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『室内プロゴルファーをめざせ!』
マリオゴルフ64は、やめられない。

 

 

マリオゴルフ64

『マリオゴルフ64』(第6回の3)
任天堂企画部 お手本(?)マッチ
 〜こない打てばええんや! 後編〜



「樹の上の秘密基地」マリオゴルフ64篇、
今回は、任天堂企画部マッチの後半戦です。
その勝負の行方はいかに!?
(前編をまだ読んでないひとは、
「第2回」から見てくださいね)





京都・任天堂本社、時は静かな昼休み。
おしゃべりを楽しむ人、コーヒーを飲む人、
本を読む人など、みんなそれぞれのくつろぎタイム。
ふだんの忙しさを忘れさせてくれるような、
あたたかい日だまりのような時間が流れていきます。

……のはずが、なにやらカンカンガクガクの
喧騒が響いてきました。
音の出所は、会議室です。

「あかん!」
「弱いでー!」
「外せーっ!!」
「どっひゃーっ!!!」


ああ、さわがしいこと、さわがしいこと。
いったいどうしたことですか。
そうです。前回からお届けしている
「任天堂企画部 お手本(?)マッチ」
の、後半戦が行なわれているのです。

エントリーは、この3人。

●1P● 山内さん……マリオ
●2P● 本郷さん……メイプル
●3P● 萩島さん……ヨッシー

前回ルポした前半戦(第1〜第5ホール)では、
引き分けに次ぐ引き分けが続きました。
メイプルをあやつる本郷さんが
第1ホールでポイントを先取して以来、
第2ホールから第5ホールまでは、
ずっと本郷さんと萩島さんがタイで持ち越しています。
つまり、勝者に与えられるポイントも、すでに
4ポイントの「保留」になっているんです。

1ホールごとに1ポイント、引き分けならばそのポイントが
次に持ち越される「スキンズマッチ」ですから、
ここで、たとえば山内さんが勝って、一気に5ポイントを
奪取することもできるはず。
オッズが高いほど燃えてきますね。
熱戦(舌戦?)の模様、引き続きお楽しみください。

 

 ヨッシー




   6H 138yd パー3   


さて満を持しての第6ホール。
勝てば累計5点が入るとあって、
これまで引き分けを続けてきたメイプル本郷と
ヨッシー萩島、ともに力が入ります。
マリオ山内は、…………あれ?
どこ向いてるの?

本郷:
これとったら5ポイント連取やね。
これはきっついなあ。

山内:
ふふーん。

さあ、ティーショットはメイプル本郷からです。
打った! おお、これはワンオン狙いか!?



本郷:
よし、ちょうどじゃないかな。
よし! 
ほれ、ほれ、ほれ、ほっ! 
あー
……

飛距離は140.73ヤード。わずかにグリーンを越えて
グリーンエッジにひっかかりました。
くやしがるかと思ったら、メイプル本郷、
意外と涼しい顔です。

本郷:
まあ、でも、10m前後は
確実に入れる
パターの腕があれば、 怖いことないですからねー。

どうやら、前のホールで超ロングパットを決めてから、
パターの腕には自信をもっているようです。
続いてはマリオ山内。
マイペースでティーショットを決めました。

山内:
あかん!
チェッ。短いわ……。
ああ!

おお! ボールはまっすぐピンに寄っていきます。

一同:
あっ!! あああ! ああ!
入る? 入る? まさか!?

入るかーっ? と、
思わせぶりにボールは転がりますが、
残念ながらホール・イン・ワンはならず。
132.34ヤード。ナイスオンです。
マリオ山内、ついに「本物のゴルファー」の
面目躍如か!?
涼しい顔の山内。



ヨッシー萩島はアッサリとナイスショット。
136.43ヤードでナイスオンです。

ただひとりグリーンに乗らなかったメイプル本郷、
2人の活躍をみてちょっと自信喪失。
グリーン外からチップインを決めなければ
バーディはありません。
難しい! これは、難しいぞ!

