- 渡辺
- そんなに練習不足で、
「やっぱりマラソンを走るのは、
ちょっとやめておこうかな、今年は」
ってことは‥‥なかったんですよね。
すごく不安でも、やってみる、
っていう感じだったんですか?
- 持田
- それまでに、いろんなところで、
「走り終えた自分に出会いたいです」
みたいなことをいっぱい言っちゃったんで(笑)、
まったく後に引けないっていうような状況でした。
- 渡辺
- 比べるものではないのかもしれないですが、
ほかに経験した不安感とは違うものでした?
- 持田
- たとえば、風邪を引いて、
「声が出ないな」っていう時でも、
ステージに立って歌うわけですが、
その時は「わたしに何ができるかな」
っていう不安感なんです。
けれどもマラソンは予想がし切れない。
やったことがないことだったので、緊張しました。
どんなペースで走りだせば、最後まで持つのか? とか。
でも一緒に走ってくれてたトレーナーの方が、
すごくポジティブな方で、人に不安を与えない。
- 渡辺
- あ、いいですね。
- 持田
- 「大丈夫です!」って言ってくれるので、
「あ、大丈夫なのかな?」みたいな。
それでも前の晩は1時間しか眠れなくて。
そのままスタートをしたので。
その日は──、ドリフのコントみたいな
感じがするくらいの豪雨で、
本当にもう、ブシャーッって、
吹きつけるような雨が降っていたんです。
もうメイクもこんなになっちゃって、
「目が開けられない!」みたいな感じのだったんですよ。
- 渡辺
- そうとうな悪コンディション‥‥。
- 持田
- あんなに大勢の、
雨の中にひびく足音を聴いたのは初めてでした。
ダッダッダッダっていう、あの足音。
すごく心地よかったです。
- 渡辺
- やっぱり20キロまでは大丈夫でした?
- 持田
- 20キロまでは全然大丈夫でした。
景色がいろいろ変わって、
「わぁ、やっぱり初めてのフルマラソンが
ホノルルでよかったな」
っていう感じだったんですけど、
20キロを超えた辺りから、
景色が何も変わらない高速道路で、
折り返しの人たちと会うのに、
その折り返し地点にまったく着かないんです。
あれが辛かったですね。
- 渡辺
- その辛いのは、足が痛いとか、そういうことではなく?
- 持田
- 精神的に「これ、やりきれるかな」っていう感じです。
- 渡辺
- 「最後まで行ける!」って思ったのって、
どの辺りなんですか。
- 持田
- ゴールが見えた時ですね。
そこまでは、いつ終わりになるかって思っていて。
一朗さん(ELTの伊藤一朗さん)が応援に来てくれて、
途中で、「持田、もうすぐだぁ!」
みたいに言うんですけど、
ごめんね、かまってられないので、
みたいな感じで(笑)。
- 渡辺
- でも、持田さん、ゴールまで
「持ちこたえる力」がすごいですね。
普通、20キロちょっとしか走ってなくて、
本番で42.195を完走って、
なかなかできないと思うんですよね。
- 持田
- みんなで一緒に走れていたことも
大きかったと思います。
1人じゃなかったので。
マネージャーさんも一緒に走り、
元選手だったトレーナーさんも伴走しながら
「この坂は、あえて、前かがみで」とか、
「登り坂は歩かず、がんばって走って!
下りは膝をいためないように歩いていいですよ」
というように、ぜんぶ教えてくださったので。
- 渡辺
- じゃあ、もうゴールした時は!
- 持田
- うれしかったですね!
走り終わってシャワーを浴びて、
ごはんを食べて乾杯して。
部屋に戻っておふとんの中に入った時の気持ちは、
もう過去最高ですね。
そのまま気が遠くなって眠っていくっていう、
あの心地よさは、あれのためだけに
もう1回走ることができる気がするっていうくらい。
やっぱりいい経験でしたね。
いろんな方々も「モッチー、頑張れ!」
みたいに言ってくださってましたし、
これまでに経験してきたライブもそうですけど、
たくさんの人と同じ思いで時間を共有することって、
滅多にあることじゃないなと思います。
マラソンもそれと一緒です。
あんなに大勢の人と一緒に走るって、
すごいことですよね。
4万人くらいいたんですよ。
- 渡辺
- もう1回とか、なさるんですか、マラソン?
- 持田
- 生きてるうちにまたホノルルで
走りたいなとは思いました。
今年とか来年は休憩したいなって思いますけど(笑)。
走っていると、ご夫婦で参加なさっている方たちもいて、
すごく素敵だな、そういうのいいな、と思ったんです。
- 渡辺
- じゃあ、結婚した暁には、
一緒にトレーニングをゆっくりしつつ。
- 持田
- 一緒に走ったりとか、
いいなぁと思います。
- 渡辺
- ね。
すっかりマラソンの話になりましたが、
切りますか、これ(バナナケーキ)。
食べましょうか!
- ──
- 急におやつの話に戻りました。
- 渡辺
- あ、そうですね(笑)。
いやぁ~、すごいですね!
どこを切っても、バナナの断面が出て嬉しい。
- 持田
- そうなんです。
変な切り目が出てきたのを見たことがないです。
- 渡辺
- やっぱり千疋屋はすごいですよ。
では、いただきます。
- 持田
- いただきまーす。
- 渡辺
- ‥‥すっごい‥‥‥‥おいしい!
- ──
- いちごがない寂しさはないんですか?
- 持田
- ないですよね。
- 渡辺
- えーと、告白しますと、
わたし、いちごショートケーキって、
いちごと分けて食べるんです。
- 持田
- えっ(笑)。
- 渡辺
- 自分でもちょっと変な人だとは思うんだけれど、
なんか、いちごはね、
以前苺大福ともちょっと似てて、
いちごの酸っぱさが余計に際立つ気がして。
だから、分けて食べたいんです。せっかく
食べるんだから、どっちも最高においしいように。
でも、このバナナショートは完璧においしいです。
- 持田
- この生クリームもおいしいんですよね。
- 渡辺
- おいしいですねぇ。
この、中に入ってるバナナの立派なことって。
バナナの王者みたいなのが入ってますよ。
- 持田
- 王者(笑)。
- 渡辺
- いや、すごいものを教えていただいた。
- 持田
- これ、喜ばれますよね。
- 渡辺
- 喜ばれますね、確実に。
(つづきます)