97年、憲司さんが自ら写したポラロイド。
左からベンチャーズの「WALK. DON'T RUN VOL.2」
シャドウズの「MEETING WITH THE SHADOWS」
同じくシャドウズの「THUNDERBIRDS ARE GO!」、
そしてそのジャケットに写っているのと同じ型のギター。
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真司 |
松下さんに、おやじもたぶん、
教わった部分デカいと思うんですよね。
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松下 |
教えつつ、教わりつつ、
やってましたからね。
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真司 |
俺には、おやじに、
松下さんの心意気が
うつっちゃったんじゃないかな?
って見えました。
ほんっと、凝りましたからね。
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松下 |
演奏スタイルによって、
調整が違う部分ってあるんですよ。
マイクから弦までの距離というのは、
その人のピッキングとか、
使い方によって違うんです。
通常ソロを取るときというのは、
ストラトでいうと、リアでソロ、
あるいはリアとミドルの
ハーフトーンでソロでしょ?
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真司 |
です。
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松下 |
だけど、ジャズ畑の憲司さんは、
フロントでソロを
取るときもあるんですよ。
そのときには、
ピックアップの高さって、
ほんの少し上げてあげて、
フロントのピックアップの‥‥。
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真司 |
出力を上げないと。
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松下 |
うん、出力と、
輪郭をハッキリさせないといけないんですね。
僕はそういう人と
つき合いが少なかったから、
憲司さんに初めて教えてもらったり。
ぎくしゃくではないですが、
お互いの探り合いの部分っていうのは、
初期段階に、けっこうありましたよ。
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真司 |
へぇー。
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松下 |
でも、後半は、ここまでは僕がやるから、
あと憲司さん、どうせやるんでしょ?
っていうくらいになりました。
たとえばナットとかね。
溝の幅と高さは僕が決めて、
ナットの表面の、通常、土手といってる、
表面の削り方は、憲司さん、
自分の好きな削り方があって、
それは自分で削ってたの。
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真司 |
えぇ〜? 知らなかったな。
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76年、六本木PIT INNで。
97年、神戸チキン・ジョージでの
プロ活動25周年記念ライブ。
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松下 |
家でヤスリを持って
ごしょごしょやってたなかった?
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真司 |
やってた。ナットを調整してたんだ。
うわぁ、そこまで詳しくなるのって、
すごいことだ。
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松下 |
僕らの技術屋畑のことにまで入ってこれる、
知識と興味を持ってましたよ。
だからもう、下手したら自分の部屋の中に、
リペアルームみたいなものを作って、
機械なりなんなり、
ぜんぶ置いてやろうと思えば、
いつでもできた人ですよ。
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真司 |
自分のギターをちゃんと鳴るように
できるとこまでを含めての、
音楽家でした。
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松下 |
そうそうそうそう。
あのね、関西には多いの。
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真司 |
自分でやる人?
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松下 |
これはね、土壌の違い、
文化の違いからきてるんですよ。
関西ではね、意外と、与えられたものを、
自分で何とか処理するんですよ。
ところが、東京では、
与えられたもの自体を、
自分で処理するよりも、
誰かに委託してやってもらったほうが
安心できるんですね。
情報も広がってるぶんだけ、
そういうふうになるんですけどね。
関西系に似てるのは
ニューヨークあたりの、
黒人ギタリスト。
意外と、何にもやらなくて、
出ない音があっても、
他のところで出る音があるんだから、
それ使おうってなるんです。
で、それなりの変な演奏方法を
憶えちゃって。
ちょっと人と違うような
演奏ができるようなことにまでいく。
それが関西系だね。
関東系は意外と任せちゃって、
共同で何かを作っていこうっていう感じで
仕上がっちゃうっていうのが多いんです。
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真司 |
へえ!