本郷:
これは痛いね。
せめて、残り4mぐらいにとどめてくれれば。
ピシっと行け、メイプル!
よしっ!(気合いを入れる)

メイプル本郷、細心の注意を払ってのショットです。

山内・萩島:
あっ、強い強い!

本郷:
うわあああああ!!天を仰ぐ)
くううううう…………。

ああ、惜しい! 本当に惜しい!
狙いはよかったのですが、わずかに届きません。
大歓声むなしく、残り60センチ。
ボールは止まってしまいました。

本郷:
これは入れなあかんかったわ……。(後悔)
これで5ポイント、2人のどっちかに取られたら、
ちょっと納得できんですよぉ。

山内:
でもこれ、すごいこう、上って下って、
こう落ちてるから(身振り手振りで起伏を表現)、
もうちょっと左だよ、これ。

ヨッシー山内のアドバイスを素直に聞くメイプル本郷。
その成果あって、みごとカップイン、
パーを決めました。

 

ナイスショット!


本郷:
おお、よしよしよしよし。
パチパチパチ(自分で拍手)。
ええかんじ!

続いて、ナイスオンしたマリオ山内、ヨッシー萩島は、
ともに、カップイン。バーディです。
あれ? ということは、けっきょく、
また、持ち越しですか?

一同:イエーーーイ
  
(叫びながら笑う)

萩島:
流れまくってますよ。

本郷:
おーし。流れまくり。ええやないの。

 

バーディ




   7H 387yd パー3   


ポイント6つをかけた第7ホール。
コースが長いうえに、向かい風が吹いています。
先発のメイプル本郷、
じっくり風を読んでのティーショットです。

本郷:
1番ウッドで、215ヤードか。
まあ、あんまり飛ばしてもしょうがないね。

メイプル本郷、力強くまっすぐ飛ばします。
しかし、
ああ、風が! 風が押し戻し、
211.07ヤードしか飛びません。
風の影響って、けっこうあるもんなんですね。
続いてマリオ山内は、ナイスショット。
フェアウエイにギリギリのラフですが、
252.28ヤードも飛ばしました。
最後のヨッシー萩島は、216.35ヤード。
どうやら、風向きはマリオ山内に味方しています。
面白くないメイプル本郷、
「なんや、恐竜のくせして……」
と、ヨッシーに八つ当たりです。

このあたりから、3人とも、
クラブを変えてみようというワザを出し始めました。
「これか?」
「これやな」
「これでしょ、やっぱり」
なんて、オジサン(……失礼)3人、
まるで本当のゴルフコースに出ているよう。
「キャディさん、5番アイアンちょーだい」
とは、言ってませんけど。

3人がなんだか、ネクタイ姿ではなく、
ゴルフウエアに身を包んでいるように思えてきました。
足の下は芝生が広がり、青空を小鳥が舞っているよう。
なんだか見てるこちらもいい気分です。
メイプル本郷なんて、鼻歌まじりで
ショットしようとしていますよ。



本郷:
よし、よぉーし!
行きまっせ〜〜〜。
(ショット)

本郷・山内:
あっ!

山内:
……こらあかんわ。

本郷:
え!? なんでや。全然飛ばへんな?
それなりに飛んだか?
あれ? あれれれれ?

山内:
飛んでないわー。

はい、飛んでません。またもや風に押し戻され、
ナイスオンならず。
しかも、……バンカーです。

本郷:
(残り)31ヤード。あああ。
「イチ抜けた作戦」やったのにぃ。

「イチ抜けた作戦」?
さては6ポイント、狙ってましたね?

ヨッシー萩島、落ち込むメイプルを
横目に、クールにショットします。
しかし、あらら……こちらも、
バンカーに入ってしまいました。

山内:
チャーンス!

マリオ山内、がぜんやる気まんまん。

 


この笑顔が運を呼び込む!?

