いつまでも、糠床の入れ物だけが、 冷蔵庫の中で冷やされている場合では無いのです。 はやいとこ、そこに、 糠、塩、お湯、昆布エンド唐辛子をいれて、 じゃんじゃん混ぜていかないと、 糠漬けはいつまでたったって、 私の口にははいらないのだ。 急げ! 自分! 師曰く、 「ゼロからの糠床道ならば、 『炒り糠』を手に入れるべし。」と。 しかしながら、家の近所のスーパーには、 『調味ぬか』しか置いてなかったのである。 「これでもいいか?」と、 不肖の弟子は一瞬は思うのだが、 師匠は『炒り糠』と言ってたはずなので、 気を取り直して家に帰り、 すぐにパソコンを立ち上げて、 ネットで購入することにした。 ぽち。 クリック一発で糠が届く。 これが、自分が子供のころに考えていた未来というものだ。 さて、届いて箱をあけると、 それは、『炒り糠』ではなく『生糠』であった。 おおかた、注意書きをよく読まなかったから こういうことになるのである。 ここで、不肖の弟子じゃなければ、 この『生糠』を 『炒り糠』に交換する手続きでもするのだろう。 しかし、いかんせん、愚かな弟子であるので、 師の教えを、自分の都合のいいように解釈するのである。 つまり、『炒り糠』だって、 糠床をつくるときにお湯をいれるはずである。 とすると、糠は水分を含む。 それならば、 炒って水分をとばしてない『生糠』だって、 結果は同じことにならないか。 家に秘伝の糠床などが無いような、 そんな俺様には、無法がぴったりだ。 糠床道のワイルドサイドを歩いていこうじゃないか。 そう考えて、『生糠』で手を打つことにした。 (良い結果を保証することができませんので、 ゆめゆめ、真似をなさいませんように。) さらに。 届いた『生糠』にいれた塩水は、 「一度冷めるまで待つべし」と言われていたにもかかわらず、 冷めるまでの時間をけちったため、 かなりの温度があったことも申し述べておこう。 でも、これでいいんだよ。 なんてったって、私の糠床道のポリシーは、 “Walking on the Wild Side”であるのだから。 (良い結果を保証することができませんので、 ゆめゆめ、真似をなさいませんように。) こうして、できあがったワイルドな糠床には、 もちろん、師の教え通りにキャベツを漬ける。 だがしかし、もしかして、 全く育っていない若い糠床に、 キュウリやナスを漬けてみて、 美味しかったならばもうけもんであるからして、 これも、あわせて漬ける。 なんてったって、私の糠床道のポリシーは、 “Walking on the Wild Side”であるのだから、 当然といえば、当然である。 (漬かったキュウリやナスの美味しさを 保証することができませんので、 ゆめゆめ、真似をなさいませんように。) 育て! 糠床! (つづく)