ショーガール。
奥野史子・ラスベガスからの出発。

第8回 なんていうか、今、興奮の嵐。

みなさん、ほぼにちわ。
前回モントリオールからお便りをし、
当初の予定では、
今回もモントリオールからのはずだったのですが、
私はもう既にラスベガスにおりますのでこちらから…。

昨日、大変危険な状況の中、
おっそろしく厳重なセキュリティーチェックを受け、
飛行機に乗り、無事ラスベガス入りしました。
日本の友人達からは、心配メールが殺到し、
かなりナーバスにはなりながらも、
当初の予定どおりここに到着しました。

ベガスに来たのは今回で3度目。
しかし今回は今までのようなバケーションとは違い、
「ショーガール」としてやってきたのです。

昨夜、飛行機がベガス上空にさしかかった時、
宝石箱のふたを開けたような街の美しさと、
これから私を待っているさまざまなこと、
「希望」に胸がキュンってなりました。

その到着から、今、これを書いている間も、
私のハートはいつもとは違った何かを感じ続けています。
一番わかりやすく言ってみると、
「大興奮」かな。
何がそんなに私を興奮させているのか?
京女で、幼い頃からシンクロで
大舞台を踏んできた私という人間は、
子供の頃からたいがいのことでは
興奮しない性質に育ったはずである。
なのに、その私が自分でもびっくりするくらい興奮し、
感動しているんだなぁ。
我ながら、すごくすごく不思議。

さてさて、今日初めてシアターに行きました。
ショーのメンバーを紹介され、
今日挨拶した人は、
総勢100名を超えるほどだったかな。
名前は到底覚えきれなかった。
とにかくみんな
とっても素敵でやさしい人たちだったことは覚えている。
その後、バックステージを案内してもらい、
今後のスケジュールを聞いた。
しっかし、みんな英語が早口で正確に聞き取れないよ…。
その早口英語だけには疲れちゃったさ。

だから、ロシア人とか、フランス人とか、
ネイティブじゃない人と話してるほうが
ホッとするんだな。これが。
でも、これは英語を覚えるには最高の環境だと思う。
帰る頃にはベッラベ〜ラになってるかな。

そんなこんなしているうちに、
メンバーはショーの準備に入り、
私はとりあえずショーを観ることになった。
「O」を観るのはこれで4回目なんだけど、
今回はこれまでとはわけが違って、
シアターに入る時から、
「やっとここに来れた」って、感慨深かった。
このショーに出てる人は、もう私の仲間なんだ、
って思うと、これまた胸がキュンってなった。
とにかくショーはとっても素敵で、夢のようで、
感動して…。
観客席でひとり観ながら、なぜか涙がこぼれてきた。
大袈裟にすぎるかもしれないけど、
生きてて良かった、って思った。
シンクロをやってきて良かった、って思った。

こんなに世界中が大変で、
多くの犠牲者が出ている時に、
ショーなんかやってていいのかよ、
って、思っている人は必ずいると思います。
だけど、今日、私は、観客席でショーを観、
満員になったシアター、
そして、お客さんの満足そうな笑顔を見て、
これでいいじゃない、って思ったよ。
悲しみや苦しみを、
一瞬でも忘れられる場所が人間には必要で、
それが観に来てくれたお客さんにとって
「O」なのであれば、
私はとても意味のある仕事に出会えたのだと思う。

こんなときだからこそ、
こんなふうに思えるのかもしれないし…。
とにかくアメリカは
エンタテインメントをこよなく愛する国なんだ、
ってことが、今日私の中ではっきりした。

今日のことは一生忘れない。と思う。

2001-10-12-FRI

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