージョンだったんですね。
で、次の日に入ったんですよ、
そのエンディング迎えた次の日に。
で、「どうだった?」って聞いたら
「もうすっかすっかでした」とかいって。

 
イメージ ──:
実はもっといっぱいいたんですね(笑)。
 
秀五:
で、エンディングまでのデータが残ってたんで、
それでそこからまた世界一周してました。

 
宏之:
めちゃめちゃ楽しんでましたよ、スタッフも。
いままで遊んだRPGのなかで
一番戦闘が楽しいって言ってました。

 
宏之:
始まったくらいのところは普通じゃないですか。
だから、ある程度進んだところで
「あれ、これはなんか違うぞ」
ってくるのはどうだろう、5時間6時間プレイしないと。

 
秀五:
うん、そうだろうね。

 
宏之:
そのくらいになってくると、
これはちょっと違うんじゃないかと。

 
秀五:
正直言って新しいシステムばかりなんで、
そこで色んな作り方ができるんですけど、
新しいシステムばかりなんですよって
広げちゃうっていうやり方もあるけど、
僕らとしてはそれで拒否反応示されちゃうのは
すごく違うなと。

 
宏之:
イメージとしては
ワンボタンでラリーの応酬ができるくらいだね。

 
秀五:
そう、ほんとにそういうところは
「マリオテニス」と一緒なんですよ。考え方としては。
だからキャメロットのゲームはそういうゲームだと。
やってて、これ普通のゲームじゃないかと思ったら、
キャメロットが作ってるんだから
なにかあると思って貰えればいいかなあと。

 
──:
ありがとうございました。
 

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「黄金の太陽」タカハシブラザーズインタビューは
今回にておしまいです。
また次のソフトをつくられたときは
必ずお伺いしますからね。
また、ぼくらをビックリさせてくださいね!
 
  2001-11-13
 
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