「ほぼ日」糠漬け部、活動中
   
モギ
モギの糠漬け
1 眠れ糠床。
モギの糠漬け
からっぽの容器。

さて、われらの報告もこれで最後。

普段は、「気まぐれシェフの謎の夕食」
くらいのペースでしか
キッチンを使わなかった私が、
朝と夜と、糠床をかき混ぜるようになったわけで、
それは、キッチンに置ける革命を
成し遂げたと言っても、
別にいいんじゃないかと思われる。

さて、そして私このたび、
写真をご覧いただいてもわかるように、
例の琺瑯の糠床入れ、「糠漬け美人」を
空っぽにした。
なぜならば、このあと私は、
休暇をとって1週間ほど家を留守にするため、
さすがに冷蔵庫にいれておいても、
糠床を殺してしまうだろうという
予測が立ったためである。

さらに言うと、冬には私が、
糠漬けにするとおいしいとおもう野菜が
少ないということも理由である。
いくら、透明感がある美しい糠漬けになる大根でも、
おいしさの点において、やはりキュウリにはかなうまい。
ナスにはかなうまいよ。
好きでもない種類の糠漬けを
毎日食卓に上らせる必要はなかろうて。

じゃあ、糠床をどうするか?

前回、自分の好みの糠漬けの味とは、
母の作る“ぬかみそからし”たっぷりの
糠床であると判明した。
それはつまり、毎冬「季節じゃないから」といって、
「糠床よさらば」といい、始末している
母と同じ行動をしても大丈夫、
ということでもある。
3週間あれば、確実にあの味を復活できる。

とはいうものの、どうも4ヶ月という短い間とはいえ、
慈しんできた糠床を捨てるのにはやや忍びない。
たとえ、再開したときに、
「やっぱ1からやるか」となって、
そのときに処分しようとも、
今の今は、どうにも別れがたい。

そこで、私は師匠の連載を読み返し、
「糠床は冷凍できる」ということを再確認して、
いままで冷蔵庫にいれていた糠床を、
ジップロックに小分けにして、
冷凍庫に保存したのである。

琺瑯の容器をあらう水はもう手に冷たく、
季節の移り変わりをひしひしと感じつつ。

眠れ糠床。
再びキュウリがおいしくなる季節まで。

とじる