 

 

 

 


山内:
(ショット)
あーっっ!!(絶叫)
あ、あ、あ、あああああ……。(落胆の表情)

グリーンはおろか、バンカーにさえ届きません。
次の3打目で、ようやくグリーンに乗せました。
続くメイプル本郷、3打目ですが、ピンまで5メートル。
ヨッシーも、3オンでグリーンに。
あとは、パット勝負です。
まずはメイプル本郷から。

萩島:
これは難しいですよ。

本郷:
これも向こうに下がってるの?
いよっと! (ショット)

あああああ! 残りわずか80センチ。
届きません。がっくり。落胆。
メイプル本郷、
「アイタタタタタタ……」
と頭をかかえてしまいました。
これでヨッシー萩島がパットを決めたら、
ポイント総取りの可能性が。
し・か・し……。

萩島:
あっ!

本郷:
それ弱い、弱いわ!

山内:
弱い!
あああああ!! 
ラッキー

残り1メートルで、ボールはぴたりと止まります。
手を取りあって喜ぶメイプル本郷とマリオ山内。
結局、マリオ山内は5打目で入れてボギー。
ヨッシー萩島も5打目でボギー。
またもや引き分けで、勝敗つかず。


案外、アプローチショットって  
難しいんですよ

 



残りわずかを残して入らないときほど
悔しい瞬間はありません




MARIO GOLF 64
 

   8H 511yd パー5 


第8ホールは、ずいぶんと距離があります。
パーは5。
前のホールで精根尽き果てたのか、
どうもショットに力が入らない模様です。
最初のメイプル本郷、距離を決めるボタンを押す
タイミングを逸し、226.17ヤードと、飛びません。

本郷:
なんかティーショットに精彩を欠いてきたなあ。

山内:
次はおれやな。(ショット)
……ああっっっ!!
大失敗やあ、これ!
こないな
ヘボいショット、打ってたらあかんわ。
精彩を欠いたなあ。

238.73ヤードは、マリオにしては
飛んでいないほうなのです。
そしてヨッシーも、「ナイスショット」を出した割に
214.59ヤードと距離が出ません。
「なんか、集中力ないなあ」
とマリオ山内のいうとおり、
前半とばしすぎて息切れしたか!?


 

 

 

 


山内:
ここで、ここで、ちょっと待てよ。

本郷:
「ここで武蔵は考えた」ってか(笑)。
……
考えへん、ちゅうねん。

山内:
110ヤードやから、110残して……。

本郷:
あ、残りを考えてるんですか。
次の打席も110ヤードでフルショットができる。
なるほど。

山内:
これやったらちょうど100や。
でも5m吹いてるから、ここで110くらいちゃうか?

本郷:
考えてるなあ。

山内:
風が強すぎるな。風を計算に入れなあかんかったな。
ま、こんなもんで。

というマリオ山内、2打目、139.37ヤード、
フェアウエイのど真ん中に落としました。
すぐさま3打目に入りましたが、
今度は考えすぎて、クラブ選択を誤ったようです。
8番アイアンで、ラフへぽとり……。

一同:
ハハハハハ(笑)。

山内:
全然だめや。



本郷:
やっぱり5mの風やな。

山内:
全然だめやった、今のは。
策に溺れたな(笑)

本郷:
策士破れる(笑)。

そうこうしているうちにヨッシー萩島、3打目で
グリーンに乗せます。しかも、ニアピンです!
メイプル本郷もナイスオンですが、残りは6メートル。
最後になって実力の差が出るのか?
そしてマリオ、4打目はバンカーへ。

山内:
もう
じぇんじぇんアカンわ。

5打目でやっと、グリーンに乗りました。
さあ、メイプル本郷、鼻息荒く、自信満々です。

本郷:
これはもう、パターうまいから入れるでしょ。
グリーンも、真っ平ら。
どう考えても
まっすぐ打ったら終わりとちゃう?

萩島:
絶対入りますね。

本郷:
絶対。このホールで終わりやね。

山内:
強め強め強めで。

本郷:
第2ホールから持ち越しやから、
トータル6ポイントやもん。よし。
こうか!(ショット)

山内:
お、いい、大丈夫、大丈夫。

本郷:
入ったっ!!!
よっしゃあ!!(絶叫)



マリオ山内は実際のゴルフと
照らし合わせているようですが、
どうも勝手が違うらしい


メイプル、バーディです。6ポイントは本郷の手に!と、
誰もが本郷の勝利を確信した瞬間、
ヨッシー萩島が、難なくバーディ。

本郷:
えっ?

