「ほぼ日」糠漬け部、活動中
   
モギ
モギの糠漬け
1 糠床の幼年期の終わり。
モギの糠漬け
若い糠床につけられた、
ストレンジ・スメルのする塩漬けのナスとキュウリたち。

正直に申し上げよう。
乳酸菌が育ってない糠床だって、
糠床にはちがいあるめえ。
と思って、ナスとキュウリを漬けていたが、
それらは、不味いものである。と。
いや、「不味い」というのは言い過ぎかもしれないけど、
ともかく、美味しいわけではない。
どういうものかといえば、
穀物臭のする塩漬けのナスとキュウリを
思い描いていただければよいのではないか。

しかし、糠床が育つまで
捨て漬けだけをしつづけるというのも
どうも、“モチベーション”とやらが下がる。
せっかく始めたのだから、
糠漬けを漬けている感がほしいのだ。
野菜をとり出しては、糠床をまぜる、という、
その行為がしたくもあるので、
捨て漬けだけをするというのは、
楽しくない。

なので、美味しくなくてもいいから、
キャベツの他に、ナスとキュウリも
漬け続けることにした。
そして、毎朝そのストレンジ・スメルのする
ナスとキュウリの塩漬けを食べ続けた。
かつお節なんかをまぶして、
ごまかしごまかし食べた。
やがて、美味しい糠漬けになるという未来を信じて。

そして、その日は突然にやってきた。
もちろん、手帳にメモをしてある。
9月5日のことだった。
8月18日に糠床を育て始めたので、
18日目のことである。

ストレンジ・スメルが無くなったのだ。
いや、その前から無くなっていたのかもしれないが、
気がついたのがその日であった。
たぶん、糠に充分に乳酸菌やらなにやらがまわり、
糠床として独り立ちをしたのであろうと思う。
まさに、糠床の幼年期が過ぎ去ったのであろう。

しかし、糠床は大人の階段を上り始めたばかりなわけで、
でき上がった「糠漬け」は、
ちーーーーーーーーっとも味に深みが無いのである。
青春とはそのようなものである。
味わい深い糠床を食卓に上らせるためには、
この青い糠床をどうにかしてやらねばならぬ。

私がまずすべきことは、
師匠にメールをすることであるのは
言うを待たない。

「じゃ〜ん。(Macを起動)」

とじる