奥村チヨさんとは、そもそも
どういうご縁なんですか?
僕は、小さい頃、親父によく
レコードを買ってもらっていたんですが、
奥村チヨさんの「恋の奴隷」だけはダメだと
かたくなに拒否されたんです。
ひとりっ子にあんなに甘い親父が、
なんであれだけは買ってくれなかったんだろうと
長年謎を抱えることになりました。
動画でも語っておられるように
「恋の奴隷」の"奴隷"という部分が
強く作用していたのですね。
これが僕が編集してつくった
奥村チヨさんの「コケティッシュ爆弾」
というCDです。
これね、すごいんだよ。
2枚組で、チヨさんのレアな音源まで
東芝EMIに一晩中籠って全曲聴いて
CDのブックレットの写真も勝手に選ばせてもらって、
チヨさんのパンチラまで選ばせてもらって、
チヨさんに、その後
とっても怒られました。
チヨさん‥‥怒られた、と?
だいたい、こんな気持ち悪いのが、
いや、チヨさんからしたら僕みたいなこの形態、
すごく気持ち悪いでしょう、
「なんでこんな人が私のファンなのかしら」
と思われたと思うんです。
それで、1年間かけて、ようやく
「最終的にあなたが私のファンだということが
ほんとうにわかりました」
と、チヨさんに言っていただいて。
そして、万年筆をくださったんです。
やっと誤解が解けた。
あの日は、うれしかったです。
この「コケティッシュ爆弾」の
CDジャケットの奥村チヨさんの写真、
これは、チヨさんご本人ですか?
‥‥きれいですね!
いいでしょ?
かわいいっしょ?
まさに、コケティッシュ爆弾。
親が「ちょっと‥‥」と思うのも
しかたがないようなすばらしさがあります。
奴隷という言葉に翻弄された少年期を乗り越え、
そこから学び取ったチヨさんからの教えを
いまだに守っていらっしゃる、みうらさんです。
入口はいつもとんでもないところで
両手を広げて人を待っているものです。
みうらさんの、5つめの恩返しでした。
奥村チヨ
歌手。1965年「私を愛して」でデビュー。
'69年発表の「恋の奴隷」が大ヒットする。
甘えるような歌い方とコケティッシュなキャラクターで
世の男性たちを魅了。
みうらさんのプロデュースしたCD「コケティッシュ爆弾」は、
奥村チヨさんの再ブームに火をつけた。
都々逸(どどいつ)
男女間の情を七・七・七・五調にまとめ、
三味線の伴奏で歌われることの多い、
流行俗謡の一種。江戸時代に流行した。
動画のなかで、みうらさんが
「恋もしたことがないのに涙が出てきた、都々逸ふうの歌唱法」
とおっしゃっていた、
渚ゆう子さんの「京都慕情」は、
みうらさんプロデュースのCD「京都の恋 京都フェロモン菩薩」
に入っています。
ベンチャーズ提供の、哀愁漂う名曲。
ぜひ聴いてみてくださいね。
SFマガジン
早川書房が刊行しているSF雑誌。
みうらさんが経験した当時のSFブームは、
現在で言ういわゆるSFと怪奇が混じったようなもので、
中岡俊哉氏などの書籍に人気があった。
『花と蛇』
団鬼六さんの小説。
石井隆監督・杉本彩さん主演により
2003年に映画化された。
杉本さんの毛細血管も切れるほどの過酷な撮影だった、
ということです。