萩島:
ふっふっふ。

山内:
また
引き分けかい。

あーあ。またしても持ち越し。
いったいどーなるんだ、この勝負の行方?



キーマンはヨッシー萩島!?





MARIO GOLF 64
 

   9H 409yd パー4   


雨が降ってきました。
風もあります。最悪の状況です。
しかも、コースには池が。
なかなか難易度の高いコースのようです。

本郷:
ああ、雨降ってもうた
風もある。これは危ないんちゃうの?
かなりこのへん、風に逆らって打たんと。
方角はまちごーてへんよな。

山内:
難しいわ、このホールは。

萩島:
難しいですよ。

本郷:
ほら、ギリギリや、危ねえ。

メイプル本郷、198ヤードを飛ばし、
ラフぎりぎりのフェアウエイに。
マリオ山内は、それを見て加減がわかったのでしょうか。
うまい具合に、248.78ヤード、フェアウエイまっすぐの
ナイスショットを決めました。
そしてメイプルの6点先取を実力ではばんだ
ヨッシー萩島の番。ああ、これは難しい!
フェアウエイの真ん中に落としたくても、
風にあおられてバンカーに入る危険が大です。
力いっぱい打たないほうがいいのでは?

一同:
ああっ!!

ヨッシー萩島、力いっぱいのショットをしてしまいました。
案の定、風が球を押し流し、バンカーにぽとり。

山内:
(本郷さんに向かって)
チャンス!

一同:
ハハハハ(笑)。

そのままヨッシー萩島の第2打です。
なんたることか、バンカーから出しても、
行く手を池がはばみます。

本郷:
これは難しいなぁ。
に入れないようにせんとな。
こんなところで池に入れたらなあ、
シャレにならんで。

萩島:
よし!……ちゃんと打てた! よかったぁ。

ヨッシー萩島、細心のショットで
うまくバンカーから出しました。
池も回避し、なんとかフェアウエイに。
次は、残り198ヤードのメイプル本郷です。
にわか連合軍のマリオ山内が真剣にアドバイス。

本郷:
まっすぐに打ったほうがええの?

山内:
いやいや、おかしい。
もっと左やて。


 

 

 


雨が降って風が強いとき、 
ショットはかなり影響を受けます


本郷:
このくらい?

山内:
もっと左やん。
だから、少し、グリーンが右に下がってるから、
普通に打ったら左に出るわけでしょ。

本郷:
だから、こうやね?

山内:
だから違うってー。
(ちょっとすねて)
ええわ、
もうそれでさっさと
打ったらええやん!

連合軍、決裂です。

本郷:
いやあ、人の意見はあまり
参考にならんからなあ。

山内:
そんなんやってたら絶対右行くって。バンカーに入るって。

本郷:
いやあ、これはこんなもんでしょ。
(打つ)あっ!

ずばり、マリオ山内の読みが的中!
メイプル本郷の打ったボールはバンカーに
飛び込んでしまいました。

一同:
ハハハハハハハ(爆笑)。

山内:
ー(バカ、のシャレのつもり)。フフフフフ……。

萩島:
方向はあれでいいんですよ。

本郷:
短かった?

萩島:
短かったですね。

本郷:
くっそーーー。

山内:
よし、ワシはこれで。
いや、これだったら強すぎるかな?

本郷:
そんなんでグリーンに乗せられた日にはまた、
もう、
絶対絶命のピンチや。
ここまできて
1人に8ポイントも取られてみぃ。

マリオ山内、「これはもらった!」とばかりに
意気揚々のショット。
しかし……。



「こうなっとるから、こうやね?」

一同:
ああーーー!!(絶叫)

押すタイミングをミス!
ぜんぜんグリーンに届きません。

山内:
なんやこれ(笑)!