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松下 |
あとは、たとえば
ブルースギタリストなんか。
憲司さんなんかも、
そこに近いんでしょうけど、
試奏する曲がばらばらなの。
4本ギターがあったら、
おんなじ曲で4本弾き比べたほうが
わかりやすいじゃないですか。
同じフレーズ弾いてみて。
ところが憲司さん、
あまりそれしないんですよ。
それだと音の違いって
あんまりわかんないんじゃないかな、
っていう気が最初してたの。
ところがね、メロディーじゃないんですね。
音を聞いてるんです。
自分で出している音自体が、
自分の思ってる音で出てるかどうか、
っていう物差しなんでしょうね。
だから、すごく、そこは
ミュージシャンなんですね。
技術屋は、同じフレーズで
調べるんですよ。そういう意味では、
すごく極端なミュージシャンの部分も持ち、
テクニシャンの部分も持っていたわけ。
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真司 |
けっこう音色には
影響してたかもしれないですよね、
この曲ではこのギターって選ぶときに。
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松下 |
あるんでしょうね。
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真司 |
名前がついてるじゃないですか、
1本ずつ。たとえば、ブロンディだったら、
金髪の女みたいな音。
この曲に合うのはこのギターだ、
っていって選んでたようなところもね。
ギターを音でちゃんと理解してるっていうか。
そういうのもあったんじゃないかな。
そう思うけどな、俺は、きっと。
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松下 |
思い出すね。うん。
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真司 |
ピンキーだったらピンキーの音。
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── |
みんな女性名なんですね(笑)。
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ギターにはすべてニックネームをつけていた。
(すべて女性名というわけでもなかったようです)
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真司 |
うん、そういうようなこと言ってましたよ。
ギターも、女といっしょ。
そこまで言ってなかったかもしれないけど
そういうこと言ってた。
しっかりそういう意味で見て、
弾いてくといい、みたいなことを
俺に対して言ってたのを。
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松下 |
へぇ。え?
憲司さんって、
真司くんには女の話とか、したの?
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真司 |
あのね、直接な女の話っていうのは、
ないんです。
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松下 |
硬派だったの?
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真司 |
硬派っていうか、硬派なんだけど、
かっ飛ばした下ネタ好きではありました。
でも、猥雑じゃないっていうようなタイプ。
でも、硬派でしたね。うん。
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松下 |
あのね、あの人やっぱり‥‥硬派でしょう?
硬派で、しかもまあ、付き合い上は、
まあ、そういう話もするんだけど、
外国に暮らしていた経験もあって、
頭ん中はハイソな部分があって、
下品にはいかない。
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真司 |
うん、そうなんですよ。
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松下 |
下品にはいきたくないって人なんですよ。
あの、服装でもそうだし。うん。
関西人同士って、
下品なラインにもってくんだけども、
その中でも、できる限り上品なところを
残しつつ会話してる。
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真司 |
そんな感じ。
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遺影にも使われたポートレイト。
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松下 |
‥‥いや、ね、
BSで真司くんが
Kenji Shockを弾いてたときに、
俺もうね、涙出ちゃった。
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真司 |
そうっすか。
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松下 |
背中がゾクゾクするしさぁ、
もう、ほんっとにね、憲司さんが、
あの膨れっ面で弾いてる顔が目に浮かんだよ。
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真司 |
もうあの時は、
おやじが思いっきり
肩の上にいましたからね。
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松下 |
いたいた、いた(笑)。
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真司 |
寒気じゃないけど、感じた。
技術もまだまだ若い俺のものなんだけど、
なんかね、指自体を動かしてたの、
俺じゃないよな、ぐらいのがありましたね。
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松下 |
いやぁ、あれは良かったー(笑)。
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トリビュート・コンサートでの真司くん。
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真司 |
あの時に、サブとしてもう1本あったのが、
おやじが死んだ当時、
松下さんに色を変えてもらった
レスポールだったんです。
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松下 |
あ、はいはい。アンティグラ。うんうん。
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真司 |
そうそうそう、そのアンティグラ。
グレーの色、
もともとストラトの色なんですけど、
すごいその色が気に入って。
そのギター、常に、仕事に行くときは、
サブで持ってってます。
だけど、ピックアップとかをね、
また、変えたいんだ。
じゃ、今度は自分で変えようかな?
(笑)ちゃんとね、知識を付けてから。
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松下 |
時間がありゃあさ、
修業においで。
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── |
今、おとうさんのギターは
それ以外、使ってないんだ?
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真司 |
1本、カスタムのストラトは使ってる。
ライブでも持ってったり。
でもほかは使ってないです。
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── |
いつかほかのギターも使いたいって思う?
