- 糸井
- (笑)だからさ、本当に、
バナナ、かわいそうだよなぁ。
- 渡辺
- 安いからですかね。
- 糸井
- そう、安いから、
みんながなめてるんですよね。
- 持田
- なるほど。
- 渡辺
- バナナはジャムって無理なんですか?
- 糸井
- 作ったことありますよ。
ジャムの定義がよくわからないんだけど、
パンとかいろんなものに付けて食べたり、
入れておいしく食べる、
ペースト状になってるものだとしたら、
何でもできますから、
バナナはもちろん作ったことがある。
ただ、見栄えがよくないです。
- 持田
- 何色になるんですか。
- 糸井
- 茶色っぽくなります。
- 持田
- あぁ。
- 糸井
- レモンで色止めしてるつもりでも、
やっぱりなっちゃうし。
あと、ただバナナを潰したものと
あんまり変わらないんですよね、見た目がね。
- 持田
- なるほど。
- 渡辺
- そうか。手間暇かけても。
- 糸井
- ジャムには、酸味のないものは
基本的にはむずかしいです。
- 渡辺
- そうか、酸味があるからいいのか、ジャムは。
- 糸井
- 酸味があれば、スカンポだっていいんだもん。
- 持田
- スカンポ?
- 糸井
- スカンポって、イタドリです。
よくそこら辺の路地にある、
ちょっと紫の雑草。
むかしのこどもは、
それをちぎって、皮をこう剥いて、噛んで、
ペッっていう、そういうもの。
それでも、ジャムはできます。
ルバーブと同じことだよね。
- 渡辺
- じゃあ、バナナは作ってはみたけれども、
作り続けるという感じではないんですね。
- 糸井
- つまり「喜ばれないとつまんない」んだよね、やっぱり。
- 渡辺
- そうか!
- 糸井
- 人が喜ぶから、
自分は食べたくなくても作るっていうのが、
ジャムおじさんの心だから。
- 持田
- (笑)
- 糸井
- でもこのミックスベリージャムは
確実においしいですよ。
- 渡辺
- じゃあ、ベリー類っていうのは、
ジャムでいうと最強なんですね。
- 糸井
- ベリーは強いですね。
だから、人がおいしいと思うジャムって、
いちごでしょ、だいたい。
僕はあんずが一番好きで、
あんずもとてもおいしいんですけど、
ベリー類は、頑張れば頑張るほど、
国産のとか言いたくなっちゃって、
みんな失敗するんですよ。
国産のベリーは、皮の硬さとか、味とか、
本場じゃないからバラツキがあって。
で、もともとベリーが得意だった所から
輸入した冷凍もので作ったほうが
圧倒的においしいんです。
国産だと「この間のおいしかったけど、今度はだめだね」
ということがある。
だから安定した品質のものをミックスしたんです。
ケーキにつけて食べてみてもいいかも。
- 渡辺
- あ、チーズケーキは?
- 持田
- あ、チーズケーキ!!
- 渡辺
- そうだ。チーズケーキ、チーズケーキ!!!
- 糸井
- 騒がない、騒がない。
- 渡辺
- 糸井さんがいらっしゃる前は、
もうちょっとうるさかったですよ。
- 糸井
- 持田さんもそんなに甘いものが好きなんですか?
- 持田
- 大好きです、わたし。
- 糸井
- それはいいねぇ。
要するに、
「お菓子食べ部」の人なんだね、いわばね。
オヤチ(おやつ)部。
あ、チーズケーキに
ドンと乗せちゃっていいと思いますよ。
ミックスベリージャムなんだけれど、
知っているブルーベリーだけのジャムの味を
想像して食べると、また楽しいです。
なんだか宣伝に来たみたいになっちゃった。
- 持田
- (食べて)うーん!
- 渡辺
- うーん!
すごく、ブラックベリーの香りもする。
- 糸井
- ひとくちごとに、違う印象を口の中で得られる。
一番ブルーベリーが多いはずなんだけど、
他のやつらが、「わたしもわたしも」って、
小声で、コーラスグループに入ってくるんですよ。
- 持田
- かわいい。
- 糸井
- 「わたしもわたしも!」「わたしも!」って。
- 持田
- (笑)ブルーベリーの食感、ちょうどいいですね。
- 糸井
- じゃあ、これも。
あんずジャムです。
これは、国産のおいしい生のあんずを使ってます。
しかも、1回干すんですよ。
- 持田
- あんずを?
- 糸井
- あんずを切ってから。温風かけて。
- 持田
- 干しあんずみたいな感じにするんですか。
- 糸井
- 干しあんずまではならないですけど、
ちょっとシワシワくらいまでしちゃう。
それを煮るから、濃い。
- 持田
- うわぁ。
- 渡辺
- しろたえのチーズケーキと合います!
- 糸井
- じゃあ、俺もいただこう。
- 持田
- 幸せ。
- 渡辺
- うーん、おいしい。
- 糸井
- しろたえのは塩気があるね。
- 渡辺
- あと、相当酸味もありまよね。
- 糸井
- うんうん。
- 持田
- ジャムって、豊かにしますね、こういう場を。
- 渡辺
- 一気に広がりましたね。
- 持田
- こうして製品化するだけじゃなく、
糸井さんご自身もずっとジャムを
作っていらっしゃるんですか?
- 糸井
- この間、レモンで。
マーマレードみたいに。
- 持田
- おいしそう!
- 渡辺
- 砂糖は多めに入れるんですか? レモンって。
- 糸井
- 砂糖は50パーセントです。
これも全部50パーセント。
- 渡辺
- 酸っぱくないですか?
- 糸井
- 酸っぱいですよ。
売ってるのがは酸っぱくてかまわない。
でも酸っぱいと売れ行きは悪いですよね。
市販する時にはあんなことしちゃだめだよ。
(つづきます)