笑いながら怒るマリオ山内。

本郷:
急になんか、ものすごく、チャンス到来。

萩島:
もっていかれちゃうなあ、これ(笑)。

本郷:
なんであんな、はよう押したんです?

山内:
押し間違えたんや、ほんまに。

本郷:
よくあるほんまの「ザックリ」と同じやね。
ボールに当たらずに、芝たたいてもうた、みたいなもんや。

山内:
こんなんで熱うなるのやめようよ(笑)

一同:
何をいまさら(笑)。

萩島:
いや、この展開は面白い(笑)!
これ、本郷さんに持っていかれたかもしれない。

といいながらヨッシーのショット。
やはり、グリーンには乗りません。

本郷:
え!? 
サードショットで乗らんかったの

萩島:
乗らんかったです。

本郷:
ほっほう〜

マリオ山内も、3打目を打ちましたが、
グリーンに届かず。
4打目でようやく乗せました。

山内:
あ、こらあかん。




これによって、2打目をバンカーに入れていた
メイプル本郷に、ふってわいた大逆転のチャンス。
バンカーはグリーンのすぐ脇。
うまく脱出して、ピンそばに寄せられれば、
このホール、メイプルが勝つ可能性、大です。

本郷:
これはひょっとして展開的に、
私が8ポイントいただいたみたいで、気ィ抜けるなあ。

よし。(ショット)
ああ。なんかうますぎるわ、
自分。

8ホール連取してしまうわ!
くっくっく……。

メイプル本郷、みごと、寄せに成功です。

山内:
ピンそばやん。
あーあ。(コントローラを放し、頭に手を乗せる)

本郷:
(自慢気に)
圧勝ですな。
決まったかな。

もう勝ったも同然と、メイプル本郷はすっかり
余裕の表情になっています。
このホールでの勝者には、
合計8点ものポイントが入ります。
メイプル本郷は第1ホールで勝っていますから、
累計9ポイントになり、あと1ポイント稼げば
この試合は優勝というわけ。
麻雀ならリーチ、将棋なら王手です。



ヨッシー萩島、メイプルを阻止するために、
直接カップインを狙います。
しかし残念。グリーンに乗せるにとどまりました。
残りを沈めてボギー。

マリオ山内も、5打目で入れてボギー。
メイプルは、まっすぐ1メートルのイージーパットを決め、
見事なパーです。
やった! メイプル本郷、待望のポイントゲット!

山内・萩島:
うわああ!!(絶叫)
キッツー。

本郷:
うますぎる。
うますぎる。
どうぁっはっはっは!
(高笑い)


ボギー



メイプル本郷へ一気にコインが入った瞬間



MARIO GOLF 64
 

   10H 409yd パー4  


さあ、いよいよ、勝負の第10ホール。
これで、メイプル本郷が勝てば、
18ホール中過半数の10ホールを制覇したと
いうことで、優勝が決まります。

まずはメイプル本郷、余裕のナイスショットで
フェアウエイの真ん中に落としました。

そして、静かに、マリオ山内が
ティーショットを放ちます。
美しい軌跡を描いて飛んでいくボールに、
日差しが当たり、キラキラッ、と光ります。

萩島:
……美しい。なんて美しいショットだ。

本郷:
おお!
おおおおお!(拍手)

さっきまでの毒舌はどこへやら、3人の間には、
厚い友情のようなものが芽生え始めたようです。
惜しみない拍手を送りつづけるメイプル本郷。
画面にも「エクセレント!」の表示が。
しかも、ワンオン。イーグルチャンスです!
天はまだまだマリオ山内を見捨てていなかったのか?
ここから奇跡の10ポイント連取で大逆転優勝なるか?

萩島・本郷:
うおー、わおー! 
山内さん、やるやん!

山内:
しかしやね、今さら、っちゅーとこやねぇ。
(ちょっとあきらめ顔)
これがもっと前に打ててたら、勝ってたのになあ?