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真司 |
思うんだけど、
自分に合ったものっていうのを
使いたいっていうのもあるし。
おやじが遺したのが1本や2本であれば、
もうこれしか使わないって
いうのもあると思うんですけど、
なにしろ20何本あるんです。
それを、俺が受け継いだっていうのは、
‥‥。
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松下 |
けっこう負担だよね。
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真司 |
そうそう。
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松下 |
ふふふ。わかるわかる‥‥
わかるわかる(笑)。
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真司 |
もうほんとに考えないやつだったらね、
もう、よっしゃ、俺のだ、
っていって弾けるんだろうけど。
どうやって、これを鳴らせばいいのか、
やっぱあるんですよね、俺にも。
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松下 |
うん、うん、わかるわかる。
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真司 |
そうするためには、
たとえば自分でパーツを
変えたりとかっていうのも、
しなきゃいけないだろうし。
だけど、それをしてしまうと、
おやじのものではなくなるし。
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松下 |
そうだよね。そうだよね。
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真司 |
やっぱり、あの、ね、
ケース開けても、
おやじの臭いがやっぱしてくるんですよ。
中から。
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この日も、メンテナンスのために3本のギターを松下工房に預けた。
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松下 |
だからね、僕はね、真司くん、
もっと後で使ってもいいと思う。
そのほうがいい。
どうせ今はね、おやじさんが偉大すぎて、
開けてもプレッシャーばかりだよ。
でも、自分なりにすると、
壊すよ、ぐらいのところにまで
改造しないといけないしって。
その時期じゃないんだよ、だから。
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真司 |
そうですね。
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松下 |
だから、その時期まで俺が
ちゃーんと調整しとくから。
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真司 |
ほんとに、ずっとやってくれますか。
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松下 |
真司くん、いくつ?
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真司 |
21です。
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松下 |
ウチの子も21なんだ、女の子だけど。
親ってね、自分のものを買うにもね、
バッグ買うにも、時計買うにも、
将来残してやれるものをって思う。
親ってね、そういう気持ちが
いつもあるんですよ。
憲司さんもね、ギターを買う時に、
真司くんが後で使うだろうって
思ってたはずなんだ。
「後々真司も使えるだろうから、
これ買っとこうかな」って。
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真司 |
うん。いま使ってる1本はね、
いま、唯一わかる1本なんです。
やっぱおやじの血が流れてるから、
思惑みたいなのが、少し、
ひらめいたりするときがあるんですけど、
あのカスタムはね、入門編じゃないけど、
俺が使うのに、
いちばん最初におやじのギターに
触るんだったらこれっていう感じが
すごく、して。
自分勝手に思ってるのかもしれないんだけど、
すごく弾きやすいし。
でも生半可な感じで弾いても
いい音が出ないんです。
ピッキングのアタックも、
弦を押す瞬間もやっぱね、
ちゃんとタイミングをはかってやると、
やっぱりいい音が出るっていうギターで。
他のギターはね、まだわからないですよ。
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松下 |
英語のわかんない人間に、
英語の本渡してもダメなんです。
英語がわかる時期になって
英語の本が来ないと。
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真司 |
そうっすね。
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松下 |
だからね、今やたらめったら
わからないギターを、
自分なりにいじっていったらね、
今度は、憲司さんが訴えたとこが
なくなっちゃうから。消えちゃうから。‥‥。
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真司 |
そうっすね、
わかんなくなっちゃいますよね、うん。
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松下 |
だから、それは、今
いじらないほうがいいんですよ。
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真司 |
うんうん、そうですね。
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松下 |
いじれるくらいになって、弾いてみて、
あれ? これ、すごいいい音するな、
このいい音って、
おやじもこれをいい音と思ったのかな?
っていう理解が出てこないとダメだし、
なんでこの弦高にしてるんだろう?
この弦高にしてるんだろうって
わからなきゃなんないんだけど、
わかる時代になってきて
ハイポジションまでザーッて弾くと、
あ、この弦高だったら、
このハイポジションまできれいに弾けるんだ、
あ、この弦高っていうのは、
おやじがやっぱり、
それなりに考えた弦高だったんだ、
っていうことで、ひとつひとつの箇所にね、
お父さんの考えが出てくるはずなんですよ。
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真司 |
そうですね。
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松下 |
だけど今、英語も何もわかってない人間に、
英語の本を渡されてる状態だから。
だからそれまでは、
いじらないほうがいいし、
お父さんの匂いも消さないほうが、
いいと思うんですよ。
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真司 |
そうですねー。
弾く前に、待てよ、っていうのは、
おやじの匂いなんですよね。
開けたときに。そうそうそうそう。
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松下 |
うん、うん、それで、いいんじゃない?
