わが狭い部屋にやってきた
実家の糠床(の、わけ床)。
平日の昼間は面倒がみれませんから、
冷蔵庫の片隅が「糠床コーナー」となりました。
たぶんそういうことを考えてつくられているんだろうけど
「ぬか漬け美人」(という、ほうろう容器)は
タテにすっぽりと、みごとに冷蔵庫に入ります。
自動製氷機能っていうのがあるではないですか。
あ、うちの冷蔵庫は古いのでついてませんが、
いまどきの冷蔵庫にはそういうのがあるでしょう。
水、入れとくと、氷になるやつ。
ああいうんで、冷蔵庫に糠漬け機能があったらいいのにねえ。
時々、糠と、塩を足しておけば、
いい塩梅にかきまぜてくれて、
野菜は野菜で、洗って拭いて、ぽんと入れると、
食べごろになったのが、お皿にポン。
あとは糠を落として切って食卓にどうぞ!
‥‥無理か。
そういうことではないですよね。
手でかきまぜるから、よいのですよね。
失礼しました。
さて、わが家の糠床は
冷蔵庫に入れっぱなしなわけですが、
これ、ぜんぜん問題ないです。
漬かる時間が、たぶん、遅いんだと思うけど、
蕪だったら半分に切って、塩(あらじお)でもんで漬けると
24時間で食べごろ。
キュウリは、塩で板ずりして、
24時間だと浅漬け、48時間だと中くらい、
3日ほっとくと、古漬けっぽくなります。
茄子は、半分に切って塩をもみ込み、
24時間だとちょっと(ぼくは)物足りなかったので
48時間ほっといたら、いい感じに。
にんじんは、皮をむかずに半分にタテに切り、
やはり塩をもみこんで、これは48〜72時間がよかった。
24時間だとほとんど漬かってなかったです。
大根は、ふろふき大根にするみたいに大きく切って、
皮はかつらむきにして、塩をまぶして漬けると、
48時間がベストでした。
でもまあ、あっさりサラダっぽくたべたければ
早めに出してもいいわけだし、
刻んでお茶漬けにできるくらいしょっぱくてよければ
数日ほっといてもいいわけですね。
毎日「実験くん」感覚で楽しいです。
しかし、糠床が、最初に届いたときの
「ふわふわ」した感じから、だんだんと、
「べちょべちょ」した感じになってきました。
上にうっすら水がたまって、雨後の砂場のようです。
これはどうしたものか。
あ、そうか、そのために、「ぬか漬け美人」には
オプションで「水抜きさん」が付いているんだった。
これを糠床の表面ぎりぎりにしずめておくと、
穴から水が入り込んで中に溜まる、
というしくみですね。
そうかこれを使えばいいんだな‥‥
と思ったけど、ぼんやり記憶の糸をたぐると、
実家ではこういうものは使ってなかったぞ。
どうしてたんだろう?
ということでママ電です。
かあさん、糠床の水、どうしてますか。
「水ねえ。出るのよねえ。
野菜からどうしても出てくるから。
でも、おばあちゃんは、こう言ってたわ。
『せっかくの、おいしい水を、
捨てることはにゃあ』」
‥‥にゃあ。焼津弁(祖母は焼津出身)ですね。
「おいしい水」ですか! なるほど!
ボサノバっぽい! ちがいます!
でもわかる気がする。捨てなくていいと思う。
「そう、わたしも、捨てないことにしてるのよ」
いろいろ苦労させられたけど、
こういう教えは、守っているわけですね。
ていうか、祖母の教えは父が守りたいだろうから
ヨメとしては致し方なくということか。
あ、そこらへんは、触れないほうがいいか。
で、水が出たらどうするんですか。
「糠、送ったでしょう。
生糠と、炒り糠、交互に入れたらいいわよ。
そのときは塩もね。てきとうにね」
ほい、てきとうには自信があります。
そのようにいたします。
だいたいにおいて、ママレシピというのは
分量が「てきとう」ですよね。
それでいいのです。毎日かわっていいのです。
ぼくも分量をはかるような料理はできません。
すべからく、てきとうです。
そういうことで、水が出たら糠を足し、
塩をまぶし、混ぜていく。
いまのところそれでトラブルなく、
順調に漬かっている初秋でございました。
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