続いてヨッシー萩島のティーショットは、フェアウエイへ。
2打目でグリーンに乗りました。
メイプル本郷の2打目は、グリーンの端、ピンから
15メートルの距離に着地しました。

さあ、メイプル本郷がこのホールでポイントゲットして、
優勝するためには、

メイプル本郷が15メートルの
 ロングパットを決めてバーディにしたうえで

マリオ山内がイーグルパットをはずし、
 さらに、バーディパットもはずし

ヨッシー萩島も、バーディパットをはずす


という3つの運(というか実力?)が味方して
くれなくてはいけません。

まぁ、無理な話でしょう。
そんなシナリオ、映画じゃあるまいし……。

と、誰もが思ったその時。
ツキ、というものは、やはりあるのでしょうか。
それとも、これが恐るべし本郷さんの
ここイッパツでの底力というものなのでしょうか。

 

 

 

 

 


イーグル以上をねらえるときは、
この表示が!


本郷:
あ?
ああああああああああああ???

一同:
おおおおおおおおおおおおおおお!!!

なんと、メイプル本郷が、
15メートルのロングパットを決め、
バーディを取ってしまったのです!
すばらしい超ロングパット! ジャンボ尾崎もまっ青!!

こうなってくると、プレッシャーがかかるのが
マリオ山内とヨッシー萩島です。
メイプルを優勝させるか否か、自分たちの双肩に
かかっているんですから!

先にイーグルパットを打ったマリオ山内、
短い! イーグルならず。
微妙に残った3メートルの距離。

続くヨッシー萩島も、カップインまであと70センチの
ところで、ボール止まる。
バーディならず。
まずひとり、脱落!

さあ、残るはマリオ山内ただ一人。
入れれば、引き分けで次ホールへもちこし。
外せば、本郷の優勝が決まります。

慎重に。3メートルのパットって、
けっこう難しいものなんです。

山内:
俺、これ、入れなあかんの?
な、入れなあかんの?

本郷:
入れて引き分けですわ。

山内:
ほな、入れなあかんのやね……。

一同:
あああっ!!!!!!



メイプル本郷のミラクルパットが……


弾道はまっすぐでした。その見定めはよかった。
しかし、ちょっとだけ強すぎたか。
カップの縁をはじいて、ボールはぽぉぉぉおん、と
跳ね、向こう側へ転々。

山内:
もう、もう……、
これで終わりやん……。

肩を落とすマリオ山内。

萩島:
もうこれで終わりでしょ。

山内:
メイプルの圧勝ですな。

本郷:
圧勝でしたなあ。(誇らしげ)
10連勝ですよ。

萩島:
山内さんのパットが全てでしたね。(冷静)

山内:
そうやな、あれが全てやな……。(謙虚)

本郷:
はっはっはっは。(得意)

勝敗が決まりました。

結果は、

メイプル本郷……10ポイント
ヨッシー萩島……0ポイント
マリオ山内……0ポイント


というメイプル本郷の独り勝ち。
しかし、結果だけを見てはいけません!
やっぱりね、このゲームは、戦っている過程が楽しい。
戦っている姿が美しい!
舌戦が楽しい!

さぁて、楽しい昼休みも終了のチャイムがなりました。
3人はまた、ネクタイを揺らしながら、
戦うゴルファーから、戦うビジネスマンの顔へと
戻っていきました。
心なしか、3人とも、うっすらと
日焼けしているように見えますよ。
まさかね……?



カップに蹴られたときの
むなしさったらないんです


いかがでしたか? 任天堂の3人のお手本マッチ。
えっ? あんまりお手本にならなかった?
でも、これだけオトナが熱くなっちゃうゲームなんです、
ってことはわかってもらえたでしょう?
ナニナニ?
「もっとスコアアップの実践テクをみがきたい!」
ですって?
よしきた! わかりました。
次回は、「マリオゴルフ64」をデザインした、
キャメロットの高橋ブラザーズへの
インタビューをお届けしましょう。
「ほぼ日」読者にだけコッソリ、秘技と奥技を
教えてもらってくるつもりですよ。
お楽しみに!!!


 

1999-7-20-TUE

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