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真司 |
で、いいって言うか言わないかっていうの、
やっぱり、ほんとにその、
開けたときにわかるんですよ。
もう見たときに、あ、これは‥‥、
みたいなのもあるんです。
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神戸チキン・ジョージに飾ってある
憲司さんのギター「BLACKY」。
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松下 |
僕もそうなんです。
ウチのおやじは、実は、
刀鍛冶なんですよ。
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真司 |
もう、まさに! まさに、その世界ですね。
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松下 |
そうなんですよ。
でね、最初はね、刀鍛冶なんて大っ嫌いで。
メジャーじゃなく、流行らなく。
戦争中に、自分の打った刀で
銃剣術とかっていう武道があったり、
戦争中に鉄砲の先に刃物が付いてて、
とか、自分の作った刀で
人を殺すのが嫌になって、
戦後は刃物問屋に
変わったっていう人なんですけどね。
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真司 |
ふ〜ん!
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松下 |
でも、自分の銘の入った刀とか、
あるわけですよ。
でも、その刀とかを作る意味が、
まったく僕にもわからなくて。
骨董品屋さんなんかで刀を見ても、
そんなの仁侠映画の世界を見るようで
まるっきり僕もわかってなかったんです。
でもね、それが、ある時期に、
定期的に自分の父親の刀を
見るようにしたんだよ。
すると、見ていくほどにね、
日によって見方が違ってくるんです。
だからたぶん憲司さんのケースを
開けていくほどに、日によって違ってくるよ。
握って弾いてみて、今日のこの弾いた感じと、
2ヶ月後の弾いた感じが違ってくる。
だんだんだんだん、
たぶん憲司さんの方に
歩み寄っていくと思う。
僕もね、最近、
刀がきれいに見えてきたんですよ。
あの、刃のところにこういう波打ちが、
1本1本、違う波打ちがあるでしょう。
それがだんだんだんだん、
きれいに見えてきて。
あんまり興味のない世界だったのが。
で、まだおやじは生きてるんですが、
おやじにそれを言ったんですよ。
べつに憲司さんのことも何も関係なく、
「いや、最近さ、なんか刀見るとさ、
あー、なんか1本買おうかな?
とか思ったりとか‥‥」
っていう話をして。そしたらおやじがね、
電話もとで泣いてるんですよ。
目がしみる、しみるって言ってんですよ。
白内障の手術してるんだけどね。
なんか鼻声になってきてて。
「俺のやつだったら、あるぞ」
って、言ってくれて。それで‥‥。
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真司 |
俺のおやじも
そういう感じだったんだろうな。
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松下 |
いや、たぶん俺、そうだと思うよ。
これね、真司に使わしたい、
将来的に真司にこれは
持たせられるもんだって思って
おいてきた宝物だと思うんですよ。
だから、それ考えてくと、
プレッシャーではあるけれども、
受け入れてあげないと。うん。
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真司 |
うん。そうっすね。
今、俺が好きな音楽は
おやじのやってきたものとは違うんだけど、
おやじたちの世代のものとかに関して、
その音楽で、そのギターを使って、
その音が出てるっていうこと、
その時代時代の音がするってこと、
すごくなんか、理解できてきたんです。
だから、結局、音はね、
ああいう音を、おやじみたいな音を
いつか、出したいって、思います。
俺も知識と経験がついて、
人生の経験がついて、
そういうのが全てかっちり合ったとき、
っていうのが、きっとね‥‥。
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── |
ギターケースの扉が開くんだね。
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真司 |
そうそう。3日間だけでもいいから、
きっといつか、ね。うん。
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松下 |
映画になりそうじゃないか。
父親が息子のためにさぁ、託したギターが、
わかる時期がくるだなんて、さ。
|
真司 |
じゃ、いつか俺が自作自演で!(笑)
|
松下 |
だってもう、トリビュートで
真司くんが弾いてるのも、
俺にはもう映画だったもん。
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真司 |
そうっすか。でも、あのときもね、
あれは、おやじのためにというか、
それ以外にはもうできなくて。
だからこそ、あの場所に立てたんです。
あの真ん中で、
あんな無責任に弾かしてもらって。
でも、おやじ、おやじが死んで、
送ってやるじゃないけど、
俺がもしもギタリストじゃなかったとしても、
ギタリストになれなかったとしても、
でも絶対遺志を継ぐぞっていう
気持ちだけをね、表現するということで。
もう初めてそのときに、
それまではかっこつけてやってたんだけど、
何かのために表現するというか、
気持ちを表現するということが、わかったんです。
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松下 |
エレキギターの歴史ってさ、
まだ日本だと40年でしょ?
やっと2世が出てきたんだよね。
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真司 |
その期待をね、やっぱり、
プレッシャーじゃなく、
「頑張る」じゃなく、
今はもう、頑張るのは当たり前だから。
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松下 |
あのね、ギターケース開けて
触るだけで親孝行だよ。
それだけでいいと思っといたほうがいい。
それ以外のことまで、あんまり‥‥。
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真司 |
考えてみたらおやじだって21才のときに、
俺とおんなじときに何やってたかって‥‥。
それに、俺にだって、
はじめからおやじを超えている
部分だって、かならずあるはずなんだ。
だから、俺はもうそんなの気にしてねぇよ、
っていって。
俺をおやじと同じ物差しで見る人、
いっぱいいるんだ。
だけどそういう人たちっていうのは、
べつに俺に対して
ムカついてるとかじゃなくてね。
期待を持って言ってくれてる人もいるし
そうじゃない人ももちろんいるんだけど。
でも、やっぱり数少ない人たちで、
俺とおやじの違いを見てくれてる人もいるし。
ギターにもいろんなものがあって、
弾き方もいろいろあるし、
音楽の種類も違うし。
おなじギタリストっていう、
枠にはまったとしても、
もっと歌を歌うギタリストだったりとか、
何でもできるギタリストだったりとか
やっぱりいろんな方向性っていうのも
あると思うし。だから、今それを、
ほんっとにそれを模索しようと思うんです。
「おやじと同じ」ギタリストに
なれるっていうのは無理だし。
それこそ、なんかこう、
冒涜じゃないけど
越えられないところに向かって行くっていうか。
だから、そうじゃない部分っていうのをね、
もっとこう気楽に考えられるように、
最近やっとなってきたんです。
ほんっとに昔は、常にここ
(肩の上)にいたから。
みんな怖がるんですよ、俺のことを。
もっとフランキーなんだよっていう
レベルから、知ってほしい。
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松下 |
そういうほうがいいんじゃない?
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真司 |
おやじの息子っていうのが、
いちばん期待のかかるところっていうのは、
絶対あるわけだし。だけど、
とにかくそういうの関係なしに、
自分が満足できる瞬間っていうのかな、
ギターでもそうだし、
音楽で満足できる瞬間っていうのを、
必ず、こう、
人生終わるまでに1回って思ってます。
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松下 |
ドラムで1番になってさ、
ポンタの息子かい? って言われるぐらいに
なっちゃったりしてね。
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真司 |
あっはっはっはっは!
でもね、ほんとに、そこらへん、
やっと考えられるようになった。
もうほんっとに、おやじだったんですよ、俺。
|
松下 |
俺もほんと、もう長ーい目で見てるし、
ずっとメンテナンスするの、
ぜんぜん構わないからね。
|
真司 |
長い目で!
頑張ります。そのときには、
松下さんが調整してくれたギターを
俺が‥‥。
|
松下 |
俺が調整したところの理由を
わかったって言ってもらえたら、
ありがたいねぇ! うん。
それが80年か後かもしれないけども(笑)。
ようやくわかったって言ってくれれば‥‥。
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真司 |
あ、松下さん、わかった、
こういうことなんでしょ?
って、俺も早く言いたいもん。
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松下 |
そうそうそうそう。それは待つね。
2番目のお父さんとしては(笑)。
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真司 |
ほんとに。修業します。
どうも、ありがとうございました!
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